平成22年 第 1 号 群馬工業高等専門学校

平成22年
第 1 号
群馬工業高等専門学校
目
学校長挨拶
竹本 廣文
センター長挨拶
技術長挨拶
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
戸井 啓夫
関田
次
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
群馬工業高等専門学校 組織図
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
集合写真 支援センター教職員 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
教育研究支援センター 組織図
新任者紹介
大木
1
5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
□事業報告(各種セミナー報告、公開講座報告、研修報告)
校外出前授業「サイエンスウィーク2010」
体験授業報告
岡本
荻野
・・
8
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
「ものづくり人材育成講座」の技術支援について
第9回関東信越地区国立高専技術長等会議報告
教育研究支援センター出張実績一覧
森田
、田部井
、大木
関田
・・ 11
・・・・・・・・・ 13
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
□教育・研究に関する活動報告(教育支援報告、研究報告、技術報告)
「廃液・廃棄物の分類と変化」
荻野
・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
総合もの作り体験授業「鋳物キーホルダー製作」に携わって
関田
・・・ 19
スターリングエンジン製作実習の教材開発について
齋藤
一般教養における化学実験の運営
・・・・・・・・・・・・・・ 23
研究活動報告 論文等発表一覧
田部井
・・・・・・・・ 21
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25
□資料
教育研究支援センター規則
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
技術専門員及び技術専門職員に関する規程
編集後記
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
学校長挨拶
高等専門学校の役割と教育研究支援センター
学校長 竹本廣文
高等専門学校は、我が国における中堅技術者養成を主目的として
昭和 37(1962)年に初めて設置されました。平成 22(2010)年
現在、合計 57 校の高等専門学校がありますが、うち国立は 51 校
であり、我が群馬高専は国立第 1 期校 12 校のうちの一つです。開
省 略
校当時の 3 学科構成は、その後の学科増設や名称変更を経て現在
の 5 学科制となっています。また、平成 3(1991)年に専攻科の
制度が創設されたのに伴い、平成 7(1995)年には専攻科を設置
しました。
現在では高専の役割として「実践的・創造的な技術者の育成」が謳われていますが、本科卒業
生には「准学士」の称号が付与され、専攻科修了生には一定の手続きを経たうえで「学士」の学
位が付与されています。このことから分かるように、時代の進展とともに高専教育の高度化が求
められるようになっています。
このような中にあって、群馬高専では平成 19(2007)年 2 月に「教育研究支援センター」を
設置しました。行政改革の流れで職員数減などの各種合理化が行われるなかで、実験・実習など
の支援業務を充実させることが主な目的です。今回、支援センターの初めての年報を刊行するこ
ととなりました。支援センター機能の充実・改善のためには、一般教職員にも支援センターの業
務を知ってもらいながら、議論を重ねていく中でより良い方向性を求めていく必要があります。
今回の年報がそのための第一歩となることを期待しています。
-1-
センター長挨拶
教育研究支援センター長
戸井 啓夫
群馬高専教育研究支援センターでは技術職員の活動の記録とそ
の発信を目的として、年報の発刊を企画しておりましたが、このた
びその第 1 号を発行する運びとなりました。皆様に本支援センター
の活動状況をご理解いただくとともに更なるご支援・ご鞭撻を頂戴
省 略
できたら幸いです。
教育研究支援センターを取り巻く環境も業務の集中化・効率化を
求められ、各職員が有する専門的技術に加えて更なる技術力が求め
られてきています。かつては学科等職員あるいは工場実習係として
事務部学生課に所属して活動しておりましたが、平成 12 年に3班
からなる技術班制度が発足しました。
しかし、実際には以前と同様、各科または工場に所属する職員として勤務し、組織としての技
術班制度は必ずしも実効的ではありませんでした。平成 16 年の独立行政法人化に伴い、全国的
に技術職員組織が独立し、本校では平成 19 年 2 月に阿部博教授を初代センター長として当教育
研究支援センターが組織され、現在に到っています。この期におよび、職員削減、欠員の無補充
等の問題が現実化してきており、専門分野によっては充分な支援体制をとれない状況が出来つつ
あります。限られた人員の中で必要にしてかつ十分な支援体制を形成するために、各技術職員に
は各々が有する優れた技術力に加えてさらなる多様な技術力が求められるとともにその有効配
置も求められてきています。全ての分野に長けるとまではまいりませんが、これまでの専門分野
に加えて多少なりとも異分野の技術力の習得に努力してまいりたいと思います。センター職員各
自の研鑚はもちろんですが、皆様の温かいご支援とご協力が必要です。なにとぞよろしくお願い
申し上げます。
-2-
技術長挨拶
創刊にあたり
技術長 関田
ご存知のとおり国立高等専門学校は平成 16 年4月に独立行政法人
化されました。その後、平成 19 年 2 月に技術職員の再組織化が行われ、
事務組織から離れて独立した形の教育研究支援センターがスタートしま
した。体制としては、それまでの学科主体のものから全校レベルのもの
