2005年度号 - 大阪大学法学部同窓会 青雲会

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阪大法学部 青雲会会報 2005 年
(第 5 号)
平 成 1 7 年 5 月 3 0 日
編集・発行
青雲会(大阪大学法学部同窓会)
会 長 中 川 清 孝
事 務 局 : 〒 560 - 0043 豊中市待兼山町 1 - 6
大阪大学大学院法学研究科
地域研究交流センター内
T E L ・ F A X( 0 6 )6 8 5 0 - 5 1 9 8
E-mail:[email protected]
URL http://www.law.osaka-u.ac.jp/seiunkai
印 刷 : 株式会社ア ー ツ
みんなで青雲会を楽しみましょう!
ー 新会長あいさつ ー
会 長 中
本年 4 月1日から、宿前会長( 新制
12 期)の後を引き継いで青雲会会長に
川 清 孝(新制 15 期)
( 新制 3 期)を迎えてのもので、単に鉄道のみならず大阪の
将来を展望する興味ある内容になると思います。
会員の皆様の種々の行事参加により、お互い卒業生同士
就任致しました。
昨年の会報の座談会記事の中で、
ならではのざっくばらんな親睦の機会を通じていろいろな
宿前会長は「50 周年に当たると分かっていたら、ひょっ
縁が生まれるはずです。年代層が幅広く分布し、各界で活躍
としたら( 会長を)断っていたかもしれません( 笑)」と言っ
中の会員の集まりである青雲会の総会に参加することの意味
ておられます。逆に今年の私は、最初固辞していたのです
合いは特に大きいと思います。
が、お誘いを受けた方の「 今年は 50 周年も終わっているの
で( 会長も)特段難しいことはないから。」という 殺し文句
ところで今回の新たなスタッフの中で、特に平野鷹子さん
( 新制 17 期)に副会長をお願いしております関係上、今後
に乗って、
ついうっかり
「それなら」
と会長を引き受けてしまい、
は女性会員により多く参加して頂ければ本当にありがたいと
後で後悔するやら、そう言わせた相手の話術に感心するやら
思います。それに、どんな組織でも若い世代の活発な活動
です。
なくして組織は活性化しません。その意味で、若い世代にも
ところで、私は青雲会のお世話をさせて頂いた時期はあっ
たものの、もうずいぶん以前のことで、ここ何年間は青雲会
の運営にはまったく関与しておりませんでした。その間に
多く参加して頂きたいと思います。
青雲会は、
これから先、
昔はなかった
『法人化された大学』
、
『 法科大学院』という接点をどうしていくか、『ポスト50 周
青雲会組織は以前には考えられなかったほどの変容を遂げ、
年』等、大学について、あるいは大学との関係で考えていく
今や会員が 8,500 人を超え、女性会員の数も飛躍的に
べき議論や活動が多々あります。しかし先ずは現在行なわれ
増加し、活動内容も極めて多岐にわたっております。私のよ
ている会員参加の諸活動を一層活発にし、会員自身が諸行
うな浅学菲才の者がこのような組織の会長として適任か
事を楽しみ、自己研鑽し、そのような中で会員相互の結びつ
どうか分かりませんが、お引き受けした以上、青雲会のさ
きを深めると共に、一人でも多くの会員に年会費を納入して
らなる発展のために微力ながら頑張る覚悟を致しております。
頂くことで財政的な地盤を強固にする等、青雲会自体の
青雲会の事業内容に関しては、この会報の別稿もしくは
ホームページをご覧頂くとして、会員の皆様にはとりあえず
何らかの行事、催しにご参加頂きたいと存じます。
足元を固める必要があると思っております。
会長としての私は動き出したばかりでまだ暗中模索状態で
すが、幸い有能な副会長、幹事、事務局など強力な援軍に
先ず手始めに是非総会へのご出席をお勧めします。
支えられて新しい 青雲会列車 は順調に走り出しております。
ご案内の通り、今年は大阪大学の 聖地 とも言うべき
私も精一杯頑張りたいと思いますので、どうかご支援のほど
中之島の地に建つ『 大阪大学中之島センター』で行ない、
『 講演』も現在その目の前で工事中の鉄道の施工会社・
よろしくお願い申し上げます。
みんなで青雲会を楽しみましょう !
第三セクター『中之島高速鉄道』の代表取締役・伊藤貞男氏
INFORMATION
新 会 長 挨 拶 ……………………………………… 1 P
青雲会囲碁同好会 ………………………………… 6 P
2004 年 度 青 雲 会 行 事 報 告 …………………… 2 P
活躍する卒業生(1)歩きは狂歩楽々で! …… 7 P
さらなる国際化と社会連携をめざして……… 3 P
活躍する卒業生(2)国際交流から平和活動 … 8 P
21 世紀の法曹をめざして……………………… 4 P
活躍する卒業生(3)いま、法曹界が面白い ! … 9 P
16 年度総会報告 ………………………………… 5 P
総 会 案 内 ……………………………………… 10 P
東 京 支 部 だ よ り ………………………………… 5 P
50 周 年 募 金 収 支 報 告 ………………………… 10 P
名古屋支部だより ………………………………… 5 P
青雲会事務局からのお知らせとお願い …… 10 P
待兼会(15 期)還暦記念会 ……………………… 6 P
青雲塾のお知らせ……………………………… 10 P
留 学 生 イ ン タ ビ ュ ー …………………………… 6 P
青 雲 会 本 部 役 員 ……………………………… 10 P
新制 18 期の同期会の開催について …………… 6 P
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阪大法学部 青雲会会報 2005年(第 5 号)
2004 年青雲会行事報告
前年度会長 宿
1, 青雲会の皆様、私自身会長の任期の二年目を迎えた
2004 年度の行事報告をさせて頂きます。2004 年度は、
とにもかくにも青雲会( 阪大法学部同窓会)発足 50 周年
にあたり( 私自身はこの事を知らずに会長を引き受けまし
たので、大変な事になったと心から心配しました)、記念
