日光市PPP(公民連携)活用指針 ~民間活力の 民間活力の活用推進に向けて~ 活用推進に向けて~ 日 光 市 平成28 平成28年3月 目 Ⅰ 次 PPP活用指針の策定について ............................................ 1 1 指針策定の背景と目的 ................................................................. 1 2 PPPの導入概念 ..................................................................... 1 3 PPPを巡る国の動向 ................................................................. 2 4 PPP活用指針の位置付け ............................................................. 2 Ⅱ PPP活用の基本的考え方 ................................................... 3 1 基本的な考え方....................................................................... 3 2 目指すべき方向性 ..................................................................... 3 Ⅲ PPP活用の範囲と手法選択 .............................................. 5 1 PPP活用の範囲 ..................................................................... 5 2 PPP手法の選択 ..................................................................... 5 3 PPP手法の実施主体となり得る民間等 ................................................. 6 Ⅳ PPP活用に向けた検討の基本的な流れ .................................... 8 Ⅴ PPP導入に関する留意事項 .............................................. 9 Ⅵ PPP活用に向けた推進方策について ..................................... 11 1 PDCAサイクルによるPPP活用の評価 .............................................. 11 2 職員の意識改革と環境整備 ............................................................ 12 3 PPP活用の推進体制 ................................................................ 12 ~参考資料編~ Ⅶ PPP活用手法の解説 ................................................... 14 1 民営化 .............................................................................. 14 2 指定管理者制度 ...................................................................... 15 3 民間委託 ............................................................................ 16 4 PFI .............................................................................. 17 5 労働者派遣 .......................................................................... 18 6 市民協働 ............................................................................ 19 7 市有財産の貸付け .................................................................... 19 ≪PPP活用の更なる推進に向けた新たな手法の検討≫ 8 市場化テスト ....................................................................... 20 9 民間提案制度 ........................................................................ 22 10 ESCO事業 ........................................................................ 23 11 サウンディング型市場調査 ............................................................ 24 Ⅰ PPP活用指針の策定について 1 指針策定の背景と目的 指針策定の背景と目的 当市においては、これまでの行政改革の取組みにおいて「健全な市政経営の確立」を目標に 掲げ、効率的な行政経営に努めてきました。これまでの継続的な取組により、事務の簡素化と ※1 統廃合、指定管理者制度、職員の定員適正化などの事務事業の効率化、及び収納率の向上など の財政健全化に、一定の効果を上げてきました。 しかしながら、今後、市の財政状況は、人口減少による市税等の減収や合併による国の財 政支援策の終了により歳入が減少する一方で、公共施設等の大量更新に伴う財政需要や社会 保障関係費の増大が見込まれ、より厳しさを増すことが予想されます。 一方、社会経済環境が大きく変化するなか、市民ニーズは、ますます増加し、多様化するこ とが想定されますが、それらすべてを将来にわたって、行政がすべての公共サービスを提供 していくことは、質的にも量的にも難しい状況にあります。 今後、限られた職員数や財源により効率的で質の高い事務事業の実現と、多様化する市民 ニーズへの対応を図りながら、将来にわたって持続可能なまちづくりを進めていくためには、 担い手となり得る多様な主体と連携しながら、公共サービスを提供できる多元的な仕組みを 整えることが必要です。 