ただいま、ページを読み込み中です。5秒以上、このメッセージが表示されている場 合、Adobe® Reader®(もしくはAcrobat®)のAcrobat® JavaScriptを有効にしてください。 Adobe® Reader®のメニュー:「編集」→「環境設定」→「JavaScript」で設定できます。 「Acrobat JavaScriptを使用」にチェックを入れてください。 1485 学会抄録 なお、Adobe® Reader®以外でのPDFビューアで閲覧されている場合もこのメッセージが表 示されます。Adobe® Reader®で閲覧するようにしてください。 東京地方会第742回例会(四地区分会)(平成10年11月21日) ● 城 東(京女医大第2) 圧痛を伴う小結節出現.同部位をよく打撲する既往有 多発吐毛嚢母斑の1例 川田寿里,矢口 均,池田 り.径3mmの弾性硬の皮下小結節を6個認めた.組 志享,小川秀興(順天火) 織:共に,線維性被膜に包まれた壊死性脂肪塊で,一 1歳女児.生下時より,顔面,躯幹に点状から小豆大 部は蜂巣様構造を呈する.症例1は平9年日皮会総会 の常色小丘疹ないしポリープ状小腫瘍及び小丘疹の集 にて報告済み. 族性列序性隆起斑.家系内に同症なし.組織:真皮上 木村病の1例 古屋典子,帆足俊彦,門野岳史,小 層から中層に毛嚢の横断面像を認める.生毛や小高は 官根真弓,菊池かな子,玉置邦彦(東大) 認めない.腰野部の皮疹は液体窒素による冷凍凝固術 44歳男.10年前右耳後部に皮下腫瘤出現.5年前近 を10回施行し,平坦化している.顔面のみならず躯幹 医にて切除されたが再び増大.白血球数11,400/m に及ぶ多発性毛嚢母斑は本邦および外国において文献 好酸球12.1%, 上例をみない. 除したところ,組織にて真皮下層から皮下脂肪織にリ apocrine cystadenoma の3例 津田毅彦,梅林芳 IgE 1,300IU/ml. 皮下腫瘤の一部を切 ンパ濾胞様構造が多数みられ,好酸球の著明な浸潤を 弘(日立総合) 認めた.また各濾胞様構造間に血管増生を認めた. 症例L 20mg/day 56歳男.初診平元年6月.右下眼瞼の小豆大 の結節.症例2, 53歳男.初診平2年2月.左後頭部の 3cm大の腫瘤.症例3, 54歳女.初診平8年6月.右下 「, 外陰部に生じた基底細胞癌の1例 桃山悦子,湧川 基史,足立 真,鳥居秀嗣,朝比奈昭彦,川端康浩, 眼瞼の6mm大の結節.組織:内壁に断頭分泌を認め 相馬良直(東大分院) る真皮内嚢腫であった.嚢腫壁はDE-K 45歳女.約15年前,外陰部に疼痛を伴う小結節を自 性. LP 34, 34 βE 12, RCK 10,34 BB 4 陰 108 陽性.以上より本腫瘍は 覚.数年前より徐々に増大してきた.左大陰唇外側に 汗腺分泌部から導管部への分化を示すが,症例により 36×20mmの辺縁に黒色丘疹を伴う潰瘍性病変を認 その比率は異なっていた. めた.両側鼠径リンパ節は触知しない.生検にて充実 特異な臨床像を呈したangioleiomyoma (AL)の1 型BCCと診断.腫瘍辺縁より約1.5 cm離し筋膜上で 例 松浦 宏,旗持 淳,新海 法(千葉大) 切除.大腿部の皮膚,皮下組織を剥離し皮弁状にして 35歳女.3年前左内足縁に丘疹が出現し徐々に増大. 欠損部を被覆,再建した.体幹に発生するBCCは表在 丘疹は小指頭大で半球状隆起する表面平滑な淡紅色腫 型が多いが,外陰部の場合充実型が多く腫瘍径も大き 瘤を呈する.圧痛及び自覚症状はない.組織:表皮直 い傾向かある. 下から脂肪織にかけて繊維性被膜を有する腫瘍で, 多発型基底細胞上皮腫の2例 中村康博,旗持 タχIノ 淳大 所々に血管を有し,楕円形の核をもつ紡錘形の細胞と PSL にて残存した腫瘤は縮小. 遠藤秀治,石井啓子,松浦 宏,新海 法(千葉 細線維より構成され,それらの線維はEVGで黄色,ア ザンで赤色に染色されALと診断した.下肢に生じた 症例1,78歳男.鼻部の黒色腫瘤を主訴に来院した 本症は通常,有痛性皮下結節で自験例は特異な臨床像 が,精査の結果これを含め顔面に4ヵ所,背部に2ヵ と考えた. 所の基底細胞上皮腫(BCE,主に充実型)を認めた. mobile encapsulated lipoma の2例 高橋英至, 症例2,88歳女.前額部に対称性に存在する黒色斑を主 勝俣道夫(伊豆逓信),青名畑美幸(同臨床検査科) 訴に来院.生検の結果,同部には計6個のBCEが存在 症例1,54歳男.7年前よりSLEにてPSL内服治療 し,上背部,右大腿にも1ヵ所ずつのBCE(主に表在 中.初診半年前より,左下腿伸側に自覚症状を伴わな 拡大型)を認めた.いずれの症例も家族内発症は見ら い小結節出現. 3 mm径で骨様硬の皮下小結節を3個 れず,基底細胞母斑症候群などを疑わせる所見も認め 認めた.症例2, 16歳女.初診1年前より,右鼠径部に られなかった. 学 会 抄 録 1486 amelanotic melanoma の1例 浅野善英,鹿田純 10年2月より近医眼科でアレルギー性結膜炎のため 一郎,門野岳史,川端康浩,菊池かな子,玉置邦彦(東 ザジテンoとニフランo点眼液を使用.左眼に庫みが強 大) いため左眼に頻回点眼.7月より左下眼瞼に皮疹出現. 44歳男.左手首伸側に出現した赤色結節に対し,他 点眼液による接触皮膚炎を疑い,パッチテストを施行 院にて切除術施行.組織にてamelanotic したところ,ザジテン(゛)点眼液で陽性.成分別パッチテ melanoma を考え,当院にて,拡大切除術,左肢高リンパ節廓清 ストで主剤のフマル酸ケトヂフェン10%で(+),1 を施行.腫瘍細胞の残存,リンパ節転移は認められな %, かった.全身精査を行ったが,他病変は認められず, により軽快. この腫瘍を原発と考え, tumor thickness 6 mm, stage 0.1%で(十)?.点眼中止とステロイド軟膏外用 ノルフロキサシンによる固定薬疹の1例 山西貴 3と診断.現在,フェロン,DAV併用療法3クール施 仁,立原利江子,川名誠司(日医大),畑三恵子(日医 行.術後5ヵ月の現在,再発,転移をみない. 大第二) Langerhans 47歳女.2年前より,顔,躯幹,上肢に紅斑及び水 cell histiocytosis の1例 五十嵐努, 峰咲幸哲,横井 清(慈恵医大青戸),新村偉人(慈恵 庖が出現し,色素沈着を残して治癒することを繰り返 医大),岩洋京子(同小児科) していた.今回,精査目的のため当科を受診した.固 3歳女児.5ヵ月前より多飲,多尿がみられるように 定薬疹を疑いパッチ・スクラッチテストを施行した なり当院小児科を受診した.入院精査中,1歳頃より存 が,皮疹部・無疹部ともに陰性であった.内服試験を 在する皮疹について当科を紹介受診した.初診時,頭 施行し,ノルフロキサシンで皮疹の再燃を認めた.ま 部,胸部,腰部,背部に出血性紅褐色小丘疹が散在性 た,塩酸シプロフロキサシン,塩酸ロメフロキサシン に存在した.生検像では表皮直下に長円形,腎形核を 内服にても皮疹の再燃を認めた. 有する組織球様細胞が帯状に密に浸潤していた.浸潤 インシュリン製剤(ペンフィルNo)による薬疹 黒 細胞はS-100, 田三恵子,高橋英至,湊原一哉,音山和宣,横関博雄, CD 1 a陽性.電顕にてバーペック穎粒を 認めた.軽度の左眼球突出及びX線撮影で頭頂骨に複 西岡 清(東医歯大),伊藤理恵(埼玉協同) 数の骨欠損像有り. 64歳男.本工業従事.平2年頃より四肢に丘疹出現. 紫雲膏外用が増悪因子の一つと考えられたアトピー 平8年より糖尿病指摘され,ベンフィルNo使用してい 性皮膚炎 本橋尚子,湊原一哉,音山和宣,横関博雄, たところ,全身に惨出性紅斑が出現した.現症:胸部, 西岡 清(東医歯大) 下肢に惨出性紅斑と,四肢体幹に結節が播種状に分布. 25歳女.幼少時よりアトピー性皮膚炎として治療さ う歯あり.薬剤貼布試験,DLSTいずれも陰性.臨床検 れていた.1年前より漢方内服,外用療法開始.軽快し 査:ASO ないため当科受診.漢方療法中止により軽快傾向が認 小円形細胞,好酸球浸潤を認める.歯科治療,インシュ められた.パッチテストで紫雲膏にて陽性,成分パッ リン製剤変更にて軽快するも再投与にて増悪. チテストではトウキにて陽性.以上より紫雲膏外用が 表皮嚢腹壁に生じた伝染性軟属腫の1例 中村和 増悪因子の一つと考えられた. 哉,小方冬樹,時光玲子,岡部省吾(同愛記念) 染毛剤(ヘナ)による接触皮膚炎の1例 楊 麗頴, 26歳男.約1年前より右肩甲下部の結節が徐々に増 田辺恵美子(東邦大佐倉) 大してきたため,平10年9月25日に初診.現症:右 45歳女.美容院で植物性染毛剤としてヘナ(ロイヤ 肩甲下部に8×8×5mm大,ドーム状に隆起し,表面平 ル・ブラウン)で白髪染めをした後,頭部のかゆみと 滑,中央部がやや白色調で陥凹を有する結節を認めた. 紅斑,顔面の強い浮腫が出現した.パッチテストにて, 組織:穎粒層を有する重層扁平上皮よりなる嚢腫が存 PPD強陽性.ヘナ(ロイヤル・レッド,100%指甲花 在し,嚢腫壁の一部に,軟属腫小体をもつ上皮細胞が 粉末)は48時間で(+?)であったが,72時間では陰 みられ,嚢腫内腔に脱落していた.他の部位に伝染性 220. ASK 20480. 組織:真皮上層血管周囲の 性であった.ヘナ(ロイヤル・ブラウン)には指甲花 軟属腫は存在せず. 粉末に加え少量のPPDが含まれていた. マダニ刺症の2例 池村暁子,五十嵐司,川名誠司 フマル酸ケトチフェン点眼液による接触皮膚炎の1 (日医大),高木 修(浦和市) 例 鹿島淳子,川田 暁,松尾幸朗(帝京大市原) 症例1, 66歳女.主訴:左下眼瞼の紅斑,廉爛.現病歴:平 後,右肢嵩の違和感を覚え,乳白色の皮疹に気付く. 10歳女児.本年6月,群馬県赤城山より帰宅 東京地方会第742回例会(四地区分会) 1487 症例2,10歳男児.本年6月群馬県赤城山にて頭部の軽 半球状に隆起する局面.軽度の疼痛を自覚.組織:表 度疼痛を自覚.虫体が付着していた.治療は,周囲の 皮の軽度肥厚,真皮の膠原線維の増生を認めた.5年間 皮膚を含めた虫体摘出及び塩酸ミノサイクリン内服を 自転車通勤歴があり,同部位に慢性の機械的刺激が加 施行した.2例とも走査電顕によりシュルツェマダニ わって本症が生じたと考えた. と同定. 肢端紅痛症の1例 金子勝美,青氷見佳子,川名誠 類天庖癒の若年発症例 外山啓子,伊藤ゆり子,三 司(日医大),志賀俊哉,坂本篤裕(同麻酔科),仲吉 井 浩,ニンデル・マーギット,菊池かな子,大河内 隆,小泉 潔(同第2外科) 仁志,玉置邦彦(東大) 57歳女.9年前より両手指に紅斑,2年前より冷却に 16歳女.家族歴:父慢性関節リウマチ.既往歴:特 より軽減する灼熱感,腫脹,疼痛が出現.検査にて基 記事項なし.現病歴:平10年6月経庫を伴う浮腫性紅 礎疾患を認めず,特発性肢端紅痛症と診断した.アス 斑が掌跨に出現し,全身に拡大.多型浸出性紅斑様に ピリンを投与したが悪心,嘔吐が出現したため中止. 変化し,緊満性水庖を伴った.組織:表皮下水庖.螢 光抗体間接法にて基底膜部に線状に160倍陽性・ skinでは表皮側に陽性. Western blot法にて180,230 kDにバンドを検出.治療:プレドニン40 応せず60 胸部硬膜外ブロックにて一時的な症状の軽減を認め split mg/日に反 mg へ増量.水庖消失後にプレドニンを漸 減. た.胸腔鏡下胸部交感神経節切除術が著効.6ヵ月後の 現在再燃なく経過良好である. ● 城 西(京医大) 炎症性線状疵状表皮母斑の1例 門野さつき,五十 嵐泰子,神田憲子,石黒直子,川島 偉(京女医大) 大腸癌を伴った癈痕性類天庖療 小尾真理子,湊原 12歳女児.2歳時に右下腿外側から右足外側縁にか 一哉,横関博雄,西岡 清(東医歯大),駒井礼子,橋 けて線状に激しい癌棒を伴う角化性丘疹,結節が出現. 本 隆(久留米大) 組織:角質増生,表皮肥厚と表皮突起の不規則な延長, 82歳女.平9年6月より口腔内に難治性廉爛出現. 真皮全層にわたる血管,付属器周囲性の巣状の炎症性 11月,右上肢に水庖出現,下肢に拡大.平10年2月当 細胞浸潤を認めた. 科入院,皮膚生検にて表皮下水庖を認め,螢光抗体直 を行うも皮疹は痛庫とともに再発を繰り返した.今回 接法にて表皮基底膜にlgG陽性. 筋膜上での切除を試み,7ヵ月後の現在まで再発を認 splitskin を用いた間 接法にて表皮側基底膜にlgG沈着.眼瞼結膜と眼球結 膜の癒着を認め,姫痕性類天庖瘤と診断.上行結腸に 1×1.5 cmの隆起性病変認めポリペトミー施行.病理 skin abrasion, ステロイド局注など めない. Cowden病の1例 有川順子,檜垣祐子,川島 屏 (東女医大) 組織にて腺癌. 38歳女.既往歴:14歳発症のIDDMあり.平2年に 下口唇に生じた硬化性萎縮性苔癖の1例 斎藤史 舌線維腫,平4年に口蓋扁桃乳頭腫切除.家族歴:父 緒,石崎純子,楼岡浩一,繁益弘志,原田敬之(京女 に食道癌.現病歴:2年前より鼻尖の小結節が出現し 医大第2) 増大したため当科を受診した.現症:鼻尖に径4 69歳女.約4ヵ月前より下口唇粘膜に白色斑出現. 大の常色表面平滑な小結節があり,舌に白色穎粒状丘 近医にて外用薬処方されるも効果なく当科初診.現 疹が多発.両手掌に点状角化性丘疹が散在.鼻尖部結 症:下口唇粘膜部から唇紅部及びその下方にかけての 節は組織学的にsclerotic 約8×13mm て胃と大腸にポリープ,甲状腺腫,腎嚢腫を認めた. 大白色局面.境界比較的明瞭.一部廉爛あ mm fibroma 様であった.精査に り.自覚症状なし.外傷歴あり.組織:表皮の非薄化, eccrine poroma の2例 押田美香,飯尾健司,木下 真皮の浮腫状変化,膠原線維の膨化及び血管周囲性, 正子(河北総合) 一部帯状の炎症性細胞浸潤を認めた.ステロイド剤外 73歳女.約10年前より左鼠径部に自覚症状を欠く 用にて経過観察中. 有茎性,弾性軟の15×20×30mm大充実性腫瘤あり. 仙尾部にみられた勝服様局面の1例 杜 一原,新 86歳女.約10年前より右側頭部に有茎性,やや弾性軟 見やよい,青氷見佳子,川名誠司(日医大) の30×35×45 25歳男.1年前より仙尾部に隆起性局面が出現し と連続し充実性に増殖する腫瘍塊を認める.腫瘍塊と 徐々に増大した.現症:仙骨部下方から尾骨部に約6 正常表皮との境界は明瞭.腫瘍細胞は小型の円形ない ×5cmで弾性硬,楕円形,淡紅色で境界やや不明瞭な し類円形で細胞質に乏しく,好塩基性に濃淡する核を mm大腫瘤一部廉爛面あり.組織:表皮 1488 学 会 抄 録 管腫と診断した.入院し, OK-432(ピシバニール町を eruptive syringoma の1例 江守裕一,村田隆幸, 腫瘍内に2.5 KE注入した.注入後,一時的な発熱,注 清水 宏(慶大),小菅治彦(東電) 入局所の熱感・発赤がみられ,3ヵ月後に視診及び画 47歳女.約20年前より上肢,大腿,前胸部に皮疹が 像上,腫瘍の縮小が確認された.0K。432局注療法は本 出現.他院で扁平洸贅として加療されるも軽快せず当 症例に対し,有用と思われた. 科受診.現症:両上肢,体幹,両大腿,下眼瞼に淡褐 色或いは黄色の小豆大までの丘疹が多発.組織:真皮 giant celltumor of tendon sheath の1例一鑑別 を要する手指の腫瘍を含めて一 伏見英子,上田 周, 浅層に多数の管腔構造及び細胞索が散在し,管腔壁に 門野さつき,神田憲子,石黒直子,川島 屏(東女医 淡明細胞が認められた.以上よりeruptive syringoma 大) と診断.糖尿病(−).炭酸ガスレーザーにて治療中. 症例1,左第II指DIP関節背側の弾性硬の多房性腫 eruptivesyringoma の文献的検討を加えて報告する. 瘤.組織:真皮全層に,主として多核巨細胞,組織球, sebaceous adenoma 泡沫細胞から成る境界明瞭な腫瘍塊を認める. 犬 ター 子 もち,異型性は認められない. の1例 内海雅子,長滓美和 市川筒喜子(東医大八王子医療),大井綱郎(東医 giant celltumor oftendon sheath と診断.症例2,右第V指 DIP関節外側のepidermalcyst.症例3,左第II指DIP 83歳男.約6年前より左前胸部に皮疹出現.徐々に 関節背側のmucous cyst.手指に発生するこれらの腫 増大してきたため当科受診.家族歴:父に咽頭癌.既 瘍につき臨床像の特徴,鑑別の方法について述べる. 往歴:数回大腸ポリペクトミー施行.組織はtubular 陰嚢に発生したverruciform xanthoma の1例 adenoma.現症:左前胸部の14×14×3mmのわずか 木村住史,稲積豊子,木村俊次(共済立川) に黄色調を呈する紅色結節.表面穎粒状.組織:真皮 49歳男.約10年前に陰嚢の小腫瘤に気付いた.徐々 上層に腫瘍細胞巣が小葉を形成して存在.腫瘍を構成 に増大.自覚症状なし.初診時44×24×33mm大,表 しているのは基底細胞様細胞と成熟脂肪細胞様細胞. 面細穎粒状の淡紅色有茎性茸状腫瘤を認めた.組織: 組織学的にsebaceous adenoma と診断. 一部錯角化を伴う過角化,表皮肥厚,乳頭腫症を認め, trichoadenomaの1例 二宮嘉治,伊藤嘉恭,多島 真皮乳頭層及び乳頭下層には,穎粒状の胞体を有する 新吾,石橋 明(防衛医大) 類円形,大型の泡沫細胞を多数認めた.オイルレッド 28歳男.主訴は左頬部の腫瘤.組織:角質嚢胞か多 O染色にて同細胞は陽性.自験例は陰嚢発生例として 発,嚢胞壁は数層の好酸性の有縁細胞からなり,薄片 は大型である. 状の角質物質,時に幼弱な毛を容れていた.さらに同 verruciform xanthoma一免疫組織化学的,電顕的 様な細胞で構成される円形または楕円形の細胞塊が存 検討を加えて一 浦橋順子,山口全一,飯田利博,服 在した.これらの角質嚢胞及び細胞塊の一部では毛包 部綾子,森 弥生(日火光が丘) への分化を示す上皮索の蓄状の突出が見られた.さら 77歳男.2年前に発症.陰嚢中央に10×15×10 にケラチンの免疫染色も行った. 黄赤色,有茎性,表面穎粒状の結節が1個.組織:腫 前腕に生じたグロムス腫瘍の1例 稲積豊子,木村 瘍は有茎性で,過角化と著明な表皮の肥厚を認める. 佳史,木村俊次(共済立川) 表皮表層では好中球が浸潤,HPV染色陰性.真皮上層 33歳男.5年前,左前腕伸側に皮下腫瘤が出現.直 では泡沫細胞,組織球が著明に増生.泡沫細胞はSu- 径7 mm,中央が紫紅色調で軽度膨隆し,弾性軟で圧迫 d飢m陽性, S-100蛋白陰性, CD 68 陽性でmonocyte- にて平坦化する.圧痛を有し,寒冷時に自発痛が生じ macrophage系由来と考えられた.電顕:真皮内に る.組織:真皮中層∼皮下織にかけて,境界明瞭な腫 様々な電子密度の脂肪滴を貪食した組織球が多数存 瘍塊を認め,結合繊内にglomus cellの島嶼状の増殖, mm, 在. 大小の血管腔の増生を認めた. 爪甲色素線条を呈した爪下Bowen病の2例 木村 OK-432 俊次,稲積豊子,木村佳史(共済立川) (ピシバニール町局注が奏効した頬部リン パ管腫のI例 小林真己,赤木 淳,伊藤嘉恭,多島 症例1, 52歳家婦.2年前から色調変化.現症:右中 新吾,石橋 明(防衛医大) 指爪甲の尺側に幅2mmの黒色調線条と爪甲の若干の 14歳男.生来左傾部の腫脹あり,3年前から増大し 陥凹あり.症例2, 54歳家婦.4年前から色調変化,そ てきたため当院受診. MRI,生検組織所見からリンパ の後縦裂出現.現症:左環指爪甲中央基部に黒色調小 1489 東京地方会第742回例会(四地区分会) 斑,そこから遊離端まで黒色調線条と爪甲縦裂あり. 69歳男.5年前に出現し徐々に拡大した.現症:右 組織:いずれも爪母・爪床に大小不同,巨細胞,分裂 頬部に径12 mm 像増加を伴う異型上皮増殖をみる.爪母,爪甲ではメ かい結節を認め, 1 cm外方で切除した.組織:真皮上 ラニン色素も増加している.内外9例の報告例をまと 層から脂肪織にかけて,境界明確に分葉される粘膜様 めた. 物質中にあたかも浮遊するように異型性の少ない腫瘍 自然消槌傾向を示したBowen病の1例 新井真 細胞が増生している.粘膜様物質の主体はシアロムチ の暗青色に透見される嚢腫状の柔ら 悟,吉田 司,清原祥夫,鈴木 正,土田哲也(埼玉 ンで,腫瘍細胞はCAM 医大),中山佳代子(熊谷総合) 殖能はAgNORsl.08, 82歳女.約7年前より右側腹部に茶褐色斑出現.3 再発はない. 5.2陽性,CK 20 陰性.細胞増 MIB-18%と低値.術後5ヵ月, 年前より徐々に拡大.平10年4月,病変内に紅色小腫 男性乳房部に生じた隆起性皮膚線維肉腫(DFSP)の 瘤が出現したため生検し, 1例 川崎晶子,田口理史,清原祥夫,鈴木 正,土田 Bowen病と診断.同年5月 当科入院.入院時右側腹部に15×6cmの一部鱗屑を 哲也(埼玉医大) 伴った紅褐色斑あり.同年6月全麻下に切除,分層植 51歳男.初診平10年6月.平7年よりAMLあり, 皮術施行.摘出標本では一部に散在性に腫瘍細胞巣を 現在寛解中.平9年,乳頭皮下のしこりに気付き,比 表皮内に認めたが,大部分の表皮は正常で,真皮には 較的急速に増大したため当科受診.初診時腫瘤は60 炎症細胞浸潤がみられた.術後5ヵ月,再発,転移は ×40×40 mm, ない. 張とわずかな痴皮の付着を認めた.下床と可動性は不 外陰部に生じたBCCの2例 門野さつき,上田 良.胱嵩方向に数個の小結節が散在していた.臨床的 周,石橋睦子,神田憲子,石黒直子,川島 具(東女 に男性乳癌・転移性皮膚癌・肉腫等を疑い生検, 医大) DFSPと診断した.大胸筋を含めた腫瘍切除術施行.術 症例1,76歳女.左大陰唇内側の10×18 mm 大の廉 弾性硬,紅色ドーム状で,毛細血管拡 後4ヵ月,再発・転移はない. 爛を伴う紅色局面.症例2,85歳女.恥丘部の11×14 末梢血中にCLA陽性細胞の増多を認めた慢性型成 mm大の廉爛を伴う紫灰色結節.組織:両者とも基本 人T細胞白血病の1例 勝田倫江,藤田明子,寺木祐 的にはsolid type で症例2では一部にムチンの貯留, 一,塩原哲夫(杏林大) cystの形成を認める.最近10年間に当科で経験した 53歳男.鹿児島県出身.初診平10年5月25日.7 BCC 96例中,外陰部発生は3例のみであり,稀な部位 ヵ月前より四肢,体幹に浸潤性紅斑と結節が次第に増 であった.本邦外陰部BCCの若干の統計的検討を含 加してきた.表在リンパ節腫大(−).組織:表皮内に め報告する. Pautrier微小腫瘍と真皮に島嶼状に異型リンパ球を含 extramammary む桐密な細胞浸潤を認める.浸潤している細胞はCD paget' s disease の1例 渡辺千 春,五十嵐勝,加藤雪彦,大井綱郎,古賀道之(京医 3≒CD4≒CLA≒末梢血WBC 大),竹尾千景(新座志木) 53%), 66歳男.11年前より右腕高に,7年前より陰部に皮 とLDHは正常範囲.抗HTLV-1抗体および末梢血の 疹出現.外用にて軽決せず,当科紹介受診.初診時, 陰嚢に9×4.5 cmの廉爛と紅斑,右肢高に2×1.5 HTLV-1 proviralDNA cm の紅斑を認めた.