第6号(2005年8月発行)

特定非営利活動法人
ディジタルシネマ・コンソーシアム
N E W S L E T T E R V o l .6
ニューズレター
2005年
8月
第6号
報告
国際ディジタルシネマ・シンポジウム2005
NAB2005 Digital Cinema Summit
DCI最終仕様案確定!
その他、最新情報満載!
編集・発行/ディジタルシネマ・コンソーシアム事務局
NPO Digital Cinema Consortium of Japan (DCCJ)
〒239-0847 横須賀市光の丘8-3 316号室
TEL:046-839-2455、FAX:046-839-2454
http://www12.ocn.ne.jp/~d-cinema
理事長挨拶
特定非営利活動法人
ディジタルシネマ・コンソーシアム
理事長 青山友紀
常日頃特定非営利活動法人ディジタルシネマコ
ンソーシアム(DCCJ:Digital Cinema Consortium
of Japan)の活動に参画頂きまして心から感謝申
し上げます。当コンソーシアム活動の一環である
ニューズレターは昨年12月に第5号を発行した後、
第6号の発行が当初の予定より2ヶ月ほど遅れま
したことをお詫び申し上げます。2005年前半には
後述いたしますように当コンソーシアムが関連する
活動が目白押しとなり、時間的余裕がなかったの
が正直なところです。
さて、当コンソーシアムが世界に発信してまいり
ました4Kデジタルシネマについてはハリウッドの
DCI(Digital Cinema Initiatives, LLC)規格が最終
的に決着し、いよいよビジネス化に本格的に取り
組む時期がまいりました。当コンソーシアムは直接
ビジネスを行うことが目的ではありませんが、会員
の皆様のビジネス活動を支援する活動を強化した
いと考えております。
ここで本年前半の当コンソーシアムが関連した活
動の大要についてご紹介させていただきます。詳
細はこの後の各論をご参照ください。まず、本年1
月には超高速ネットワークテストベッドであるJGN
II(Japan Gigabit Network II)のシンポジウムにお
いて4Kデジタルシネマのネットワーク配信・上映の
デモを展示するイベントに協力いたしました。3月
には当コンソーシアムの重要な活動であるディジタ
ルシネマセミナーを東京と京都において開催いた
しました。特に京都でのセミナーは関西地区では
初めての開催であり、当コンソーシアムの活動を
関西の方々に認識していただける良い機会となり
ました。4月には毎年ラスベガスで開催されるNAB
に合わせて実施されたDigital Cinema Summitに
当コンソーシアムから藤井氏と私がパネラとして参
加し、それぞれ日本における4Kデジタルシネマの
状況と今後の展望について紹介いたしました。当
サミットに参加した欧米のパネラから日本において
デジタルシネマ活動を行っている団体として当
DCCJの名前が何度か挙げられまして、我々の活
動が欧米の関係者によく認識されていることがわ
かりました。5月末にはテレコム産業の大きな国際
会議・展示会であるBWF(Broadband World
Forum)2005が横浜で開催され、その中で“The
advent of broadband digital entertainment -4K
digital cinema and beyond-”と題する特別セッショ
ンが行われました。そのセッションでは講演と4K映
像の遠隔配信のデモが行われましたが、これを
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
DCCJが支援するとともに私がコーディネータとして
参加いたしました。当セッションでは4Kライブによる
遠隔講演、4KデジタルシネマStEMの遠隔配信・上
映、そしてサイトウキネンコンサートの4K映像の遠
隔配信・上映という3つの異なるアプリケーションを
実演し、大変注目されました。6月2日には毎年当コ
ンソーシアムが主催している国際ディジタルシネマ・
シンポジウムを本年も銀座ヤマハホールで開催し、
南カリフォルニア大学ETC( Entertainment
Technology Center)のチャールズ・シュワルツ氏の
基調講演の後、デジタルシネマの制作・編集および
デジタルアーカイブを中心に講演とパネル討論を行
い、また4Kデジタルシネマ最新システムによるStEM
上映を行い300名近い参加者を集めることができ
ました。6月6日には当コンソーシアムと連携してい
る「デジタルシネマ実験推進協議会」の通常総会、
講演会が開催され、当コンソーシアムから多くのメ
ンバが参加いたしました。さらに、7月6日にはNPO
映像産業振興機構(VIPO: Visual Industry
Promotion Organization)の設立記念式典、通常総
会が開催され、私は理事の一人としてそれに参加
いたしました。このVIPOとDCCJは相互に連携するこ
ととしており、互いにイベント案内情報などを会員に
配信することを始めております。
当コンソーシアムの理事会と総会は5月31日に
開催し、前年度決算報告、活動報告、平成17年度
予算案、活動計画案を審議し、了承されました。本
年度はすでに上述いたしました当コンソーシアムの
主催、共催、後援活動に加え、9月にサンディエゴ
で開催予定のiGRID2005 にDCTFおよび慶應DMC
と協力して参画し、東京-サンディエゴを結ぶJGN
IIなどの高速ネットワークを用いて4Kデジタル映像
の配信による各種のアプリケーションのデモを実演
する予定であります。また10月の東京国際映画祭
の一環としてデジタルシネマのイベントをDCTFに協
力して実施する計画であります。また来年1月の
JGN IIシンポジウムではJGN IIを用いた4K映像配
信のデモをDCTFと連携して行うこととしております。
また、関連する内外のデジタルシネマ機関との連携
活動をより強化する予定であり、慶應DMCプロジェ
クトと連携のためのMOUを締結する予定であります。
さらにイタリアの国立映画学校との連携に加えて、
南カリフォルニア大学ETCや米国で設立が検討され
ているCINE-GRIDプロジェクトなどとの連携も進め
ていく予定であります。
以上4Kデジタルシネマ技術の調査・普及・開発支
援を行う本コンソーシアムの活動は本年も活発に行
うこととしておりますので、会員の皆様の一層の参
画とご支援をお願い申し上げます。
シンポジウム開催報告
国際ディジタルシネマ・シンポジウム2005
『デジタルシネマ最新事情 -ハリウッド映像産業の新しい波-』
本年6月2日13時よりヤマハホール(東京都中央区銀座)にて、恒例のディジタルシネマ・シンポジウムを開催し、
約300名が参加されました。
昨年6月に開催した国際ディジタルシネマ・シンポジウム2004では、ハリウッドの7大スタジオが設立したDCI
(Digital Cinema Initiatives, LLC)による標準化の技術的な全貌をDCIのコアパーソン達によりデモを交えて紹介いた
しました。その後、東京国際映画祭での4Kシネマ上映など実際の上映が進められると共に、DCI規格も数回の改訂
がありました。これらの動きを踏まえて、本年の国際ディジタルシネマ・シンポジウムではハリウッドと日本でのデジタ
ルシネマに対する最新動向及び、映画制作の現場で実際に行われているデジタル処理の現状、貴重な文化財フィル
ムの復元におけるデジタル処理の現状などについて紹介することを目的といたしました。
青山友紀DCCJ理事長の開会挨拶、野田聖子衆議院議員の来賓ご挨拶(代読)に続き、「ディジタルシネマ最新事
情 – ディジタルシネマサミット@NABを主宰して – 」と題して、Charles S. Swartz氏 (南カリフォルニア大学 ETC
CEO兼Executive Director)にご講演いただいた後、DCIがアメリカ撮影監督協会の協力の下に制作したStEMミニムー
ビーを最新システムを用いて4Kディジタル上映。同時に藤井哲郎氏 (NTT未来ねっと研究所第一推進P プロジェクト
マネージャ)より日本の開発最前線をご紹介いただきました。次いで、「ハリウッドのデジタルマスタリング – DI
(Digital Intermediate)最前線 –」と題して、Leon D. Silverman氏(Laser Pacific社 およびKodak社 副社長)から、ま
た、「日本におけるDI (Digital Intermediate)の現状と今後の課題」と題して、渡辺儀典氏(IMAGICA 映画部デジタ
ルプロセスグループマネージャー)、遠藤浩平氏(同・映画部テクニカルディレクター)から映画制作にとって重要な役
割を持ってきているディジタルインターミディエイトについて実例を交えて解説していただきました。そして、常石史子
氏 (東京国立近代美術館フィルムセンター 研究員)が「デジタル経由のフィルム復元」について述べられた後、講
演者全員でパネルディスカッション・Q&Aを行いました。
以下各講演者の略歴をご紹介いたします。(※役職名は開催当時のものです。)
Charles S. Swartz氏
氏 チャールズ・S・シュワルツ氏
南カリフォルニア大学 エンターテインメント・テクノロジー・センター(ETC)
CEO/Executive Director
エンターテインメント業界で25年以上のキャリアをもつ。最近ではチャールズ・S・シュワルツ・
コンサルティングの代表としてエンターテインメント産業向けの戦略的ソリューションを提供
している。グローバルなエンターテインメント産業に重点的に取り組んでいる米サピエント社
ではメディア・エンターテインメント向け総合戦略担当部長を務め、またアンデルセン・カウン
セリング(現アクセンチュア株式会社)ではメディア・エンターテインメント・ビジネスユニット
にてエンターテインメント産業ビジネス開発担当部長を務めた。南カリフォルニア大学 映画
学部卒業後、エール大学にてBA取得。
藤井哲郎氏
NTT未来ねっと研究所第一推進P プロジェクトマネージャ
1980年東京大学工学部電子工学科卒。
1984年同大学院博士課程了、工学博士。
同年日本電信電話公社入社。
以来、伝送処理、適応ディジタル信号処理、高品質画像伝送等の研究に従事
Leon D. Silverman氏
氏 レオン・D・シルバーマン氏
Laser Pacific社 およびKodak社 副社長
2003年、ハリウッドに拠点を置くレーザー・パシフィック・メディア社がイーストマン・コダック社に
買収され、社長のシルバーマン氏もコダック社に参画。レーザー・パシフィック社の業務のかた
わら、コダック社では、エンタテインメント・イメージング・サービス部門で戦略ビジネス開発担当
役員、また、副社長を務めている。過去26年間、ハリウッドに新技術を導入することに尽力。
彼が中心となって設立したレーザー・パシフィック社電子研究所は、多くの先進的なツールや
テクニックを生み出した。そうした技術は現在、フィルムのポストプロダクションの標準となって
いる。1989年、レーザー・パシフィック社はその優れた技術開発によりエミー賞を受賞。
現在は、新しいデジタル・ポストプロダクション方式および技術に取り組み、デジタルサービス
業界においてコダック社が果たす役割と同様、映画業界でレーザー・パシフィック社の役割を
拡大しつつある。映画テレビ技術者協会(SMPTE)フェロー。
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
渡辺儀典氏
株式会社IMAGICA 映画部デジタルプロセスグループマネージャー
1984年、千葉大学工学部画像工学科卒業。
同年東洋現像所(現IMAGICA)入社。
オプチカル合成、モーションコントロール撮影、
フィルムI/O、デジタル画像処理コーディネートに従事。
2005年、DIプロセス立ち上げ、4月より映画部デジタルプロセスグループマネージャー。
遠藤浩平氏
株式会社IMAGICA 映画部テクニカルディレクター
デジタルインターミディエイトの技術責任者
DCCJが4Kプロジェクタの画質評価に使用してきたハリウッドコンテンツのカラーグレー
ディングや、劇場映画「ハウルの動く城(2004)」等のカラーマネジメントを担当。
常石史子氏
東京国立近代美術館フィルムセンター 研究員(映画係)
1973年広島生まれ。東京大学法学部を経て、東京大学総合文化研究科博士課程中退。
専攻は日本映画史。東京国立近代美術館フィルムセンター研究員として主にフィルム収
集・復元の仕事に携わるかたわら、京都造形芸術大学等で講師も務める。関連論考に
「『斬人斬馬剣』そのデジタル復元」(『NFCニューズレター』49号)、「『和製喧嘩友達』のデ
ジタル復元」(同52号)、「デジタル復元、はじめの一歩」(『映画テレビ技術』619号)等。
閉会後、参加者の皆さまからは「どの講演もディジタルシネマの最新事情を知ることができ、大変参考になった。」
「ディジタルシネマ、4K上映の質の高さについて、よく分かった。フィルムアーカイブの必要性を理解した。」、「ディジ
