アセットマネジメント(資産管理)とは 定義 水道におけるアセットマネジメント(資産管理)とは、「水道ビジョンに掲げた 持続可能な水道事業を実現するために、中長期的な視点に立ち、水道施設のライフサ イクル全体にわたって効率的かつ効果的に水道施設を管理する体系化された実戦活 動」を目指す。 【厚生労働省:水道事業におけるアセットマネジメント(資産管理)に関する手引きより】 目的 ①中長期的な視点を持って水道資産の管理運営が実践されること。 ②アセットマネジメントの実践を通じて、維持管理、計画及び財務等の各担当が、更 新投資の必要性や財源確保について共通認識を持つこと。 ③まずできることからアセットマネジメントを実践し、その実践により明らかとなっ た課題を解決することにより、資産管理水準の継続的な向上につながること。 ④財源の裏付けを持った更新需要見通しを作成することで、水道施設への更新投資が 着実に実施されること。 実施体制 アセットマネジメント(資産管理)の実 施にあたっては、各種データの整備、個別 施設の維持管理・診断評価、更新需要・財 政収支見通しの検討、地域水道ビジョン等 への反映や水道利用者への情報提供など、 水道事業全般に関わる活動であることか ら、業務範囲が非常に幅広く、かつ、専門 的な知識・知見が必要となる。 したがって、アセットマネジメント(資 産管理)の実施においては、当該水道事業 の組織全体で一体となった取り組みを行 う必要がある。 特に、水道法に規定する水道技術管理者 の役割は重要であり、水道技術管理者がア セットマネジメントの実施において中心的な役割を果たしつつ、組織全体で統制のと れた活動を行う。 -1- アセットマネジメントの検討期間 中長期的な更新需要及び財政収支の見通しの検討期間は、施設の耐用年数や更新財 源としての企業債の償還期間を考慮して、30~40 年程度とすることとなっている。 北広島市が平成 21 年度に厚生労働省に提出したアセットマネジメント調査に合わ せて、平成 62 年度までとする。 【アセットマネジメントと地域水道ビジョン等の各種計画との関係図】 資産管理水準の段階的向上 アセットマネジメント(資産管理)の実践にあたっては、理想とすべき資産管理の 水準を念頭におきつつも、現状のデータ整備状況等を勘案しつつ、まずは実施可能な 手法で実践することが重要である。 一部の施設に関して、必要情報の整備(基礎データ整備)やミクロマネジメントの 実施(施設の診断・評価等)に不十分な点がある場合でも、多少の精度の粗さは認識 した上で、簡略化した手法を用いること等によって、マクロマネジメントの実践、す なわち中長期の更新需要及び財政収支見通しの検討は十分可能である。 厚生労働省の本手引きでは、基礎データ等の整備状況に応じてマクロマネジメント の検討手法を複数示しており、いずれかの検討手法を選択し実践することにより中長 期の更新需要及び財政収支見通しを定量的に把握できるようにしている。 その一方で、アセットマネジメントの実践を一過性の取組で終わらせるのではなく、 マクロマネジメントの成果について自己評価するとともに、必要情報の整備やミクロ マネジメントの実施、マクロマネジメントの実施それぞれに関する改善方策を抽出し、 継続的な改善を図っていくことにより、アセットマネジメント(資産管理)全体の水 準を段階的に向上させていく必要がある。 -2- 北広島市の検討方法:タイプ2B -3- アセットマネジメントのフロー S 水需要予測 将来人口の設定 将来水量の推計 事業計画 資本的収支の条件設定 ・継続事業 ・新規事業 ・更新事業 事業の財源計画 各費用項目の設定 収益的収支の条件設定 各費用項目の設定 料金設定・様式の整理 様式 9-1 財政収支実績 様式 9-2 料金据置ケース E -4- 様式 9-3 財政確保ケース ○水需要予測 条件 P2を参照 ■平成 16 年の事業再評価を踏襲 ■将来の給水人口 ・平成 32 年度まで ・平成 33 年度以降 北広島市総合計画(第 5 次)の数値 社会保障人口問題研究所による北広島市の将来推計値 ■将来水量の推計 生活用・業務用・工場用・その他用、水量を推計 過去 15 年間の時系列分析(トレンド式 5 式) ①年平均増減数式 ②年平均増減率式 ③修正指数曲線式 ④べき曲線式 ⑤ロジスティック曲線式 推計結果 ○人口の推計結果:平成 32 年度 最大 60,578 人 ○水量の推計結果:平成 40 年度 平成 40 年度 1 日最大給水量 1 日平均給水量 業務用:平成 36 年度から開発分加算 ①地下水転換分 P10を参照 20,318 ㎥/日 16,742 ㎥/日 P21 を参照 P21 を参照 P16 を参照 ②開発水量 工場用:平成 35 年度から地下水転換分加算 P17 を参照 料金水準と財政収支見通し (平成 20 年度まで決算額、平成 21 年度・22 年度予算額で積算) -5- ○資産の状況 ■資産の現状把握 P4~13 を参照 とつごう ・業務課の資産台帳と、水道施設課の管路調書・マッピングデータを突合し整理 水道ビジョン・アセットマネジメントが想定する程、詳細なデータではなかった。 ■現行計画の整理 P14~18 を参照 財政計画(第 5 期拡張事業、老朽管更新事業、配水施設改良事業、配水管移設事業、 消火栓設置事業)に基づき、建設改良事業を執行(平成 23 年度~平成 30 年度) ■資産の将来見通し 更新を実施しなかった場合 P19~26 を参照 構造物・設備の場合 ・平成 62 年度までに、現有資産(平成 22 年度)の健全度の変化を評価 現有資産(3,463 百万円) ①健全資産 ②経年化資産 ③老朽化資産 93.0%(3,220 百万円) 平成 32 年で 67.9% 平成 42 年度 63.3% 4.7%(163 百万円) 2.3%(80 百万円) 平成 32 年で 11.3% 平成 42 年度 31.0% 管路の場合 ・平成 62 年度までに、現有資産(平成 22 年度)の健全度の変化を評価 対象管路(373.2km) ①健全資産 99.8%(372.6km) 平成 32 年で 85.6% 平成 42 年度 59.3% ②経年化資産 ③老朽化資産 0.2%(0.6km) 平成 32 年で 14.5% 平成 42 年度 40.6% 0.0%(0.0km) 法定耐用年数で更新を実施した場合 P27~34 を参照 同様に変化を評価 優先度に応じた更新需要を設定した場合 P35~P45 を参照 同様に変化を評価 -6- ○財政収支の見込み ■更新事業は、重要度優先度を考慮した耐用年数を設定 検討条件 P1~6 を参照 ①平成 22 年度までは、決算数値 ②平成 23 年度から平成 30 年度までは、財政計画 ③平成 31 年度以降は、水需要予測の検討結果を踏まえ、将来値を設定 P5~6 を参照 ■検討結果 その 1 資金ショート 平成 51 年度(現行の料金水準を保持した場合) ■検討結果 その 2 資金ショート 平成 48 年度 水需要予測による将来水量は、事業全体を見据え、実績水量に基づくすう勢分によ る需要水量に、業務用・工場用の新規開発分と工場用の地下水転換を加算 料金収入の観点からは、確実な視点が不可欠 ■すう勢分のみを見込んだものとする。 ※供給単価・給水原価の算定は、決算とは一致しない。(アセット用の数値) シュミレーション上は、平成 48 年まで料金改定しなくても・・・・・ ○会計上可能かどうか検証する必要があります。 アセットマネジメントの資料 A3版のP26 で説明します。 (シュミレーション上での話です。) ★収益的収支では、H27 から赤字になり、 H33 までには、累計△1,030,293 千円となります。 修繕引当金 251,463 千円を取り崩して経費を圧縮し、 保有する利益積立金(422,526 千円)に、 H23 から H26 までの当期純利益 205,332 千円を全額利益積立金に積立し、再計 算すると、150,972 千円の欠損金残高が残ります。 結果、収益的収支では、H32 まで運用できるのではないかと考えられます。 -7- ★一方、資本的収支ですが、毎年度、不足が生じ、その補填財源として内部留保資金 と減債積立金・建設改良積立金により財源充当して運用しています。 P26 のした、資金収支の差引①+②の H23 度を確認してください。 △27,447 千円となっています。この赤字は、減債積立金 50,000 千円取り崩す予 定でおります。 H24 度をご覧ください。△133,806 千円となっていますが、減債積立金と建設改 良積立金の取崩で財源充当できるようです。 H27 度をご覧ください。△219,800 千円となっています。減債積立金を企業債償 還額の限度額 64,000 千円取り崩し(財政計画とは違う)、残り 155,800 千円の補 填財源が問題となります。 計画を変更し、H23 から H26 までの当期純利益 205,332 千円を全額建設改良資 金に積立る。(条例(案)とは違います。シュミレーション上の話です。) 減債積立金の取り崩しを H24 から企業債償還額の限度額に変更。これで、H30 ま で目途がつきます。 収益的収支と資本的収支の両方が、運用できなければ、水道事業は成り立たないこと になります。 アセットマネジメントと現金 アセットマネジメントでは、1,476,959 千円の全てを資本的収支の不足額に利用で きるとしているが、現実は、制限があります。 また、H26 から会計制度が変わり、退職手当引当金の計上、みなし減価償却の廃止 など経費が増えることになります。 現在の財政計画は、H23 から H25 ですので、次期財政計画がキーポイントとなり ます。 -8-
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