左腕高無疹部を含め生検施行.いず れも表皮内に胞体の明るいpaget細胞が増殖. 8600 (異型リンパ球 CD 4゛細胞81%(CLA゛細胞70%).血中Ca (十). 子宮体癌の皮膚転移の1例 山根謙一,松川 中 (社保中央) PAS 63歳女.平9年4月大腿内側に牽引痛が出現.同年 (十),アルシアンブルー(+).以上よりsubclinical 6月当院産婦人科を受診し子宮体癌stage Illの診断に axillarypaget' s disease を含めたtriple て,切除・放射線・化学療法施行.その後骨・肺転移 mary extramam- paget's disease と診断.病巣の広範囲切除施行 を認めた.平10年6月8日右下腿に紅色結節に気付 し,現在は再発を認めていない. き,2週間後に当科受診.現症:右下腿内側に7×6 mucinous mm大で半球状に隆起した表面平滑な紅色結節を認め carcinoma of the skin一免疫組織化学 及び細胞増殖能による検討一 張 賢二,野口義久, る.組織:真皮に好塩基性の腫瘍細胞集塊を認める. 落合豊子,岡田知善,森嶋隆文(日天),岡本竹春,加 核の大小不同と多数の核分裂像を認め,子宮体癌の皮 曽利潤一郎(春日部市立) 膚転移と診断した. 学 会 抄 録 1490 サラリンo中のフェノールフタレインによる固定薬 膝からネコが飛び降りた際,右第3指にネコの爪が 疹の1例 海老原睦仁,大西善博,藤岡 彰,石橋 引っ掛かった.24時間後同部に膿庖が生じ,急速に右 明(防衛医大),番場秀和(所沢市) 手背が腫脹してきた.現症:右3指∼手背は発赤腫脹 36歳女.7ヵ月前から便秘症でサラリン(g)錠(成分: し,第3指PIP背面の刺傷部に膿庖,排膿を認めた. アロエ,センナ,フェノールフタレイン)を内服する 膿のグラム染色で陰性悍菌,チョコレート寒天培地で たびに,両前腕,脊部に円形の紅斑が出現し,色素沈 ムコイド状コロニー形成,生化学的性状からp. 着を残し治癒していた.今回初診の前夜に内服し,起 cida subsp. multocidaと同定.ペニシリン系抗生物質 床時同じ部位に紅斑が出現したため来院した.成分別 の内服が著効. のパッチテストは陰性.内服テストでフェノールフタ 多発性慢性遊走性紅斑(ECM)を初発皮膚症状とし レインにより皮疹が誘発された. たlyme病 松本千幸,落合豊子,布施寧子,伊藤英介, 筋原性酵素の上昇を伴ったStevens-Johnson症候 森嶋隆文(日天),川端寛樹(国立感染研) 群の1例 木下由紀,伊崎誠一,北村啓次郎(埼玉医 38歳男.初診10日前より発熱,関節痛を伴って皮疹 大医療) が出現.現症:顔面,体幹,四肢に遠心性に拡大する 34歳男.感冒様症状にて市販の内服薬(パブロンS 紫紅色浸潤性紅斑が多発. ゴールド微粒)服用後,全身に皮疹が出現.血中CK ECMを疑い問診したところ2ヵ月前に長野県で登山 2,214IU// , アルドラーゼ7.3 をし,右の側面頭部を虫に刺された既往があった.ウェ ng/mlと高値.酸素分圧59 U A,ミオグロビン1,189 mmHgと優位に低下.胸部 スタンブロット法でB. X-Pは正常.呼吸苦なし.ステロイド剤全身投与後は, 皮疹及び筋原性酵素の改善を認めたが,その後, GOT, lyme病第2期の多発性 garinii, B. afzeliiの血中IgG, lgM抗体陽性.髄液中の抗体価陰性.中枢神経症状や 眼症状はなく心電図に異常はない.バイシリンR120 GPTならびにAMYが上昇した. 万IU/日を4週間内服し軽快. イソジン0外用により治癒が遷延した熱傷の1例 皮膚リンパ管型Mycobacterium 辺田哲郎,高須 博,藤岡 彰,多島新吾,石橋 明 の1例 池田美智子,南光弘子(東京厚生年金) marinum (防衛医大) 24歳男,美容師,熱帯魚飼育.初診平10年3月3日. 80歳男.既往歴に高血圧と糖尿病あり.平10年1月 2ヵ月前より左手背に結節出現.求心性に増数.現症: 頃,電気こたつで熱傷を受傷.近医にてイソジン(゛)消毒, 両手指に多数の亀裂あり.左3指外側縁に径4mmの バラマイシン(g)軟膏や亜鉛華単軟膏の外用を行うも難 硬結.左手背,前腕に径2cmまでの結節を6個認め 治で水庖を生じてきたので紹介された.生検にて真皮 る.病理所見は類上皮細胞性肉芽腫像.組織片の培養 に著明な好酸球浸潤を認めた.パッチテストでイソジ でMycobacterium ンo陰性.消毒液と外用剤を変更し,潰瘍は治癒した. zation法).大型の結節2個切除後ミノマイシン200 ホスホマイシンが有効であったMRSAによる mg/日約1週間内服.約2ヵ月後に治癒.初診より8 ssssの3例 高江雄二郎,小松威彦,北村啓次郎(埼 ヵ月後経た現在,再発なし. 玉医大医療) 膿地性乾癖の経過中に発症した水庖性類天庖療 田 症例1,4歳女児.近医受診しバナンo処方されるも有 逡和美,藤井信広,天羽康之,種井良二(老人医療), 痛性の廉爛が全身に拡大.症例2,3歳男児.アトピー 浅井俊弥(横浜市),山本達雄(昭和大) 性皮膚炎あり.近医にてセフゾンoとクラリシッド(g)投 74歳男.昭55年発症の尋常性乾癖.平9年,38度 与されるも全身に廉爛拡大.症例3,4歳女児.近医に 合の熱発と共に全身に膿庖を伴う紅斑が拡大し,組織 てバナンo投与されるも有痛性の廉爛が出現・拡大.3 にてKogojの海綿状膿庖を認め膿庖性乾癖(Zum- 例全例鼻腔培養にてMRSA陽性.いずれもホスホマイ busch型)と診断した.エトレチナートの内服治療を開 marinum シン投与にて改善した. 始し,膿庖と紅斑は速やかに消退したが,手指に緊満 性水庖が出現し,エトレチナート中止後も浮腫性の紅 teurella multocida 斑及び緊満性水庖は拡大した.組織より水庖性類天庖 PSL 80mg 感染症 分離(DNA-DNAhybridi- 進入門戸が膿庖で初発,蜂常織炎を呈したPas感染症−ネコとのzoonosis一 multo- 原 弘之,落合豊子,森嶋隆文(日天),荒島康友(同 療と診断し, 臨床病理) 快した. の内服で乾癖の増悪もなく軽 68歳女.独り暮らし.飼育中のネコに口内炎がある. CREST症候群の1例 内田 玲,松田幸枝,佐藤陽 1491 東京地方会第742回例会(四地区分会) 子,下妻道郎(佼成),渡辺一彦(同外科) 橋睦子,神田憲子,檜垣祐子,川島 員(東女医大) 66歳女.20年前より皮下に石灰化,15年前よりRay- 28歳男.平10年6月,発熱,関節痛,虹彩炎,スイー naud現象,手指硬化,消化器症状,2年前より指尖の ト病様皮疹,結節性紅斑様皮疹が出現.組織:それぞ 陥凹性優痕が出現したが放置していた.最近皮膚石灰 れ真皮血管周囲のリンパ球主体の細胞浸潤と血管炎. 化及び消化器症状が著明になったため当科受診.初診 CRP上昇,血沈完進あり.PSL最高40 時食道潰瘍,指尖の陥凹性癩痕,手指,前額の毛細血 症状は改善したが,微熱,CRPの上昇,血沈の完進が 管拡張を認めた.抗核抗体1.280倍,抗sc 持続. PSL開始約1ヵ月後に胸部X線上結節性陰性が 性,抗U 1-RNP 170抗体陰 抗体陰性,抗セントロメア抗体陽性. mg/日で多くの 明らかとなり,抗結核剤の投与を開始したところ解熱 皮膚生検にて軽度膠原線維増生,膨化を認めた. し,血沈, 抗リン脂質抗体症候群の1例 高須 博,藤岡 患の合併と考える. 彰,石橋 明(防衛医大),番場秀和(所沢市) Weber 48歳女.平9年2月頃,顔面に軽度の紅斑が出現し, 大西誉光,渡辺晋一(帝京大) ANA80倍のため当科を紹介される.小児期よりの凍 14歳女.9歳時より再生不良性貧血.5ヵ月前より両 術と数年来の頭痛があることから血液検査及び頭部 下腿に有痛性の皮疹を繰り返し,10日前より発熱,全 MRIを施行.血液像に異常なくANA 身倦怠感が出現.両下腿に直径約30mmで,発赤腫脹 320 倍,クリオグ Christian 病の1例 瀧洋 一,鈴木 拓, と圧痛を伴う皮下硬結が数個存在.37℃台の発熱を認 ロブリン陽性,STS陰性,ループスアンチコアグラン ト陰性,抗CL-β2GP1陰性,抗CLlgG抗体2.4 未満), CRPも正常化した.現在までのところ両疾 (1 IgM抗体1.2(1未満)の結果を得た.また,頭 めるもリンパ節は触知せず.検査値は, Hb 8.7,Pit 11.7万, WBC 7,800,CRP RBC 部のMRIにて多発する小梗塞を認めた. を主体としたlobular ミノサイクリンにて治療した成人still病 松田幸 服で症状の改善がみられ漸減.染色体検査で8番染色 枝,内田 玲,佐藤陽子,下妻道郎(佼成),前田きみ 体のtrisomyを認めたが,骨髄像は正常. 子(同内科) 皮膚生検により診断しえた弾力線維性仮性黄色腫の 66歳女. 40t台までの間歌熱,略全身の紅斑,咽頭 「,好中球96.5%,血沈122 mm/h, CRP /d1,フェリチン18,804 ng/ml, IL-6 65.3 pg/ml 軽度肝機能障害あり. RA, 西川武二(慶大),篠田 啓(同眼科) 22.0 mg 59歳男.初診平10年1月16日.家族歴:父親は全 と上昇. 盲.その他家族内に同症なし.既往歴:10年前より高 ANA及びツ反は陰性.組 血圧.現病歴:健康診断にて眼底の異常所見を指摘さ 織:真皮上層血管周囲性のリンパ球浸潤.ステロイド れ,当院眼科を受診.網膜色素線条を認め,弾力線維 性仮性黄色腫を疑われ当科紹介.初診時現症:全身皮 剤少量投与あるいは非ステロイド系消炎鎮痛剤の単独 投与では効果なく,ミノサイクリン100 mg/day 投与 膚に明らかなオレンジ皮様皮疹なし.組織(績宵皮 膚):真皮内に弾力線維の変性と断裂による糸屑状物 後症状軽快. rheumatoid panniculitis.PSL 30mg/日の内 1例 三宅亜矢子,稲田めぐみ,大畑恵之,谷川瑛子, 痛,関節痛とリンパ節腫脹を認めた.白血球数21.100 /m 313 万, 9.4.組織:好中球 neutrophilic dermatitis の1例 熊 質の集塊を認め,同部へのカルシウム沈着あり. 谷知子,有川順子,神田憲子,檜垣祐子,川島 具(東 Dovpn症候群に生じた蛇行状穿孔性弾性線維症の1 女医大) 例 赤木 淳,大西善博,多島新吾,石橋 明(防衛 74歳女.71歳発症のseropositive, RA. PSL 10mg 医大) /日, NSAIDで治療中だが関節症状はコントロール不 22歳女.Down症候群.鎖肛の手術歴あり.初診4 良だった.初診1ヵ月前より下腿に紅輦を伴う小水庖 ヵ月前より,両頬部に,辺縁に蛇行状に丘疹が多発し, が出現し,拡大したため当科受診.初診時下肢に紅彙 中央は萎縮性の茶褐色の局面が生じてきた.自覚症な を伴う水庖,血庖,膿庖が多発し,色素沈着が混在し し.組織:表皮が真皮内に伸びだして,変性した弾性 ていた.組織:表皮下の膿瘍と真皮全層の桐密な好中 線維などの好塩基性の線維様物質や,変性細胞などの 球浸潤があり,核破片像を認めるが血管炎はなかった. 集塊を取り囲む経表皮排出像のほか,真皮浅層には弾 コルヒチン1.0 性線維の増加がみられた. g/日, DDS75mg/日を併用し,皮疹は 軽快傾向を示した. 左腫部に生じた痛風結節の1例 小川純己,大畑恵 治療中に肺結核が顕性化したBehcet病の1例 石 之(稲城市立) 学 会 抄 録 1492 47歳男.慢性腎不全にて内科通院中.1年前より左 43歳女.右鎖骨下方の小結節.約30年前に褐色斑出 腫部に径18 現し10年前に穎粒状に隆起,2年前に中央に白色の小 mm, 圧痛を伴いドーム状に隆起する常色 弾性軟の腫瘍を認めた.両手関節部,前胸部にも小指 結節が出現.現症:右胸部の6×8×5mmの基部は黒 頭大で周囲・下床と可動性ある弾性硬の結節を認め 褐色穎粒状,中央は乳白色,有茎性,弾性軟の小結節. た.組織:真皮中層の好酸性に弱染する多房性の結晶 自覚症状なし.母斑細胞母斑の臨床診断で全摘.組織: 構造が主体となり,周囲に偽膜構造と異物性肉芽腫性 基部は典型的母斑細胞母斑.中央部の母斑細胞はnest 変化を認めた.皮膚エコーでは比較的境界明瞭な不整 を形成,他に大型で円形,メラニン穎粒をもつものや, 型のhigh 核の中央が明るいもの,異型の核をもつものなど多彩. echo として描出された. necrobiosis lipoidica の1例 市村裕子,中村祐 討 論 子,岡田裕之,大西誉光,渡辺晋一(帝京大) 日野治子(関東中央):間質は確かに増殖しているよ 58歳女.約2年前に右下腿前面に自覚症状を欠く皮 うだが,膠原線維の増殖なのか?変性なのか? 疹が出現し,徐々に拡大. 保坂浩臣:アルシヤンブルー陽性だが,膠原線維の 3.5×1.3 cmの光沢を有する 類円形の境界明瞭な淡褐色局面で,表面に毛細血管拡 変性は認めなかった. 張を認めた.組織:真皮全層性に膠原線維の変性と類 上皮細胞,リンパ球,多核巨細胞からなる肉芽腫性病 eccrine angiomatous hamartoma (EAH)の1例 須釜明美,伊藤ゆり子,日野治子(関東中央) 変が混在. 15歳男.出生時より左下腿に結節があり,成長に伴 PAS染色では変性部が弱陽性でdiastase 抵抗性を呈し, alcian blue 染色は弱陽性. elasticavan い増大した.現症:左下腿前面に26×23mm暗褐色角 Gieson染色では変性部位の弾力線維が消失.境界型糖 化を伴う結節単発していた.自覚症状,同部位の発汗 尿病あり. 異常はない,組織:腫瘍上部では血球が充満した血管 アルコール依存症と激しい下痢をともなったペラグ 腫の所見,表皮索は細く深く延長し,中に管腔を認め ラの1例 品川由美子,北島拓弥(都立府中),江畑 fibroadenomaの所見を呈した.腫瘍中部では汗腺の増 明(同内科) 生,腫瘍下部では血管脂肪腫が認められた.以上によ 57歳男.アルコール依存症.胃潰瘍,腰椎椎間板ヘ りEAHと診断した. ルニアなどの既往あり.平10年5月に両手背,顔面な 耳下腺リンパ節に転移を認めた眉毛部有輯細胞癌の どの露光部に濃茶褐色色素沈着を伴う紅斑と激しい下 1例 萩原正則,石川高康,大森一範,石地尚興,上出 痢,軽度の知的障害が認められた.痛庫感,水庖形成 良一,新村偉人(慈恵医大),宇谷厚志(千葉大) なし.組織:角質増殖とメラニン増殖,真皮上層の血 85歳女.初診1年前より左眉毛部に結節が出現, 管周囲性のリンパ球の浸潤が見られた.尿中コプロ, 徐々に増大し25×22 ウロポルフイリン正常.ビタミンB群投与にて治癒. なった.また半年前より左耳前部に弾性硬の皮下腫瘤 苔癖様型皮膚サルコイドの1例 堀田朝子,玉木 が出現し徐々に増大した.組織:左眉毛部腫瘤は未分 毅(国立国際医療) 化型の有縁細胞癌,左耳前部の皮下腫瘤も類似した腫 23歳女.平10年2月頃から霧視を認め,6月に眼科 瘍細胞より構成され,免疫染色にて両者ともCAM 受診.ブドウ膜炎がありサルコイドーシス疑いにて呼 5.2,MA 吸器内科を紹介され精査施行.胸部レ線ではBHL を施行.耳前部皮下腫瘤はX線40 (十).ツ反陰性.皮疹は6月に左膝やや下に出現後, mm大の広基性角化性腫瘤と 903 陽性.眉毛部有縁細胞癌は切除し全層植皮 Gy, 電子線20 Gy 照射し,現在経過観察中. 脊部,腹部,背部にも同様の皮疹が出現.現症:毛孔 血管腫様外観を呈した腎細胞癌皮膚転移の1例 一致性丘疹が集族して径1.5 藤山美夏,中村嘉男,五十棲健(東京警察),吉本智信 cm程度の局面となった ものが散在.組織:真皮の毛包周囲に類上皮細胞肉芽 (同脳外科),相馬良直(東大分院) 腫を多数認め,一部にはラングハンス型巨細胞もみら 46歳男.初診3ヵ月前,歩行時ふらつきを自覚.当 れた. 院脳外科受診し,転移性脳腫瘍の診断.また,胸部X ●城 南(昭和大) 線上複数の異常陰影,CT上左腎に腫瘤陰影を認めた. 特異な臨床像を呈し組織学的に興味がある所見がみ 初診1ヵ月前,頭部に結節を認めたため,当科受診. られた母斑細胞母斑の1例 保坂浩臣,紫芝敬子(日 結節は比較的急速に増大し,初診時直径15 mm, 赤医療) 色弾性軟で血管腫様外観を呈していた.組織:淡明細 暗紅 1493 東京地方会第742回例会(四地区分会) 胞癌で豊富な血管増生を伴っていた.組織,臨床,経 藤隆三(東邦大第2) 過,全身検索の結果と併せて,腎細胞癌皮膚転移と考 60歳男.35歳時,多関節炎,白血球減少,抗核抗体 えた.初診3ヵ月後永眠. ・抗DNA抗体陽性よりSLEと診断される.副腎皮質 討 論 ステロイド内服剤にて治療中の初診1年前,四肢に栂 斎藤隆三(東邦大第2):木例は定型例ではあるが原 発巣不明の場合, malignant hemangiopericytoma 指頭大までの鱗屑を伴う紅斑が出現し,徐々に体幹に との 鑑別が必要と思う. 散在性に拡大した.病理組織所見と併せて皮疹は尋常 性乾癖で, SLEとの合併と診断した.ステロイド外用 黒瀬信行(JR東京総合):palsation (十)とのことだ 剤で紅斑は軽快した.過去の両疾患合併例を集計し, が, histopathologyではそれらしいartery成分が明瞭 統計的考察を加えると共にその成因についても言及す でないと思われる. る. 当科における過去10年間の皮膚悪性リンパ腫 石 シクロスポリンが奏効した膿庖性乾癖の1例 山 地尚興,高木祐子,新村具人(慈恵医大) 口京美,中野敏明,越後貫理香,原田晴美,衛藤 光 昭61年から平9年の10年間に慈恵医大皮膚科を受 (聖路加) 診した皮膚の悪性リンパ腫62例について検討した.そ 63歳女.近医にて尋常性乾癖の診断にてステロイド の内容はCBCL8例, 外用治療中,平10年8月下旬より特に誘因なく,膿庖 CTCL 20例, ALCL 7例,節性リンパ腫の皮膚浸潤9例, 3 例, ATL lymphomatoid を伴う紅斑が急速に拡大. 39t台の発熱及び局所の灼 papulosis 12例,その他3例であった.これまでの報告 熱感を伴っていた.臨床像並びに病理組織像より膿庖 との比較では,CBCLが多く近年のCBCLの増加傾向 性乾癖と診断し,シクロスポリン5 mg/kg/day が裏付けられた.ATLの症例が多かったのは都市部の 与を開始した.治療開始後,数日で発熱及び膿庖の新 ためと考えられた. 生は抑えられ,紅斑も徐々に消退した.入院時検査に フタトゲチマダニによるマダニ刺咬症一産卵,孵化 て糖尿病の合併が認められた. を観察した1例 馬場俊一,川村 愛,内ケ崎周子, 躯幹,四肢の多発性DLE疹で初発し,顔面病変の増 鈴木啓之(日大駿河台),伊藤建城(浦和市) 悪とともに発熱,関節痛,腎症の出現した小児SLE 64歳男.数日前,左側頚部の虫咬着に気付く.近医 の1例 森 香苗,中井利容,末木博彦,飯島正文 で虫体除去.平10年6月15日当科へ紹介受診.利咬 部は軽度隆起し径約25 mmの紅斑を伴う.咬着マダニ はフタトゲチマダニHaemaphysalis longicornis の雌 より投 (昭和大),辻祐一郎(同小児科) 12歳女児.6ヵ月前躯幹・四肢に紅斑出現,徐々に 増数.顔面にも出現し当科受診.現症:顔面,躯幹, 成虫と同定された.飼い大の耳の咬着マダニも同種と 四肢にDLE疹が多発.爪囲に紅斑,指趾腹に紫斑,下 同定.飽血した両マダニは,湿容器内で4日後から産 肢にlivedo。初診時SLEを疑うも全身症状なし.3 卵開始し,10日をかけて約200個産卵.卵は約20日で 週間後顔面病変の増悪とともに発熱,関節痛を伴い, 孵化し,幼虫となり,その後3ヵ月以上経過するが水 検査所見も進行.WBC 分のみで生存する. 補体血症,尿蛋白4.2 g/日.無疹部もLBT陽性.濯漫 尋常性白斑と尋常性乾癖の合併例 伊藤ゆり子,須 性増殖性糸球体腎炎を合併.小児科に転科しプレドニ 釜明美,服部尚子,日野治子(関東中央) ソロン2 mg/kg/日から治療を開始. 79歳男.現病歴:30年前より,四肢末端に,ストッ 討 論 キング&グローブ状の分布で境界の明瞭な脱色素斑が 紫芝敬子(日赤医療):MEDや光線過敏は? 出現した.10年前,脱色素斑上に,角化を伴う紅色の 森 香苗:MEDは測定していない.光線過敏は,家 丘疹,局面が出現し,癈蝉を伴った.近医でステロイ 族の話によると屋外にいて戻ってくると顔面の皮疹の ド外用療法を施行されるも,丘疹や局面の出没を繰り 色調が強くなっているということだった. 返し,平10年9月,当科を受診.降圧薬の内服歴なく, 陰茎部に認められた痩孔(重複尿道)の1例 遠藤 血清梅毒反応陰性.組織:紅色の局面は尋常性乾癖に 麻由,岩本育世,鈴木啓之(日大駿河台) 合致する所見.治療:ステロイド外用療法で経過観察 66歳男,約10年前に陰茎部の湿潤性皮疹に気付い 中. た.近医にて抗生剤外用剤を行ったが軽快せず,放置 SLEの経過中に発症した尋常性乾癖 川上民裕,斎 していた.現症:陰茎部正中よりやや左側に萎縮性斑 1,900,抗ds-DNA抗体2,414,低 1494 学 会 抄 録 状局面.内に異常開口部を認める.痩孔は皮面に平行 成長し有毛性となった.現症:右頬部から側頭下に硬 で8mmの長さで盲端で終る.組織:開口部は粘膜様 毛を伴う太田母斑様の青褐色斑を認めた.組織:真皮 重層扁平上皮.断面の管状構造は移行上皮で覆われ近 メラノサイトの増殖と真皮下層から皮下脂肪織に主と 傍に粘膜腺を伴い,尿道と同一構造を示し,重複尿道 して線維芽細胞様細胞とSchwann細胞(S-100蛋白陽 の不全型,いわゆる副尿道と診断.胎生期の形成異常 性)からなり,メラニン穎粒を有する細胞を混ずる腫 と考えれられた. 瘍塊を認めた.NFl患者の有毛性色素沈着性神経線維 当初小水庖を主徴とした持続性隆起性紅斑の1例 腫と診断. 山藤千草,北見 周,末木博彦,飯島正文(昭和大) 背部に生じたグロムス腫瘍の1例 佐藤良博,田口 48歳女.約2ヵ月前より頚部・両上肢伸側に癈楳感 英樹,河原由恵,菅原 信(けいゆう) を伴う紅斑・小水庖が出没.現症:頚部・両上肢伸側 27歳男.3年前より背部に有痛性結節を認めたが放 に米粒大までの小水庖を伴う暗紅色調,小指頭大紅斑 置.平9年11月1日,切除希望にて当科初診.背部に 局面が多発.虫刺症,自己免疫性水庖症を疑い生検. 7×10mm大,被覆表皮が紫色調を呈する弾性軟の結 組織:好中球浸潤とleukocytoclastic 節を触知.軽度圧痛あり.組織:真皮内に被膜を有す vasculitis. 1 ヵ月 後皮疹は赤銅色,硬く浸潤を触れる扁平隆起性紅斑と る腫瘍巣を認め,大小様々の血管腔とその周囲に胞体 なり,萎縮性優痕も混在.組織所見,特徴的な臨床症 が明るく円形の核を有する腫瘍細胞の増殖を認めた. 状より本症と診断.レクチソールR75 以上よりグロムス腫瘍と診断した.背部単発例は稀. mg/日投与にて 著明に改善. 血管芽細胞腫の1例 木村陽一,三浦祐理子,小坂 結節性黄色腫で家族性高脂血症が発見された1例 祥子,鈴木かやの,畑三恵子(日医大第2),松本光司 知念多恵子,板井淑子,大橋則夫,竹内吉男,伊藤正 (同病理) 俊(東邦大第1) 31歳男.