NEWS Japan 33号 - 日本TMA 日本ターンアラウンド・マネジメント協会

NEWS Japan
No.33 秋号 2012. 10. 25
TMA が岡山で事業再生セミナーを共催
2
■第一部 基調講演
2
中小企業の再生支援策等について
経済産業省・中国経済産業局・産業部・中小企業課長
藤本 茂文氏
6
■ SRC 事業再生セミナー 基調講演
中国進出した日系企業の悪化した事由
一般財団法人アジアビジネス再生支援機構・理事
上海兆辰匯亜法律事務所 /
上海兆辰徳業会計士事務所・パートナー弁護士
上海市弁護士会 M & A 研究委員会 /
会社法・倒産法研究委員会委員
賈 暁海(JIA Xiaohai)氏
■ Sponsored
国内ビジネススクール
ケースコンペティション 2012
■ TMA コンベンション
「Except the Unexpected /
期待しないことを期待する」参加報告
10
12
Conseil Mobilier 代表 中小企業診断士・認定事業再生士
井上 真伯氏
■ Ambition as CTP
ティー・エム・アソシエイツ株式会社 代表取締役
14
柴﨑 哲也氏
■ 2012 年アジア・パシフィック会議
(於:シドニー)
15
■ Sponsors
日本 TMA スポンサー
16
2012 年 10 月 25 日発行■第 33 号■季刊
■発行所
特定非営利活動法人
日本ターンアラウンド・マネジメント協会
〒 160-0022 東京都新宿区新宿 1-7-1 新宿 171 ビル 7F
TEL: 03-5269-2303 FAX: 03-5269-1482
E-mail: [email protected]
URL: http://www.tmajapan.org
TMAが岡山で事業再生セミナーを共催
①中小企業の事業再生支援機能を抜本的に強化する
ため、専門人材の拡充を図る。
②下記③のとおり、中小企業再生支援全国本部
(以下、
「全国本部」)や協議会との円滑な連携を図るため、
必要な中小企業にとって相談しやすい窓口としての
機能を充実し、最適な解決策の提案や専門家の紹
介等を行う。
(3)機構及び協議会においては、以下の取組みを行う
特定非営利活動法人 日本ターンアラウンドマネジメ
海氏が「中国進出した日系企業の悪化した事由」と題
企画・業務統括機能を強化するとともに、協議会
ント協会(TMA)はこのほど、一般社団法人事業再
してそれぞれ基調講演。
との連携窓口を設置する。
生支援協会(SRC)との共催で、事業再生セミナーを
第 2 部は「金融円滑化法出口戦略と事業再生実務
③中小企業の実態に合わせた支援基準の見直しを行
方が対応した方が 効果的かつ迅速な支援が可能
岡山全日空ホテルで開きました。
家の役割」と題したパネルディスカッションに移り、7
うとともに、協議会では事業再生支援の実施が困
となる場合には、相互に案件の仲介等を行う。こ
同じ会場で行われた SRC の 2012 年総会に続く形
人の SRC 会員が登壇し、2013 年 3 月末に終了する金
難な案件を中心に積極的に取り組む。
のため、機構と全国本部は連携して、相互仲介ルー
で開催され、第 1 部のセミナーでは、経済産業省・中
融円滑化法の現状と、各地域で実際に活動している
国経済産業局・産業部・中小企業課長の藤本茂文氏
会員ならではの事業再生の現場や今後の役割などに
が「中小企業の再生支援策等について」と題して、一
ついて討論が行われ、参加者は熱心に聞き入っていま
般社団法人アジアビジネス再生支援機構理事の賈暁
した。
④デューデリジェンス等にかかる手数料の負担軽減を
図る。
(2)協議会においては、以下の取組みを行うことにより、
その機能を抜本的に強化する。
①金融機関等の主体的な関与やデューデリジェンス
の省略等により、再生計画の策定支援を出来る限
り迅速かつ簡易に行う方法を確立する。
(標準処
第一部 基調講演
中小企業の再生支援策等について
経済産業省・中国経済産業局・産業部・中小企業課長
藤本 茂文氏
理期間を 2 ヶ月に設定。協議会ごとに計画策定支
援の目標件数を設定し、24 年度に全体で 3 千件
程度を目指す)
②事業再生支援の実効性を高めるため、地域金融機
関や中小企業支援機関等の協力を得て、専門性の
高い人材の確保及び人員体制の大幅な 拡充を図る。
中小企業金融円滑化法の期限の最終延長等
を踏まえた中小企業支援策等について
ング(出口戦略ヒアリング)を実施する。
援が必要な場合には、判断を先送りせず外部機関
中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえ、中小企
等の第三者的な視点や専門的な知見を積極的に活
業の経営改善・事業再生の促進等を図るため、以下
用する旨を監督指針に明記する。
の取り組みを強力に進めることとし、関係省庁・関係
これらの取り組みによって、金融機関によるコンサ
機関と連携のうえ早急に具体化を図ります。さらに、
ルティング機能の一層の発揮を促します。
中小企業の事業再生・業種転換等の支援の実効性を
2 つ目は、企業再生支援機構及び中小企業再生支
高めるための施策を引き続き検討します。
援協議会の機能及び連携の強化です。財務内容の毀
その 1 つ目は、金融機関によるコンサルティング機