タルシネマの制作プロセスの全体像を掴むことができ、実際に動画を見ることができて、大変興味深かった。」「また
このような機会があれば是非参加したい。」等の感想が多数寄せられました。「最新のテクノロジーの具体的運用が
聞きたかった。」「プレゼン資料を配布してほしい。」というような意見もございましたが、概ね好評でした。今後も具体
的なデモンストレーションを交えて、一般の方にもわかりやすいシンポジウムを計画し、ディジタルシネマの普及促進
を図り、コンテンツ流通促進に寄与したいと考えております。(事務局)
慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構
ワークショップ「ディジタルシネマ映像技術の新たな方向性 」開催
6月1日、慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC)にて、「ディジタルシ
ネマワークショップ:ディジタルシネマ映像技術の新たな方向性」が開催され、小野定康DMC機
構教授とCharles S. Swartz氏、Leon D. Silverman氏、Laurin Herr氏(パシフィックインターフェ
イス社長)による講演が行われました。
今回のワークショップの目的はハリウッドから招かれた講演者と共にディジタルシネマの「最新
状況と次世代のトピックス」について議論することの他に、超高精細カメラの録画テストを行うこ
とでした。ワークショップの模様は、DMCの「三田工房」に設置されているHDカメラに加え、オリ
ンパス製の4kX2k(画素数「4096X2160」)カメラで撮影されました。
ワークショップ概要はDMCのサイトにてご覧いただけます。
http://www.dmc.keio.ac.jp/topics/050601digitalcinema-report.html
次ページにて「三田工房」についてご紹介いたします。
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
慶應義塾大学
デジタルメディア・
デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構
コンテンツ統合研究機構
DMC
4Kディジタルシネマ実験上映施設が完成
慶応義塾大学は10/40Gbps超高速光ネットワークに接続され、かつDCI(Digital Cinema
Initiatives)の4k規格(HDTVの4倍以上の高品質)を採用した世界最初の実験用常設ディ
ジタルシネマ上映施設を完成させ、2005年4月13日、一般公開に先立ち記者発表と見学
会を行ないました。記者発表では黒田昌裕常任理事のご挨拶の後、小野定康教授が上映
施設の概要を、また、太田直久教授がブロードバンドネットワークによる今後の国際展
開について説明されました。なお、この記者発表にDCCJ理事の青山友紀・東京大学
教授および金子満・東京工科大教授も参加し、それぞれネットワーク配信、コンテンツ
制作の面から本施設に寄せる期待を語りました。
慶応デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC)について小野定康教授よりご紹介
いただきます。
2004年7月に発足した慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構は、公式HP/パ
ンフレットに示されている機構長の安西慶応義塾長の「デジタルコンテキスト(デジタルコンテン
ツ素材を利用目的に沿って生成・編集することによりデザインされる、シナリオを持ったデジタル
コンテンツ)の創造を推進し、国内外の他機関とも連携して統合的に研究開発・国際流通促進・人
材育成を行う組織として設立されました」に要約される組織です。この組織は平成16年度の文部科
学省科学技術振興調整費戦略的研究拠点プログラムに採択されています。
この組織は生成されたデジタルコンテキストの発信をKCC (Keio Context Channel)なるコンテン
ツプロバイダーから行い、また単なる研究組織としてでなく、2008年には研究開発・国際流通促進・
人材育成の永続性と効率化をねらって大学院を発足させる予定です。なお2008年は慶応義塾創立
150周年にあたっています。組織構成等の詳細はHP (http://www.keio.ac.jp/index-jp.html)を参照して
いただけば、その最新情報が得られます。ここで言うデジタルコンテキストに当然ディジタルシネ
マを含めており、2005年4月13日にはDCI4K規格(超高精細画像)のプロジェクターを備え、かつ
10/40Gbpsと言うNTTとの共同研究に基づく超高速の光ネットワークに接続された世界最初の常設
実験上映施設(スクリーンサイズ:220インチ)を、交通の便に優れた東京の三田キャンパス(JR:田
町/地下鉄:赤羽橋、白金高輪、三田から徒歩5~6分程度)に完成させました。この施設は当
DCCJと連帯して、国内外の著名な映画研究拠点、USC (University of Southern California)、SNC
(Scuola Nazionale di Cinema)等との共同研究拠点となります。(小野定康)
【施設に関する詳細お問い合わせ先】
慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC)
電話:03-5418-6432 FAX:03 -5418-6437 [email protected]
http://www.dmc.keio.ac.jp/
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
2005年4月16日(土)及び17日(日)の2日間、デジタルシネマ・サミットがSMPTEとETC at
USC(南カリフォルニア大学、Entertainment Technology Center)の共同主催で開催された。
ディジタルシネマ・コンソーシアム(DCCJ)は2001年4月にプライベートに開催された初回
の会合より全てのデジタルシネマ・サミットに出席し、最新の動向に関する意見交換を重
ねてきている。
初日は、ETCのCharles S. Swartz氏(Executive Director & CEO)とSMPTEのEdward P.
Hobson氏(President)の挨拶に始まり、DCI(Digital Cinema Initiative, LLC)のデジタルシネマ
仕様書の解説、SMPTEのDC28における進捗状況及び各種チュートリアル講演が行われた。
デジタルシネマの基本的な技術に関わる解説が主であった。会場の大きさは昨年と比較す
るとほぼ倍増であり、900人近い聴衆が土日にラスベガスに集まり、非常に熱気に満ちた会
合となった。
DCIの仕様の解説は、DCIのCTOであるWalt Ordway氏、DCIのメンバーであるJerry
Pierce氏(ユニバーサルスタジオ)及びHoward Lukk氏(ディズニー)の3名で進められた。解像
度としては4K(4096 x 2160)画素及び2K(2048 x 1080)画素方式を用いること、符号化方式と
してJPEG2000が採用され、アンサープリントの品質を実現することを目指していること
などが紹介された。また、セキュリティにも十分な配慮がなされて規格が決められつつあ
ることが報告された。DC28の進捗説明では委員長のWendy Aylsworth氏(ワーナーブラザー
ズ)が状況説明を行った。
これらに引き続き、International Panelが開催され、
フランスからGwendal Auffret氏(Avanti Digital社)、
DCCJより藤井哲郎氏(NTT未来ねっと研究所)、
DCCSDPより安田浩教授(東京大学)の3人がパネリスト
として講演した。DCCJから参加した藤井氏は2004年
10月に開催された第17回東京国際映画祭のイベントと
して、日本映画「失楽園」が4Kデジタルシネマとして
世界で初めて上映されたことを報告した。さらに、そ
のデジタル化の工程、JPEG2000をベースにした4Kデ
ジタル上映システム及び4Kプロジェクターについて講
演した。その後、DCIのデジタルシネマ仕様書の核と
なる技術のチュートリアル講演がセキュリティ、圧縮
技術、パッケージング技術と続き、一日目を終えた。
藤井哲郎氏(NTT未来ねっと研究所)
二日目は、Leon Silverman氏(President, Laser
Pacific)により、これからのワークフローの変革に
ついて講演が行われた。さらに、各プロジェクター
開発メーカー代表者によるパネル討論、最新のデジ
タルカメラに関するパネル討論、最新のデジタルシ
ネマサーバーに関する討論、ハリウッド7大スタジ
オ各代表者によるパネル討論が行われた。
次ページへつづく
左側:青山友紀DCCJ理事長 (東京大学)
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
特に、スタジオ代表者によるパネル討論では、ディズニーのRobert Lambert氏(Corporate
Senior Vice President)が4K方式実現に向けて果たしたDCCJの大きな役割とその成果につい
て幾度か触れられた。
これらの討論に続き、世界の情勢を報告する形でヨーロッパのWorld Screen計画が紹介
され、アジアにおけるデジタルシネマの状況報告が行われた。ここでは、DCCJ理事長であ
る青山友紀教授(東京大学)が日本の状況について報告を行った。
最後にWendy Aylsworth氏や撮影監督のCurtis Clark氏らが登場し、デジタルシネマ実現
に向けた期待を語り、二日間に及ぶデジタルシネマ・サミットを終えた。今までのデジタ
ルサミットが最新情報の紹介が主であったのに対し、今回は最終段階にあるデジタルシネ
マの仕様のチュートリアル的な面が非常に強く、デジタルシネマ標準化のプロセスが順調
に進んでいることを強く感じさせられた。
慶応義塾大学DMC教授/DCCJ事務局長 小野定康
本年度のNAB会場は例年どおりラスベガスのヒルトンホテルに隣接したこのホテルの
施設(コンベンションセンター)で2005.4.16~21にかけて行われた。NABは講演とデモ
展示がほぼ平行して行われた。ただし一部講演はデモに先行して行われ、ディジタルシ
ネマサミットもこれに該当している。著者は主にデモ展示に関してレポートする。
デモ展示は大きく4つの会場に分けられ、3つは屋内であり、1つが屋外であった。
この一つは衛星通信に関連したトレーラー、アンテナ関係のものであり、ほとんど全て
がかなりの大形機器であった。なおこれには中古機器の販売案内等があり、内外の放送
関係の急激な変化を考えるとそういうものかと感じた。
屋内の会場は音声/音響関係が一つ、画像関係が二つあり、それぞれかなり大きな会
場である。音声/音響関係はコンパクトな送信施設と、それに対応する様々な受信機器
と各種オーディオ機器が展示されていた。これらを一括して言うとユビキタス環境へ適
用させた音声/音響機器ということになる。
二つの画像会場についての特徴は、HDTVがビデオカメラを含めて普通のテレビとなっ
ていたことと(SDTVの画像を探す方が難しい位)、プラズマ/液晶のフラットディスプ
レイが非常に目についたことである(CRTもまた珍しくなっている)。また大形スクリー
ンに投影出来る高光量プロジェクターも多数出品されているだけでなく、様々な形でデ
モに使われていた。著者個人としては3秒程度の時間遅れがあるが、6Mbpsで見た目に
はほとんど画像劣化の生じないHDTVのMPEG-II CODECが、既知のアルゴリズムを徹底
的に追及するとこのような結果が得られると言う意味で興味深かった。H264を用いた同
様の機器も近い将来展示されるかもしれない。またDCI4K(超高精細画像)プロジェク
ターも複数箇所でデモされており、これらは全てソニー製であった。これら巨大な屋内
会場の周辺部に配置された多数の小さなブースには、様々な工夫をこらした製品が展示
されていた。それらは必ずしも高い技術に支えられたものではなかったが、使い易さや
多様性を追求した工夫をこらしたものが多く、これらを一つ一つ訪ねて説明を聞き質問
をしていると、時間の経過を忘れかねなかった。
会期:2005年4月16日-21日
会場:ラスベガス(コンベンションセンター)
http://www.nabshow.com/digitalcinemasummit.asp
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
会期:2005年5月31日~6月2日
会場:パシフィコ横浜
主催:International Engineering Consortium (IEC)
URL: www.iec.org/events/2005/bbwf_asia2/
Broadband World Forum ( BWF )Asia 2005は,アジアおよび世界の通信事業者,通信機器ベンダー
が集まるワールドワイドなフォーラムであり,2005年5月31日~6月2日にパシフィコ横浜 にて開催された.