約4ヵ月前,右側胸部の皮疹に気付き,徐々 31歳男.5年前より左肘頭部に小結節が3個出現し に拡大してきたため当科を受診.右側胸部に10×5 ている.小結節の大きさは径15 大,小結節を伴う境界不鮮明,不整形の紅色局面を認 mm の半球状に隆起す cm る弾性硬の紅色結節である.組織所見より結節性黄色 め,軽度の圧痛を伴っていた.組織:真皮上層から中 腫と診断.総コレステロール435 層に被膜のない大小の島状の腫瘍塊を認め,腫瘍細胞 mg/dl, トリグリセリ ド89 mg/dl であり,母・妹にも高脂血症がみられるこ は類円形ないし紡錘形の核を有し,血管腔の形成が認 とよりIla型のヘテロ接合体の高脂血症と診断し, められた.以上より血管芽細胞腫と診断.若干の文献 HMG-COA還元酵素阻害薬投与中である. 的考察を加え報告する. ● 神奈川(日医大第2) trichofolliculomaの1例 和田直子,石河 晃(日 扁平母斑を合併した異型青色母斑の1例 村上富 本鋼管),望月明子(川崎市) 美子,馬場タカ子,溝口昌子(聖マリ医大),竹内常道 35歳男.2∼3年前より右側頭部の丘疹を自覚.初診 (慈恵第3) 時右側頭部に径7 mm,淡紅色の表面平滑な丘疹を認 17歳女.出生時より左顔面に褐色斑が存在し,さら めた.外観は二房性でその境より黒色の発毛が1本認 に大豆大から栂指頭大の青色斑が散在性に茶褐色斑の められたが,中心臍高や羊毛状線維は認めなかった. 内外に認められた.組織:褐色斑のみの部位は表皮基 組織:腫瘍中央の真皮浅層から中層に扁平上皮からな 底層のメラニン色素増加と真皮メラノサイトーシス, る大型の嚢腫を認め,この嚢腫壁より,多数の毛包分 青色斑が重なっている部位では基底層のメラニン色素 化を示す細胞索が伸び,小型の角質嚢腫も多数認める. 増加と青色母斑が見られた.以上より扁平母斑に真皮 以上よりtrichofoUiculomaと診断した. メラノサイトーシスと青色母斑の合併した異型青色母 multiple desmoplastic trichoepitheliomas 小中 斑2型と診断した. 理会,佐藤直哉,新井 達,饗場伸作,橋本明彦,米 Recklinghausen母斑症患者顔面にみられた有毛性 元康蔵,勝岡憲生(北里大) 色素沈着性神経線維腫の1例 小見浩子,佐々木哲 35歳男.20歳頃,眉間部の結節が出現し,徐々に増 雄,長谷哲男,中嶋 弘(横市大) 大してきた.家族歴,既往歴に異常なし.眉間に13 24歳男. Recklinghausen母斑症(NFl). 22歳時初 診.家族歴なし.8歳頃,右顔面の青褐色斑に気付き, ×13 mm大,類円形,境界明瞭,中央やや萎縮して陥 凹し,辺縁に粟粒大の小結節が環状に配列する弾性硬, 東京地方会第742回例会(四地区分会) 1495 黄白色の腫瘤を認め,右下眼瞼にも2×8mm大までの たドーム状腫瘤で,圧痛なし.三角筋内に,黄白色腫 同様の病変が数個見られた.組織:両病変とも,真皮 瘍が一部浸潤性に増殖.細胞質内に大小の脂肪滴を有 全層に索状に配列した基底細胞様細胞の増殖,多数の する異型脂肪芽細胞が,成熟脂肪組織中に少数混在. 角質嚢腫およびこれらを取り囲むように膠原線維の増 高分化型の脂肪腫様脂肪肉腫と診断.再手術では周囲 生を認めた. の三角筋を約1Cm追加切除.術後機能障害・再発な mixed tumor の2例 加藤有紀,千葉由幸,岡島光 し.本症の組織学的診断および治療に関し,文献的考 也,高橋さなみ,山川有子,相原道子,池渫善郎(横 察を加え報告した. 市大浦舟) 鎧状癌(乳癌転移)の2例 内山光明(神奈川がん 症例1,72歳女.約2年前より出現した左頬部の8 センター),古野久美子(同眼科),宮本秀明(平塚共 ×8mm大,ドーム隆起,紅色,弾性硬の腫瘤.平10 済) 年8月5日切除.症例2,34歳男.約1年前より出現し 症例1,47歳女.初診3年前左乳癌根治手術.2年前, た鼻唇溝の14.5×11mm大,紅色,弾性硬,表皮との 右乳癌と子宮癌.切除化学療法,放射線療法.1年前か 癒着はあるが,皮下とは癒着がない腫瘤.平10年9月 ら胸壁皮膚転移.化学療法を行ったが次第に拡大.胸 2日切除.組織:共に薄い線維性被膜をもち,腫瘍実質 壁の皮膚壊死をおこし,当センター外科へ入院.化学 は真皮深層に存在する胞巣状,索状の上皮性細胞集団 療法,姑息的手術を行うが4ヵ月後死亡.症例2,40 からなり,アポクリン型の分化を示す.周囲の同質は 歳女.右乳房の痴皮性局面,腰痛を主訴として来院. 粘液腫様変化. 生検で乳癌.多発性骨転移.化学療法,放射線療法を 皮膚形質細胞増多症の1例 山田佐知子,木花 光 行ったが2ヵ月で死亡. (済生会横浜),奥田恭子(横浜市) 貼布試験後,外用部位に一致して紅斑が再燃したア 69歳男.数年前から,左大腿に直径1cmまでの浸潤 ルメタ0軟膏による接触皮膚炎 稲村 舞,新井 達, を触れる不整形褐色斑多発.白覚症状なし.病理組織 橋本明彦,大川 司,勝岡憲生(北里大) 学的検査では,表皮に軽度のbasal melanosis, 真皮上 30歳男.アトピー性皮膚炎の顔面の紅斑に対し,ア 層から中層の血管周囲性に異型性をもたない形質細胞 ルメタ0軟膏を外用中,紅斑の増強を認めた.同剤貼布 を主体とする細胞浸潤を認める.PAP法にて多クロー 試験にて陽性.その後,再度外用部位に一致して,浮 ン性の形質細胞増多症と判明.表在リンパ節の腫大は 腫性の紅斑が再燃し,躯幹には漿液性丘疹が多数新生 なく臨床検査成績に異常を認めず. した.成分別試験では主剤であるプロピオン酸アルク 頚部の潰瘍病変を初発症状としたCD 56 陽性リン パ腫の1例 小野田雅仁,近藤 恵,戸倉広一,佐々 ロメタソンにて陽性.同希釈系列も陽性.顔面の紅斑 は,症状軽快後に施行したにもかかわらず,貼布試験 木哲雄,長谷哲男,中嶋 弘(横市大),小野 敏(横 の度に増悪し,難治を極めた.ステロイド内服にて軽 浜市) 快. 83歳女.平9年4月,左頚部に小結節出現.平10 プロピオン酸アルクロメタソン,ベンダザックによ 年1月より徐々に増大.同年8月5日当科初診時,頚 るアレルギー性接触皮膚炎の1例 岩切加奈,三浦祐 部に潰瘍を伴う55×40mm大の腫瘤. 理子,沼野香世子,弓削真由美,畑三恵子(日医大第 い生検.組織:多型細胞型リンパ腫. sec, BCCを疑 CD 56,LMPl 2) (十),TCRの単クローン性なし.以上よりnasaltype 28歳男,アトピー性皮膚炎の診断で,近医より約4 T/NK EBV既感染パターン, 年前からプロピオン酸アルクロメタソン含有軟膏,半 軽度貧血あり.画像診断上も他病変なし.入院後,電 年前からベンダザック含有軟膏を処方され,主に顔面 celll ymphoma と診断. 子線48 Gy 照射にて軽快.現在まで再発なし. に使用していた.平10年2月下旬より顔面の皮疹が悪 well-differentiatedl iposarcoma の1例 伊東 優,浅野真理,柴山英一,村上 昇,大橋修一郎,鹿 化したため3月10日当科を受診.顔面は紅斑,腫脹, 島真人,窪田泰夫,溝口昌子(聖マリ医大),高木正之 ロメタソン,ペンダザック含有軟膏の各々主剤に陽性, (同病理) 基剤は陰性であった.若干を考察を加え報告する. 鱗屑,惨出液が著明.貼布試験でプロピオン酸アルク 38歳男.初診8ヵ月前に右肩皮下腫瘤に気付く.直 アリルイソプロピルアセチル尿素による固定薬疹の 径約3cmの弾性軟,比較的境界明瞭な下床と癒着し 1例 榊原貴子,沼野香世子,畑三恵子(日医大第2), 1496 学 会 抄 録 山西貴仁,川名誠司(日医大) 2歳女児.初診平10年8月26日.主訴:頭頂部の表 27歳女.約6ヵ月前よりイブAo内服後に,顔面,腹 面に膿庖を伴うドーム状の皮疹.現病歴:平10年8月 部,背部に疸庫・疼痛を伴う紅斑が出現.同剤による 初旬,頭部の皮疹に気付く.同年8月18日,近医受診. 固定薬疹と診断.皮疹部での製品as 抗生剤内服,ステロイド内服および外用するも改善せ is とその成分のア リルイソプロピルアセチル尿素の掻破貼布試験を施行 ず,当科紹介となる.病毛直接検鏡で糸状菌陽性.M. し陽性.またアリルイソプロピルアセチル尿素の内服 gypseumを分離,同定した.トリコフィチン反応陽性. 試験陽性.類似構造を示すブロムワレリル尿素の皮疹 ケルスス禿癒と診断し,塩酸テルフィナビン約2.5 部での掻破貼布試験,内服試験は陰性であった. /kg内服にて治療中. 塩酸レナンピシリン(バラシリンo)による膿庖型薬 ケルスス禿癒の1例 猪又直子,高橋泰英(横浜日 疹 赤坂浩明,渡辺京子(茅ケ崎徳洲会) 赤),渡辺知雄(横浜市) 28歳女.平10年7月26日第一子を出産し, LAPC 78歳男.平10年5月下旬より頭部に環状の紅色皮 (バラシリン町1錠内服した.数時間後に両大腿部に浮 疹を認めたため前医受診.膿庖を認め,抗生物質内服, 腫性紅斑が出現し,全身に拡大したため8月1日初診. 抗生物質加ステロイド軟膏外用にて治療されるも改善 下腹部,肘高,大腿部に粟粒大の膿庖を認めた.皮膚 しないため,6月30日当科紹介受診.後頭部に容易に 生検組織像では角層下膿庖の所見.貼布試験において 抜毛可能な2つの環状紅斑を認め,毛髪のKOH検鏡 LAPC(バラシリンo,タカシリンo),AMPC(サワシ にて毛外性に胞子連鎖,菌子を検出.原因菌はT.ru- リンo)SBTPC(ユナシンo)の20%ワセリン希釈で膿 brum.グリセオフルビン500 庖を伴う紅斑を認めた. 臨床的に診断し得た皮膚腺病と頚部リンパ節結核 缶コーヒー(カラゲナン?)による特異な臨床像を 岡野絵里子,和田秀文,毛利 忍(横浜市民) mg/日内服12週で治癒. 呈した苔癖型反応の1例 浅賀美佐,サンティス智 75歳女.2ヵ月前から左頚部に腫瘤出現し増大.4 恵,新井春枝,西山茂夫(大和市立),上村仁夫(海老 cm大の硬い充実性の皮下腫瘍で中央は自潰.ツ反弱 名市) 陽性.痴皮の抗酸菌培養陽性.組織:真皮から皮下に 48歳男.平9年2月より全身に壊死性鱗屑を伴う環 乾酪壊死を伴う肉芽腫で抗酸菌染色陽性.31歳女.1 状の浸潤の強い紅斑出現.前医受診し,ゼスラン,ア 年前より頚部に皮下硬結あり増数.蚕豆大の弾性硬の ンテペート軟膏処方されるも軽快せず,生検施行,苔 腫瘤が数珠状に存在.ツ反強陽性.組織:リンパ節内 癖型反応示す.精査目的で紹介受診.一般検査正常, に顕著な乾酪壊死を伴う肉芽腫で抗酸菌染色陽性.双 薬剤内服既往なくANA, 方とも胸部レ線上明らかな所見なし.抗結核療法施行 IgE, mg RAST及び金属パッチ テスト陰性.フッ素陽性.1日5∼6本の缶コーヒーを 中. 飲むためパッチテスト施行.カラゲナン添加缶コー 米国で受症したマダニ刺症の1例 新井健男(横浜 ヒーに陽性.缶コーヒー中止後軽快. 市),新井裕子(目黒区) 著明な好酸球浸潤を伴った膿皮症様足白癖の1例 16歳男.高校生.ワシントン郊外での高校課外活動 サンティス智恵,浅賀美佐,新井春枝(大和市立),田 中に後頭部の“ニキビ様”結節に気付くも放置.帰国 沼弘之(川口市),上村仁夫(海老名市) 3日後に急に増大したため,自分で捻って摘除.虫体を 59歳女.平10年1月,右1趾に凍瘤様皮疹.その後 持参して当科受診.全身状態良好.圧痛を伴う紅斑の ひょう疸様になり,抗生剤を投与されるも軽快せず, 見られる刺入部を摘除後,抗生剤投与,遊走性紅斑, 4月当科へ紹介された.右1趾の爪囲・爪甲下に限局 麻揮などの合併症,続発症(−).ボレリア抗体は陰性. する有痛性,紅輦を伴う膿性水庖を認め,膿皮症を疑っ 虫体はカクマダニ雌成虫(Dermacentor た. MRSAを分離同定.ミノマイシン内服無効.組織: 同定.本種の報告は本邦では稀. 著明な好酸球浸潤と白癖菌要素を認め, 鎖骨部皮下腫瘍の形成をみた膿庖性乾癖の1例 Tr. rubrum を分離同定.末梢血好酸球軽度上昇.5月グリセオフル ビン内服開始にて軽快し,9月治癒. variabilis)と 井出真弓,奥山洋子,二宮淳也,樋口道生,滝内石夫 (昭和大藤が丘),渥美 敬(同整形外科) ケルスス禿癒の1例 杉浦 香,岩下賢一,赤松ま 60歳男.20年前掌脈膿庖症,鎖骨骨炎の既往有り. ゆみ,松山 孝,川久保洋,小渾 明,大城戸宗男(:収 平9年11月当科初診.膿庖性乾癖の診断にてエトレチ 海大) ナートの内服を開始した.約3ヵ月後皮疹は消失して 東京地方会第743回例会(研究地方会) 1497 いたが,発熱,左鎖骨部の疼痛増強し同部に皮下膿瘍 板,外弾性板の変性,消失を認めた. の形成をみた.更に前胸部,四肢に落屑性紅斑,膿庖 cutaneous が出現し,症状悪化のため入院となった. CRP WBC 25,500, 31. 右鎖骨部にも皮下膿瘍を形成.膿瘍は無菌で focal mucinosis MRAと診断. の1例 小林誠一郎, 木花いずみ(平塚市民) 45歳女.2ヵ月前より右膝部に自覚症状のない皮下 抗生剤に反応せず,ステロイド内服著効. 結節が出現し,その後2つの新生があった.初診時, 紫斑を呈したSjogren症候群/全身エリテマトーデ 右膝部に表面わずかに隆起した境界比較的明瞭,弾性 ス(疑い)の1例 竹下芳裕,桶谷美香子,近藤 恵, 軟の皮下結節を3つ認めた.組織:真皮全層にわたり 佐々木哲雄(横市大) 膠原線維の断裂・融解とムチンの沈着あり.生検後, 51歳女.平9年SJS, 自然消退した.臨床検査所見より橋本病の既往が判明 10年球後視神経炎.同3月紫 斑出現し当科初診.同4月発熱,汎血球減少,腎機能 した. 低下よりSLE合併の診断.同28日再診時,下肢中心に necrobiosis lipoidicaの1例 新井浩之,宮田聡 四肢,一部体幹に紫斑認め,掌脈では融合. 子,松井矢寿恵,武村俊之(国立横浜) /dl, tG 2.6 g/dl, IgG 3.120 mg/dl, TP 8.7 g 抗CLβ2GPI抗体, 51歳女.初診平10年8月.両下腿に,色素沈着を伴 クリオグロブリン(−).組織:表皮基底層液状変性, う萎縮性紅斑.辺縁は堤防状に軽度隆起.4年前出現 乳頭下層血管周囲性細胞浸潤と出血. し,徐々に拡大.自覚症状なし.組織:変性した真皮 DIFはLBTと 血管壁(+).ステロイドパルス2回行い6月以降紫斑 膠原線維を囲続する柵状肉芽腫.病変は一部脂肪織内 は消失. にも存在. 深在性ループスエリテマトーデスの1例 大場有 滴を認める.空腹時血糖は正常であったが,△IRT/△ 希子,窪田泰夫,溝口昌子(聖マリ医大) BSが低値. 54歳男.平9年12月頃より左前胸部に自覚症状の テロイド外用(2ヵ月間)無効. ない皮疹出現.初診時,約5×5cmの境界不明瞭な一 皮膚サルコイドーシス局面型の1例 村上 昇,窪 部隆起した浸潤性紅斑を認めた.組織:表皮や基底層 田泰夫,溝口昌子(聖マリ医大),岩丸宗彦(川崎市) に変化はなく,真皮の膠原線維の離開,付属器周囲の 48歳男.初診3週間前より出現.右下背部に14×11 リンパ球を主体とする細胞浸潤を認めた.浸潤細胞に mm, 異型性はない.膠原線維間はAlcian-blueで青染. lu- Sudanlll染色にて膠原線維変性部に脂肪小 75g糖負荷試験で境界型糖尿病と診断.ス 7×5 mm, 3 mm大の楕円形で辺縁堤防状隆起し, 中央やや廉爛した,軽度癈庫感を伴う紅色局面,右耳 pus band test 陽性.ANA40倍.皮疹は一部自然消退 垂部下頚部に4mm大の扁平隆起性紅色局面.糖尿病, したところもあり,現在ステロイド外用, 外傷既往なし.背部組織:非乾酪性類上皮細胞性肉芽 vit C, E の内服にて経過観察中. 腫,偏光下で異物なし.ツ反中等度陽性,血清Ca, 典型的な組織像を示したMRAの1例 三井聖子, ACE,リゾチーム値正常.BHL(−),眼心病変(−), 大場有希子,溝口昌子(聖マリ医大),山田秀裕(同難 Gaシンチ異常なし.臨床像,組織学的所見より,皮膚 病治療研究センター) サルコイドーシス局面型と診断した. 60歳男.RAにて加療中,関節痛増悪し,同時に両 膝周囲に浸潤を触れない米粒大の淡紅色斑出現. 845倍, WBC 22200, 血沈98 mm/h. サルコイドーシスの2例 山本美穂,川口とし子 RA 下肢の筋力低下, (横浜南共済) 症例1,72歳男.右眼囲に米粒大の紅色結節を生じ 神経伝導速度低下を認めた,多発性神経炎あり.心臓, た.症例2, 64歳女.内科にて肺サ症に対し,プレドニ 肺,眼には異常なし.膝周囲紅斑の生検にて,真皮深 ソロン5mg内服加療中,両耳介に浸潤性紅斑を生じ 層の動脈壁のフィブリノイド変性,内腔血栓,血管周 た.組織は2例とも定型的な類上皮細胞肉芽腫であり, 囲の激しい好中球浸潤を認め,弾性線維染色で内弾性 ステロイド外用後皮疹は軽快した. 東京地方会第743回例会(研究地方会)(平成10年12月19日,防衛医大) アナフィラクトイド紫斑における浸潤好中球の崩壊 啓次郎(埼玉医大医療),田中俊光(ヘキストマリオン 過程について 山本 卓,鏑木 豊,伊崎誠一,北村 ルセル川越研究所) 学 会 抄 録 1498 アナフィラクトイド紫斑の浸潤好中球の崩壊過程と しては顔面紅斑が多く,次いでヘリオトロープ疹, アポトーシスとの関連を検討するため病変部皮膚組織 tron徴候が高率に認められた.1例を除き全例が皮膚 の光顕・電顕的検証を行った.36例の標本をTUNEL 症状で発症し,筋症状の出現は, 法を用いて光顕にて観察し,6例では電顕的観察も 以内, 39%が3∼12ヵ月で,1年以上も12%認めた. 39%は発症後3ヵ月 行った.光顕では全例で病変部浸潤好中球にTUNEL 27例中8例に急性の同質性肺炎を認めたが,内1例に 法陽性所見が得られた.しかしながらこれら好中球の 膜嚢胞性変化を伴う脂肪織炎を認め,留意すべき所見 超微形態学的変化はアポトーシスで説明できず多くは と考えた. ネクローシスに近い所見を呈していた. 多発性筋炎/皮膚筋炎患者血清中におけるsVCAM- 討 論 1濃度及びsE-selectin濃度 久保正英,尹` 浩信,山 上出良一(慈恵医大):①核痩はどのような所見で 根謙一,矢渾徳仁,菊池かな子,玉置邦彦(東大),相 あったか?②他の好中球が集積する疾患,例えば 馬良直(東大分院) Sweet病,細菌感染症,乾癖の膿庖ではどのような所 PM/DM 36 例, SSc 30 例,正常対照群25例において 見であったか? 血清中sVCAM-1濃度及びsE-selectin濃度は正常人 山本 卓:①核破片も陽性に標識されているのを に比較して高値を示した.PM/DMにおいては 我々は光顕的・電顕的に確認している.②Sweet病そ sVCAM-1濃度高値はESR/L進および血清ヒアルロ の他の好中球遊走組織でも,少数ながら検討している. ン酸高値と相関し,また,血清中sE-selectin濃度高値 さらに多数の症例を加えて発表したい. はCPK上昇及び血清TIMP-1濃度と強い正の相関が 南光弘子(東京厚生年金):anaphylactoid そもimmune P はそも host compleχ関与のleukocytoclastic vas- 認められた. 汎発性強皮症患者における抗U I RNP 抗体の抗原 culitisである故, PMNは炎症の主役として自爆して強 特異性について 尹 浩信,山根謙一,矢洋徳仁,久 い活性酵素を産出し最後に核破片となると思われる. 保正英,藤本 学,菊池かな子,玉置邦彦(東大) この過程を想定した場合PMNのnecrosisやアポトー 汎発性強皮症患者223例,全身性エリテマトーデス シスという考えを導入する意味があるのか. 患者117例,混合性結合組織病18例及び正常人40例 山本 卓:白血球核崩壊性血管炎の全体像をこれで の抗U I RNP 説明できるわけではなく,遊走した好中球の電顕像か し,抗U I RNP ら近頃いわれているアポトーシスでは説明できないこ て解析した.抗U とが多いと申し上げている. で,70 kD 抗原は抗U I RNP 皮膚結節性多発動脈炎(CPN)における血漿セロト の78%と反応し,同抗体陽性エリテマトーデス患者 ニン値の検討 五十嵐勝,奥田知規,大井綱郎,古賀 (8%)と比較し有意に高率であった. 道之(東医大) 汎発性強皮症患者における可溶性ICAM-1濃度に 抗体陽性率を二重免疫拡散法にて検討 抗体の抗原特異性を免疫ブロット法に I RNP 抗体は強皮症患者8%に陽性 抗体陽性強皮症患者血清 セロトニン(5-HT)は,血小板凝集能充進や血管収 ついて 尹 浩信,藤本 学,門野岳史,菊池かな子, 縮作用を有するインドールアミンである. 玉置邦彦(東大),佐藤伸一,竹原和彦(金沢大) CPN 12症 例につき5-HT,βトロンボグロブリン(P-TG)及び血 汎発性強皮症患者88例及び正常人20例の血清中可 小板第IV因子(PF-4)を測定した.CPNの病勢増悪 溶性ICAM-1 時における5-HTは健常人に比較して有意に高値で た.汎発性強皮症患者血清中cICAM-1濃度は有意に あった.また5-HT 高値を示し,手指屈曲拘縮,肺線維症,関節症状,血 2 blocker投与後の5-HTは病勢改 善時において有意に低下していた. p-TG及びPF-4 Got- (cICAM-1)濃度をELISA法にて測定し 沈完進と相関した.強皮症患者由来皮膚線維芽細胞, はほぽ正常範囲であった.5-HTはCPNの病態に関与 末梢血単核球の培養上清中cICAM-1濃度は無刺激下 すると思われた. 及び炎症性サイトカイン存在下において有意に高値を 皮膚筋炎患者27例の臨床的検討一特に皮膚症状に 示した. cICAM-1は汎発陛強皮症の免疫反応に関与し ついて一 石橋睦子,伏見英子,瀬川聡子,石黒直子, ているものと考えられた. 川島 軋肥田野信(京女医大) 限局性強皮症患者における血清中可溶性VCAM-1, 昭54年から平10年までに当科で経験した皮膚筋炎 E-selectin濃度について 山根謙一,尹 浩信,久保 患者27例について臨床的に検討を加えた.初発症状と 正英,矢滞徳仁,菊池かな子,玉置邦彦(東大),相馬 東京地方会第743回例会(研究地方会) 良直(東大分院) 1499 た.本法は非侵襲的検査であり, melanomaの診断や鑑 限局性強皮症患者59例,汎発性強皮症患者20例, 別に有用であると考えた. 正常対照群29例において血清中可溶性VCAM-1,E- zoonosis (ネコ,イヌ)としてのPasteurella細菌 selectin濃度を測定した.限局性強皮症患者では血清 感染症の臨床と疫学 原 弘之,落合豊子,森嶋隆文 中可溶性VCAM-l,E-selectin濃度は正常人に比較し (日大),荒島康友,熊坂一成,河野均也(同臨床病理) て有意に高値を示し,また硬化局面の数,範囲と相関 Pasteurella属はコンパニオンアニマル(ネコ,イヌ) があった.限局性強皮症の病因に血管内皮細胞の活性 とヒトとのzoonosisの起炎菌として注目されている. 化が関与していることが示唆され,血清中可溶性 当科では最近半年でペットのネコ,イヌの咬・掻傷に VCAM-1, よるPasteurella感染症を相次いで経験した.うち2例 E-selectin濃度は本症の病勢を反映するも のと考えられた. は蜂嵩織炎が,残り1例は骨髄炎が生じた.