損度合いが大きく、債権者間調整を要する中小企業に
能の一層の発揮です。金融機関は、自助努力による
対しては、企業再生支援機構(以下「機構」)や中小
経営改善や抜本的な事業再生・業種転換・ 事業承継
企業再生支援協議会(以下「協議会」)を通じて、事
による経営改善が見込まれる中小企業に対して、必要
業再生を支援します。
に応じ、外部専門家や外部機関、中小企業関係団体、
このため、内閣府、金融庁、中小企業庁は緊密に
他の金融機関、信用保証協会等と連携を図りながら
連携して以下の施策を実施することにより、両機関の
コンサルティング機能を発揮することにより、最大限
機能及び連携を大幅に強化します。
①各金融機関に対し、中小企業に対する具体的な支
援の方針や取組み状況等について集中的なヒアリ
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2012.10.25
①機構又は協議会が相談を受けた案件について、他
ルを策定する。
②事業再生支援機能の向上や上記(2)③の相談機
能を実務面から支援するため、機構と全国本部は
連携して、中小企業の経営状況の把握・分析や支
援の手法等に係る改善や指針等の策定を行い、そ
れらを協議会とも共有する。
③機構は、協議会が取り組む案件について、相談・
助言機能を提供する。
④機構及び全国本部は、協議会や金融機関が必要と
する専門性を有する人材を紹介できる体制の構築
を進める。
⑤機構、協議会及び全国本部との間で、
「連携会議」
を設置する。
3 つ目が、その他経営改善・事業再生支援の環境
②抜本的な事業再生、業種転換、事業承継等の支
中小企業の経営支援のための政策パッケージは、
支援していくことが求められています。
③経営改善、事業再生、業種転換、事業承継等が
ことにより、連携を強化する。
(1)機構においては、以下の取組みを積極的に推し
進め、中小企業の事業再生を支援する仕組みを
再構築する。
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3
整備です。金融機関によるコンサルティング機能の発
中小企業の経営力強化について
中小企業支援の専門知識だけでなく
揮にあたって、経営改善・事業再生支援を行うための
今年 8 月に施行された「中小企業の海外における商
豊富な実績を有する専門家を巡回対応相
環境整備も不可欠となっています。このため、内閣府、
品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな
談員として選定します。巡回対応相談員
金融庁及び中小企業庁は、以下の施策を実施します。
事業活動の促進に関する法律等の一部を改正する法
が、ネットワークを構成する支援機関を
(1)各地域における中小企業の経営改善・事業再生・
律(中小企業経営力強化支援法)」の概要は、中小
巡回し、支援機関の相談対応の一環とし
業種転換等の支援を実効あるものとするため、協
企業の経営力強化を図るため①既存の中小企業支援
て、高度専門的な相談に直接対応、必要
議会と機構を核として、金融機関、事業再生の実
者、金融機関、税理士・税理士法人等の中小企業の
な場合はさらに専門家を派遣します。
務家、法務・会計・税務等の専門家、中小企業
支援事業を行う者を認定し、中小機構によるソフト支
支援機関の相談員は、巡回対応相談
関係団体、国、地方公共団体等からなる「中小企
援などその活動を後押しするための措置を講ずるとと
員の相談対応に参加し、現場の経験を
業支援ネットワーク」を構築する。
もに、②ものづくり産業のみならず、高付加価値型
通じて能力向上を図ると共に、相談対
産業(クールジャパンとしての地域産業資源、農業、
応による知見・ノウハウ等もネットワーク
め、地域金融機関と中小企業基盤整備機構が連
コンテンツ産業等)も世界に発信可能な潜在力を有
内で広く共有します。
携し、出資や債権買取りの機能を有する事業再生
する中で、中小企業の海外展開を促進するため、日
ファンドの設立を促進する。
本政策金融公庫及び日本貿易保険を活用した中小企
(2)地域における事業再生支援機能の強化を図るた
業の海外子会社の資金調達を円滑化するための措置
中小企業政策を巡る
最近のトピック
せるため、資本性借入金を活用した事業再生支援
を講じる、というものです。
中小企業の中でも特に小規模企業の数が大幅に減
の強化について検討する。
措置事項の概要は以下の通りです。
少していますが、小規模企業はグローバル企業を育て
1. 支援事業の担い手の多様化・活性化
る苗床であり、地域の経済・雇用を支えており、我が
(3)公的金融機関による事業再生支援機能を充実さ
(4)以上に加え、中小企業の事業再生・業種転換等
の支援の実効性を高めるための施策を検討する。
(1)既存の中小企業支援者、金融機関、税理士・税理
しかし、小規模企業は一様に厳しい状態にあるわ
企業に対して専門性の高い支援事業を実現する。
けではなく、その経営状況や経営力にはバラツキがあ
よる 資金調達支援を通じ、支援事業を支援する。
同議長としつつ、幅広い関係主体で構成。同年 6 月
の同会議における取りまとめを受け、中小企業政策審
議会“ちいさな企業”未来部会を開催し、中小企業
政策の具体的な制度改革を目指し、専門的知見に基
