増岡 浩 ディーラーメカニック活動を語る。 チュニジアラリーでは三菱自動車のエースドライバ ーとして走り、そしてディーラーメカニック達の 良き先生としてアドバイスを送った増岡選手。パリダカ以来のラリーとなる今季初戦を振り返る。 結果は残念 、しかし・・・ チュニジアラリーに 出 場されるのは 初めてです か? 増岡:いや、1989年に一度メカニックとして 出場してるんです。その頃僕はフランスで メカニックの修行中で、 (昨年まで三菱自動 車チームだった) フォントネのマシンを整備 したことがあります。走るのは初めて。 チュニジアラリーって「ミニパリダカ」と言わ れていて、日数は短 いけどコースはかなり 厳しい。パリダカの 要 素がすべてぎゅっと 詰まっているから、パリダカよりハードで テクニカルなコースがあったりね。 だからパリ ダカに向けたテストには最高の環境です。 ラリーはSS1で 残念なトラブルが出て しまいましたね 。 増岡:今回のラリーでフロントに新しくガー ドを取り付けたんです。そしたら、熱対策が 万 全じゃなかった。トルクリミッターという 部 品に風が当たらなくなって、熱さでシャ フトが折れちゃった。 ただ、優 勝はもう狙える位 置じゃなかった ので、その 後ずっと考えながら走ることが できました。どうやったら、今までよりも砂丘 を速く走 れるか。ブレーキングを変えてみ たり、マシンの挙動を気にしたり。優勝争い をしていたら考えられないことまで、気に することができた。だから結果的には、もの すごい収穫になったラリーでした。 ラリーはチームメイトのペテランセル 選手が優勝しましたね 。 増 岡:3日目からはペテランセルの 後ろに ついて、彼をサポートしながら走りました。 チームのための走りですね。途中ペテラン セルが道に迷った時は、僕のナビゲーター が助けたりしました。砂 嵐でまったく何も 見えない日があったんです。 それに 僕 は、来 年の パジェロ 用の パ ーツ テストをずっとしていました。タイヤ やブ レーキ、足回りなどの新しいパーツをつけて コースを走ったんです。良い点や改善点など を評価することができて、 こちらも良い収穫 ですね。 それまでは快 調なペースで、ペテランセル より2分くらい良いタイムだったんだけどね。 トラブル が 出 た の は 120km/ hで 小さな 砂丘をずっと飛んでいた時。こういう場所 では駆動系に負担がかかるんです。 結局、その後のチェックポイントで車を止め たら動かなくなっちゃって、それでサポート を待ちました。 翌日は最下位からのスタートとなって しまいました。 増 岡:そう、 スタート順も一 番最後。で、 そこ から71台抜いて2番手タイムでした。コース の両側は岩 がごろごろしてるから、慎重に 1台ずつ抜いていって。でもね、アマチュア の選手たちに 喜 ばれた。すごい抜き方だっ て (笑) 。 パリダカの時も僕らはスタート順が最初の ほうだから、あまりア マチュア 選 手たちと 一緒 に走る 機会ってないんです。だから、 トップ 選 手 の 走 りを間 近 で 見 れたって、 拍手喝 采されて (笑) 。 おっ、来 年 のパジェロの 話 が 出まし たが 。マシンはもう完成したんです か? 増岡:ついこの間、シェークダウンテストの ためにフランスで走ってきたんです。外 観 はほとんど同じだけど、レイアウトや 重 量 配分を見直したって感じです。まだ詳しくは 秘密なんですけど。 勝つために必要なアイディアをふんだんに 盛り込んだものを、エンジニアがカタチに してくれました。まだ7割くらいの仕 上がり ですが、もう2004年仕様より速いですよ! 三菱メカニックである誇り 今回、日本から選抜された5名のメカ ニック達 がラリーカーを整備しましたね 。 増 岡:い つ もの 年 はフランスの 工 場でラ リーカー の 整 備 研 修をやる んで す けど、 今年は日本で1度やったきりだった。でも今 年のメンバーは順応性がありましたね。最初 こそ 戸 惑っていた み た いだ けど、すぐに 自分から積極的に作業をするようになって。 今年は特にみんな積極的で、 フランス人メカ ニックにどんどん 話しかけてコミュニケー ションをとろうとしていました。ラリーが終 わる頃には、ものすごくたくましくなった。 これってメカニックにとってもすごく励みに なると思うし、人材を育てるという意味でも プラスになることばかりでしょ。秋の派 遣 メカニック選考会に参 加するだけでもかな りの収 穫はあると思いますよ。たくさんの メカニックにラリーの現場を体験してほしい なあ。 