見学 黙示録タピスリー インフォメーション L 用語解説 アンジュー式ヴォールト:交差リブ式で、際立 った凸型のゴシック様式ヴォールト。 円錐屋根のやぐら:円錐形をした見張り塔。 落とし格子:垂直方向に作動する柵。 新石器時代:先史時代最後の時代区分で、紀元 前4000-2500年にあたる。 第二光窓:内壁に開放口を設けて間接的にとった 明かりで、高い位置にあることからプライベート が守られた。 ブランシュ・ド・カスティーユ(1188-1252) : 息子 のルイ9世サンルイ王が成人するまで政権を握った。 矢狭間、銃眼:攻撃のための開放口、矢用のもの は垂直で細長く、大砲用はより幅広い。 落下攻撃の穴:上方に設けられた物体落下攻撃の ための穴。 役に立つ情報 平均見学時間:1時間30分 自由見学、解説付き見学、テーマ別見学 フランス語、英語、ドイツ語、イタリア語、スペ イン語によるオーディオガイドあり 障害者対応の見学可 書店-売店 「Itinéraires」コレクションから、当モニュメントのガイドが3か国語 で出版されています。書店、売店でお求めいただけます。 Centre des monuments nationaux Château d’Angers Promenade du Bout-du-Monde 49100 Angers tél. 02 41 86 48 77 fax 02 41 87 17 50 [email protected] 歴史 crédits photos E. Jabol © Archives départementales de Maine-et-Loire. illustration Claude Quiec. conception Plein Sens, Anders. réalisation Marie-Hélène Forestier. traduction InPuzzle. impression Stipa, juin 2014. 歴史 見学 黙示録タピスリー L インフォメーション 歴史 L 黙示録タピスリー 主題 特別注文 タピスリーは、新約聖書聖の最終章であるヨハネ による黙示録「ヨハネが受けたキリストの啓示」を 主題とします。 紀元1世紀末に書かれたこの文書は、聖ヨハネの 予言者的な観点と、善と悪の戦いを描きます。人 類を襲う数々の災いを経て、キリストの栄光が描 かれます。また、百年戦争、飢餓、ペストといっ た当時の風潮もリアルに反映されています。 黙示録タピスリーは、今日残された100m級のタ ピスリー最古のものです。この希少な作品は1375 年、シャルル5世の兄弟ルイ1世アンジュー公の注 文で、規模の大きさにしては異例の7年という短 期間で仕上げられました。宮廷画家ジャン・ド・ブ リュージュが下絵を手がけました。 毛織物のタピスリーは、もともと縦6 m 、横23m の6つの作品で構成されていました。それぞれの 作品に著名な中心人物が配され、天空と地上層の 間に7つの情景が描かれています。 波乱に満ちた過去 1400年、注文者の息子であるルイ2世とヨランド・ ダラゴンの結婚に際して、タピスリーがアルルの 大司教邸の中庭に飾られ、その美しさをあらわに しました。1480年、最後のアンジュー公ルネ王に よってアンジェ城に寄贈されます。 18世紀末に時代遅れと評され、無残に破損されま したが、19世紀になるとその真価が認められ、修 復作業を受けました。1954年に軍隊が撤退した 後、再び城に設置されました。 黙示録タピスリー インフォメーション 日本語 アンジェ城 王立要塞 要塞と華麗な城 メーヌ地方を見下ろすこの岩壁の岬には、新石器 時代* から人々が定着しました。 9世紀にノルマン人の脅威にさらされたアンジュー 公一世が、この高台に居を定めます。3世紀後、ア ンジュー地方がプランタジネット朝の支配下に置 かれた際に、王宮が築かれました。 13世紀には、ブランシュ・ド・カスティーユ* 摂政 が、王立軍隊を集めるために要塞を築きました。 14-15世紀になると、歴代アンジュー公、ルイ1 世、ルイ2世、ルネ王といった芸術に造詣の深い 君主らが、この要塞を舞台に華麗な宮廷生活を繰 り広げました。 解読 白枠で区切られた各タピスリーは、上段からはじ まり、左から右へ向かって聖書の光景が描かれて います。7つの災いが3つのシリーズで綴られます。 啓示録の7つの封印の開封を皮切りにし、各封印 が放たれるたびに災いが降りかかります。はじめ に、黙示録の4人の騎士(第1ピース下方)が描かれ ます。次に7つのラッパが鳴り響くと、自然の事 象が荒れ狂います(第2ピース)。最後に、天使に よって地上に注がれた7つの小瓶が、一連の災い を収束させます(第5ピース)。第3ピースに二人の 証人と、サタンから逃れる女性の物語が綴られて います。竜と二人のお付きをともなったサタンは、 第4ピースで人間を引き寄せようとします。第5・ 第6ピースには、サタン退治とバビロンの崩壊、天 国の象徴としての天上エルサレムの到来が描かれ、 聖ヨハネの黙示録の幸福な結末を示しています。 