省 略
へと大きく切り替わった次第です。全技術職員が集約された執務室が整
備されたのもその表れといえるでしょう。支援分野も一般教科、課外活動
等の技術支援へと広がり、個々の技術職員が従前以外の専門分野の支
援へと対応していく必要が生じています。従来からおこなっている実験
実習、卒業研究等の技術指導・技術支援ならびに体験授業、校外イベントへも対応する一方で、技術
支援に要求される内容は高度化して多岐にわたるようになりました。2 つの技術グループ体制による運
営も小さな見直しを経て今日に至っています。
教育研究支援センターが発足して4年近くが過ぎ、活動内容も広がってきました。大きなところでは、
地域産業の若手技術者対象の育成講座等に対する技術支援をおこなっています。地域に根ざした活
動が求められている社会情勢に呼応するものとなってきています。また、実習工場設備には最近にない
規模の機械更新がありました。担当の技術職員は導入や運用などにおいて献身的かかわりを見せてく
れました。技術職員に一層の資質の向上が求められている現在、研修会、技術・研究発表会等へと参
加し、技術職員一人ひとり日々の努力を積み重ね新しい技術に邁進しています。各自の専門分野の技
術、知見の拡充に努めていることはいうまでもありません。
折りしもの行政改革の折り、ご他聞にもれず教育研究支援センターも業務の集中化・効率化の流れの
中にあります。人材も多様であるため一朝一夕に達成できるものではありませんが、機会を捉えながら
組織化が進んでいます。とはいえ、結果として毎年数名に上る退職者の補充採用時には異分野への異
動も生じたりし、単純な道筋ともなっていません。加えて常勤職員の人数自体も減少しています。組織と
して流動的な状態になっている一方で、人事面での課題が山積していることはここで述べるまでもありま
せん。
大きな変革の中に置かれ、職員個々としては望まれているものと現実のギャップのなかで不安を抱え
ながら日々の業務を行っているのが現状です。このように取り巻く環境はいろいろ厳しさを増しています
が、支援センターも一歩一歩着実に進み、しっかりとした組織になっていければと願っています。技術
職員組織について御理解とご支援をよろしくお願い致します。
-3-
群馬工業高等専門学校 組織図
教務主事(副校長)
学生主事(校長補佐)
寮務主事(校長補佐)
専攻科長(校長補佐)
副校長(企画担当)
一般教科
人文科学・社会科学・外国語・保健体育
自然科学
機械工学科
電子メディア工学科
学科
電子情報工学科
物質工学科
環境都市工学科
校長
専攻科
生産システム工学専攻
環境工学専攻
地域連携テクノセンター
IT 教育研究センター
教育研究支援センター
生物教育研究連携センター
図書館
国際連携室
進路支援室
学生相談室
事務部
総務課
学生課
-4-
集合写真 教育研究支援センター教職員
省
二列目左より
一列目
荻野
略
宮本
加藤
大木
田部井
大塚
須永
森田
関口
岡本
大野
佐藤
小城
五十嵐
戸井
関田
齋藤
山﨑
(敬称略)
群馬工業高等専門学校 校歌
作詞 佐藤 春夫
作曲 信時
潔
桑園ひらけて わが校舎
ひろ野を囲む 群嶺よ
雲の面帕 ぬぎはらい
見ずや我らが この学び
たくみいみじく 明き人
これぞ
正門横にある校歌記念碑
-5-
我らが理想なる
教育研究支援センター 組織図
校 長
センター長
副センター長
(教員:教授)
(技術長)
第一技術グループ
第一技術グループ長
・物理
副センター長
・機械工学
(教員)
・環境工学・都市工学
第二技術グループ
第二技術グループ長
・電気・電子工学
・情報工学
・化学・物質工学
・生物・生物工学
教育研究支援センター メンバー構成
センター長
副センター長(技術長)
第一技術グループ
戸井(教授)
関田(技術専門員)
グループ長 齋藤(技術専門職員)
関口(技術専門職員)
須永(技術専門職員)
副センター長(教員)
宮本(技術専門職員)
五十嵐(教授)
岡本(技術職員)
山﨑(技術職員)(嘱託)
佐藤(技術補佐員)
第二技術グループ
グループ長 小城(技術専門職員)
荻野(技術専門職員)
加藤(技術専門職員)
森田(技術専門職員)
大塚(技術専門職員)
大木(技術職員)
田部井(技術職員)
大野(技術補佐員)
-6-
新任者紹介
着任のあいさつ
群馬高専 教育研究支援センター 大木
みなさんはじめまして。本センターの年報は今号が創
刊号ですので、手に取ってくださった方全員がはじめま
してかと思います。
あらためまして、平成22年4月1日付でこちらに着任しま
した大木
省 略
です。よろしくお願いいたします。
こちらに来る前までは、茨城大学で学生をしていまし
た。専門は情報工学で、中でもソフトウェア工学の分野
で研究をしていました。
主に扱っていた言語は Java ですが、VC++なども多少は扱えます。最近では、モバイル向
けで VC#を利用して WindowsMobile のプログラムを書いていたりします。
専門は情報工学ですが、手指を動かすことが好きで工作も得意です。なかなか機会はありませ
んが、工作機械の扱い方も勉強したいと思っています。
趣味は、自転車でシーズン中は週末に遠出をすることもしばしばです。特技は何かを作ること
で,工作に限らず料理や自転車,PC,車いじり等雑多にこなします。最近では,何かを作ると
いう行為自体が好きなのではないかと思っています。
今年は、仕事に慣れることで精いっぱいでしたので、来年はいろいろなことにチャレンジして
いきたいです。
最後になりましたが、研修などで皆さんと顔を合わせる機会もあるかと思いますので、その際
にはよろしくお願いいたします。
-7-
事 業 報 告
各種セミナー報告
公開講座報告
研修報告
校外出前授業「サイエンスウィーク2010」
第二技術グループ 荻野
、田部井
概要
場所:群馬県生涯学習センター
日時:平成 22 年 7 月 27 日~28 日
スタッフ:教員1名、事務職員1名、技術職員 2 名
群馬県生涯学習センターの主催する科学イベント「サイエンスウィーク 2010」で、群馬高専の他、大学
や県機関がブースを構え、子供たちに科学実験を体験させるイベントです。本年で 4 年連続の参加に
なります。
本校では「イクラをつくろう」と企画し、行いました。
開講式の様子
群馬高専のブース