本指針は本市の公民連携の基本的な考え方や、事業手法の選択手順、民間との連携・協働を 進める上での留意事項等についてあきらかにすることで、公共サービスの提供における多元 的な仕組みを構築し、民間活力の積極的な活用を推進することを目的とします。 2 PPPの導入 PPPの導入概念 導入概念 PPP(公民連携)とは、Public Private Partnership の略で、公民(行政と民間)が連携・ 協働により、公共サービスの提供を行うことであり、これまで、行政が行ってきた分野に、民間 の知恵やアイデア、資金や技術、ノウハウを活用することで、公共サービスの向上や業務の効 率化、地域経済ならびに地域活動の活性化などを目指すものです。 【PPP(公民連携)導入概念 PPP(公民連携)導入概念】 PPP(公民連携)導入概念】 公共サービスの提供 官と民との経営資源を最 適な形でネットワーク化 PPP( PPP(公民連携 公民連携) 連携) 市民・団体・ NPO等 連携・協働 行 ※1 民間企業 (ネットワーク) 指定管理者制度:P15参照 -1- 政 地域の人材(ヒト)・資源(モ ノ)・資⾦(カネ)・情報など の経営資源を有効に活用 3 PPPを PPPを巡る国の動向 (1)法律による民間活力導入の推進 国においては、 「民間資金等の活用による公共施設等の促進に関する法律(平成11年法律第11 ※2 7号。以下「PFI法」という)に基づくPFI制度、平成15年の地方自治法の改正により導入さ れた指定管理者制度、 「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律(平成18年法律第51 号)」などにより、民間が担うことができるものは民間に委ねる観点から、行政の関与その他規 制を最小限にし、民間事業者の創意と工夫が反映される公共サービスの提供の取組を着実に実 施しています。 (2)地方へのPPP推進拡大のための支援強化 「PPP/PFIの抜本的な改革に向けたアクションプラン(平成25年6月策定)」において、 民間と地域の双方にとって魅力的なPPP/PFI事業を掲げるとともに、「経済財政運営と改 革の基本方針2015(平成27年6月閣議決定)」により、固定資産台帳を含む地方公会計や公営 企業会計の整備推進等を通じ地域企業を含めた民間事業者によるPPP/PFI事業への参入 を促進することとしています。 また、平成27年12月には内閣府から「多様なPPP/PFI手法導入を優先的に検討する ための指針」の策定について、人口20万人以上の地方公共団体に要請されたところであり、 これ以外の地方公共団体においても、指針を踏まえて同様の取組みを行うことを求めています。 4 PPP活用指針の位置付け PPP活用指針の位置付け 本指針は、当市の将来都市像の実現に向けた「第2次日光市総合計画」の基本構想及び基本 計画における「まちづくりの重点施策」や「まちづくりの基本施策」、 「まちづくり推進の視点」 の取組みに寄与するため、既存事業の見直しを行う際や新たな事業を企画する場合に、最適な 担い手による効率的・効果的な公共サービスの提供を図るための考え方を示したものです。 また、本指針は、 「日光市行政改革プラン」 「日光市財政健全化計画」 「日光市公共施設マネジ メント計画」等の各種関連計画における民間活力導入に関する環境づくりを効果的に進めてい くための方策を掲げます。 PPP手法によっては、検討から実施までに複数年必要となるものもあるため、総合計画実 施計画や予算編成の調整過程において、本指針の考え方をもとに関係各課と協議・調整を図り ます。 【PPP活用指針の役割 イメージ】 日光市総合計画 日光市行政改革プラン ~総合計画推進のための個別計画~ 日光市財政健全化計画 公共施設マネジメント計画 PPP(公民連携)活用指針 ※2 PFI制度:P17参照 -2- 職員定員適正化計画 等 Ⅱ PPP活用の基本的考え方 PPPの活用にあたっては、中長期的な行政経営の視点を持って民間に委ねることで、行政 が実施するよりも効率的かつ効果的な事業の実施が見込めるものについては、原則として、積 極的に民間に委ねることとした上で、以下に基本的な考え方と目指すべき方向性を示します。 1 基本的な考え方 ①:新たな発想によるPPP活用 民間等が有するノウハウや工夫、専門知識が公共サービスに反映されるよう、市と民間等 の役割分担を再確認しながら、公的関与のあり方を再検討するとともに、業務の再構築や、組 織・施設にまたがる共通業務を集約化させるなど、既存の枠組みに捉われることなく新たな 発想によるPPP活用を図ります。 ②:適切なPPP手法の選択と評価 公共サービスには、民間の多様な主体が様々なサービスに参入していることを念頭におき、 民間等が担うことができるものは、現行の手法にとらわれることなく、最適な担い手による 公共サービスの提供が行えるよう、適切なPPP手法を選択します。また、導入の効果等を評 価し、常に適切な手法の選択について検証を行います。 ③:積極的なPPP活用に向けた環境整備 :積極的なPPP活用に向けた環境整備 多様な主体との連携による地域経営を実現するため、民間的な発想を積極的に取り入れや すい組織風土の醸成や職員の意識改革、民間等との協働・連携に取り組みやすい仕組みづく りなど、積極的なPPP活用に向けた環境を整備します。 2 目指すべき方向性 (1)市民サービスの質の維持向上 民間等のノウハウ、専門知識、技術等を活用することにより、迅速な事務の遂行や行 政だけでは生み出すことができなかった多様なサービスの展開を図り、市民サービスの 質の維持向上を目指します。 (2)行政資源の有効活用と重点配分 行政と民間の役割分担について、 「事業の最適化」の観点から徹底的に見直し、行政が 担うべき役割を明確にすることにより、限られた行政経営資源を市が直接実施すべき分 野である政策立案機能や調整機能の強化、少子高齢化等の社会情勢の変化に対応した優 先度の高い分野へ重点的に配分することで有効に活用することを目指します。 (3)経費の削減と事務の効率化 PPP手法の活用により、より効率的な事業実施を可能とするとともに、経費や職員 定数の削減、一時的な事務量増加等の負荷変動に対応した職員数の抑制、事務の効率化 につなげます。 -3- (4)業務の専門性の向上 設計・調査業務、システム開発業務、福祉サービスなど、民間が有するノウハウや高度 な技術と専門的な知識を活用することで、業務の専門性の向上を図ります。 (5)地域経済の活性化 市がこれまで直接行ってきた業務を外部に委ねることで、民間等の事業機会の拡大を 促し、雇用の創出、地元企業の活力増進、地域経済の活性化につなげます。 (6)協働の推進 地域に密着した民間等との連携・協働により、市民サービスを展開することで、多様 な主体の活動の場を拡大し、市民力・地域力の向上を目指します。 (7)民間的視点、発想の積極的な導入 PPPの推進により、既存事業の整理、再構築や組織外の多様な主体との連携、協働 の取組みを進め、行政組織内に民間的な発想や新たな発想の事業手法等に積極的に取り 組む意識改革を図ります。 