今回は,NTTがオフィシャルスポンサーをつとめた.
BWF Asia 2005のスペシャルセッションとして,青山友紀東大教授/DCCJ理事長がオーガナイズされた
スペシャルセッション “The Advent of Broadband Digital Entertainment: 4K Digital Cinema and
Beyond”が,5月31日,会議センター メインホールにて開催された.約500名の参加者があり,盛況であっ
た同セッションの内容を紹介する.
■ セッションの
セッションの構成
① 4Kライブのデモンストレーション
NTT横須賀研究開発センタからの超高精細ライブ映像によるプレゼン(宮部NTTCC総研所長)を
実施.
② Charles S. Swartz氏(南カリフォルニア大学付属ETC Executive Director & CEO)の講演
“Recent Developments in Digital Cinema”による,ディジタルシネマ開発の最新動向の解説.
(下の写真参照)
③ 4Kディジタルシネマのデモンストレーション( Charles S. Swartz氏の解説付き)
会場内に設置したサーバにJPEG2000で圧縮符号化した“ASC-DCI Standard Estimation
Material(StEM)画像”を蓄積し,SHDリアルタイムデコーダにより復号化再生.
④ 榎並和雅氏(NHK技術研究所長)の講演
“8K Television System, Super Hi-Vision - Beyond HDTV & Digital Cinema -”と題して,
8K×4Kのテレビジョンシステム開発状況について解説.
⑤ 4Kストリーミングのデモンストレーション
2002年サイトウ・キネン・フェスティバル (ベートヴェン 交響曲第九番ニ短調「合唱」作品125)の
超高精細蓄積映像をNTT横須賀研究開発センタから超高速伝送し,会場内に設置したSHDリア
ルタイムデコーダにより復号化再生.
■ 上映条件
上映条件
<スクリーン>
サイズ 400インチ
アスペクト比 2.24:1
輝度 15 [ft.L]
<ビデオプロジェクタ>
ソニー製 SXRDプロジェクタ <データ転送速度>
4Kライブ 145 [Mbps]
4Kディジタルシネマ 450 [Mbps]
4Kストリーミング 330 [Mbps] ■ 青山先生のご
青山先生のご感想
のご感想
Charles S. Swartz氏のご講演
「4Kのライブ,4Kディジタルシネマ,4Kサイトウキネンコンサート,の3種のアプリケーションを実演し,
極めて好評でした.宮部さんが登場したシーンのクリアさに,皆さん驚嘆されていました.」 (NTT未来ねっと研究所 古川)
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
第3回DCCJセミナー開催報告
「デジタルシネマの
デジタルシネマの最新動向 - 最新動向 - 最新映像技術
- 最新映像技術と
最新映像技術と産業政策の
産業政策の展開 -」
展開 -」
本年3月14日(月)13:30 から青山SIビル6階 A会議室において、第3回DCCJセミナーを開催
いたしました。
究極のデジタル・コンテンツと目されているデジタルシネマが、画像処理技術、ネットワーク技術、
周辺技術の進展、ハリウッドの大手映画会社の標準化への動きなどからみて、いよいよ実用サービ
スとしての現実味を帯びつつあります。この動きの中で、DCCJが米国、欧州の業界関係者に日本
で研究開発された4Kプロジェクタを紹介したことが4Kデジタルシネマの実現性を裏付けるアピー
ルになったと言われています。
また、国内ではブロードバンドの普及につれ、コンテンツ流通の円滑化、市場の活性化が望まれ
ており、民間団体や関係省庁・自治体が力を合わせて映像コンテンツ産業に係る人材育成への支
援、作品制作への支援などに取り組んでいくことが期待されています。
「デジタルシネマの最新動向 - 最新映像技術と産業政策の展開 -」と題した本セミナーで
は、最新のデジタルシネマ技術から今後の映画・映像コンテンツ産業振興政策の方向性などについ
て、講師の皆さまにわかりやすく解説していただきました。
まず、青山友紀DCCJ理事長より、デジタルシネマの標準化に関する最新動向やDCCJの活動状
況についてお話した後、慶應義塾大学・小野定康教授がデジタルシネマになぜ4Kクラスの解像度
が必要とされるか等、技術課題全般についてわかりやすく解説。次いで、慶應義塾大学・菅谷実教
授が「映画産業政策の新たな展開」と題して諸外国で実施されている映画制作への助成について
紹介し、日本でもさらなる映像産業振興政策の充実、コンテンツ制作支援の必要があることを強調
されました。
15分の休憩をはさんで、東京工科大学・金子満教授より最新のディジタルコンテンツの制作技術
と大学教育についてご紹介があり、次いで、三菱電気株式会社・中根和彦氏および山田悦久氏が
Blu-ray Disc、HD DVDの動向と映像符号化技術について解説されました。最後に行われた質疑応
答では今後のコンテンツ産業について踏み込んだ質問も寄せられる等、活発な議論が交わされ、
受講されていた映像産業振興機構(VIPO)・上川事務局長より、今後の人材育成・マーケット拡大へ
の取り組みについて語っていただくなど、短いながらも充実した時間となりました。
セミナー終了後、受講者の皆さまにアンケートを
お願いしたところ、52名の参加者のうち約7割(36
名)の方がご協力くださいました。全体的な感想と
しては約8割の方々から「大変有益であった」また
は「有益であった」とご回答いただいております。
一部配布資料の印刷が見づらかったこと、プレゼ
ンテーション資料と一致していなかったこと、また
会場が少々手狭だったことへのご不満の声や、
「参加料を下げ、参加人員を増やす方法を考えて
いただけると有難い。デジタルシネマへの認知度
を高める上でも、その方がより効果的ではないか
と思う。DCCJセミナーは大変役に立っているの
でこれからも(やり方を工夫しながら)積極的に進
めて欲しい。」といったご意見もいただきました。
たくさんの質問に答える講師の皆さん
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 2005年第6号(2005年8月)
第4回DCCJセミナー開催報告
「デジタルシネマの
デジタルシネマの展望 - 展望 - 日本発
- 日本発の
日本発の4Kデジタルシネマ技術
デジタルシネマ技術とは
技術とは -」
とは -」
東京セミナーに続き、3月18日(金)13:00 からキャンパスプラザ京都 第1会議室において、第
4回DCCJセミナーを開催いたしました。
DCCJが関西で初めて開催する本セミナーでは、技術者に限らずデジタルシネマの動向に関心を
お持ちの全ての方を対象として、次世代4Kデジタルシネマ技術全般や最新の映像関連情報につ
いて、講師の皆さまに解説していただきました。
まず、青山友紀DCCJ理事長より、デジタルシネマの標準化に関する最新動向やDCCJの活動状
況についてお話した後、慶應義塾大学・小野定康教授がデジタルシネマになぜ4Kクラスの解像度
が必要とされるか等、技術課題全般についてわかりやすく解説。次いで、NTT未来ねっと研究所・藤
井哲郎プロジェクトマネージャにDCI (Digital Cinema Initiatives, LLC)が検討を進めている世界標準
規格の内容全般を説明していただいた後、15分の休憩をはさんで、日本ビクター・吉村真タスクリー
ダにDCIが求めるプロジェクタの規格についてご紹介いただき、次いで、三菱電気株式会社・村上
篤道役員技監にBlu-ray Disc、HD DVDの動向と映像符号化技術について解説していただきました。
最後に行われた質疑応答では日本国内でのビジネスモデルやホームシアターへの展開の可能性
について質問が寄せられ、熱のこもった議論が続きました。
終了後、受講者の皆さまにアンケートをお願いしたところ、48名の参加者のうち約8割(39名)の方
がご協力くださいました。全体的な感想としては東京セミナーと同じく回答者の約8割の方々から
「大変有益であった」または「有益であった」とご回答いただいております。
受講者の皆さまからは「デジタルシネマに関する知識、動向等を理解していなかったため、将来の
ビジネスとして何が求められ、何が出来るのかを検討する機会となった。」、「将来のデジタルシネマ
に関して4Kの優位性が理解できた。コンテンツメーカーの基本要求、その要求に対する規格策定
の理念が興味深かった。」、「デジタルで懸念されるコピープロテクション技術について、映画業界の
動向を知れたことが良かったと思う。」、「プロジェクタの開発が進んでいることに感心した。」、「本日
のような情報・知識共有の機会を定期的に開催していただきたい。コンパクトなセミナーで参加して
有意義だった。」という感想の他、「4Kデジタルシネマを展開することによる各プレーヤのメリットや、
どのようなビジネスが確立できるのか、また、他の映像配信等サービスとのターゲット、コンテンツの
違いなどを説明してもらいたかった。本日のセミナーは専門知識の部分が多く、身近なものとしてビ
ジネス化に落とすことができない。」、「4K映像のデモを見せて頂きたかった。」といったご意見が寄
せられおります。関西で開催する初めてのセミナーということで、不備な点も多々あったかと存じま
す。貴重なご意見を参考に、今後もさまざまな機会を設けて、デジタルシネマの普及促進活動を進
めてまいりますので、ご支援の程どうぞ宜しくお願いいたします。
なお、交通事情により当日ご来場いただけなかっ
た大阪大学・尾上孝雄教授の講演「高精細画像
圧縮技術 JPEG2000」は、後日、DVDを作成し、
受講者の皆さまへ配布いたしました。
また、東京セミナー、京都セミナー共に、セミナー
終了後には講師の皆さまを囲んでの懇親会の席
を設け、自由にご歓談いただきました。ご参加い
ただいた皆さま、ありがとうございました。(事務局)
(写真右) 熱心に講義に聴き入る受講者の皆さん
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 2005年第6号(2005年8月)
本年5月31日午後15時半よりパシフィコ横浜・展示ホール内スペースDにおいて、通常総会を開催いたし
ました。総会の次第ならびに決議事項を下記のとおりご報告いたします。
1、開会のあいさつ
2、資格(定数)確認: 出席者数 個人正会員数46名(当時)のうち33名 (内 委任状提出者数 19名)
3、議長、議事録署名人選出
4、議題
第一号議案 平成16年度収支決算について
第二号議案 平成16年度事業報告について
(関連報告) 平成16年度監査報告
第三号議案 平成17年度収支予算について
第四号議案 平成17年度事業計画について
第五号議案 任期満了にともなう新役員選任について
5、閉会のあいさつ
各議案について、議長(青山友紀理事長)ならびに事務局長(小野理事兼任)より説明し、採決の結果、出席者全員
の賛成をもって承認されました。役員については、これまでの理事・監事全員の重任に加え、慶應義塾大学デジタルメ
ディア・コンテンツ統合研究機構の太田直久教授と、株式会社IMAGICA・映画本部の中村昌志企画開発担当部長が、
