女性の活躍推進について

女性の活躍推進について
第28回連合総研フォーラム
2015年10月28日
大石亜希子
千葉大学法政経学部
1
女性の活躍推進法成立
有償労働
有償+無償労働時間の国際比較
500
+
無償労働
(分/日)
女性
450
男性
400
350
300
477 437
250
200
150
100
50
フランス
ドイツ
スウェーデン
英国
米国
スペイン
日本
0
(注)各国の生活時間調査に基づく有償労働時間(paid work)と無償
労働時間(unpaid work)の合計。対象は15-64歳の男女。2010年
ごろの数値。OECD平均には図示していない国も含む。
(資料)OECD Data
http://www.oecd.org/gender/data/balancingpaidworkunpaidworkandle
isure.htm
イラストは官邸HPより
• 女性管理職比率等の公表
• 配偶者控除 → 夫婦控除
• ベビーシッター控除
2
ガラスの天井かべたつく床か
男女間賃金格差 学歴計
60
50
10%
50%
(%)
40
90%
30
20
10
0
20~24歳 25~29
30~34
35~39
40~44
45~49
50~54
55~59
50~54
55~59
(%)
男女間賃金格差 大卒
45
40
35
30
25
20
15
10
5
0
10%
50%
90%
20~24歳 25~29
30~34
35~39
40~44
45~49
(資料)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」平成26年より筆者作成
3
成果主義は女性の活躍を促すか
• 「成果で評価する労働時間制度」(日本再興戦略)
• 成果主義賃金への移行は、(特に役職が上のレベ
ルでの)男女間格差を拡大する。
(Kato and Kodama, 2015)
• 女性は長時間労働の人が昇進しやすい。女性が
キャリアを高めていくには、長時間労働を厭わず、
育児休業から速やかに復帰して仕事へのコミット
メントを示すことが要求されている。
(Kato, Kawaguchi and Owan, 2013)
⇒勤務間インターバルなど労働時間の上限規制
が必要
4
パートタイム労働者の壁
パートタイム労働者の時給と月間総実労働時間
1,050
100
98
96
1,000
92
950
90
88
900
時
間
・
月
)
)
円
・
時
間
(
(
94
86
84
850
82
80
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
800
女性パート賃金(円/時間)
パートタイム労働者総実労働時間
(注)女性の短時間労働者の1時間当たり賃金。
(資料)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」、「毎月勤労統計調査」より筆者作成
5
女性パート賃金と最低賃金
都道府県別 女性パート賃金と最低賃金(円)
1,300
900
1,200
800
1,100
700
1,000
600
900
500
800
400
700
300
600
200
500
100
沖縄
鹿 児島
宮崎
大分
熊本
長崎
佐賀
福岡
高知
愛媛
香川
徳島
山口
広島
岡山
島根
鳥取
和歌山
奈良
兵庫
大阪
京都
滋賀
三重
愛知
静岡
岐阜
長野
山梨
福井
石川
富山
新潟
神奈 川
東京
千葉
埼玉
群馬
栃木
茨城
福島
山形
秋田
宮城
岩手
青森
北海道
400
差(右軸)
女性パート賃金
最低賃金
(注)女性短時間労働者の1時間あたり賃金(2014年)。最低賃金は2015年10月現在。
(資料)厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より筆者作成
6
0
底上げには何が必要か
• 時給上昇⇒労働時間減少 (収入増には結
び付かず、ただし余暇は増加)
• 短時間労働者への被用者保険適用拡大
(2016年10月)は不十分(最低賃金労働者は
カバーされず)
• 最賃引き上げ⇒地域によっては雇用減少を
もたらす可能性、買い手独占なら良い効果が
期待できる場合も
• 他の低所得者対策や子どもに対する手当拡
充など統合的なパッケージが必要
7
参考文献
• 大石亜希子(近刊)「セカンド・シフトを超えて:家庭内労
働を巡る諸側面」『季刊社会保障研究』第51巻第2号
• Kato, T. and N. Kodama. (2015). “Work-Life Balance
Practices, Performance-Related Pay, and Gender
Equality in the Workplace: Evidence from Japan”
RIETI Discussion Paper Series 15-E-112.
• Kato, T., D. Kawaguchi, and H. Owan. (2013).
“Dynamics of the Gender Gap in the Workplace: An
Econometric Case Study of a Large Japanese
Firm." RIETI Discussion Paper Series 13-E-038.
8