【特別講演】 水害事例から見えるハード・ソフト対策の課題

【特別講演】
水害事例から見えるハード・ソフト対策の課題
京都大学防災研究所付属流域災害研究センター
中 川
一
教授
目
1.はじめに
次
~最近の豪雨災害をみる~
2.水害事例から見えるハード対策の課題
2.1 堤防
2.2 ダム
3.水害事例から見えるソフト対策の課題
3.1 避難
3.2 ハザードマップ
4.おわりに
~最近思っていること~
平成28年1月27日
於:京都市呉竹文化センター
第621回建設技術講習会(災害復旧)
~災害復旧の制度、災害復旧時の工法や技術、申請のポイント、
災害査定時の留意点などの実務を学ぶ~
水害事例から見える
ハード・ソフト対策の課題
京都大学防災研究所
流域災害研究センター
河川防災システム研究領域
中川 一
内容
1.はじめに ~最近の豪雨災害をみる~
2.水害事例から見えるハード対策の課題
2.1 堤防
2.2 ダム
3.水害事例から見えるソフト対策の課題
3.1 避難
3.2 ハザードマップ
4.おわりに ~最近思っていること~
1.はじめに ~最近の豪雨災害をみる~
最近の日本の降雨の状況
・年降水量の経年変化を長期的に見ると少雨と多雨の変動が増大。
・1時間降水量50㎜以上及び80㎜以上の
◆1時間降水量50㎜以上の年間発生回数(1000地点あたり)
年間観測回数は増加傾向。
最近10年(H14~H23)と20年前
400
360
約1.2倍
331
350
(S57~H3)を比較すると
295
275
275
300
256
時間50mmの大雨は、約1.2倍、
251
245
243 254
250 230
209
207
196 194
時間80mmの大雨は、約1.3倍に増加
188 190
178
174182
200 186
169
157
150
100
◆年降水量の経年変化
(mm)
2,100
変動幅大
2,000
1,900
95
S57~H3
50
0
187回
平均
57 58 59 60 61 62 63 1
H14~23
H4~13
平均
2
3
4
5
35
年 1,700
降
水 1,600
量
6
7
199回
8
平均
226回
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
31
約1.3倍
28
29
30
25
1,500
20
1,400
1,200
112
110 103
◆1時間降水量80㎜以上の年間発生回数(1000地点あたり)
1,800
1,300
159
132
156
15
年降水量
10
5年移動平均
トレンド
5
1,100
1900 1910 1920 1930 1940 1950 1960 1970 1980 1990 2000 2010
「平成24年版日本の水資源」より
0
24
22
16
15
10
11 12
5
11
6
S57~H3
10 10 10
6
13.0回
平均
57 58 59 60 61 62 63 1
H4~13
平均
2
3
4
5
6
7
8
14.4回
10
21
18
16
15
8 9
23
14
11
16
12
8
H14~23
平均
16.3回
9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
気象庁HPアメダスより
平成27年9月10日の鬼怒川水害
鬼怒川
小貝川
平成27年9月の台風18号に伴う大雨による鬼怒川決壊:右下が上流(茨城県常総市))
死者:6名
台風18号くずれの低気圧と台風17号との
配置で形成された線状降水帯の形成
https://www.aeroasahi.co.jp/news/detail.php?id=22
浸水実績
平成26年8月豪雨
広島土砂災害 (2014.8.20)
広島市三入(いずれも観測史上1位)
最大1時間降水量 : 101.0mm
最大3時間降水量 : 217.5mm
最大24時間降水量 : 257.0mm
全壊133戸、半壊122戸、一部損壊174戸
死者74名
(広島県資料)
過去にも土石流災害をくり返してきた地域
であるが、砂防ダムの建設が追いついて
いなかった。
気象庁は1:15に土砂災害警戒情報を発令
したが、広島市が避難勧告を発令したのは
4:15で、災害発生の通報後であった。
警報情報と避難指示
4:15 避難勧告
1:15 土砂災害警戒情報(第1号)
発表
1:35 土砂災害警戒情報(第2号)
発表
3:40 土砂災害警戒情報(第3号)
発表
平成26年8月豪雨
福知山市(2014.8.16~17)
・弘法川、法川上流からの大量の洪水
が、土砂とともにあふれた。
・1.6m程度浸水した箇所もある。