菌はグラ 限局性強皮症患者の血清中におけるtissue inhibi- ム陰性悍菌で菌の生化学的性状から前2例はp. mul- tor of metalloproteinases 矢洋徳仁,久保正英,尹 tocida,残り1例はp.canisと同定された.昭59年∼平 浩信,菊池かな子,相馬良直,玉置邦彦(東大) 10年に当院で検出された本皮膚化膿症の臨床・疫学 限局性強皮症における血清中のTIMP-1, TIMP-2濃 について統計的観察を行った. ダ 度をELISA法を用い,臨床症状,検査所見と比較,検 健常人の足底に付着した皮膚糸状菌が減少しない条 討した.対象は限局性強皮症患者57例,健常人13例 件の実験的検討 渡辺京子,谷口裕子,丸山隆児,西 とした. generalized morphea てTIMP-1, 群では健常人と比較し TIMP-2濃度とも有意に高値であった.ま 岡 清(束医歯大),加藤卓朗(済生会川口) 裸足となる環境では,健常人の足底に皮膚糸状菌が た限局性強皮症患者においてTIMP-2の高値群では抗 付着するが,足をタオルでふいたり,石鹸で洗ったり, 核抗体,抗ヒストン抗体,抗ss-DNA抗体の頻度が非高 別マットを100歩踏むことで菌は有意に減少する.(既 値群と比較して有意に高頻度であった. 報告).今回,健常人の足底に菌を付着させた状態で, 超音波ドップラー法による全身性強皮症患者の腎病 ①綿靴下,②ナイロンストッキング,③足袋,④ビ 変の評価 西島千博,佐藤伸一,竹原和彦(金沢大), ニールスリッパをはき,あるいは⑤サランラップをま 平田昭夫(同泌尿器科) いて,別マットを100歩踏み,付着した菌が減少する 全身性強皮症患者の腎血管抵抗を,超音波ドップ かを検討.④スリッパ,⑤サランラップでは菌の大部 ラー法で測定した.明らかな腎病変を示さない例でも 分が残存した. 腎血管抵抗は有意に高値を示した.肺線維症・圈漫性 ヒトジラミ虫卵の走査電顕による観察−とくにコロ 色素沈着・指尖巌痕・手指の屈曲拘縮のある群で,腎 モジラミとアタマジラミの卵蓋の形態的差異について 血管抵抗の有意な上昇が認められた.抗DNAトポイ 馬場俊一,鈴木啓之(日天駿河台) ソメラーゼI抗体陽性例では,抗セントロメア抗体陽 コロモジラミ(B)とアタマジラミ(H)は形態的区 性例と比較し,血管抵抗は有意に高値を示した.非侵 別が難しいとされてきた.近年両者間の形態的差異が 襲的であり,腎病変の早期発見に有効な検査法である 報告された.両者の違いをより明らかにするため,駅 ことが示唆された・. 構内浮浪者にみられたBの卵を材料に,走査電顕で卵 皮膚腫瘍の超音波診断 パワードプラ法による を観察し,Hのそれと比較した.Bでは観察した6個の melanomaの診断と鑑別 清原祥夫,田口理史,鈴木 卵蓋の気孔突起の数は,11突起2個,12突起2個,14 正,池田重雄,土田哲也(埼玉医大),足立雅樹(同中 突起2個であった.一方,Hのそれでは9突起2個, 央超音波室) 8突起1個で両者に差が見られた.角坂などの報告と パワードプラ法により皮膚腫瘍及びリンパ節内の血 ほぽ一致. 流信号を検出し,その分布やパターンを観察. mela- PCR法を用いた皮膚型ヒト乳頭腫ウイルス nomaの原発巣やintransit転移,リンパ節転移と鑑別 (HPV)の検出と型同定 川瀬正昭(慈恵医大第3),伊 を要する種々の皮膚腫瘍について検討した.結果:皮 部美葉,石地尚興,新村政人(慈恵医大),神田忠仁 膚悪性腫瘍では良性腫瘍には見られない豊富な血流信 (国立感染研) 号が検出され,さらにmelanomaの病巣では他の皮膚 HPVには82の異なる型があるが,殻蛋白質をコー 悪性腫瘍以上に豊富で特徴的な血流信号が認められ ドするL1の塩基配列に基づいて分類すると,皮膚疾 学 会 抄 録 1500 患の原因となるHPVは1,2,3,4型に代表される4群 こでは酸性というよりも塩素濃度が殺菌に充分という に分かれる.各種疵贅中のHPVが属する群をPCR ことに意味があるのではないか. で判定するために,代表的な型間で塩基配列が異なる 三好経子:酸性水とは酸性度と有効塩素濃度とで設 L1内の領域を増幅するプライマーを各群ごとに合成 定されるもので,その殺菌力には塩素濃度が重要にな した.これらを用いたPCRは群特異的にHPVDNA る.弱酸性水はpHを上昇させて,殺菌力を保つため を増幅し,その塩基配列を調べて型の同定も可能で に,ある程度の塩素濃度がどうしても必要なことは予 あった. 備試験で既にわかっている.これまで50 PPM 程度は 尿中単純ヘルペスウイルス(HSV)抗体検査の有用 必要とされていたが,今回の我々の実験では最低の塩 性 本田まりこ,小松崎具,新村偉人(慈恵医大) 素濃度に抑え菌減少効果を測定した.プールの塩素と 平8年12月から平9年3月に当科を受診したHSV 比較すると数値的には高いが,殺菌効果や皮膚への刺 感染症患者55例の血清と尿中HSV抗体価をELISA 激などは酸性度と塩素濃度の両者から決まってくると 法で測定した.また,血中抗体価陰性の者12例を陰性 思われるため一概には言えない. コントロールとした.陰性コントロールは全例血清と 溝口昌子(聖マリ医大):①皮膚の表面にはbuffer 同様に尿中HSV抗体が検出されず,一方HSV感染症 functionがある.つまりアルカリ中和能,酸中和能があ 患者では血清と尿中HSV-IgG抗体が全例陽性であっ る.この酸性水は皮膚に塗布した場合,最初のpHイ直が た.HSV-1型感染者はHSV-2型感染者と比べ高値を示 保たれるのか.保たれるとするとどの位の時間持続す した.尿中HSV-IgG抗体価は簡便な検査法として有用 るのか検討されたか.②アトピー性皮膚炎の皮膚PH と思われた. はアルカリ側にかたむくので,この点を含めてご検討 性器ヘルペス患者の無症候性ウイルス排泄に関する いただきたい. 研究 小松崎員,本田まりこ,新村具人(慈恵医大) 向井秀樹:①酸性水使用時の皮膚pHの変動につ 男女2組のHSV-2型感染者を対象に1ヵ月間連日 いて,弱酸性水使用後の皮膚pHは検索していないが 性器部を擦過しPCR法でHSVゲノムの検出を試み 今後行ってみたい.但し強酸性水では明らかにpHは た.女性は共に頻回に回帰発症を繰り返していたため 上昇する.弱酸性水はpHが正常皮膚に比べ余り変化 アシクロビル小量持続投与によるsuppressive しないことが予想される. ther- apy中であった.男性は共にO日/30日,女性は各々0 川島 屏(京女医大):①通常の皮疹での菌数減少 日/16日,4日/44日であった, HSVゲノムを検出した と臨床効果とは関連するのか.②減少したのちどれ位 4日間は患者が性器に疼痛を自覚し発疹が出現した時 の時間でもどってしまうのか. 期に一致し,無症候な時期のウイルス排泄はなかった. 向井秀樹:今回の実験の目的は弱酸性水の殺菌効果 弱酸性水の黄色ブドウ球菌(黄ブ菌)に対する殺菌 の有無についてであり,この静菌作用から得られる臨 効果一強酸性水との比較検討一 三好経子,松本京子, 床応用は顔面など特定部位の菌量低下を目的としたス 前島英樹,宮崎千春,金子 聡,平松正浩,向井秀樹 キンケアないし補助療法であり,これだけで治療でき (横浜労災) るとは考えていない. 以前,強酸性水のAD患者皮表に存在する黄ブ菌に 川島 員:①菌を減少させることが臨床症状の改 対しての殺菌効果を検討して報告した.強酸性水は光 善に結びつくものか.②菌を減少させる効果につい や有機物に不安定であり,その殺菌効果を疑問視する て,他の石鹸などとの比較は? 考えもある.今回,それらに安定な弱酸性水が皮表の 三好経子:①臨床的な検討はまだ行っておらず,現 黄ブ菌に殺菌効果を有しているかを,同様の手技にて 時点ではわからないが,感染症状を起こしてくる前段 AD患者15名・39患部で症状・部位別に定量的に測 階としてある程度の菌数が増悪因子として働くなら 定した.その結果,強酸性水と同程度の静菌的な菌量 ば,補助的に試してみたいと考える.②今回は強酸性 の低下をみた. 水のみと比較しておりその検討はしていないが,以前 討 論 強酸性水の報告の際にはイソジンとは比較しており, 南光弘子(厚生年金):弱酸性水は有効塩素濃度 同等の効果成績を得た.弱酸性水は強酸性水と同等の 18−22PPMということだが,確か厚生省のプール水 効果が今回みられたので,その点では比較し得ると考 の基準では遊離塩素濃度3−10PPM えている. 以上かと思う,こ 東京地方会第743回例会(研究地方会) 1501 ステロイド外用を主とした入院治療に対するアト mRNAレベルの発現がみられ,前者は48時間の ピー性皮膚炎患者の中,長期的満足度一第2報一 有 RANTES(50,100 ng/ml)刺激によって発現が増強し 川順子,吉原伸子,檜垣祐子,川島 偉(東女医大) た. 退院後6ヵ月以上経過したAD患者96人中,当科通 ケラチノサイトのサイトカイン産生に及ぼすCan- 院中の患者は69人のうち38人でVASによる評価を dida albicans の影響 加納 塁,佐藤ひろ子,中村遊 行った.現在の症状の満足度は入院時の平均23 と比較し平均67 mm mm 香,大西誉光(帝京大),長谷川篤彦(日天獣医臨床病 と上昇(退院時83mm)し,現在 理),渡辺晋一(帝京大) の治療への満足度は85mm(退院時92mm)で,いず C. albicans 3 株を1×104個及び1×103個の菌数に れも退院後も高値を保っていた.更に退院1年後の19 入での評価では,現在の症状の満足度は62 の治療への満足度は78 調整し,それぞれヒトケラチノサイト1×104個と同時 mm, 現在 mmと高値を維持し,入院治療 に培養した.次に経時的に培養液を回収し,培養液中 のサイトカインをELISA法によって測定した.その に対する長期的満足度は高いと判断された. 結果, IL-1β,IL-6, MCP-1, 討 論 かったが, IL-8は菌量に比例して,経時的に増加した. TNF-a の産生は確認されな 上出良一(慈恵医大):入院前・中・後での外用ステ このことからC. ロイド量の維持は如何か. の産生を誘導すると考えられた. 川島 億:ステロイド外用量については以前に報告 神経ペプチド刺激によるヒト皮膚微小血管内皮細胞 しているが,平均すると入院中10 からのケモカイン産生 玉城 毅,大島治子,渋谷博 g/日,退院6ヵ月後 albicansはヒトケラチノサイトIL-8 1g/ロであった. 文,千葉友紀,坂崎由朗,山城将臣,加藤雪彦,古賀 RFLP法によりー卵性と診断されたアトピー性皮膚 道之(束医大) 炎の三つ子におけるFceRI-βの検討 鈴木さやか,小 目的及び方法:皮膚炎における神経ペプチドの関与 宮根真弓,菊池かな子,玉置邦彦(東大),土屋尚之, を検討するため,培養ヒト皮膚微小血管内皮細胞 徳永勝士(同人類遺伝学),米本広明,井上奈津彦(慈 (HDMEC)を,substance P (SP), noradrenaline (NA), 恵医大),南光弘子(厚生年金),南光進一郎(帝京大 TNF-(xで刺激した.結果:TNF-a刺激でHDMEC上 精神科) にE-selectinの発現を認めたが, 33歳男の三つ子.3人とも幼児∼小児期からのアト かった.培養上清中のケモカインはTNF-aで6時間 ピー性皮膚炎.寛解増悪を繰り返し,増悪時には紅皮 後にIL-8, MCP-1の,SPで24時間後にMCP-1の中等 症状態を呈した. 度の産生を認めたが,NAでは24時間後にIL-8, RFLP法にて一卵性三つ子と診断さ れた.いずれの症例もIgERIST高値を示したが, 角化の最終過程におけるタンパク質脱イミノ化のケ 膚炎に関連すると報告されているimmunoglobulin Leu, gene (FceRI-β)エクソン6のHe MCP- 1,RANTES三者の強い産生を認めた. RASTscoreは必ずしも一致しなかった.アトピー性皮 receptorβchain SP, NAでの発現はな E ラチン線維に及ぼす影響 溝口将之,近藤幸子(順天 (181) 火),真鍋 求(秋田犬),内藤幸雄(理化学研),千秋 Val (183) Leu変異について検索したが,3人と 達雄(東京都老人研),小川秀興(順天火) も変異を認めなかった. 表皮分化の最終過程において,タンパク質脱イミノ CCケモカインレセプター3の炎症性疾患病変部位 化酵素(PAD)はケラチンやフィラグリンのアルギニ における発現と培養ケラチノサイトにおける発現調節 ン残基を脱イミノ化することにより,これらのタンパ 湧川基史,中村晃一郎,玉置邦彦(東大),赤塚正裕 ク質の機能を調節していると考えられている.そこで (マルホ(株)),河崎 寛(東大医科研ウイルス),古 今回,ヒト角層から抽出したケラチンを試験管内で脱 江増隆(九州大) イミノ化したところ,ケラチンの線維構造は崩壊し, 各種炎症性皮膚疾患病変部におけるCCR-3の発現 断裂化した.この知見は,PADが角層上層におけるケ を抗CCR-3抗体を用いた免疫染色にて,培養ケラチノ ラチンパターンの崩壊に関与している可能性を示唆し サイト(KC)への発現をRT-PCR法, た. FACScan法に て解析した.健常皮膚において表皮,真皮血管壁,真 ロリクリン角化症とモデルマウス 1.その作成と 皮浸潤細胞の一部に陽性となり,各種炎症性疾患にお 表現型について 須賀 康(順天大),Roop いて発現の増強がみられた.さらに培養KCにて蛋白, ベイラー医大Cell Biology),小川秀興(順天火) DR (米国 学 会 抄 録 1502 表皮辺縁帯の主成分であるロリクリンのトランスゲ actinic elastosis におけるエラスチン及びエラスチ ニックマウスを作成した.ロリクリンC末端にframe- ン関連蛋白の生化学・免疫組織化学的検討 大西善 shift変異を作成し,皮膚特異的なプロモーターを用い 博,秋山 酉,多島新吾,石橋 明(防衛医大),堀井 て表皮内に発現させた.作成したトランスゲニックマ 和泉(資生堂),小林良二(香川医大) ウスは,出生直後より皮膚が紅色,光沢,鱗屑を有し actinic elastosisは,真皮上層に弾性線維様物質が老 ており,紅斑角皮症様であった.生後約1週間で表現 人の日光暴露部位に蓄積する病態である.今回我々は 型は尾の近位部に限局するようになり, 凍結切片を用いてエラスチン・エラスチン関連蛋白免 Vohwinkel 症候群の絞掘輪を生ずるようになった. 疫組織染色で検討すると共に, 落葉状天地療(PF)抗原Dsg た患者の真皮上層から得た培養線維芽細胞を用いて, 1 の三次元エピトープ actinicelastosisを認め の解析 関口麻衣子,布袋祐子,藤井嘉子,天谷雅行, エラスチン・エラスチン関連蛋白のmRNAの発現に 西川武二(慶大),岩崎利郎(岐阜大獣医),大矢和彦 ついて比較検討した.免疫組織学上,フィブリリンー1 (MBL) の減少,生化学上MMP-1の上昇を認めた. 天庖雍における自己抗体の反応は抗原の立体構造が ブレオマイシン(BLM)による皮膚硬化モデルマウ 重要である.PF抗原Dsg スの硬化機序 高河慎介,横関博雄,西岡 清(東医 を目的に, Dsg 1 とDsg l の三次元エピトープ解析 歯大) 3 間で様々の細胞外ドメイン を有するスワッピング分子をバキュロウイルス発現系 BLM皮膚硬化モデルマウスを用いて硬化部位の病 を用いて作成,22例のPF血清を用いて競合的ELISA 理組織学的所見とRT-PCR法によるTGFβ, を施行した.N末2/3を含む分子, の発現を検討した. 1/3を含む分子に PDGF BLMl回投与群ではmRNAレベ て,それぞれ22例,16例の反応性が除去された.以上 ルで48時間後にTGFPの上昇を認め,蛋白レベルで より, Dsg 1 の主要エピトープはN末1/3の領域に存 線維芽細胞に陽性所見が得られた.またマウス線維芽 在することが確認された. 細胞及びマクロファージを種々のBLM濃度下で培養 Herlitz致死型表皮水痘症患者に同定された新しい し,これら細胞への影響についてRT-PCR法を用いて LAMC 検討した. 2 遺伝子変異 滝洋靖子,清水 宏,野中周子, 西川武二(慶大),角 勇二,久保俊英(国立岩国), effect of sphingosylphosphorylcholine Leena Pulkkinen, the synthesis of extracellular human fibroblasts Ki-Beom JouniUitto (Jefferson医大,USA) Herlitz致死型表皮水痘症は,ラミニン5のa3,β3, 72鎖をそれぞれコードするLAMA 3,LAMB 3, dermal (SPC) matrix Suhr 坪井良 治,小川秀興(順天火) LAMC2遺伝子のいずれかの変異により発症する.日 スフィンゴ脂質の1つ, 本人患者1例において遺伝子検索を行ったところ,変 おいて創傷治癒促進効果が報告された.しかし,その LAMC2遺伝子に新しい2つの変異(Q SPCは,最近動物モデルに 作用機序は明らかでない.そこでSPCがフィブロネク 異が高頻度に認められるLAMB3遺伝子に異常は認 められず, on proteins in 186 チンの発現を促進するか,ヒト線維芽細胞を用いて検 X/R 349 X)が同定され,患者はヘテロ接合体であるこ 討した.その結果,SPCは0.1∼IOliMの濃度でmRNA とが判明した. と蛋白レベルで発現を増加させた.また, ニューキノロン系抗菌剤の光毒性反応にかかわる一 ゲンのmRNA発現も増加させた.これが既知の因子 type l コラー 重項酸素の発生効率と脂質酸化能 川田 暁,畑中敬 を介した作用であるのかについても検討した. 子,五味博子,松尾車朗(帝京大市原) ELISA法による掌踏膿庖症患者血清中のelafin測 ニューキノロン系抗菌剤による光毒性反応の発生に 定 田中信彦,藤岡 彰,多島新吾,石橋 明(防衛 光増感脂質酸化機構が関与することを我々はすでに報 医大),藤本典宏(自衛隊中央),広瀬茂久(東工大) 告した.今回はこの機序を解明するために,光増感脂 elafinは好中球由来elastase及びproteinase 質酸化に関わる一重項酸素の発生効率を,7種の薬剤 hibitorであり,乾癖表皮では多量に発現して好中球浸 につき水溶系で測定した.その結果lomefloxacin≫ 潤に伴う組織破壊を防御すると考えられている.今回, ciprofloχacin> fleroxacin > enoχacin > levofloχacin> 我々は掌路膿庖症においてもその病態にelafinが関与 ofloxacin >norfloxacinの順に一重項酸素の生成量が していると考え, 多く,スクワレン過酸化物の生成量とほぽ一致した. 種類の抗体を用いて血清中のelafinをELISA法で測 3 のin・ elafinの異なるドメインを認識する2 東京地方会第743回例会(研究地方会) 1503 定した.その結果,一部の患者で血清中のelafinが高値 よって培養LCのB を示した. 7-2発現は部分的に抑制された.培養LCにCD40L 尋常性乾癖における第6染色体のマイクロサテラ の存在が認められ,LCの成熟に関与する可能性が示 イトマーカーによる原因遺伝子の解析 小滓 明,菅 唆された. 井順一,笹尾ゆき,岩下賢一,飯塚万利子,川久保洋, IL-18, IL-12によるマウス表皮樹状T細胞のIFNy 大城戸宗男(東海大),岡 晃,成瀬妙子,安藤麻子, 産生 菅谷 誠,中村晃一郎,玉置邦彦(東大) 木村 穣,猪子英俊(同分子生命科学) マウス表皮樹状T細胞(DETC)を95%の純度で精 尋常性乾癖76例のDNAについて,第6染色体状の 製し, IL-18, IL-12の影響を検討した. HLA-C 調的にDETCのIFNy蛋白の産生及びmRNAの発現 locusから異なる距離を示す10種のマイクロ 7-1 発現はほぼ完全に抑制され,B IL-18, IL-12は協 サテライトマーカーを用いて,多型解析を行った.そ を完進し, の結果,尋常性乾癖では,健康人132例のそれと比べ 完進しなかった. て,テロメア側で有意に高い相関を示した. 刺激12時間後から有意に増加していた.またDETC IL-18,IL-12それぞれ単独ではIFNy産生は IFNy蛋白, mRNA共にサイトカイン lichen planus (LP)における表皮Langerhans細胞 の生存率は培養時間の増加と共に低下したが,Iし18, (LC)の免疫組織化学的・電顕的検討 須崎由季,小倉 IL-12共に加えると生存率の低下が抑えられた. 美代子,北見 周,末木博彦,飯島正文(昭和大) LP 10 例,対照としてdermal sudativum ヒトCD Langerhans細胞様細胞(XS typeのerythema ex- multiforme (EEM),正常皮膚について,抗 秀嗣,玉置邦彦(東大),細井純一(資生堂研究所), la抗体で螢光抗体間接法を施行.画像解析で 表皮1m 「あたりのCD Granstein RD la陽性樹枝状表皮細胞数, 細胞質突起の長さを計測,同時に電顕的に観察. では対照群に比しCD 52)におけるカテコラ ミン受容体の発現及びサイトカイン産生の制御 鳥居 (コーネル大) ラングルハンス細胞様細胞株であるxs LP la陽性樹枝状表皮細胞が増加 52 細胞に おけるカテコラミン受容体サブクラスの発現をRTPCR法にて解析し,カテコラミンによるIL-10,IL-1β し,細胞質突起が伸長.電顕的にLCの細胞質にはBir- 及びTNF-aの産生制御をELISAにて検討した.その beck穎粒が豊富で,活発な細胞内代謝が示唆され免疫 結果xs 病理学的所見を裏付ける結果と考えられた. が確認され,エピネフリン及びノルエピネフリンによ 52 細胞においてala及びp2受容体の発現 GVHD患者におけるアポトーシス関連遺伝子の検 りIL-10及びIL-1βの産生は促進されたが, 索 辻 淳子,石和万美子,村上麻里,長谷哲男,中 の産生は抑制された.そしてこれらサイトカインの産 嶋 弘(横市大),相原道子(横市大浦舟) 生制御はいずれもpブロッカーのみで有意に阻害さ GVHD 12例の皮疹部組織のTNF-a, 11/2, Fas, TNF receptor FasLの発現を分子生物学(RT-PCR法), 免疫組織化学にて検討した.GVHD皮疹部TNF TNF-a れた. グルココルチコイドによる培養表皮細胞化学刺激誘 re- 導性IL-1 a 産生尤進の機序解析 宮崎安洋,シェリフ ceptor 1/2,FaSのmRNAは健常人皮膚と比較して有 アワド,横閲博雄,西岡 清(東医歯大) 意に増強していたが, ハプテン刺激した培養表皮細胞において,グルココ TNF-a, FasLのmRNAは健常 人皮膚と同程度の発現であった.また, 化学的所見はこの結果と矛盾せず, Fasの免疫組織 TNF/TNF ルチコイド添加による, recep- torとFas/FasLを介する系が皮膚GVHDのapopto- Pam 212 細胞を 10 ̄1oMhydrocortisoneと0.1 mMTNBSにて刺激した sis誘導に重要な役割をはたしていると考えられた. 