31 ≪肝小葉≫:構造上の構成単位 ・血液の流れ:小葉間動・静脈→洞様毛細血管(類洞)→中心静脈→肝静脈→下大静脈 ♪ ・胆汁の流れ:肝細胞→毛細胆管→小葉間胆管→左右の肝管→総肝管 ≪機 能≫ ・代謝の中枢器官 糖・蛋白質・脂質の代謝 ・体にとって必要なものを取り入れ(合成・貯蔵),不必要なものを解毒,排泄する ≪その他≫ *肝動脈 = 栄養血管 *クッパー細胞 ・マクロファージ *伊東細胞 ・脂肪を溜め込む ・類洞圧を調節 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 32 ≪胆 嚢≫ ・肝臓の下面に位置し,胆汁を蓄え濃縮する ・胆嚢 → 胆嚢管 → 総肝管と合し,総胆管となる → 膵管と合し, 十二指腸乳頭 胆 汁 の 流 れ 総肝管 胆嚢管 総胆管 膵管 【膵 臓】 ・頭部(十二指腸側),体部(中央),尾部(脾臓側)に分けられる ・腹膜後器官である ・外分泌腺:消化酵素,重曹水を分泌 (炭酸水素ナトリウム,アルカリ液) ・内分泌腺(ランゲルハンス島):A 細胞…グルカゴン B 細胞…インスリン D 細胞…ソマトスタチン ♪解剖学・生理学サブノート♪ へ開く 33 ≪門 脈≫:機能血管(静脈血) *上・下腸間膜静脈(消化管の静脈)と脾静脈が集まり門脈となる ♪ ・門脈 → 小葉間静脈 → 洞様毛細血管(類洞) → 中心静脈 → 肝静脈 → 下大静脈 要するに消化管から吸収されたものは必ず肝臓を経由し心臓へ.もちろん脾臓も 対して肝動脈(栄養血管) 肝臓には 2 つの血管が入る A上腸間膜静脈 B下腸間膜静脈 C脾静脈 D門脈 *側腹循環* Ⅰ 左胃静脈 → 食道静脈 Ⅱ 臍傍静脈 → 腹壁静脈 Ⅲ 上直腸静脈 → 中・下直腸静脈 ◆門脈圧亢進症 *門脈を通過出来ない血液は他のルートを経由して心臓へ戻ろうとする ①食道静脈を経由・・・食道静脈瘤 ②腹壁静脈を経由・・・メズサの頭 ③中・下直腸静脈を経由・・・痔核 ・腹水:低アルブミン血症と門脈圧(類洞圧)亢進による ・脾腫:汎血球減少をきたす ♪解剖学・生理学サブノート♪ 34 【消化と吸収】 ≪糖質(炭水化物)の消化≫ 多糖類 ―――――――――→ 二糖類 ――――――――――→ 単糖類 デキストリン:デンプンとマルトースの中間.アミラーゼによりマルトースへ分解される. デンプン ―――――――――→ マルトース ―――――――――→ グルコース×2 (麦芽糖) (ブドウ糖) マルターゼ アミラーゼ ・唾液:プチアリン ・膵液:アミロプシン 小腸上皮(刷子縁) スクロース ――――――――→ グルコース + (ショ糖) *砂糖 フルクトース(果糖) スクラーゼ ラクトース ――――――――→ グルコース + (乳糖) ガラクトース ラクターゼ サッカラーゼ:スクロースを分解.フルクトースを認識して分解.スクラーゼ:グルコース側から分解. 両方ともスクロースを分解する酵素だが,機序が違う. ≪蛋白質の消化≫ あ蛋白 ――――――――→ ペプチド ――――――――→ アミノ酸 胃液:ペプシン 膵液:1.2 3.カルボキシペプチターゼ 膵液:1.トリプシン 小腸上皮(刷子縁) 2.キモトリプシン ・アミノペプチターゼ ≪脂質の消化≫ 中性脂肪(トリグリセリド) ――――→ 脂肪酸 + グリセロール or モノグリセリド リパーゼ 小腸上皮(刷子縁):腸リパーゼ 膵液:ステアプシン ♪解剖学・生理学サブノート♪ 35 ♪ ≪消化部位での分類≫ 1.唾 液 ・糖の分解:プチアリン 2.胃 液 ・蛋白質の分解:ペプシン 3.