事業として、募金活動を行いその金を青雲会及び大学の
ため有意義に使おうということになりました。会員の皆様
に御支援をいただき、又本年度はロースクールもできる
事でもあり、法曹関係者には特に無理なお願いを申しま
して、最終的には1430 万円の寄附金を集める事ができ
ました。誠にありがとうございました。その集まった金の
使途については、当初からの計画通り、
(1) 大阪大学大学院高等司法研究科(いわゆるロースクール)の立
ち上げのため、かなりの費用がかかるということで、1000 万円
の援助をすることにしました。ただ、その金が有意義に使用さ
れるため、その受け皿となる大阪大学大学院高等司法研究科
後援資金という財団を設立してもらいそれに対して、基金とし
て寄附をすることにしました。
(2) 又、記念事業の一環として、画家の疋田会員( 第 12 期)に絵
敏 幸( 新 制 1 2 期 )
(3) 留学生の援助( 年間 60 万円)
例年行っている留学生に対する支援として、本年は潘さん
( 中国の無賜市出身)に決定しました。非常に優秀、明朗な
方で心より喜んでいただいております。
(4) 懸賞論文について
本年も多数の応募があり、下記の通りに入選者が決まりまし
た。
(イ) 一等 京 俊介 君
10 万円
(ロ) 二等 田中 宣孝 君
7 万円
(ハ) 三等佳作 大森 裕一郎 君
3 万円
(いずれも力作で質の高い論文でした) (5) 勉強会として青雲塾(中村副会長担当)を年 4 回開催しました
が、今年も先輩方に貴重な内容の講義をしていただき、充実
した勉強会が行われました。
(6) 同好会として、次の二つがあります。
(イ) 囲碁の方は毎月1 回を定例的に集まってしており、毎回
楽しくやっております。幹事は11 期の神田会員です。今後もっ
と新会員の参加を頂きたいと考えています。
画出筆を依頼し、390 号の大作である「 黎明」を完成して頂き
(ロ) 又、ゴルフの方は年 2 回の開催をして、友好を深めてお
ました。今度入学してくる学生諸君に勇気と希望と理想を伝
ります。今後も多数の参加をお待ちしております。
えるべき雄大な作品です。取りつけ費用等一切を含んで 120
万円余りという本当に同画伯の実績からしてはご無理を頂いた
金額で、御了承いただきました。
(3) 事務局の事務機器が相当古くなってきたので、新しく近代的な
ものを購入するため200 万円を支出しております。
(4) 残りの金は郵送費・雑費などに使わせて頂きました。
(5) その他、和田会員(4 期)より絵画を贈呈いただいております。
2, その他
(7) 東京支部の総会には大阪より会長の宿が出席いたしました。
(8) 青雲会の運営に関しましては、年に数回の幹事会を開催し、
幹事の皆様のご協力により青雲会の維持・運営・発展に寄
与して貰っています。できましたら女性の幹事を増やしたいと
考えていますので、是非応募してください。
(9) 名簿発行について
四年ごとに発行することになっています名簿の発行(改訂版)
につきまして、現在、発行委員会を結成しております。会員
の皆様方については住所・職場の変更がありましたら、事務
(1) 会報の発行は例年通り行っており、会員の活動や青雲会の活
局までお知らせください。お待ちしております。又、名簿作成
動につき、情報の提供をさせて頂きました。色づり立派なもの
費用の主な財源となっております広告につきましては、会員の
をお届けできたと思っております。
皆様の御協力を切にお願い申し上げます。
(2) 総会の実施( 平成 16 年 7月10日 待兼山にて)
母校で久しぶりに総会を開催し、疋田画伯の講演をいただきま
した。そのあとの懇親会では会員相互の旧交を温めることが出
来ました。約 100 名近い会員の出席でした。尚、 例年通り
津田氏(5 期)よりビール等のアルコール類を寄贈いただいてお
ります。
3, 最後に、この二年間、非力な私ではありますが、皆
様のご支援、ご指導により、会長の任期をともかく全う
することができましたことを心からお礼を申し上げます。
3
阪大法学部 青雲会会報 2005 年
(第 5 号)
さらなる国際化と社会連携をめざして
大阪大学大学院法学研究科長
大阪大学法学部長
青 雲 会 名 誉 会 長 三 成 賢
同窓の皆様には、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
次(新制 28 期)
的なものではなく、相互的な、イコールパートナーシップ
日頃より同窓会の皆様には何かとご支援をいただき、深く
に基づいた交流活動が生まれつつあります。さらに、EU
(欧
感謝致しております。高等司法研究科( 法科大学院)と
州連合)との、社会科学分野の研究教育に関わる連携事
国立大学法人化が同時にスタートして早 1 年がたちました
業が、この4月から始まります。5 年間の予定で、大阪大学・
が、ご挨拶をかね、法学研究科・法学部の近況を報告さ
神戸大学・関西学院大学の 3 大学が共同して関西に EU
せていただきます。
インスティトュート
(通称 EUIJ)
を設立することになりました。
まず、法科大学院では、新司法試験の内容や合格者数の
大阪大学では、法学研究科・高等司法研究科が、経済学
割当数のことなど、まだ制度的に確定していない要素を残し
研究科と国際公共政策研究科と連携して、EU に関わる研
ながらも、新しい法曹の育成をめざし、教員も学生も一生
究教育の交流事業を計画し、促進することになっています。
懸命に教え、学んでいます。昨夏には、法学研究科と法
4月以降、大学の法人化に伴い、大阪大学の組織のあり
科大学院が協力して、学生がアメリカのロー・スクールで
方も大きく変わりました。学長ならびに理事・副学長で構成
受講し、
当地の裁判所や弁護士事務所等を訪問するサマー・
されるいわゆる
「 大学執行部」のイニシアティヴが強化され、
プログラムを企画しました。予想以上の多くの学生が参加
とくに予算配分や施設整備などに関しては、大学全体の観
し、学生にアメリカ法の現場を体験させるという点では、大
点から優先順位等が決められ、また総長裁量のもとでフレキ
きな成果を収めることができました。国際性をもった研究者