培養マウスLangerhans細胞(LC)におけるCD IL-1 a 産生と転写因子NF-kB とAP-1の動きについて検討した. ところ,ELISA法によりIL-laの産生増強を認め,ま 40 た,ゲルシフト法により, NF-kBとAP-1の活性化を認 ligand (CD 40L)の発現 中村晃一郎,菅谷誠,朝 めた.グルココルチコイドによる接触過敏性の増強に 比奈昭彦,玉置邦彦(東大) は, NF-kBとAP-1の活性化が関与することが示唆さ CD 40 L は39 Kda の糖蛋白で活性化T細胞,血管 れた. 内皮細胞,マクロファージ,ヒト樹状細胞に認められ 血管肉腫に対するTNP-470とetoposideの有効性 る. Balb/cマウス皮膚からLCを精製し(純度95%以 の検討 馬 剛,増沢幹男,羽金重喜,浜田祐子, 上)培養した.新鮮LCにCD40L発現は認めず,培養 原口芙紗子,勝岡憲生(北里大),桜井美典(同医療衛 LCのみCD 生) 40 L 発現を認めた.抗CD 40 L 抗体に 学 会 抄 録 1504 BALB/cマウス皮下形成血管肉腫ISOS-1に対する ヒト黒色腫培養細胞におけるアミノ酸トランスポー 血管新生抑製剤TNP-470と抗癌剤etoposideの単独 ターの発現 野口義久,原 弘之,森嶋隆文(日天), 及び併用療法の有効性の検討をした.TNP-470は30 浅井 聴,高橋泰夫,永田俊人(同薬理) mg/kg以上を週3回遠隔皮下投与で明らかな抑制効 フェオメラニンの系はシステインの関与が重要であ 果を認めた.また, る.近年,細胞へのアミノ酸の取込みを担当するアミ etoposideは5 mg/kg 以上を腹腔内 5回投与で抑制効果が見られた.さらにTNP-470 mg/kgとetoposide 5 mg/kg 30 との併用投与で相加的 効果による著明な腫瘍抑制効果を認めた.なお,明ら ノ酸トランスポーターがクローニングされてきた.今 回の研究はSK 23, G 361 のmelanoticとC 32, SK 24 のamelanoticのヒト黒色腫培養細胞におけるシステ かな副作用は観察されなかった. イン,シスチン,グルタミン酸のトランスポーターの 血管肉腫IL-2/LAK免疫療法―HEW-3XOKT-3 発現をRT-PCR法を用いて検討した.その結果,いず bispecific抗体併用効果の検討一 増渫幹男,浜田祐 れの黒色腫培養細胞においても前述のトランスポー 子,原 尚道,藤村響男,勝岡憲生(北里大),玉内秀 ターの発現が見られた. 一(同微生物),桜井美典(同医療衛生),塚本秀雄, IFNβのメラノーマ細胞株増殖抑制作用に対するス 垣生園子(束海人免疫) テロイドの増強効果の検討 岡滓ひろみ,長谷哲男, 脈管肉腫特異的抗体HEW-3 体(BSAb)はin X OKT-3 bispecific抗 vitrtoでヒト血管肉腫細胞(ISO-HAS) 中嶋 弘(横市大) IFNβのメラノーマ細胞株増殖抑制作用に対するス のLAK障害性を2μg/ml以下で濃度依存的に増強し テロイドの効果を検討した.そのため,p た.さらにヒト血管肉腫マウスモデル(WB-SCID)皮 IRF-1, ICE, 下形成腫瘍に対して6×107LAK+20μg BSAb 4回のみの局注投与で顕著に腫瘍を抑制した. 2lWafl p 53, Ik-B等の発現をRT-PCR法で検討した. 併用の ステロイド添加によりIFNβのメラノーマ細胞株増殖 in vitro 抑制作用の増強が認められた. IFNβ添加1時間後に の腫瘍抑制反応中にTNFaが検出され,同抗体によっ はp 21, IRF-1, ICEの発現増強が認められた.また,ス て著明に抑制された.従ってBSAb併用による主な抗 テロイド添加1時間後にIK-Bの発現が認められた. 腫瘍増強因子はTNFaであった. 東京地方会第744回例会(四地区分会)(平成11年1月16日) ● 城 東(順天火浦安) 線維性被膜に包まれた,類円形の淡明な核をもつ組織 大腿に生じたcystic eccrine spiradenoma の1例 球様細胞とクロマチンに富んだ核を有する紡錘形の線 帆足俊彦,大河内仁志,玉置邦彦(東大) 維芽細胞様細胞から成る分葉状腫瘍で,巨細胞も散見 54歳女.初診の約15年前に左大腿伸側に皮下結節 された. 出現.緩徐に増大していたが,初診の約2ヵ月前より nerve sheath rayxoma の1例 中村和哉,小方冬 急速に増大.初診時,10×7×6cmの半球状暗紫紅色腫 樹,時光玲子,岡部省吾(同愛),手島伸一(同病理) 瘤.組織:嚢腫構造内に充実性腫瘍塊が認められた. 42歳男.約8年前より右栂指球部に小丘疹が出現. 腫瘍塊は明調な細胞と暗調な細胞で構成され, eccrine 漸次増大したため当科受診.現症:径8×4mm大,弾 dudへの分化がみられた. 性軟で表面平滑,一部透明感を有する淡紅色の小結節 giantcelltumor of tendon sheath の1例 桃 山 悦子,湧川基史,足立 真,鳥居秀嗣,川端康浩,朝 を認める.組織:真皮上層以下に線維性結合織に囲ま 比奈昭彦,相馬良直(東大分院) つ腫瘍巣より構成されていた.同質はalcian blue染色 49歳男.初診平10年9月28日.約8年前より増大. 陽性でヒアルロニダーゼにて消化された.腫瘍細胞は 左中指中節屈側に18×15×6mmの表面常色平滑で, S-100蛋白陽性であった. なだらかに隆起した弾性硬の皮下結節を認めた.下床 多発吐成人型黄色肉芽腫の1例 住吉孝二,松葉よ との可動性は不良。CT上,骨との境界明瞭.局麻下に う子,瀧本玲子,村山功子,山崎正視,高森建二(順 腫瘍摘出術施行.腱鞘との癒着は認めなかった.組織: 天大浦安),野田佳子G甫安市) れた星芒状及び紡錘形細胞と,粘液様物質を間質に持 1505 東京地方会第744回例会(四地区分会) 14歳男.半年前より腰部に大豆大の赤褐色丘疹が出 居秀嗣,菊池かな子,玉置邦彦(東大) 現し,躯幹・四肢にも多発した.血算・血清脂質値は 73歳男.他院にて,PUVA,ステロイド外用等治療 正常.粘膜病変,尿崩症は認めず.組織:真皮上層に を行ったが改善せず当科受診.現症:略全身に落屑性 多数のリンパ球浸潤とともに少数の泡沫細胞,組織球, 紅斑,鳩卵大までの結節が多発.右前腕に鷲卵大,右 Touton型巨細胞が混在.免疫組織化学的にlysozyme, 下腿に手掌大の潰瘍.両統下・鼠径リンパ節腫大.検 (x1 AT, 査所見:ポートリエ微小潰瘍(十),腫瘍細胞はCD CD 68が陽性.電顕にてBirbeck穎粒を認め ず.以上より多発性成人型黄色肉芽腫と診断した.6 8 (+).鼠径リンパ節への異型リンパ球細胞浸潤(−). ヵ月間経過観察するも丘疹は消退していない. 他の内臓病変はなし。stage 15年の経過で肺に浸潤を認めた形質細胞増多症 あり化学療法が行えず,潰瘍部各20 IIB。 sIL-2 R 7637.心疾患が 本橋尚子,湊原一哉,音山和宣,佐藤貴浩,機関博雄, 電子線照射したところ著明に改善. 西岡 清(束医歯大) イソジン液でパッチテスト陽性でイソジンシュガー 35歳男.15年前体幹の類円形でわずかに隆起する紅 は陰性であった獅療の1例 野口雅博,川田 暁,松 褐色皮疹に気付く.検査所見,病理組織所見より皮膚 尾車朗(帝京大市原) 形質細胞増多症と診断.以後PUVA療法,ステロイド 67歳男.髄膜脳炎,横断性脊髄障害で当科神経内科 局注療法を行っていた.1年前より胸部X線にて異常 に入院.全身状態は回復したものの,仙骨部に冊療を Gy, 全身20 陰影を認め全身の精査を行ったところ胸腹部CTにて 生じ,徐々に悪化し当科を受診.径10×15 肺門部リンパ節の腫脹,肺間質の浸潤影,肺腫を認め, 色の痴皮を付着していた.痴皮を除去後,毎日少しず TBLBにて肺に浸潤を認めた.Gaシンチ,全身骨X つ黄色の壊死組織を除去しながらイソジン消毒,1分 線では異常は認められなかった. cm 大で黒 後生理食塩水で洗浄しイソジンシュガー外用処置を継 leukoplakiaを合併したverrucous carcinoma の 続し軽快してきた.パッチテストでイソジンシュガー 1例 河村 靖,阿部澄乃,池谷田鶴子(越谷市立), は陰性を示したが,イソジン溶液で陽性.その意味に 小川秀興(順天大) ついて考察する. 86歳女.平7年頃より外陰部に癈棒感を伴う皮疹が スミフェロンoによる薬疹 宮崎安洋,音山和宣,横 出現.平10年7月29日初診時,外陰部に20×15 mm 関博雄,西岡 清(東医歯大) 大,角化傾向のある疵贅状の隆起性腫瘍と白色角化性 57歳女.平8年脳出血発症し,平10年4月よりエク 局面を認めた.それぞれ生検を行ったところ,腫瘍は セグラン内服開始.平10年7月C型肝炎の治療とし verrucous て,スミフェロン町吏用開始.同年9月より,口唇腫脹, carcinoma,白色角化性局面はleukoplakia の組織像を示した.また,抗HPV抗体による免疫染色 眼球結膜充血と背部に紅斑出現.口唇の色素沈着,紅 では双方とも陰性であった. 斑全身拡大とともに口腔粘膜に塵爛面出現.全薬剤使 leukoplakiaよりverru- cous carcinoma が発生した比較的稀な症例と考えら 用中止にて粘膜疹,紅斑消退.スミフェロン(1)誘発試験 れた. にて粘膜疹,紅斑出現.エクセグラン(g)の誘発試験にて 左肘嵩に生じたメルケル細胞癌の1例 草野衣史 も,紅斑出現. 子,河井正晶,三浦優子,比留間政太郎,矢口 均, トレピブトンによる薬疹の1例 溝口雅子,旗持 小川秀興(順天大) 淳,新海 法(千葉大) 62歳男.6週間前に左肘宵外側の皮下結節に気付き 急速に増大.現症は15 mm 大の弾性硬,境界明瞭,中 41歳女.腹痛と軽度の発熱のため,胆嚢炎を疑い4 日前よりトレピブトン,ウルソデスオキシコール酸, 央に発赤を伴う皮下結節.石灰化上皮腫を疑い全摘. レボフロキサシンを,3日前よりジクロフェナクナト 組織:腫瘍細胞は真皮上層より皮下組織にかけて,結 リウムを内服.2日前より下肢から始まり,体幹,上肢 節状,索状に増殖し,個々の細胞はリンパ球様の円形 に拡大する点状の紅斑性丘疹および紫斑性丘疹が多数 細胞で分裂像をみる. 出現した.CRPの上昇と白血球・血小板数減少が見ら NSE, EM A, chromograninなど Gy 陽性,LCA陰性.手術創より3cm離して拡大切除術施 れた.組織:真皮上層の血管周囲にリンパ球浸潤と出 行.四肢発生例は比較的稀で,診断に注意が必要. 血.内服テストでトレピブトン陽性であった. 電子線照射が奏効した菌状息肉症の1例 飯嶋智 妊娠を契機に陰部潰瘍が出現したベーチェット病の 広,矢野正一郎,菅谷 誠,服部尚子,浦 博伸‥ 1例 隅田めぐみ,小林孝志,旗持 淳,新海 法(千 学 会 抄 録 1506 葉太),戸滞 澄(千葉市) もに認められない. 34歳女.韓国出身.数年前より口腔内アフタ及び両 被髪頭部の難治性紅斑を示した落葉状天抱療 小尾 下腿に結節性紅斑が出現,軽快増悪を繰り返すもその 真理子,宮崎安洋,湊原一哉,音山和宣,横関博雄, まま放置.妊娠初期よりさらに陰部潰瘍が出現.妊娠 西岡 清(京医歯大) 5ヵ月の初診時,右小陰唇に栂指頭大,辺縁隆起性,境 65歳女.平5年下口唇に米粒大の水庖,廉爛,その 界明瞭な有痛性潰瘍を認めた.座瘍様皮疹(十).眼症 後体幹,四肢に米粒大紅斑出現.平10年5月頭部に痴 状ト).血沈充進,末梢血中好中球優位の白血球増加, 皮を伴う紅斑出現.被髪頭部紅斑の皮膚生検組織像で 血清CH 表皮上層細胞間の裂隙,錬融解細胞を認めた.螢光抗 50 値の増加を認めた.不全型ベーチェット病 と診断,分娩後3ヵ月の現在,陰部潰瘍は消退しさら に経過観察中. 体直接法にて表皮細胞間にIgG, Cs沈着,間接法では lgGクラスの抗表皮細胞問抗体160倍陽性.ステロイ 双胎妊婦に生じたpruritic urticarialpapules and ド内服療法においても抵抗性を示した. plaques of pregnancy の2例 落合泰明,椿原裕美, keratosis punctata palmaris et plantarisの1例 田辺恵美子(東邦大佐倉),三宅 潔,難波安哉美(同 伊藤治夫,石崎純子,繁益弘志,原田敬之(京女医大 産婦人科) 第2) 症例L32歳経産婦.前回妊娠時特に皮疹認めていな 32歳男.約3年前より,両側手掌に角化性皮疹が出 い.産直後より腹部中心に紅斑出現.一部小水庖,漿 現,ほぽ同時期に手指の爪の変形に気付く.現症:両 液性丘疹認め,妊娠性庖疹との鑑別を要したが,螢光 側手掌,指腹および右足底に径2mm前後の淡黄色調 抗体法にて陰性.約1ヵ月にて色素沈着を残し軽央し の角化性丘疹が散在し,角質塊が脱落した後のクレー た.症例2,33歳初産婦.妊娠32週頃より腹部の妊娠 ター状の陥凹病変が混在している.両手指に匙状爪を 線を中心に紅斑出現.皮疹は典型的であり,出産後, 認める.組織:著明な角質層の肥厚,一部で不全角化 約2週で皮疹は軽快した.症例1は1卵性,症例2は を認める.病変部では表皮が受け皿状に陥凹している. 2卵性だが,いずれも双胎妊娠であった. 電顕的観察を試みた. superficialgranulomatous pyoderma の3例 白 成人発症の線状苔癖 河野美乃里,五十嵐司,青氷 井 明,鈴木さやか,谷田由香,小宮根真弓,川端康 見佳子,川名誠司(日医大) 浩,朝比奈昭彦,菊池かな子,玉置邦彦(東大) 53歳女.3ヵ月前より紅色丘疹が左半身に出現.丘 症例1,45歳女.受傷を機に右下腿に潰瘍初発し,7 疹は紅色扁平で,胸部左側では線状に,左大腿から下 年間にわたり両下腿に浅い潰瘍の新生と痴皮化を反 腿にかけては孤立性または集族して帯状に配列.自覚 復.症例2,62歳女.左足関節部の手術創と両下腿の浅 症状なし.組織:表皮内細胞浸入,基底層の液状変性 い潰瘍が,5年同緩解増悪を繰り返す.潰瘍切除一分層 を認め,真皮上層から下層にかけての血管付属器周囲 植皮術を施行.症例3, 66歳女.2年前左足背に出現し に小円形細胞浸潤を伴う.皮疹は自然治癒傾向にあり, た浸潤性紅斑が潰瘍化.いずれの症例も細菌,真菌, 消退後は色素沈着を残していない. 抗酸菌培養陰性.組織像で互いに交通する痩孔形成, ケブネル現象が著明であった扁平苔癖の1例 菅 腫瘍を中心とする肉芽増生を認めた.ミノサイクリン 野美紀,旗持 淳,新海 法(千葉大) 内服が有効であった. 48歳女.4ヵ月前より,主に掻破部位に一致して, Hansen病の再発例 寺井典子,並里まさ子(多磨全 体幹,四肢に米粒大から小豆大までの,鱗屑を伴い, 生園),小川秀興(順天大) 線状に配列する紅斑が出現した.扁平苔癖を疑い生検, 79歳男.30歳時発症のLL型ハンセン病.主として 組織:角質肥厚,不規則な表皮肥厚,真皮上層の帯状 スルフォン剤を投与されたが62歳まで菌陽性が続い リンパ球浸潤.ステロイド軟膏外用,降圧剤の変更後, た.その後菌陰性化し寛解状態となった.平10年1月 症状は軽快した. 左3,4指のしびれ感と著明な冷感に気付く.同2月体 小児膿庖性乾癖の1例 岩崎容子,新見やよい,川 幹に皮疹出現し,3月演者ら初診となり再発を確認し 名誠司(日医大),中山重男(荒川区) た.皮疹部では菌指数(BI) 6歳男児.2ヵ月前,顔面に膿庖,廉爛,痴皮を伴う 4,菌形態指数(MI)10 %であった.早期の発見と多剤併用療法により経過は 紅斑が出現,全身に拡大した.抗生剤にて加療されて 良好で半年後皮疹は消槌した.現在皮疹・神経症状と いたが,皮疹は軽快せず,発熱が認められたため.当 東京地方会第744回例会(四地区分会) 科を受診した.病理組織学的には乾癖型反応と表皮内 1507 塩基性の変性物質塊が認められた.なお,エラスチカ にKogojの海綿状膿庖が認められ,臨床所見とあわせ ・ワンギーソン染色では弾力線維の経表皮的排出像は て膿庖性乾癖と診断した.シクロスポリン100 mg (5 明らかでなかった.現在ステロイド剤外用にて経過観 mg/kg)の内服開始したところ,解熱し皮疹も著明に 察中. 改善した. ● 城 西(杏林大) 著明な肝障害を来した皮膚筋炎 石黒久子,津田毅 頭部に生じた表在性脂肪腫性母斑の1例 戸田 彦,梅林芳弘(日立総合),藤田恒夫(同神経内科), 淳,石塚敦子,羽金重喜(北里研メディ) 平井信二,岡 裕爾(同消化器内科) 1歳8ヵ月男児.出生時より右側頭部の腫瘍を認め 19歳男.眼瞼,関節伸側の紅斑,発熱,筋力低下, ていた.成長に伴い,わずかに増大傾向があった.初 筋痛にて受診.組織:基底層の液状変性と真皮のムチ 診時,右側頭部に10×16 ン沈着あり.筋電図で筋原性変化を,筋生検にて血管 色ドーム状に隆起する腫瘍を認めた.平10年10月21 周囲の細胞浸潤と筋束周囲に強い筋萎縮を認め,皮膚 日に腫瘍切除縫縮術を行った.組織学的には真皮内に 筋炎と診断した.プレドニソロン50 成熟した脂肪細胞の増生を認めたため表在性脂肪腫性 た.経過中, GOT 894 U/1,1GTP mg/日を投与し 1.016 U/l, 936 u/z, ALP GPT 1,333 U// , LDH 822 U// と著明に上昇. mm, 軟性,表面平滑,淡黄 母斑と診断した. 陰嚢に線状配列を示したmedian raphe cyst の1 肝生検の結果は急性肝障害の像であった. 例 山上 淳,布袋祐子,谷川瑛子,天谷雅行,西川 汎発性強皮症に合併したステロイド治療抵抗性多発 武二(慶大) 性筋炎の1例 鹿田純一郎,尹 浩信,菊池かな子, 10歳男児.生下時より陰嚢に線状に配列する結節を 玉置邦彦(東大),紫芝敬子(日赤) 認めていた.自然消退を認めないため当科を受診.初 52歳女.4ヵ月前より四肢・躯幹の皮膚硬化,半月 診時,陰嚢から会陰にかけて正中線上に小指頭大まで 前より四肢の筋力低下が出現.皮膚生検にて汎発性強 の表面平滑,常色の軟らかい嚢腫様結節が数珠状に配 皮症と診断.CKの著明高値に加え,筋電図にてmyo- 列していた.組織:真皮内嚢胞の壁は重層扁平上皮お genie pattern よび一部立方上皮で構成されていた.以上よりmedian を認め多発性筋炎と診断.ステロイド内 服,パルス療法にて筋炎軽快せず,アザチオプリン内 raphe cyst と診断した.線状に配列する陰嚢のmedian 服およびyグロブリン大量静注療法を施行.6週後, raphe cyst は比較的稀と思われ,ここに報告する. CKは正常に復し,筋炎症状は軽快した. clear cell acanthoma livedoid 拓,大西誉光,渡辺晋一(帝京大) vasculitis の1例 木村陽一,新見やよい, の1例 相原 浩,鈴木 青木恵里,川名誠司(日医大),神谷俊次(荒川区) 60歳男.10年程前に右側胸部に自覚症状のない皮疹 31歳女.高校生頃より,四肢にリペド,23歳頃より, が出現し,徐々に増大した.現症は5×4mmの扁平隆 左下腿に疼痛を伴う潰瘍が出現し,徐々に両側下腿へ 起性,弾性硬の紅色小結節.組織:表皮索の延長を伴 拡大.約4ヵ月前より症状が増悪したため受診.組織: う表皮肥厚がみられ,同部には不全角化と穎粒層の消 真皮乳頭層から皮下脂肪織の細小血管の内腔にフィブ 失がみられた.表皮肥厚部は胞体の明るいclear リン及びフィブリノイドを含む血栓,周囲に軽度のリ ンパ球浸潤を認めた.壊死性血管炎の像はなく, cell で構成され,周囲との境界は明瞭で,同部にはdiastase live- 消化性PAS陽性物質がみられた.さらに本症のケラチ doid vasculitis と診断.IgM抗cardiolipin抗体陽性.抗 ン発現を免疫組織化学的に検討した. トロンビン剤等投与し,症状は軽快. lichen planus-like keratosis の局面上に生じたtr- acquired reactive perforating coUagenosis の1 ichilemmal horn 三浦義則,藤岡 彰,高須 博,石 例 福永典子,北田昭仁,五十嵐努,田嶋 徹,峰咲 橋 明(防衛医大),瀬在由美子(福生市) 幸哲,横井 清(慈恵医大青戸),新村偉人(慈恵医大) 79歳女.平3年に左頬に皮疹が出現し, 35歳男.平9年4月より糖尿病による慢性腎不全で planus-likekeratosis と診断された.2ヵ月前からその 血液透析を開始した.同年8月より躯幹・四肢に癈楳 局面上に角化がみられるようになり,初診時に紅褐色 を伴う角化性紅色丘疹が多発し,背部及び前腕では集 の局面の中央部に3×3×9mmの皮角が認められた. 族してみられた.組織:真皮浅層より変性した膠原線 組織:皮角に一致して外毛根鞘性角化を呈し,その周 維東が経表皮的に排出され,その上部には錯角化と好 囲に液状変性と真皮上層の帯状リンパ球浸潤を認め lichen 学 会 抄 録 1508 た.また,細胞浸潤は皮角部により強くみられた.免 医大) 疫染色にて,皮角部は外毛根鞘峡部と同様の染色態度 症例1,92歳女.左頬部に20×20mm大の廉爛を有 を示した. する鮮紅色疵状腫瘤あり.左内眼角部にも小豆大の淡 plantar fibromatosis の1例 渋谷博文,中村 紅色小結節あり.症例2,90歳女.左前額部に20×19 稔,加藤雪彦,大井綱郎,古賀道之(東医大) mm大の表面慶爛を伴う腫瘤あり.その他鼻正中部,右 61歳男.20前に左足底の脱服を切除.3年前より同 頬部,頭頂部にも角化性褐色局面あり.症例3,86歳女. 部分に圧痛のある皮疹が出現.その後両足底に同様の 左コメカミ部に8×7mm大の現状丘疹あり.右コメカ 皮疹が多発した.皮疹は栂指頭天から鶏卵大の常色結 ミ部,頭頂部に角化性褐色局面も認められた.3例とも 節.組織:真皮から腱膜に連続する境界明瞭な線組芽 病理学的にAK-SCCと診断. 細胞と線維成分より成る腫瘍塊.足趾に拘縮はなく手 討した. 指に皮疹はない.糖尿病を合併. 切除後3年以上小転移巣を続発する結節型悪性黒 爪下外骨腫の1例及び当科11年間における7症例 色腫 福士雅子,中村 稔,山城将臣,本多芳英,大 のまとめ 古市幹子,渡辺 元,北村啓次郎(埼玉医 井綱郎,古賀道之(東医大) 大医療) 52歳男.左大腿後面に35×18×4mmの黒色結節を 17歳女.近医にて右第1趾陥入爪治療後,爪下に骨 認めた.原発巣の広範切除術,リンパ節郭清術施行. 様硬の結節が出現し次第に増大したため,平10年9月 組織:melanoma P-53蛋白染色も同時に検 cellが真皮全層に認められ,同側の 4日当科紹介受診となる.臨床診断は爪下外骨腫.X- 鼠径リンパ節,膝高リンパ節にも転移を認めた.術後 Pに趾末節骨端に骨陰影像を認めた.腰麻下にて結節 化学療法施行.3年以上経過するも患肢と移植皮膚に の摘出術を施行し,病理組織は典型であった.合わせ のみ,小転移巣を続発している. て過去11年間の当科で経験した自験例を含む7症例 頭部に生じた悪性線維性組織球腫の1例 柴田豊 をまとめ,その年齢,性別,発症部位,組織型,外傷 治,間中 泉,五十嵐泰子,神田憲子,石黒直子,川 の既往,術後経過,再発の有無などに関して検討した. 