アクセルを踏むな、ブレーキを緩めよう。

2012 年 9 月(50 号)
アクセルを踏むな、ブレーキを緩めよう。
「ISO ガイド 83」
ISO ガイド83 は正式に発行されることはなく
ISO/IEC Directives Part 1 のAnnex SL の中に取
り込まれた。なんとなく『統合』システムが作られ
るのではないかという期待があったが,単にHigh
Level(と言っても規格の上位構造(ハイレベル)
即ち要求事項の並べ方)という「目次」の作り方が
決められただけのようで,経営者の期待には応えて
いないのではないかという印象である。
規格テキストのテンプレートappendix 3 の中身
を見ると単に「XXX マネジメントシステム」「XXX
方針」というテンプレートが出来てそこにXXX の代
わりに「品質」「環境」「安全」「情報セキュリテ
ィー」などを入れたものが規格なので,それぞれの
セクターの縄張りの妥協の産物と言った感じが否
めない「当社のマネジメントシステム」という統合
システムを作り認証する規格への期待は夢のかな
たに行ってしまった。
単機では日本最大の 65MW 出力を持つ
「東北電力柳津西山地熱発電所」
お客様の会(2012.09.06-07)
ここ何年かP.ドラッカーやS.コヴィーの本が世
界的にもベストセラーとなって,ISO に携わった
方々が「マネジメント」に目覚めたのではないかと
ほのかな期待を抱いていたのだが,問題として取り
上げてきた「目的」「目標」「力量」「有効性」な
ど重要なマネジメントの要素が組織や,審査員の考
え方によって変わってしまう結果を是正できなか
ったことは,相変わらずシステム導入,実行,そし
て「効果」に影響を与えるだろう。
下流に汚水を流さないクローズドシステムの
あいづダストセンター柳津管理型最終処分場
お客様の会(2012.09.06-07)
9 月 6-7 日福島県会津若松市でお客様の会・研修会
を開きました。
福島県で県内業者初の優良性評価制度適合事業所
に認定された「株式会社あいづダストセンター」の
管理型最終処分場と単機では日本最大の 65MW 出力
を持つ「東北電力柳津西山地熱発電所」を見学し,
廃棄物問題,新エネルギーの利用問題を考える機会
となりました。
風評被害を受けた東北地方に一人でも多く訪問者
をという地元の願いにほんのちょっとだけお応え
出来ました。
要求事項までがおかしくなっている。肝心の「予
防処置」はどこへ行ったのだろう。システムの考え
がそもそも予防にあるなどと無茶な事を言ってい
るようだが,それならばそもそも経営はマネジメン
トシステムがあるのが当たり前だからISO など規
格は不要であるという人が出てもおかしくはない。
我々が審査で見たいのは「予防処置を取ったか」
ではなく「予防処置の必要性を評価する(今の要求
事項)プロセスが機能したか」である(今回の原子
力発電所の事故はまさにその評価が出来ていなか
ったこと―想定外としてしまったこと―にある)。
筆者はこのところ被災地の東北地方で色々な復
興事業にマネジメントをベースとして関わってい
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るが,決定的なダメージを受けた多くの企業・組織
そして個人の中で(物質的にも精神的にも)早く立
ち直れる人とそうでない人の違いが見られる。早く
立ち直れる人が持っている共通点はまさにOECD が
言っている3 つのキー・コンピテンス(力量)と、
欠くべからざる資源(ソシアル・キャピタルという
リソース)を常日頃用意してきている点にある。
ISO 14001:2004 (4.1.1)の記述 ・・shall ensure
the availability of resources essential to ・・・
の記述と今回の7.1・・・・determine and provide
the resources needed for・・・・の重さの違い,
関係者はどう考えているだろう。
appendix 3 の 3.08 “OBJECTIVE“については目的
と翻訳してよいか? 英文の記述そのものにも大い
に疑問が残る。「目的と目標」その混同が「効果」
に影響する。ISO/IEC Directives Part 1 Annex SL
appendix 3 の 3.08 “OBJECTIVE“についてまず英
文:
3.08 objective:result to be achieved
NOTE 3 to entry: An objective can be expressed in
other ways, e.g. as an intended outcome, a purpose,
an operational criterion, as an XXX objective or by
the use of other words with similar meaning (e.g.
aim, goal, or target).