事前の準備で、イクラの元となる、1.5%アルギン酸ナトリウム水溶液と固める溶液(7%塩化カルシウ
ム溶液)を各5L 程用意して行きましたが、盛況で、不足となり急遽追加となりました。
体験者数:325 人
支援日数:事前準備 2 日、実施日数 2 日、片付け 1 日
出張や授業の関係で荻野 1.5 日、田部井 1.8 日の支援でした。
-8-
体験授業報告
第一技術グループ 岡本
実施期間: 平成22年8月19日~20日
支援者: 関田
宮本
、関口
、加藤
、小城
、大木
、荻野
、田部井
、
、岡本
対象者: 群馬高専入学希望の中学生
1.支援について
本校では、群馬高専入学希望の中学生を対象に、毎年各学科の特色を生かした実習作業等の授業
を行う、体験授業を実施しています。
本年度も 8 月 19 日~20 日の 2 日間開催され、2 日間で多数の中学生に参加して頂きました。
我々、教育研究支援センター職員も、各学科の教員からの支援依頼を受けまして、各センター職員が
自分の専門性に沿ったテーマへ支援に行き、教員の補助として、体験授業で中学生への指導に携わり
ました。
本年度の体験授業の支援状況を下の表に示します。
平成 22 年度体験授業支援状況
実施学科
テーマ
支援者
一般教科(自然科学)
波の物理
機械工学科
コンピュータで機械モデルを作ってみよう
関田・関口
レーザーでネームプレートを作ってみよう
岡本
モータ製作
加藤・小城
電子回路のコンピュータ制御
加藤・小城
電子メディア工学科
電子情報工学科
チャレンジ電子工作
チャレンジプログラミング
大木
物質工学科
植物の色素を分離してみよう
荻野・田部井
環境都市工学科
水源県群馬の水質と生き物を考える
材料の不思議なパワー
宮本
-9-
2.支援内容について
体験授業の詳細を、私が支援を行った“レーザー
でネームプレートを作ってみよう”で説明していきま
す。
このテーマは、中学生 10 名を対象とした授業で、
まず初めに機械工学科櫻井准教授より中学生に対し
て、レーザー加工についての簡単な内容の講義があ
りました。
続けて、レーザー加工で行うネームプレートのデザ
インを、CAD ソフトを使用して作成しました。
中学生は CAD を使用するのが初めての為、デザイ
ンをスケッチする前に、スケッチ方法についての説明
レーザー加工機の操作説明をする筆者
を少し行いました。
デザインは、50×30(mm)の寸法の枠を
描きその枠の中に自分の名前のテキストを、
各自が好きなフォントを決め枠の中心に名
前を貼り付けて、ネームプレートデザイン
を完成させます。
そのデザインを基に、CAM ソフトを使用
して加工プログラムを作成しました。
最後に加工プログラムを用いて、レーザ
ー加工機でステンレスの 1mm の板を加工
して、ネームプレートの製作を行いました。
(完成品は左図を参照してください。)
レーザーネームプレートのサンプル
3.まとめ
この体験授業の“レーザーでネームプレートを作ってみよう”は、定員の 10 名はちょうどいい人数です
が、授業時間が 2 時間 30 分~3 時間程度と時間が短く、レーザー加工用の CAM ソフトが 1 つしかない
ために、10 名分の加工プログラムを作成するのが困難なため、こちらで用意しておいたデザインの加工
を行いました。(中学生デザインのネームプレートは、後日こちらで加工を行い郵送いたしました。)
それなので、自分がデザインしたネームプレートが実際に形として出来上がるまでの過程が味わえず、
少し中学生に対して残念な事をしてしまった感じがあります。
しかし、中学生はレーザー加工機を見るのは初めで、実際に機械に触れて加工も行ってもらい、金属
の板が切断されていく工程を目にして、少しは機械工学科の体験授業を満足していただけたのではな
いかと思います。
最後に、この体験授業を通して、体験した中学生が少しでも群馬高専を理解して頂き、志望校の 1 つ
として挙げて頂ければ幸いです。
- 10 -
「ものづくり人材育成講座」の技術支援について
第二技術グループ 森田
、大木
1.はじめに
平成 22 年度は「モノ造りと組込み制御システムを通じた若年技術者のためのモチベーションアップ講
座」と題して平成 22 年 9 月 9 日から 17 日にかけて計 5 講座が開催された。
それらのうち、「組込みシステム講座-マイコン・C 言語制御」13,14 日 9:30~17:00 および「組込みシ
ステム講座-組込ハードウェア」16,17 日 9:30~17:00 の 2 講座について、森田と大木が技術支援業務
を行ったので報告する。
2.事前準備
まず「マイコン・C 言語制御」の開催前の事前準備として以下を行った。
① ソフトウェアインストール(大木)
ソフトウェアインストール作業では、パソコンで作成したプログラムのコンパイルと、ロジックボードへの
ダウンロードを行うためのソフトウェアをインストールした。
作業は 14 台(参加予定者数 12+予備 2)に対して行い、必要なソフトウェアのインストール、及びロジ
ックボードとの接続デバイスの認識確認までを本作業で行った。
実際にロジックボードを接続しての基本的な動作確認は後日最終確認の際に行った。
ソフトウェアインストール作業には約 3 時間を要した。
② パソコン操作指導(森田)
③ 実習ボードの作成(おもにハンダ付け)(森田)
実習ボードは 15 枚作成した。図 1 にその部品一覧、図 2 に
作成した実習ボードを掲載する。実習時には図 3 のように液晶
表示部を接続する。
実習ボード 1 枚のハンダ付け部品点数は 148 個、ハンダ付
け箇所は 949 個、その他 IC やツマミなどの部品が 15 個であっ
図 1:部品一覧
た。作成には約 44 時間を要した。
図 3:実習ボード(表示部有)
図 2:作成した実習ボード
- 11 -
④ 最終確認作業 12 台(森田、大木)
講座開催前に以下についての最終確認作業を講師と共に実施し、約 1.5 時間を要した。
・講座で使用するファイルのコピー
・ソフトウェア・ツールの動作確認(コンパイル~ダウンロード)
・実習ボードの動作確認
「組込ハードウェア」については前年の講座時に作業を行っているため、今回は特に準備作業はなかっ
た。
3.当日の支援
次に当日行った技術支援の報告を行う。なお「マイコン・C 言語制御」は森田が「組込ハードウェア」は
