最新の住宅関連法律情報 - 弁護士法人 匠総合法律事務所

Newsletter 2012 vol. 1
最新の住宅関連法律情報
-目次-
◆「放射能汚染と建物価値」
弁護士 内田 創………P.10
◆「弁護士法人匠総合法律事務所のご案内」 ◆「放射能汚染と土地の売買に関する問題」
弁護士 秋野 卓生……P.1 弁護士 森田 桂一……P.12
◆「室外機騒音クレーム/近隣紛争」
◆「建築確認における『がけ』・既存擁壁の取扱い」
弁護士 有賀 幹夫……P.2 弁護士 菅谷 朋子……P.14
◆「近隣の暴力団事務所の存在と調査
◆「建設現場におけるトラブル事例相談」 ・説明義務について」
弁護士 江副 哲………P.16
弁護士 永瀬 英一郎…P.4
◆「元請負契約に帰属特約がある場合における ◆「暴力団排除条例について」 下請負人の出来形部分に対する権利主張について」
弁護士 吉川 幹司……P.6 弁護士 大友 秀剛……P.18
◆「地盤改良と産業廃棄物/瑕疵担保責任との関係」
◆「民間 ( 旧四会 ) 約款の平成 23 年
5 月改正と企業の対応」 弁護士 井上 雅之……P.20
弁護士 中川 藤雄……P.7
「弁護士法人
匠総合法律事務所のご案内」
弁護士 秋野 卓生 められて参ります。
特に、2011 年以降、東日本大震災、福島第一
原発事故といったこれまでに例のない天災・事故
への対応策について、企業、業界団体から依頼を
受け、多くの法律見解を提出させていただきまし
た。
「今、すぐに、法的見解を示して欲しい」と
いう要請に対し、事務所所属弁護士がチームとな
り、即、対応をする事の大切さを痛感しておりま
弁護士法人匠総合法律事務所は、住宅・建築・
設計・不動産・土木の分野における各種法律問題
を専門的に取り扱う法律事務所です。東京・大阪
す。
また、数多くの企業から依頼を受け、請負契約
書、保証書等の整備も実施しております。
の二拠点にオフィスがありますが、専門弁護士に
企業姿勢が鮮明に現れる契約書・規約に正面か
よる「より高度なリーガルサービスを得たい」と
ら取り組み、いかに、リスクを減らしながら顧客
いうニーズや深刻な大規模紛争・複雑化した紛争 (消費者)が安心して取引に入る事の出来る「よ
など、専門弁護士に依頼せざるを得ない紛争など、 り良い契約書」を目指し、オーダーメードにて対
北海道から九州まで全国から法律相談が寄せられ
1
ております。
応をさせていただいております。
そして、日々、更新されていく住宅・建築・設
住宅・建築・設計・不動産・土木の分野におい
計・不動産・土木の分野における最新判例を検証・
ては、新しい法律問題に対する対処法が日々、求
応用し、法律相談、訴訟等のあらゆる分野におい
て最新の判例も踏まえた上での最先端の対応をさ
広範囲のリーガルサービスを提供しております。
せていただいております。
6 人事・労務
本稿は、当事務所所属弁護士によるレベルの高
住宅・建築・不動産・土木の各業界における会
い執務体制の一端をお示しすべく、各弁護士によ
社において発生する人事・労務に関する法的アド
る論文をご案内させていただいたものです。
バイスを提供しています。
当事務所においては、定期的にニュースレター
7 事業再生・倒産
として、所属弁護士による論文をご案内させてい
当事務所では、住宅会社、建材販売会社、不動
ただき(ホームページ上でもご案内して参りま
産会社、建設会社に特化して、破産・民事再生・
す)
、住宅・建築・設計・不動産・土木の分野に
私的整理の手続きを行って参りました。
おける企業の法的支援を進めて参りたいと考えて
特に、民事再生・私的整理の手続きを活用した
おります。
事業再生にあたっては、住宅・建築・不動産・土
木の各業界における幅広い人脈を駆使し、スポン
■弁護士法人匠総合法律事務所における取扱業務
サーを得るなど、住宅・建築・不動産・土木業界
1 一般企業法務
専門弁護士としての強みを発揮しています。
住宅・建築・不動産・土木の各業界から発生す
る訴訟対応、紛争予防対策に強みがあります。
2 コンプライアンス・リスクマネジメント
住宅・建築・設計・不動産・土木の分野の専門
的な視点に基づく多様な経験に裏打ちされた専門
~ profile 弁護士 秋野卓生 ~
慶應義塾大学法学部法律学科在学中の平成 7 年 11 月、司
法試験合格。その後、平成 13 年 4 月に現在の弁護士法人
匠総合法律事務所の前身である秋野法律事務所を開設。現
在は、日本で唯一の住宅業界を専門とする法律事務所であ
る弁護士法人匠総合法律事務所代表社員弁護士として、住
的な知識・ノウハウに基づき、内部統制に関する
宅・建築紛争を数多く取扱っている。
体制整備、内部通報窓口、社内研修対応などのほ
<役職等>
か、様々な法律問題について質の高いリーガル
平成 16 年~平成 18 年 東京簡易裁判所非常勤裁判官
サービスを提供しています。
3 事故・リコール対応
建設建材や住宅設備機器の欠陥によるリコール
発生時の対応、重大製品事故が発生した際の対応
社団法人日本建築士事務所協会連合会理事・法律顧問弁護
士、同新法制度検討WG委員、同管理講習・開設者研修(仮
称)テキスト執筆委員会委員、社団法人住宅生産団体連合
会消費者制度部会コンサルタント
<主な著書>