シブルな対応がなされるようになってきています。待っておれ
と法曹を育てていくためにも、今年はヨーロッパでも同じよ
ば自然に順番が回ってくるという状況ではなくなり、いかに大
うな企画を実現しようと、若手教員を中心に準備を進めて
学全体の利益に関わっているか、あるいは社会とどのような
いるところです。
かたちでリンクしているかを、部局として常に積極的にアピー
また、高等司法研究科では、平成 16 年度の法科大学院
等専門職大学院形成支援プログラムとして、教育高度化推
進プログラム
「科学技術リテラシーを備えた先端的法曹養成」
ルしていくことが求められているのです。
法学研究科・法学部にとっては、国際的にも国内的にも
外部との連携がますます重要な課題となっていくように思わ
(3 年間、約 1 億円のプロジェクト)が採択され、法学研究
れます。そして、そうした連携事業を進めていくことが、私
科と協力しながら、「 医療と法」などをテーマに総合的な研
たち部局の発展につながると考えています。しかし、学外と
究を進め、先端的な法領域の問題にも対応可能な法曹の養
のネットワークは、私たちだけで築けるものではありません。
成をめざし教育スキルの開発を進めています。
社会の様々な分野で活躍されている OB の方々のサポート
法学研究科では、昨年度から国際交流事業がますます
が、ますます必要となってきているのです。同窓の皆様方に
活発になってきています。昨年 9 月に中国・上海の華東
は、今後も引き続き、そしてますますいっそうのご支援なら
政法学院と交流協定を締結し、またフランスのトゥールーズ
びにご鞭撻を賜りますことを重ねてお願い申し上げて、挨拶
第 1 大学( 法学部)
とは交流協定締結に向けた交渉を行い、
にかえさせていただきたいと存じます。
6月には協定締結を行う予定です。とくに、アジア、とりわけ
中国との交流事業は、これまでのような相手方からの一方
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阪大法学部 青雲会会報 2005年(第 5 号)
21世紀の法曹をめざして
ご挨拶とご報告
大阪大学大学院高等司法研究科長 吉
青雲会の会員の皆様には、お元気でお過ごしのことと拝
察いたします。
さて、ご承知のように、大阪大学大学院高等司法研究科
は、昨年 4月、司法制度改革の一環として導入された新し
本 健 一( 新 制 2 0 期 )
身者が少ないと思われるかも知れませんが、入試日程が他
の法科大学院と異なった関係で、出願者を見ても京都大学
出身者が一番多く、むしろ合格率では大阪大学の方がよく
なっています。
い法曹養成のための教育機関であるいわゆる法科大学院と
4月1日から4日までの新入生オリエンテーションに引き続
して、大阪大学に設置されました。高等司法研究科の設置
き、5日から早速授業を開始しました。法科大学院では、
につきましては、大阪大学総長を始め大学全体の力強い
試験期間を除いて授業日数だけで半期 15 回を確保するこ
サポートがあり、また多胡圭一前法学研究科長のもと法学
とが求められ、休講があった場合は必ず補講をしなければ
研究科教職員一同の熱い熱意が、文科省など関係当局に
ならないため、第 1 学期定期試験が修了したのは8月の中旬
評価されたものと考えます。さらにまた、青雲会の先輩諸氏
でした。夏休みには、サマープログラムとして、アメリカのワ
の暖かい後援も忘れることはできず、とくに法曹界関係者
シントン大学やカリフォルニア大学のロースクールでの特別
の方々には、高等司法研究科設置後の授業担当の面でも、
授業、マイクロソフト社法務部門や裁判所および法律事務
実務家教員として高等司法研究科の教育活動を支えていた
所の見学を兼ねた12日間の海外研修旅行を行い、24 人の
だいているところです。
学生が参加しました。また、実施主体は高等司法研究科で
このような皆様の暖かくかつ積極的なご支持により、設置
はありませんが、サマースクールとして、授業の補習を目的
認可申請におけるトラブルにもかかわらず、4月の開校時に
とする事例演習型文書作成研修を行い、約 80 人の学生が
は、大変有能かつ多彩な教授陣と大変優秀な学生を迎え、
参加しました。前述の青雲会からの寄付金の一部も、このよ
その後順調に教育活動を展開しているところです。また、青
うな事業活動のための資金の一部として活用させていただき
雲会の皆様からは、青雲会創立 50 周年記念事業の一環と
ました。
して、高等司法研究科への多額のご寄付をいただき、これ
昨年 9 月には、法科大学院等専門職大学院形成支援プ
をもとに後援基金を設置するとともに、早速に種々の教育事
ログラム(いわゆる法科大学院 COE)の教育高度化推進プ
業に使わせていただいています。
ログラムにおいて、高等司法研究科の「 科学技術リテラシー
昨年の 4月に入学した学生は、全部で 110 人で( 定員
を備えた先端的法曹養成」が採択されました。この経費を利
100 人)、そのうち法学既修者( 法科大学院の課程を2 年で
用して、高等司法研究科では、知的財産法や医療をめぐる
卒業する者)は21 人、残りの89 人が法学未修者( 法科大
先端的紛争の解決を図る専門的な法曹養成のあり方を検討
学院の課程を3 年で卒業する者)です。また、社会人( 有
しており、1 年目の成果として、3月5日に大阪国際会議場(グ
職者)であった者も45 人おり、例えば医師 4 人、教員等 4
ランキューブ)で、高等司法研究科設置 1 周年記念を兼ねた
人、公務員5 人などという状況です。入学者の平均年齢は
シンポジウムを開催しました。
26.6 歳で、最高年齢は 43 歳です。出身大学としては、京
以上のように、高等司法研究科の 1 年目は、実に充実
都大学 17 人、大阪大学 14 人、慶應義塾大学 10 人、神
した教育活動ができたものと自負しています。この間に青雲
戸大学 8 人、東京大学 7 人、名古屋大学と早稲田大学が 6
会からいただいたご厚情に深く感謝申し上げますとともに、
人といったところが主要なものです( 以上の情報は、高等司
どうか今後とも高等司法研究科の教育活動に暖かいご支
