ソーラーカープロジェクト - 徳島大学創成学習開発センター

ソーラーカープロジェクト
プロジェクトメンバー
リーダー:濱田健史,機械工,2 年
西村一志,機 械 工,2 年 泉とも子,機械科学,1 年 川岸幹右,機械科学,1 年
坂野友洋,機械科学,1 年 南葉達也,機械科学,1 年 射 矢 響,電気電子,1 年
大 下 悠,電気電子,1 年 国富寿明,電気電子,1 年 中島快人,電気電子,1 年
野間一志,電気電子,1 年 三宅遼汰,電気電子,1 年 橋 本 燎,社会基盤,1 年
亀 尾 優,情 報 光,1 年 亀 尾 優,情 報 光,1 年 亀 尾 優,情 報 光,1 年
1.プロジェクトの目的と目標
本プロジェクトは,2015 年 5 月に発足し
た.きっかけは,チームリーダーが小学生
の時に地元の大学でソーラーカーを見て憧
れ,大学で自分でも作ってみたいという強
い思いにある.現在のメンバーは徳島大学
理工学部の 1 年生と工学部の 2 年生 14 名で
ある.徳島大学工学部創成学習開発センタ
ーを活動拠点とし,大学の創造性教育の一
環として支援されている.
本プロジェクトの目標は,2017 年 8 月に
三重県の鈴鹿サーキットで開催される「ソ
ーラーカーレース鈴鹿」に出場することで
ある.これが実現すれば,四国の大学では
初のソーラーカーレース出場となる.
将来的には,レース優勝を目指し,徳島
と言えば「徳島大学のソーラーカープロジ
ェクト」と言われるくらい,徳島の誇りに
なりたい.また,ソーラーカーで地域の小
学校を回り,子供達に科学やモノづくりの
魅力を伝えたいとも考えている.
ーラーカーは,エンジンカートを改良し,
バッテリとソーラーパネルを搭載しモータ
駆動とした(図 1).モータの制御装置であ
るモータドライバは自作し,回生ブレーキ
によりアクセルを緩めると止まるような仕
組みとした.フレームやモータの固定台な
どは自ら溶接した.
学習用ソーラーカーの製作を通して,ソ
ーラーカーに関する基本的な知識と技術を
習得することができた.
なお,後述するように,我々は,地域の
イベントに参加しており,試乗する子供の
安全を確保のために,モータコントローラ
ーの最高速度調節機能,キーロックスイッ
チおよび緊急停止ボタン,ハンドルにスイ
ッチボックスを取り付けた.
4.レース用ソーラーカー
CAD による設計図を図 2 に示す.
レース用ソーラーカーの特徴は,車高の
低い流線型の四輪駆動とし,独創性が高く,
かつ,自作部品を使い低コスト化を図る予
2.ソーラーカーレース鈴鹿とは?
定である.
ソーラーカーレース鈴鹿とは,三重県鈴
今後,荷重などの計算をしてウィッシュ
鹿市の鈴鹿サーキットで毎年開催されるソ
ボーン形式をとるのか,板バネを重ねてシ
ーラーカーレースである.近年では,太陽
ョックアブソーバの役割を兼ねた形式を取
電池の高効率化,複合素材による車体の軽
るかを検討していく.
量化,充電池の小型軽量化,パワーエレク
タイヤの荷重に関しては,鈴鹿サーキッ
トロニクスの発展による制御装置の効率向
トのカーブの半径と走行速度から遠心力を
上,電動機の高出力化により全般的に高性
含めた荷重を計算したので今後規定の範囲
能化が進み,晴天時には時速 100km 以上で
で対応したタイヤを選別する.
のレース展開が繰り広げられる.
製作は車体製作班と電装班に分かれて行
レースは,太陽電池の出力に応じてクラ
う.車体製作班は,リーフサスペンション
ス分けされており,私たちは ENJOYⅡクラ
スに出場する.ENJOYⅡクラスには例年,
やタイヤやブレーキの取り付けを行う.ま
高専,工学系の大学,そして企業チームが
た,ステアリングなども設計通りに製作し
たくさん参加している.ENJOYⅡクラスは, ていく.
ソーラーパネルの出力が 480W 以下でバッ
電装班は,駆動用のモータとしてオルタ
テリは鉛のみ使用可能である.1 周 5.807km
ネータを 4 個用いてそれぞれの車輪を駆動
のコースを 4 時間で何周できるかを競う.
させる.次に,モータを駆動するためのイ
ンバータ回路を製作する.そして,ソーラ
3.学習用ソーラーカー
プロジェクトが発足から今年度にかけて, ーパネルからの電力を効率よくバッテリに
充電することができる回路を製作する.
ソーラーカーの技術を学ぶために学習用ソ
以上のように車体製作と電装部分の製作
ーラーカーを一から組み上げた.学習用ソ
を同時にすすめることで,6 月の試走に間に
合わせ,7 月に練習や調整を経て 8 月のレー
スに出場する.
5.イベントへの出展
我々は,ソーラーカープロジェクトを多
くの人に知ってもらうため,また,子供達
に科学やモノづくりに興味を持ってもらう
ために,積極的に地域のイベントに参加し
ている.
2016 年 9 月 17~19 日(場所:あすたむら
んど徳島)は,徳島工業短期大学と共催で
学習用ソーラーカーを展示した.
11 月 26,27 日(場所:あすたむらんど徳
島)は,「サイエンスフェア 2016 おもしろ
博士の実験室」に参加し,手回し発電機や
ソーラーパネルを用いて子供たちに科学の
魅力を伝えた(図 3).
12 月 18 日(場所:徳島市のしんまちボー
ドウォーク)は,「トモニ SunSun マーケッ
ト」において,学習用ソーラーカーの展示
し,たくさんの市民の方にプロジェクト内
容を紹介することができた.
6.クラウドファンディングへの挑戦
レース用のソーラーカーを製作するには
百万円を超える資金が必要で,大学から支
援される僅かな資金と学生のアルバイト代
だけ到底賄うことができない.そこで,徳
島大学が 2017 年 11 月から運用を開始した
クラウドファンディングを活用し,多くの
方の支援を募集することにした.現在,徳
島大学の卒業生にメールを送ったり,地元
の企業を訪問して支援を呼びかけている.
7. 創造性教育の効果
大学生が,ソーラーカーの開発に取り組
む意義は,電子工学や機械工学など専攻分
野以外の様々な知識を学ぶことができ,か
つ,その知識を実践できる点にある.
また,レースの戦術には,刻々変わる気
象も織り込んだレースマネジメントを行わ
なければならないため戦術的思考やマネジ
メント能力も要求される.ソーラーカーの
開発を通じて問題解決能力が向上し,技術
的な視野が広がり,活動を通じてチームワ
ークの重要性を認識することができる.
我々は,この経験を糧に,将来,社会に
貢献できる人材になる.
図 1 学習用ソーラーカー”すだち号”
図 2 レース用ソーラーカーの設計図
図 3 科学イベント出展時の様子