島 佻(京女医大) 爪甲黒色色素線条を呈した爪下扁平上皮癌 小菅治 31歳女.現病歴:平10年9月に後頭部の出血によ 彦,原田玲子(東電) り腫瘤に気付く.既往歴:SLE,脂漏性皮膚炎.現症: 66歳男.初診平10年8月24日.約9ヵ月前より右 後頭部に表面に塵爛を伴う淡紅色広基性腫瘤を認め 中指爪甲が辺縁より肥厚,粗造化して変形し同部に爪 る.組織:真皮全層にわたり,異型性の強い線維芽細 甲黒色色素線条が出現,拡大してきた.初診時,幅約 胞様細胞と組織球様細胞が混在し,一部に多核巨細胞 5mmの爪甲の変形と黒色色素線条を認めた.悪性黒 を認めた.線維芽細胞様細胞は部分的には不規則に配 色腫などを疑い組織生検を目的に局麻下に全摘.組 列するものの,大部分は花むしろ状を呈しており,悪 織:一部真皮内への浸潤を認める扁平上皮癌で爪母に 性線維性組織球腫のstoriform-pleomorphic メラノサイトの増殖を認めた.全麻下にて拡大切除, 断した. 植皮術を施行した. 転移性皮膚癌の2例 高橋香里,飯泉陽子(国立埼 右足の2ヵ所にほぼ同時に有較細胞癌を生じた1 玉),北村啓次郎(埼玉医大医療) 例 松田幸枝,内田 玲,下妻道郎(佼成) 症例1,79歳男.平8年9月左第5趾の肉芽腫様病変 83歳女.約1年前より右足外側に皮疹が出現し,次 にて初診.悪臭(+),SCCを疑い生検したところ腎細 第に大きくなってきたため,平9年9月28日,当科を 胞癌の皮膚転移と診断.平6年9月腎細胞癌の手術の 初診.初診時,20×15×3mmの一部に廉爛を伴う紅色 既往あり.症例2,78歳女.平9年3月右大腿部の紅色 調の隆起性病変を認めた.さらに,やはり1年前より 腫瘤を主訴に初診.平8年1月横行結腸癌の手術の既 右足外課の下方に直径15 の鱗屑を伴う紅斑がみ 往あり.組織学的に大腸癌の皮膚転移と診断.2例とも られた.病理組織学的には,いずれの病変もSCCで 診断後,数カ月で死亡した.一般的に転移性皮膚癌は あった.治療は,周囲を前者は10 mm, 予後不良であり,当科で経験した7例中6例も死亡に mm 後者は5 mm type と診 離して切除し,分層植皮術を施行した. 至っている. 最近経験したAK-SCCの3例 森部 仁,渋谷和 原発吐皮膚形質細胞腫の1例 清水美奈,池田美智 治,田口理史,清原祥夫,鈴木 正,土田哲也(埼玉 子,南光弘子(厚生年金),井上 泰(同病理) 東京地方会第744回例会(四地区分会) 1509 58歳女.3ヵ月前より右上眼瞼内側に1.5 mm大の パ球の85%はCD 常色小結節が出現.病理像は真皮に形質細胞様細胞の ダ.一方,末梢血のCD 8゛細胞で,その内の95%はIFN8゛細胞中のIFNイ細胞は35 集塊像を認めた.核分裂像あり.免疫組織染色ではCD %.以上より固定薬疹の病変部の表皮内T細胞はTc 45陽性, IgG少数陽性, IgA, 1細胞と考えられた. M, K,λはすべて陰性 であった.血液所見は免疫グロブリン及び免疫電気泳 ブラダロンoによる紅皮症型薬疹の1例 榎本韻 動を含め異常なく,尿中Bence-Jones蛋白陰性,全身骨 世,高須 博,多島新吾,石橋 明(防衛医大) X線像にも異常を認めなかった.以上より多発性骨髄 83歳男.初診の1ヵ月前から紅斑出現.紅皮症化し, 腫を伴わない皮膚原発の形質細胞腫と考えられ,極め 熱発を認めたため来院.初診時好酸球53%. て稀な症例と思われた. から前立腺肥大にてブラダロンoを内服中.組織所見で 特異疹の自然退縮が認められた皮膚型ATL一免疫 は真皮全層にリンパ球,形質細胞が浸潤し,その一部 組織化学的検討を加えて一 竹内麻紀子,落合豊子, に好酸球を混じていた.ブラダロンoのパッチテストで 6ヵ月前 布施寧子,原 弘之,森嶋隆文(日天) は72時間陽性.内服チャレンジテスト陽性. 51歳男.3年前,大腿の紅斑よりCTCLと診断され 頭部人口植毛膿皮症の1例 小林真己,高須 博, るも治療を拒否した.その後全身皮膚に腫瘤の新生と 藤岡 彰,多島新吾,石橋 明(防衛医大) 退縮を繰り返し,最近になり退縮傾向を認めなくなっ 66歳男.平10年4月より頭部に慶爛を生じ,近医に たため当科を受診した.抗HTLV-1陽性.皮膚腫瘤の て抗生剤の内服と外用にて加療を受け一時軽快.しか HTLV-1 proviralDNA し,再び悪化したため,同年9月当科を紹介受診.頭 単クローン性組み込み陽性で 血液,画像診断所見を併せ皮膚型ATLと診断し化学 頂から前頭部に膿庖・痴皮・塵爛を認め,培養にて 療法を施行した.自験例の腫瘤と自然退縮した癩痕様 MRSAが検出.患者は,20年前より人工植毛を繰り返 黄色病変についてそれぞれ病理,免疫組織化学的に検 し行っていたことより上記と診断.治療として,頭部 討した. を清潔にし,クリンダマイシン含有ローションの外用 吉草酸ベタメタソンによる接触皮膚炎の1例 田 にて軽快した. 島麻衣子,村田隆幸,鈴木洋介,谷川瑛子,天谷雅行, 討 論 田中 勝(慶大) 中山秀夫(品川区):最近本症は意外に多くみられ 62歳男.下腿潰瘍に対する外用療法中,潰瘍周囲に る.初期ならば抗生物質内服とchlorhexidine外用で 紅斑が出現.近医にて加療されるも軽快しないため当 おさまるので,本日報告されたcaseのように悪化しな 科を受診.接触皮膚炎の診断にてリンデロンVG軟 いですむ.人工植毛は本人の毛とそっくりなので男性 膏1),亜鉛華軟膏重層法を行うも皮疹が増悪.プレドニ の頭部毛嚢炎をみたら,人工植毛をしたかきくことが ソロン30 mg 内服にて加療し,約1週間で略治.貼布 必要である. 試験にてリンデロンVG軟膏R亜鉛華軟膏,他数種の エタノールにより虫体を除去しえたマダニ刺咬症 外用剤に陽性反応を認めた.成分別貼布試験にて主剤 番場圭介,藤岡 彰,高須 博,石橋 明(防衛医大), 吉草酸ベタメタゾンに対する陽性反応を確認. 瀬在由美子(福生市) 討 論 1歳6ヵ月男児.初診の7日前,草津温泉と軽井沢を 川島 酸(京女医大):交叉反応では説明しがたいの 旅行した.帰宅後頭部の米粒大の付着物に母親が気付 では?クレタマイシンの貼布濃度は低すぎるため否定 き,平10年6月16日当科受診.初診時灰白色の6×4 はできない. ×1mmのマダニが左側頭部に咬着していた.全身症 エテンザミドによる固定薬疹の1例一表皮内T細 状(−).患児が暴れるため,消毒用酒精綿で15分圧 胞のサイトカイン解析を加えて一 大竹由里子,勝田 抵したところ,虫体をピンセットで容易に除去できた. 倫江,藤田明子,寺本祐一,塩原哲夫(杏林大) 虫体はシュルツマダニと同定された.ライム病予防の 23歳女.1年前より鎮痛剤を内服する度に同二-部位 ためamoxicillinを4週間投与. に皮疹出現.エテンザミドの内服テストにより誘発. 討 論 病変部(色素沈着)の表皮と末梢血からリンパ球を分 南光弘子(厚生年金):口器のノコギリ状の部分が組 離し,PMAとionomycinで刺激し,細胞内サイトカイ 織に残存している可能性はないか.その部分の破損が ンの発現をフローサイトメトリーで解析.表皮内リン 採取した虫に観察されたか? 学 会 抄 録 1510 番場圭介:除去後虫体の目下片は光学顕微鏡上では 芦刈栄一:ご指摘の通り,乾癖性関節炎でも同様の 特に欠損・変形を認めなかった. 皮疹を認めるがHLAB27も陰性で,尿道炎も白血球 北郷 修(中央区):前額のマダニ刺咬症に液体窒素 数が1視野に10 をスプレー法でかけたところ,翌日までに傷をのこさ 性.抗クラミジア抗体はlgG(+),lgA(−)であり ず虫体が脱落した.別の症例で,陰嚢のマダニ刺咬症 尿道炎の所見はあくまでも疑いであると思われ,乾癖 の患者は熱めの風呂に入ったところ,虫体が脱落し, 性関節炎とReiter症候群との鑑別は難しいと思われ この症例も傷がのこらなかった. る.今回関節炎にてReiter症候群に特徴的な腫部痛 dystrophic epidermolysis bullosa の1例 瀬 川 や,明らかに関節部とは異なる大腿部の付着部炎を認 聡子,市川雅子,川島 員(東女医大),清水 宏(慶 め,乾音吐関節炎には遠位指趾骨関節部が認められや 大) すく,今回認めなかったことより, 1歳中国人女児.生後10日目より四肢関節伸側に水 診断を考えた. 庖が繰り返し出現するようになった.初診時現症:両 約1年の経過で略治した毛孔性紅色枇糠疹 高 側指趾背,右膝蓋,右膝内側に紅斑,水庖,慶爛,痴 理佳,稲田めぐみ,佐藤友隆,大畑恵之,谷川瑛子, 皮を認める.趾背には稗粒腫も認められた.成長,発 清水 宏(慶大) 達はほぼ正常.光顕的に表皮下水庖を形成.VII型col- 49歳男.主訴:略全身の皮疹.既往歴,家族歴:特 lagenの発現はほぽ正常に認められたが,電顕では 記すべきことなし.現病歴:3ヵ月前より背部に紅斑 lamina densa 直下に裂隙を認め,正常なanchoring fl- が出現し,ステロイド外用するも拡大したため,当科 brilの形成は殆どみられなかった.以上よりdys- 紹介受診.現症:略全身に汎発性の毛孔性角化性丘疹 trophicKB と診断した. と爪甲大の落屑性紅斑,掌趾に角化性紅斑局面を認め Hallopeau稽流性肢端皮膚炎の1例 柿沼 誉,玉 た.組織:角質増生,毛孔性角栓及び表皮肥厚.治療 木 毅(国立国際医療) と経過:タカルシトール外用,ビタミンA内服, 65歳男.初診平10年9月20日.初診の約1年半前 PUVA療法.約1年で略治した. より左示指に小膿庖が出現した.近医にて加療するも SLEに合併した抗リン脂質抗体症候群の1例 小 改善せず爪の脱落を生じたため当科受診となった.現 泉伸夫,小林幹子,大西誉光,渡辺晋一(帝京大) 症:左示指DIP関節より末端に落屑性紅斑を認め小 32歳男.約2年前より光線過敏症と両頬部に自覚症 膿庖が混在し,爪甲の脱落を認める.細菌培養は陰性. 状のない紅色丘疹が出現し,皮疹は徐々に増数拡大. 組織:表皮は梶棒状に増殖し,表皮内には好中球が密 半年前より手指にも同様の皮疹が出現.両頬部と手指 に浸潤し,いわゆる海綿状膿庖の像を呈する.治療: に境界明瞭な不整形の萎縮性紅斑と,右後頭部に紅斑 ビタミンD3軟膏,ステロイド剤の外用にて経過観察 と鱗屑を伴う胡桃大の脱毛斑を認めた.血小板は減少 中である. し,抗核抗体,抗CL抗体陽性.頬部の病理組織像は典 Reiter病の1例 芦刈栄一,児島壮一,野崎重之 型的なDLEの所見.以上よりSLEと抗リン脂質抗体 (公立昭和) 症候群合併例と診断したが,精査にて明確な血栓症状 − 157 認められるのみで,尿培養は陰 Reiter症候群との 31歳男.右股部と両肩に関節痛出現,結膜炎,連環 は認められず. 状亀頭炎,膿漏性角化症を認める. 難治性外傷性下腿潰瘍―Cushing症候群のデルマ CRP 2.5mg/dl, HLA-B 27 陰性,リウマチ因子陰性,クラミジア抗体上 ドロームー 荒川弘士,本多章乃,落合豊子,森嶋隆 昇,尿検査にてWBC 文(日大),山口健哉,斉藤忠則,岡田清己(同泌尿器 10―15/HPF. 病理所見は乾癖様 であった.以上よりReiter病と診断.非ステロイド系 科) 抗炎症剤を投与したが効果なく,シクロスポリンで効 49歳女.初診の3ヵ月前バイクで転倒し,左下腿に 果を認めるもめまい感出現,サラソスルファピリジン 皮下に達する潰瘍を形成.縫合するも生着不良で難治 に変更するも軽快せず,ステロイド剤にて軽快した. のため植皮を希望し受診.満月様顔貌から基礎疾患に 討 論 Cushing症候群の存在を疑った.血中cortisolは11.9 川島 筒(京女医大):HLAB-27陰性の場合,Reiter μg/dlで日内変動は消失.血中ACTH5pg/m1以下で 病の診断は臨床的に典型像が必要と考える.本例は関 尿中cortisolと17-OHCSは高値.腹部CTで右副腎腫 節症性乾癖と考えるべきであろう. 瘍を認め摘出術を施行.術後潰瘍は急速に治癒傾向を 東京地方会第744回例会(四地区分会) 1511 示した.自験例は内因性cortisol過剰により創傷治癒 eruptive syringoma が遅延したと考えられた. (東京警察) ● 城 南(東京逓信) 19歳女.10歳時,両眼囲の常色から淡黄色の多発す 一期的に再建を行った栂指爪甲色素線条の1例 る小丘疹に気付き,以降徐々に拡大した.現症:眼囲, 利根川守,守屋修二,矢滓徳仁,佐藤佐由里,河野志 前頚部,上肢に径2mmまでの自覚症状のない硬い丘 穂美,森 葉子,江藤隆史(東京逓信) 疹が多発散在.家族歴:母親の両眼囲に同様の皮疹あ 53歳男.現病歴:約30年前に2本の黒色線条が右 り.組織:眼囲,前腕部より生検.両者とも真皮内に 栂指に出現.その後,徐々に増幅・癒合したため,平 1∼2層の細胞よりなる楕円形,オタマジャクシ様の管 9年9月切除目的にて当科を受診した.初診時現症: 腔がみられ,周囲の結合織は増生していた.以上より 右栂指僥側の爪甲に6mm幅の黒褐色線条を認めた. eruptive syringoma 手術は色素線条部を一塊に摘出し,同側の足栂趾より 特異な臨床像を呈した巨大神経鞘腫の1例 秋元 爪母,爪床を一塊に移植した.組織像に悪性所見は認 留理,宮坂敬一,大橋則夫,竹内吉男,伊藤正俊(東 められなかった.術後1年経過し爪甲の多少の変形は 邦大第1) 認めるものの,再発はなく良好な結果を得ている. 44歳女.約25年前,左大腿部の米粒大小結節に気付 耳介周囲に生じた馬蹄形の巨大粉瘤の1例 阪本 いた.5年前から急速に増大した.家族歴:特記事項な 順子,神田弘貴,中井利容,秋山正基,飯島正文(昭 し.既往歴:弁膜症,縦隔腫瘍.現症:62×62×58 和大) mmの暗紫紅色で弾性やや軟の自覚症状のない釣鐘状 82歳男.初診平10年10月14日.約30年前より右 の腫瘤.中央部に易出血性の潰瘍を伴う.広汎切除及 耳前部に結節あり.徐々に増大したが放置.内容物の び皮弁形成術施行.組織学的に神経鞘腫と診断. 排出を認めたため当科初診.現症:右耳介を取り囲む 蛋白は涸漫性に陽性で悪性像はない.特異な臨床例を ように馬蹄形の結節が存在.耳前部を圧迫すると,耳 呈した1例と考えた. 後部の下垂した栂指頭大の結節先端より,練り歯磨き 多発性表在性基底細胞癌の1例 池田悦子,遠藤麻 様に粥状物の排出を認めた.治療:局麻下に結節内に 由,岩本育代,馬場俊一,鈴木啓之(日大駿河台) ピオクタニンを注入し全摘.一部は軟膏と癒着.組織: 81歳男.10年前に右側胸部の皮疹に気が付く.その 嚢腫壁は表皮細胞で構成.一部に異物肉芽腫を認めた. 後,皮疹は体幹,四肢に出現し,徐々に増加増大.初 両側乳輪部の発生したclear 診時,皮疹は8個認められ,全て切除.組織はいずれ cellacanthoma の1 の1例 伊津野緑,五十棲健 と診断した. 例 村山淳子,奥田 賢,中林康青(三井記念) も表在性基底細胞癌(SBCC)の典型.サイトケラチン 71歳男.初診平10年5月14日.2ヵ月前に右乳輪 (CK)染色で腫瘍細胞はCK 17 (十), CKlとCK8 上部に20×25 mmの軽度癈庫を伴う黒褐色局面に気 +18(−).同一患者でありながら, 付く.さらに1ヵ月後,左乳輪下部に15×25 mmの同 (+),CK7+8は1個で(十),と多様性を示した. 様の皮疹出現.惨出液を認めた.組織:肥厚した有棟 SBCCの腫瘍細胞の一部は皮膚の付属器と類似のCK CK 19 は2個で 層にやや大型の明るい細胞質を有する細胞の増殖を認 の発現を認めた. め,その細胞質はPAS陽性,ジアスターゼ消化性. 難治性潰瘍を主徴とし,診断に苦慮した第5趾爪床 EMA, S-100蛋白陰性.冷凍凝固法にて軽快中. 有韓細胞癌の2例 福地 修,泉 裕乃,石地尚興, 熱傷癈痕上に生じたtrichilemmal horn の1例な らびに電顕的観察 狩野美恵子,内ケ崎周子,馬場俊 上出良一,新村具人(慈恵医大),峰咲幸哲,横井 清 CEA, S-100 (慈恵医大青戸) 一,鈴木啓之(日天駿河台) 51歳男.2年前より左第5趾爪床に疼痛のある発赤, 53歳女.幼児期に左前腕に熱傷を負った.初診8 腫脹出現.疼痛のある潰瘍部位を16ヵ月間に計3回切 ヵ月前に左前腕の熱傷癒痕上に12×8mmの厚く角質 除.最終的に有縁細胞癌の診断で左第5趾切断術を施 を堆積した角化性結節が出現し,増大してきた.組織: 行.55歳男.1年前に右第5趾爪甲が隆起.爪甲白癖 角質肥厚とU字状表皮肥厚が見られる.穎粒層は点状 の診断で爪甲半分を切除.以後,残存爪甲は自然剥離 にケラトヒアリン穎粒が少数存在.角化パターンは外 し,圧痛を伴う潰瘍が出現.当科初診後,4ヵ月間各種 毛根鞘性角化.電顕では豊富な・トノフィラメントと類 治療を受けたが軽快せず.生検を行った結果,有棟細 円形の小型ケラトヒアリン穎粒が散在してみられる. 胞癌の診断で,右第5趾切断術を施行.鼠径リンパ節 1512 学 会 抄 録 転移陽性. 恵医大) 若年発症のセザリー症候群の1例 保坂浩臣,皆見 52歳男.旅行中に夫と性交渉があった.その4日後 春生,紫芝敬子(日赤医療) より外陰部に疼痛を有する水庖が出現し,高熱を伴っ 29歳男.幼少時からアトピー性皮膚炎(AD)あり. た.発疹出現の4日目頃から排尿障害と下腹部膨満感 平9年12月に激烈な癈庫が出現し,ADとして他院に がみられ,初診時に1,300 て治療されていたが軽快しないため平10年6月当科 の廉爛面よりHSV-2型が分離され,血清抗体価の推移 を受診.初診時現症:紅皮症を呈し,両肢高,鼠径リ より初感染と診断した.尿道カテーテルを留置してア ンパ節腫脹あり.組織:Pautrierの微小腫瘍を認め,真 シクロビルの点滴静注を5日間施行し,治療開始7日 皮上層の血管周囲に異型のリンパ球の浸潤あり.リン で完治した.髄液からPCR法でHSV-DNAは検出さ パ節はdermatopathic れなかった. lymphadenopathy. 末梢血にS ezary細胞(十).ステロイド内服,内服PUVA療法継 m1 の残尿を認めた.外陰部 BCG接種部位に生じた尋常性狼癒の1例 伊東秀 続中. 記,本田まりこ,新村政人(慈恵医大),石田 卓(大 アンピロキシカムによる固定薬疹の1例 早川祐 宮市) 子,小松崎員,佐藤優子,上出良一,新村偉人(慈恵 58歳女.11歳時,左上腕伸側にBCG接種.10年前 医大) より同部位が隆起増大した.初診時には9×4cm軽度 37歳女.平8年より生理時にアンピロキシカム(フ 扁平隆起する不整形,境界明瞭な紫紅色局面の周囲に ルカム勺を時々内服した.平10年1月よりアンピロ 小指頭大までの紫紅色の丘疹が散在していた.ツ反(10 キシカム内服の度に下口唇が腫脹し,水庖が出現する ×10/10×20mm).病理は真皮の乾酪壊死を伴わない ようになった.5月下旬の初診時には下口唇を中心に 類上皮性肉芽腫が認められ, 黒色痴皮が付着し,一部廉爛を認めた.無疹部のみに であった.培養4週にて結核菌を分離,全身検索で他 施行したアンピロキシカム及びチメロサール,チオサ に結核を疑う所見は認めなかった. リチル酸,塩化第二水銀の貼布試験と光貼布試験は全 マダニ劇症の1例 廣瀬嘉恵,斉藤隆三(東邦大第 て陰性であった.内服試験は陽性であった. 2),甘利雅雄(同電顕室) 潰瘍性大腸炎の増悪に伴って結節性紅斑と毛嚢炎皮 57歳男.8月中旬,北海道に旅行中,ヤマトマダニ 疹を生じた1例 中野敏明,山口京美,越後貫理香, に前胸部を刺咬され.2日後に当科受診.現症:前胸部 原田晴美,衛藤 光(聖路加),大東誠司(同外科), やや上方に虫体の付着を認める.周囲に発赤を呈し, 丸山正隆(同内科) 癈庫を伴う.圧痛・自発痛はない.虫体を含めて咬着 19歳女.3年前より潰瘍性大腸炎を指摘されステロ 部皮膚を切除した.抗ボレリア・ブルドルフェリ抗体 イド内服などで保存的治療をされ寛解,増悪を繰り返 は陰性.走査電顕にて虫体の口顎部を検索し,刺咬状 していた.入院の10日前より発熱,下痢,全身倦怠感 況について若干の考察を加えて報告する. Ziehl-Neelsen染色は陰性 に加え,両側前腕に有痛性紅斑が,上腕に毛嚢炎様皮 hyperkeratosis 疹が出現.いずれもPSLの投与で急速に皮疹は軽快し 川牧子,池田祐輔,末木博彦,飯島正文(昭和大) of nipple and areola の1例 石 た.本症例では,皮疹と潰瘍性大腸炎の病勢が相関し 28歳男.既往歴:小児期にアトピー性皮膚炎.現病 たため,原疾患に伴う皮膚病変と考えた. 歴:15歳頃より乳彙部に丘疹が出現.現症:両側乳彙 特異な臨床を呈した慢性色素性紫斑 笹倉真理子, 部右側優位に米粒大までの黒褐色角化性丘疹が多発. 漆畑 修,斉藤隆三(東邦大第2) 右側に女性化乳房.間擦部に皮疹はない.臨床診断に 48歳男.約1ヵ月前に,体幹に紫紅色の丘疹が出現 苦慮し,黒色表皮腫等を疑い生検.組織:著明な角質 し,徐々に拡大し環状に配列.軽度癈庫感あり.血液 増殖と偽性角質嚢腫を伴う不規則な表皮突起の延長. 学的に異常はない.組織:表皮は軽度肥厚し,リンパ 一部に乳頭腫症.組織は表皮母斑,黒色表皮腫に矛盾 球浸潤と出血をみる.真皮浅層は浮腫性で,血管周囲 しないが,特徴的な臨床像をふまえ文献的検索により にリンパ球浸潤と出血をみる.以上より慢性色素性紫 本症と診断. 斑と診断. 結節性皮膚ループスムチン症を伴ったILEとSjo- 本田まりこ,新村流人 裕慈 大石慈子,福地 修,泉 乃,大森一能,石地尚興, ぐ Elsberg症候群の1例 gren syndrome のoverlap例 吉田美加,須崎由季, 末木博彦,飯島正文(昭和大),岩井雅彦(横浜市) 東京地方会第744回例会(四地区分会) 1513 56歳女.小児期より凍痘様皮疹.1年前より顔面, ×10 mm 四肢に紅斑が出現.現症:顔面に浸滑│生暗紅色紅斑, dometriosisを考えて,生検施行するも線維組織のみ. 頚部・躯幹・上肢に暗紅褐色環状紅斑.下肢に暗紫紅 3ヵ月後に腫瘤摘出術施行.腫瘍は皮下からlig. teres の硬い皮下結節を認め,圧痛あり. en- 色皮内小結節が多発.手指背に中心部萎縮性で角化症 に及び,被膜はなく,境界やや明瞭で弾性硬.病理組 鱗屑を伴う暗紫紅色斑.全身倦怠感,微熱,筋肉痛を 織所見は前回の生検部より深い真皮内に厚い結合織に 伴う.組織:汗腺周囲のリンパ球浸潤,真皮ムチン沈 囲まれた腺様構造を認めた. 着.抗核抗体160倍陽性.抗ss-A抗体陽性,唾液腺造 と診断. 影でapple tree 像,シルマー試験陽性でSjbgren syn- umbilicalendometriosis eccrineらせん腺腫の1例 小林早由美,巻渕秀夫, dromeの診断. 廻神輝家(藤沢市民) 脂肪織炎を伴った皮膚筋炎の1例 河野志穂美,矢 70歳男.約5年前より右側頭部に無痛性皮下腫瘤を 滓徳仁,佐藤佐由里,森 葉子,江藤隆史(東京逓信) 認める.15×15 mm 62歳女.平9年2月背部に紅斑出現.6月より紅斑 瘤で,表面は平滑,毛細血管拡張を認める.比較的弾 が全身に増数・拡大.8月25日当科初診.現症:両上 性軟で下床と可動性あり.組織:真皮中層から皮下脂 腕,両大腿,下腹部を中心に浮腫性紅斑および落屑性 肪織にかけて結合織性被膜に包まれた腫瘤塊.2種類 萎縮性紅斑が多発混在.