法研究科のホームページでも公開しています)。大阪大学出
持とご鞭撻を賜りますよう、衷心よりお願い申し上げます。
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阪大法学部 青雲会会報 2005 年
(第 5 号)
16 年度総会報告
に飾られ、参会者はこの絵を観てから会場に臨んでいました。
平成 16 年度の青 雲会 総会は、7 月10 日
( 土)
に待 兼 山の
講演で疋田氏は、銀行員から画家に転進したいきさつや、
「黎
母校で開催されました。青雲会創立 50 周年の年にあたり、
明」についての作画上の構想と想いを静かに語りかけ、聴衆に
記念の寄贈画のお披露目を兼ねたセレモニーでもありました。
感銘を与えました。
総会会 場の大阪大学シグマホールには約 100 人の会員が
このあと、阪大生協食堂に場所を移してパーティーが始まり、
出席し、宿敏幸会長のあいさつ、三成賢次名誉会長の祝辞に
いつものように談笑の輪があちこちに広がりました。この日は、
続いて、会務報告・規約改正の報告・会計報告・会計監査報
大久保昌一・山中永之佑両名誉教授をはじめ、法学研究科・
告が行われ、いずれも承認されました。
高等司法研究科の 7人の現役の先生、東京・名古屋両支部の
つづいて講演に移り、50 周年記念の寄贈画を制作した12
代表も出席され、50 年の歴史と広がりを実感させる懇親の
期の疋田泰彦画伯が、
「 今、絵に生きる」と題して話をしました。
場となりました。また、青雲会懸賞論文入選の学生や青雲会
記念の絵画は、疋田画伯が 390 号の大カンバスに腕を振るっ
奨学金を受けている留学生も招かれ、会場に明るさと元気よさ
た大作「 黎明」で、総会に先立って法学研究科棟の玄関ロビー
を加えてくれました。 待兼会
(15 期)
還暦記念会
中 谷 一 夫( 新制11期)
と聞き入った。それぞれに個性的な生き方が語られるが、基調
15 期( 昭和 38 年入学者)会員は大部分が還暦を迎える
をなしているのは、利益追求とか立身出世の観点でなく、今後
時 期になった。この、またとない機会に、連絡を取り合って
は社会に尽くして生きたいと言う心情である。さすが待兼会と
還暦記念の同級会が開催された。100 名の入学者のうち、出席
言うべきか、それとも、やはり年齢と見るべきかは置いて、態度
42 名( 物故者 4 名)という空前の盛会は、第一部講演は、大阪
は淡白、意欲は旺盛、まことに感じ入る次第であった。
市立美術館長 蓑 豊先生のユーモア溢 れる語りで、 宴 会 前
傑作は、次の野次であった。
から盛り上がりの下地ができていて、間を置かずに行われた
しゃべりなれた面々のこと、一人一分間の持ち時間で満足
するようなサムライでなく、幹事の心配を尻目に、語り笑わせて、
第二部の懇親会会場に、この雰囲気が持ち込まれた。
卒業以来、初めて顔を合わせる友人も多く、どっかで見た顔だ
度重なる「 切り上げ要請」も意に介さずにスピーチする友人( 弁
と感じているうちに、相手がこちらの名を言ってくれた瞬間に、
護士)に、ついに「 警告」が発せられた。すると、「 最後にもう
一つ…」とまた話し出して爆笑を誘い出し、その最後がまたエン
「あ ! ○○君 !」と、とっさに名前が口をついて出る。近況報告
のスピーチをしている白髪の紳士をよく見ると、40 年前の青年
ドレスになりそうな雲行き模様だった。その時である。元裁判官
の面影がよみがえり、当時交わした会話や、一緒に行った場所、
(記憶では彼だったが)
のクラスメートが、
ついに叫んだ
「弁護人 !
退廷 !」
食べた物など、何十年と封印されていたような記憶が、脈絡も
この一声で会場は、爆発した。
無く浮かび上がって、酔い始めた頭の混乱に拍車がかかる。
多くが現役を終えて、第二第三のステージに立っているが、
次は東京で開催しようということになり、次回幹事を東京組か
ボランティア活動にいそしむ者、環境保全活動に従事する人、
ら選出して中締めとなった。第三部は会場へ行く途中で、 先行
あるいは、闘病、或いは趣味に没頭する生活もある。新たに
組とはぐれてしまい、一緒に歩いていた四人で近くの店へ入った。
外国語を学び始めた人もいる。また、司法の公職にいる間は
これも楽しかった。芳醇の時間、酩酊、いまだ覚めやらず、
同級会に出たくても自粛せざるを得なかったという話にも、粛然
名簿を見直している次第である。
鎌 倉 国 年( 新制 15 期)
【東京支部だより】東京支部長 八代田 憲司( 新制 12 期) 【名古屋支部だより】名古屋支部長 平野 修義( 新制 10 期)
昨年度は10月7日に支部総会を開催しました。秋の会合は、新宿野村ビルで
「 新人歓迎会」を行っていたことがありますが、総会をこの時期に開催するのは
はじめてです。品川区大崎のゲートシティ大崎イーストタワー 23 階の夜景の見事
な展望を背景にした会場( 冨士電機ラウンジ)。講師に企業の世界から独立
行政法人「 日本芸術文化振興」( 国立劇場等運営母体)の民間人はじめての
理事長に転身された津田和明氏( 新 5 期。元サントリー副社長)をお迎えし、
盛り上がった会合となりました。同好会では、ゴルフに変わることなく同好の士が
集い、3月21日に千葉県茂原の「 デイスターゴルフクラブ」で東京待兼会( 経
済学部同窓会東京支部)からも参加され、16 回目のコンペを開催。東京待兼
会とは、今後とも連携を一層強化していくことを双方の幹事会が同意しており、
講演会等の共同開催などの具体化を進めていくつもりです。女性メンバーが加
入した「お酒の会」が着実に会員を増やしつつあります。各期幹事のご協力を得
ながら、何とか若い同窓生の青雲会への関心を高めたいものと思っています。
東京支部[連絡先]
〒160-0004
東京都新宿区四谷1-9 天龍ビル5F
杉政静夫法律事務所内
TEL:03-3355-6575 FAX:03-3355-6576
経済学部等との名古屋待兼会を2、4、6、9月には定例会を、11月には総会を開催して
おり平成 16 年も例年通り開催いたしました。参加者延人数は91 名でした。定例会では参
加者より1 名講師としてお話をいただくことになっており、法学部同窓生では、秋田量正(37
