第 章 1 章 第 3 章 ネットワークの概要 第 第1章 2 ▼ 学習のポイント 4 章 実際のネットワークがどのような構造になっているか物理的な視点から 第 この章ではネットワークの種類、形態、基本的な構成について学習します。 ネットワークの全体をイメージすることはとても重要になります。 第 章 5 第 章 6 第 章 7 第 章 8 第 章 9 第 章 10 1 ネットワークの概要 1 2 ネットワークの形態 1 3 一般的なネットワークの構成 INDEX 1 1 1 1-1 1 ネットワークの概要 ネットワークの利用形態 コンピューターネットワークとは、複数台のコンピューター同士がケーブルなどで網目 状に接続されたネットワークのことです。 たとえば、家庭内で 2 台のコンピューターを接続する場合を考えてみましょう。それぞ れのコンピューター同士を LAN ケーブルで接続すれば、コンピューターが離れた部屋に 設置してあっても、それぞれコンピューターに接続されているプリンターやファイルの共 有が可能なネットワークとして機能します。 このように、コンピューターネットワークは、接続するコンピューターが 2 台でも数台 でも数百台でも、考え方は同じです。コンピューター同士をプリンターなどの資源も含め、 接続機器を介してケーブルで接続します。 ネットワークを理解するには、接続するための技術や知識を修得するだけでなく、ネッ トワークのトラブル対策やセキュリティ対策も含めた、全体構造に目を向けていくことが 必要です。 ネットワークを利用する場所からみると大きく 2 つに分類されます。 ■ ホームネットワーク(家庭向け) ■ エンタープライズネットワーク(企業向け) 1 1-2 ホームネットワークとエンタープライズネットワークの違い それでは、ホームネットワーク(家庭向け)、エンタープライズネットワーク(企業向け) の違いについて見ていきます。 ホームネットワークとエンタープライズネットワークの違い ■ 使用する機器、回線、アプリケーションの種類 ■ ネットワークの物理的な規模 ホームネットワーク(家庭向け)では、ネットワークの回線として ADSL や光ファイバー 22 第1章 ネットワークの概要 第 章 1 などを使用し、e メールや Web サイトの閲覧が中心となります。電話に関しても通常の電 第 話回線で通話や FAX をするケースが大半になります。 一方、エンタープライズネットワークでは、インターネット回線だけでなく、内線電話 章 2 ※ 用の IP 網が存在します。また、各拠点間の通信のための回線も必要になります。各地区の 拠点を回線で結んだり、グローバルな企業になれば、世界中の都市に点在する拠点同士を 第 ネットワークで結ぶことも珍しいことではありません。 章 3 次に、使用しているアプリケーションに注目してみます。エンタープライズネットワー クでは、e メール、Web サイトの閲覧はもちろんのこと、グループウェア、社内ポータル、 第 業務アプリケーションなど様々なものが使用されています。 章 4 このように、家庭向けと企業向けでは、使用されている回線やアプリケーション、規模 第 などに大きな違いがあります。さらに、企業向けに導入するネットワーク機器は、高性能 で高い信頼性が求められます。最近では、セキュリティを考慮することも当然の事柄になっ 章 5 ています。 第 インターネット 章 6 ISP ADSL FTTHなど L2スイッチ 第 アクセスルーター 章 7 図 1-1 ホームネットワーク 第 章 8 第 章 9 第 章 10 INDEX 第1章 ネットワークの概要 23 L2スイッチ IP電話 L3スイッチ L2スイッチ L2スイッチ L2スイッチ L3スイッチ L2スイッチ L2スイッチ ファイヤー ウォール DMZ L3スイッチ 公開サーバー群 インターネット ISP L3スイッチ WAN アクセスルーター 支社・営業所 マシンルーム 図 1-2 エンタープライズネットワーク ※ IP 網とは、IP プロトコルを使用したネットワーク網。 24 第1章 ネットワークの概要 サーバールーム 第 章 1 1 1-3 通信事業者向けのネットワーク 第 ISP(インターネットサービスプロバイダー)と呼ばれる企業、団体が提供しているネッ 章 2 トワークになります。 代表的な通信事業者(キャリア)としては、NTT や KDDI、ソフトバンクテレコムなど 第 があります。 章 3 このネットワークは、いわゆる WAN と呼ばれる部分になります。WAN 回線を個人・ 第 企業を対象にしたサービスとして提供するためにネットワークを構築しています。 ※ 4 章 代表的なサービスとして、専用線、IP-VPN、広域イーサネットなどがあります。規模と しては大規模で高い信頼性が求められます。 第 ※専用線、IP-VPN、広域イーサネットについては第 9 章で説明します。 章 5 第 章 6 第 章 7 第 章 8 第 章 9 第 章 10 INDEX 第1章 ネットワークの概要 25 1 2 ネットワークの形態 ネットワークは、範囲に応じていくつかの区分けがされています。 1 2-1 LAN LAN とは、Local Area Network の略です。 ビル内やオフィス内など、私有地内でコンピューター同士を接続したネットワークのこ とです。私設ネットワークのため利用料金は電気代等の維持費用だけです。 