膵 液 ・糖の分解:アミロプシン,マルターゼ ・蛋白質の分解:トリプシン,キモトリプシン,カルボキシペプチターゼ ・脂質の分解:膵リパーゼ(ステアプシン) 4.小腸上皮細胞(刷子縁と細胞質) ・糖の分解:マルターゼ,スクラーゼ,ラクターゼ ・蛋白質の分解:アミノペプチターゼ ・脂質の分解:腸リパーゼ *胆汁:主な成分は胆汁酸塩と胆汁色素.消化酵素は含まない. ≪吸 収≫ ・90%が小腸 で行われる.残りは胃と大腸 『1.糖 質』 ・単糖類まで分解され,二次性能動輸送 ・拡散により血管内へ により吸収 『2.蛋白質』 ・アミノ酸もしくは小ペプチドとして,二次性能動輸送 により吸収 *小ペプチドは細胞内でアミノ酸に分解される ・拡散により血管内へ 『3.脂 質』 ・脂肪酸,モノグリセリド,グリセロールに分解 グリセロールや分子量の小さい脂肪はそのまま吸収され,血管内へ. 脂肪酸とモノグリセリド 1.胆汁酸塩 に溶け込んで混合ミセル となり, 2.刷子縁 で細胞膜に溶けて細胞内部に拡散する. 3.細胞内でトリグリセリドに再合成される. 4.アポ蛋白と結合し,カイロミクロンとなり,リンパ管 拡散で小腸の細胞に入り,エクソサイトーシスでリンパ管へ *グリセロール:そのまま吸収 コレステロールや脂溶性ビタミンもミセルに溶解して吸収 カイロミクロン:蛋白質・リン脂質・コレステロール・トリグリセリドの合体 ♪解剖学・生理学サブノート♪ へ入る. 36 ≪各栄養素の働き≫ 1.糖 質:エネルギー源 2.蛋白質:人体を構成する主成分 3.脂 質:エネルギー源の貯蔵,細胞膜の構成成分など ≪消化管ホルモン≫ 1.ガストリン:塩酸・ペプシノゲンの分泌促進 胃の運動促進 胃に蛋白性の食物が入ると,幽門部にある G 細胞が刺激され分泌 2.セクレチン:膵液(重曹水)の分泌促進・・・酸を中和 肝臓での胆汁分泌を促進 *重曹とは炭酸水素ナトリウム(弱アルカリ性) 3.コレシストキニン:膵液(消化酵素)の分泌促進 胆嚢を収縮,胆汁排出を促進 2 と 3 は十二指腸と小腸上部の細胞から分泌 ≪肝臓のはたらき≫ *機能:代謝の中枢器官.糖・蛋白質・脂質の代謝 ①貯蔵 :グリコーゲン,中性脂肪,ビタミンなど *必要に応じて全身にグルコースを供給する ②合成 :蛋白質(アルブミン,血液凝固因子など),酵素,リポ蛋白など ③排泄・解毒 :ビリルビンを抱合,ホルモンの不活化, アンモニアを尿素へ変換,薬物・毒物の解毒など ④胆汁の生成 ≪胆 汁≫ *主に胆汁酸塩と胆汁色素で構成される ・胆汁色素の大部分は直接ビリルビン ・胆汁酸塩は肝臓でコレステロールから生成される ・食物中の脂肪を乳化し(エマルジョン),消化を助ける # 消化酵素は含まない ♪解剖学・生理学サブノート♪ 37 【代 ♪ 謝】 ◆代謝とは? 語源的に“変化”を意味する 生体内で栄養素が受けるすべての化学的変化とエネルギー変換を意味する ≪三大栄養素≫ ・糖質,蛋白質,脂質 ≪脂溶性ビタミン≫ ・A,D,E,K ≪中間代謝≫ 『吸収期』 (食後の約 3 時間) ・摂取したグルコースからエネルギーを生成 ・グリコーゲンとして貯蔵.