41 ♪ *赤血球の働き 酸素の運搬,二酸化炭素の運搬,pH の緩衝作用 ≪酸素解離曲線≫ *ヘモグロビンと酸素との結合能力を表す 『ヘモグロビンと酸素の結合に影響する因子』 ・酸素分圧.水素イオン濃度(pH).温度. DPG(2,3 ジホスホグリセリン酸) ・酸素分圧が低いほど,ヘモグロビンと酸素は解離しやすい ・曲線が右下方へ移動するほど,酸素は解離しやすくなる *曲線が右下方へ移動するということは ⇒ 酸素を供給しやすくなる ∴組織(器官)が酸素を必要とするとき,酸素解離曲線は右下方 「組織が酸素を必要とするとき = 代謝が活発なとき」 *酸素解離曲線の右(下)方偏位:pH 低下.温度上昇.DPG 増加 『ボーア効果 』 :pH の低下によって酸素が解離しやすくなる ≪二酸化炭素の運搬方法≫ 1.血液中に物理的に溶解(8%) 2.重炭酸イオン として(67%) 赤血球中の炭酸脱水酵素により CO2+H2O ⇔ H2CO3 ⇔ HCO3-+H+ *肺胞に近づくと反応式は左に移行し,二酸化炭素を放出する. 3.カルバミノ化合物 (蛋白と結合)として(25%) ヘモグロビンの N 末端に共有結合する CO2+R-NH2 ⇔ R-NHCOO-+H+ ≪pH の緩衝≫ ・生成された H+は ⇒ 血漿蛋白やヘモグロビンに結合 ≪pH を表す略式≫ ・pH=1/[H+]=[HCO3-]/[CO2] ♪解剖学・生理学サブノート♪ へ移動する 42 【体温とその調節】 ≪体 温≫ からだの温度が高い部位:肝臓,運動中の筋肉など代謝の盛んなところ からだの温度が低い部位:骨,皮膚など 全体でみると … からだの内部 (芯) :温度が高い からだの外部 (殻) :温度が低い *芯の部分の温度は,約 37 度で変わりにくい 『体温(深部温)の測定』 *体温とは身体深部温を指す ・直腸温 … 信頼性が高い ・口腔温 … 直腸温より約 0.5℃低い ・腋窩温 … 直腸温より約 0.8℃低い ≪体温の生理的変動≫ a.日周期リズム ・早朝 3~6 時の間に最低,午後 3~6 時に最高値に達する ・変動幅:0.7~1.2℃ b.年齢による変動 ・体温調節機能が安定してくるのは生後 6 ヶ月頃から ・新生児には体温の日周期リズムはみられない *2 歳以後に明瞭に認められるようになる ・老年になると低温に傾く c.性周期による変動 ・卵胞期 に低く,黄体期 ・変動幅は 0.2~0.4℃ ・排卵日:一過性の体温低下 に高い d.その他の因子 ・運動により筋の代謝が亢進し,体温上昇 ・食後 30~90 分後の体温上昇:食事誘発性産熱反応(特異動的作用) ♪解剖学・生理学サブノート♪ 43 ≪体内における熱の産生≫ *体熱は,摂取した栄養素の代謝のさい発生する熱による ♪ a.ふるえ ・筋の緊張が高まり,細かい周期で律動的に筋収縮が繰り返される ・体温調節のためにおこる b.非ふるえ熱産生 ・寒冷馴化でみられる代謝量の亢進による熱産生 ・交感神経の活動による ・褐色脂肪組織で顕著にみられる *ヒトでは新生児のみ(肩甲骨の間,頸部,大動脈周囲などに分布) 熱産生を調節する因子 交感神経,甲状腺ホルモン,副腎髄質ホルモン,副腎皮質ホルモンなど *これらは代謝の亢進により熱産生を促す ≪熱放散≫ 『輻 射』 :物体が電磁波の形でエネルギーを放出すること ・常温での熱放散量の約 60% を占める 『伝 導』 ・冷たい物体に接触 → 物体に熱が伝導 『対 流』 :空気の流れ ・風によって皮膚面の空気が入れ替わる → 熱放散が促進 『蒸 発』 :気化熱により熱放散 不感蒸泄 … 汗以外による意識にのぼらない水分の蒸発 常温で熱放散量の 20~30% 発 汗 … 高温環境下で熱放散量を著しく増加させる ♪解剖学・生理学サブノート♪ 44 ≪熱放散を調節する生理的しくみ≫ 『皮膚血管の調節』 ・血流による熱の運搬:内部の熱の皮膚への移動の主役 ・対向流熱交換系 :動脈から静脈への熱の移動 *熱放散量を減少 『発 汗』 1.エクリン腺:全身に分布し希薄な汗を分泌 体温調節に関与 交感神経支配 *成分:99%が水分,他に電解質(Na,Cl,K,Ca,HCO3-など),尿素,アンモニアなど # 血漿の成分とほぼ同じ 2.アポクリン腺:腋窩,乳暈,会陰部,顔面の一部など 体温調節には関与しない *成分:水分,蛋白質,脂質,糖質,アンモニア,ピルビン酸,鉄分など # 塩分は少ない # 粘り気あり.栄養素が多いので菌が繁殖しやすいためニオイの原因となる A.温熱性発汗:手掌,足底を除く全身 B.精神性発汗:手掌,足底 *他の部分にもある場合あり(額,腋窩) ≪体温の調節≫ ・体温調節中枢:視床下部 *温ニューロン…温度の上昇を感じる 冷ニューロン…温度の下降を感じる ・設定温度(セットポイント)仮説:調節されるべき温度として一定の温度に設定 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 45 ♪ ≪うつ熱≫ ・環境から受ける熱や熱産生量が極度に増加したとき, 熱放散が追いつかず,体温が上昇してしまう状態 ≪発 熱≫ ・設定温度の上昇により体温が正常より高くなる ・設定温度上昇 → 熱放散減少:皮膚血管収縮 熱産生増大:筋の緊張,ふるえ,交感神経の緊張 *急に外気温が下がった感覚 → 悪感 # 解熱:設定温度が正常に戻る → 熱放散増大:筋緊張減退,皮膚血管拡張, 大量の発汗 *解熱の機序によって急激に体温が下降することを熱の分利という 『発熱の機序』 外因性発熱物質(細菌,ウイルス,真菌など) ↓ 白血球が内因性発熱物質(インターロイキンⅠ)を産生 ↓ 視索前野‐視床下部前部領域に作用してプロスタグランジンの産生 ↓ プロスタグランジンにより,温ニューロンの活動抑制 冷ニューロンの活動促進 ↓ 体温が上昇 ≪暑熱馴化≫ ・発汗量の増大,皮膚血流量の増大,代謝量の低下,汗中の NaCl 濃度低下 ≪寒冷馴化≫ ・非ふるえ産熱増大,基礎代謝量増加など *動物では皮下脂肪の増大,体毛・羽毛の密生等 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 46 【泌尿器】 ★大まかな流れ:腎臓→腎杯→腎盤(腎盂)→尿管→膀胱→尿道 ★腹膜後隙もしくは腹膜下隙器官である *尿道の一部を除く 【腎 臓】 ・左右一対で右腎はやや低位 *左腎 T11 の高さ,右腎 T12 の高さ ≪各部名称≫ ①線維被膜 :腎臓の表面 ②皮質 :腎小体がみられる ③髄質 :腎錐体 ④腎乳頭:腎洞に突出 ⑤錐体底:腎錐体の皮質側 ⑥腎柱:皮質が錐体間に伸びた所 *腎葉:一つの腎錐体とそれを囲む皮質 ⑦髄放線(放線部) ・髄質成分が皮質へ縦走する部分 ⑧腎杯 :腎乳頭を包む杯状の管 ⑨腎盤(腎盂) :腎杯が集まってできた管・袋 a.腎洞:腎実質で囲まれた腔所 腎盤,腎杯,動静脈,脂肪組織 b.