右大腿内側に硬結性紅斑局面. の腫瘍細胞が索状,小葉状あるいは管腔を形成して増 筋力低下ト).検査所見:ANA40倍, 殖し,小型濃染核細胞が外側に,大型淡染核細胞が中 CPK,アルド のドーム状に隆起する淡紅色調腫 ラーゼ正常.組織:(紅斑部)表皮萎縮,基底層液状変 心部あるいは管腔内側に認められた.間質には血管が 性.(硬結部)脂肪織に炎症性細胞浸潤,膜嚢胞性変化. 豊富に存在した. 10月Gottron's eccrine spiradenomaの1例 吉仲 真,西滓春 sign, 爪囲炎出現.翌年1月筋力低下出 現. 彦,一山伸一(横須賀共済),長谷哲男(横市大) 透析アミロイドーシスの1例 松本孝治,本田まり 55歳男.2年前より右下腹部に径5mm程の圧痛を こ,新村屏人(慈恵医大),小坂直之(同腎臓内科) 伴う硬い皮下腫瘍が認められた.組織:皮下脂肪織内 49歳男.昭53年より慢性腎不全にて週3回の血液 に被膜に包まれた好塩基性の腫瘍塊が認められた.腫 透析を施行中.昭60年より手指の蝉れ感が出現し手根 瘍細胞は索状構造や管腔構造を形成しており,大型の 管症候群,平8年には頭部圧迫感も出現し頚椎脊柱管 淡染する核をもつ細胞と,その周囲の濃染する小型の 症候群と診断された.平4年より手指が拘縮変形し, 核をもつ細胞よりなっていた.腫瘍細胞に核の異型性, 全身皮膚は蝋様光沢を帯びてきたため,平10年当科受 核分裂像は認められなかった. 診.栂指の結節を生検した.アミロイド染色にて膠原 scleroticfibroma の1例 森 勝典,松下慶子,安 綿維周囲に沈着を認め,沈着物は過マンガン酸カリ処 藤巌夫,久木田淳(帝京大溝口) 理抵抗性,抗β2ミクログロブリン陽性.血管周囲の沈 36歳女. 3,4年前より前額中央,毛髪生え際に自覚 着なし. 症状のない丘疹が出現.直径5 mm, 中央に白色毛を有 多発性皮下型サルコイドーシスの1例 本庄砂織, し弾性硬であった.組織:真皮上層から下層にかけて, 長谷川毅,斉藤隆三(東邦大第2) 境界明瞭で被膜のない膠原線維の増生か認められた. 43歳女.2ヵ月前より前胸部,背部,四肢の皮下に 膠原線維は互いに裂隙で隔てられ, plywood like又は 直径3∼10 花むしろ状の外観を呈した.細胞成分はわずかであっ mm 大の正常皮膚に被覆された合計30個 に及ぶ多発する結節を主訴に来院.組織:非乾酪性類 た. 上皮細胞肉芽腫.血清ACE eccrine porocarcinoma の1例 佐藤一郎,小野秀 54.61U// . ツ反陰性.胸部 単純X線でBHL,両側湘漫性粒状陰影あり.膝部外傷 貴(小田原市立),中嶋 弘(横市大) 後の姫痕浸潤あり.若干の文献的考察を加え報告. 48歳男.昭62年頃より左下腿の現状結節あり,放 ● 神奈川(藤沢市民) 置.平8年11月7日,当科紹介受診.11月13日全切 umbilical endometriosis の1例 和田秀文,岡野 除施行.HE組織像では表皮から真皮上層にかけて腫 絵里子,毛利 忍(横浜市民),杉本純一(横浜市) 瘍細胞が分布し,均一なporoma 38歳女.初診の約1年前より臍部に小腫瘤あり,月 poroma (Pinkus型)の所見であったが,腫瘍の一部に 経周期に一致した痛みを認めた.初診時,臍部に10 細胞の異型性,核分裂像,浸潤像が認められ, eccrine cellより成るeccrine 1514 学 会 抄 録 porocarcinomaに移行しつつある所見と考えられた. の2例 前島英樹,松本京子,宮崎千春,金子 聡, 舌弁を用いて再建した下口唇有韓細胞癌の1例 三好経子,平松正浩,向井秀樹(横浜労災) 小林誠一郎,木花いずみ(平塚市民),野田武志(同形 症例1, 成外科),栗原誠一(平塚市) 常色及び淡紅色調の約1cm大の小結節を約110個認 68歳男.12年前より下口唇に難治性廉爛を認めた. める.症例2,79歳女.平10年5月より左前額から眉 レーザー治療歴あり.12年前に生検では確定診断に至 毛部にかけて列序性に約1cm大の表面平滑で光沢を らず.廉爛の一部に浸潤を触れるようになり再生検し 伴う淡紅色調小結節が3個出現.いずれも自覚症状は たところ有縁細胞癌を認めた.腫瘍に対しては目角を なし.2例とも組織像は同じであり,真皮上,中層内に 除き,下口唇全層切除を行い,皮膚側は伸展皮弁で赤 濾胞構造を形成する典型像であった. 唇部は舌弁を用いて再建した.外観・機能とも患者の パッチテストで全身症状をきたした塩酸セフォチア 満足度は高い. ムによる接触暮麻疹症候群の1例 千葉由幸,加藤有 比較的若年発症の褐色を呈した肢寓Paget病 水 紀,岡島光也,高橋さなみ,山川有子,相原道子,池 戸部知代,大場有希子,千葉紀子(聖マリ医大西部), 渾善郎(横市大浦舟),川口とし子(横浜南共済) 品川俊人(同病理),溝口昌子(聖マリ医大),森田昌 24歳看護婦.既往にアトピー性皮膚炎あり.勤務中, 士(横浜市) 35歳女.約半年前に左肢高の茶褐色斑に気付く.臨 58歳女.平9年より両上腕より背部,醤部に 度々全身症状を伴う葦麻疹が出現.ブリックテスト (SPT)にて塩酸セフォチアム(CTM)4十,ラテック 床診断は色素性母斑,脂漏性角化症.組織:表皮内に ス3+.20%のCTMにてパッチテスト(closed とどまるPaget細胞がみられ,特染でALB(−),PAS 施行したところ,15分後に貼布部位の癈庫と膨疹が出 PT)を (−),CEA(−).肢嵩Paget病と診断した.他臓器悪 現し,その後,腹痛と全身に葦麻疹の誘発を認め,ス 性腫瘍の合併は認めない.腫瘍より3cm離し,拡大切 テロイドの全身投与にて症状軽快した.その他のセ 除後,分層植皮術を施行した. フェム系抗生剤(CDZM,CTRX,CAZ,CZX,CTX) 陰茎悪性黒色腫の1例 内山光明(神奈川がんセン はSPT, ター),古野久美子(同眼科),宮本秀明(平塚共済) レボフロキサシンによる固定薬疹の1例 浅古佳 closed PT とも陰性であった. 36歳男.初診平6年1月.幼児期にはなかったが10 子,近藤 恵,川口博史,中嶋 弘(横市大) 代の後半から陰茎後面皮膚に黒色の色素沈着.初診2, 49歳女.平9年2月頃より感冒のたびに右上腕,左 3年前から次第に拡大と黒色調が強くなってきた.初 肩,口角に疼痛を伴う皮疹出現.平10年9月2日当科 診6ヵ月前から一部が腫瘤となり易出血性.某泌尿器 初診.右上腕に径6 科を訪れ当科を紹介された.臨床的に結節型の悪性黒 cmの色素沈着を認めた.臨床像より固定薬疹を疑い, cm, 左肩に径4 cm, 色腫を考え入院,全切除後DAVフェロン2クール.組 感冒の時に某医より処方されていたレボフロキサシ 織:悪性黒色腫.その後は特にクールせず4年後の現 ン,安息香酸ナトリウムカフェイン,スルピリン,フェ 在再発転移はない. ナセチンにてパッチテスト施行したところ,レボフロ 先天性色素性母斑より生じた悪性黒色腫 甘利 キサシンは皮疹部にて陽性.レボフロキサシン20 淳,稲村 舞,佐藤直哉,橋本明彦,米元康蔵,勝岡 内服テストにても陽性.同薬剤による固定薬疹と確定. 憲生(北里大),天野隆文(横須賀市) 放射線照射により生じた慢性リンパ浮腫の1例 35歳女.出生時より右大腿外側に手拳大の色素性母 小見浩子,村上麻里,川口博史,中嶋 弘(横市大) 斑が存在.27歳時,某医にて部分切除.4ヵ月前より 65歳男.昭53年5月,右精巣腫瘍にて除皐術,放射 同部に腫瘤が出現し増大.初診時,右大腿外側に濃褐 線照射施行.徐々に両下肢の浮腫,硬化,結節を伴う 色の色素斑を認め,線状の縫合痕上に40×45 mm大の ようになったが,放置していた.左上顎歯肉SCCにて 黒色腫瘤を認めた.右鼠径リンパ節腫脹(+).組織: 入院中,口腔外科より紹介された.両下肢に著明な浮 腫瘤部では表皮から真皮下層にかけてメラニンに富む 腫がみられ,皮膚は硬く粗造で,灰褐色調鱗屑を付着 異型な腫瘍細胞が増殖し集塊をなす(Level IV, Stage していた.陰部に,悪臭のある皮垢を伴う数mm大の m).拡大切除術十所属リンパ節郭清術,F-DAV施行 多数の線維性結節が認められた.組織:リンパ管の増 した. 生と拡張,リンパ球,形質細胞浸潤,真皮の膠原線維 特異な臨床像を呈した皮膚良性リンパ球腫(LABC) 増生がみられた. 口角に径1.5 mg 東京地方会第744回例会(四地区分会) expanded forehead 1515 城戸宗男(東海大),広田文雄(秦野日赤),長島典安 flap による鼻瘤の治療 水戸 部知代(聖マリ医大西部),酒井成身(同形成外科), (秦野市) 溝口昌子(聖マリ医大),佐藤信輔(新潟市民) 症例1,48歳女.現病歴:平10年11月2日松田市の 73歳男.鼻瘤の診断で,外科的治療を施行した.手 ゴルフ場で右大腿部に赤色硬結を認め, 術法は,病変を全切除するtotal 出現.症例2,54歳女.現病歴:秦野市内で毎日犬の散 excition を選択し,そ の後の外鼻皮膚欠損に対してtissue たexpanded expander を用い forehead flap で再建し,良好な結果が得 39t:台の発熱 歩をしている.同年n月3日に右側腹部に赤色硬結を 認め, 38t:台の発熱出現.両症例とも全身に浮腫性紅 られた.この方法は病変を全切除するため,残存組織 斑出現.当科受診後,ミノマイシンにて皮疹,発熱と からの再発や悪性化の心配がなく,しかも隣接皮弁を も改善した.ペア血清で2症例ともツツガムシ病のカ 利用するため整容的にも優れた結果が得られる.今後 ワサキ株と同定. 勧められるべき方法であると思われた. dermal 非クロストリジウム性ガス壊疸の1例 袋 秀平 例)芳賀恒夫,村上富美子,溝口昌子(聖マリ医大) (横須賀市民) 34歳女.約1年前,歯科で加療中に両側頬粘膜に褐 70歳男.右耳下腺腫瘍(良性)切除後に脳梗塞発症. 色丘疹が出現.増加してきたため平10年7月16日当 糖尿病なし.リハビリ中,左背部に発赤と腫脹出現, 科初診.初診時,両側頬粘膜に境界明瞭な粟粒大の褐 発熱あり.触診にて握雪感,聴診にて捻髪音.レント 色丘疹が多発していた.自覚症状なし.組織:表皮非 ゲンで左側背皮下にガス像.切開すると悪臭の強い肉 薄化と表皮突起の延長,真皮上層のメラノファージと melanocyteを伴った口腔内多発丘疹(診断 汁様膿汁を排出.多数箇所切開し洗浄・ドレナージ施 メラノサイト,血管周囲性軽度リンパ球浸潤あり. 行し抗生物質を投与したところ軽快.培養ではEn- HPV(−).歯科金属パッチテスト陰性.電顕で真皮に terococcus faecalis, Actinomyces メラノファージとメラノサイトを確認. naeslundii 検出. 梅毒2期疹(HIV感染者)の1例 大川 司,勝岡 eosinophilic 憲生(北里大),岩渕啓一(同病理) 純,松倉節子,高橋一夫(国立相模原),中嶋 弘(横 26歳男.平10年7月√顔面,両手掌に紅斑多発,持 市大) 続するため,8月当科初診.一部鱗屑を付着する浸潤を 26歳女.背部に虫劇症様皮疹が出現,掻破に伴い拡 触れる小豆大までの紫紅色調の紅斑の多発に加え,両 大し某病院受診.浮腫性紅斑,関節痛を伴う感冒様症 頚部,鼠径部リンパ節腫脹,咽頭発赤も存在.5月から 状,ASO値上昇を認め病巣感染に伴う皮疹としてステ 6月にかけて多数の異性との性的接触もあり,梅毒2 ロイド剤外用,抗菌剤内服開始.皮疹増悪したため当 期疹と診断.TPHAは5120倍以上.しかし組織学的に 科紹介受診.初診時,背部・四肢に辺縁が隆起し小水 形質細胞が少なく,リンパ球主体の細胞浸潤であり, 庖を混じた浮腫性紅斑.組織:真皮に好酸球浸潤と 末血CD flame figure の像.以上より上記と診断.ステロイド剤 4/8 比も0.41であることからHIV抗体測定 したところ陽性. cellulitisの1例 蒲原 毅,杉本真 外用で当科初診から約2ヵ月で殆ど色素沈着化.以後, 皮膚マンソン孤虫症の1例 木村聡子,鹿島偉人, 再燃なし. 溝口昌子(聖マリ医大),高井憲治,坂根 剛(同病害 piezogenic 動物学),辻 守康(杏林大熱帯病寄生虫学) 花 光(済生会横浜),池田 誠(鎌倉市) 59歳女.初診の2ヵ月前,腰部中央に癈岸感を伴う 61歳女.半年前より立位にて右足底弓に有痛性丘疹 浸潤性紅斑が出現.徐々に紅斑が左側方へ移動し,消 数個出現.他院整形外科受診し,XP,CT,エコー施行 失しないため当科外来受診.初診時,左側腹部に25 するも診断不明.右足底弓に常色から白色の小豆大丘 ×12mmの境界明瞭な浸潤性紅斑を認めた. creeping diseaseを疑い,生検を施行.脂肪織内に2×100 の乳白色の光沢のある虫体を発見したため引き抜い mm pedal papules の1例 山田佐知子,水 疹が数個認められ,立位にて著明になった.また左足 底弓にも同様の所見を認めたが疼痛はなかった.生検 時,碗豆大の塊状皮下脂肪織を容易に摘出できた.組 た.マンソン裂頭条虫のプレロセルコイドと同定.ヘ 織:真皮は非薄化し,一部では真皮下層の結合織の変 ビ,蛙などの生食歴(−).生検後紅斑の再発(−). 性像がみられた.身長156 ツツガムシ病の2例 尾崎弘岳,松山 孝,杉浦 であった. 香,飯塚万利子,浦野一志,川久保洋,小洋 明,大 水庖性類天抱癒を合併した硬化性萎縮性苔癖 小中 cm, 体重65 kg と肥満体型 学 会 抄 録 1516 理会,佐藤直哉,冨田昌宏,新井 達,橋本明彦,米 酸菌・真菌培養は陰性.ツ反陰性.血中ACE正常.呼 元康蔵,勝岡憲生(北里大) 吸器症状なし.胸部X線・CT上,BHLを認め,廠痕 73歳女.65歳時より躯幹に不整形淡紅色紅斑出現 浸潤を伴ったサルコイドーシスと診断.肺野,眼病変 し,徐々に中央ちりめん皺様,辺縁色素沈着を有する なし.心電図異常なし.他部位に皮下型サルコイド合 萎縮局面を形成した.半年前より,局面内および口腔 併. 内に緊満性水庖が出現した.組織:萎縮局面は硬化性 多彩な症状を呈したサルコイドーシスの1例 増 萎縮性苔癖に典型的.水庖形成部は上記に加え表皮下 子真理,窪田泰夫(聖マリ医大) 水庖と真皮上層の好酸球浸潤を認めた.蛍光抗体直接 法で基底膜にIgG (十),免疫ブロット法で抗180 53歳女.10年前より肺サルコイドーシス(サ症)あ kD り.2年前より四肢に紅色丘疹出現.1年来指摘されて 抗体(+).ベタメサゾン3 mg/日内服で両病変とも軽 いる牌腫が悪化し,当院紹介.背部,上肢には小豆大 快. までの扁平な淡紅色丘疹,下腿には大豆大までの落屑 calcinosis cutis の2例 三井聖子,村上富美子,溝 を伴う萎縮性暗紅色斑が多発.真皮上層から下層にか 口昌子(聖マリ医大) けて島状に類上皮肉芽腫.肝生検,骨髄穿刺施行し, 症例1, 19歳男.2年前より左肘部に一部白色に突出 する,弾性硬の皮膚腫瘤出現.症例2, 74歳女.3年前 牌摘施行.すべてに類上皮肉芽腫確認.肺,皮膚,肝, 牌,骨髄と多臓器にサルコイドの浸潤がみられた. より右肘部に弾性硬の白色皮膚腫瘤出現.2例とも,組 自然消退した多発性皮下型サルコイドーシスの1 織では真皮に多数の好塩基性に染まる無構造の塊状物 例 奥山洋子,二宮淳也,滝内石夫(昭和大藤が丘), 質を認め,その周囲には異物巨細胞を認めた.石灰化 菊池敏樹(同呼吸器内科) 上皮腫を構成するshadow 39歳男.平10年3月13日,左愕部の皮下結節に気 cell, basophilic cellは認め ない. calcinosiscutis と診断.家族歴なし.基礎疾患な 付く.その後対側,四肢にも出現したため,某医を受 し.血中カルシウム値正常.同部位に外傷の既往なし. 診した.経過観察中の4月7日,発熱,咳が出現,胸 膝の痘痕浸潤からサルコイドーシスと診断された1 部X線上異常陰影を認めたため,当院呼吸器内科を受 例 杉本真純,蒲原 毅,高橋一夫(国立相模原) 診.皮下結節について5月2日当科に依頼される.結 62歳女.初診平10年5月.初診の2ヵ月前,温泉場 節の組織像は典型的.BHL(十),rグロブリンの上昇, で左膝蓋部に軽い擦過傷を負った.後に同部に紅斑が ツ反陰性,皮疹部に一致したGa集積像を認めた.ACE 出現し隆起した.初診時,左膝蓋部に鱗屑を伴った紅 は正常植.経過観察のみにて皮疹は全て消退し, 色隆起性局面あり.組織:非乾酪性類上皮肉芽腫.抗 も縮小した. BHL 東京地方会第745回例会(研究地方会)(平成11年3月27日,東邦大) 皮膚疾患とフットケアー(第2報)一足底の鶏眼, 史,竹内瑞恵,田中良知,高橋生世,石井則久,中嶋 勝服腫に対する対策一 倉片長門,鈴木啓之(日大駿 弘(横市大) 河台) 乳幼児ADの有病率を知る目的で,保健所が行う乳 目的:鶏眼,誹風腫患者が①日常着用している靴を 児健診に皮膚科医が参加して,皮疹からADを診断し 履いた状態で歩行時にかかる足底圧をF-SCANにて た.平9年7月から平10年6月までの期間中,約20 測定し,裸足での歩行時と比較した.②患者に適合し %がADと診断されたが90%以上は軽症例であっ た靴とインソールの使用により,歩行時にかかる足底 た.春秋の検診時には有病率が高く,皮疹は頭部,顔 圧の変化も同時に検討した.材料と方法:鶏眼患者7 面,体幹に多く,四肢には少なかった.児のADと家 例,餅肌腫患者5例.F-SCANを用いて歩行時に足底 族のADとの間には有意な関係がみられたが,家族の にかかる圧をpeak 喘息,鼻炎とは関係がみられなかった. pressure 値(g/c 「)にて評価した. 結果:適合した靴とインソールの着用は足底圧の分布 を均等にすることが解った. 乳幼児アトピー性皮膚炎(AD)の疫学調査 川口博 ステロイド外用治療によるアトピー性皮膚炎患者の 血清lgE値への影響について 竹内吉男,伊藤正俊 (東邦大第1) 東京地方会第745回例会(研究地方会) 1517 対象と方法:12名の成人アトピー性皮膚炎患者を て, ssc患者で血清lgE上昇は約24%にみられたが, ステロイド外用剤で治療し,治療前と治療開始後4週 アトピー性皮膚炎を合併した患者は3名,喘息を合併 毎に12週後まで経時的に血清lgE値,LDH値,血中 した患者は1名であった.以上より血清lgE上昇は 好酸球数を測定し,その間に使用した外用ステロイド SSCそのものによると考えられたが,年齢,性別,罹 量で60 病期間,肺・食道病変の有無などとの関連を検討した. g/月<の大量使用群と,60 g/月>の少量使用 群で検査値の変動を比較検討した.結果:ステロイド 血清中KL-6濃度による汎発性強皮症患者の肺線維 開始時と比較すると,12週後の平均値ではLDH値,好 症の評価について 山根謙一,尹 浩信,久保正英, 酸球数は両群とも減少したが, 矢滓徳仁,菊池かな子,玉置邦彦(東大),相馬良直 IgE値は大量使用群で やや増加した. (東大分院) アトピー性皮膚炎(AI))患者におけるマラセチア 汎発性強皮症患者91例,正常対照群38例において (Mf)に対するヒスタミン遊離能の検討 宮崎千春,松 血清中KL-6濃度を測定した.汎発性強皮症患者では 本京子,前島英樹,金子 聡,三好経子,平松正浩, 血清中KL-6濃度は正常人に比較して有意に高値を示 向井秀樹(横浜労災),阿部明生(住金バイオ) し,また強皮症患者においては肺線維症合併群は肺線 13∼48歳のAD 維症非合併群に比して有意に高値を示した.血清中 43 例を対象にMfのヒスタミン遊 離試験(HRT)を行い,遊離したヒスタミン量(%HR) を測定.HRTで陽性となったのは22例(51.2%). KL-6濃度上昇群は正常群と比較して%DLco,%VC HRT 低下の頻度が有意に高率であった.以上より血清中 クラス別陽性度とMf特異lgE抗体価には,正の相関 KL-6濃度は汎発性強皮症患者の肺線維症の評価に有 関係を認めた.HRT陽性率は,血清lgE値及び躯幹の 用であると考えられた. 重症度に比例して上昇.顔面の重症度とは有意差をみ 多発性筋炎/皮膚筋炎患者における抗U なかったが,脂漏,赤ら顔を有する例では%HRは有意 抗体 久保正英,尹 浩信,山根謙一,矢渫徳仁,菊 に高値を示した.以上,MfはAD患者の増悪に関与し 池かな子,玉置邦彦(東大),桑名正隆(慶応大先端研) ている可能性が示唆された. 当科を受診した多発性筋炎/皮膚筋炎患者54例中5 討 論 例の血清中にRNA免疫沈降法により抗U 中山秀夫(品川区):マラセチア,カンジダ各々につ 抗体を検出した.U いて皮膚の培養を行ったか? 3-snRNP抗体はHEp-2細胞を基質とした螢光抗体間 宮崎千春:今回はいずれも行っていない.他の調査 接法で核小体に螢光を示すとされる.今回の検討にお によると,ADの皮膚からのマラセチアの検出率は40 いてこれらの血清は螢光抗体間接法では均一型を示 ∼50%で健常人との差は見られていない. し,抗ヒストン抗体の共存が考えられた.ヒストンに アトピー性皮膚炎患者の血清中interleukin 13 (IL・ 3-snRNP 3-snRNP 3-snRNP は核小体に局在し,抗U よる吸収試験にて,均一型の螢光が吸収され,核小体 13)上西香子,小原 理,神部隆之,河 陽子,窪田 型の螢光が認められた. 泰夫,溝口昌子(聖マリ医大) 円形脱毛症患者における抗核抗体の検討 矢野正一 アトピー性皮膚炎患者で, IL-13の関与が知られてい 郎,尹 浩信,中村晃一郎,大河内仁志,玉置邦彦(東 るが,血清中のIL-13は微量で,測定の報告が少ない. 大) 我々は,アトピー性皮膚炎患者47例の血清中IL-13 現在,円形脱毛症(AA)は自己免疫疾患であるとす をELISA法で測定した.小児4例に検出され,その平 る説が有力である.今回我々はAA患者血清中の抗核 均は8.41 pg/ml 抗体(ANA)と抗甲状腺抗体を測定した.ANAは全 だった.成人湿疹続発性紅皮症,水庖 性類天庖療患者でも検出したが,成人アトピー性皮膚 頭型27人中8人(29.6%) 炎患者,健常小児では検出されなかった.また,臨床 %)で160倍陽性,主にsp(十),no(+),ch(+)の 症状や, 染色パターンであった.膠原病を示唆する所見は認め IgE, stem cellfactor についても関連を調べ ,多発型28人中12人(42.9 た. なかった.抗甲状腺抗体は患者全体の20%に認め,更 全身性強皮症(ssc)患者血清lgE値の検討 小野 にその約70%がANA陽性であった.この結果はAA 田雅仁,辻 淳子,近藤 恵,佐々木哲雄,中嶋 弘 が自己免疫疾患であることを支持している. (横市大) interface dermatitis およびgraft-versus-host re- 当科における全身性強皮症(SSC)患者111名におい actionにおけるmacrophageの動態 中井利容,宋 学 会 抄 録 1518 寅傑,末木博彦,飯島正文(昭和大) テル(CE)は健常者群のそれより有意に高値を示し, 目的:interface 患者群の単球中CEは健常者群の単球中CEより高い dermatitis 及びGVHRにおける macrophageの役割の解明.