をはじめ、各事故が発生した際、被害者対策、マ
建築設計・施工クレーム対応マニュアル(新日本法規)
スコミ対策、行政対応などに対する法的アドバイ
管理建築士講習テキスト(法令・判例)
スを行っております。
住宅建築のトラブル回避&解決 住まいのプラン集
4 広告物・利用規約等の作成支援 住宅・建設業者のためのコンプライアンス入門
特に住宅・不動産の分野では、多くの広告物(パ
ンフレット、カタログ、ホームページ、CM等)
が制作されます。これらの広告物について、景品
表示法等に基づく広告 ・ 表示 ・ 景品規制、特定商
取引法に基づく表記に関する作成助言やご相談を
承っております。住宅・不動産における蓄積され
たノウハウを活用し、スピーディー且つ専門的な
対応をすることが特徴です。
5 知的財産権 IT
「室外機騒音クレーム
/近隣紛争」
弁護士 有賀 幹夫
当事務所では、住宅・建築・不動産・土木に特
化して、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、
著作権、不正競争防止法上の権利等の知的財産権
全般について法的アドバイス・契約書作成など、
■はじめに 地価が高い都心部などでは,住宅を建築する際
2
には土地の面積を目一杯使い,できるだけ建築面
は,
平成 10 年 9 月 30 日付の環境庁告示 64 によっ
積を確保したいものであり,また,住宅では概観・
て,次のとおりに制定されている。
美観に対する施主,
購入者の拘りは大変に大きい。
一生に一度ともいえる高額な買い物である戸建
て住宅の売買や建築においては,これらは,施主,
購入者らの希望として当然のことともいえる。
隣地境界線のギリギリまで建物の面積を確保し
地域の種類
基準値
昼間
AA
A及びB
C
50 デシベル以下
55 デシベル以下
60 デシベル以下
夜間
40 デシベル以下
45 デシベル以下
50 デシベル以下
ようとする結果,エアコンなどの室外機等は境界
AAは療養施設,社会福祉施設等が集合して設
付近に設置され,かつ,室外機等の設置場所とし
置される地域など特に静謐を要する地域,Aは専
ては,道路面など通行人や訪問客などの目に付く
ら住居の用に供される地域,Bは主として住居の
場所が避けられる結果,住宅の裏側等に設置され
用に供される地域,Cは相当数の住居と併せて商
るケースも多い。これ自体,本来,自由に利用で
業,工業等の用に供される地域とされる。
きるはずの自らの土地内に設置しているだけであ
但し,道路に面する地域については,別基準が
るため,特段抵抗感が示されることもない。
定められているが,本稿では概観として上記を紹
ただ,室外機等が設置された裏側にまさに近隣
介するに留める。
住宅がある場合に,室外機等の作動音が,隣地に
この環境基準は,睡眠影響や会話影響などを考
侵入し,クレームに発展することがあり,ここに
慮の上一定の屋内騒音レベルを確保するためには
おいて紛争が顕在化する。
屋外の騒音レベルがどの程度である必要があるか
クレームの内容としては,「○○dB以上の音
といった観点から定められたものといえるが,
「人
を侵入させるな」「室外機等を移設せよ」という
の健康を保護し,及び生活環境を保全する上で維
要求や損害賠償請求などがある。
持されることが望ましい」とされる基準という位
■室外機等の作動音に法的な規制があるか? 置づけであり,法的義務として,直接,一定の作
騒音に関する法律には様々な法令がある。例え
為義務,不作為義務を課するものではない。
ば,環境基本法では,一般地域及び道路に面する
地域に関し環境基準を定め,騒音規制法は特定工
2 各種条例
場,特定建設作業,自動車騒音などの規制を定め
各地方公共団体は独自に公害対策につき施策を
る。
実施しており,例えば,東京都では,都民の健康
近隣関係に関する室外機等の作動音の問題につ
と安全を確保する環境に関する条例(平成 12 年
いては,次の法令は最低限,押さえておきたい。
12 月 22 日条例第 215 号)が策定されている。
この条例第 136 条は,
「何人も,第 68 条第 1
1 環境基本法
項,第 80 条及び第 129 条から前条までの規定
環境基本法は第16条で次のとおり定める。
に定めるもののほか,別表第 13 に掲げる規制基
1項 政府は,大気の汚染,水質の汚濁,土壌の
準(規制基準を定めていないものについては,人
汚染及び騒音に係る環境上の条件について, の健康又は生活環境に障害を及ぼすおそれのない
それぞれ,人の健康の保護し,及び生活環境
程度)を超えるばい煙,粉じん,有害ガス,汚水,
を保全する上で維持されることが望ましい基
騒音,振動又は悪臭の発生をさせてはならない。
」
準を定めるものとする。
と規定している。この別表第 13 では,日常生活
この規定を受けて騒音に関する環境基準として
等に適用する規制基準として,騒音規制がなされ
①一般地域及び道路に面する地域に適用される
ている。
「騒音に係る環境基準」,②飛行場周辺に適用され
3
る「航空機騒音に係る環境基準」
,③新幹線鉄道
沿線に適用される「新幹線鉄道騒音に係る環境基
準」が定められ,本稿に関わりのある①について
一例として,第一種低層住居専用地域を紹介す
ると,次のような規制となっている。