ラリーを通してメカニックが 成長 する んですね 。 来年の パリダカに向けて 増 岡:うん。ラリーに参 加 することで、メカ ニック達はものすごい自信を得ることがで きるんじゃないかな。 そして自分の販売会社 に戻った時に、今度はお客様にも自信を持っ て接することができる。ほんとうに ひとまわり大きく成 長するという 感じです。 それにラリーのメカニックは、いか に 速く確 実 に 車 を 修 理するかが 大事。それには工具の使い方やし まい方にだって工夫があるんです。 そういうプロの 技を盗めば、今 後 の 作 業にも大きくプラスになるん です。 プロのメカニックは基本に忠実で、 判断が速く、作業効率が良く、そし て安全に作業する。そのすべてを吸 収でき るのがラリーの実戦ですからね。 今後もメカニックのみなさんに、ぜひ 挑戦してほしいですね 。 増 岡:実 はチームのほうでも、日本 人メカ ニックってすごく期 待されているんです。 毎年ディーラーメカニックチームの評価は 上 がっていて、ラリーに来ても即 戦 力にな るってね。 三 菱のメカニックになると、世 界 のトップ カルロス・スーザ 貫禄のバ ハ・ポルトガル4連覇! 2004年FI Aクロスカントリーラリー・ワー ルドカップ第3戦 2004年FI Aヨーロピアン・バ ハカップ第2戦 バ ハ・ポルトガルレポート 2004年 FI Aクロスカントリーラリー・ワールドカップ 第 3戦 (第1戦イタリアンバハはキャンセル) 「第17回バハ・ポルト ガル」 (正式名称Vodaf one1000) が5月7日 (金)∼9日 (日) にかけてポルトガル南東部の都市エヴォラを拠点に行われ、 三菱パジェロエボリューションで出場したカルロス・スーザ (ポルトガル)が総合優勝を果たした。 C・スーザは、昨年の FI Aクロスカントリーラリー・ワールド カップとFI A欧州バハカップチャンピオン王 者に輝いた実力 ドライバー。今 年 も 同 選 手権 2連 覇を目指し、2004年は バハ・ポルトガルから始動した。マシンは昨 年までの愛機 ストラーダから、ついに念願のパジェロエボリューションを では最 後に、来 年 の パリダカに向け て、これからどんな準備をします か? 増岡:肉体トレーニングの効果が出て、今年 のパリダカはまったく疲れなかった。あとは 実 戦に近いトレーニングを積もうと思って います。今年からスピード感覚を養うために レーシングカートを始めました。半日でコース を150周以上ずっと走ってたら、みんなから タフだって言われた (笑) 。 それと、去 年と比べてチーム全 体のトレー ニングが 増えました。今 度チーム 全 員で モンブラン登頂をするし。他にもマウンテン バイクで走ったり、サッカーの試合があった り、かなりヘトヘトになりますよ。 次のパリダカでは必ず優勝して、三菱自動 車 のみんなを元 気にしたい!そのため に 必要な準備をして、万全の状態で臨めるよう がんばります! 増岡選手も絶賛するディーラーメカニックの 海 外ラリー派 遣。これからもずっと続いて ほしいですね。 実は今回、2005年 型 パジェロの 話をいろ いろと聞けたのですが、 どうやらすごいマシン のようですよ! 詳 細 は 今後 のジャーナル をチェックしてください。 手にした。ラリーは第1SSからトップに立ったC・スーザが、 そのままの 勢いで第2SSもリードを広げる。迎えた最終日 第3SSもノートラブルで走りきり、2位に34分12秒もの大差 をつけて見事総合優勝を果たした。この勝利でバハ・ポルト ガル 4連 覇と いう偉 業 を達 成、バハカップ王 者に 向 けて 最高のスタートを切った。ラリー後、C・スーザは「まるで乗 用車ベースのラリーカーのようだ」と驚きを隠せない様子。 「パジェロエボリューションを駆った初ラリーで優勝すること が出来てとても嬉しい。今後もバハカップのチャンピオンを 目指してベストを尽くす」と語った。 ※2004年のバハカップ( 正式名称は2004 FI A EUROPEAN CROSS-COUTRY CUP FOR BAJAS)は 第1戦イタリアン・バハ ( キャンセル ) 、第2戦バ ハ・ポ ルトガル、第 3戦 バ ハ・スペイン、 第 4戦 ラリー・トゥー・テランデル・ペニーノ、第 5戦 グリー ク・ バ ハ・エカリ 4X4クラブ、第6戦 バ ハ・アンタ・ダセラ500ポル タレーグレの全6戦。 RALLIART JOURNAL 6
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