昨年 12 月末の角田市の人口は 3 万 1665 人で、こういう言い方はおかしいとは思うが、1 年間の人口減少は 66 人で済んだ。というのも、これまでは毎年 300 人余りの人口減少が続 いていたからだ。昨年は、出生者数 216 人に対して死亡者数は 434 人で、その差 218 人が 減となったのだが、転入者が1088人と、転出者の 936 人を上回り、その差 152 人の転 入超過となったことが人口減少を抑えた要因だった。 転入超過は明らかに昨年の大震災によるもので、特に津波の被災地から角田に引っ越し て居住している人たちが多い。 人口回復への道は転入超過になることであり、出生者数が増えることである。昨年のよ うな大きな転入増は今後見込めないとなると、やはり若年層の定住を進め、子育て環境を 良くするなどして出生者数を増やしていくこと以外に方法はない。 平成 3 年までは出生者数が死亡者数を上回り、人口減少は少なかったのだが、その後逆 転してその差は広がっている。高齢人口が増え続け、若年人口が減ってきているのだから、 死亡者増による人口減少が長期的に続いていくことが予想される。 これに対して、これぞという答えは見つからないが、少子化対策は急がないといけない。 焼け石に水との批判もあるが、角田市は子育て支援を強化している。保育料は仙南一安く した。子どもの医療費は、小学生までは全額が、中学生は入院が無料になるよう、県内ト ップレベルの水準で助成している。子どもの教育レベル向上のため子ども図書館を建て、 2月16日には宮城教育大学との連携協定も結んだ。子育てを担う若者に魅力あるまちを 目指して、働く場を確保し所得を増やすため企業誘致に力を注ぎ、まちの利便性を向上さ せる道路整備にも多額の投資を行っている。 これで、はたして子どもは増えていくのだろうか。いやそうならなければむなしいでは ないか。成果が上がるのは 20、30 年先になろうが、少し遠く先を眺めながら、将来に備え た布石を打ち、種をまくのもまちづくりの手法の一つである。花が咲くのを楽しみにしよ う。
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