・浸水によって停止したポンプがあった
が、ピークの浸水状況には大きな影響
はなかったと思われる。
平成25年の台風18号での洪水 桂川
ギリギリの貯水操作で下流を守った
今にも流失しそうな渡月橋
久我橋下流での越水による浸水
出典:平成25年9月台風18号洪水の概要
(国土交通省近畿地方整備局)
桂川・小畑川水防事務組合による水防活動
平成25年9.16台風18号による京都の水害
京阪六地蔵駅付近の山科川
マンホールからの雨水の噴き出し
平成25年京都市小栗栖での内水氾濫
一号主ポンプ
1972年設置
小栗栖排水機場
中央監視盤(3F)。2004年
更新 (2Fの操作機でない
とポンプは復帰しない)
浸水
痕跡
畑川流域での浸水痕跡
浸水の再現計算結果
平成25年9.16台風18号による京都の水害
木幡池からの溢水
中書島駅横アンダーパスの水没
宇治川や山科川の水位がHWLを超えると排水はできない➡内水氾濫
小栗栖の畑川等の内水河川では、ポンプは計画高水流量を排水する能力を有するのでは
なく、河道から溢れる分の水を排水する能力を持たせている➡内水河川の超過洪水で氾濫
➡ゲートを閉切れば通常洪水でも氾濫の危険
内水域の住民にこのような治水環境であることを正しく理解してもらう必要がある
平成25年の小栗栖の浸水事故、平成26年の福知山市内の水害事例を通して正しく理解
平成24年8.14 城陽・宇治の水害では
危険であることは認識している。危険
個所も把握できている。大規模水害
では一気に、同時に発生する。
➡有効な対策を講じる義務がある。
平成25年9.16台風18号による京都の水害
伏見区内で発令された避難勧告・避難指示
16日03時55分 久我の杜、羽束師、淀、横
大路、納所学区に避難準備情報
16日06時15分 久我、久我の杜、羽束師、
淀、横大路、納所学区に避難勧告
16日06時30分 淀南学区に避難勧告
16日06時35分 下鳥羽学区に避難勧告
16日07時45分 久我、久我の杜、羽束師学
区に避難指示
16日08時00分 淀、納所、淀南、下鳥羽、横
大路学区に避難指示
16日08時25分 向島、向島南、向島二ノ丸、
向島二ノ丸北、向島藤ノ木学区に避難指示
避難所入口の靴の数・・・
台風18号で京都市は避難指示を要避難地区の住民270,000人にだしたが、避難し
た人は3,800人。避難率はわずかに1.4%という低さ。
情報に基づく行政の危機意識と、情報を有しない若しくは有しようとしない
住民の危機意識の乖離を小さく➡情報の共有化を図る工夫
2.水害事例から見えるハード対策の課題
2.1 堤防
我が国においては、国土面積の約1割に過ぎない洪水氾濫区域に、5割の人口、
4分の3の資産が集中。ひとたび破堤氾濫が発生すれば被害は甚大なものとなる。
堤防で守ら
れている
平成2年:全国総人口122,750千人
洪水氾濫区域内人口68,110千人
堤防で守ら
れている
平成2年:全国総資産1,143兆円
洪水氾濫区域内資産813兆円
脆弱な堤防(砂堤防)
淀川水系木津川
堤防の安全性点検
結果(平成22年3月現在)
中川家
最近の破堤氾濫災害
平成16年7月の福井豪雨災害:足羽川の
堤防決壊(近畿地方整備局提供)
平成24年7月の九州豪雨:矢部川破堤(福岡県柳川市)
出典:http://ef81hokutosei.way-nifty.com/blog/cat23257671/index.html
平成27年9月10日12時50分常総市石下で破堤
平成25年9月台風18号による水害:滋賀県鴨川
(天井川)の堤防決壊(滋賀県提供)
平成27年9月の台風18号に伴う大雨による
鬼怒川決壊:右下が上流(茨城県常総市)
出典:https://www.aeroasahi.co.jp/news/detail.php?id=22
堤防の改修・維持・管理(1/2)
平成24(2012)年7月に発生した九州の豪雨災害で矢
部川の堤防が決壊したことを受けて、国土交通省が
全国109の一級水系の国直轄の河川堤防を緊急点検
した。その結果、直轄河川堤防延長13,400kmのうち、
●堤防の点検が必要な延長は9,200 km
●対策が必要な堤防の総延長は約2,200km
①浸透:約600km
②パイピング:約600km
③流下能力不足:約1,500km
④河岸侵食・洗掘:約200km
堤防の改修・維持・管理(2/2)
裏法の越水侵食対策、余裕高部分の補強等:超過洪水対策で
あり、優先度が低くなって、ほとんど未対応。気候変動によ
る外力の増大化にどう対応するのか?ハードによる減災対策
の一つにこれらの堤防強化があってよいと考える。ダムによ
る洪水調節の限界もH25年18号台風で見えてきた?