腎門:腎臓の内側縁 *腎静脈 ・腎動脈 ・尿管 などが出入りするところ ♪解剖学・生理学サブノート♪ 47 ♪ ≪腎臓を被う膜≫ A:線維被膜:腎臓の表面 *左頁の図① B:⑩脂肪被膜 *線維被膜の外側 C:⑪腎筋膜(ゲロータ筋膜) *脂肪被膜の間 ≪血管の流れ≫ ・腹大動脈→腎動脈→区域動脈→葉間動脈→弓状動脈→小葉間動脈→ 輸入細動脈→糸球体(毛細血管網)を形成→輸出細動脈→再び毛細血管網となり, 尿細管を取り巻く→小葉間静脈→弓状静脈→葉間静脈→腎静脈→下大静脈 ≪腎小体≫:(マルピギー小体) ①糸球体 ②ボーマン嚢 により構成 *腎皮質に存在 ≪腎単位≫:ネフロン ・腎小体と③尿細管で構成 ≪尿細管の流れ≫ ・近位曲尿細管→近位直尿細管→ヘンレのワナ→遠位直尿細管→遠位曲尿細管 その後集合管→乳頭管→腎乳頭へ開口→腎杯→腎盤→尿管へ ♪解剖学・生理学サブノート♪ 48 【尿 管】 ≪特 徴≫ ・腎臓(腎盤)と膀胱の間に位置する約 30cm の管 ・大腰筋の前を下行し,精巣・卵巣動脈の後を通る ・膀胱底 の後ろから膀胱へ開く ・周期的な蠕動により尿を膀胱へ送る ・粘膜:移行上皮 ≪生理的狭窄部≫ 1.腎盤から尿管への移行部 2.小骨盤入口部(総腸骨動・静脈の前面を通過する部) 3.膀胱壁の貫通部 【膀 胱】 ≪特 徴≫ 前 方…膀胱尖 * 後 方…膀胱底 その間…膀胱体 ・働き:尿の貯留,排出 ・粘膜:移行上皮 ≪膀胱三角≫ ・膀胱底の左右の尿管口と内尿道口でつくられる三角形 ・粘膜表面はつねに平滑 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 49 ♪ 【尿 道】 ≪特 徴≫ ・尿を体外へ排出する管 ・尿道括約筋:横紋筋(横紋筋) ・粘膜:移行上皮 → 多列(重層)円柱上皮 → 重層扁平上皮 ≪男性尿道≫ ・長さは 15~20cm ①壁内部:膀胱括約筋(平滑筋) ②前立腺部:射精管が開口 ③隔膜部:尿道括約筋 ④海綿体部:最も長い ≪女性尿道≫ ・長さは 3~4cm *上行性感染を起こしやすい ♪解剖学・生理学サブノート♪ 50 【尿の生成と排泄】 ≪腎臓の働き≫ 1.尿の生成と排泄 2.体液の量や組成の調節 3.内分泌機能:レニン分泌 エリスロポエチン分泌 4.ビタミン D 活性化 *イヌリンは糸球体でろ過された後は,尿細管で再吸収・分泌されないため,尿中に ≪クリアランスとは≫ ・腎臓がある物質を排泄する能力 *血液中にある物質がどのくらい尿に排出されるか *ある物質の尿中濃度,1 分尿量,ある物質の血漿中濃度により計算 *体に必要なものは値が小さく,不必要なものは値が大きくなる ≪糸球体ろ過量(GFR)≫ ・GFR はイヌリン のクリアランスに相当 *イヌリン:糸球体でろ過されるが,尿細管で再吸収も分泌もされない 尿中に出るイヌリンの量は糸球体でろ過された量と同じである. ≪腎血漿流量(RPF)≫ ・RPF はパラアミノ馬尿酸 のクリアランスに相当 *パラアミノ馬尿酸(PAH):糸球体でろ過され,さらに残りのほとんどが尿細管で分泌される 腎臓を 1 回通過する時に↑ ≪糸球体ろ過≫ ・ろ過量=糸球体血圧-膠質浸透圧-ボーマン嚢圧 糸球体濾過量に影響を与える因子 糸球体血圧・血液量・膠質浸透圧・ボーマン嚢圧 ・血管透過性・総ろ過面積 ♪解剖学・生理学サブノート♪ (90%)
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