また、民間がどのような発想で、どのような市民サービス提供を考えるかなどについ て、情報共有の場を整え、民間とともに考えていくことで、民間感覚での発想転換とノウ ハウの蓄積を目指します。 -4- Ⅲ PPP活用 PPP活用の範囲と手法 活用の範囲と手法選択 の範囲と手法選択 1 PPP活用 PPP活用の範囲 活用の範囲 PPP活用の範囲は、当市の事務事業において、民間のノウハウやスキル(技術)等の活用 により、効率化・成果向上が期待できるサービス分野と、市民協働・連携型により効率化・成果 向上が期待できるサービス分野をあわせた範囲となります。 この対象範囲へPPP活用を検討し、多様な担い手による特性や活力を活かすことで公益的 活動範囲を活性化させ、今後の地域活力の維持や拡大を図るとともに、財政の健全化や職員数 の減少等に合わせて行政活動範囲の見直しを図ることとします。 【PPP活用の範囲(今後の公共サービス提供の在り方)】 市場サービス 公共サービスの範囲 行政活動範囲 行政活動範囲 公益的活動範囲 公益的活動範囲 大学、自治会、NPO 等 行政もパートナー の一因として参画 行政 民間活動範囲 民間活動範囲 地域住民 民間企業 適切な役割分担、リスク分担の下、対等なパートナーとして協働 PPPの PPPの活用範囲 活用範囲 ◇ 行政 が 直 接 実施 す べ き 活動 ・ サ ービス 政策立案 規制 指導 徴税 等 ◇民間のノウハウやス ◇民間のノウハウやス キル等の キル等の活用により 等の活用により効 活用により効 率化・ 率化・成果向上が 成果向上が期待 向上が期待 できるサービス分野 できるサービス分野 〇民間委託 〇指定管理者制度 〇PFI 等 ◇市民協働・連携型により効 ◇市民 協働・連携型により効 率化・成果 率化・ 成果向上が期待できる 成果 向上が期待できる サービス分野 〇地域振興・活性化 〇環境保護 〇教育・学習 〇防犯・防災 等 〇産業活動 〇経済活動 民間ビジネス化 〇民営化 ◆⾏政活動範囲 ⾏政が⾏動主体として社会全体の便益の最大化を求め活動やサービスを実施してきた範囲 ◆公益的活動範囲 ⾏政が責任を持ち積極的に取り組んできた地域振興・活性化、環境保護、コミュニティ⽀援、 教育・学習、防犯・防災等に係るサービス分野の範囲 ◆⺠間活動範囲 地域住⺠や企業等の⺠間が自らの効用最大化を求め活動する範囲 2 PPP手法の選択 PPP手法の選択 より良質で低廉な市民サービスを実現するためには、PPP活用の範囲にある事務事業の 各々の事業形態、内容、特性に応じて、最も効果的な事業手法を選択する必要があります。 PPP手法の選択については、後段、P7の【主なPPP手法の事業類型】の表で、各手法の 形態、手法特性、事業例等を明示するとともに、P8の【PPP活用の検討フロー】を参考に 最適なPPP手法の検討を行います。 なお、本指針で示したPPP手法以外の方法により効率的かつ効果的な事業実施が可能な場 合、新たな手法等の活用も検討していきます。 -5- 3 PPP手法の実施主体となり得る民間等 選択したPPP手法の、実施主体(担い手)となり得る民間等は次のとおり想定されます。 どの実施主体を選択するかによっても、PPP活用により想定される効果の範囲に差異が 生じることから、実施主体の事業形態、特性などと想定される効果の関係性を念頭に置きな がらPPP手法を選択する必要があります。 【主なPPP手法の担い手となり得る実施主体】 主 手 体 法 法人等 NPO (民間企業) 市民 地域 団体 団体 サークル 個人 公共団体 民営化 〇 〇 〇 〇 指定管理者制度 〇 〇 〇 〇 PFI 〇 民間委託 〇 〇 〇 〇 △ △ 労働者派遣 〇 〇 △ 市民協働 △ 〇 〇 〇 〇 〇 市有財産貸付 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇・・・担い手となる可能性が高い。 △・・・担い手となる可能性がある。 -6- 他の地方 △ △ △ 【主なPPP手法の事業類型】 主なPPP手法の事業類型】 形 態 手 法 労働者派遣 直営型 (P18 参照) 施設管理を 対象に含ま 専門性や一定のスキルを持つ人材を有する民間事 業者からの派遣により、市の指示下で業務に従事さ せるもの。 ・窓口等業務(法令上可能なもの) 行政が直営で担う業務を民間主体に委託するもの。 ・受付案内 ・専門性を有する業務 等 大 ・基本的指針を示した上での企画 全般 ・給食調理業務 ・広報資料、HP作成業務 (P15 参照) ※3 事務事業に係る一連の業務を包括して民間主体に 委託するもの。 公の施設について、行政が指定する法人その他の 団体である民間に、公の施設の管理運営を委ねるも の。 既設 貸与 (P19 参照) 民設公営 新設・ PFI (P17 参照) 行政の所有する資産(施設・土地等)を有償又は無 償で民間主体に貸与し、その民間主体が、当該施設等 を活用した事業運営、サービス提供を行うもの。 民間主体が施設の建設等を行い、行政が管理運営 を行うもの。民間主体から行政に施設等を譲渡する 方式、行政が民間主体から施設等を借用する方式等 がある。 公共施設等の整備において、行政と民間主体が契 約を結び適切なリスク分担のもと、設計、建設から維 持管理、運営等に至るまでの全部又は一部に民間の 資金、経営能力、技術的能力を活用するもの。 事業提携 行政と民間主体が相互の立場や特性を尊重しあ い、各々が持つ資源やノウハウを生かした役割・経 費・責任の分担を行い、サービス提供、施設等の管理 を行うもの。 補助・助成 行政が直接的に行政サービスの提供を担わない が、民間主体の行う公共サービスの提供に対して、一 定の要件・期間等を設定し、活動に必要な情報提供・ 財政的支援・場所や資機材の提供、後援等の支援を行 うもの。 民間譲渡 行政が所有する施設等を民間主体に無償または有 償で譲渡し、それに伴い事業運営も民間主体に移管 するもの。 市民協働 (P19 参照) 民営化 (P14 参照) 民設民営 等 ・水道、下水道事業 ・プラント系施設 等 ・新規施設 ・利用料金制の採用可能施設 ・使用許可権限付与が可能な施設 ・一部又は相当部分を民間委託し ている施設 ・民間と競合する施設 ・個別法の制約がない施設 等 ・未利用施設等の貸付(庁舎空スペ ースの郵便局等への貸付) ・太陽光発電の公共施設等への屋 根等貸付け 等 ・例:市民サービスセンター ・民間施設を譲渡されることで、行 政目的の効果が得られる施設 等 ・公共施設(道路・公園、庁舎等) ・公益的施設(教育文化施設) 等 ・事業委託 ・実行委員会、協議会、共催 ・事業協力・協定(クリーンパートナー等) ・情報共有 ・政策提案・計画策定への参画 等 ・助成、補助金 ・後援 等 ・養護老人ホーム ・保育園 ・公営住宅 等 民間主体が施設等の建設・所有・管理運営を行う。 ・市有地民間複合施設等の整備 行政と民間の共同出資により行う方式と施設を管理 等 運営する民間主体に対し一定の条件のもとに行政が 支援を行う方式がある。 ⺠間主体・・・⺠間企業や⺠間団体、NPO、個⼈等のこと。 各手法の詳細は、参考資料編P13 以降の「PPP活用手法の解説」を参照してください。 ※行政の関与度とは、公共サービスの提供にかかる行政の関与の大きさを表します。関与度が大きいほど、法令 等により行政の直接実施が求められるものに対しての手法となります。逆に関与度が小さいほど、民間の資源や 経営・技術的能力等の活用が可能な手法となります。 -7- 行 政 の 関 与 度 施設管理を対象に含む場合 アウトソーシング型 指定管理者制度 更新 ・時限性のある業務 ・展示会開催 (P16 参照) 包括委託 事業の例 民間委託 ない場合 ※3 手法の概要 小 Ⅳ PPP活用に向けた検討の PPP活用に向けた検討の基本的な流れ 検討の基本的な流れ PPP活用に向け、直営を含む既存事業を見直す場合や新たに事業を企画する場合に、本 指針に基づき、PPP活用の範囲を明確にし、最適な担い手による公共サービスの提供を図 るための適切な実施手法等の検討を以下のような段階を踏んで検討する必要があります。 フェーズ 1 事務事業選別 当市で⾏っている既存事務事業をゼロベースで⾒直すことを前提として、事業の必要性、費用 対効果等の検証により、事業の取捨選択を⾏います。 フェーズ2 実施主体選別 市が実施すべき事務事業について、⾏政(市職員)が直接実施する必要があるものかどうか、 事業の公共性や市場性、事業効果等の視点により、⾏政の関与を検討します。 フェーズ3 PPP手法選択 ⺠間が実施主体となるべき事務事業において、より良質で低廉な市⺠サービスを実現するため に各々の事務の事業形態、内容、特性に応じて、最も効果的なPPP手法を選択します。 ※具体的な検討の流れは、下記の「PPP活用に向けた検討フロー図」を参照 【PPP活用に向けた検討フロー図】 フェーズ 1 NO 本市の事業として継続する必要性があるか 事業廃止を検討 YES フェーズ2 YES 市職員が直接実施しなければならない事業か NO 事務事業の細 分化等が可能 直営 NO YES 民営化 ⺠営化が可能か YES NO フェーズ3 PPP手法の検討 NO 対象が施設の維持管理・運営に関するものか YES 市有財産に関 するものか YES 市有財産貸付等 検討 NO NO 施設の建設(改修)を含むか 指定管理者制度 YES 着工開始まで概ね 2 年以上あるか NO 他のPPP手法 活用可能性検討 労働サービス の提供を受け るか NO PFI の検討 民間委託 -8- 労働者派遣 NO 市民協働等を優 先する事業か YES YES YES 市民協働等 Ⅴ PPP導入に関する留意事項 PPP導入に関する留意事項 (1)PPP活用に係る効果の測定 PPP活用にあたっては、それぞれの事務の種類、性格、内容に応じて、事前に「コ スト」と「サービスの質」について直営で実施する場合との比較検討を行い、根拠を明 確にするとともに、適正化に努めなければなりません。 なお、コストの算定にあたっては、次のことに留意します。 ア 事業コストを算定する場合には、標準的な作業量、処理量、労務単価の把握に努め るとともに原価意識を持ち算定すること。 イ 同種事務を行っている他部課・他市等の情報収集に努めるとともに、委託業務に関 する市場の動向等についても十分把握すること。 ウ 金額の年度別の推移や経済環境に留意し、当該委託等の見積額が適切かどうかの 検証を行うこと。 (2)サービス水準の確保 達成すべきサービス水準を可能な限り仕様書等に具体的に示し、サービス水準の確保、 向上に努めること。業務の実施過程においては、定期的にこれを検証し、サービスの低下 が明らかな場合には適切な指導を行うこと。 (3)責任所在の明確化 市の行政責任を確保するために、市と民間との役割分担及び責任の範囲を契約書、協 定書等により明確化しておくとともに、契約の履行過程において市の管理監督が十分機 能するように留意すること。 (4)施設における市の管理責任 民間委託等により施設の管理運営を実施している施設においては、施設設置者である 市の責務として、事故を未然に防止するため、実地調査を含めた施設、設備の保守・安全 確認等、管理監督に努めること。 あわせて、施設・設備や業務内容において、万一の事故が発生した場合を想定し、危機 管理マニュアル等を策定し、これに基づく、市と指定管理者等との連携について、十分 協議を図るとともに、指定管理者等の対応の徹底及び検証等の指導を行うこと。 (5)競争性・公平性・透明性の確保 民間委託等の相手方の決定にあたっては、正当な理由なく、相手方の長期にわたる固 定化や業務の独占などが生じることのないよう、関係法令に十分留意し、入札や公募な どによる競争性・公平性・透明性をもった手続きにより行うこと。 また、競争によらず、相手方を決定する場合には、事務事業等の性質上、当該相手方へ 以外への委託等の可能性の有無を検証し、その理由を明らかにすること。 なお、契約当初は一者との随意契約であっても、同様の事務をより効果的に扱う者が 新たに出てくることもあり、市場の動向等について十分把握し、競争性を確保すること。 -9- (6)法令厳守事項の徹底 法令(労働基準法、労働者派遣法など労働関係諸法令、地方自治法など)等事業実施者 が当然厳守しなければならない事項については、PPP活用等の検討段階から十分留意 するとともに、契約書、協定書等において徹底しておくこと。特に労働者派遣法に基づ く労働者派遣契約以外の契約により従事している者には、事務上、直接指揮監督できな いことに十分留意すること。 (7)事務従事者の適正な労働条件の確保 契約書等で労働関係諸法令の厳守を徹底する他、発注にあたり仕様書等を通じ民間委 託等の相手方に業務従事者の適正な労働条件(勤務時間、賃金等)について留意を促す など、その確保に努めること。 (8)守秘義務及び個人情報の取扱いの徹底 機密の保持が必要となる事務については、機密の保持が担保できるよう徹底すること。 特に個人情報に関する事項については、 「日光市個人情報保護条例」に基づき、その適切 な取扱いを徹底すること。 (9)行政としての保有・蓄積すべき専門知識やノウハウ 民間活力を導入したとしても、行政としての責任を果たしていくためには、導入した 事業について行政がそれらの企画立案、指揮監督および評価ができる専門知識や能力を 保有している必要がある。 そのためには、これまで市で蓄積してきた専門知識や技術、基本的なノウハウについ ては、その維持・向上に努め、その能力が減退しないよう人材育成も行うこと。 - 10 - Ⅵ PPP活用に向けた推進方策について 1 PDCAサイクルによるPPP活用の PDCAサイクルによるPPP活用の評価 活用の評価 PPP手法導入前には、選択する手法が適切であるか、導入後には、選択した手法が想定 した効果を挙げられているのかを評価し、常に適切な手法による事業の実施を行う必要が あります。このため、評価結果に基づき、必要に応じて事業を見直し、事業実施手法を変更 するなどの改善を行うPDCAサイクルによる事務事業のマネジメントを行います。 (1)事前評価 PPP導入前の事前評価として、P8の【PPP活用に向けた検討の基本的流れ】で選択 したPPP手法により、事業を実施した場合に想定される効果を明確にし、留意事項等を 確認した上で、総合的な評価によるPPP手法の具体的導入を検討します。 検討の結果、導入による効果が認められ事業を実施する上で課題がない、又は課題の解 決が見込まれる場合は、そのPPP手法により事業に取り組みます。 また、選択したPPP手法による想定される効果については、事後評価の指標とするた め、可能な限り定量的な設定をするものとします。 (2)事後評価 PPP導入後には、業務成果の検査やモニタリング評価などの結果とともに、事前評価で 想定した効果の達成度を評価し、実施したPPP手法が適していたのかを評価します。 また、評価を基に、事業の廃止等も含め、選択したPPP手法の継続、変更や市の直営 事業にするなどの検討を行うとともに、更なる改善を加え事業を実施することを検討しま す。なお、新たに事業を実施する場合及び事務事業の改善を行う場合は、PPP活用の範囲 を明確にし、事業実施手法の選択の評価を行うこととします。 【PDCAサイクルによるPPP評価のフロー】 PDCAサイクルによるPPP評価のフロー】 Plan (計画) 事前評価 PPP 活用の範囲と PPP手法の選択 見直し ・改善 ・PPP 手法導入検討 ・想定される効果設定 Action Do (改善) 継 事業継続の検討 ・手法の検証 ・事業の見直し改善 続 (実施) PPP 事業の実施 Check (評価) 結果に基 づく検討 事後評価 ・想定される効果の達成度を評価 モニタリング等 ・モニタリング等を含め、PPP ・業務成果の検査 手法が適切か評価 ・モニタリング評価 - 11 - 2 職員の意識改革 職員の意識改革と 意識改革と環境整備 職員に対し、PPPに関する先進事例、社会動向などの情報提供やPPPの専門的知 見、ノウハウを持つ専門家による研修等を積極的に行うことにより、職員の意識改革や併 せて民間的な発想を積極的に取り入れやすい環境整備に取組みます。 また、PPPの推進による役割分担の最適化は、効率的な行政システムの構築に寄与す るものであり、それによって生じた余力は、新たな課題等への対応に振り向けることで、 市民サービス全体の向上を図ることに繋がるという意識を全職員が共有できる仕組みづ くりを構築します。 3 PPP活用の推進体制 (1)庁内推進体制 PPPの導入は、直接事務事業を所掌する部署を主体として、継続的かつ不断の事務 事業の見直しを行うことを基本としますが、部局横断的な調整を要する業務等もあるこ とから、PPPの導入にあたっての総合的な調整・推進、情報の提供等を総務課において 行います。 PPP活用の取組みの全庁的な推進状況の総括については、行政改革委員会において 行い、PPP活用の進捗等を行政改革推進本部会議に報告するものとします。 なお、この指針の運用に当たって必要となる事項は、別に定めるものとします。 (2)民間参入や創意工夫を喚起する環境の整備 PPP導入の推進にあたっては、これまでの、公共サービスの担い手が行政であるべ きという市民の既成概念を払拭し、PPP推進への理解、協働を促すため、PPP導入 検討に係る情報の公開や、PPP導入事業の周知に努めます。 また、行政が所有する情報だけでPPPの事業や内容を決めることなく、民間との情 報交換や対話の機会を積極的に設けることで、民間の創意工夫が発揮しやすく、参入意 欲が高まる環境の整備に繋げるものとします。 【PPP活用の推進体制イメージ】 【庁内推進体制 【庁内推進体制】 体制】 【全体進捗 全体進捗状況 進捗状況確認 状況確認】 確認】 【所管課による検討 【所管課による検討】 課による検討】 ・対象事業の仕分け ・手法の選択 【総務課】 行政改革推進本部 ・PPP活用推進に関す る全体調整 PDCAサイクル ・PPPの先進情報の収 によるPPP活用 集並びに研究、内外への の評価・検証 行政改革委員会 情報提供・周知 情報・意見交換 情報・意見交換 【事業主体となり得る民間 事業主体となり得る民間】 主体となり得る民間】 民間企業 民間団体 - 12 - 等 参 考 資 料 編 事務事業へのPPPの活用を検討した上で、その事務事業の内容や特性に応じて、どのP PP⼿法が適切か検討する必要があります。 参考資料編では、活⽤⼿法を検討する判断材料として各⼿法の概要と特性、導入する際の 留意事項を明示します。 なお、⼿法によっては、当該資料とは別にそれぞれの⼿法を具体的に実⾏するための指針 や、詳細なマニュアル等が既に作成されているものもあることから、該当する手法について は、本指針とともに既存の詳細マニュアル等を確認の上、導入検討を⾏うものとします。 - 13 - Ⅶ PPP活用手法の解説 1 民営化 民営化とは、 「民間ができるものは民間に委ねる」という原則に基づき、民間が主体とな ってサービスの提供や事務事業を行う方が望ましいものについて、民間事業者に移行する ことです。 ・民営化には、方式として、主に以下の2つがあります。 ①「公設民営方式(民間譲渡)」 ・・直営で運営、もしくは、その施設を活用して提供して いる公共サービスについて、当該施設等の譲渡と当該サービス提供主体の転換を併せて 行う形態。 ※なお、民間譲渡にあたっては、財産処分に伴う手続きが必要⇒(施設の譲渡に係る 手続き関係の事務等を今後整理します。) ②「民設民営方式」 ・・施設新設を伴う事業で、民間による施設整備及び運営によって公 共サービスを提供する形態。 【民営化を検討すべき事務事業】 (1)法令等の改正又は目的が既に達成され、市が実施主体となって行う必要が失われ、又 は減少した事務 (2)民間によって、既に同種のサービスが提供されていて、市が実施主体から撤退しても十 分なサービス量や質が継続して確保できる事務 (3)市がサービスを提供するよりも民間がサービスを提供する方が、質や量、コストの面で の向上が期待できる事務 (4)サービスの需要が多くこれに伴う収入が見込まれ、民間の経営努力により採算がとれ ると見込まれる事務 【民営化にあたっての留意事項】 民営化にあたっては、市民ニーズや民間市場の調査等を前提に十分な議論や検討を行う必 要があります。 ・市民や関係機関等への合意形成、職員の処遇、補助金等の投入がある場合はその取扱いに ついての制度上の問題もあり、慎重な対応や取組みが求められる。 ・情報提供、意見聴取など、民営化に対する十分な理解を得るよう努める。 ・予想されるサービスの質や量、コスト、受益者負担の程度などについて、市が継続する場 合と比較検証を行う。また、民間事業者の業務執行能力、執行体制などの実施主体としての 適格性についても十分な検討を行うとともに、市が監督・指導を行う体制を整える。 ・民営化を円滑に実施するために、必要に応じて経過的な措置を講ずるなど、民営化の段階 的な移行を検討する。 (事前に民営化後の実施主体として予定する者に業務を委託する、民 営化後期限付きで財政その他の支援を行う等) - 14 - 2 指定管理者制度 指定管理者制度とは、地方自治法第 244 条に規定された公の施設について、地方公共団 体が指定する法人その他の団体である民間に、公の施設の管理運営を委ねることです。 