新たに理事に選任されました。
◆◇◆ ◆◇◆ 今後の
今後の活動予定 活動予定 ◆◇◆
①ディジタルシネマに
ディジタルシネマに関する技術
する技術の
技術の現状及び
現状及び将来像の
将来像の調査研究・
調査研究・技術開発支援・
技術開発支援・
普及活動
ニュースレターの発行(年2回予定)/ホームページ更新 (随時)
ディジタルシネマに関する洋書の翻訳やDCCJのこれまでの活動の解説書の執筆。
4Kディジタルシネマの画像品質評価デモ
会員企業、デジタルシネマ実験推進協議会(DCTF)、慶應義塾大学DMC、総務省受託研究プロ
ジェクトなどと連携し、ディジタルシネマの配信・上映・セキュリティの実験およびディジタルシネマ
技術評価を支援する。
iGrid2005 (9月中旬 サンディエゴ)、JGN IIシンポジウム (1月 仙台)など
シンポジウム及びセミナー等の開催また(は)協賛/後援
SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 (7月16日~24日 スキップシティ主催行事 後援)
東京デジタルシネマ・シンポジウム2005 (10月末予定 DCTF主催行事 協賛)
DCCJセミナー主催 (年2回予定)
二子玉川再開発事業に参画し、ディジタルシネマ開発センター構想に向けた調査研究を実施する。
②ディジタルシネマの
ディジタルシネマの標準化規格の
標準化規格の確立と
確立と教育素材の
教育素材の構築のための
構築のための国際協力
のための国際協力
特にEDCF(European Digital Cinema Forum)、南カリフォルニア大学のETC及びSchool of Cinema- Television、イタリア国立映画学校、米国映画アカデミー、等との連携を計り、ディジタルシネマの国際的な
普及・促進、品質評価、教育素材の構築を進める。また、Cine-Gridに関する国際的共同研究に参画する。
今後とも皆様からのご支援ご指導のほど宜しくお願いいたします。(事務局)
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
デジタルシネマ実験推進協議会
デジタルシネマ実験推進協議会
定期総会・
定期総会・講演会 講演会 開催報告
デジタルシネマ実験推進協議会 会長/DCCJ理事長 青山友紀
デジタルシネマ実験推進協議会(DCTF: Digital Cinema Technology Forum)は2004年5月31日
に設立された産官学連携の協議会であり、4Kデジタルシネマを中心とする超高精細映像コンテン
ツがブロードバンドネットワークのコンテンツ流通における重要なデジタルコンテンツと捉え、その
流通技術、品質評価技術、セキュリティ技術の確立を目指し、国際的連携の下に実験を促進する
ことを目的としている。DCCJもその会員として加盟しており、重要な役割を果たしている。会員数は
2005年6月時点で53会員。
2005年6月6日に第2回定期総会が開催され、平成16年度活動報告、平成17年度の役員選任、
活動計画、部会設置、などが審議され、承認された。新しい協議会の構成は下記のとおりである。
デジタルシネマ実験推進協議会
会長:
副会長:
青山友紀 (東京大学大学院 教授)
高村倉太郎 (日本映画撮影監督協会 会長)
小野定康 (慶應義塾大学大学院 教授
総会
オブザーバ:
事務局:
総務省、経済産業省、
文部科学省
(財)テレコム先端技術
研究支援センタ
幹事会
企画部会
技術部会
部会長:秋元勝弘((株)スキップシティ)
部会長代理:早坂高志(ソニー(株))
部会長:藤井哲郎(NTT未来ねっと研究所)
部会長代理:浅井光太郎(三菱電機(株))
デジタルシネマ実験推進協議会 新構成図
ここに企画部会は普及啓発活動、技術部会は実証実験活動を中心に行い、必要に応じて両部
会が連携して活動を推進する。協議会会員はいずれかの部会に参加することを原則とする。
平成17年度活動計画は次ページのとおりである。
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 2005年第6号(2005年8月)
デジタルシネマ実験推進協議会
デジタルシネマ実験推進協議会 実験推進協議会 平成17年度活動計画
平成 年度活動計画
実証実験・
実証実験・調査研究活動
① BWF2005(2005年5月)の特別セッションに協賛し、4Kデジタル映像の配信デモを支
援する
② スキップシティーが主催するデジタルシネマフェスティバル(2005年7月)における新作
デジタルシネマのストリーム上映を支援する
③ iGRID2005(2005年9月)に参加し、JGN II日米回線を利用して東京からサンディエゴ
に4Kコンテンツの配信実験・デモを行う
④ 東京国際映画祭(2005年10月)に参画し、実験・デモを実施
⑤ JGN IIシンポジウム(2006年1月)に参加し、JGN IIを用いた配信実験・デモを行う
普及啓発活動
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
NAB Digital Cinema Summit(2005年4月)における講演(青山、藤井)をサポート
BWF2005(2005年5月)における特別セッションをサポート
DCCJ主催国際ディジタルシネマ・シンポジウム2005(2005年6月)を協賛
協議会の定期総会(2005年6月)において講演会を主催
スキップシティー主催のデジタルシネマフェスティバル2005(2005年7月)を協賛
東京国際映画祭(2005年10月)においてデジタルシネマシンポジウムを主催
JGN IIシンポジウム(2006年1月)におけるセッションをサポート
インターネットを利用した会員への情報提供の促進、協議会パンフレットの作成
国内および
国内および国際交流活動
および国際交流活動
デジタルシネマの流通技術に関して、慶應大学DMCと連携のMOUを締結する。
映像産業振興機構(VIPO)と連携し、その活動を支援する。国際的には南カリフォルニア大
学ETCおよびSCT、イリノイ大学EVL、UCサンディエゴ校、米国映画芸術科学アカデミー
(AMPAS)、欧州EDCF、イタリア国立映画学校、などとの連携活動を進める。
講演会および
講演会および懇親会
および懇親会
定期総会終了後、講演会が行われ、映像産業振興機構理事長の迫本松竹社長より、映像産業
振興機構の活動紹介、DCCJのアドバイザーでもあるLaurin Herr氏より「Updated on Digital
Cinema」と題して、ハリウッドおよび世界のデジタルシネマの現状と展望について日本語による講
演が行われた。講演会終了後、懇親会が行われ、協議会会員同士および総務省などのオブザー
バーを含めた交流が活発に行われた。 【お問い合わせ先】
デジタルシネマ実験推進協議会 事務局
〒160-0022 東京都新宿区新宿1-20-2 小池ビル
財団法人テレコム先端技術研究支援センター内
TEL 03-3351-8166 FAX 03-3351-1624
E-mail [email protected]
URL http://www.scat.or.jp/dctf/
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 2005年第6号(2005年8月)
総務省受託プロジェクト
総務省受託プロジェクトの
プロジェクトの概要
本年4月20日、総務省は、平成17年度情報通信技術の研究開発に係る提案の公募におい
て、外部評価を実施し、その結果を踏まえて、各課題について提案を採択いたしました。
研究開発課題「次世代型映像コンテンツ制作・流通支援技術の研究開発」では、日本電信電
話株式会社(代表研究責任者:藤井哲郎氏)を代表研究機関とする提案が採択されました。
臨場感あふれる超高精細映像(次世代型映像コンテンツ)について、ネットワークを活用して
セキュアかつ効率的・効果的に編集・配信等を行う技術の研究開発を推進し、広く利用者が豊
かな映像環境を享受できる社会の実現を目指し、今後5機関にて効率的な研究開発が行われ
ます。(総務省発表)http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/050420_1.html
研究課題と
研究課題と体制
【平成17年度予算額:1.7億円】
代表研究責任者(日本電信電話株式会社)
(1) ネットワーク分散協調型映像編集・制作技術
(ア) 超高速分散マルチ映像交換技術に関する研究開発
1.非圧縮4K超高精細映像スイッチ技術の研究開発
2.非圧縮4K長高精細映像の実時間協調編集環境に向けた実装技術の研究開発
(イ) 次世代映像品質管理技術に関する研究開発
1.入力系品質評価に関する研究開発
2.表示系品質評価に関する研究開発
5.総合品質管理手法に関する研究開発
3.評価コンテンツ制作に関する研究開発
4.主観評価指標の導出に関する研究開発
(2) 超高速・多地点ストリーム配信技術
(ア) フレキシブル認証キャスト技術に関する研究開発
(イ) 超高速実時間暗号コーデック技術に関する研究開発
参照資料:日本電信電話株式会社 藤井哲郎氏 「次世代映像コンテンツ制作・流通支援技術の研究開発」
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 2005年第6号(2005年8月)
NPO映像産業振興機構のスタート
東京大学教授/DCCJ理事長 青山友紀
我国は物を造って輸出する「もの造り立国」から情報社会を迎えて「IT立国」を目指しており、出
足ではパソコンやインターネット分野で米国に大きく遅れをとってきたが、ようやくブロードバンド
や携帯などで世界のトップクラスの環境を整備しつつある。そしていよいよこれからは情報を扱う
インフラから情報そのものの創造で世界のトップを走る段階に来た。すなわちコンテンツビジネス
で世界を先導する時代を迎えている。
しかるに、昨年5月に政府から発表された「知的財産推進計画2004」には次のように分析され
ている。“我が国のコンテンツ(映画、音楽、アニメ、ゲームソフトなど)は世界的に高い評価を受
けているが、これまで共通した理念の下に関係者が一致団結してその振興に取り組んできたと
は言えなかった。そのため、我が国のコンテンツビジネスの規模は、娯楽系事業だけで約11兆
円に及ぶものの、対GDP比でみると2%に過ぎず、米国の5%、国際平均の3%をも下回る状況と
なっている”。そして“2004年度には米国のAFI (American Film Institute)や英国のThe Film
Councilのように、大学等の教育機関へのサポートなど、大学等との連携・協力を図りつつ映像
産業全体の振興に向け制作助成等の諸事業を推進する民間機関の設立を支援する”ことが述
べられている。
これを受けて経団連がその受け皿造りを映画・放送・ゲーム業界などに働きかけ、NPO法人
の「映像産業振興機構(VIPO)」が発足したのである。理事長には迫本松竹社長が就任した。筆
者は当NPOに理事の一人として参画し、7月6日に行なわれた設立記念式典、通常総会に出席
した。同機構は映像コンテンツに関する人材育成、作品の制作、起業、を支援し、内外の市場開
拓などの事業を行い、映像コンテンツ産業の発展を通じて日本経済活性化に寄与することを目
