財務管理[4] (課題1) A 社は次の表のような投資プロジェクトを計画している。利子率が 20%のと き、実行できるプロジェクトはどれか。 期間 初期(最初の)投資額(億円) 毎年の予想収益(億円) プロジェクト X 2 年 300 216 プロジェクト Y 3年 1900 864 プロジェクト Z 4年 3200 1296 預金と投資 100 万円を1年間、銀行の定期預金に利率1%で預けることを考える。 →いま 100 万円を預金(投資)することにより、1年後に 101 万円の現金を得 ることができる。 →差額の1万円は、1年間の預金(投資)による(利子)収入である。この預 金(投資)の収益率は1%である。すなわち、 収益率 = 1年後に得られる現金収入 − 現在おこなう現金支出 現在おこなう現金支出 である。したがって、 現在おこなう現金支出 × (1 + 収益率) =1年後に得られる現金収入 となる。収益率のことをリターンともいう。 預金にしろ投資にしろ、現在、現金支出をおこない、将来、現金収入を得る という行動であるといえる。現金のことをキャッシュという。したがって、こ のプロセスは、キャッシュの流出入のプロセスと考えることができる。 現金支出(流出)をキャッシュ・アウトフロー、現金収入(流入)をキャッ シュ・インフローという。両者を合わせてキャッシュフローという。これらの 言葉を使って上の式を書き換えれば、 現在のキャッシュ・アウトフロー × (1 +リターン) =1年後に得られるキャッシュ・インフロー である。 1 お金の時間価値 上の例では、 「利子率が1%のとき、現在の 100 万円を銀行預金にすると、1年後に 101 万 円になる。 」 ということである。式で表せば、 100 × (1 + 0.01) = 101万円 である。この式は、 「利子率が1%のとき、現在の 100 万円は1年後の 101 万円と等しい」 ということを表していると考えることができる。これを次のような言い方をす ることもできる。 「利子率が1%のときの、 1年後の 101 万円の割引現在価値は 100 万円である。 」 財務では将来得られると予想されるキャッシュフロー(現金収支)をどのよ うに評価するかがポイント。 →将来のキャッシュフローが、現時点でどれだけの価値があるかを求める必 要がある。 (現在価値の意味) 利子率が2%のとき、いま 100 万円受け取るのと、1年後に確実に 100 万円 受け取るのと、どちらを望むか? →いま 100 万円受け取って預金すれば、利子率が 2%だったら、1年後には 102 万円受け取れる。1年後に 100 万円受け取れば、100 万円のまま。 →いま 100 万円が手元にあるのと、1年後に 100 万円が手元にあるのとで は、いま現在 100 万円が手元にある方が、価値が高いとみなされる。 同一金額であっても時点が異なる場合は、その価値は異なる。 (例題1) 利子率が2%のとき、いま 98 万円受け取るのと、1年後に確実に 100 万円受 け取るのと、どちらが得か? →いま受け取った 98 万円を利子率 2%で預金すると、1年後には利子を含めて、 98 万円×(1+0.02)=99.96 万円≒100 万円 ほぼ 100 万円になる。 →したがって、いま 98 万円受け取るのと、1年後に確実に 100 万円受け取るの 2 は、同じことになる。 →どちらでも同じという結論になる。 上の例は、1年後の 100 万円を現在の価値で評価すると 98 万円と等しいこと を意味する。これを、 「利子率が 2%なら、1年後の 100 万円の現在価値は 98 万円である」という。 現在価値の計算 1年間の利子率が 2%のときの1年後の 100 万円の現在価値を求める。 1年後の 100 万円の現在価値= 100万円 ≒98 万円 1 + 0.02 この計算で、利子率のことを割引率ともいう。 現在価値の計算をより一般的に書くと以下のようになる。t年後の C 円の現 在価値は、年間の利子率を r とすれば、 C t 年後の C 円の現在価値= (1 + r ) t (複利計算と割引計算) 現時点の元金を PV(Present Value) 、年利子率を r とすれば、利子を1年間 に1回だけ元金に繰り入れる複利計算による t 年後の元利合計(元金+利子) FV(Future Value)は、 t個 FV =PV(1+r) (1+r) (1+r)・・・(1+r) =PV(1+r)t と求められる。 この複利計算の式を逆に考えたものが割引計算の式である。つまり、t 年後の 元利合計 FV の現在価値 PV は、 1 PV= FV (1 + r) t と求められる。 3
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