方法:両組織反応を示す 傾向があった.リンパ球,好中球ではCEは検出されな 17検体を表皮侵襲の程度により4群に分類.各検体に かった. ついて抗CD 色素性皮膚病変のteledermatoscopy 田中 勝, 11 b 抗体を用いた螢光抗体間接法を施行 し,表皮内の陽性細胞数を計測.結果:GVHR群では 西川武二(慶大),IH 表皮侵襲のない群に比較し表皮内CD 43例(女20例,男23例)の色素性皮膚病変(メラ 11 b 陽性細胞数 は有意に多く,表皮侵襲の程度と表皮CD 11 b 陽性細 Wolf, HP Soyer (グラーツ大) ノーマ11例,母斑23例,基底細胞癌3例, lentigo 3 胞数との間に相関性が認められた.考按:浸潤macro- 例,脂漏性角化症2例,被角血管腫1例)を600万画 phageが表皮細胞障害に関与する可能性が示唆され 素のデジタルカメラで撮影.臨床,デルマトスコピー た. 像をおよそ400 GVHDおよび薬疹の皮膚病変部におけるHSP, Fas 発現の免疫組織化学的検討 メーラン ゴレイシ,横 実地診療にほぽ匹敵すると考えられた. (graft versus host disease)の発症にHSP Fasが関与することが知られている.今回, 症例の皮膚病変部におけるHSP 現について, にJPEG圧縮して,11名の皮膚科 キスパートによるteledermatoscopyは,専門医による 関博雄,西岡 清(東医唐天) GVHD KB 医に電子メールを用いて転送,遠隔診断を行った.エ 70, GVHD4 72, HSP 27, Fasの発 Stevens-Johnson症候群(SJS)2例を含め メラノーマにおける1231-IMPシンチグラフィーと67 Gaシンチグラフィーの比較 吉田 司,清原祥夫,鈴 木 正,池田重雄,土田哲也(埼玉医大) 平6年2月から平10年10月までの4年8ヵ月の間 た14症例の薬疹の皮膚病変部での発現と免疫組織化 にメラノーマ患者29例,34病巣に対しI町-IMPシンチ 学的に比較検討した.GVHDではHSP 27 のみ表皮に グラフィー,67Gaシンチグラフィーを施行しその有用 認めたがSJS,薬疹ではHSP 72, HSP 27 ともに認めら 性について比較,検討を行った.結果は67Gaシンチグラ れた. FasはGVHDの2例, SJSの1例で表皮に発現 フィーは18病巣中9病巣で陽性.陽性率は50%で していた. あったのに対し/231-IMPシンチグラフィーは18病巣 肉芽腫,間葉系腫瘍におけるCCR-1, MCP-3, MI P-1 a, 中13病巣で陽性.陽性率は72.2%で陽性率について は1231-IMPシンチグラフィーの方が好成績であった. RANTESの発現について 菅谷 誠,中村晃 一郎(東大),湧川基史(東大分院),古江増隆(九州 悪性黒色腫におけるTIMP-l,TIMP-2の役割 帆 天),玉置邦彦(東大) 足俊彦,門野岳史,菊池かな子,玉置邦彦(東大) サルコイドーシス,環状肉芽腫,異物肉芽腫,皮膚 原発,皮膚転移,内臓転移由来の悪性黒色腫培養細 線維腫,隆起性皮膚線維肉腫,計16例においてCCR- 胞を用いてTIMP-LTIMP-2の作用,発現につき検討 1, MI P-1 a, MCP-3, した.RT.PCR法ではTIMP-2は全例, TIMP-1は原発 RANTES発現について検討した. サルコイドーシス,環状肉芽腫の真皮単核球はCCR1及びそのリガンドのMI P-1 a が強陽性で, 株1種を除き全例で発現が見られた. MCP-3, TIMP-1,TIMP- 2刺激下で一部でthymidine取込み増加がみられた. RANTESは陰性であった.異物肉芽腫,間葉系腫瘍で western blot法では内臓転移由来株にはTIMP-1, はこれらは全て陰性であった.サルコイドーシス,環 TIMP-2の発現が減少する傾向があった.さらに 状肉芽腫ではMIP-1 ELISA法にてTGFβ, IL-6, oncostatin M 刺激下で a とCCR-1を介して,単球が活 性化している可能性が推測された. TIMP-l,TIMP-2の変動について検討した. フーリエ赤外分光分析法による乾癖患者末梢血単球 足白癖患者からの菌の散布と環境における足底への の脂質取込みの測定 玉井秀美,大久保ゆかり,古賀 付着の検討一菌種と季節による比較 加藤卓朗(済生 道之(東医大),會沢勝夫(同第2生理) 会川口),丸山隆児(中野総合),渡辺京子,谷口裕子, 目的及び方法:乾癖における単球の活性化に,脂質 西岡 清(東医歯大) の取込みが関与している可能性を考え,乾癖患者の血 済生会川口皮膚科の平6∼10年の足自癖患者は 清脂質および末梢血中脂質をフーリエ赤外分光光度計 1444例. にて測定し,同時にPASIスコアを算定して,健常人と FP法は27/35 TR/TM 比較した.結果:乾癖群の血清中コレステロールエス %), 2.1.菌種不明例を除くとTR患者の (77%) ,平均集落数12.0.TM 20/23 (87 27.6.東京の銭湯利用後に被験者(片足)に付着し 東京地方会第745回例会(研究地方会) たのはTR 49/78 (63%) , 2.3, TM 59/78 (76%) , 6.2. 1519 25検体,粘膜型HPVのL1領域を増幅する共通プラ 冬(12∼2月)とそれ以外で比較すると冬の一月平均の イマーを用いたPCR法では42検体が陽性. 患者数は10.8例,FP法3/8(38%), 11,16,31,52,58型などが検出された. 3.1,銭湯後の付着 は1/10(10%),0.2.冬以外は28.5例, 19.1,65/68 (96%), 42/54(78%), HPV HPV6型感染による外陰部のpigmented 9.7. mata―bowenoid papulosis condylo- (BP)との異同一 本多 ケラチノサイトのサイトカイン産生に及ぼす 章乃,落合豊子,森嶋隆文(日天),松倉俊彦(国立感 Malassezia 染研) species の影響 加納 塁,佐藤ひろ子, 中村遊香(帝京大),長谷川篤彦(日天獣医臨床病理), 目的:陰部に多発した表面比較的平滑な褐色丘疹で 渡辺晋一(帝京大) 組織学的にBowen病様の変化を欠く症例とBPとの Malassezia属の4菌種をヒトケラチノサイトと培 異同を明らかにする.対象:21歳∼44歳の男5症例. 養し,経時的に培養液のサイトカイン量をELISA法 方法:半割した凍結検体から抽出したDNAをsouth- によって測定した.その結果, ern blot法に供し, MCP-1は産生されな かったが,3菌種でIL-1β, IL-6, IL-8, TNF-aが産生さ HPV 検体全てからHPV genotype を同定.結果:5 6 型を同定.考察:HPV れ,さらに菌種間でサイトカイン産生能が異なってい によるBPと病理組織学的に明確に異なり, た.このことからMalassezia属の菌種により皮膚病変 が同定されたことからcondyloma が異なる可能性が示唆された. 型として扱われるべき病態と考えた. a fluorometric determination dermatophytic activity keratin-penetrating Masaaki ment Kawai, of of in agents power Charles Ryoji Tsuboi, of Dermatology, Hideoki Juntendo anti- 全身性形質細胞増多症におけるⅢIV8遺伝子の検 on their 索 岡田裕之,加納 塁,渡辺晋一(帝京大) N Ogawa (DepartSchool るCastleman病 でhuman 0f Keratin particles with were in the presence as the lowest pregnate clotrimazole were indicate than agents the incubated of alamar herpesvirus 8 : HHV 8が 発症原因と注目されている.今回SP4例(51歳男,69 skin were washed and with blue. The was of conventional against with significantly This evaluation to im- MIC a fluoromet- of amorolfine those lower procedure of MICk. MIC, and 子(聖マリ医大) ヒト頭皮毛包より単離,培養した培養毛乳頭細胞 and T. ru- (DPC)にTGFa, results と72時間後の培養上清中SCFをELISA法で測定.24 is useful TGFp, bFGFを添加し,24時間後 時間後と72時間後ともにTGFβのみSCF分泌量の for com- activity on the basis of their ability to penetrate of kera- 有意な低下を認めた.また,正常入被髪頭部の凍結切 片を用い,免疫組織化学染色施行.毛包におけるSCF, TGFa, TGFp, bFGF の発現及び分布を観察した.DPC はbFGFで陽性を示した. tin. 外陰部疵贅からのhuman cell factor (SCF) The 0f amorolfine of anti-dermatophytic が発症に関与している可能性は低いと考えられた. 培養ヒト毛乳頭細胞由来stem 廣滓麗子,河 陽子,久志本常人,窪田泰夫,溝口昌 0.05 0r less in culture. T, mentagrophytes compared defined employed HHV8の遺伝子の検索を行った.しかし,SP全例で HHV8の遺伝子は検出されなかった.SPではHHV8 the organisms MICk of agent (FGQ)of いてHHV8に特異的なプライマーを用いたPCR法で plantar agent, particles that achieved clotrimazole. parative human concentration quotient ranges brum then keratin ric growth from an anti-dermatophytic dried. They The 6型 の一 歳男,40歳女,41歳女)の病変部皮膚とリンパ節につ Medicine) soaked HPV 全身性形質細胞増多症(以下SP)と類縁疾患とされ . Okeke, University 16型感染 acuminatum vitro based 6, papillomavirus の検出 伊部美葉,川瀬正昭,石地尚興,新村億人(慈恵医大) interferon-Y (iFN-y)は表皮細胞におけるケラチン K6発現を誘導する 服部尚子,小宮根真弓,玉置邦彦 平8年から10年10月までに臨床的に外陰部疵贅と (東大) 診断した43例45検体についてHPVの検出を試み 目的:IFN叩存在下での表皮細胞のケラチンK6の た.抗パピローマウイルスポリクローナル抗体を用い 発現を調べた,材料と方法:①人正常皮膚をIFN・T た免疫組織化学染色(ABC法)では21検体, /ll, 16/18,31/33/51のプローブを用いたISH法では HPV6 存在下で培養し,ケラチンの発現を免疫組織学的に検 討した.②培養人表皮細胞をIFN・y存在下で培養し 学 会 抄 録 1520 CAT assay を施行した.結果:①IFN-Y存在下では基 線維芽細胞は中層深層に比べてXVI型コラーゲンの 底細胞直上より表皮全層にK6の発現が見られた.② 発現及び産生か多く見られた.また, IFN-YによりK6プロモーター活性が約2倍に誘導さ などの疾患では正常皮膚, れた. 進していた. PSS, morphea keloidなどに比べ発現が完 TNFaによる培養keratinocyteのelafin産生誘導 oncostatin 田中信彦,大西善博,藤岡 彰,多島新吾,石橋 明 転写制御についての検討 尹 浩信,玉置邦彦(東大), (防衛医大),藤本典宏(自衛隊中央) Trojanowska elafinは好中球elastaseのinhibitorであり,各種炎 oncostatin M (OSM)はコラーゲン合成を促進し, 症性皮膚疾患で表皮に発現するが, 線維化に関与することが知られる.正常ヒト皮膚線維 elafinの調節因子 M によるヒトa 2 (I)コラーゲン遺伝子 M (Medical Univ. of South Carolina) に関しては不明である.そこで,①好中球elastase, 芽細胞を用いてOSMによるヒトa ②elastaseの基質となるtropoelastin,炎症性サイト 伝子の転写制御について検討した.OSMは転写レベル 2 (I)コラーゲン遺 カインである③TNFa並びに④IL-1βを各々kerati- で同遺伝子を制御することが示され,さらにCAT nocyteの培地に添加し,蛋白レベルでelafinの誘導を say,ゲルシフト法, 検討した.その結果,TNFaの添加でelafin陽性細胞の 子プロモーター領域の-125 増加並びに培養上清中のelafin値の上昇が認められ 因子Sp た. 明らかとなった. ユニークな組織像を示す優性遺伝性掌踏角化症家系 培養ヒト線維芽細胞の分泌するゼラチナーゼについ でみられたkeratin ての検討 小林孝志,新海 涼(千葉大),服部俊治 9 のR162W変異 黛 暢恭,池 田志享,小川秀興(順天大) 近年, bp付近に存在する転写 1/Sp 3 結合領域を介して制御していることが (ニッピバイオマトリックス研) epidermolytic hyperkeratosis 優性遺伝性掌跨角化症は, as- in vivo foot printing 法にて同遺伝 (EHK)を示す keratin 9 の変異により生じ 皮膚結合繊代謝での線維芽細胞の役割を調べるた め,ゼラチンザイモグラフ法を用いて,培養ヒト線維 ることが明らかになった.今回我々は,組織学的に有 芽細胞の分泌酵素の性状検討を行った.結果,通常の 縁層から穎粒層の細胞に細胞間の解離と大型のケラト 培養条件ではmatrix metalloばoteinase (MMP)-2を ヒアリン穎粒が見られるが,明らかなEHKの像を認 分泌,またTGF-β1, TNF-a,あるいはEGFの添加で めない優性遺伝性掌跳角化症家系を経験したので, MMP-2の分泌が増加,さらにTGF-β1あるいはTNF- KRT9の変異を検討したところ, a添加でMMP-9も分泌されることが判明し,これら おいて最も高頻度に検出されるR EHKを示す家系に 162 W 変異が検出 された. BP のサイトカインの関与する炎症下で両酵素が重要な役 割を担う可能性が示唆された. 180 抗原細胞外領域組換え蛋白(BP 180 EC)の 作成 畑 康樹,藤井嘉子,天谷雅行,西川武二(慶 taxisのTGF-β1による抑制相馬良直,山根謙一(東 大),角田和之,永井哲夫(同歯科口腔外科) バキユロウイルス発現系によるBP 対照としてBP ヒト皮膚線維芽細胞のPDGF-AAに対するchemo- 大分院),矢渾徳仁,久保正英,尹 浩信,菊池かな子, 180 EC を作成. 180 EC の主要エピトープを含むNC 玉置邦彦(東大) 培養ヒト皮膚線維芽細胞のPDGFに対するchemo- 16aを大腸菌発現系を用いて作成.immunoblot法に taxisをBoyden て両者の反応性を比較.83例中68例のBP血清が両 BBに対する反応は, 者と反応. ml, 2 days)に影響を受けなかったのに対し, BP 180 EC 陽性, NC 16a 陰性は2例のみ. BP 180 の主要エピトープとしてNC 確認された. 16a の重要性が ELISA法にても検討中. chamber 法により測定した. TGF-P PDGF- 1 による前処理(10 AAに対する反応は同処理後ほぼ消失した. ng/ PDGF- PDGF受 容体を免疫ブロットでみてみると,β受容体はTGF-β 皮膚線維芽細胞におけるXVI型コラーゲンの発現 1によりほとんど変化しないが,a受容体は強く抑制 (第1報)赤木 淳,多島新吾,石橋 明(防衛医大) された.従って,PDGF-AAに対する反応の抑制はa XVI型コラーゲンはすでに一次構造が決定してい 受容体の著明な減少に起因するものと思われた. るが,生理機能については不明である.今回我々は種々 Bowen病におけるp の培養条件及び種々の疾患における線維芽細胞の 化学的検討 川上民裕,斉藤隆三(東邦大第2),高橋 53,p21‘1心1発現の免疫組織 XVI型コラーゲンの発現を検討した.真皮表層由来の 啓(同病理) 1521 東京地方会第745回例会(研究地方会) Bowen病12症例のp 化学にて検討した. 発現を示し, 53, p Oiwafl/Cipl発現を免疫組織 細胞で充進していた.以上より隆起性皮膚線維肉腫の 増殖にVEGFの関与が想定された. p53は5例で隣接表皮に比べ過剰 p21は全例で過剰発現を認めた. 陽性例は表皮中下層で強く発現するのに対し, P53 TNP-470, p21 腫抑制効果の検討 増滓幹男,馬 剛,羽金重喜, etoposide, prednisoloneによる血管肉 陽性例は表皮上層で発現した.この発現パターンは同 浜田祐子,原口芙紗子,勝岡憲生(北里大),桜井美典 一症例内で有意差を認めた.以上よりBowen病の病 (同医療衛生) 因にp21が関与し,その発現にはp53依存性と非依 BALB/cマウス皮下形成血管肉腫ISOS-1に対して 存性の2つのpathwayが存在することが推測された. 血管新生抑制剤TNP-470は30 Bowen病,有韓細胞癌におけるCD 遠隔皮下投与で明らかな増殖抑制効果を認め,また 細胞のCD 40 発現と浸潤 etoposideは5 40 ligand発現について 天羽康之,太田 mg/kg 以上の週3回 以上の腹腔内5回投与で, 幸則,浜田祐子,立田美奈子,勝岡憲生(北里大),玉 nisoloneは100 内秀一(同微生物) 効果が見られた.併用投与ではTNP-470十etoposide Bowen病(BD),有縁細胞癌(SCC)におけるCD 及びTNP-470+prednisoloneとの併用投与で相加的 40発現を免疫組織化学的に検討,BDと比較してsec 効果が認められた.なお,明らかな副作用は観察され ではCD けるCD mg/kg mg/kg 以上の連日腹腔内投与で抑制 40 発現が低下していた.さらに浸潤細胞にお なかった. 40 ligand (CD40L)発現を検討したところ免 6−アミノレブリン酸による光力学療法の治療効果と 疫組織化学的には陰性であったが,RT-PCR法では, BD,SCCともにCD40L発現がみられた. CD 40 は 腫瘍増殖マーカーは相関するか 二宮嘉治,伊藤嘉恭, 秋山 酉,多島新吾,石橋 明(防衛医大) CD40Lとの架橋によるシグナル伝達を介して腫瘍細 6−アミノレブリン酸による光力学療法において治療 胞の増殖を抑制する.secにおけるCD 効果のない悪性腫瘍があることが知られている.そこ 40 発現の低下 はこの増殖抑制効果からの逸脱を示唆するものと考え で当科で光力学療法を施行した悪性腫瘍38例(BCC 17例, られた. sec 4 例, Bowen病6例, actinic keratosis 原発性と転移性の2種類のヒト皮膚癌細胞株の性 例, 状の比較 北見 周,秋山正基,岩井雅彦,小倉美代 PCNA, 子,飯島正文(昭和大) らの染色性との相関性を検討した. 当科で樹立した原発性皮膚有縁細胞癌由来株と口腔 Paget病3例)に対し細胞増殖マーカーである 6−アミノレブリン酸及びその誘導体と各種投与法に P-53, Ki-67の免疫染色を行い,治療効果とこれ 粘膜原発扁平上皮癌皮膚転移巣由来株の2種類のヒト おけるポルフィリンIXの発現 二宮嘉治,伊藤嘉恭, 皮膚癌細胞株をSCIDマウスに皮下・腹腔内投与し, 多島新吾,石橋 明(防衛医大),三好憲雄(福井医大 皮下結節形成能の相違を検討した.またin vitro で集 第1病理) 塊から遊離した細胞の再接着性と線維芽細胞への接着 6−アミノレブリン酸とその誘導体の光感作物質とし 性を検討した.転移癌では原発癌に比べ,皮膚転移巣 ての有効性を検討するために,腫瘍組織中ポルフィリ を形成しやすく,遊離した個々の癌細胞が互いに接着 ンIXの発現を比較検討した.腫瘍はマウスに接種し する傾向があり,カドヘリン,インテグリンの発現も たSCCを用い,6−アミノレブリン酸,及びその誘導体 高度であった. をそれぞれ塗布,腫瘍内注射及び腹腔内注射し,4時間 隆起性皮膚線維肉腫におけるVEGFの役割 門野 後,腫瘍を切除,冷凍切片を作製し,螢光顕微鏡下で 岳史,菊池かな子,帆足俊彦,玉置邦彦(東大),大原 赤色螢光を呈するポルフィリンIXの発現を観察し た. 國章(虎の門) 隆起性皮膚線維肉腫由来培養株細胞および組織標本 Ehlers-Danlos症候群IV型(EDSIV)の遺伝子診断 を用いVEGFおよびそのレセプターのfltとkdrの作 堺 則康(日医大・同第2生化学),渡辺 淳,中島英 用と発現を検討した.免疫染色ではVEGFの発現が腫 逸,山本基子,島田 隆(同第2生化学),西山康裕 瘍細胞に強く見られた. (同第2内科),青木恵理,川名誠司(日医大) mitgenic assay ではVEGF は腫瘍細胞に対して増殖刺激活性を示し,RT-PCR法 では腫瘍細胞はfit, kdrをより強く発現していた.ま たウェスタンブロット法ではVEGF, fitの発現が腫瘍 pred- III型collagen異常が原因であるEhlers-Danlos症 候群IV型(EDSIV)の遺伝子診断方法を確立した. 臨床的にEDSIVと診断された患者線維芽細胞より 8 1522 学 会 抄 録 totalRNAを抽出後RT-PCR法を行いCOL3AI遺 骨髄性プロトポルフィリン症患者の遺伝子変異を検 伝子のトリプルヘリックス領域, (G-X-Y) nに対しdi- 索するため,RT-PCR法を用いて, rect sequencing を施行し,G 877 D をヘテロに有する 子のcDNAの全長を増幅した.その結果,長さの異な 遺伝子変異を同定した.本方法は, EDS IVにおいて責 る2本のcDNAのバンドが得られた.これらの塩基配 任遺伝子であるCOL3A1遺伝子変異を検出する方 列を確認したところ,やや短いcDNAではexon 法として有用であると考えられた. 完全欠落がみられ,この変異に伴うフレームシフトと 骨髄性プロトポルフィリン症のferrochelatase遺 停止コドンの早期出現が考えられた.現在, 伝子の解析 杉田泰之,竹内瑞恵,小野田雅仁,竹下 のスプライシング異常をきたす原因となる遺伝子変異 芳裕,佐々木哲雄,中嶋 弘(横市大) について検索中である. ferrochelatase遺伝 2の exon 2
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