的としている。したがって数年でコンテンツビジネスを拡大するような特効薬になるわけではない
が、人材育成から始めて着実に力を付けていこうという漢方薬的活動を目指している。
しかし、上記の推進計画の分析にあるように、映画、アニメ、ゲームなどの業界は互いに競争
が激しく共通の目的に向って長期的に協力する体制が極めて弱かったが、映像産業の多くの企
業が本機構に参画して地道な活動に協力し、それを総務省、経産省、文科省、経団連が組織の
壁を越えて支援する姿勢は高く評価できると思う。
現在、放送、映画、ゲームなどのエンターテインメント業界はデジタル化の真只中にいる。コン
ピュータ、ネットワーク、オーディオなどの分野はすでにデジタル化が終わった段階にあるが、デ
ジタル化によってメインフレームからパソコン、電話からインターネット、レコードからCD、という
大変革が起こり、ビジネスのパラダイムが変わり、勃興する者と退場する者が激しく入れ替わる
歴史を経験してきた。映像コンテンツビジネスもデジタル化によって同様なことが生じるのは間違
いない。
既存のビジネス構造にしがみついて守りの姿勢に入った企業は退場
する運命にある。フィルム映画で圧倒的な勝ち組のハリウッドはデジタ
ル化に抵抗してもおかしくないが、彼らは積極的にデジタルシネマに取
り組んでいる。日本の映画産業もこのチャンスを逃せば今後も勝ち組
に入れない時代が続くことになる。映像産業振興機構は積極的にデジ
タル化に取り組む姿勢が求められている。
(電経新聞 2005年7月11日号より。 許可を得て掲載。)
【参考サイト】
内閣官房知的財産戦略推進事務局 http://www.ipr.go.jp/
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 2005年第6号(2005年8月)
6月1日にNPO法人として正式にスタートした「映像産業振興機構」について事務局の畑様
よりご紹介いただきます。
映像産業振興機構のご紹介
映像産業振興機構は、小泉首相を本部長として2003年設置された知的財産戦略
本部の支援を受け、アメリカのAFI(American Film Institute)やイギリスのUKFC
(U.K. Film Council)に相当するような映像産業の振興組織として2004年12月に設
立されました。映画、放送番組、アニメーション、ゲーム、音楽等を国際競争力ある
産業とし、映像コンテンツ産業の発展を通じて日本経済の活性化に寄与することを目的とします。具体的取
り組みとしては、「人材育成への支援」「作品制作への支援」「起業への支援」「市場整備開拓支援」です。中
でも、人材育成とマーケットの拡大が重要な柱です。どんなに良い人材をたくさん育成したとしても、マーケッ
トがなければ、結局、人は育ちませんし、逆にマーケットがあったとしても、そこに出て行く人材がいなけれ
ば、マーケットは縮小してしまいますので、人材育成とマーケットの拡大を両輪で進める方針です。また、エ
ンターテインメント産業なので、楽しくやることと、本物を追求することを心がけています。
目的
当機構の平成17年度(平成17年4月~18年3月)の活動は以下を予定しています。
活動予定
○各種助成金
各種助成金に
各種助成金に対する申請
する申請の
申請の斡旋・
斡旋・指導
文科省「科学技術振興調整費」に申請の斡旋を行った結果、九州大学とデジタルハリウッド大学院
大学が委託研究事業として採択され、2005年度からの5年間にわたって事業を行う。
そのほかの助成金に対しても随時情報を収集し、業界内に斡旋等を行っていく。
○映像産業
映像産業に
映像産業に関するアンケート
するアンケート等
アンケート等の調査研究、
調査研究、情報の
情報の継続的収集と
継続的収集と提供
映像コンテンツ(映画・TV番組・アニメ・ゲーム・音楽)の作品単位のプロデューサーに対して
アンケートを行い、「映像産業で必要とされる人的資源とその育成についての専門責任者・意識調
査」を発表。現在、ホームページで掲載中。http://www.vipo.or.jp
○18年度政府予算
年度政府予算への
年度政府予算への働
への働きかけ
アンケートやヒアリングをもとに業界ニーズを把握し、映像産業振興に資する政策や助成金の新設・
拡充を組織的に政府に提案した結果、「知財推進計画2005」に当機構の要望をほぼ載せてもらえ
た。7月以降、それらの要望を18年度予算に組み入れてもらうために総務省、文科省、経産省等の
各省庁と折衝を行う。
○人材育成
人材育成に
人材育成に係る事業
経産省の助成金制度に応募し、当機構が、経産省委託事業「コンテンツ人材育成統合プログ
ラム」の一環として「三方得インターンシップ」を行うこととなった。映像系学部の学生を、商業
映像制作の現場で実習することにより、将来の有用な人材の育成を図る。
総務省の助成金制度に応募し、情報通信人材の研修・育成事業を行う。
文化庁が助成するインターンシップ制度の運営支援
新しい才能の発掘
ホームページ上に自主映像発表の場を提供
小・中・高等学校における映像コンテンツ教育への支援
文化庁が助成する「子供の映画鑑賞推進」にあたり、
鑑賞作品の推薦を検討
映像産業における「ゲートキーパー」養成教育のための
ワーキンググループ作り
映像系専門職大学院認証評価機関への申請を検討
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
映像産業振興機構のご紹介
活動予定(つづき)
○国内
国内・
国内・国際市場整備に
国際市場整備に係る事業
映画祭支援
経産省の助成金制度に応募し、東京国際映画祭の開催期間中に行われる「国際共同製
作の映像製作企画マーケット運営事業」を委託された。アジアの国々との共同製作の実現
を目指す。
文化庁より「韓国での日本映画上映事業」を委託され、10月に児童映画、11月に一般映
画の上映を行う。
海外の同様の機関(KOFICなど)との連携、交流、調査
映像コンテンツ産業5業種(映画・テレビ・ゲーム・アニメ・音楽)の交流会の開催
文化庁の「日本映画情報システム」の整備に協力
○ 作品制作支援に
作品制作支援に係る事業
文化庁の映画の作品への助成金の選定に関わることを検討
○自主事業
自主事業
映像に関するセミナー、シンポジウム
会員向け映画の上映会
迫本淳一 理事長
( 松竹株式会社 社長)
なお、当機構は現在、会員(法人、個人共)を募集しております。
詳しくは当機構ホームページをご覧下さい。http://www.vipo.or.jp
【映像産業振興機構 お問い合わせ先】
〒104-0045 東京都中央区築地4-1-1 東劇ビル8F
TEL: 03-3543-7531 FAX: 03-3543-7533 E-mail: [email protected]
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
会員紹介:株式会社スキップシティ
次世代映像制作拠点を目指す、SKIPシティの取り組み
SKIPシティは、埼玉県が中心となって推進しているプロジェクトであり、次世代映像産業の
導入と集積を目的に開発されました。
その際、設計段階から運営・管理を民間に委託するという新しいスキームが導入され「チャ
レンジ21」というコンソーシアムに参加した企業のうち、ソニーマーケティング(株)、ソニーピー
シーエル(株)、(株)竹中工務店、(株)清水建設、伊藤忠商事(株)、(株)クロスウェイブコミュ
ニケーションズ(現エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)、セコム(株))の出資により、
2000年2月に(株)スキップシティが設立されました。設立後、私どもは、埼玉県、NHKと基本
協定を結び、全体の維持管理業務、映像関連施設「彩の国ビジュアルプラザ」の運営業務を
30年間委託されることになりました。
埼玉県は、次世代映像産業の導入と集積という目的に基づき①若手クリエイターや映像系
ベンチャーの人材育成、②次世代映像制作のための各種機器・設備の整備、③独自の映像
文化圏の創出という3つの方向性をたて、6つの映像関連施設を作りました。それが「彩の国
ビジュアルプラザ」です。
SKIPシティの中核にあたるこの施設には、①HDスタジオ、②映像ホール、③映像制作支
援室、④インキュベートオフィス、⑤映像ミュージアム、⑥映像公開ライブラリーがあり、既存
の映像コンテンツは勿論のこと、次世代映像制作の主流となる「デジタルシネマ」に注目した
活動を行っています。以下に、各施設の活動状況をご紹介します。
1)HDスタジオ
スタジオ
フルデジタルの収録スタジオとして、放送番組や
デジタルシネマの撮影等で利用され、これまでに
150本もの映像作品がここで制作されました。
2)映像ホール
映像ホール
高精細デジタルシネマプロジェクター(1.3K)を設
置し、大型のシネスコスクリーン(H 4.36m×W
10.4m)で迫力ある映像が楽しめます。200以上も
の各種上映会やイベントに利用されており、特に映
画ファンの拡大を目指して毎月開催するウィークエ
ンドシアターが好評を得ていて、観客の育成に貢
献しています。
3)映像制作支援室
HD対応のリニア・ノンリニア編集室や5.1チャン
ネル対応のMAルーム、HDカメラシステムの貸出
を通じて、デジタルシネマを中心とする各種デジタ
ルコンテンツの制作を支援しています。
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
会員紹介:
会員紹介:株式会社スキップシティ
株式会社スキップシティ (
スキップシティ (つづき
(つづき)
つづき)
4)インキュベートオフィス
18室のオフィスには、若手クリエイターや映像系ベンチャーが入居し、施設を利用しながら、
様々な活動を展開しています。また、ソフト面の支援として、県主催でセミナーやフォーラム、
シンポジウムを頻繁に開催しており、デジタルシネマの最新情報、映画制作のスキルアップ、
映像ビジネスなど多彩なテーマで情報発信を続けています。
5)映像ミュージアム
映像ミュージアム
映像の原理や映画製作のプロセスを実際の装置に触れたり、
操作したりしながら学ぶ、体験型展示の施設です。特徴として、
運営の一部をNPO映像ボランティアの会に委託し、映像イン
ストラクターの養成などにも励んでいます。また、県内の小・中
学校の総合学習にこの施設を利用した映像制作授業を取り
入れ、これまでにのべ6,000人の児童が映像制作を体験する
など、人材の育成にも注力しています。
この他、インターネット放送局「SKIPシティチャンネル」では、市民や子供たちが作った映像
作品の上映をはじめ、県議会中継やイベントのリアルタイム配信なども行い、埼玉県の新し
い情報発信メディアとして注目を浴びています。
さらに、デジタルシネマに特化した、国際映画祭「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」(第1回
目:2004年3月)をいち早く開催しました。そして、第2回を、2005年7月16日(土)~24日(日)
まで開催し、デジタルシネマの普及と、新しいクリエイターの発掘に寄与していきます。期間
中には、関連イベント(シンポジウム・フォーラム・Dコンテンツマーケット)や特別上映(「北欧
