「FX特別レポート」(4/6) 4 月に相場が転換しやすい理由とは? ㈱マネー&マネー社長・吉田 恒 4 月に入ったが、今回は 4 月相場の特徴をいくつか紹介したい。5 月末中間期末に近付く 中でのヘッジファンド取引と、そしてもう一つイースター休暇ということ。 以前書いたように、3 月末、4 月初めは当面の天底をつけやすい、別な言い方をすると相 場の転機となりやすい傾向が確認できるが、その原因を、今回紹介する 4 月の特徴と関連 つけて考えてみるのも参考になりそうだ。 ◆HFの損失が話題になる 4 月 ここ数年、4 月はヘッジファンド(HF)の損失が話題になってきた。 昨年は「GMショック」 。3 月にGMの社債格下げ思惑などがきっかけとなって、低格付 け社債が急落。これで損失を被ったヘッジファンドが、5 月末の中間期末にかけて解約に備 えたキャッシュ化を急いだことが為替でも話題になった。 また一昨年、2004 年の場合は、中国の金融引き締めだった。これにより世界の金融市場 が軒並み急落。そして損失を被ったヘッジファンドは、やはり 5 月末の解約に備えてキャ ッシュ化を進めた。 ところで、そんな昨年、一昨年のヘッジファンドのキャッシュ化はドル買い戻しになっ て、ドルは過去 2 年間、4-5 月にかけて反発の展開となった。 さて、今年はどうか。今年も中東欧の一部市場が急落、それで損失を被ったヘッジファ ンドがあったようだ。彼らはそんな損を埋めるため、利ののったオセアニア通貨を売り、 それで最近のオセアニア・ショックになっているというのが私の指摘だ。 ところで、5 月末の中間期末に向けて、ヘッジファンドが損失対策で動いているというの は、過去 2 年間と似た構図といえるが、それは為替ではやはりドル高になるのか。その点 について私はやや疑問だ。 昨年春まではドル安局面で、ヘッジファンドも運用の元手が「ドル・キャリー(ドル売 り取引)」が中心だったため、その逆流でドル高になったということではないか。それに比 べると、最近はすでにドルが高金利通貨になっており、ドル・キャリーはほとんどなくな っているだろう。 このように見てくると、ヘッジファンドの中間期末に向けた動きも、過去 2 年間のよう に一方的なドル高ではないと考えられる。 ◆イースター薄商いの影響とは? 今年のイースター休場は 4 月 14、17 日だという。例年、このイースターに向けて持ち高 調整が入りやすいため、頭の片隅に入れておく必要があるだろう。 イースターはキリスト教関連の祝日で、とくに欧州の主要市場は金曜日から週末をはさ んで週明け月曜日まで連休となるところが多い。このため、ある程度薄商いになる。 ちなみに、「グッド・フライデー」と呼ばれる金曜日の休みは、昨年は 3 月 25 日、2004 年は 4 月 9 日、2003 年は 4 月 18 日だったが、それぞれのドル円出来高(スポット)は 35 億ドル、53 億ドル、32 億ドルだった。先週のドル円一日平均出来高が約 100 億ドルだった ことと比べると、かなり薄商いになっていたことがわかるだろう。 この影響と思われるが、例年、このイースター休暇に向けて、持ち高が縮小する傾向が 確認できる。たとえば円の場合、2003-2005 年の過去 3 年間、グットフライデーの 10 日程 度前までに売り買い差し引きの持ち高は 3-5 千枚に縮小していた。 さて、以上を踏まえて、最近の持ち高を確認すると、シカゴIMM統計では 3 月 28 日現 在で円が 3 万枚の売り持ち、ユーロが 4 万枚の買い持ちだった。中旬のイースターに向け て持ち高調整が入りやすいなら、円はそれほど下がらない、ユーロはそれほど上がらない のではないか。(Y) 参考:非米ドル主要通貨のネット持ち高推移 250,000 ↑ ドルショー ト 200,000 150,000 05.3月GMショック 04.4月中国引き締め 100,000 50,000 0 -50,000 -100,000 -150,000 ↓ ドルロング 06/02/28 06/01/10 05/11/22 05/10/04 05/08/16 05/06/28 05/05/10 05/03/22 05/02/01 04/12/14 04/10/26 04/09/07 04/07/20 04/06/01 04/04/12 04/02/24 04/01/06 -200,000
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