Q 10 介 介護現場の労働環境を 見直すための 基本ルールとは? 護職員から退職の申し出があり,理由を聞くと,「労働環 境が無茶苦茶だから」とのこと。残業や休日出勤は申し 訳ないと思ってはいたのですが,見て見ぬ振りをしていまし た。その職員が言うには,「ほとんどの者が退職を考えている」 らしいのです。このままでは多くの介護職員が辞める可能性が あるので,これを機に労働環境を少しずつ見直そうと思ってい ます。まずは,労働時間や休日の基本的な仕組みを教えてくだ さい。 A 介護職員は経営者が考えている以上に 労働環境に敏感です。 まずは最低限の労働環境の整備から 始めましょう。 38 ― ― ●介護現場の労働環境を見直すための基本ルールとは? 介護事業所の中には,介護職員に無理な労働環境で働かせている 事業所がたくさんあります。事業所側も,劣悪な労働環境だと認識 していたとしても,そうせざるを得ない状況にある場合が多く,今 回のケースと同じように見て見ぬ振りをしている所もあるのではな いでしょうか。 それらはいつ同じようなことが起こってもおかしくない状況だと 思いますので,いきなりすべてを改善することは難しいかもしれま せんが,少しずつでも改善していかなければなりません。介護職員は, 管理者が考えている以上に自身の労働環境に敏感です。ぜひともこ の機会に,少しは介護職員の立場に立って考えてみましょう。 に,休憩時間を除き1週間について40時間を超えて,1日について 8時間を超えて労働させてはならない」と定めています。このよう に,労働基準法で規定されている労働時間(法定労働時間)は,1 週40時間,1日8時間です。しかし,常時10人未満の労働者を使用 する介護事業所などの保健衛生業については,特例として1週間44 時間(1日については8時間)まで労働させることができることと されています。よって,1週間の法定労働時間は,常時10人以上の 労働者を使用する介護事業所において40時間,常時10人未満の労働 者しかいない介護事業所においては44時間となっています(表5)。 次に休憩時間について,同じく労働基準法では,「使用者は労働 時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分,8時間を超 える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中 に与えなければならない」と定めています。よって,労働時間が6 時間を超えて8時間以下の場合には45分の休憩時間を労働時間の途 中に与えなければならず,労働時間が8時間を超える場合には1時 間の休憩時間を与えなければなりません(表6)。なお,労働時間 39 ― ― 労働時間・休憩・休日 まずは労働時間について,労働基準法では,「使用者は,労働者 表5 法定労働時間 原則 1週40時間,1日8時間 特例 (労働者数が常時10人未満の 介護事業所などの保健衛生業) 1週44時間,1日8時間 表6 休憩時間の長さ 労働時間 8時間超 6時間超 6時間以下 休憩時間 1時間 45分 与えなくてもよい が6時間以下の場合には休憩時間を与えなくても構いません。その 他,休憩時間には, 「一斉付与の原則」 「自由利用の原則」というルー ルがあります(Q13〔P.50〕参照) 。 休日については,同じく労働基準法では, 「使用者は,労働者に 対し,毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と定め ています。例えば,週休2日制の事業所の場合,そのうちの1日を 労働させたとしても,休日労働とはなりません。しかし,休日のう ち1日を労働させた場合,1週間の労働時間が法定労働時間を超え る場合があり,時間外労働になるので注意が必要です(Q12〔P.47〕 参照) 。また, 「毎週少なくとも1回の休日は,4週間を通じ4日以 上の休日を与える使用者については適用しない」となっており,休 日は1週間に1日もしくは4週間に4日あればよいということにな ります(表7) 。 40 ― ― ●介護現場の労働環境を見直すための基本ルールとは? 表7 週休制 原則 変形週休制 毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない 4週間を通じ4日以上でも可 また,休日は単に連続24時間の休業ではなく,暦日による午前0 時から午後12時までの休業とすることが必要です。例外として,8 時間3交代制の連続作業のような場合で,番方編成による交代制が 支えないとしています。 ここでは労働時間・休憩・休日の基本的なルールにしか触れてい ませんが,ほかにも事業所が守らなければならないさまざまなルー ルがあるので,その他のQ&Aに関しても必ず確認してください。 参考法令 労働基準法第32・34・35・40条,労働基準法施行規則第25条の2 41 ― ― 労働時間・休憩・休日 就業規則などにより定められている時は,継続24時間与えれば差し
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