のデジタルショート」)も併催され、デジタルシネマの制作拠点として、世界レベルでの認知浸
透を図るべく積極的に展開しました。
次世代映像産業拠点の確立に向け、複合的視点からプロジェクトを推進し、今後も変化を
恐れず邁進していきます。
是非、皆様のご協力のほどをよろしくお願いいたします。
【お問合せ先】
■(株)スキップシティ
〒333-0844 埼玉県川口市上青木3-12-63
TEL : 048-264-7777 WEB: http://www.skipcity.jp
【関連情報】
SKIPCITY Channelでデジタルシネマ関連インタビューが視聴できます。
http://www.skipcity.jp/broadband/ (SKIPCITY情報→SKIPシティニュース)
Vplaインタビュー
◇産業面におけるデジタルシネマ:経済産業省メディアコンテンツ課課長 広実郁郎氏
◇流通面におけるデジタルシネマ:総務省コンテンツ流通促進室長 奈良俊哉氏
◇ディジタルシネマ・コンソーシアムの設立とDCIに与えた影響:ディジタルシネマ・コンソーシアム理事長 青山友紀
◇デジタルシネマの課題と今後:ディジタルシネマ・コンソーシアム理事長 青山友紀
◇映像産業振興機構の取り組みとデジタルシネマへの期待:映像産業振興機構理事長 迫本淳一氏
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
= TTC Report 2月号 巻頭言で紹介されました =
スタンダードは神か魔物か
青山友紀 (東京大学教授)
我々は日々標準化された様々な商品、システム、サービスに囲まれて生活している。ス
タンダードは我々の生活と切っても切れないものである。それにしては標準を作るプロセ
スとその重要性が十分認識されているとは言えず、我々はスタンダードの重要性にもう少
し関心を持つべきである。
スタンダードがあることは一般ユーザにとっては福音である。ユーザはいろいろなメー
カの製品やプロバイダーのサービスを選択できる。企業間の競争によって価格や料金が低
下する。しかし、標準の存在がある場合には新しい技術の登場の壁になることもある。
一方、スタンダードを作るプロセスはある意味でビジネスそのものであり、それを制す
る者が覇者となる厳しい戦いの場でもある。勝てばスタンダードは神となり、負ければそ
れは魔物となってしまうのである。この神にも魔物にもなりえるスタンダードへの取り組
みに正しい理解を持つ経営陣がわが国には少ないという事態があり、懸念されるところで
ある。
標準化のプロセスは様々な形態がある。まず、標準化を担う機関が存在し、そこで承認
された方式が標準となる場合である。通信や放送の標準化はこの例の代表である。この場
合、標準化にどのように取り組むかは必ずしも自明ではない。ある方式の標準化を先導す
るには極めて大きなリソースを必要とする。特に人的リソースが重要であり、その分野の
技術者のエースを投入する必要がある。それに対するビジネスの見返りは必ずしも明らか
ではない。場合によっては標準化を待っていて、スタンダードができたらそれに準拠した
システムやサービスをビジネス化する待ちの姿勢をとる企業が多い。しかしながら、昨今
ではこのような2番手戦略が通用しにくくなってきている。そこで腹を固めて標準化を先
導すると決めるとすれば、そのリソースを出し惜しみすることはできない。これは先行投
資であり、投資回収ができなければ失敗となる。社長自らが経営における標準化の重要性
を認識している点では評価すべきところであろう。
標準化ボディの間にも競争がある。そこで標準化されたスタンダードが実際にどのくら
い利用されるかで勝負が決まる。成功例に挙げられるのはIETFである。インターネッ
トの普及によってIETFが重要性を増した側面と、IETFの標準化がインターネット
の普及を促進した側面とがコインの裏表のように存在する。それは通信の標準化にユニー
クな手法を導入した。すなわちRough Consensus & Running Codeと呼ばれるスキームであ
る。これは伝統的なITUなどの標準化期間のやり方と異なり標準化をスピーディーにし、標
準ができれば即商用化が可能で、インターネットの進展に見事にマッチした。もちろん
IETFを事実上牛耳っている少数の企業群の意思で標準化が左右されるという問題も指摘さ
れるところではある。
一方、伝統的な標準化団体であるITU-Tは電話網の発展に大きな貢献をしたが、電話網の
停滞とともにその存在理由が問われる事態にある。そこでは国と国の面子や政治的思惑、
儀式的会議の進め方、標準化に要する長い時間などの問題点を改善し、競争時代の通信の
標準化にマッチしたスキームに変革すること、そこで標準化されたスタンダードが実際に
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
社会に貢献するテーマを見出すこと、が焦眉の急である。当面NGN(次世代ネットワーク)
と称している標準化問題をいかに実際の通信ネットワークに利用されるスタンダードに具
体化し、早急に標準化を進められるかにかかっている。幸いインターネットに続いて固定
電話も携帯電話もIPネットワーク化されることは明らかで
ある。IP化は即インターネットに吸収すればよい、IETFですべてを標準化すればよい、と
いうものではない。ここでITU-TがNGNでどこまで社会に利用され標準化ができるかでその
存在理由が決まってくるであろう。NGNは神にも魔物にもなりえるのである。
常設の標準化期間が存在しないコンシューマ製品の標準化はデファクトスタンダードの
世界である。HD-DVDとブルーレイディスクの戦いになっている次世代DVDのスタンダー
ドがその典型である。この場合は標準化できたほうがマーケットの覇者となり、負けた方
は退場を迫られるので、経営トップがその重要性を一番よく認識している。多数派工作、
ポテンシャルユーザの囲い込み、特許戦略など総力を挙げたビジネスの戦いとなるが、最
終的にはユーザが決めることになる。しかしながら、デファクト化に成功しすぎたマイク
ロソフトの場合のようにユーザに選択の余地がなくなるという弊害も出てくる。まさにス
タンダードは神にも魔物にもなりえる代物である。
筆者が最近関係しているシネマ
の世界にはきわめて成功したスタ
ンダードが存在する。それは
35mmフィルムである。映画の技
術革新は過去トーキーの登場、カ
ラー映画の登場、であった。この
きわめて大きな技術革新に耐え、
100年にもおよぶ長期にわたって
映画のスタンダードとして君臨し、
現在でもなおその品質は十分鑑賞
に堪えるものである。まさに
35mmフィルムは映画界のスタン
ダードとして神様であった。デジ
タルシネマはその神に挑戦しなけ
ればならない。無謀にもその神様
をデジタルに置き換えるべく挑ん
だ集団がある。特定非営利活動法
ハリウッドに衝撃を与えたSIGGRAPH2001での
4Kデジタルシネマのエキジビション
人ディジタルシネマ・コンソーシ
アムに参加する技術者集団である。
デジタルシネマのスタンダードを4K(横方向のフレームあたりの画素数が約4000画素)に
すべきであるとハリウッドに乗り込んで数度にわたって世界初の4Kデジタルシネマのデモ
を行った。その貢献もあって、デジタルシネマを映画館に配信するマスターフォーマット
は4K方式となる見通しである。これが35mmフィルムに変わる神になるのか、長期間にわ
たってスタンダードとして存在しえず消えてしまう魔物になるのか、予断は許されない。
筆者としてはそれが神となるよう頑張るしかない。
【TTC Report】 96 2005・FEB Vol.19/No.2 1ページより
社団法人 情報通信技術委員会の許可を得て掲載
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
映画・映像関連ニュースご紹介
■ 2004年
2004年の国内映画興行収入 国内映画興行収入 過去最高の
過去最高の2109億円
2109億円を
億円を記録
1月31日、日本映画製作者連盟は2004年度(平成16年)の映画関連データ(興行成績等)を発表。映画館入場人
員は1億7千万人(前年比104.8%)、邦画人気の波に乗って興行収入は過去最高の2109億円(同比103.8%)を記
録した。映画館数は邦画および洋画専門館が減少する一方、邦洋混映館(シネマコンプレックス)の新設により、スクリー
ン数が144増加している。
また、6月21日、日本映画製作者連盟など映画関連4団体からなる「映画館へ行こう!」実行委員会(委員長・岡田
裕介東映社長)は、2004年7月より実施している「夫婦50割引」キャンペーン(夫婦どちらかが50歳以上なら1人10
00円)に続く第2弾として、「高校生友情プライス」キャンペーンを本年7月1日から実施すると発表。高校生3人以上な
ら、映画館入場料が1人1000円となり、高校生の入場者数増を狙っている。http://www.eiren.org/
■ IMAGICA、
IMAGICA、デジタルインターミディエイトサービスを
デジタルインターミディエイトサービスを開始
2月15日、株式会社IMAGICAは、「デジタルインターミディエイト(DI)サービス」を4月1日より本格的に開始すること
を発表した。近年ハリウッドでは DI を用いた制作が主流で、映画制作には欠かせない手法となりつつある。日本でも
デジタル合成やデジタルでの映画制作のみならず、フィルムのみで構成される映画においても、自由な色彩設計を求
める声が増え、 DI のニーズは益々高まってきた。そこで、DI サービスの準備を進めてきたIMAGICAは、同社製フィル
ムスキャナー “IMAGER” と ARRI 社レーザーレコーダーに加え、カラーグレーディング用にディスクリート社製の
lustre®を導入。DI による新しい映画制作サービスを行う “DI スイート” を完成させた。この DI スイートでは、ハリウッ
ドの ASC(American Society of Cinematographers) や DCI(Digital Cinema Initiatives, LLC) から高い評価を得た同
社開発のカラーマネジメントシステム「GaletteTM」を lustre® に搭載し、DLP2K プロジェクターと接続してカラーグレー
ディングを行う。これによりフィルムが持つ独特な色の深みを再現し、ハイクォリティな映像をご提供することが可能と
なった。http://www.imagica.co.jp/newsrelease/00063.html
■米国から
米国からアジア
からアジアの
アジアの映画館へ
映画館へ、デジタルシネマを
デジタルシネマをスピード配給
スピード配給する
配給する環境整備中
する環境整備中
3月14日、シンガポール情報通信開発庁(IDA: Infocomm Development Authority)は、ShoWest 2005(米国・ラス
ベガス)にて、米国からアジア各地の映画館に光ファイバーなどのブロードバンド回線を利用してデジタルコンテンツを
配給する「Cross-Continent Digital Content Transmission(CCTx)」プロジェクトのパイロット実験に成功したことを発表
した。IDAは、業界団体のシンガポールIT連盟(SiTF: Singapore infocomm Technology Federation)において、デジ
