都市計画マスタープランとは(PDF:209.5KB)

第1部 都市計画マスタープランとは
第1部 都市計画マスタープランとは
1.都市計画とは
都市は人やその活動が集中する場所だけに、ややもすれば無秩序な混雑や混乱が生じ
かねません。18 世紀にイギリスから始まった産業革命は、人口や産業の都市集中をもた
らし、まさに都市に大きな混雑と混乱を生じさせました。このため、イギリスでは、都
市の衛生状態を改善するために道路幅員、建物の高さや構造、汚水の処理等を規制する
公衆衛生法、あるいは労働者の住宅を改善するために公的住宅を供給する労働者住居
法、また、ドイツでは消防等の観点から道路用地を確保するために建築を規制するプロ
シャ建築線法、そして積極的に道路用地を生み出すための区画整理手法を制度化したア
ディキス法が制定され、これが近代都市計画の始まりとなりました。やがて 1909 年にイ
ギリスにおいて、都市そのものを法制度の対象とする住宅・都市計画法が誕生し、それ
以降、都市計画という言葉が一般化したといわれます。
一方、産業革命に遅れをとったわが国では、都市計画は当初より近代国家形成の手段
として導入されました。1888 年(明治 21 年)に、東京を近代的な街に作り変えるため
の市区改正条例が制定され、これがわが国における近代都市計画の始まりとなりまし
た。この条例は、1918 年(大正 7 年)に、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸にも準用さ
れましたが、その翌年の 1919 年(大正 8 年)に、イギリスやドイツにならって建築物を
規制する市街地建築物法(建築基準法の前身)とセットで都市計画法が制定され、これ
により現在の都市計画に関する法制度の骨格が出来上がりました。
その後、わが国では、戦後の高度経済成長により爆発的といわれるほどの都市集中が
進展したことから、1970 年(昭和 45 年)に、都市計画法の抜本的改正が行われました。
以来、前身が(旧)都市計画法、現在のものが(新)都市計画法と呼ばれています。
本マスタープランにおける都市計画とは、この(新)都市計画法に基づいて行われる「土
地利用」、「都市施設」、
「市街地開発事業」の3つの分野に関する計画を意味します。各
分野の代表的事項を挙げると以下のようになります。
①土地利用
・市街化区域と市街化調整区域
・用途地域
②都市施設
・道路
・都市高速鉄道
・公園
・水道
・河川
③市街地開発事業
・土地区画整理事業
・市街地再開発事業
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2.都市計画マスタープランとは
平成4年に(新)都市計画法の一部が改正され、都市計画を定める市町村は「都市計画
に関する基本的な方針(以下、基本方針という)」を定め、市町村が定める都市計画は、
これに即したものでなければならないとされました。この基本方針を「都市計画マスタ
ープラン」とも呼んでいます。
これを先述の都市計画法に則して言い換えれば、土地利用、都市施設の整備、市街地
開発事業それぞれの基本方針を定めたものということになります。ただし、その策定に
あたっては、都市の現況及び動向を勘案しながら、その生活像、産業構造、自然的環境
等について目標とすべき都市の将来ビジョンを明らかにした上で、これを実現するため
の手段として、個々の都市計画が相互に関係性をもった体系的な指針となることが求め
られます。
つまり、先述のように都市計画は、実際には用途地域、都市計画道路、土地区画整理
事業といった個別の計画として法的に定められますが、そうした個別都市計画の根拠と
なり裏づけとなる「全体プラン」が都市計画マスタープランというわけです。
3.井手町都市計画マスタープランの位置付け
(1)上位計画
上記のように、都市計画マスタープランは、都市の将来ビジョンを踏まえたものでな
ければなりません。一方、各市町村には、自治体の全ての計画の基本になる計画として、
地方自治法に基づいて策定する「総合計画」があります。従って、当然のことながら、
都市計画マスタープランも、この総合計画を根本に踏まえて策定する必要があります。
井手町では、平成 13 年度に『第3次井手町総合計画』が定められていますので、これ
が、すなわち井手町都市計画マスタープランの最も重要な上位計画となります。なお、
総合計画の京都府版として平成 12 年度に策定された『新京都府総合計画』があります
が、これは井手町総合計画の上位計画にあたりますから、間接的ではありますが本マス
タープランの上位計画となります。このほか、間接的な上位計画としては京都南部都市
広域行政圏推進協議会(向日市、長岡京市、八幡市、宇治市、城陽市、京田辺市、大山
崎町、久御山町、井手町、宇治田原町)が平成 6 年度に策定した『京都南部都市広域行
政圏計画』があります。
一方、都市計画マスタープランの直接的な上位計画としては「都市計画区域マスター
プラン」があります。これは、平成 12 年の都市計画法の改正によって「都市計画区域の
整備、開発及び保全の方針」として都道府県が定めるとされたものです。京都府では、
府内14の都市計画区域別に策定されており、井手町に関しては、このうちの『宇治都
市計画区域の整備、開発及び保全の方針(以下、『京都府都市計画区域マスタープラン』
という)』(平成 19 年 11 月改正)が上位計画となります。
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新京都府総合計画
京都府都市計画区域マスタープラン
京都南部都市広域行政圏計画
第3次井手町総合計画
井手町都市計画マスタープラン
井手町都市計画
土地利用
都市施設の整備
市街地開発事業
図-1.1 井手町都市計画マスタープランの位置付け
(2)目標年次
都市計画は、よく五十年先あるいは百年先を見据えたものでなければならないといわ
れます。しかし、ここでいう都市計画とは、先述のように現在進行形で実施される行政
計画ですから、長期とはいえ誰もが理解できる期間に設定される必要があります。
一方、直接の上位計画である『京都府都市計画区域マスタープラン』では、策定時か
ら約 10 年後の平成 27 年(2015 年)を目標年次としています。
このため、井手町都市計画マスタープランも、これにあわせて平成 27 年を目標年次と
します。
目標年次
2015 年(平成 27 年)
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