大木が担当した。
電子情報工学科学生以外が実習室の端末を利用する際には、専用のアカウントで管理されており、
セキュリティ上周知はされていない。
したがって、当日の支援業務では講座開始前にパソコンの起動(参加予定者数12+予備2台)、及
び専用アカウントでのログオン(参加予定者数12台のみ)を行い、以上の理由から不測の事態に対応
するため講座中は待機していた。
4.講座風景
最後に当日の講座風景を掲載する。
図 4:講座風景Ⅰ
図 5:講座風景Ⅱ
以上。
- 12 -
第 9 回関東信越地区国立高専技術長等会議報告
(平成22年9月7日~8日)
教育研究支援センター 技術長 関田
今年度(平成22年度)の関東信越地区国立高専技術長等会議は木更津高専で9月7日・8日の2
日間にわたり開催されました。この会議は各校の技術教育に携わる技術職員の代表者または技術職
員の会議です。開催場所は参加の各高専が当番校として提供してきており、前回の小山高専による
開催で一巡したことになります。この会議は前回まで「技術室長等会議」の名称で行われていたもの
ですが、技術長制度が発足したことと相まって今回より名称変更がはかられ「技術長等会議」となった
ものです。関東信越地区の7高専から15名の参加があり、木更津高専の技術職員の多くがオブザー
バーとして加わりました。
会議日程は1日目午後より工藤学校長の挨拶から始まりました。続いて鴇田教育研究支援センタ
ー長挨拶そして青木事務部長の紹介と進み、議長選出後、4題の協議題についての討議に入りまし
た。協議題は具体的に、群馬高専・木更津高専からの「技術長等会議の申し合わせ事項について」、
長岡高専からの「技術長の任期制についての各校の実態について」および「技術資料の蓄積につい
て」、群馬高専からの「技術職員の職務範囲について」です。それぞれの協議において活発な意見
交換が行われました。提案された申し合わせ事項も了承されました。また、既定の協議題にはありま
せんでしたが、国立高専関東信越地区の校長会議で配付される資料「23年度会議開催当番校一覧」
の中に技術長等会議を1項目つけ加えていただくため申し入れすることも全会一致で決議されました。
協議題について様々な角度から議論を重ねることができ、議長から意見の集約が述べられました。そ
の後休憩を挟んでから、議題は承合事項に移りました。4高専から事前に提出された7項目にわたり、
それぞれ各校の回答と会議での補足説明およびそれについての質疑応答がありました。各高専から
の現状報告を経て、議事録を残さない話題の座談会が行われました。話題は長岡高専、群馬高専と
長野高専から3件提供されたものですが、時間の関係で 1 件についてこの時間で取り上げ、残りは翌
日に回すことで1日目の討議は予定どおり夕刻に終了となりました。
省
省 略
略
1日目会議終了後は、会場を移し恒例の情報交換会が宿泊先のホテルで開かれ、日常の活動の
話題・自己紹介等、議題等を織り交ぜての語らいで大いに盛り上がり時間の過ぎるのも忘れるぐらい
です。非常に有意義な情報交換会が行われました。各高専の方々との繋がりが一層強くなったと感じ
ます。この会場のホテルは木更津駅より西へ徒歩 10 分のところに位置して、中庭中央に池のある雰
囲気のあるホテルですが、中国人と思われるお客も多かった印象がありました。
- 13 -
日が変わり、2日目午前の最初は前日に時間がとれなかった議事録に残さない話題 3 件のうち残り
2 件についての座談会が行われました。提出校より提案理由が述べられた後に各高専からの話を聞
きました。それぞれいろいろな状況等が報告され意見交換がおこなわれ、座談会が終了しました。議
長の円滑な議事進行により、討議自体の日程は終了となりました。
討議に続いて全日程の最後には、校内施設見学が行われました。ネットワーク情報センター、電気
電子工学科、環境都市工学科の研究室そして実験実習センターの順で案内されたのですが、気が
付いたことがあります。木更津高専の1学科研究室実験室等の配置は一つの建物内にひとまとめで
設置されていません。それぞれの建物に分かれ設置されています。例えば機械工学科の流体実験
室と環境都市工学科の水理が隣接して設置されています。これは水を大量に扱う実験室を一か所に
することで設備を効率的に設置できるということのようです。実習工場もしっかりした建物一階に設置
され設備もいいようです。今後の参考になるかもしれません。なお、次回(平成23年度)会議は長岡
高専による開催になります。
第9回技術長等会議開催にあたり金井技術長、白井技術専門員(議長)をはじめ木更津高専技術
職員・関係者の皆様方のご尽力をいただきました。おかげで貴重なたくさんのご意見、資料そして議
事要録を得ることができました。この場を借りて御礼申し上げます。
- 14 -
教育研究支援センター出張実績一覧
氏名
関田 出張期間
齋藤 小城 加藤 宮本 駒沢オリンピック公園総合運動場
ロボコン2010地区大会応援
体育館
09/02~09/03 オムロン株式会社
制御機器入門セミナ参加
株式会社ヤマザキマザック美濃
加茂製作所
平成22年度関東信越地区国立高等専門学校技術職員研修会に
出席するため
10/28~10/28 東京ビックサイト
教育の為の最新工作機械の視察
07/08~07/09 オムロン(株)
制御機器入門セミナ受講
日本大学生物資源科学部 神奈
平成22年度日本水産学会春季大会参加
川県藤沢市亀井野1866
07/27~07/28 群馬県生涯学習センター
出前セミナー
07/28~07/31 北海道大学クラーク会館 他
第26回大学等環境安全協議会技術分科会/施設見学会
09/09~09/09 群馬大学工学部
技術発表会出席
11/25~11/26 横浜国立大学
第28回大学等環境安全協議会総会・研修会
03/08~03/09 木更津工業高等専門学校
第1回技術教育発表会に出席
09/14~09/17 長崎大学
第71回応用物理学会学術講演会に出席のため
09/22~09/22
産業技術総合研究所 臨海副都
第295回 炭素材料第117委員会に出席のため
心センター 別館11F
10/03~10/10 Maison de la Chimie, Paris, FR
国際会議ICRP-7/SPP-28/GEC-63に出席のため