2.2 ダム
ダムの機能をフルに発揮・・・・でも
ダムはよく頑張った。しかし、既存のダム
での対応の限界も見えてきた?
見えてきた課題
1.貯めに貯めてぎりぎりまで貯めたが、もし、その後もう一山の
豪雨があったらどうだったのか?シミュレーションしておくべき。
2.ダム堤体を全幅で越水するような事態が生じた場合、どの程
度の越流深ならどの程度持つのか、分かっているか?
3.貯めることに精力がつぎ込まれたが、もし、ダムが決壊するよ
うな事態になれば、というシナリオのもとで貯水対応と同時に
危機管理の対応ができていたのか?
4.その場合、要避難対象区域が大きいため、かなり事前の避難
情報提供や避難対応の準備が必要だが、このような対応が
できる環境に現在あるのか?シミュレーションはなされている
のか?
5.今後の気候変動による外力の増大化が懸念される中、ハード
対策としての新規ダムの減災効果は大いにあるのではないか?
3.水害事例から見えるソフト対策の課題
3.1 避難
住民側の課題
平成25年の台風18号で京都市
は避難指示を要避難地区の住
民270,000人にだしたが、避難
した人は3,800人。避難率はわ
ずかに1.4%という低さ。
行政側の課題
避難所入口の靴の数・・・
伊豆大島では、平成25年10月16日2時49分、元町地区の住民か
ら「家の中に泥が流れ込んできた」と警視庁大島警察署に通報。
現場に赴いた署員が危険を感じたため、3時10分と同26分の2度
にわたり町役場に電話、防災無線を流し、避難勧告するよう要
請。町は防災無線で沢の氾濫に注意するよう求めただけで避難
勧告をしなかった。
平成16年福井豪雨災害から学んだ教訓と課題
防災意識の向上を
●足羽川・荒川がまさか氾濫するとは
思っていなかったと回答した割合が
65.2%もいた。
●大雨が降っていた7月18日の午前中にお
いてさえ「不安を感じていなかった」
とした人が50.5%と約半数を占めた。
●一方、行政側は堤防決壊の危険性があっ
て越水・漏水対策などの対応に追われ
るなど、大変な危機感を持っていた。
このように、住民と行政との間で危機
意識の乖離があった。
●出された警報や避難勧告・指示の情報
を活かしきれていないことから、情報
の受け手側である住民が積極的に情報
を入手する努力をするなど、防災意識
の向上が望まれるとともに、住民にわ
かりやすく、かつ、確実に情報が伝わ
るようなシステムの構築が望まれる。
川が氾濫する危険性は高い
と思っていた
10.0%
その他
0.5%
もしかしたら川が氾濫する
かもしれないと思っていた
24.4%
まさか川が氾濫するとは
思っていなかった
65.2%
付近の川(足羽川、荒川)が氾濫するかも
しれないと思っていたか
自宅が被害を受けるのではな
いかと非常に不安だった
21.2%
自宅が被害を受けるという不安
は全くなかった
20.4%
自宅が被害を受けるという不安
はそれほど感じなかった
30.1%
自宅が被害を受けるのではな
いかと、多少不安だった
28.2%
大雨が降っていた7月18日の午前中に
不安を感じていたか
まったく聞かなかった
17.4%
その他
1.2%
水害が起こる前に聞いた
33.6%
水害が起こってかなり後になっ
て避難勧告が出ていたことを聞
いた
21.2%
水害が起こった直後に聞いた
26.5%
避難勧告・指示をいつ知ったか
防災意識に関するアンケート結果4)の一部
1997年5月10~11日
八幡平地すべり
→土石流
役所の臨機応変な
対応が命を救った
地すべり地
澄川温泉
赤川温泉
赤川橋
秋田県鹿角市熊沢川
土石流災害(死者0人、
16棟全壊)
国道341号
赤川1号砂防ダム
鹿鹿
角角
市市
災災
害害
警警
戒戒
対本
策部
室に
を切
り
替
え
澄赤
川川
温温
泉泉
にに
避避
難難
勧勧
告告
銭
川
温
泉
に
避
難
勧
告
(通報した澄川温泉主人の報告)
5月3日:断続的な 水の濁り 。
5月4日:旅館の裏山の水源地 で 濁り 。今までこんな事は
今ま
んな事は
なし。
5月7日:夕方から降雨。8日
夕方まで継続。