タルメディアとブロードバンド技術の普及を目指すDigital Media Chapter(DMC)と、南カリフォルニア大学(USC:
University of Southern California)のエンターテインメント工学センター(ETC: Entertainment Technology Center)の
協力を得て、官民一体で同プロジェクトを進めている。ETCのCEOであるCharles S. Swartz氏は「世界的にデジタルシ
ネマを普及させていく上で、全世界的に相互運用可能な配給システムが必要であり、CCTxのような実験は非常に重要
だ。ロサンゼルス-シンガポール間でデジタル配信に成功したことは大変喜ばしい。」とコメント。DMC会長のPak Lum
Mock氏は「今後さらにパートナーシップを拡大し、アジア各地にビジネスチャンスを広げたい」と抱負を語っている。
http://www.ida.gov.sg/idaweb/marketing/index.jsp
■ ランドマーク・
ランドマーク・シアターズ、
シアターズ、Sony社製
Sony社製「
社製「4K SXRD」
SXRD」デジタルシネマプロジェクター導入
デジタルシネマプロジェクター導入を
導入を計画
3月15日、米国のランドマーク・シアターズ(大手インディーズ映画館チェーン)のオーナーであるMark Cuban氏と
Todd Wagner氏は、ShoWest2005の席上、SonyのSXRD 4Kプロジェクタを傘下の映画館に設置を始めることを発表。
この夏、まず6台を購入し、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコの映画館に設置し、その後、全館(59館)に
順次導入していく予定。 ランドマーク・シアターズの親会社である2929エンターテインメント社は、同じく傘下のHDNetFilms社を通じてEシネ
マの製作・配給も進めているほか、既存の映画配給網に革命をもたらすために様々な戦略を練っている。4月には、ス
ティーブン・ソダーバーグ監督作品6本に出資する契約を結び、劇場、テレビ、ホームビデオに同時配給することを計
画中と発表した。http://news.yahoo.com/news?tmpl=story&u=/ibd/20050607/bs_ibd_ibd/200567tech
■オリンパスの
オリンパスの800万画素動画
800万画素動画カメラ
万画素動画カメラを
カメラを押井守監督が
押井守監督が使用 (愛知万博)
愛知万博)
オリンパス株式会社は3月25日から開催中の「愛・地球博」(愛知万博)における共同館「夢みる山」のテーマゾーン
の映像コンテンツ「めざめの方舟」の床面映像において、800万画素デジタル動画カメラ「SH-880TM」とハードディスク
レコーダー 「SH-880TR」を活用した質の高い体感映像制作に協力した。 このテーマゾーンの総合演出は世界的なア
ニメ・映画監督の押井守氏が担当。 SH-880TMで撮影した映像を50インチのプラズマディスプレイを敷き詰めた約
600m2の床面に表示している。押井氏は「これまでお客さんが体感できる程度のリアリティある解像度がなかなか得ら
れなかった。そこで、オリンパスの800万画素デジタル動画カメラの話を聞きつけ、試してみたいと思った。 実際に使っ
てみて、非常に安心感を持て、これなら十分に行ける、ちょうど現場の要求と提供するものがいい感じで出会えたと思っ
た。」 と語っている。http://www.olympus.co.jp/jp/news/2004b/nr041116oshiij.cfm
次ページへつづく
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
■ アストロデザイン、
アストロデザイン、「スーパーハイビジョン」
スーパーハイビジョン」の映像処理装置を
映像処理装置をNHKと
NHKと共同開発
アストロデザインは、「愛・地球博」のシンボルパビリオン”グローバル・ハウス”で上映されている次世代映像技術
「スーパーハイビジョン」の映像処理装置をNHKと共同開発した。「スーパーハイビジョン」は、高画質映像として一般
的になりつつあるHDTVと比較すると、走査線は4倍の4,320本、一画面あたりの情報量が16倍にもなる次世代の超
高精細映像技術。共同開発にあったっては、過去のノウハウを結集した開発体制をとり、未知の映像技術を実現す
る一端を担った。http://www.astrodesign.co.jp/ja/recruit/project/index.html
■ 料金500
料金500円
500円の映画館 山形市に
山形市にオープン
4月9日、映画館運営会社ムービー・オン(山形市、吉村和文代表取締役、以下MO)はライブドアの堀江貴文社
長が代表を務める映画配信会社「ブロードバンド・ピクチャーズ」(以下BBP)と、山形市内に専門館を設け、同グルー
プの独自作品を上映することで基本合意した。BBPは、インターネットを活用したストリーミング配信が専門で、上映
館の開設は初めて。デジタル方式がフィルムを使って上映するより設備投資が安価なことに着目し、BBPがソフトや
機材を持ち込み、運営をMOが請け負う。7月2日には、「山形からはじまる、映画革命」をキャッチフレーズに、1本5
00円で鑑賞出来る「ファイブコインズ・シネマ」1号館が、山形市七日町の「シネマイータ2」にオープンした。席数は8
0席で、ポップコーンのサービス付き。BBPは今後、同様の映画館を横浜、札幌など全国20カ所に展開する予定。
■ 計測技術研究所、
計測技術研究所、非圧縮4
非圧縮4K対応ディスクレコーダー
対応ディスクレコーダー UDRUDR-10Eを
10Eを市場投入
4月14日、株式会社計測技術研究所は、4ch HD/SD SDI入出力を持つ非圧縮タイプディスクレコーダー UDR-10E
を市場投入することを発表。4月19日より米国ラスベガスで行われたNAB展示会において実機を動態展示した。5
月25日から開催された映画テレビ技術2005では、デジタルシネマ実験推進協議会(DCTF)の活動の一環として
DCTF法人会員である複数社の協賛により4Kx2Kデジタルシネマにおける撮影、記録再生、スクリーン上映までを実
体験できる展示を行った。UDR-10は従来機種UDR-2E(2ch HD/SD SDI)の上位機種として多チャンネル化と小型化
を実現。デジタルシネマ撮影時に有利なリムーバブルディスクパック構造をUDR-2Eから継承している。
http://www.keisoku.co.jp/sales/Press20050414.html
■クリスティー社
クリスティー社、2年間で
年間で北米の
北米の2500スクリーン
2500スクリーンに
スクリーンにデジタルシネマ映写
デジタルシネマ映写システム
映写システムの
システムの設置を
設置を計画
6月21日、ウシオ電機株式会社(社長・菅田史朗氏)の米国子会社クリスティ・デジタル・システムズ社は、米国の
デジタル映画配信システム事業会社アクセス・インテグレーテッド・テクノロジー社と、デジタルシネマの本格的普及促
進に向けた、投資システムを含むビジネス・スキームの立ち上げに合意したことを発表した。このスキームでは、2年
間で米国およびカナダの2500スクリーンへのデジタルシネマ映写システムの設置を計画している。デジタルシネマは
「製作コスト削減」、「配給コスト削減」、「画像の劣化がない」など、大きなメリットがあると言われながら、設備コスト負
担が映画館側に重くなることから、普及が遅れているのが現状。今回のスキームは、映画館側には機材本体への初
期投資の必要がなく、コスト負担が最小限に抑えられていることが特長となる。すでに、複数のハリウッド大手製作/
配給会社とシネマチェーン運営会社が参加に基本合意しており、さらに多くの製作/配給会社、シネマチェーン運営会
社に参加を呼びかけ、デジタルシネマシステムの普及を一気に加速させる計画だ。
http://www.ushio.co.jp/cgi-bin/press/prog/news.cgi?view+00092
■コダック社
コダック社とバルコ社
バルコ社、デジタルシネマ事業
デジタルシネマ事業で
事業で提携
6月22日、イーストマン・コダック社とバルコ社は、全世界のデジタルシネマ市場に向け、製品、システム、設置、サ
ポートを含むサービスのすべてについて、より効果的な事業展開を図るための戦略的提携に合意したと発表した。
両社は独自の知的財産を活かして、今後のデジタルシネマ製品の販売、マーケティング、サービス、サポートやシス
テム開発で協力していく。今回の提携の一環として、バルコ社はコダック社のカラーサイエンスとイメージマネジメント
を採用し、バルコ社のシネマプロジェクターの性能を強化していく計画だ。
http://wwwjp.kodak.com/JP/ja/corp/news/0605/230605.shtml
■ディズニー社
ディズニー社とドルビー社
ドルビー社、3Dデジタルシネマで
デジタルシネマで提携
6月27日、ディズニー社とドルビー社は、今秋中に最先端の3Dデジタルシネマシステムを米国内主要25都市100
カ所の映画館に導入することを発表した。11月4日に公開予定のディズニー社のCGアニメ映画「チキン・リトル」の
上映にこのシステムを利用する予定。 http://investor.dolby.com/ReleaseDetail.cfm?ReleaseID=167406
■ DCI DCI デジタルシネマの
デジタルシネマの最終的な
最終的な総合システム
総合システム要求規格
システム要求規格を
要求規格を発表
7月27日、DCI (Digital Cinema Initiatives, LCC)はDigital Cinema System Specificationsのファイナルバージョン
の完成を発表(プレスリリースの日本語訳を次頁に掲載)。2K、4Kどちらの解像度にも対応可能な本仕様の詳細は
DCIサイトをご覧ください。http://www.dcimovies.com/
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
DCIがデジタルシネマの最終的な要求規格を発表
メーカーに次世代シネマ開発用標準技術を示す
DCI報道発表
報道発表:
5年7月28日
報道発表:2005
28日
Digital Cinema Initiatives (DCI)のウォルト・オードウェイCTO(最高技術責任者)は7月27日、最終的な
総合システム要求規格の完成を発表。これにより劇場用プロジェクタおよび設備メーカーは互換性のあるデ
ジタルシネマ設備が開発可能となる。
「3年にわたって綿密に計画、議論し、映画産業にかかわるすべての様々な支援団体に働きかけた結果、
DCIのメンバーである米大手映画会社7社はデジタルシネマに必要な総合システム要求規格を満場一致で
決定した。この規格統一により設備メーカーは全国の映画館で採用可能な製品を開発できるようになる。ま
た、世界中の映画館で採用されることも期待し、既に国際市場向けに本規格書の翻訳作業中だ。
今回の決定は、技術革新を促進し、これまで実現可能かどうかはっきりしない技術に資本投資することを
