解剖学実習 - 獨協医科大学

解 剖 学 実 習
科目責任者 松 野 健二郎
学年・学期 2学年・1学期
Ⅰ.前 文
解剖実習は臨床医学に直接役に立つ基礎であり,診療に不可欠な「観察力」の養成に最も適している。本実習はご遺
体無しには行うことは出来ない。故人が献体されたおかげで可能になるわけであり,実習を通して献体の精神と,故人
とご遺族の志をよく考えることが重要である。本学では,解剖実習を中心にして,進行に合わせて同じ領域の解剖学各
論I,IIと組織学実習を並行して行い,総合理解を容易にしている。また,従来の学習目標の中心であった「神経・筋・
骨・血管学」を半減し,「内臓学」を倍増させた。さらに,解剖学用語はラテン語から英語に切り替え,200語あまりを
必須英語としてマスターすることを課題にしている。これにより,臨床医学との,より密度の高い連携化を図っている。
なお,脳・脊髄の解剖は,別に「脳実習」でおこなうことになる。
Ⅱ.担当教員
教 授 松 野 健二郎 解剖学(マクロ)
准 教 授 上 田 祐 司 解剖学(マクロ)
助 教 高 橋 秀 雄 解剖学(マクロ)
助 教 沢 登 祥 史 解剖学(マクロ)
助 教 北 沢 祐 介 解剖学(マクロ)
教 授 楫 靖 放射線科学
教 授 兵 頭 明 夫 獨協医科大学越谷病院・脳神経外科
教 授 種 市 洋 整形外科学
非常勤講師 小 杉 一 夫 慈恵医科大学・解剖学 前准教授
非常勤講師 木 村 廣 光 国立成育医療センター 共同研究管理室 室長
非常勤講師 徳 田 信 子 山口大学・医学部保健学科 教授
非常勤講師 臼 井 要 介 医療法人明仁会 水谷痛みのクリニック
非常勤講師 米 山 博 之 ステリック再生医科学研究所 所長
Ⅲ.一般学習目標
人体の構造と機能の全体像をとらえ,各器官の肉眼レベルの構造と機能の基本的概念(仕組み・からくり)を理解す
る。さらに人間は多細胞生物であり,各器官が統合・統御されたものが一個の人体であるという真理を認識する。臓器
の個人差を知り生体の多様性を認識する。また,臨床的な重要性を意識しながら剖出を進める,スケッチにより観察力
を鍛える,希望者による実習 PBL(problem-based learning)の実施等をおこない,協調性や自己問題解決能力を鍛え,
臨床医学にむけての基礎訓練をする。そして,献体の精神を学び,人の心がわかる医師を目指す。これらを習得するこ
とにより,諸君が本学年で行わなければならない「医学生としての基礎・土台工事」を完全なものにする。
Ⅳ.行動目標
1)臨床医学に直結した解剖学を学ぶ。
2)精密なスケッチを描くことを通して,観察力を養い,形態学の面白さを味わう。
3)人体の基本的構造・構成要素について剖出・同定し,相互位置関係を説明できる。
4)組織実習や器官別講義との連携学習により,器官の肉眼的構造と微細構造との関係が容易に想像できるようになる。
5)自主的グループ実習により,協調性やリーダーシップを身につける。
6)献体されたご遺体への感謝の気持ちから倫理観を強固にし,人の心がわかる医師になる。
−246−
7)毎回の講義で指定する10語前後の解剖学用語を,必須英語として語源も含めて記憶する。
Ⅴ.講義の学習内容
回数
曜日
時限
4 18
金
3
18
金
4・5
2
21
月
3
25
4
5
1
月
日
講
義
テ
ー
マ
担 当 者
実習(1)orientation
全
員
実習(2)体表観察,皮切り(video 供覧)
全
員
3・4・5 実習(3,
4)皮切り
全
員
金
3・4・5 実習(5,
6)くび・胸・腹部の浅層(1)
全
員
28
月
3・4・5 実習(7,
8)くび・胸・腹部の浅層(2)
全
員
30
水
3・4・5 実習(9,
10)顔(1),くび・胸部
全
員
2
金
3・4・5 実習(11,
12)顔(2),くび・腋窩・大腿(1)前斜角筋切断
全
員
7
7
水
3・4・5 実習(13,
14)顔(3)くび・腋窩・大腿(2)腕神経叢(1)
全
員
8
9
金
3
9
金
4・5
9
12
月
10
14
11
6
5
実習(15)特別講義:脊椎外科と脊柱の機能解剖
種
実習(16)肩・上腕・前腕,腕神経叢(2),後半腹臥位,背部(1)
全
員
3・4・5 実習(17,
18)背部(2),上下肢後面
全
員
水
3・4・5 実習(19,
20)背部(3),上下肢後面
全
員
16
金
3・4・5 実習(21,
22)開胸:肩・腋窩・胸部内臓,肺・心切り出し,心臓外景
全
員
12
19
月
3・4・5 実習(23,24)心臓内景,肺の解剖(1),縦隔(1)
全
員
13
21
水
3・4・5 実習(25,
