ドイツの改定統合コースについて

<参考資料>
「ドイツの改定統合コースについて」
松岡 洋子
ドイツ連邦政府は 2005 年 1 月 1 日から開始した統合コースについて 2006 年末に中間評価を
行い、その結果を受け、2007 年 12 月 8 日から、統合コースの実施要領を改定した。中間評価で
問題となったのが、2 年間のコース終了後ですら受講者の 4 割程度しか目標とするレベル(CEF
のB1レベル)に到達できないという現実である。そこで、連邦政府は受講者の特性に合わせてコ
ースを複数設置し、よりきめ細かく対応することとした。以下に、統合コースの改定前後の違いに
ついて表にまとめた。なお、詳細情報はドイツ連邦移民難民局のWEBページ(英文)を参照して
ほしい。
http://www.integration-in-deutschland.de/cln_006/nn_282906/SubSites/Integration/EN/02__Zu
wanderer/Integrationskurse/integrationskurse-node.html?__nnn=true
項目
受講対象
改定前
新コース
2005 年以降に入国する新移
外 国 籍 住 民 、帰 還 移 民 とその 家 族 、EU市
民。コースが満席でなければ、
民。旧移住者でドイツ語能力が不十分な場
旧移住者も受講可能。
合、社会党強情必要が認められる場合は受
講。
目 的
ドイツ社会において、自立的に
ドイツ社会において、自立的に日常生活が送
日常生活が送れるようになるこ
れるようになること。
と。
日常的に必要な文書を理解し、書くことができ
るようになること。
コースの種類
統合コース(630 時間)
①一般コース (645 時間)
・語学 600 時間
・語学 600 時間
・オリエンテーション 30 時間
・オリエンテーション 45 時間
②特別コース (945 時間)
a.青少年コース
b.女性コース
c.読み書きコース
d.特別支援コース
・語学 900 時間+オリエンテーション 45 時間
③速習集中コース(430 時間)
・語学 400 時間
・オリエンテーション 30 時間
受講者支援
‐
特別コースは保育サービスあり
項目
改定前
新コース
各コースの
【青少年コース】 27 歳以下で、学校に在籍してい
受講資格
ない青少年。これから進学準備または職業訓練をす
る者。
【女性コース】 家族や文化・慣習上の理由により一
般コースで受講できない女性移民で、女性教師が教
える女性だけのグループで学習したい者。
‐
【読み書きコース】 ドイツ語の読みまたは読み書き
能力が十分ではない移民。
【特別支援コース】 新しい言語を学習するために
より長い時間を要する移民。945 時間を越えて学習す
ることができる。
【速習集中コース】 より早く集中的な学習を希望
し、規定の時間内で目標に到達できる者。
コース定員
20 名程度のクラス
母語の異なる学習者による最高 20 名のクラス
修了テスト
630 時間で受験。B1で合格。
各コース終了時に受験。語学とドイツ事情のテスト。
Zertifikat
合格者にはB1で統合コース修了証明書(Zertifikat
Deutsch と
Integrationskurs)発行。不合格の場合は、2008 年
修了証明書
末までは Start Deutsch 2 (A2修了レベル)と呼
Zertifikat
ばれる下のレベルのテストを受験することができる。こ
Integrationskurs
の場合、統合コースを修了したとは認められず、修了
証明ではなく、単にテストの成績のみを受け取る。受
講者は 2 年以内に修了証明書を受け取れない場合、
コースの受講料の半額を支払わなければならない場
合がある。コース終了時に修了テストまたはA2 テスト
に合格できない場合は、連邦政府移民難民局に申請
し、300 時間の延長コースを受講することができる。な
お、コース受講後、修了テストを受験しなければ、受
講料を支払わなければならない場合がある。
テスト受験料
無料
無料
通学費用
援助される場合あり
統合コースの受講義務者のうち、失業手当Ⅱを受給
し、統合コースの受講料を免除されている者は交通
費が援助される。失業手当を受給しない受講者は申
請によって交通費が援助される場合もある。