量的緩和終了後の米国株式市場

☆ トピックス
量的緩和終了後の米国株式市場
作成者:糸賀 雅史
連邦準備理事会は 10 月いっぱいで量的緩和第 3 弾(QE3)に伴う資産購入を終了しました。
市場では来年半ばの利上げが予想されており、その判断材料である雇用や物価を中心とし
た「経済指標」に注目が集まっています。また、業績相場へ移行する株式市場では「企業
業績の動向」がカギを握っています。今回はこれら 2 つの現状を整理してみました。
22,500
(ドル)
20,000
米国の株価とマネタリーベースの推移・月足
(出所:Bloomberg
7.0
(兆ドル)
期間:2008年~2014年9月、株価は11/7 時点)
6.0
17,500
15,000
5.0
ダウ工業株30種平均
(左軸)
12,500
4.0
10,000
3.0
7,500
2015年
利上げの実施?
2.0
5,000
マネタリーベース
(右軸)
2,500
1.0
2014年10月
QE3 を終了
0
0.0
08
09
10
11
12
13
14
1,000
(千人)
米国の非農業部門雇用者数増減・前月比
800
(出所:Bloomberg 期間:2008年~2014年10月、11/7 時点)
15
600
400
200
0
-200
-400
-600
-800
現在、労働市場回復の目安とされる20万人を
9カ月連続で上回っている(11/7時点)
-1,000
このレポートは投資の判断となる情報の提供を目的としたものです。銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身の判断でなさるようにお願い致し
ます。なお、株式は値動きのある商品であるため、元本を保証するものではありません。
☆ トピックス
米国のPCEコア価格指数・変化率
3.5
(%)
(出所:Bloomberg 期間:2000年~2014年9月、前年同月比)
3.0
FRBの政策目標は「2%」
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
■ FRB の使命である「雇用と物価の安定」が揺るげば、利上げ時期は変動する
他の指標にも留意する必要がありますが、現在は雇用統計が概ね堅調である一方、
世界的なドル高や賃金の伸び悩み等を背景に物価上昇(インフレ)率が政策目標
を下回っています。これら重要指標の結果によって利上げ機運が高まれば、PER
の低いバリュー(割安)株が買われ、逆のケースでは、PER の高いグロース(成
長)株が好まれる傾向にあります。量的緩和が終了した後の米国株投資では、経
済・金融情勢に応じた銘柄選定が重要になりそうです。
50
(ドル)
40
米S&P500採用銘柄の1株利益(EPS)・四半期推移
(出所:Bloomberg 期間:2008年~2015年、14年4Q以降はBloomberg予想)
30
20
10
予想
0
1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4 1 2 3 4
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
■ 米主要企業の業績は拡大を継続する見込み
量的緩和が終了した今、経済情勢と並んで重要な要素が「企業業績」です。
米国では、原油安を背景に個人消費の活性化が期待される 14 年 4Q(10-12 月)以降、
業績が一段と拡大する見込みとなっています。言い換えると、市場が企業に求めるハ
ードルが高いことを示していますが、一時的に期待値を下回ったとしても、業績拡大
トレンドが続いている限り、中長期的には堅調な株価推移が期待できそうです。
このレポートは投資の判断となる情報の提供を目的としたものです。銘柄の選択、投資の最終決定は、ご自身の判断でなさるようにお願い致し
ます。なお、株式は値動きのある商品であるため、元本を保証するものではありません。