26)心・肺の解剖(2),上肢の切り離し(1),心臓・肺説明会
全
員
14
23
金
3・4・5 実習(27,
28)縦隔(2),上肢の切り離し(2),上腕,前腕,腕神経叢(3)
全
員
24
土
1・2・3 口頭試問1
全
員
15
26
月
3・4・5 実習(29,
30)縦隔(3),前腕・手(1)
全
員
16
28
水
3・4・5 実習(31,
32)開腹:腹部内臓(1),前腕・手(2),心臓房室分離
全
員
17
30
水
3・4・5 実習(33,
34)腹部内臓(2),前腕・手(3)
全
員
2
月
3・4・5 実習(35,
36)腹部内臓(3),前腕・手(4)
全
員
19
4
水
3・4・5 実習(37,
38)腹部内臓(4),下肢(1),前腕・手説明会
全
員
20
6
金
3
6
金
4・5
9
月
3
9
月
4・5
18
21
6
実習(39)特別講義:解剖学に基づいた炎症性腸疾患とその治療(1時間) 米
実習(40)頭部(1)頭頚部離断,下肢(2)
全
実習(41)特別講義:頭頸部の血管と脳外科における臨床解剖(13:00∼
14:00)
兵
実習(42)頭部(2)喉頭摘出,下肢(3)
全
−247−
市 山
洋
博
之
員
頭
明
夫
員
二
学
年
回数
月
22
6 11
水
23
13
金
3
13
金
4・5
14
土
16
月
3
16
月
4・5
25
18
水
26
20
27
24
日 曜日
時限
講
義
テ
ー
マ
3・4・5 実習(43・44)頭部(3)頭の切半,下肢(4)
担 当 者
全
員
実習(45)特別講義:超音波解剖学とペインクリニック(40分)
臼
実習(46)頭部(4)顎関節,横隔膜
全
員
全
員
1・2・3 口頭試問2
井
要
実習(47)ご遺族の講話
ご
実習(48)頭部(5)下顎骨・舌摘出
全
員
3・4・5 実習(49・50)腎・副腎(1)
・後腹壁(1),頭部(6)
全
員
金
3・4・5 実習(51,
52)腎・副腎(2)
・後腹壁(2),下半身の離断
全
員
23
月
3・4・5 実習(53,
54)骨盤(1)切半準備,殿部・外陰部
全
員
28
25
水
3・4・5 実習(55,
56)骨盤(2)骨盤切半
全
員
29
26
木
全
員
29
27
金
3・4・5 実習(58・59)骨盤(3)骨盤内臓ほか
全
員
30
30
月
3・4・5 実習(60・61)関節(1),骨盤(4),骨盤内蔵ほか,眼(2)
全
員
2
水
4・5
全
員
32
14
月
3・4・5 実習(63・64)耳(3),眼(3),骨盤(5),関節(3)
全
員
33
15
火
3・4・5 実習(65,
66)眼・耳・上下肢・骨盤内臓説明会
全
員
17
木
3・4・5 実習最終1次試験(145講義室集合)
全
員
18
金
3
実習(67)特別講義:断層解剖学13:00∼14:30
18
金
4
実習(68)断層解剖学演習(コンピューター室 A108,A109教室14:40 楫 ∼16:10)
ほ か 全
35
22
火
3・4・5 実習(69,
70)ラット解剖実習(微生物実習室)
全
員
36
23
水
1・2
全
員
23
水
3・4・5 実習(72)納棺(13:00∼)
全
員
6
土
文部科学大臣感謝状伝達式並びに献体登録者の集い
10 25
土
平成25年度解剖慰霊祭
31
7
34
9
1
実習(57)眼(1),耳(1)
実習(62)耳(2)関節(2)
実習(71)実習最終2次試(9:00−12:00)(145講義室集合)
楫 遺
介
族
靖
靖
員
実習時間:実習講義(1
3:00−13:45),実習前半(1
3:45−15:30),実習後半(1
6:00−17:50)。器具確認・片付
け・清掃して終了後,施錠する。
進行が遅れている班や希望者には,予め申請することにより,時間外実習を許可する。
Ⅵ.評価基準
1学期中間試験2回,2学期最終試験と出席状況,スケッチ,レポート,課題発表などにより,総合的に評価する。試
−248−
験は口頭試問,または剖出標本の筆記試験を行う。
Ⅶ.教科書・参考図書・AV資料
1)実習書:解剖実習の手引き,寺田春水・・藤田恒夫著,南山堂,¥7,
300
2)教科書:解剖学講義,伊藤隆著,南山堂,¥11,
000
3)人体解剖 カラーアトラス 第6版,McMinn 著 佐藤達夫和訳 南江堂 ¥5,
700
4)アトラス:ネッター解剖学図譜,相磯貞和訳,丸善,¥10,
000
*実習には(1)と(3)または(4)を必ず持参のこと
Ⅷ.質問への対応方法
原則,毎週17:00−18:00。時間外でも在室中で忙しくない時のみ,受け付ける。
−249−
二
学
年