12/02~12/03 姫路市民会館
第37回 炭素材料学会年会に出席して講演発表を行うため
03/08~03/09 木更津工業高等専門学校
技術教育発表会出席のため
森田 国立オリンピック記念青少年総合
平成22年度国立高等専門学校機構情報関連説明会
センター
08/18~08/20 長岡技術科学大学
06/03~06/03
大塚 06/09~06/11
03/28~03/29
東日本地域高等専門学校技術職員特別研修会
国立オリンピック記念青少年総合
平成22年度国立高等専門学校機構情報関連説明会
センター
06/04~06/04 東京工業高等専門学校
田部井 工業高等学校・高等専門学校工作機械指導者研修会参加
09/15~09/17 長野工業高等専門学校
06/02~06/02
大木 第9回関東信越地区国立工業高等専門学校技術長等会議
高専ロボコン2010全国大会応援
03/28~03/29
荻野 用務内容
11/21~11/21 両国国技館
08/05~08/06
岡本 用務先
09/07~09/08 木更津工業高等専門学校
10/24~10/24
関口 平成22年1月~平成22年12月
平成22年度国立高等専門学校機構情報関連説明会
国立オリンピック記念青少年総合
初任職員研修会に参加のため
センター
近畿大学本部キャンパス
環境・安全シンポジウム2010
07/27~07/28 群馬県生涯学習センター
出前セミナー
07/29~07/30 北海道大学
第26回大学等環境安全協議会技術分科会
09/09~09/09 群馬大学 工学部
群馬大学工学系技術部発表会
11/25~11/26 横浜国立大学
第28回大学等環境協議会総会・研修会
- 15 -
教育・研究に関する活動報告
教育支援報告
研究報告
技術報告
技術報告「廃液・廃棄物の分類と変化」
教育研究支援センター 第二技術グループ
荻野
はじめに 群馬工業高等専門学校は昭和37年に国立高専の一期校として、機械工学、電気(現電子
メディア)工学、土木(現環境都市)工学の3科で開講され、4年後に工業化学(現物質工学)科、さらに
電子情報工学科及び専攻科が設立され、現在、5学科と2専攻学科の学生及び教職員総数 1300 名余
りの学校である。本学は、工学を主体とするため、産業廃棄物として廃棄できない、特殊廃棄物が少量
ではあるが多様に排出される。その処理方法は、本学廃液処理施設設置されていたときは自前処理
を、その後は外部委託処理を行ってきた1)2)。今回は、それらを踏まえ、ここ数年の群馬高専における
特殊廃棄物の現状について検討を行うとともに、本学でもまだ、全教職員に廃液および廃棄物の処理
の現状がいきわたっていないと感じるので、これを機に何かしらの参考になるようなを報告したいと考
えている。
廃棄物の現状 本校の廃棄物は大きく
Table 1 特殊廃棄物 廃液の分類
一般廃棄物、産業廃棄物、リサイクル廃棄
有機系
物、特殊廃棄物の4つに分類されている。
記号
一般廃棄物や産業廃棄物、リサイクル
無機系
内容物
記号
内容物
A
一般有機廃液
F
水銀系廃液
B
含ハロゲン系
F-1
無機水銀
B-1
塩素、臭素、ヨウ素
F-2
有機水銀
B-2
フッ素
F-3
砒素等を含む水銀
C
有機シアン化合物
G
砒素化合物
特殊廃棄物については、化学系や環境
D
含硫黄化合物
H
重金属廃液
系の薬品を常時使用する教職員はそれな
E
難燃性有機廃液
H-1
カドミウム、クロム、鉛等
りに理解をし、分別回収を行っているが、
E-1
含水有機廃液
H-2
銅、マンガン、鉄、ニッケル等
わずかしか使用しない教職員においては、
E-2
機械油
I
シアン系廃液
その処理に戸惑い、事務部への問い合わ
E-3
動植物油
I-1
シアン化合物(>pH=11)
せが年に数件ある。そこで本校の廃液廃
E-4
シリコン油
I-2
シアン錯体
棄物について理解をしていただくため。
E-5
その他
J
フッ素、リンを含む無機廃液
特殊廃棄物は Table 1 のような分類で分別
K
写真廃液
されている。
L
強酸、強塩基
L-1
酸
L-2
アルカリ
廃棄物の一部(生活廃棄物の缶やペット
ボトル、古紙)は、専門のスタッフが廃棄を
行ってくれている。また、リサイクル廃棄物
指定の家電品は排出者が指定場所に廃
棄する仕組みになっている。
大分類(定義)
実験廃液-実験廃液及び二次洗浄水まで
固形廃棄物-濾過時の残サ、沈殿物、スラッジ
試薬廃棄物-試薬廃液-購入時の濃度のもの、他の物を含まない
固形試薬-購入時のままの固形試薬
その他
尚、その他とは、実験系のみならず、文化祭で使用した油や、日用生活品で処理の難しい物も該当す
る。(例、ペンキ、スプレー缶、てんぷら油、グリース等)
- 16 -
最近、本校の廃液・廃棄物管理施設に搬入された特異的な廃棄物を Table 2 に示した。一般廃棄物
や産業廃棄物で処分できないため搬入されており、これらの廃棄物は少量ではあるが、表のように、
順次処理を行っている。
Table 2 指定特殊廃液以外の廃棄物(一例)
種類
排出者
用途
容量
数量
サラダ油
学生会
文化祭
20L
2本
ペンキ(油性・缶)
学生会
文化祭
小・大
12 本
ペンキ(油性・スプレー)
学生会
文化祭
シャーシーグリース(半固形)
機械工学科
実習
シャーシーグリース(半固形)
機械工学科
アルカリ土壌
環境都市工学科
水銀体温計
保健室
オリゴ入り牛用肥料
物質工学科
研究
アスファルト
環境都市工学科
実験
処理方法
業者委託
固化後産廃
6本
再利用
2.5Kg
2本
固化後産廃
実習
16Kg
1缶
固化後産廃
研究
バケツ(20L)
3個
業者委託
14 本
業者委託
5L
2本
業者委託
18L
3本
固化後産廃
廃棄物の量と種類の変化とその対応 処理業務を開始した昭和56年から平成14年までは、年平均
で 1,500L 程の廃液を処理、または業者委託をしていた。3) Table 3 に平
成21年度に処理をした廃液量を示したが。ここ数年では処理量は年間
2,000L~2,300L と過去に比べ増加している。これは、廃棄物の関係法規
が厳しくなり、廃棄薬品の回収率が高まったこと、また、学生に対しては、
Table 3 平成 22 年度
廃液処理量
液体
有機系廃液
998L
