培養液組成

植物工場
培養液組成(植物工場ハンドブック,東海大学出版会,高辻正基,pp.86−87,1997年)
培養液(nutrient solution)の備えるべき条件として(1)必須元素16の内,H,O,Cを除く13元素をすべて含む,
(2)それらの肥料塩の溶解度が高く,
吸収されやすいイオンの状態にある,
(3)
各イオン間の比率が栽培植物の吸収比率に近く,全イオン濃度も適当である,
(4)調製したとき,生育に適当
な酸度(pH5.5 ∼ 6.5)になる,
(5)長期の栽培でも,組成やpHが大きく変化しない,などがあげられるが,
(6)有害なイオンを含まず,生育・収量が優
れ低コストであることがなによりである。
主な培養液の多量要素組成
(me/ℓ)
処 方
NO3-N
NH4-N
P
K
Ca
Sachs(1860)
09.9
−
7.5
09.9
07.5
Knop(1865)
15.6
−
5.5
05.2
12.2
Hoagland&Arnon No.2(1938)
14
1
3
06
Arnon&Hoagland(1940)
16
2
6
園試処方
16
1.3
トマト
07
ナス
10
ピーマン
Mg
S
備 考
4
09.8
培養液処方として最初のもの,トウモロコシが対象。
2
02
今日でも組織培養培地等に使用されている。
08
4
04
長期に安定して使用でき実用化の基準となる。
10
06
4
04
No.2の改良版,トマトなどの礫耕用。
4
08
08
4
04
多くの作物に適応,生育に合わせ濃度を変え使用。
0.6
2
04
03
2
02
冬季は2 ∼ 4割増の濃度。
1.0
3
07
03
2
02
冬季は2 ∼ 4割増の濃度。
09
0.8
2.5
06
03
1.5
01.5
冬季は2 ∼ 4割増の濃度。
キュウリ
13
1.0
3
06
07
4
04
後期は3割減,冬季は後期も通常濃度。
メロン
13
1.3
4
06
07
3
03
冬季は2 ∼ 4割増の濃度。
イチゴ
05
0.5
1.5
03
02
1
01
開花期以降は5割増の濃度。
レタス
06
0.5
1.5
04
02
1
01
ミツバ
09
1.7
5
07
02
2
02
シュンギク
12
1.3
4
08
04
4
04
ホウレンソウ
12
1.3
4
08
04
4
04
ネギ
09
2
6
07
02
2
02
クレソン
04.5
1
3
03.5
01
1
01
コカブ
07
0.5
1.5
05
02
1
01
神奈川園試トマト
10
−
4
06
10
4
08.8
千葉農試イチゴ
11
1
3
06
05
4
04
ネギ
08
4
6
06
02
2
04
大阪農技センターホウレンソウ
18.6
1.7
5.3
10.5
06.4
5.3
05.3
愛知農総試ホウレンソウ
10.7
0.9
2.7
05.3
05.3
2.7
02.7
高野処方
13
1.3
4
06
07
4.4
04.4
多くの作物に適応,系統的変量法による。
福井県立短大トマト
09
1
6
05
04
1.5
01.5
高pH水使用時に適する。
静大メロン
08
1
3
06
08
4
10
ロックウール用
大塚化学A
16.6
1.6
5.1
07.6
08.2
3.7
03.7
汎用(果菜,葉菜,花卉類)
大塚化学B
15
1.4
3.9
08.0
07.8
4.0
04.0
汎用,特に果菜類に向く
トマト
10.5
0.5
4.5
07.0
07.5
2.0
05.0
ナス
11.4
−
3.9
05.4
07.0
2.1
0−
ピーマン
12.0
0.25
3.75
06.25
06.5
2.25
02.0
バラ
13.0
0.7
5.2
06.0
09.0
2.0
03.0
愛知園研
11.0
2.0
3.5
04.5
06.5
2.0
02.0
かけ流し式
京都山城園研
11.0
2.5
4.6
03.4
05.8
1.5
01.5
かけ流し式
奈良農試
13.05
4.35
3.0
06.55
08.0
3.5
04.0
かけ流し式
バラかけ流し式
11.0
1.25
3.75
05.0
07.0
1.5
02.5
EC1.6dS/m
バラ循環式
04.3
0.5
1.5
02.3
02.2
0.8
01.0
EC0.7dS/m
カーネーションかけ流し式
13.0
1.0
3.75
06.25
07.5
2.0
02.5
EC1.8dS/m,ピート培地でも利用
キク循環式
12.75
1.25
3.0
07.5
05.0
2.0
02.0
EC1.8dS/m
ガーベラかけ流し式
11.25
1.5
3.75
05.5
06.0
2.0
02.5
EC1.7dS/m
ガーベラ循環式
07.5
1.0
2.25
04.25
03.5
1.0
01.5
EC1.1dS/m
山崎処方
根径2cm以下は5割減。
千葉農試ロックウール処方
バラロックウール処方
オランダロックウール処方
(宇田川1996,池田1996,加藤1994他をもとに位田加筆作成)