づく審議を行っていきます。
施策を講じる必要があります。
今年 3 月には、
「“日本の未来”応援会議〜小さな
することが可能となり、経営力の強化が図られる。
企業が日本を変える〜(略称:
“ちいさな企業”未来
2. 海外展開に伴う資金調達支援
会議)」が設置されました。次代を担う青年層や女性
承認又は認定を受けた計画に従って事業を行う中小
層の中小・小規模企業経営者を中心に、中小企業団
(1)日本政策金融公庫の債務保証業務、日本貿易保
中小企業政策審議会会長 / 日本商工会議所会頭を共
り、それぞれの段階・形態・課題に応じたきめ細かな
(3)これらにより、中小企業は質の高い事業計画を策定
企業者に対し、以下の措置を講じる。
メンバーは、枝野幸男・経済産業大臣及び 岡村正・
国の経済・社会を支える公器です。
士法人等の支援事業を行う者の認定を通じ、中小
(2)中小機構の専門家派遣等による協力や保証付与に
施策のあり方を討議し、実行していきます。
主要検討項目は、以下の通りです。
1. 中小企業政策全体における中小・小規模企業の
位置付け
2. 中小・小規模企業に対するきめ細かい経営支援
体制の構築
体、税理士等の士業、商店街関係者、生業、地域金
融機関など、幅広い主体の参加の下に会議を開催し、
険の保険業務を拡充し、中小企業の外国関係法
これまでの中小企業政策を真摯に見直し、中小・小規
人の海外現地金融機関からの資金調達を支援す
模企業の経営力・活力の向上に向けた課題と今後の
3. 創業や成長のための最適な資金調達手段のあり方
4.下請取引の適正化・下請企業の振興方策
る。
(2)中小企業信用保険の保険限度額を増額し、親子
ローン等を通じた海外展開を支援する。 国内事
業基盤の維持に配慮する。
3. 経営基盤強化計画の廃止
中小企業の経営力強化支援、金融機関を含
めた経営支援の担い手活性化
中小企業支援ネットワーク強化事業では、幅広い支
ふじ もと
しげ ふみ
藤本 茂文
プロフィール
経済産業省・中国経済産業局・産業部・中小企業課長
1978 年、広島通商産業局入局
2005 年、中国経済産業局・中小企業課・課長補佐
2006 年、総務課・課長補佐
2007 年、次世代産業課長
2009 年、ガス事業課長
2011 年、中小企業課長
援機関からなるネットワークを経済産業局を中心に構築。
4
2012.10.25
2012.10.25
5
SRC 事業再生セミナー 基調講演
中国進出した日系企業の悪化した事由
一般財団法人アジアビジネス再生支援機構・理事
上海兆辰匯亜法律事務所 / 上海兆辰徳業会計士事務所・パートナー弁護士
上海市弁護士会 M & A 研究委員会 / 会社法・倒産法研究委員会委員
賈 暁海 (JIA
Xiaohai) 氏
日本企業の中国進出現状
店舗を M & A、物流会社を上海にて法人化、食品会
現在、日中関係は混乱していますが、先日大阪を訪
社が成都へ、などいろいろな動きがあります。
ねた際、30 年以上日本企業の中国進出のお手伝いを
している人物に話を聞いたところ、確かに影響は出て
日系企業の悪化事由
いるけれども、中国に対して関心を持っている日本企
これらは成功例ですが、失敗している企業もまだた
業はかなり増えているとのことでした。関心があるの
くさんあります。この 8 年間で私が経験してきた、日
は、進出したいという気持ちがあるからで、私もほぼ
本企業のトラブルの原因をまとめてみました。
の例です。この会社は発足当時はかなり利益をあげ
代の中国人男性と話す機会がありました。田舎から出
同感です。
まず一つは、個人を信用し過ぎることです。携帯電
ていました。中国の携帯電話市場は急速に拡大して
稼ぎに出てきた彼が聞かせてくれた「夢」とは、お金
最近の 2 年間を見てきて、日本企業は新分野へ、
話販売の上場会社の例では、2005 年に中国側パート
いるので、中国人幹部は中国の携帯電話メーカーも取
を貯めてマイホームを買うとか、子供のために使うとか
第三次産業へ、新地域への投資が増えつつあります。
ナーと合弁販売会社を設立し、計 5 億円も投資したも
引相手にすることを提案したのですが、現地の日本人
ではなく「社長室で日本人の社長と 1 度でいいから話
ハイテク、エコロジー、環境、精密機器、食品加工、
のの、中国側の社長の言うことを全て信用し、結局 1
責任者と日本の本社の判断で日系企業と海外の大手
をすること」でした。彼は入社して 15 年になっていま
自動車関連、外食、小売り、医療、農業、物流、金
年後撤退に追い込まれました。
メーカーだけとのビジネスを続けてきたのです。しかし、
したが、1 度も社長の話を聞いたこともないし、会話
融などへの参入が加速しています。良い商品であれば、
常州で独資会社を設立した B 社の例では、2008
日本の携帯電話はなかなか中国の市場に浸透せず、
したこともなく、どんな人物なのか見たこともなかった。
中国の市場では受け入れられるのです。
年 12 月に現地に詳しい日本人 A 氏から常州経済開発
一方で中国のメーカーが大きく成長したため業績はど
リストラの対象になっている彼の夢を聞き、私は心を
中国沿岸部の人件費、土地・建物の価格は高騰し
区の紹介を受け、土地購入後に工場建設を行った際、
んどん悪化し、事業再生が必要になってしまいました。