差し控えていた多くの企業・団体に投資を奨励する共通の根拠となる。市場に競争力がついてくれば、これ
までデジタルシネマにとって大きな障害と考えられてきた設備やその導入費用は、もはや大した問題ではな
いというところまで値下がりするだろう。」
DCIのメンバーである米大手映画会社7社と業界リーダーは、この待ちに待った展開を歓迎した。本規格
は2K、4Kどちらの解像度にも対応可能だ。
【関係各社からのコメント】
20世紀FOXが劇場上映する主要作品のデジタル版はすべてDCI規格で公開する。映画産業が盛り上がり、
すべての作品がデジタル化される未来へスムーズに移行するためには、単一のデジタル配給・上映規格が
不可欠。それがDCI規格だ。-ブルース・スナイダー社長(国内配給担当)、同社インターナショナル部門の
ポール・ハンネマン取締役副社長(セールス戦略企画担当)
最も重要な規格が整った結果を踏まえ、2005年末までにワーナー・ブラザースの作品を35mmフィルムと
DCI規格のデジタルシネマという2種類のフォーマットで公開予定。-ダン・フェルマン社長(国内配給担当)
DCI規格の決定は、デジタル映画のグローバルな配給への大きなステップ。この規格が海外向けにも使
用されることに期待。-同社インターナショナル部門のヴェロニカ・クワンルビネク社長(配給担当)
ソニー・ピクチャーズはDCIのデジタルシネマ技術規格書を全面的に支持する。我々は主要作品をDCI規
格のデジタルシネマ・システム用にデジタル版で世界中にリリースするのを楽しみにしている。-ジェフ・ブレー
ク副会長兼コロンビア・トライスター映画グループ社長(国際マーケティング配給担当)
DCI規格は観客が映画を楽しむ理想的な方法としてかなり長く支持されるにふさわしい品質レベル。ブエ
ナ・ビスタの作品を米国や世界中にDCI規格のデジタルシネマで配給するのが楽しみだ。-ブエナ・ビスタ・
ピクチャーズ・ディストリビューションのチャック・ビアーニ社長、ブエナビスタ・インターナショナルのマーク・ゾ
ラーディ社長
パラマウント・ピクチャーズはデジタルシネマの劇場上映についてDCI規格を採用する。この配給規格に準
拠した映画を公開するのが待ち遠しい。 DCIの業績は、上映、そして何よりも観客にとって大きな利益とな
るだろう。 -ウェイン・ルウェレン社長(配給担当)
ユニバーサル・ピクチャーズは規格が統一されたことを喜んでいる。これで観客も映画会社もデジタルシネ
マの恩恵に浴すことができるだろう。DCIはフィルムがデジタル形式でどう見せられるかについて業界が満
足する水準の統一規格を作成するために休むことなく作業を進めてきた。-ニッキ・ロッコ社長(配給担当)
DCIが3年かけて上映会社や配給元からの情報を取り入れながら作り上げた本規格は、デジタルシネマ
を現実化する重要なステップだ。この決定により、観客に極上の映画鑑賞体験をもたらすという我々の共通
の目標を達成するため、すべての関係者が一丸となって取り組むことに期待する。-ジョン・フィシアン全米
劇場所有者協会(NATO)会長
次ページへ続く
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
全米撮影監督協会(ASC)はデジタルシネマの最終規格案作成にあたりDCIと協働したことを誇りに思う。先
行きに厳しさを感じつつ、StEM(標準画質評価映像)の製作に関与した。これは『イメージの番人』としての我々
の伝統的な役割において非常に画期的な出来事だった上、1919年に協会を設立した動機を思い起こさせる
ものだった。映画産業はこの達成によってどんな恩義を負うかをまだわかっていないかもしれないが、何年も
先には映画を観る誰にとってもその意義が明らかになるだろう。- リチャード・クルードASC会長
劇場用映画の進歩の上で記念すべき出来事だ。映画は過去100年にわたり力強い普遍的な感動を与えて
きた。その理由の少なくともひとつは、早い時期にフィルム上映用の世界規格が採用されたことと言えるだろ
う。同様に、これからの100年は「世界の観客に対してデジタルシネマをどう上映するか」を定義したDCIの業
績に影響される可能性が高い。- 映画芸術科学協会・フランク・ピアソン会長
ライトストーム・エンタテインメントは、DCIがデジタルシネマの規格を完成させたことにわくわくしている。こ
れでデジタルシネマの展開に扉が開かれ、世界中の観客の映画鑑賞体験が革命的に変わるだろう。次の3
Dステレオ作品はDCI規格の映画館で上映されることを期待している。-ジム・キャメロン、ジョン・ランドー
映画製作者そして、おそらく誰よりも観客にとって大きな前進だ。我々は10年近くデジタルシネマを提唱し、
この日が来ることを長い間待ち望んでいた。デジタルシネマはどんどんスタンダードになって、世界中で映画
製作・鑑賞方法が変わるだろう。- ジョージ・ルーカス監督、リック・マッカラム・プロデューサー
標準デジタル劇場設備は、ホームビデオ業界にとってのDVDと同じくらい重要な意味を持っている。最良の
フィルムで上映しても数週間後には劣化し始めるが、デジタルシネマなら最後まで初回と品質が変わらない。
DCIの新しい統一規格のおかげで世界中の観客がピクサーのデジタル処理された作品を同じ色、ディテール、
解像度で観ることができるようになるだろう。-ピクサー・アニメーション・スタジオ・ジョン・ラセター取締役副
社長(製作、マスタリング、上映まで映画史上初めて完全デジタル化された作品「トイ・ストーリー2」の監督)
万歳!やっと決まったか!-ロバート・ゼメキス監督
DCI規格が完成した今日は、デジタルシネマにとって素晴らしい日だ。わたしは自分の創造的な意図を反映
する上映方式で作品を公開できることを期待している。-ロバート・ロドリゲス監督
今回の発表は国際的にも同様の支持を得た。イギリスのナショナル・フィルム・トラストは次の声明を発表し
た。「DCI規格の完成は、デジタルシネマに尽力する世界中の関係者にとって、記念すべき出来事だ。ナショ
ナル・フィルム・シアターのデジタルテストベッドは、本規格が世界標準規格となり、最高品質のデジタルシネ
マがイギリス、ヨーロッパ、そして世界で大規模に展開されるよう今後も積極的な役割を果たしていく。」
シンガポールの公的機関である情報通信開発庁(IDA: Infocomm Development Authority)の副責任者である
ホク・ユン・クーン氏はDCIへのお祝いを述べ、「世界中のデジタルシネマ開発にとって記念すべき出来事だ。
デジタルシネマがもたらす真の恩恵に浴す機会に大きく一歩近づいた。IDAはDCI規格を喜んで支持する。こ
れでシンガポールはデジタル・エクスチェンジ・ハブとしてコンテンツのより良い管理・配給に貢献できる。」と
語った。
世界中にデジタルシネマを推進するこの重大な転機に、海外の上映会社もその意気込みを語っている。ミ
ラノに拠点をおくアルカディア・シネマの上映業者であるローラ・フマガーリは「DCIが業界全体から意見を集
め、デジタルシネマ技術規格書を発表した偉業に感謝申し上げたい。DCI規格のデジタルシネマ設備を導入
することで、アルカディアはイタリアの支援者たちに最良の映画鑑賞体験を提供し続けることができる。」と述
べた。
南カリフォルニア大学エンタテインメント・テクノロジー・センター(ETC)のチャールズ・S・シュワルツCEO
兼エグゼクティブ・ディレクターは「映画鑑賞は特別なものだが、多くの観客を動員し続けるには、映画館は競
合メディアに打ち勝たなければならない。DCIのデジタルシネマ規格は、より高い上映品質の足固めをするだ
けでなく、映画や国の大小に関わらず映画上映のグローバルな特性の保証を促す。ETCがDCIの画期的な
業績に参加できて光栄だ。」と語った。
オードウェイ氏は「ようやく様々な支援団体に受け入れられるばかり
か、採用していただける合意に達した。映画製作会社、上映会社、そ
して誰よりも映画を愛してくださる観客が、デジタルシネマがもたらす
恩恵と可能性を楽しむことができるようになるだろう」と締めくくった。
http://www.dcimovies.com/
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
NPOディジタルシネマ
ディジタルシネマ・
ディジタルシネマ・コンソーシアム コンソーシアム 組織概要
役員一覧
理 事 長
副理事長
副理事長
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
理 事
監 事
青山 友紀 (東京大学 教授)
高村 倉太郎 (日本映画撮影監督協会 名誉会長)
小野 定康 (慶応義塾大学 教授)
小野田 勝洋 (財団法人C&C振興財団 顧問)
金子 満 (東京工科大学 教授)
河内 正夫 (NTTエレクトロニクス株式会社 取締役 技術開発本部長)
川又 政征 (東北大学 教授)
齋藤 邦昭 (オリンパス株式会社 IS事業プロジェクト プロジェクトリーダー)
齊藤 隆弘 (神奈川大学 教授)
中村 行宏 (京都大学 教授)
村上 篤道 (三菱電機株式会社 役員技監)
山内 寛紀 (立命館大学 教授)
山本 孝一 (株式会社ナックイメージテクノロジー 営業本部長)
太田 直久 (慶應義塾大学 教授)
中村 昌志 (株式会社IMAGICA 企画開発担当部長)
小口 喜美夫 (成蹊大学 教授)
アドバイザリー会員一覧
一木裕佳 (ナムコ 会長付特命担当)、小林正明 (松下電器産業 パナソニックAVCネットワーク社 技監)、品田雄吉 (多摩美術大学 教授)、辻井重男 (中央大学 教授)、徳田英幸 (慶応義塾大学
教授)、内藤整 (KDDI研究所)、山口南海夫(日本ビクター 専務取締役)、Laurin Herr (パシフィッ
ク・インターフェース社 社長)
個人正会員一覧 (上記役員を除く)
安芸淳一郎、浅井光太郎、石丸勝洋、磯野真一、伊庭野基明、伊藤幸文、上山功ニ、神戸薫、木村
美砂、小松道也、佐藤一彦、佐藤健一、白川千洋、高橋勝、田中健二、辻川和伸、角田研、戸村義
男、飛地茂、豊谷慎吾、根本直樹、萩本和男、枅川正也、藤井哲郎、藤川恵一、松岡陽子、村川恭
介、宮永博史、守倉正博、安田靖彦、渡部健司、山本洋一 (敬称略 50音順)
法人会員一覧
アストロデザイン株式会社、池上通信機株式会社、株式会社IMAGICA、株式会社オプトウェー
ブ研究所、オリンパス株式会社、株式会社計測技術研究所、株式会社スキップシティ、ソニー
株式会社、大日本印刷株式会社、株式会社テクノハウス、東映株式会社、株式会社ナック・イ
メージテクノロジー、株式会社日本シネアーツ社、日本電信電話株式会社、日本ビクター株式
会社、東日本電信電話株式会社、株式会社フライトシステムコンサルティング、三菱電機株式
会社 (50音順) (2005年7月現在)
◆◇◆ ◆◇◆ 入会のご
入会のご案内
のご案内 案内 ◆◇◆
(会員の種類) ■法人会員(年会費、1口10万円より) ■個人正会員(年会費、5,000円)
(ご入会方法) 指定の申込書にご記入の上、FAXまたは郵便でお申込みください。
申込書は当法人ホームページからダウンロードできます。
http://www12.ocn.ne.jp/~d-cinema/
Digital Cinema Consortium of Japan Newsletter 第6号(2005年8月)
Digital Cinema
Consortium of Japan