り、廃液量は増加しているものと思われる。廃液処理経費は、20L 当たり 無機系廃液
1256L
実験の注意事項で二次洗浄水までの徹底回収を教育しているなどによ
の処理費が 3,000 円前後であるので、経費の増加は誤って廃液を流出さ
せた際の処理費に比べるとはるかに小額なため、この程度の負担は仕
個体
シリカゲル
11.9Kg
方がないことだと思っている。
近年では廃棄物の種類の多様化が、実際に現場で従事している実務者の悩みの種の一つである。
化学の進歩により、新しい物質ができたり、分析機器の高度化や他大学で発生した事故で、それまで
はなんら危なくなかったものが、急遽、毒物指定や特別管理物質になってしまったりしてしまう。実際に、
近年ではアスベストやホルムアルデヒドなどは規制が厳しくなっており、その取り扱いにはかなり注意し
なければならない4)。
また、わが校は、生物教育連携センターの設置
等により生物系の教員が増加しており、注射針の
使用も見られるため、平成 21 年度に注射針処理
システム装置も購入した(Fig.1)。一年間で 35 本ほ
ど処理をしており、数は少ないが処理を依頼するよ
りも短時間で処理ができるため便利である。
貸出廃液タンクの容量も、当初は 20L か18L タ
ンクのみであったが、研究室や実験室が手狭なと
- 17 -
Fig.1 注射針処理の様子
(下:処理前
上:処理後)
ころが多く、分類分のタンクが置けない等の悩みを解決するために、Fig.2 に示す様に 20(18)L、10L、
4L、2L と排出される量に合わせたタンクの貸し出しを行うことにした。また、タンクの受け皿やロ―トも
用意した(Fig.3)。年間2回のタンクの搬入、貸出日を設定することによって、古いタンクの破損等が激
減した。また、これまで作業実務者が 1 名であったが、某大学で起きた有毒ガス発生吸引事故を教訓と
して、2名体制となったため、もしもの時の安心感が加わり、現場で働く実務者としては心強い。
Fig.2 廃液タンクの種類
Fig.3 受け皿とロート
おわりに この仕事に携わって17年。やはり大きな変化は
独立行政法人化ではないであろうか。それまでは、廃棄物
の扱いも毒劇物取締法、消防法を見ていればよかったが、
独法化で、事業所扱いになったため、労働安全衛生法など
の法規がのし掛かってきた。実際に資格(特別管理産業廃
棄物管理責任者)がないと強酸・強アルカリの保管、PCB
の保管、医療廃棄物の保管管理等ができなくなってしまう。
また、先に述べたが廃棄物や廃液の多様化が処理実務者
にとっては悩みの種になっているのが現状で、日々、法規
集やインターネット、学会誌を覗いている始末である。幸い
、大学等環境安全協議会実務者連絡会に所属しているの
Fig.4 実務者の服装
で、そこのネットサイト SNS でわからないことを投げかけると各方面(大学や研究所)から返事が返って
くる。そのような全国ネットの良い仲間に恵まれており、平成14年には大学等環境安全協議会技術賞
を受賞することができた。これらのことを糧に、今後も環境保全のために廃液処理業務に従事していか
なければならないと思いつつ今回の報告を終わりにする。
参考文献
1) 井野 他、:群馬工業高等専門学校の廃液量、群馬高専レビュー、17 (1999)。
2) 井野 他、:無機系廃液処理と教育、群馬高専レビュー、17(1999)。
3) 荻野和夫:群馬工業高等専門学校の廃液処理、大学等環境安全協議会報、20(2003)。
4) 武藤 他、;国立大学法人におけるホルムアルデヒドの作業管理及び作業環境管理について、環
境と安全、1、(2010)。
- 18 -
総合もの作り体験授業「鋳物キーホルダー製作」に携わって
教育研究支援センター 技術長 関田
1.
はじめに
平成21年度より「鋳物キーホルダー製作」の実習を
担当しています。これについて簡単に報告します。この
実習は、全学科1年生を対象とした「総合もの作り体験」
という科目の中で実施されているものです。内容はその
名が示すように、キーホルダーの製作です。科目自体
は、低学年が従来の混合学級へと変わってスタートする
のにあわせ、平成18年度に開設されました。前任者の
異動に伴い、私は途中から担当となっています。
実習課題は鋳物・レリーフ・歯車の3つありますが、
時間の関係であらかじめ班分けをし、各課題へと学生を
割り振っています。私の担当の鋳物は、学生約12名に
対して2名の技術職員が担当します。実体験により機械
図 1 鋳造を行う砂場
加工技術の基礎を学んでもらうことが第一ですが、もの
づくりの楽しさを感じてもらうこともまた大きな目的です。
2.
授業内容
授業は2週からなります。大まかに言えば、1週目は型込め作業、2週目は磨きです。アルミ合金を高
温で熱して液体にし、砂型に流して(注湯)冷やし固める砂型鋳造法を実施します。以下、順を追って
実施内容を述べます。
1週目は、湿った砂に原型を押し込んで上枠と下枠を2つつくる作業を行います。これが注湯のため
の型込め作業です。一組の型込めで学生2人分の型ができるので、1週目の型込め作業は学生2人一
組の共同作業です。型込めの原型には、前任者が NC マシンでアクリル樹脂から削り出し加工した校章
の形のものを用意しています。湯道を切り原型を抜き取る時は繊細な砂の形を崩さないよう慎重かつ丁
寧に神経を集中します。この原型を型込めした砂の固まりから抜き取れば、後に残った砂型の空洞に注
湯して目的物を作ることができます。なお、実際に注湯するのは、数日間の乾燥をさせてからです。注
湯後にも待ち時間等が必要なため、計2回の実習では学生が自ら注湯することは困難であり、流し込み
については職員による実演の見学をしてもらいます。まず電気炉のるつぼの中約 700℃で溶解したアル
ミを観察してもらい、学生が見守る中で実習担当者が自ら作った砂型へ注湯します。少し冷えてからは
砂型を崩して内部の様子を確かめてもらいます。
2週目は、学生が自らの砂型を崩し、職員が予め注湯して冷え固まっている鋳物の部分を取り出す
ところから始まります。2つの校章部は流したアルミで互いにつながっているので、弓ノコで切り離します。
あとは各自が鋳物の切断面、周りの鋳バリを鉄工ヤスリで取り除き、さらに紙、布ヤスリ、研磨剤で磨き仕
上げます。最後にボール盤での穴あけ作業で完了です。
- 19 -
3.