見学 軍事要塞と牢獄 16世紀当時の 城、版画 宗教戦争の真っただ中に あった16世紀末には、ア ンリ3世(1574-1589)**に 仕える領主ドナデュー ・ド・ピュイシャリック が、塔と城壁の高さを削 り揃え、武器の進化に対応させました。この後、 城は軍隊に占められ、牢獄として用いられるよう になります。 www.monuments-nationaux.fr *裏面に解説あり **王の在位期間 歴史 見学 L 黙示録タピスリー インフォメーション B、C、12 、14 へのアクセス B ふたつの建築様式 城の外観は、約500mに及ぶ城壁と、色の濃い頁 岩(またはスレート)とブロンドの石灰色が交錯す る17の塔に特徴づけられます。30mの高さを持 つ塔には、3-4層に設けられた矢狭間 * がみられ ます。このなかには銃眼 * に改造されたものもあ ります。城の出入り口は、いずれも落とし格子 か、落下攻撃穴 * で防御されていました。 1 オリエンテーションマップ付近の要塞内部から、 総面積2万㎡以上に及ぶ、建物と庭園の全景を見 渡すことができます。 D 4 王宮 1435-1440年にかけて、ルネ王に築かれた王宮に は、北側に回廊をともなった二つの広間がありま す。3階建ての各階は、北正面から見える小塔に 設けられた螺旋階段で結ばれています。 王宮の1階には、9-18世紀の要塞の変遷をあらわ した4つの模型があります。1階はルネ王の居所と なっていました。礼拝堂側に執務のための私室、 12 11 10 2 8 13 5 4 3 1 7 A 領主の城として 14-15世紀、中庭を囲むように建てられた建物 に、住居や私的空間、行政機関が設けられました。 これは要塞やほかの空間から隔離されていました。 2 15世紀の小城塞は、角に配された円錐形の見張 り台* が美しい外観をつくりだしています。これ は領主邸の玄関にあたります。 3 領主邸の中庭は、城塞の南西に位置します。 9-15世紀の歴代アンジュー公によって築かれた 建物と、20世紀に建てられた黙示録タピスリー 回廊に取り囲まれています。 ポルト・デ・シャンの4つの広間のヴォールトには、 現代造形作家サルキスの作品が下げられています。 錬鉄製のミニチュア作品で、ホールのボリューム と開放性が表現されています。中心に配されたク リスタル製のネオンが赤、緑、青、黄色の光で室 内を彩っています。 11 18世紀の領主の舘には、さらに時代をさかのぼ る15世紀のスレート製階段小塔が保存されてい ます。 12 黙示録の回廊は、建物跡に20世紀半ばに設けら れ、1996年に改装されています。L字型の回廊 に、記念碑的な黙示録タピスリーが収められてい ます。 (黙示録タピスリーについての詳細は裏面をご覧く ださい。) 9 A 出入り口 B お手洗い C 書店・売店 D レストラン 西側には面会を行った部屋がありました。第二光 窓* の隅切りには、当初の植物装飾の名残が見ら れます。各部屋には立派な暖炉が設けられていま した。現在は保存されておらず、その跡がうかが えます。 二階は、侯爵夫人により用いられていました。 5 単一身廊の礼拝堂は、1410年頃にルイ2世、ヨラ ンド・ダラゴン夫妻によって設けられました。ゆ ったりとした配置、アンジュー式のヴォールト*、 暖房の整ったプライベート礼拝室があります。 城壁 6 風車塔には、かつて風車が設置されていました。 当初の40メートルという高さを保存している唯一 の塔です。 6 北 7 城壁上に設けられた巡回路は、塔の高さが削り揃 えられた16世紀末に改修されています。十数メー トルの高さを有するものには、スレート製の円錐 屋根のやぐら* が備えられていました。城壁内側 は土塁で補強され、砲撃の足場となりました。 8 庭園にはブドウ園と空中庭園があり、中世期に知 られた薬用植物、香草、染色用の草や、黙示録に 描かれた草花が植えられています。 9 ポルト·デ·シャンは、もともと城の正面玄関で、 二つの巨大な塔と複雑な防御システムを特徴とし ていました。テラスの地面には、格子でふさがれ た第一落下攻撃穴* が見られます。 10 ポルト·デ·シャンの門には、1370-1384年に制作 された落とし格子* が残されています。この後方 には第二の落下攻撃穴* があります。第二落とし 格子ならびに木製の扉は残されていません。 さらに時代を遡って 13 大広間の壁とサン・ロー礼拝堂は、10世紀から歴 代のアンジュー公によって建築された王宮の重要 な遺産です。 14 考古学保存区域には、まず新石器時代*に遡る記念 碑的な墓所ケルンが見られます。次にローマ期の 浴場がみられます。左手に煙突と排水施設備えた 部屋があり、右手の第二の部屋の壁には暖房のた めの配管がなされています。その上部には、10世 紀にアンジュー公が使用していた浴場がありまし た。 *裏面に解説あり
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