打たれました。日本人と中国人の間にあるギャップは、
ており、加工型企業は中西部、地方都市重点型に切
開発区が推薦する建設会社に工事を発注し、現場管
日本の本社と現場の日本人社長が、もっと中国人幹
とても大きいと言えるでしょう。
り替わりつつあります。日系企業の中でも特に中小企
理を買って出た A 氏に全てを任せていたところ、A
部とのコミュニケーションをとれば、現地の事情を把
同じグループの広東省にあるエアコン部品製造会社
業は、中国内需市場にフォーカスして商品を販売する
氏は建設会社からリベートをもらっており、現場にもほ
握でき、ビジネスチャンスも広がると思います。
は、地元の政府から高い評価を受けていました。日
ケースが増え、活躍しています。今年、外国資本の投
とんど入らず、できあがったのはボロボロの工場となっ
浙江省にある某大手工場の例です。携帯電話を作っ
本人幹部、中国人幹部全員が朝一番で出社し、ゲー
資が規制緩和され、一部の会社は合弁会社から独資
てしまいました。
てましたが、なかなか売れず、投資額は数十億円に
トの前で出勤する社員たちに「おはようございます」
の道を選ぶという流れも目立ちます。
対応策としては、ある程度第三者を介入させ、調査
のぼり、中国の国有企業に譲渡することになりました。
と挨拶し、夕方の退社時には「お疲れ様でした」と声
私の知る例で申しますと、車の金型工場を広西省に、
することが必要でしょう。
当時の幹部は全て日本人で、中国人は人事管理とマー
をかけ、会話を交わしているのです。この会社は十数
コンセプト車デザイン会社を蘇州に、エステ会社を上
全体の 7 割くらいの日系企業の悪化事由となってい
ケティングに携わるだけで、ほとんど経営に関わって
年もの間、離職率は数%という低さでした。経営者の
海に、LED 照明及び断熱塗料グループを上海に、米
るのが、中国人スタッフとのコミュニケーション不足。
いませんでした。
考え方や姿勢次第で、工場の成否もはっきりと分かれ
の栽培会社を天津に、上海の外食会社の 7 チェーン
広東省や浙江省に工場があった携帯電話部品会社
私がこの案件に関わった際、生産ラインで働く 50
ます。ローカル化はとても大事です。
6
2012.10.25
2012.10.25
7
大証二部上場の会社で社名を仮に「田中金属工業」
把握できるよう、執行力を第一とする社内規則の徹底、
業拡大」「事業再編や M & A の道で生き残り、さら
とします。ABC 商標を所有し、90 年代から中国の代
第三者の監査、不正指摘の通告ルート設置、が求め
に事業発展を目指す」ということになろうかと思います。
理店を通してシャーレンチを販売してきました。中国に
られます。
中国における政策・法律の変化
おいて、商標はそれほど認知されていませんが、
「田
今後の中国ビジネスにおける
3 つのキーワード
●新「企業所得税」による外資系企業への優遇政策
「TANAKA METAL TOOLS CO.LTD」の英語商
中国では所得水準が向上し、特に中間所得層のプ
●新「労働契約法」
「労働争議調解仲裁法」
「工傷条
号で模倣品を製造。
「田中金属工業」の中国シェアは
レゼンスが高まっています。また、高齢化は一段と進
例」による労働紛争、労務対策の重要性、リスト
どんどん落ちていったのです。我々は上海で不正競争
展していくので、こちらにもビジネスチャンスはありま
ラに対応
の訴訟を起こし、勝訴することができました。賠償金
す。そして、環境・省エネルギー関係のビジネスも同
●地方政府が公害産業の拒否姿勢へ転換
も勝ち取りましたが、こうなる前にもっと早く防衛策は
様です。
●国有企業の民営化を加速、民営・外国資本の参加
中金属工業」の名前は広く知られています。それで代
理店が「田中」「TANAKA」を抜け駆け商標登録し、
の廃止
とれたはずです。
を推進
中国での早めの権利登録や、社内での情報収集体
日本企業の今後の経営戦略
3 番目の悪化事由は、知的財産保護戦略・対策不
制の構築、専門家とのコネクション構築などを取るべ
「大きな中国市場を取っていく」という点において
「労
足が目立つことです。一部上場の大手医療・ソフト会
きでしょう。
働集約型産業を中西部へ移転」「中国内市場に積極
日本企業へのアドバイス
社の場合、広東省の工場に OEM(他社ブランドによ
最後に述べる悪化事由は、日本の本社が現地法人
的に参入して都市マーケットを重視し、農村部への事
これらを踏まえたうえで、日本企業に対するアドバイ
る製造)で製品を作ってもらったのですが、質が悪く、
の状況を把握していないことです。
スは以下に集約されます。
結局止めることになりました。ところがこの工場は、2
一部上場の大手楽器製造メーカーが上海で音楽教
●地方政府とのコミュニケーション
か月後に偽ブランド製品を作り、展示場にも出品した
室を作った際、150 坪の広さで内装工事を日本人の会
●従業員への配慮
のです。訴訟しようとしたのですが、秘密保持契約書
社に依頼したのですが、コストの相場は 2000 万円く
●労働組合重視の傾向
も製造委任契約書もなく、特許も申請していないので、
らいなのに、請求額は 3200 万円にもなっていました。
●手続きの随時確認
手の打ちようがありません。一部上場の会社でも、こ