この制度では、公の施設の設置目的を失うことなく、適切な管理を確保した上で、民間事 業者や NPO 団体等に施設の管理者として使用許可権限を与えることにより、多様化する市 民ニーズに効率的・効果的に対応し、公の施設の管理に民間の能力等を活用しつつ、市民 サービスの向上と経費の節減等を図るものです。 具体的な手続については、「日光市公の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条 例・規則」に則り事務を進めるとともに、指定管理者制度の導入を検討すべき施設等につい ては「日光市指定管理者制度事務マニュアル」を確認しながら進めます。 【指定管理者制度導入の判断基準等】 (1)市民(利用者)サービスが維持・向上するか(利用者数の増加やサービスの質の向上 が図られるか) (2)市民の平等利用が確保できるか (3)管理運営経費の削減が図られるか (4)施設の設置目的が達成されるか 【指定管理者制度の導入を検討すべき施設】 指定管理者制度の導入を検討すべき施設】 (1)新たに設置する施設 (2)利用料金制の採用が可能な施設 (3)使用許可権限を付与することに問題のない施設 (4)現在、管理業務の一部又は相当の部分を民間に委託している施設 (5)民間の施設と競合する施設 (6)管理主体に関し、個別法による制約のない施設 (7)利用者の個人情報保護が容易に図られる施設 指定管理者制度概念図 市民等(利用者) 利用申請・利用 公共施設 管理権限(利用許可) 施設の管理 (管理業務の実施) 協定(指定管理料の支払) 指定管理者 日光市 (民間企業・自治会・NPO等) 事業実施結果報告 評価・指導等 - 15 - 3 民間委託 民間委託とは、市が行政責任を果たすうえで必要な監督権などを留保しつつ、その事務 事業を民間企業、外部の団体及び個人などに委託することです。 市民サービスや各種の事務事業について、 「市が直接実施する必要があるかどうか」ま た、 「民間に委ねることによって質の向上や経費の節減などにより効率的な業務執行を図 ることができないか」という視点から、民間委託を進めます。 【民間委託の判断基準】 (1)市民サービスが維持・向上するか (2)人件費等の経費削減が図られるか (3)事務処理の効率化が図られるか (4)外部の専門的知識や技術の活用が図られるか (5)法令に適合しているか 【民間委託を検討すべき事務事業 【民間委託を検討すべき事務事業】 を検討すべき事務事業】 (1)定型的な事務事業 (2)業務の形態が時期的に集中するなど常時一定の職員を配置する必要のない臨時的 な業務 (3)各種イベント、研修会、講習会などにおいて、民間委託により効率的な運営が期待 できる業務 (4)管理、運営など民間の自主性の発揮により弾力的・効果的運営が期待できる業務 (5)民間の専門的な知識、技術、設備等の活用を必要とするもの (6)同種の業務を行っている民間の事業主体が多いなど民間委託により効率的・効果 的な執行が期待できる業務 民間委託概念図 市民等(利用者) サービスの提供 (受託業務の実施) 業務委託(委託料支払) 日光市 民間企業・自治会・NPO等 事業実施結果報告 検査 - 16 - 4 PFI(Private Finance Initiative) PFIとは、従来、地方公共団体が自ら行ってきた公共施設の設計、建設、維持管理、 運営等を「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(PFI 推進 法)」に基づき、民間の資金、経営能力、技術的能力を活用して行うものであり、地方公 共団体が直接実施するよりも効率的かつ効果的に公共サービスを提供する手法です。 ※4 ※5 ※6 事業方式としては、BTO、BOT、BOOなどの新たに施設を建設される際に用いら ※7 れる方式の他に、ROと呼ばれる既存施設を改修する際に用いられる方式があります。 また、公共施設等の管理者が資金調達を負担し、設計・建設、維持管理・運営を民間に ※8 委託するDBO方式などもPFIの類型に分類されます。 事業形態としては、施設の利用やサービスの料金等で事業費を賄う独立採算型、サービ スに公共施設等の管理者が対価を払うことで、事業費を賄うサービス購入型、その両方を 組み合わせ、サービスの料金等と公共施設等の管理者の支払により、事業費を賄う混合型 (ミックス)があります。 【PFI導入にあたっての留意事項】 PFI導入にあたっての留意事項】 今後、公共施設等の整備や既存施設の改修等を行うにあたって、民間の資金や優れた経営 ※9 能力の活用により、VFM(Value for Money)が達成される場合等にはPFIによる事業 の実施についても検討することとします。 しかしながら、PFIでは行政にない知識やノウハウを必要とすることや、また事業の メリットを発揮するためには、一定以上の事業規模が必要とされることから、十分に調査・ 研究した上で活用を検討することとします。 【PFI対象施設(PFI法第2条)】 公共施設 道路、鉄道、港湾、空港、河川、公園、下水道、工業用水道等 公用施設 庁舎、宿舎等 公益的施設 公営住宅、教育文化施設、廃棄物処理施設、医療施設、社会福祉施設、厚 生保護施設、駐車場、地下街 その他施設 等 情報通信施設、熱供給施設、新エネルギー施設、リサイクル施設、観光施 設、研究施設 ※4 BTO(Build Transfer Operate) :PFI事業方式の1つ。⺠間が⾃らの資⾦で対象施設を建設(Build)し、完成後すぐに公共 施設等の管理者に所有権を移転(Transfer)するが、維持管理・運営(Operate)は⺠間が⾏ う方式。 ※5 BOT(Build Operate Transfer):PFI事業方式の1つ。⺠間が⾃らの資⾦で対象施設を建設(Build)し、維持管理・運営 (Operate)を⾏い、事業終了後に所有権を公共施設等の管理者へ移転(Transfer)する方式。 ※6 BOO(Build Own Operate):PFI事業方式の1つ。⺠間が⾃らの資⾦で対象施設を建設(Build)し、所有権を維持(Own) し、維持管理・運営(Operate)を⾏う方式。 ※7 RO(Rehabilitate Operate):PFI事業方式の1つ。⺠間が既存の施設を改修(Rehabilitate)し、維持管理・運営(Operate) を⾏う方式。 ※8 DBO(Design Build Operate):PFIに類似した事業方式の1つで、公共施設等の管理者が資⾦調達を負担し、設計・建設、維 持管理・運営を⺠間に委託する⽅式。 ※9 VFM(Value for Money):支払い(Money)に対して最も価値の高いサービス(Value)を供給するという考え方のことで、 従来の方式と比べてPFIの方が総事業費をどれだけ削減できるかを示す割合のこと。例えば、これ まで 50 億円の税⾦を使って実施してきた公共サービスが、PFI により 40 億円で実施できる場合、 20%の VFM を得られたことになります。 - 17 - 【PFI概念図】 市民等(利用者) 利用 施 建設会社 設 管理運営会社 建設契約 管理運営委託 PFI事業会社 PFI事業会社 出資 出資者 金融機関 ※10 (特別目的会社:SPC) プロジェクトファイナンス ※11 配当 PFI事業契約 サービス料金支払い 日光市 ※10 SPC(Special Purpose company) :事業関係者の出資のもと、その事業を⾏うためだけに新たに設⽴された特別目的会社。 ※11 プロジェクト・ファイナンス:特定のプロジェクト(事業)において資⾦調達を⾏う際、プロジェクトを遂⾏する SPC(特 別目的会社)を設⽴し、当該プロジェクトから生み出される収益やそのプロジェクトに関連 した資産だけ着目して⾏う資⾦調達の仕組み。 5 労働者派遣 当市が実施する事務事業において、その事務事業の実施に必要な専門性が高く一定の 事務処理能力が期待できる労働者を「労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者 の保護等に関する法律(昭和60年法第88号。以下「労働者派遣法」という。)に基づ き、労働者派遣事業者からの派遣を受け、市の指示下において、業務に従事させるもので す。 民間委託との相違点は、民間委託は、 「民間等の指揮監督により、自己の労働者を委託 業務に従事させること」に対し、労働者派遣は、市の指揮命令により、民間等の労働者を 当市の業務に従事させることです。 「第 2 次日光市職員定員適正化計画」に基づき、正規職員の適正化を進めるためには、 多様な任用形態有効活用を図ることが必要であることから、今後、専門的な知識、技術 又は経験を必要とする業務や時限的な業務等、定期的な繁忙期を有する業務等について、 労働者派遣等も含めた検討を行います。 【労働者派遣事業と民間委託(請負・準委任契約との差異】 労働者派遣事業 ⺠間委託(請負契約) 請負契約 労働者派遣契約 派遣先(地方公共団体) 派遣元事業者 指揮命令関係 雇用関係 派遣労働者 業務請負業者 発注者(地方公共団体) 雇用関係 労働者 - 18 - 6 市民協働 当市と市民等が目的を共有し、それぞれの役割及び責任の下で、相互の立場を尊重・協 力して、公共の利益を実現するために活動するものです。 当市においては、共有・参画・協働を基本理念として、市民と市等のそれぞれの役割など を定め、市民一人ひとりの多様な価値観を尊重しながら、市民自治の実現(市民が主役のま ちづくり)を目指すために必要な事項を定めた、まちづくりの最高規範となる「日光市まち づくり基本条例」を平成20年4月に制定しました。 また、この条例の目的を達成するため、協働によるまちづくりに関する考え方や協働の まちづくりを実践するための取組みを示した「日光市協働のまちづくり推進の指針」を平 成25年6月に策定し、市民活動団体への事業委託やクリーンパートナー制度等の事業に 取組み、市民活動を推進するための環境づくりひとづくりに努めてきました。 今後も市民協働に関する協働・連携事業の実施にあたっては、まちづくり基本条例の理 念に基づき、協働のまちづくり推進の指針に示された協働を推進するための手法について、 積極的に活用を図り、更に既存事業以外においても事業検討を行い市民との協働のまちづ くりを進めます。 7 市有財産の貸付け 当市が所有する財産を民間等に貸し付け、賃借料などによる収入の増加を図るとともに、 民間等が地域の価値や施設の利便性を高める事業を行うことにより、市民サービスの向上 を図るものです。 国においては、 「PPP/PFIの抜本的な改革に向けたアクションプラン」において、公 的不動産の利活用について、民間等からの自由な提案を募ることで、財政負担を最小に抑 え、公的目的を最大限に達成することを目指して、既存施設や公的不動産の生産性を高め るようなPPPの取組みを推進しています。 当市においては、低・未利用地の売却などのほか、公共施設への自動販売機の設置、市有 地の貸付け等を実施しています。 また、平成27年8月に策定した「公共施設マネジメント計画」においては、効率的な資 産管理・運営の観点から資産マネジメントを進める上で、未利用となっている施設や土地、 また今後施設の統廃合に伴い不要となる施設や土地については、積極的な売却や民間貸付、 用途廃止等を進めることとしています。 市有財産の貸付については、貸付料等による収入の増加のみならず、未利用財産を民間 等が活用することにより、市民に新たな便益を提供するなどの有効的な活用等が図れるこ とから、今後も積極的な企画検討を行うものとします。 - 19 - ≪PPP活用の更なる推進に向けた新たな手法 PPP活用の更なる推進に向けた新たな手法の検討 新たな手法の検討≫ の検討≫ 公共サービスを巡る民間活力の導入の動きは時代の要請や業務、経費効率化の状況に応 じた規制緩和措置等が今後も進むと想定されることや、地方自治体の独自性、発想の展開 により、活用の可能性が更に広がるものと考えられます。 以降は、他自治体で活用が進められているPPPの新たな手法、取組みについて、当市で の活用の可能性や汎用性も含め整理し、今後の検討の参考として示します。 8 市場化テスト 市場化テストは、これまで官が独占的に実施してきた公共サービスについて、民間業者の 創意と工夫が反映されることが期待される一体の業務を選定し、 「官」と「民」が対等な立場 で競争入札に参加し、質と価格の両面で最も優れた者がそのサービスを提供する仕組みです。 地方公共団体の業務において、自治体や民間事業者からの要望等を受け付け入札の対象と なる公共サービスについて、官でなければ実施できないとする法律等がある場合については、 特定公共サービス(窓口業務等)を設けて、官民競争入札等を可能にする環境整備等がなされ ています。 【市場化テストの概念図】 民間事業者 官の行政 サービス <官が落札した場合 <官が落札した場合> が落札した場合> 官が効率化努力の上、 引き続き公共サービス を実施。 入札 結果 評価 対象事業 <民が落札した場合> が落札した場合> 民間事業者が創意工夫 を発揮し、公共サービ スを実施。 官民競争入札 - 20 - 今後の方向性決定 (内閣府公共サービス改革推進室 HP より) 事業の評価 モニタリング 契約締結・事業開始 入札の実施・落札 実施要項決定・公表 対象事業の選定 継続的な監視(中立的な第三者機関) ≪他自治体の取組み事例≫ ○法に基づく「市場化テスト」 (特定公共サービス(※)を対象とした官民競争入札又は 民間競争入札を実施) 北海道由仁町(三川支所窓口業務)(官民競争入札) 長野県南牧町(野辺山出張所窓口業務)(民間競争入札) 茨城県守谷市(公民館三箇所の窓口業務)(民間競争入札) (※公共サービスの実施を民間委託する場合に、法律上の制約があるものについては、公共サービス改革 法で「法律の特例」を規定しています。 