支援の実際
両手を使って素手で砂込め作業をやってもらいますが、泥臭い作業です。砂を型枠にしっかりと詰
めるため指を立てて行うように指導しますので、爪の間には否応なく砂が入ります。できれば避けたい作
業かと予想していましたが、男子ばかりか女子学生も一生懸命に取り組んでいるのには感心しました。
特に夏は汗を拭き拭きになるなど苦労します。注湯済の砂型を各自が開けた時は、鋳物の出来栄えで
一喜一憂している姿を見ます。やすりがけで鋳物を手仕上げしている最中、光沢を帯びてくるのでちょ
っと喜んでいる姿もみかけます。授業時間が終わっても本人が納得のいくまで磨きに集中し続け、没頭
しているかのように見える学生もいます。完成後に刻印して自分のバッグ等につけて、ほっとしている場
面もあります。
以上のように、ものづくりの楽しさを味わってもらうこと
にはかなり成功していると思いますが、職員の裏方作業
にはなかなかの困難があります。ひとつは、砂の水分調
整です。この鋳造法では砂の湿り具合を良い状態に維
持しなければなりません。乾き気味だと原型の抜き取り
で細かな部分が崩れやすくなる一方、水分が多いと注
湯時にアルミ合金の熱で発生した水蒸気で生地表面が
でこぼこになったりするからです。砂にまんべんなく水を
撒いてよくかき混ぜ,全体に適度の湿り気を持たせるの
ですが、手で握ってみても頃合いはなかなか分かりにく
図 2 鋳造に使われる道具等
いです。しかも授業日が月曜なので,前週の金曜夕方
に準備をする際には迷いがあります。土曜日曜の天気次第で砂の湿り気が大きく変わるからです。
他には、学生が作った砂型へ2週目までの間に注湯するとき神経を使います。毎回祈るような気持ち
で作業します。学生が丹精込めて作った砂型を失敗させては申し訳ないと思うからです。学生の作った
合計6個の砂型にお玉のような器具で溶けたアルミ合金を1つ1つ流し込むとき、中の様子は見えませ
んが、隅々まで行き渡るよう祈る思いです。時には砂型の水蒸気でぼこぼことアルミが音をたてます。う
まくできるかどうかは砂型の湯道の形状・傾斜・大きさ・気温・湿度等の様々な要因が微妙に影響するよ
うです。乾燥しすぎると砂の塊がずれそうになることもあります。
4.
おわりに
近年の機械工学科の授業では鋳物の実習が姿を消し、学生が鋳物を体験するのはこの科目だけで
す。実習では、全体的にこれまでに蓄積した設備工具類を使います。鋳物実習室は実習の部材製作な
どに活用されています。実習室内に一歩入れば高専の半世紀にわたる長い歴史が感じられ、昭和時代
の工場の雰囲気もあります。壁にはこれまでに作られた数々の鋳物作品が置かれています。そんな雰
囲気の実習室で砂型の製作を学生が椅子に坐りながら作業できるようにと、定盤を載せるテーブル7台
を平成21年度から実習担当者達の手作りで用意しました。また、現状では学生にとって注湯は見学だ
けですが、本当はそれも学生の手でやれればと思います。平成23年度の授業では更に安全に気を配
りながら、学生自ら注湯出来るようにする計画です。今後もその他の改良に努めていきたいと思っていま
す。
- 20 -
- 21 -
- 22 -
- 23 -
- 24 -
研究活動報告
平成 22 年 1 月~平成 22 年 12 月
◎雑誌論文等
発表者名
荻野
発表題目
国立大学法人にお
雑誌名
環境と安全
頁数
P43~49
掲載号等
共同発表者等
第 1 巻・第 1 号
武藤 、榊原
けるホルムアルデ
、進藤 、中村
ヒドの作業管理及
、鈴木
び作業環境管理に
浦
ついて
、太刀掛
、坂下
井
、箕
、浜
、秋吉
、鈴木
、平
◎口頭発表
発表者名
発表題目
発表機関
発表
要旨収載誌
大会名等
年月日
名及び頁数
松本
, 加藤
,
プラズマによるナノニードル
第 71 回 応用
平成 22 年
2010 年秋季
太田
, 大手
,
の各部位の構造と生成過
物理学会学術
9 月 14 日
<第 71 回> 応
程
講演会
(火)
用物理学会
微小な入口から狭い閉塞空
平成 22 年
学術講演会
間に導入されたプラズマ構
9 月 15 日
講演予稿集
成要素の挙動
(水)
DVD-ROM
安田
小林
,松本
加藤
,大手
,
狩野
,鈴木
,
低温プラズマによって炭素
平成 22 年
加藤
,太田
,
材料表面に形成される微細
9 月 16 日
大手
,安田
針状構造
(木)
清水
, 狩野
,
各種プラズマによる炭素材
平成 22 年
鈴木
, 加藤
,
料表面におけるナノサイズ
9 月 16 日
大手
, 安田
突起の生成
(木)
鈴木
, 狩野
,
プラズマにより形成されるカ
平成 22 年
加藤
, 太田
,
ーボンナノカリフラワーの解
9 月 17 日
大手
, 安田
析とその構造変化による色
(金)
彩特性
- 25 -
Katoh,
Movement of Plasma
ICRP-7/SPP-2
th
平成 22 年
Bulletin of
10 月 5 日
the American
(火)
physical
Kobayashi,
Components Thrown from a
8/GEC-63 (7
Matsumoto,
Small Slit into a
Internationa
Shimizu and
Cylindrical Container
l Conference
society
on Reactive
GEC2010
Ohte
Katoh,
Kano,
Suzuki,
Ota,
Ohte and
Yasuda
Formation of
Plasmas, 28
Nanosize-Needle and
th
平成 22 年
Vol.55,
Symposium on
10 月 5 日
No.7, p.55
Nanosize-Cauliflower on
plasma
(火)
63rd Gaseous
Carbon Surface with Cold
Processing
Electronics
rd
Plasma and its
and 63
Conference &
Applications
Gaseous
7th
Electronics
Internation
Conference)
al
Conference
on Reactive
Plasmas
CONRERENCE
PROCEEDUNGS
DVD-ROM
加藤
, 狩野
,
各種プラズマ処理により作
第 37 回 炭素
平成 22 年
第 37 回 炭素
清水
, 松本
,
成されたカーボンナノニード
材料学会年会
12 月 3 日
材料学会年
鈴木
, 太田
,
ルと FE による電子源への
(金)
会要旨集 pp.