社内規則ではまず競売を経て、契約関係は全て法務
●中国事情を熟知している専門家の活用
れほど知的財産保護の意識が低いのです。
部を通さなければならないのですが、現地の業務部
●ローカル化の重要性
100 年以上の歴史がある大阪の企業は 20 年前から
の日本人部長が直接知り合いに発注してしまい、こう
●「小家から火を出す(小さな事から大きな問題が起
すでに中国でアパレルの貿易会社を作っており、この
いうことが起こってしまった。このようなトラブルは、
ほどブランドの商標登録をしようとしたら、ほとんど
中国の現地法人で結構多く起こっています。
●経営戦略の明確化
全てが他社に登録されてしまっていました。香港やシ
日本でも有名な大手物流会社の幹部たちが行った
●企業文化の統制
ンガポールの会社で、中には日本人も含まれています。
不正の例では、現地で外注する運輸会社からの請求
商標登録した相手と買い取り交渉するしかないのです
額は 10 万円なのに、クライアントへの請求額は 30 万
が、全ての交渉相手から譲渡を拒否されました。
円以上と大幅に水増ししていました。
一部上場の物流会社は大連、上海、深圳などに拠
日本の本社は、中国の現状を把握していない。する
点と現地法人を置いて 8 年になるのですが、ここも商
と、現地法人の幹部は自分たちのコネを使って不正を
標を全く取っていなかった。類似商標を持っている深
するようになる。監査は行われていても、それは出る
一般財団法人アジアビジネス再生支援機構・理事
上海兆辰匯亜法律事務所 / 上海兆辰徳業会計士事務所・パートナー弁護士
上海市弁護士会 M & A 研究委員会 / 会社法・倒産法研究委員会委員
圳の会社と交渉し、結局約 200 万円を支払って買い
お金と入るお金のチェックだけで、ビジネスの流れや
中国国際旅行社・上海支店入社(主にフランス語圏の営業担当)
取ることになりました。8 年前にちゃんと商標登録して
相場のチェックなどはあまりされていません。
2001 年、東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了、法学修士号取得
いれば、登録料の 10 万円を支払うだけで済んだのに。
不正を未然に防ぎ、不正が行われた場合は早期に
2004 年、兆辰法律事務所設立(他 4 人パートナーと共同)、現在に至る
8
2012.10.25
●沿岸部労働人口の不足、物価の上昇、賃金の上昇
こる)」に注意
賈 暁海
JIA Xiaohai
プロフィール
その後、中国司法試験合格、弁護士活動開始
2012.10.25
9
Sponsored ●国内ビジネススクール ケースコンペティション 20 12
2012 年 7 月 29 日、慶應義塾大学 藤原洋記念ホールで『国内ビジネススクール ケースコンペティション
2012(JBCC2012)
』の本選が開催されました。JBCC は、実在の企業再生案件を基としたオリジナルケース
を用いて、与えられた課題に対する解決策の戦略提言を行う、チーム対抗型の大会で、国内のビジネススクー
ルの学生が独自に運営するものです。
日本 TMA および日本事業再生士協会では、事業再生分野に寄与する活動として、本大会に協賛・協力いた
しました。
3 回目の開催となる今回は、課題としてタイでの洪水被害を受けた自動車部品メーカーのケースが出題され、
優勝した神戸大学大学院経営学研究科チームと
許斐理事長
準優勝のグロービス経営大学院チームと
審査員の冨山和彦氏
12 校、51 チーム、188 名が参加しました。本選には予選を通過した 9 チームが出場し、プレゼンテーショ
ンを行ないました。
本選出場チーム(9 チーム)※敬称略
許斐理事長(日本 TMA・日本事業再生士協会)と日比理事(日本 TMA)が予選の段階から審査に加わり、
神戸大学大学院経営学研究科: 亀元護 岡本哲也 永川智也 辻武史(優勝)
本選当日も審査員を務めました。
グロービス経営大学院: 多田健太郎 岡山俊康 西尾圭司(準優勝)
グロービス経営大学院: 木下和哉 瀬島紀子 長島由晃 芦川雅隆
グロービス経営大学院: 柴田達真 村越岳 齋藤眞一朗 上山修士郎
グロービス経営大学院: 桑島央臣 大沢豪 末崎将司 松崎光雄
慶應義塾大学大学院経営管理研究科: 神部恵範 岩間祐樹 松宏幸 杉山暢一
慶應義塾大学大学院経営管理研究科: 仙石泰一 横手弘宣 内藤祥 寺岡明鉱
中央大学大学院戦略経営研究科: 横山毅 青柳宏 田村優幸 平岩崇
早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻: 大田幸嗣 田中良治郎 浜崎堅一 遠藤加奈子
審査員
日本 TMA・日本事業再生士協会 許斐義信理事長
本選出場者のプレゼンテーション
本選出場者のプレゼンテーション
日本 TMA 日比将博理事
経済産業省 産業再生課長 吉本 豊氏
株式会社経営共創基盤 代表取締役 CEO 冨山和彦氏
参加校
株式会社ダイヤモンド社 ハーバードビジネスレビュー編集部 編集長 岩佐 文夫氏
小樽商科大学ビジネススクール(小樽商科大学大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻)
九州大学ビジネススクール(九州大学大学院経済学府 産業マネジメント専攻)
