DWP5冊分 全体サマリ 1. 21 世紀スキルや 世紀スキルや、 スキルや、その学習 その学習とは 学習とは何 とは何なのか? なのか?(DWP4) DWP4) 21 世紀に必要なスキルは、19 世紀に必要とされたスキルとは異なる。これまで必要とされたスキルは、個 人が科学的な知識を正確に把握することや、与えられた問題を効率よく解くことが中心だった。これらは、ゴ ールを決めて、そこから逆行して初心者がどのようにそこに到達すればいいかを探ることによって教育をデザ インすることができた。これに対して、21 世紀に必要なスキルは、学習者が互いに理解を深め合い、あるゴー ルを達成するにつれて新しいゴールを見出し、新しい課題を自ら設定してそれを解きながら前進してゆく創成 的(emergent)で協調的なプロセスを引き起こすスキルである。 21 世紀のスキル エントリーレベル ハイエンドレベル 創 造 性 と イ ノ ベ ー シ 与えられる情報を内在化する:誰か他の人が 未解決の問題に対する作業;理論やモ ョン 真実を知っている、もしくは答えを持ってい デルを創成する、リスクをとる,etc; 将来的に意味のあるアイディアとプラ creativity and るという前提に基づいた信念と行為。 ンを追究する。 innovation コミュニケーション (communication) 社会的なおしゃべり;誰もが事前に定められ たポイントへ向かうことを目指す対話;仲間 同士あるいは拡張した相互作用の限られた文 脈 対象の領域の知識状況を進展させ、よ り包括的で高次な分析へ到達すること を目指した対話;仲間同士、拡張した 相互交渉を推奨する公開性の高い共同 体の知識スペース。 協調/チームワーク 小集団学習(small group work) :最終的なプ ロダクトを作り上げるために分断された責任 (divided responsibility) ;全体はその部分の 集合体で決してそれ以上ではない 共有知は協調と競争から創発し既有知 識を強化する。個人は生産的に相互交 渉し、ネットワーク ICT を利用して作 業する。個々の参加者が貢献している 間に、共同体の知識の発展は個人の成 功よりも賞賛される。 情 報 リ テ ラ シ ー / 研 追究:情報の探索と収集を通した質問と答 与えられる情報を越える;知識を発展 究 え;変数検証の研究 させる努力を統合する研究とともに向 上可能な考えの社会的プールを拡張す る 批 判 的 思 考 , 問 題 解 有意味な活動はディレクターや教師・カリキ 真正性の高い知識ワークで訓練される 決,そして意思決定 ュラム・デザイナーによってデザインされ 高次の思考スキル;達成基準(the bar る;学習者は他者によって定められた課題に for accomplishments)は複雑な問題解 対して作業を行う 決とシステム思考に従事する参加者に よって継続的に定義される 市民性(地域、地球規 組織やコミュニティの規範を守る 模) 知識創造文化の一市民と感じ、多様な 視点の価値を尊重する。 ICT リテラシー 一般的なアプリやウェブを使える 日々の作業に ICT が埋め込まれてい る;ICT で世界規模に空間を共有して 改善する 人生・キャリア設計 自分の特徴にあった個人的なキャリアゴール ライフロング学習に継続的に従事す を追い求める;仕事の条件と目標達成の確率 る;環境に関わらず知識の創造者とし を現実的に判断する て生きる 学 習 ス キ ル / メ タ 認 組織にインプットはするが、高次なプロセス 学習者自らが責任を取る;自己評価を 知 は他の人が行う。 組織、個人レベルで行う 個人的・社会的責任 個人的な責任のみ;ローカルな文脈にのみ関 共同体の知識資産に積み上げ、改善す わる る;多様な文化・言語・変化する社会 に貢献する DWP5冊分 全体サマリ こうしたスキルを評価し、学習を改善していく上では「知識を構築する学習場面に埋め込まれ、学習が起き るのと同時に行われ、かつ学習過程そのものを次の段階に導く評価」 (transformative assessment)が必要に なってくる。つまり、学習の結果としての到達点を測るものではなく、学習の進み具合を捉え、知識構築を次 の段階に進めるためには今やっていることをどう変えたらよいかを判断するための評価である。 2. これをどのように評価 これをどのように評価するのか 評価するのか?( するのか?(DWP2 ?(DWP2、 DWP2、DWP5) DWP5) 従来のペーパーテストよりも複雑な技能や能力を評価するための新しい評価が必要である。 前提:教育アセスメントのデザインは The evidence-centered approach 21 世紀型スキルのアセスメントには、まず「構成概念の定義」が重要である。これを決めて Figure 1 の サイクル(行動選択、発表、証拠確認、証拠蓄積)を回して洗練させる。 その際、“科学的手法”で洗練させて信頼性を保つ。