年卒)さんが 2月に「 相次ぐ会社法改正と企業対応」、9月に服部和雄(39 年卒)さんが「ゴ
ルフあれこれ」をテーマに30 分お話しい
ただきました。11月の総会には本学より
経済学研究科伴金美教授にご来名いた
だき、「 母校の独立行政法人化、合併
動向など」近況について報告をいただきま
した。昨年より当会の会長を兼ねており
ますので本年は①法学部同窓生の登録
者を増やす。②女性会員のネットワーク
を作る。③ゴルフ同好会を開催する。を
活性化のテーマとして参加者を増やす努
名古屋支部[連絡先]
力をしたいと考えております。
〒464-0072 名古屋市千種区降甫町3-26
本年 11月の総会には本学法学部より
平野 修義
先生にご来名をお願いする予定です。案
TEL /FAX:052-711-1008
内を希望される方を募集しております。
6
阪大法学部 青雲会会報 2005年(第 5 号)
第 5 期青雲会奨学生( 法学部留学生)座談会
平成 16 年度の青雲会奨学生は、中国出身の潘 激鴻(ハン ゲキコウ)さんです。宿会長からお話を伺います。( 青木事務局同席)
宿 阪大法学部の同窓会である青雲会は、現役の学生を少しでも
支援しようと、5 年前から留学生に奨学金を支給してきました。
今年は中国出身の潘激鴻さんです。中国のどちらの出身ですか。
潘 江蘇省の無錫です。無錫にある江南大学を卒業しました。
宿 どういうことで、日本・大阪に留学されるようになったのですか。
潘 江南大学では日本語学科があり、3 年間日本語を学びました。
最初、カタカナ、ひらがなを覚えるのが大変だったが、なんと
か会話が出来るようになり、日本へ留学したいと思いました。
2001 年 10月に福岡に来て、大学受験のため九州言語学院で、
日本語の勉強を1 年半しました。
2003 年 4月に阪大法学部に入りました。
宿 阪大の入学試験はどうでしたか。
宿 中国にいる時は、よく旅行に行ってましたか。
潘 中国のときは、一人っ子でしたので、しっかりと勉強をしなくて
はならず、旅行に行っておりませんでした。私が生まれた時から、
一人っ子政策が始まりました。
潘 留学生は日本語能力試験の統一試験として、文科系は歴史、
数学とトッフルを受けました。この年から英語がトッフルに変わ
りました。300 満点中、190 点でした。
法学部の基準点は、他の学部が 160 点位であるのに、180 点
で、きりぎり受かりました。
宿 日本の料理は好きですか。お寿司、刺身は食べれますか。
潘 生の魚は、初めは食べれなかったのですが、今はお寿司屋で
アルバイトをしていますので、よく食べています。日本のお米は
大変おいしいです。中国のお米はパラパラしていて、おにぎりに
宿 英語は、いつから勉強していたのですか。
することが出来ません。家庭教師のアルバイトもしていますので、
親からの仕送りはなくても過ごせます。
潘 小学校の5 年生から、英語の勉強をしていました。
宿 日本語での専門授業・講義の苦労はありますか。
潘 講義のノートを取るのが大変でした。最初の1 年は、まだ専門
授業が少ないが、2 年からは結構多くなり、ノートに余り書け
なかったです。他のニュージランド、カナダ、タイ、カンボジア
の留学生はもっと大変だと思います。
宿 大阪ではどこにお住まいですか。
潘 箕面市牧落の女子学生寮に住んでいます。中国の留学生は私
を含めて三人で、後は全て日本人です。食事を作るのは、炒
め物をよくします。
大学へは、自転車で通っています。雨の時は辛いですが、晴
れていると気持ちが良く、運動にもなります。
宿 大学を卒業した後は、どの方面へ進まれる予定ですか。
潘 日本の試験は難しいので、中国で弁護士試験を受けて、国際
弁護士として活動したいと考えております。そのため大学の4 年
の後半にアメリカへ交換留学するための英語の試験を受けて、
後は面接だけが残っています。
ワシントン大学へ留学することを希望しています。
宿 旅行は好きですか。どこかに行かれましたか。
潘 福岡にいた時は、沖縄と東京ディズニーランドに行きました。
大阪にきてから、韓国に行きました。
宿 お忙しいところを来て頂いて有難うございました。青雲会として
価値ある奨学金となると思います。今後も勉強されて、ご活躍
されることを願っています。
卒業されても何らかの形で、同窓会の一員として、ハガキ等で
報告頂きたいものです。今年の総会は7月9日に大学の中之
島センターで開催されますので、是非ご出席ください。
潘 喜んで出席させて頂きます。色々な人とお会いするのを楽しみ
にしています。
青雲会囲碁同好会 初心者歓迎 !!
毎月、第二土曜日13 時∼ 17 時の間、青雲会交流センターにて囲碁会を開いています。本囲碁会も3 年目に入り、会員は18
名になりました。会長の菊池幸男( 臨時)さんを筆頭に、毎回約 10 名が参加して、和気あいあいと囲碁を楽しんでいます。会費は、
年会費千円のみ。高段者では、7 段の玉置修二さん(7 期)、5 段の広田康秀さん(8 期)がおられ、指導碁も受けられます。年 1 回、
囲碁大会を開く外、法科大学院の囲碁クラブや他の囲碁会との交流も考えています。囲碁を少しでもされる方、またこれから
しようと思っておられる方、是非一度覗いてみて下さい。
お問い合わせは 幹事 神田三嗣( 新制 11 期)まで(TEL : 072-792-2722、メール : [email protected])
新制 18 期の同期会の開催について
昭和 45 年卒業の 18 期同期会を、総会と同じ7月9日( 土)夕刻、梅田で開催する予定です。卒業以来、初めての同期会と
なるものです。私たち「 団塊の世代」は、あと2 ∼ 3 年後に定年を迎えることになります。18 期の皆さん、関連の皆さん、総会
に出席した後にお互い懐かしい話をゆっくりと語り合おうではございませんか。詳細は総会終了後にお知らせします。
18 期 世話人 黒田、仲田、森内
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阪大法学部 青雲会会報 2005 年
(第 5 号)
活躍する卒業生
【1】
歩きは狂歩楽々で !