グロービス経営大学院
慶應義塾大学大学院経営管理研究科
神戸大学大学院経営学研究科
中央大学大学院戦略経営研究科
名古屋商科大学大学院
南山ビジネススクール(南山大学ビジネス研究科ビジネス専攻(専門職大学院))
法政大学ビジネススクール(法政大学イノベーション・マネジメント研究科イノベーション・マネジメント専攻)
JBCC2012 本選開催
審査委員として参加した許斐理事長
明治大学大学ビジネススクール・ビジネス研究科 グローバル・ビジネス専攻
早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻
詳細は JBCC2012 のウェブサイトをご覧下さい。
10
2012.10.25
http://jbcc2012.web.fc2.com/index.html
2012.10.25
11
て、混乱期に会社をいかに運営してきたか、レンディング
TMA コンベンション
コミュニティを活用した資金調達やハブ・アンド・スポーク・
「Except the Unexpected /期待しないことを期待する」参加報告
Conseil Mobilier 代表 中小企業診断士・認定事業再生士
井上 真伯氏
コンセプトに基づく店舗の再編成など、事業上のリスクと
環境変化に対処するための新たな手法の導入事例も踏ま
えて、活発に議論がなされていた。
次のセッションは「Online Retailers: Growing Pains
and Turnaround Challenges /オンライン小売業者:成
ハリケーン・サンディはアメリカ東海岸の各地に大きな被
所を見て回った。
長期の苦しみと転換の課題」であった。まだ業界自体の
害を残した。とりわけニューヨークは電気や地下鉄などの
11 月 1 日のレセプションは全 参加 者向けの Opening
歴史が浅いインターネット通販(小売)業の経営者がパネ
インフラが致命的なダメージを受け、政府などの公共機関
Reception に 先 立 ち、NextGen( 新 メ ン バ ー 向 け )
、
リストに登場した。ソーシャルメディアを活用した新たな
や NYSE が業務を停止するという状況に陥っていた。そ
International( 日 本 を 含 む 外 国 人 向 け )、Women’s
ユーザーの取り込みや、1 商品の販売期間を 2 ~ 4 日間と
うしたサンディの混乱が収まらない 11 月 1 日に、アメリカ
Panel & Networking などの分 科 会が実施されていた。
いう短期間に絞り、
次々と入れ替えていくという
“フラッシュ
・
鼎談では、
『大統領選挙後に“財政の崖”が具体化す
で最も歴史の古い街の一つであるボストンで TMA 年次
人数に比して狭隘とも思える会場ではあったが、各国から
セールス”など新たな販売手法の活用事例が紹介されて
れば、アメリカ経済が 2 ~ 3%縮小するので、国家債務は
コンベンションがスタートした。
の出席者同士が交流を図っていた。この日は同時通訳が
いたが、ネット通販のヘヴィーユーザーである若者もいつ
増やすべきでない』、
『金融機関は健全になったが、資金
主催者発表によれば『参加者は 677 人で、2008 年以来
付かなかったため、限られた単語の羅列しかできない私
かは卒業するために絶え間なく新たなユーザーの獲得を
需要が停滞、貸出実績も伸びていないため、信用創造が
の多さ』とのことだが、アメリカの経済情勢を反映してか、
は、稲村先生に“おんぶにだっこ”状態であった。
続ける、という根本的な課題は何も変わっていないという。
できていない』、
『説明責任が十分に果たされないまま(金
また、資金調達に際して『ドメインや顧客リストの価値が
融機関などへの)規制強化が進み、最悪の形である』
、
『資
成否に影響している』との示唆もあった。
金規模が 10 兆ドル以下の金融機関は規制強化でやって
イベントの規模は縮小気味であった。例年ならば初日に行
ジャパン・セッション講師 土橋佐江子氏(左から 3 人目)を囲んで
われる著名人による基調講演はなくなり、分科会の資料も
翌 11 月 2 日は、朝 8 時 30 分から 17 時まで、みっちり
参加者自ら特設サイトからダウンロードで取得する…といっ
と Concurrent Session が組まれていた。全部で 12 個の
た具合で、会場に出展されているブース数も減少していた。
セッションが 3 会場に分かれて開かれたが、日本からのメ
次いで、全 参加者を同一の会場に集めて、
「Titan of
ない”話ばかりが語られた後、それでも『最後は大統領の
日本 TMA からコンベンションへの参加が 10 年目とな
ンバー向けに用意いただけた同時通訳用のブースを設置す
Turnaround /事業再生の巨人」と題した鼎談が行われ
リーダーシップに期待するしかない』と締めくくられた。
る今回、初参加となる私に報告記の執筆依頼があった。
ることもあり、我々が参加を希望したセッションは全て同
た。鼎談に先立ち、2014 年から適用される新たな CTP
初めてのボストン(2007 年のコンファレンスもボストンで開
一の部屋で行われた。
の知識体系について説明があった。新たな知識体系は、
昼食直後のセッションは「Corporate Missteps: How