つまり正例だけ集めてもっともらしいものを作らな いことも必要 21 世紀型スキルの evidence(証拠)にはパフォーマンステストが含まれる。パフォーマンスアセスメント には 2 つある。 1) Response-centered 生徒の答えをもとにする。 2) Simulation-centered シミュレーションをもとにした定義(パフォーマンスを観察して学生のモデルを つくる)。 technology-mediated(テクノロジーの活用)によるアプローチはどちらにもあり、もっと 21 世紀型スキル の評価ではもっと使われるべき(エビデンス収集、シミュレーション、仮想世界、センサーなど)。生徒達 が活動する中で、膨大なデータの収集が可能になり、テクノロジーを活用することによって、今まで紙と鉛 筆では不可能であった評価が可能になる。 しかし、以下のような検討課題がある。 1. 構成概念の定義:背景(context)の役割を認知的構成概念とどう区別するか、またその必要があるか。 context (お釣りが出せる)から認知的構成概念(引き算ができる)をどう区別するか、また区別の必要 があるか?今までは構成概念はテストできるが、context はテストの対象外として切り離していた。 2. タスクのデザイン:コンピューターやネットワークによって可能になった新しい試験項目(adaptive test、 キーストローク、習熟度ポートフォリオ)は従来の構成概念を変えるか?その場合問題が生じるか(受け 入れ等)? 3. 反応・応答の得点化:先生の授業改善のためにコンピューターによる自動採点の良い点(すぐに結果が得 られ、すぐに授業に反映できる)と悪い点(主観評価ができにくくなる)のバランスは?可能であっても 使用しない方がよい場合があるか? 4. 試験の配信と答案の収集:新しい評価方法からデーターストリームが多量に入手可能になるが、帰結空間 DWP5冊分 全体サマリ (outcome space、生徒のありうるべき答えがすべて○×)をうまく分類することも必要であるか? 5. 反応・応答のモデル化:競争状態(入試、期末試験等順位付けの伴うもの)でのアセスメントと測定(関 連するすべての情報を使う)をどういうときにどちらを選べばよいかどうしたらわかるか?両方とも(競 争状態でアセスメントの結果も測定の結果も)報告するべきか? 6. 妥当性の証拠:どうやったら教室に負担をかけずに新しいテクノロジーや新しい評価を活用してより多く の情報を集められるか? 21 世紀型スキルのために集合知と伝統的な知識観(知識は個人が持っている) に基づいた情報の好ましい割合は? ==== 一方、新しい評価の実現のためには、学校ベースの評価活動を制度としてのアセスメントにどう組み込んで いくか。教室で国や州のかかわりのなかで(学校に近い単位)どう具体化していくか。各国の独自の事情をふ まえて検討した。 小さな国がナショナルテストやナショナルスタンダードを持つ一方で、オーストラリアやカナダや中国やア メリカのような大きな国は、典型的に地方自治体単位でのスタンダードやアセスメントのシステムを持ってい る。大きな国の場合、より学校に密着した地方行政のほうが、教育システムの運営に便利で、重要な存在であ る。 運営の方向性は 2 つある。地域のアセスメント制度を保ったままナショナルスタンダードを作り、ナショナ ルテストを始める(あるいは改訂する)という方向と、学校ベースのアセスメントを国のアセスメント制度の なかに位置づけ、重要視していこうという方向である。 3. IT を使ったアセスメント( ったアセスメント(DWP3、 DWP3、DWP1) DWP1) このような評価を常時、学習の進行に合わせて行うためには、強力な IT 基盤が必要になる。 ・ 大規模なプロセスデータを蓄積する ・ マルチメディアデータによる形成的評価(ビデオやマルチメディア作品等) ・ シミュレーションや可視化を利用した動的文脈やタスクにおける心理測定 ・ 迅速かつ多頻度のフィードバックを可能にする ・ 特殊な教育ニーズを持った生徒たちを公平に評価する ・ コラボレーションスキルやグループ成果のアセスメントを可能にする ・ アセスメントが誰にでもアプローチできるものになる(mini lab) ・ 地域間・国家間の評価データを補正し、全体的に妥当なものとして提供する 4. 【私たちが考 たちが考えるべきこと】 えるべきこと】 * IT のインフラベース(コンピューターがある・インターネットにつながったというレベル)ではなく、 fluently に使えるようにすること。 やったことに対して、すぐにフィードバックが返ってくる IT 環境を作る必要がある。 * 21 世紀スキルと、学校で教えられている従来型スキルとの乖離 これをどうするか,ということを真剣に考える必要がある。 日本はまわりの国から周回遅れになっているかもしれない。 子どもたちの方が大人より先に進んでいるかもしれない。
© Copyright 2024 Paperzz