弁護士 辻
本 公 一(新制 7 期) 20 年ほど前から大阪の弁護士グループの一つに、「 狂歩楽々
宗」という名称の同好会がある。そのグループでは、私は「 教祖」
とよばれている。意味不明の珍奇なグループ名と教祖の存在が、
なにやら怪しげな宗教団体ではとの誤解を与えることがあるが、
単なる歩きの同好会にすぎない。
狂歩の「 狂」は物事に熱中する、ひとつのことに打ち込むという
情熱をあらわし、「 狂歩」は歩きに熱中することをいう。「 楽々」は
気楽に楽しくという意味。したがって、「 狂歩楽々」は、余計な
ことを考えずに、ただただ歩くことだけに専念すれば、これほど
楽しいことはないよ、という意味である。「 宗」は教祖が存在する
のなら、というたわいない理由による。
狂歩楽々宗では、毎年梅雨明けの一番暑い盛りの 7 月末に、
夏の修行と称して、二泊三日の徒歩旅行をするのが恒例になって
いる。三日間で歩く距離は100キロ前後。炎天下を早朝から夕方
まで足に豆をつくりながら、ひたすら歩きつづけるのは苦行といっ
ていい。
修行に参加する仲間を「 信者」とよんでいる。毎年十数人の
信者が修行に励む。苦痛に耐えがたくなった信者は、ときには
「キントン雲の術」を使う。雲に乗り( 歩きを放棄し、電車やバス
これに対し、目的や計画といった制約を一切課さずに足の向く
を利用したり、通りがかった車に頼み込んで乗せてもらうこと)、
まま気の向くまま歩けば、魂が解放され、信じられないほど長時間・
最後尾を歩いていたはずの信者が誰よりも先に旅館に着くという
長距離を楽しく歩くことができる。平たくいえば、狂歩の神髄は
妖術。
ズボラ歩きにある。
教祖は、それぞれの信者にホーリーネームをつけ、修行の模様
最近歩くことが健康によいということもあって、歩く人が多くなっ
を会派の雑誌に毎回掲載。信者は未熟で教祖は偉大という虚構
たことは喜ばしいことである。歩くことが見直されているのは、
のふざけた狂歩記である( 信者はこれを経典と称している)。これ
単に健康のためという理由だけではなさそうである。
を読んで狂歩に興味をもち、教祖の偉大さ(?)を知った奇人変人
以下にあえて教祖らしい物言いをすれば、過剰ともいえる物質
が新たに信者として参加してくる。お蔭で狂歩楽々宗は年々信者
万能社会、車社会、あるいは効率だけが尊ばれる風潮が支配的
が増え発展している。
な現代にあって、果たしてこのようなことが人間にとって幸福と
私は、夏の修行以外にも、休日には20 ∼ 30キロ歩いている。
健康のためではない。歩くことが楽しいからである。歩かなければ
気分が落ち着かない。完全な歩き中毒、略してアル中になっている。
歩きを楽しくする秘訣は、健康のためとか、一日何万歩を歩く
という類の目的をもたないことである。どこまで歩くとか、あるいは
何時までにどこに着くといった計画をもたないことである。目的や
いえるのだろうか、という疑問・反省が意識の奥にあるからでは
ないかと思われる。
物質だけでは満たされない何かがあるように感じ、効率だけが
価値基準として押しつけられることに疑問をもつようになったから
ではなかろうか。
歩きが見直されつつあるのは、自然とふれあう歩きによって、
計画、義務感を伴った歩きは、それらが無意識のうちに精神的
物質では満たされない満足感があることに気づき、はなはだ効率
負担となって、足と気を重くさせ、苦痛となり、挫折を生じさせや
の悪い歩きのなかに、効率という価値基準では量れない良さを
すい。
感じるようになったからではないか、そう確信する教祖である。
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阪大法学部 青雲会会報 2005年(第 5 号)
活躍する卒業生
【2】
国際交流から平和活動へ
田 中 昇(新制 10 期)
●我が家の国際交流
出来た。最近はメールの利用で便利になり助かっている。ヨーロッ
普通のサラリーマン家庭である我が家の国際化は、高校 2 年生
パでは、平和を求める普通の人々の地道な根強い姿を多く見た。
であった長女がアメリカに留学したいと言い出した時に始まった。
それぞれの国が過去の惨禍を背負い、EU のもとに結集しようとし
7月に渡米した娘と入れ違いに、交換留学生としてアメリカの高校
ている。昨年訪ねた D-day60 周年のノルマンディー海岸はとりわ
生が我が家にやってきた。身長 183センチ、金髪の長い15 歳で
け印象的であった。個々人の思いと国の姿勢が時には違って現れ
ある。その日からの50日間は実にエキサイティングな日々であった。
ることもあるが、大きな流れとしては真の平和の実現に向かって進
留学を仲介した団体のアドバイスにより特別な配慮は何もせず、
我が家の普段の生活の中に受け入れた。英語の得意な長女のい
ない我が家の日常は当然日本語である。しばらくはお互いにメモ
用紙を持って絵を書いて見せ合って意思疎通を図った。近所の英
語の堪能な人に通訳を頼んだこともあった。お頭つきの魚を怖がっ
たり、テレビコマーシャルに白人が多いと不思議がったり、街で「ガ
イジン」といわれると私が教えた「ウチジン」と言い返したりした。
保育所や学校も訪問した。教会を要望されたが近所には彼女と同
じ宗派の教会がなく、部屋で一人でお祈りしていた。京都の祇園
祭り、広島の原爆記念館、奈良の寺院、妻の出身地である松江
市などを案内した。原爆記念館で、原爆をテニアン島まで運んだ
軍艦の名前が自分の家のある「インディアナポリス」であることを知
り、一人涙していたのが印象的であった。帝塚山の小生の生家
が B29の空襲で焼けたことを話した時は、「アイムソリー」を繰り
返していた。彼女は現在カナダに居り、交流が続いている。
これが契機となり、その後我が家はアメリカ・イタリア・インド