昨年来マネジメントの父と言われるドラッカー
の著作が脚光を浴びているが,彼の著作では
Objective と Purpose とを使い分けており日本語訳
(注 1)
はそれぞれ目標・目的で一貫している。そして
ドラッカー自身も「目的」と「目標」とは混同する
なと言っている。ぜひ JIS 化するに当たっては ISO
での英語の何が日本語の「目的」「目標」なのかを
明確にして,区別していただきたい(注 2)。
ドラッカーの有名な次の言葉は、その違いを表現
している。
「企業にとって、利益は存続の手段となり得ても目
的になり得ない。仮に、企業にとって唯一共通の目
的があるとすれば、それは顧客の創造である」そし
て目標(OBJECTIVES)は、目的に到達するための手段
であるという位置づけである。
「同じような意味を持つ別の言葉【例:aim,goal,
target】で表すこともできる」という意味は,
Objective を日本語での目標とするときに,目的を
達成するための手段としての aim(狙い)があり,
その目標達成の完成度としての goal(到達点),そし
て次の目標の target(的)を設定するというプロセ
スの中でつかわれるという意味であると期待した
い。
この日本語訳(規格協会発表)
目的(Objective):達成すべき結果
注記 3 目的は,例えば,意図する成果,purpose
(目的),運用基準など,別の形で表現することも
できる。また,XXX 目的という表現の仕方もある。
または同じような意味を持つ別の言葉【例:aim(狙
い),goal(到達点)
,target(目標)で表すことも
できる】
(そしてこれについては規格協会としての注が和
文にはついているが“分野(品質とか環境とか)固
有の背景で日本語が目的になったり目標になった
りしている。固有の背景,文脈などを踏まえて“目
的”または“目標”のいずれかを選択することが望
ましい“としている。本当に意味のある固有の背景
なのかは筆者には理解できていない)
目的というものは必ずしも到達点そのものに達す
ることはできないがその指標の一つとして目標と
いう測定可能な結果を設定することができる。
このままだと,今後の JIS では「目的」と「目標」
との区別をしないことになってしまう。本当にその
ような解釈でいいのか。英文に注記があっても日本
語には注記はこの場合不要ではないか。
(注1)翻訳者が上田淳生さんでドラッカーが日本で最も親しい
人・分身と言っている。
(注 2)英語では Objective と例えば aim,goal,target が同じよ
うな意味かもしれないが,日本語の目的,狙い,到達点,目標は同
じではないことに注意が必要である
審査という判定可能性を重視するならば
「OBJECTIVE」は「目標」と翻訳するのが正しい。
「目的」はシステムを貫くあるべき方向と行動の原
則的なものとして組織の purpose(目的)に適切な
方針に整合した objective(目標)を設定する。
(5.2,
6.2)で十分であろう。
ガイド 83 に基づくすべてのマネジメントシステム
を共通化し,効果的であるようにするために
6.2 XXX 目標及び達成計画
と統一してほしい。
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マネジメントの立場からは「目的」
「目標」(日本語ではこれ以外にことばがないが英語その他には
objective,purpose,aim,goal,target・・・といくらでも使えるのかもしれない。今では日本語
の「目標」は「objective」に統一されつつある)の区別が絶対に必要である。
“ガイド 83”では objective 一語になったので,この際日本語もこれを「目標」と対応させればよ
い(矛盾は全くない筈)
。新しい法律の一例をあげよう:
教育基本法((平成十八年十二月二十二日法律第百二十号)
)
(教育の目的) 第一条
教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身
ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
(教育の目標) 第二条
教育はその目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次にあげる目標を達成するよう行われる
ものとする。
一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健
やかな身体を養うこと、
ニ 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、
職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
三 正義と責任、男女の平等、自他に敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に
社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国
際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
この目標(strategic なものが列挙されている)を具体化するために tactical,operational な目
標が設定され各領域・レベルそれぞれに target,goal,aim が作られる。
(英文でも Note to entry としてこのように言っているような気がするのだが・・・)
そう、ブレーキを緩めれば車(システム)は自然
に前に進みます。
ミッションステートメント
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意図を正確に伝え CUSTOMER(顧客)
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