催)で英語にも不自由する中、
“眼と耳で”得たことを記
最初のセッションは「Views from the corner office:
Management( 経 営 )
、Financial Analysis & Capital
Companies Get Left in the Dust /企業の誤り:何故、
すこととしたい。
Managing Change in Tumultuous Times /役員室から
Structure( 会 計)
、Law( 法 律) に、Professional Best
競争に後れるか」であった。冒頭にモデレーターは『再生
の見解:CEO は変化にどう対処するか」であった。冒頭
Practices(再生事例)が加わることとなる。説明の際に
途上の企業で経営層の入れ替わりが激しい会社は、ヒト
アメリカ 東 部 時 間 の 10 月 31 日 午 前 11 時 20 分、
でモデレーターは「本年度のコンベンションタイトル“期待
映写されたスライドには、以下の項目が記されていた。
JAL007 便はジェネラル・エドワード・ローレンス・ローガ
しないことを期待する”通りにハリケーン・サンディがやっ
ン国際空港に着陸した。前日はサンディの影響で航空機
てきた。こうした突発的な事象はいつでも起こりうる訳で、
Management
を見落として、再生
の欠航があったというが、日本風にいえば“台風一過の晴
かかる状況の中で様々なプロフェッショナルがクライアント
Business Assessment / Change Management, Crisis
への道程を妨げる経
天”であった。4 月に就航した直行便のおかげで、翌日
に全力を尽くすことが大切である」と述べた後、ディスカッ
Communications, Liquidation Management, Risk
夕方のレセプションまで 1 日半は予定がなく、入国後早々
ションに入っていった。
にコンベンション会場である The Westin Copley Place に
このセッションは、カジュアルアパレル卸、睡眠障害治
チェックインした後は、ある時はメンバー各々で、またある
療および小児科医療、オーダーメイド家具直販など、様々
時は現地日本人ガイドの永松さんに同伴してもらい市内各
の業種で事業再生に成功している CEO がパネリストとし
いけない』など、どこぞの国にも当てはまるような“明るく
で散見される“危険”
Management, Managing Liquidity / Capital Structure
Financial Analysis & Capital Structure
Valuations in Restructuring, Tax Implications, US
の倒産に至った事案
した兆候を早期発見
し、対処するために
はどうするべきか、
また手 遅 れ になる
前に軌道修正するた
Professional Best Practices
めにコンサルタント
Firm Best Practices People, Firm Best Practices Risk
は何を支援するべき
Management, -Firm Best Practices Administration,
か、など赤裸々な議
Sales and Marketing Processes, Career Paths /
2012.10.25
が熟さないまま再度
を紹介した上、こう
11 Post-Filing, Chapter 11 Exit, Cross Border Practices
12
ていくことで、戦略
Fresh Start Accounting for the Operating Manager
Bankruptcy Pre-Planning, Chapter 11 Entry, Chapter
稗田会員、井上会員(右)
営陣が次々と交代し
Pensions, 401K plans, Alternate Financing Techniques,
Law
稲村副理事長、John Lees 氏、日比理事
(経営層)が原因でダメになる』と述べ、事業再生の過程
Qualifications
論がなされていた。
2012.10.25
13
最 後 の セ ッ シ ョ ン は「Hitting a Home Run:
Ignition Group にて Managing Partner を勤めている土
Turnaround a Professional Sports Team /ホームラン:
橋佐江子氏をお迎えして、クラムチャウダーやロブスターに
プロスポーツチームの再建」であった。大リーグのチーム
舌鼓を打ちながら、アメリカと中国を股にかけたコンサル
(ロサンジェルス・ドジャース/倒産→事業譲渡、テキサ
ティング活動について興味深いお話を聞くことができた。
ス・レンジャーズ、シカゴ ・ カブス/調停失敗→オークショ
そして、最終日の 11 月 3 日は、
「Award Branch」と題
2012 年 9 月 5 日~ 7 日、Turnaround Management Association of Australia(TMA オーストラリア)の主
ンにて売却)の再生に関わったパネリストが登壇し、大