ネシア・中国などの人を
受け入れ交流が広がっ
た。中国は近 所の留 学
生と知り合ったのが始ま
りで 輪 が 広 がり、 物 心
の援助もさせていただい
た。昨年春にはその一人
の結婚式に、遠くウルム
チまで出かけて行った。
ちなみに、彼女の伴侶は
日本人で、残留孤児二
世である。
●平和を求めるヨーロッパ
外国に初めて出たのは1988 年で、以後毎年、多いときは3 度、
出かけてい る。
妻と二人の気ままな旅がほとんどで、各国各地に多彩な友人が
んでおり、問題をはらみながらこれからも続くだろう。
●日本の平和活動
これに比べ日本はどうだろうか。多くを論ずる余裕はないが、日
本の戦争体験は被害者としての体験に片寄っており、戦争の全体
像を語り継いではいない。これはヨーロッパと違い日本全土が戦
場にならなかったからである。沖縄の心はまだまだ日本全体の心
にはなっていない。戦争の実相をありのままに伝えて若者の想像
力をかきたて共感能力に訴えていけば、外敵論自衛論は沈静する
のではないか。これは私を含む年配者の責任である。年に一度だ
けだが大学生に国際協力について話す機会がある。次からはさら
に平和に力点を置き、平和の心は「 許す。しかし、忘れない。」で
あると説いていこう。
平和国家日本の理想は現実政治になし崩しにされ、戦争放棄
の条項を中心とした改憲論が喧しい。一方、平和を求める声もあ
がり、平和学が誕生している。60 歳から5 年間 JICA の青年海
外協力隊事務局の仕事をする機会に恵まれたが、その時に垣間
見た発展途上国の姿からも平和の実現は極めて困難であることが
解る。しかし、「 我々はどの様な社会を目指すのか」を日々に考え
実行しなければならない。九条の会他各地各層の平和を求める
活動に参加していきたい。
●大阪大学の平和活動
大阪大学でも平和活動は行われている。有志による「 平和のた
めの集中講義」が毎年開催されている。「 平和フオーラム」も続い
ている。
「大阪大学九条の会」
も活動を始めたと聞いている。
しかし、
そのいずれにも法学部関係者の影は薄い。経済界・法曹界のみ
ならず社会全般にも目を向けて発言し行動する法学部であってほ
しい。
「 戦争しか知らない子どもたち」( 幻冬社)を書いた山本芳
幸( 元、国連難民高等弁務官カブール事務所長)は35 期生であ
る。カンボジアで凶弾に倒れた中田厚仁は40 期生であり、その
父君は以後平和運動に打ち込んでおられる。我々熟年 OB もまだ
まだ黙って寝てはおれないと思う今日この頃である。
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阪大法学部 青雲会会報 2005 年
(第 5 号)
活躍する卒業生
【3】
いま、法曹界が面白い ! ∼モノ書きへの道∼
弁護士 坂
●裁判員制度の実施は大丈夫 ?
和 章 平(新制 19 期)
●いま、法曹界がおもしろい !
従軍慰安婦問題を特集した NHK『 問われる戦時性暴力』の
このように法曹界は激動の真っ最中。私は弁護士生活 30 年を
1月30日放映をめぐって突如発生した NHK と朝日新聞の「 政治
経たが、
こんな時代だからこそ「いま、法曹界がおもしろい !」
と思っ
的圧力問題」は、ライブドアとフジテレビによるニッポン放送の「 株
ている。こんなタイトルの出版物を目にしたら是非購入して欲しい
式買収合戦」と同様に混迷を深めている。しかし、腐っても NHK
もの。「 本書を読めば、あなたも法曹界の事情通 ! 目からウロコ
は天下の公器(?)とばかり、2月12、13日ドラマと討論会仕立て
で『NHK スペシャル 司法大改革 あなたは人を裁けますか』を放
映した。裁判員制度の実施は北京オリンピック翌年の2009 年か
ら。今のような浸透状況でこんな大胆な市民参加の下に重罪事
件を裁く制度がホントに日本で実現するのだろうか・・・?
●法科大学院も大丈夫 ?
他方、昨年 4月発足した法科大学院へは約 6000 名が入学。
暗記中心・マニュアル化が進む一発試験を排除し、広い視野と
主体的な思考力をもった法曹の卵が一斉に生まれたわけだが、
今年 4月の第 2 期生はいきなり激減。その原因は、法科大学院を
卒業すれば約 7 割が司法試験に合格できるとの前宣伝(?)がどう
もインチキ臭かったこと。合格率 30% 前後では、大学卒業後大
金を払って法科大学院へ通っても、と考えるのは当然。さてその
解決策だが、これは簡単。合格者 3000 名という公約(?)の前倒
し実施だ。その上のウルトラ C(ちょっと古い ?)はなお一層の合
格者の増員。こりゃ簡単だ。しかし果たしてその行きつく先は・・・?
●司法は腐っている ?
地裁で 200 億円の勝訴判決が、高裁では一転して8 億円余の
和解。やむなくこれを受け入れた青色 LED の発明者中村修二
氏の後世まで残るであろう名文句が、長嶋茂雄ばりの甲高い声
でぶちまけた「司法は腐っている !」。大阪市の「 職員厚遇問題」
をみれば、行政はここまで腐っていたのかと痛感させられたうえ、
橋本派への日歯連からの1 億円献金事件を挙げるまでもなく政治
( 家)が腐っていたのは昔から。これでやっと腐敗に関する「 三
権分立」が実現したが、こりゃ絶望的・・・?
●法律バラエティは大はやり
傷害事件で謹慎していた(?)島田紳助が『 行列のできる法律相
談所』に復帰 ! 留守中は東野クンが代役を張り、最強の弁護士
軍団もバラエティ軍団と化して大奮闘。驚いたのは1月30日放映
の10 名もの若手弁護士を登場させた挑戦状スペシャルに見るバ
ラエティ色の更なる強化 ! こりゃ一体何だ。ここまでやるか、法律
相談所 !
の本音とウラ話が満載 !」の宣伝文句どおりの自信作だ !
