世界に約１万２千館近くある博物館のうち、半数が集中しているというヨーロッパ。その中から、 “Science & Technology”をテーマにした博物館をいくつかご紹介します。 GERMANY 大小・硬軟とりそろえてます ★理工学部生だったら見逃せないのが、ミュンヘンにあるドイツ博物館（Deutsches Museum）。ドイツが生んだ科学・技術・産業の粋を集めた世界最大級の科学博物館です。核分裂の発見者、ハーンの実験装置やライト兄弟の飛行機リリエンタール号などなど、技術発展の歴史を物語る展示品にきっと心を奪われることでしょう。観客参加型博物館の草分け的な存在であるのも大きな特徴です。 ★ベンツ博物館（Mercedes Benz ドイツ博物館 www.deutsches-museum.de/e_index.htm Museum ・シュトゥットガルト）、ポルシェ博物館（Porsche Museum ・シュトゥットガルト）といった王道もいいけれど、辺境の地シュテーリにあって隠れた人気を誇るのが、小さな車博物館（Autosmuseum）。第二次世界大戦後、庶民の足として大量に生産された小さくてかわいらしい車のコレクションです。 ★世界的に有名なおもちゃの街ニュルンベルクには、おもちゃ博物館（Spielzeug Museum）があります。中世のマイスターの手による優雅なドールハウスから、家内工業で作られた郷土色豊かな木の玩具、ブリキの動力玩具まで、ドイツ玩具の今昔を見ることができます。＊ドイツ人は博物館が大好き。Science & Technologyとはちょっと離れますが、ジャガイモ博物館に幸福の豚博物館、トランプ博物館など、名前を聞いただけで行きたくなるような博物館が至るところにあるというのですから楽しいですね。 UNITED KINGDOM OF GREAT BRITAIN & NORTHERN IRELAND 大英博物館だけではありません ★ロンドン交通博物館（London's Transport Museum）は、約200年に及ぶロンドンの交通史を垣間見るには絶好の場所。地下鉄やバスがなかった頃からの乗り物が展示されていて、趣きのある乗合馬車や路面電車など、ずらりと並ぶアンティーク車両のいくつかは、実際に乗って中を見るロンドン交通博物館こともできます。 www.ltmuseum.co.uk/ ★観光客に人気の湖水地方、ケズウィックのダーウェント湖畔には、ほのぼのとした鉛筆博物館（The Cumberland Pencil Museum）が。鉛筆発祥の地らしく、化学染料のなかった時代に色素の調合だけで720色もの色鉛筆をつくった方法など、鉛筆の歴史や製造工程が紹介されています。 12 理工 Circular College of Science and Technology Nihon University FRANCE パリで、モナコで、優雅に学ぶ ★海洋研究に生涯をささげ、「海の言葉を理解した」と賞賛されたアルベール公によって構想されたモナコ海洋博物館（Musée Océanographique）では、生物学や物理学、経済学など多様な側面から海を考えることができます。大迫力の標本が展示されている通称「クジラの部屋」や、天井から吊るされた巨大イカの標本、自然の海と同じ生態系を再現した美しい水族館で海の魅力を再発見！ ★パリのグラン・パレ内にある発見宮殿（Palais de la Decouverte）はパリ大学の附属施設。天文学、地学、物理学といった自然科学の展示のほかに、職員による講義や実験が行われており、そういった実験に大学のスタッフや大学院生が協力しているところに注目です。 ★飛行機好きなら、300機以上展示しているパリ航空博物館（Musée de l' Air et de l' Espace）を訪れてみましょう。ここの目玉は、何といってもコンコルドの１号機。珍作揃いの「試作機館」に並ぶ機体と名機を比べてみるのもおもしろいかも。気球や宇宙関連の展示もあります。パリ航空博物館 www.mae.org/n_index.htm ITALY アノ科学者の仕事が目の前に！ ★芸術家として名を馳せたレオナルド・ダ・ヴィンチの別の顔が見られるのは、その名もレオナルド・ダ・ヴィンチ科学技術博物館（Museo Nazionale della Scienza e della Tecnica L. da Vinci）。ミラノにあるこの博物館では土木、機械、数学など、理工学部の全学科をカバーするレオナルド・ダ・ヴィンチ科学技術博物館 www.cilea.it/altriwww/ ほど広い分野の研究資料や模型 enti_e_organizzazioni/musei/index.htm が展示されています。有名な「ウィンザー手稿」や「アトランティコ手稿」を眺めたら、天才の思考回路が見えるかも!? ★ウフィツィ美術館のすぐ隣り、フィレンツェ科学史博物館（Museo di Storia della Scienza）は、ガリレオが木星の４つの衛星を見つけたときに使った望遠鏡や彼の右手の中指など、ガリレオ関連の展示が充実。 ★電池の発明者アレッサンドロ・ボルタの作品や、18世紀後半に使用さフィレンツェ科学史博物館れていた実験用の電気装置が陳列さ galileo.imss.firenze.it/ れているのは、コモにあるボルタ博物館（Tempio Voltiano）。イタリアではボルタが神格化されているそうで、博物館は１万リラ札の図柄にもなっています。 VOL.32 2002. SUMMER No.113