余分は脂肪組織へ ・蛋白質の合成 『空腹期』 ・貯蔵栄養素からエネルギーを生成 ・グリコーゲンをグルコースに変換 ・糖新生 :ピルビン酸,乳酸,グリセロール,アミノ酸からのグルコース生成 ・脂肪酸の利用 *神経以外の細胞:β酸化によりエネルギーを生成 *神経系:肝臓で生成されるケトン体を利用 ≪エネルギー代謝量≫ ・呼吸商(RQ):CO2 / O2 *糖質 = 1.0 脂質 = 0.7 ・アトウォーターの係数 *糖質 = 4.1kcal 蛋白質 = 0.8 脂質 = 9.3kcal 蛋白質 = 4.2kcal ≪基礎代謝(率)≫ ・覚醒時の生命の維持に必要な最小限のエネルギー量 *睡眠代謝:平均すると基礎代謝の 90%に低下 基礎代謝:精神的肉体的安静状態,摂食後 12~14 時間後,20~25℃の快適な室温 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 38 【呼吸器】 ★大まかな流れ: 鼻 → 咽頭 → 喉頭 → 気管 → 気管支 → 肺 ≪鼻 腔≫ ・構成する骨:篩骨,鋤骨,下鼻甲介,上顎骨,涙骨,口蓋骨,蝶形骨,鼻骨,前頭骨 ・嗅細胞:上鼻道の上壁.嗅神経となり篩板を貫く ≪副鼻腔≫ ①蝶形骨 洞:鼻腔の後上方に開く ②篩骨 洞:中鼻道,上鼻道に開く ③前頭 洞:中鼻道に開く 洞:中鼻道に開く ④上顎 *副鼻腔のうち最も大きい ≪耳管咽頭口≫ ・咽頭鼻部にあり中耳と通じる ≪喉頭軟骨≫ A 甲状 ○ 軟骨:喉頭軟骨のうち最大.喉頭隆起をつくる B 輪状 ○ 軟骨 C 披裂 ○ 軟骨:左右一対 D 喉頭蓋 ○ 軟骨 * 硝子軟骨:ABC *但し,C は弾性軟骨もある 弾性軟骨:D 鼻軟骨は硝子軟骨 *声帯ヒダ:A と C の間に張る ≪粘 膜≫ ・鼻腔:重層扁平上皮から多列線毛円柱上皮へ ・気管:多列線毛円柱上皮 単層円柱上皮→単層立方上皮 ♪解剖学・生理学サブノート♪ 39 ♪ ≪気管と気管支≫ *23 回分枝する *気管→気管支→葉気管支→区域気管支→細気管支→… …→終末細気管支→呼吸細気管支→肺胞管→肺胞嚢 ・気管軟骨:硝子軟骨 *吸細気管支から肺胞がみられる.終末細気管支までは死腔. ◆右気管支:太く短い.垂直に近い走行 3 本の葉気管支に分岐 → 10 本の区域気管支に分岐 ◆左気管支:細く長い,2 本の葉気管支,9 本の区域気管支 ≪ 肺 ≫ ・右肺:3 葉に分けられる.斜裂と水平裂 ・左肺:2 葉.斜裂によって分けられる によって分けられる ≪肺 胞≫ *血液と空気の間でガス交換が行なわれる ・Ⅰ型肺胞細胞:ガス交換 ・Ⅱ型肺胞細胞:界面活性剤を分泌 *表面張力を低下させ,肺胞がつぶれようとするのを防ぐ ≪血 管≫ ・肺動脈:機能血管 ・気管支動脈:栄養血管…肺実質には分布しない.終末細気管支まで ♪解剖学・生理学サブノート♪ 40 【呼 吸】 ≪呼吸運動≫ ・安静時吸息:横隔膜・外肋間筋の収縮 ・安静時呼息:上記の筋の弛緩 ・努力性吸息:斜角筋,胸鎖乳突筋,大胸筋など ・努力性呼息:内肋間筋・腹筋群など ≪内 圧≫ ・肺胞内圧:吸息時…陰圧 呼息時…陽圧 ・胸膜腔内圧:常に陰圧 ≪ガス交換≫ *酸素の取り入れと二酸化炭素の排出 ・どこで行われるか:肺胞 ・どのように行われるか:拡散(受動輸送) ≪肺容積≫ ・全肺気量 = 肺活量 + 残気量 ・肺活量 = 予備吸気量 + 1 回換気量 + 予備呼気量 ・機能的残気量 = 予備呼気量 + 残気量 *実際にガス交換が行われる量は↓ 肺胞換気量 = 1 回換気量 - 死腔量=肺胞換気量 『1 秒率』 :1 秒間にどれだけ息を吐き出せるか ≪ヘーリング-ブロイエル反射≫ ・肺がふくらむ → 肺の伸展受容器興奮 → (求心性)迷走神経 → 上位中枢(橋)から延髄の吸息ニューロンへ抑制性の信号を送る ≪呼吸中枢≫*さらに上位からの調節を受けている ・延髄(吸息ニューロンと呼息ニューロン) ♪解剖学・生理学サブノート♪
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