●モノ書きへの道
私が今一番面白いのは本づくり。その第 1は『 実況中継 まちづ
くりの法と政策』I・II・III。これは愛媛大学での4日間の集中
講義をネタにした坂和流まちづくり実践の実況中継本で、私にとっ
て一種の「 異種格闘技戦」というべきもの。第 2はまちづくり法体
系や都市計画法・景観法などについての坂和流視点による解説
書。これは大変だが大いに勉強になるし、少し頑張ればすぐに第
一人者 ! 第 3は年間 200 本に上る映画鑑賞をネタにした
『SHOWHEY シネマルーム』1 ∼ 5の出版。最新は
『坂和的中国電影大観』
で、第 6 巻は5月に出版予定。その後も年数冊のペースで次々と
出版計画が・・・。私の映画評論は単なるストーリー紹介では
なく、歴史観・人生観・恋愛観そして映画の中から抽出される法
律論や弁護士としての法律的視点が満載。私はこれを弁護士業
務の延長と位置づけ「2 足のわらじ」を狙っている。これらの執筆
は大変だが、何せこれが面白い !56 歳となった今、着々とモノ書
きへの道を歩んでいきたいと思っているが・・・?
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阪大法学部 青雲会会報 2005年(第 5 号)
平 成 17 年 度
青雲会総会のご案内
テーマ
「 大阪に幸せを呼ぶ中之島新線」 講師 伊藤貞男( 新制 3 期)
【日時】
平成17年7月9日(土) 午前11: 00開会
【場所】
大阪大学中之島センター
11: 00∼12:30 総会議事
大阪大学中之島センター事務室
〒530 - 0005
大阪市北区中之島4 - 3 - 53
TEL : 06 - 6444 -2100
略歴 : 元 京阪電気鉄道株式会社
代表取締役副会長
現 中之島高速鉄道株式会社
代表取締役社長
【電車によるアクセス】
12:30∼14:30 懇親パーティー
阪神本線 福島駅より
講
演
の
内
容
徒歩約 9 分
JR環状線 福島駅より
徒歩約12分
地下鉄四つ橋線 肥後橋駅より
徒歩約10分
地下鉄御堂筋線 淀屋橋駅より
徒歩約16分
淀屋 橋駅
ご出席の方は、会費の前納をもって申し込みとさせていただきます。
同封の払込用紙をご利用下さい。払込期限6月25日(土)
【必着】
徒歩約 9 分
JR東西線 新福島駅より
肥後橋駅
【 会 費 】5,000円
大阪大学中之島センターへ行かれるとき必ず目につくのは、道路を占用し地面を掘り返している工事現場です。これは中之島新線といって、
第三セクター中之島高速鉄道( 株)が施行している地下鉄建設工事です。
なぜ、今どき斜陽産業の鉄道なんかつくるの ? 今問題になっている不要不急の公共事業じゃないか とお考えの方も多いと思います。
確かに鉄道は斜陽です。半世紀鉄道事業に携わってきた私から見て、鉄道の我が国社会経済に占める地歩は著しく低下しています。しかも、
これからの旅客の減少傾向からも目に見えています。しかし、私は鉄道というものは、今流行の市場原理だけで考えてはいけない産業だと思っ
ています。何故なら高齢化社会の到来と、地球環境の保護、資源の絶対量の観点から見ても、鉄道は市民にとって非常に有益なマス・トランジッ
トであり、社会の弱者にとっても必要不可欠なものだからです。
それともうひとつ、中之島新線は京阪電車天満橋駅から大阪国際会議場の前まで 2.9km、中之島地区を縦貫しています。この中之島は江
戸時代のはじめ以来天下の台所大阪を支えた経済拠点であり、つい先だってまで経済の大阪の中枢をなす地区だったのです。今、大阪経済
はご承知のとおり沈滞の極みにあります。東京や名古屋に比べ、大阪はサッパリです。その不振を極める大阪の活性化のため企画されたのがこ
の中之島新線なのです。大阪の未来を築く第一歩にご協力を願います。
50周年募金収支報告
収入の部
支出の部
募金者 655名
高等司法研究科後援基金宛 寄付
絵画2点寄贈
システム変更
郵便代
振込手数料他雑費
合 計
青雲塾のお知らせ
14,313,000円
10,000,000円
1,296,000円
1,940,488円
880,421円
67,684円
14,184,593円
尚 残金¥128,407円は 青雲会会計に入金いたしました。
ご協力有難うございました。
青雲会事務局からのお知らせとお願い
◆会員短信(仮称)を作ります。
来年の会報より、会員の短信を載せるページを作りたいと思います。
会員間の連絡、思っていることなど事務局までご連絡ください。
同封の振込用紙にて投稿いただいても結構です。
◆会員の書かれた本をご寄贈ください。
交流センターに書棚を入れました。たくさんの会員が本を書かれておりますので、その本を
ご寄贈いただき、皆様に読んでいただこうと思います。
事務局までご送付ください。
(裏表紙に、期とサインをお願いします。)
◆宛名印刷をご利用下さい。
パソコンのシステム近代化に伴い 宛名印刷が出来るようになりました。
皆様の同窓会開催案内等にご利用下さい。
(費用:無料)
◆事務局オープン時間
事務局は、大阪大学豊中キャンパス(石橋)、大学院法学研究科棟2階にあります。月、水、
金曜、9:00∼14:00に在室しておりますので、御連絡をお待ちしております。
(青雲会事務局 青木克夫(新制7期)
(平成17年度以降の開催実績と開催予定)
1. 平成17年5月12日
(木)18:30∼
講師 : 中村勝英氏(12期)
演題 : 地方都市における特定(サラ金)調停について
2. 平成17年8月8日
(月)18:30∼
講師 : 宿敏幸氏(12期)
演題 : 臭気判決(いわゆる焼鳥判決)について
会場:青雲会交流センター(北区西天満2 - 3 - 6 法曹ビル2)
※ 参加希望者は、事務局までご連絡ください。
青雲会 本部役員
(任期 17年4月1日∼19年3月31日)
職 名
氏 名
期
名誉会長
三成賢次
新制28期
会
長
中川清孝
新制15期
幹 事 長
三輪省三
旧制1期
担 当
副 会 長
木村太一
新制15期
総務・総会
副 会 長
村井一雄
新制15期
総務・懸賞論文
副 会 長
平野鷹子
新制17期
留学生奨学金選考・女性会員活性化
副 会 長
赤坂 巌
新制17期
総務・情報管理
副 会 長
黒田嘉次郎
新制18期
会報
副 会 長
三木秀夫
新制30期
青雲塾・若手会員活性化