公衆電話網や公衆データ網などと違い、LAN はネットワークの規模が制限されています ※ が、伝送速度が 10Mbps から 1Gbps と、公衆電話網等と比較して一般的に高速な通信を実 現することができます。 ※ bps とは? 通信回線を通じてデータを転送するレートのことを伝送速度といい、単位には bps が使用されます。 bps は、bits per second(ビット/秒)の略で、1 秒間に送ることができるビット数を表します。通 常、伝送速度の単位にこの bps を使用します。 1 2-2 WAN WAN とは、Wide Area Network の略です。 WAN は、本社-支店間など地理的に離れた地点にあるコンピューター同士または LAN 同士を、NTT や KDDI などの通信事業者が提供する回線サービス(専用線、IP-VPN、広 域イーサネット)を使用して構築された広域なネットワークのことです。 一般的にネットワークサービスの質と速度はコストに比例します。WAN で利用する回 線も回線速度に応じてコストが高くなります。 利用目的に応じて適切な接続機器を選択し、リモートアクセス技術を利用して社内 LAN やインターネットと遠隔地のコンピューターを接続し、セキュリティが確保され、かつ帯 域効率の高い WAN を構築します。 26 第1章 ネットワークの概要 第 章 1 チェック チェックポイント Q1 ビル内やオフィス内など、限られたスペース内でコンピューター同士を 接続したネットワークのことを何と言いますか。次の中から選択してく ださい。 A. SAN B. NAS C. LAN D. ISDN Q2 LAN と WAN の特徴と違いの説明として正しいものを次の中から選択 してください。 A. LAN では 1km 以上離れたコンピューターは接続できないが、WAN に は接続距離の制限はない。 B. LAN では専用サーバーが必要であるが、WAN ではサーバーは必要ない。 C. 通信事業者を介さずに接続するのが LAN であり、通信事業者が提供する 公衆回線を介して接続する広域なネットワークが WAN である。 D. LAN で は、 ハ ー ド デ ィ ス ク や フ ァ イ ル な ど の 資 源 を 共 有 で き る が、 WAN リンクではできない。 Q3 インターネットの技術を使用して企業のネットワーク同士を接続し、取 引先や関連会社などで情報をリアルタイムにやり取りできるように構築 したネットワークは次のどれですか? A. イントラネット B. エクストラネット C. VLAN D. インターネット 第1章 チェック 35 チェック A1 解答・解説 C LAN(Local Area Network)とは、ビル内やオフィス内など、 限られたスペース内でコンピューター同士を接続したネット ワークのことです。LAN は通信業者の専用線を使用しないた め利用料がかかりません。そのため、利用目的に合った最適な ネットワークを構築することができます。 SAN(Storage Area Network)は、外部記憶装置間および 記憶装置と PC の間を接続する高速なネットワークです。複数 の PC がある場合は PC 間のデータ転送も可能であり、高い性 能が要求されるサーバーに用いられます。 NAS(Network Attached Storage)とは、ネットワークに 直接接続する形式のストレージ(データを格納できる)デバイ スのことです。 ISDN(Integrated Services Digital Network)は、電話や FAX、データ通信を統合して扱うデジタル通信網です。 A2 C 1Km を超える距離でも適切な中継機器を使用すれば LAN で接 続可能です。LAN と WAN の違いは接続距離ではありません ので、A は誤りです。 ピアツーピアという接続形態では、すべてのコンピューターが 対等の関係であり、サーバー専用機は存在しません。従って、 B は誤りです。 通信事業者が提供する回線を使用するか、しないかが、LAN と WAN との大きな違いであり、公衆回線を使用しない LAN では、利用料が掛かりません。 WAN 経由でもハードディスク、ファイル等の資源を共有可能 です。従って、D は誤りです。 A3 B エクストラネットとは、複数の企業間でインターネットの技術 を使い、相互に接続されたネットワークのことです。取引先や 関連会社などの企業間で情報をリアルタイムにやり取りする事 によって、業務やコミュニケーションの効率化をはかります。 イントラネットとは、TCP/IP をはじめとしたインターネット で使用されている技術を用いて、企業や組織内のみで使用され るネットワークのことです。 VLAN(Virtual LAN)とは、物理的な LAN の配置に関係なく、 仮想的に LAN を構築できる技術です。 36 第1章 チェック チェックポイント ★ネットワーク全体の構成(規模による分類) ■ 小規模拠点(営業所など):シンプルな構成 ■ 中規模拠点(支店など):フロア間の通信を考慮した冗長性の考慮 ■ 大規模拠点(本社など):あらゆる局面での冗長性を考慮した構成 ★この章は次の試験分野に対応しています。 試験分野 38 第1章 チェックポイント 出題比率 ネットワーク技術 20% ネットワークメディアとトポロジー 20% ネットワークデバイス 17% ネットワーク管理 20% ネットワークツール 12% ネットワークセキュリティ 11%
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