5月8日:降雨により露天風呂
が 崩壊。
8:04
18:55
鹿
角
市
災
害
警
戒
対
策
室
設
置
5月10日以前の状況
7:0
00
16:49
17:02
消建
防設
・ が
市現
土地
木視
・ 察
総
務
・
16:45
10:30
〜1
14:00
澄土
川砂
温崩
泉れ
経の
営第
者一
よ報
り
14:00
7:0
00 頃
鹿角市の危機対応
鹿に
角よ
市る
長現
以地
下調
市査
調
査
団
澄直
川後
温に
泉土
で石
地流
す発
べ生
り
発
生
5月9日:降雨後の巡回で裏山 から 温泉が湧き 、川向かい
の神社境内で 亀裂・段差 を
発見。
澄川温泉客退去
6時
1997年
12 時
5月10日(土)
18 時
0時
6時
5月11日(日)
国道341号線一部通行止め
(18:15)
鹿角市がとった対応の時間的推移
赤川温泉倒壊の連絡
(8:24)
12 時
1997年7月9~10日
鹿児島県出水市での
深層斜面崩壊
市の優柔不断な
対応が・・・
砂防ダム
崩壊地源頭部
針原川での深層斜面崩壊
0
積算雨量
20
(mm)
出水市の
危機対応
(死者21人、
18棟全壊)
降雨強度
(mm/h)
降雨強度
40
(出水浄化センター)
0:00 針原公民館避難者無
0:44
降雨強度
400
60
土石流発生
市職員自宅待機
(気象庁出水気象観測所)23:00
消防署非番帰宅
342
有線放送で
mm
19:00
23:00
自主避難の呼びかけ
300
巨石が流れる 80
避難所開設,
ような音を多
17:30 自主避難の呼びかけ
くの人が聞く
200
17:00
出水市災害対策
本部設置
積算雨量
(出水浄化センター)
100
10:45 薩摩地方北部大雨洪水警報
0
0
7/9
1997
6
12
18
時間(時)
0
7/10
6
避難勧告、指示の発令に躊躇?
とくに、深夜の避難勧告、指示の発令に気が引ける
平成21年年8月9日の兵庫県西・北部豪雨で、佐用町は午後9時20
分に避難勧告を発令。避難中に濁流に流される等、死者・行方不明
者が計20人に。「不適切な発令が原因で死亡した」と住民が提訴。
平成25年10月の台風26号で39人の死者・行方不明者が出た伊豆
大島(東京都大島町)では、町が避難勧告を出さなかったことに批
判が集中。川島理史町長は「深夜の発令は被害者を増やす恐れが
ある」と説明したが、当時、町長と副町長が出張で不在だったため、
適切な判断ができなかったとの指摘もある。
平成26年8月20日、気象庁が、1時15分に土砂災害警戒情報を発表
したのに対し、広島市は、4時15分以降に避難勧告を発表した。こ
れに対し、「空振りでも避難勧告を発表するべきだ」と批判されて
いる。また、3時20分ごろから「土砂災害が発生した」と通報されて
いた。
弱小市町村で避難に対応できるか?
1.弱小市町村では情報入手をスピーディーにできない
2.弱小市町村では情報(降雨等)を適切に分析できない
3.弱小市町村では人手が足りない
このような弱小な自治体に、いわ
ば最後の手段である避難の勧告、
指示を任せられるか?任せてよ
いのか? 解決策は?
1.気象情報の分析ができる専門家を必要な期間、派遣で雇う
2.専門家が市町村長に適切な助言を与える
3.国、都道府県とも人事交流を図る
4.厳しい財政状況であろうが、最新の避難システムを整備する
5.平成25年の災害対策基本法に基づき、地区防災計画を作成
し、地域コミュニティにおける共助による防災活動の推進
3.水害事例から見えるソフト対策の課題
3.2 ハザードマップ
洪水ハザードマップ:
●設定外力は?計画高水流量➡想定し得る最大の外力
●さもないと河川整備が完了したら破堤氾濫しない?
●浸水想定区域図程度の内容のもの多し
●内水氾濫を対象としたハザードマップも必要では?
➡今回の鬼怒川の氾濫は六間掘川の内水氾濫が最初
土砂災害ハザードマップ:
●土砂災害特別警戒区域、警戒区域の公表と対策
●砂防ダム等のハード対策の効果をハザードマップに
どのように反映するのか。
●今のような簡易な線引き方法で良いか?