する表彰式を兼ねた食事会の後、ゲスト 2 名(Howard
催による Asia Pacific Conference of TMA in 2012
(アジア・パシフィック会議)
がシドニーで開催されました。
リーグ機構の存在や他チームとの合意形成などの制約条
Dean 氏と Michael Steele 氏)のディベートが行われ、全
米国TMA会長の Mark S. Indelicato 氏をはじめ、台湾、香港からのパネリストが参加しました。
件をクリアしながら再生を成功に導くためのオペレーショ
てのプログラムが終了した。
日本からは水島正日本事業再生士協会理事が参加し、Restructuring in Japan: Post Great Earthquake(大震
2012 年アジア・パシフィック会議(於:シドニー)
災後の日本の再生)について講演しました。
ン、バリュエーションにおける留意点などが議論されてい
た。ちなみにニューヨーク・ヤンキースとボストン・レッドソッ
日本に限らず
「外部環境の壁」は事業再生に携わる個々
会議では、開催地オーストラリアの政財界のリーダーから有益な話を伺うとともに、台湾、香港、米国、日
クス以外の大リーグ球団は、赤字経営なのだそうだ。
のプレーヤー(対象企業も含めて)だけでは如何ともし難
本の実務家が多彩な議論を行ないました。
いところがある。今回の訪米で「大統領選挙」や「財政の
日本TMAは 2014 年にアジア・パシフィック会議を東京で開催する準備を進めており、オーストラリアで
この日は金曜日ということもあって、全体プログラムで
崖」が立ちはだかる中で、それでも並々ならぬ熱意を持っ
の開催は大いに参考になりました。
「Friday Night Live」が用意されていたが、日本メンバー
て事業再生に携わるプロフェッショナルの姿を見て、話を
は地元でも評判のレストランである LEGAL SEAFOOD
聞けたことは、大きな刺激となった。この貴重な経験で得
に会場を移して、独自の Japan Session を実施した。本
たものを今後の事業再生コンサルティングの場で活かして
年はゲストにマサチューセッツ州ケンブリッジの Market
いきたい。
Ambition as CTP
ティー・エム・アソシエイツ株式会社 代表取締役
柴﨑 哲也氏
三菱商事在籍時に 20 数年携わってきた医療分野の知識とノウハウを活かし、
米国企業の再生医療技術や遺伝子解析受託サービスの事業開拓及び、病院など
医療機関の事業再生、経営コンサルティングを手掛けています。1994 年に中
小企業診断士、2009 年には ATP の資格を取得しており、2011 年に取得した
CTP の受験勉強でも経営面の知識には自信がありましたが、財務についてもっと勉強する必要があると思い、早稲
田大学大学院ファイナンス研究科で学びました。
国内の医療機関は、自治体病院のほぼ半数、民間病院でも 3 割程度が赤字経営に陥っていますが、この分野での事
業再生にはとても難しい面があります。病院のトップである院長は、医療の知識こそ高いのですが、多くの場合経営
についてそれほど詳しくありません。それを補佐するのが本来は事務長、副院長、理事などの役割になるのですが、
病院における院長の権限は絶大なため、なかなかこれらの意見は採用されません。また、例え経営が悪化していて
も、外聞を憚って関係者以外に内情を知らせないため、我々が事業再生に入った時点ではもう手の付けられない状況
になっているのがほとんどです。
CTP として、今後は幅広い分野で中小企業の成長戦略に役立ち、常日頃からの経営指導、アドバイスによって再
生対象とならない企業づくりを進めたいですし、特に病院などが早い段階からターンアラウンドに取り組めるような
システム作りにも力を注ぐつもりです。
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2012.10.25
水島正 ACTP 理事
2012.10.25
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Sponsors
KRB コンサルタンツ株式会社
株式会社 TSK プランニング
w ww.tma ja p an .o rg
w ww.turna rou n d .org
アクタスアドバイザリー株式会社
いけうち会計事務所
株式会社銀行研修社
株式会社ジャパン・トラスト・コンサルティング
株式会社 TTM
デルタ経営コンサルティング合同会社
税理士法人はやぶさ
Certification
認定事業再生士(CTP)・事業再生士補(ATP)資格に
ついては、ウェブサイトをご覧下さい。
w ww.a c tp .jp
◆書籍紹介
『ケースブック事業再生』
許斐義信編著
ターンアラウンド研究会著
(中央経済社)
●本体 2,800 円+税
ターンアラウンドのための MBA テキスト
事業の再生にどう取り組むか !!
経営危機からいかに離脱するか !
企業再生に取り組む企業に、
経営改革の要諦と秘訣を伝授 !!
23 のケースを取り上げ、
経営の視点から、事業再生への処方箋を示す !
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2012.10.25