大手
, 安田
榎本
,小澤
福島
,星野
荻野
,木村
長阪
,潮
影響
,
,
396-397
簡便な粒子画像流速測定
平成 22 年度
平成 22 年
講演要旨集
法の開発
日本水産学会
3 月 26‐30
p5
春季大会「高
日
,
(東京海
校生・中学生
洋大学)
による研究発
表会」
荻野
,田部井
長阪
,潮
,
(東京海
完全自立型上昇流発生装
平成 22 年度
平成 22 年
講演要旨集
置の開発
日本水産学会
3 月 26‐30
p221
春季大会
日
一般教養における化学実
第 9 回群馬大
平成 22 年
技術発表会
験の運営
学工学系技術
9月9日
予稿集
洋大学)
田部井
辻
,荻野
,
発表会
- 26 -
p.24-25
資
料
群馬工業高等専門学校教育研究支援センター規則
(平成 19 年1月 16 日 規則第1号)
最終改正 平成 21 年3月 10 日
第1章 総則
(目的)
第1条 この規則は、独立行政法人国立高等専門学校機構の本部事務局の組織等に関する規則第
12 条及び群馬工業高等専門学校(以下「本校」という。)学則第 11 条の規定に基づき、本校
の技術支援組織及び所掌事項について定め、教育研究活動を支援する技術職員の業務を円滑か
つ効率的に実施するとともに、技術職員の能力、資質等の向上を図ることを目的とする。
第2章 技術支援組織
(教育研究支援センター及び技術グループ)
第2条 本校に教育研究支援センター(以下「センター」という。)を置き、センターに第1技
術グループ及び第2技術グループを置く。
2 センターに技術長、技術専門員、技術専門職員又は技術職員を置く。
3 技術専門員及び技術専門職員については、別に定める。
(センター長)
第3条 センターにセンター長を置き、教授をもって充てる。
2 センター長の任期は2年とし、校長が委嘱する。ただし、再任を妨げない。
3 センター長は、校長の命を受け、技術支援業務に関する学内調整を行うとともに、センター
の運営業務を掌理する。
(副センター長)
第4条 センターに副センター長を置く。
2 副センター長は、教員、技術長をもって充てる。
3 教員の副センター長の任期は1年とし、校長が委嘱する。ただし、再任を妨げない。
4 副センター長は、センター長を補佐し、センターの運営業務を処理する。
(技術長)
第5条 センターに技術長を置く。
2 技術長は、技術専門員、技術専門職員及び技術職員の業務を統括する。
(技術グループ長)
第6条 センターに技術グループ長を置く。
2 技術グループ長は、技術専門員又は技術専門職員をもって充てる。
3 技術グループ長は、
上司の命を受け、技術グループの管理業務及び技術研修業務を処理する。
第3章 所掌業務
(業 務)
第7条 センターにおいては、次の各号に掲げる業務を行う。
(1)教育研究支援計画の作成に関すること。
(2)学生の実験・実習等の技術支援及び技術指導に関すること。
(3)教育教材作成の技術支援に関すること。
(4)教員の研究活動に伴う技術支援に関すること。
(5)技術の研究、改善、継承及び保存に関すること。
(6)民間等との共同研究等に伴う技術支援に関すること。
(7)実験室・実習室等の整備、備品等の維持管理に関すること。
(8)その他の教育研究活動等に関する技術支援に関すること。
(技術グループ)
第8条 技術グループの所掌する技術分野は、次のとおりとする。
- 28 -
(1)第1技術グループ 物理、機械工学及び環境工学・都市工学
(2)第2技術グループ 電気・電子工学、情報工学、化学・物質工学、
生物・生物工学及びその他の技術分野
第4章 技術支援業務連絡会
(連絡会)
第9条 技術支援業務の円滑かつ効率的な実施に資するため、技術支援業務連絡会(以下「連絡
会」という。)を置く。
2 連絡会の議長は、センター長とする。
(構成)
第 10 条 連絡会は、次の各号に掲げる者をもって構成する。
(1)センター長
(2)副センター長
(3)技術グループ長
(4)一般教科長(自然科学)、専門学科長及び副専攻科長
(5)情報処理教育センター長及び地域連携テクノセンター長
(6)学生課長
(7)その他センター長が必要と認める者
(庶務)
第 11 条 連絡会の事務は、センターにおいて処理する。
第5章 技術研修
(技術研修)
第 12 条 センター長は、技術長、技術専門員、技術専門職員及び技術職員に、その職務遂行に
必要な知識及び技術等を習得させ、能力及び資質等を向上させる内容の研修に務めなければな
らない。
第6章 雑則
第 13 条 この規則の実施に関して必要な事項は、別に定める。
附 則
1 この規則は、平成19年2月1日から施行する。
2 群馬工業高等専門学校技術職員の組織に関する規則(平成12年3月7日規則第3号)は、
廃止する。
3 本規則制定後最初に任命されるセンター長の任期は,第3条第2項の規定にかかわらず平成
21年3月31日までとする。
附 則
この規則は、平成19年4月1日から施行する。
附 則
1 この規則は、平成19年12月11日から施行する。
2 本規則改正後最初に任命される教員の副センター長の任期は,第4条第3項の規定 にかか
わらず平成20年3月31日までとする。
附 則
この規則は、平成19年12月11日から施行する。
附 則
この規則は、平成20年4月1日から施行する。
附 則
この規則は、平成21年4月1日から施行する。
- 29 -
- 30 -
編集後記
長年の懸案だった年報をやっとの思いで刊行することができました。関係各位の多大なる協力
に深く感謝いたします。これからは毎年必ず刊行し、業務状況を記録していければと考えており
ます。
年報は刊行することそのものにも大きな意味はあります。しかし、それは一里塚としての意味
であり、それですべてが達成されたわけではないと思います。次に取り組むべきは、そこに盛り
込めるような題材を日ごろから如何にそろえていくかということでしょう。そのための足がかり
となってこそ、やっとの思いで刊行した年報に更なる意義を付与できるというものです。これを
機会として技術力を高め、高専教育のグレードアップに務めていければ望外の喜びです。
創刊にあたり、竹本校長先生、戸井センター長、関田技術長にはご多忙中の中、快くご挨拶を
いただき、誠にありがとうございました。また、投稿していただいた技術職員の方々に対しても
この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。
編集長 五十嵐 睦夫
教育研究支援センター
平成22年
発
行
群馬工業高等専門学校
:教育研究支援センター
発行年月日
:2011 年 3 月 31 日
編
:五十嵐 睦夫
集
年報
関口
宮本
岡本
〒371-8530
群馬県前橋市鳥羽町 580
TEL 代表 (027)254-9000
FAX 支援センター
(027)254-9084
URL http://www.gunma-ct.ac.jp/
http://www.tech.gunma-ct.ac.jp/
題
字
:山﨑
- 31 -
(支援センターHP)