●洪水災害も土砂災害も対策はまず土地利用規制
4.おわりに
1.地球の温暖化による気候変動で、災害外力は今後益々大きくなってくる(第
4次、5次IPCC報告書等)。第一段階の河川整備が終わったとしても、それ
が完了する20~30年後には外力の増大化により治水安全度は決して高く
なっていない。
2.ハード対策には限界があるが、治水計画上の水準を明確に設定し、可及的
速やかにその水準に達するよう河川整備を進める努力が必要である。
3.そして、ハード対策によって生命と財産を守ることが第一義的に重要であ
る。
4.しかしながら、河川整備の途上であったり、整備が完了しても、超過外力、い
わゆる想定外の外力(計画を上回る外力)により被災することもある。
5.そのような外力には減災対策としてのソフト対策で対応するしかない。「命だ
けは絶対に守る」けれども、それ以外は被災すると考えざるを得ない。
6.現状では「命だけは絶対に守る」ソフト対策が整っているだろうか。ソフト対
策の内容を吟味し、魂を入れて、成熟したものにする必要がある。
4.おわりに (つづき)
7.ハード対策とソフト対策の取り組みは全庁を挙げて取り組まないと、本当に
良いものはできない。兵庫県の台風第9号災害検証報告書や台風9号の
フォローアップ委員会の資料が大変参考になる。
8.流木と土砂の流出により被害が拡大している(H23年和歌山、H24年京都)。
山麓部では河道が土砂で埋まり、流木と土砂と洪水が溢れて道路を流下した。
河床変動を考慮した新たな治水の考えが必要。
9.超過洪水対策としての堤防強化は必須である。そのためにも有効な対策を
講じるための基礎研究は重要。ただし、実用に供して初めて意味がある。
10.気候変動による都市水害が顕在化。内水対策として地下貯留施設や雨
水貯留効果の定量的評価(設置場所、設置個数、その効果効果)が必須。
11.毎年、同様な災害が繰り返し発生している。災害現象は繰り返すであろう
が、災害は繰り返してはならない。しかし、なぜ、同じような災害を繰り返す
のだろうか。なぜ、過去の災害を教訓にできないのだろうか。
➡初等教育から高等教育に至るまで、教育科目として防災・減災を実施
ご清聴いただきありがとうございました
なかがわ
中川
はじめ
一 氏
プロフィール
京都大学防災研究所付属流域災害研究センター
教授
現在の研究課題:洪水および土砂災害の防止・軽減に関する研究
1979年 3月
1979年 4月
1981年 4月
1990年11月
2001年10月
2005年 4月
京都大学工学部交通土木工学科卒業
〃 大学院工学研究科交通土木工学専攻入学
〃 防災研究所砂防研究部門助手
〃 防災研究所耐水システム研究部門助教授
〃 災害観測実験センター災害水象観測実験領域教授
京都大学防災研究所流域災害研究センター河川防災システム研究領域教授
現在に至る。
<主な著書等>
・Nakagawa, H., Zhang, H., Muto, Y. and Muramoto, Y., Flow and bed deformation around
river hydraulic structures: large-scale physical model experiment and numerical
simulation, Proc. of the 10th International Symposium on River Sedimentation, Aug.,
2007, Vol. VI, pp.224-233.
・Nakagawa, H., Ono, M., Oda, M. and Nishijima, S.: Development of a discharge measurement
technique combined with measurement of mean flow velocity and numerical simulation of
cross-sectional velocity distribution; Field verification in a large river, Jour. of
Hydroscience and Hydraulic Engineering, Vol.25, No.1, May, 2007, pp.77-88.
・中川 一・里深好文・大石 哲・武藤裕則・佐山敬洋・寶
馨・シャルマ ラジハリ:ブラ
ンタス川の支川レスティ川流域における降雨・土砂流出に関する研究, 京都大学防災研究所
年報,第50号 B, 4月, 2007(印刷中).
・ Advances in River Sediment Research, 編 集 ( 福 岡 、 中 川 、 張 ) , 平 成 25 年 9 月 ,CRC
Press/Balkema, Taylor & Francis Group
・自然災害と防災の事典, 分担執筆, 平成23年12月, 丸善出版
他多数
<主な委員等>
・奈良県河川整備委員会委員長(2011.4~)
・淀川水系流域委員会専門部会委員長(2012.4~)
・国土交通省河川技術評価委員会委員(2010.4~)
・独立行政法人土木研究所外部評価委員会第1分科会委員(2010.4~) 他多数
<主な受賞等>
・平成10年度土木学会水工学論文賞受賞
・平成20年度土木学会水工学論文賞受賞