「法律の特例」を適用する必要があるサービスを「特定公共サービ ス」と言い、関連業務では、窓口5業務(戸籍謄本等の交付の請求の受付及び引渡し等)があります。) ○法に示す手続き(公共サービス改革法第 3 章第 3 節)を参考に、官民競争型「市場化 テスト」(官民競争入札を実施している事例) 和歌山県(県庁南別館管理運営業務) 岩手県奥州市(水道止水栓開閉栓業務) 岡山県倉敷市(車両維持管理業務) ○法を参考に「自治体版市場化テスト」として、民間提案型「市場化テスト」を実施して いる事例 大阪府(職員研修業務、建設許可申請の受付業務、自動車税コールセンター等業務、 監査業務、債権回収業務 等) 熊本県(くまもと県民交流館、放置車両確認事務委託業務) ⇒当市においても、市場化テストの効果及び可能性について、他自治体の事例や他の手 法等との比較も踏まえ検証を行い、導入についての検討を行います。 - 21 - 9 民間提案制度 民間事業者などの創意工夫を生かし、提供主体の多様化を図り、効率的で質の高い行政サ ービスを実現するため、市の業務を対象に委託化等に関する提案を募集する制度です。 民間活力の活用を推進していくため、公共が行う業務のうち、民間に委ねること、公共 サービスの向上及びコスト削減が期待される業務について、民間から意見・提案を募集す る形で近年複数の自治体で検討・実施されています。 民間から募集する対象業務としては、地方公共団体が実施している全事務事業を対象と しているものから、対象事務事業を限定して提案を求めているものまで、各自治体の取り 組みにより様々です。募集にあたっては、対象業務の内容、業務の流れ、従来の実施状況 (経費、人員等)などについて、事務事業評価などをもとにして情報を公表している事例 が多い状況です。 民間から受け付けた意見・提案については、各地方公共団体の内部(職員)で検討す る、もしくは、外部有識者等で構成される第三者機関を設置して、審査・評価を行うな どにより、民間に委ねる業務を選定しており、選定された業務については、公募等によ り実際に業務を担う民間事業者(受託者)を決定しています。 【民間提案制度の実施フローのイメージ】 事業実施 事業主体の選定 提案を受け入れた事業の選定 提案内容の検討・審査 提案の募集 対象事業情報の公表 (資料:みずほ総合研究所作成) ≪他自治体の取組み事例≫ 熊本市(「公共サービス民間提案制度」:全事務事業を公表) 我孫子市(「提案型公共サービス提案制度」:全事業を公表) 流山市(「FM 施策の事業者提案制度」:市のファシリティ施策の提案を募集) さいたま市(「提案型公共サービス公民連携制度」:対象施策を限定) ⇒本市においても、民間活力の活用を推進する観点から、民間からの柔軟な意見・提案 を求めることで、提供主体の多様化や効率的で質の高い行政サービスの実現するツール となり得ることから、民間提案制度の導入について、前向きに検討すべきと考えます。 先進自治体の手法・効果等の検証、研究を進め、制度導入の検討を行います。 - 22 - 10 ESCO事業(Energy Service Company) ESCO事業とは、既存施設の省エネに関する、計画・工事・管理・資金調達等包括的 なサービスを提供し、従前の環境を低下させることなく省エネルギーを行い、その結果得 られる省エネルギー効果を保証する事業です。 契約によりエネルギー削減効果が保証されることから、省エネ、コストカットの両面での 効果が期待できることから、導入自治体も増加しています。 【ESCO事業のイメージ】 契約値以上に省エネ量が 達成できた場合はボーナ スが発生し、折半する 返済分 保証 金利 初期投資 顧客のボーナス 金利 ESCO 事業者のボーナス 初期投資 エネルギー消費量 または 光熱水費支出 エネルギー消費量 または 光熱水費支出 顧客の利益 省エネ量が契約値に達成し なかった場合は ESCO 事 業者がペナルティを支払う ESCO事業者の経費 金利 返済分 ESCO事業 契約後 保証 ESCO事業 実施前 ESCO事業者の経費 返済分 保証 顧客の利益 エネルギー消費量 または 光熱水費支出 顧客の利益 ESCO事業者の経費 初期投資 顧客の利益 エネルギー消費量 または 光熱水費支出 契約期間 終了後 エネルギー消費量 または 光熱水費支出 ESCO事業 実施中 (環境省:「ESCO 事業の概要」) (他自治体の取組み事例) 流山市(「デザインビルド型小規模 ESCO 事業」 :小規模施設での ESCO 事業を展開) さいたま市(さいたま市文化センターにおける ESCO 事業の導入) 鎌倉市(防犯灯 LED 化 ESCO 事業) ⇒当市においても、公共施設の老朽設備改修等の対応が求められるところです。公共建 築物の設備改修において、民間の資金とノウハウを活用したESCO 事業を導入する ことで、初期投資なく省エネルギー化や維持管理費の低減が図れることから、具体的導 入に向けた調査、検討を行います。 - 23 - 11 サウンディング型市場調査 サウンディング型市場調査とは、市有地などの有効活用に向けた検討にあたって、活用 方法について民間事業者から広く意見、提案を求め、対話を通じて市場性等を検討する調 査のことです。横浜市、流山市など一部の先進自治体が取り組んでいる手法です。 低・未利用地等については、民間活用も含めた多角的な検討を行うべく、行政の内部検 討だけで活用方法や公募条件を検討するのではなく、事前に公募による民間事業者との対 話する場を設け、資産の市場性や活用アイデアを把握し、民間事業者が参入しやすい公募 条件の設定を行うとともに、地域課題や配慮事項を事前に伝え、優れた事業提案を促すこ となどを目的に実施されるものです。 資産の市場性や活用アイデアを事前に把握することにより、当該案件の利用価値を最大 限に高めるための諸条件の整理を行うことができ、民間事業者にとっても自らのノウハウ と創意工夫を事業に反映し、参入しやすい環境となります。 【サウンディング型市場調査の流れ】 市が事業実施 の検討を開始 活用案 公募要領 事業者公募 作成 作成 実施 ≪サウンディング調査の目的≫ 民間との 対話 ・事業検討に向けて、市場性の有無や資産の活用アイデアを把握 ・地域課題や配慮事項を事前に伝えることで、より優れた事業提 案を促す ・事業者の参加意向を把握し、事業者がより参加しやすい公募条 件を設定 ≪公平性・透明性を確保≫ ・参加事業者の公募 ・対話項目の事前提示 ・対話結果の公表 ≪他自治体の取組み事例≫ 流山市(体育施設指定管理者選定に向けた市場調査の実施等) 前橋市(市有資産の有効活用に向けた市場調査の実施) 横浜市(新市庁舎整備に関する市場調査の実施) ⇒当市においても「公共施設マネジメント計画(平成 27 年 8 月策定)」の改善の方向性 の中で、未利用財産(施設や土地)の積極的な売却や民間貸付等を進めることとしており、 これまでの行政内部だけでの活用方法や公募条件の検討では、効果的な活用方法に限界があ る状況であることから、サウンディング型市場調査について調査を進め、導入の可能性につ いて検討を行います。 - 24 -
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