ストリートチルドレンたちへの毎日の食事・ケアの提供

フリー・ザ・チルドレン・ジャパン ピア招へい事業 講演会配布資料
PREDA Foundation Newsletter 2006 AUG./プレダ基金ニュースレター 2006 年 8 月号
翻訳フリー・ザ・チルドレン・ジャパン翻訳チーム 八巻祐美(FTCJ 福島)・監修 永田愛佳 中島早苗
【前書き】プレダ基金の調査チームは、トラフィッキング(人身売買)を
目的とする商人や、性を求めて海外にセックスツーリストとして観光する
人々に対する証拠を集めに出かけています。それらの証拠を調査し、検察
当局に適切な起訴を求める、といった仕事をします。そして、虐待にあっ
た子どもたちを助けます。子どもたちは、勉強やセラピー、カウンセリン
グの集まりに参加したり、グループ活動に関わったりします。
たとえ少しであったとしても、虐待などの違法行為から犠牲者を守ること
や、不正なシステムを変えようとする作業は忙しく、止まることを知りま
せん。ひどいところでは、少なくとも1時間に1回子どもたちがレイプさ
れています。しかし、虐待を犯した者は検察官や警察から、犠牲者よりも
手厚く保護を受けている場合があるのです。
プレダ基金の調査チーム
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目次
・ストリートチルドレンたちへの毎日の食事・ケアの提供
・性産業に従事する子どもたちの救出と保護
・買春から子どもたちを守る
・若者のための教育援助
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◆ストリートチルドレンたちへの毎日の食事・ケアの提供
オロンガポ市や、ほかの都市の路上には、何百という子どもたちがいます。プレダでは、
家族から見捨てられたストリートチルドレンや若者のケアを行っています。彼らは橋の下
で、豪雨や氾濫する川の脅威にさらされて生活しており、一般の人以上に病気になる危険
性が高いのです。プレダのソーシャルワーカーは、オーストラリアの「サウス・オフ・ザ・
ストリート」のクリス・リリー神父による助けを借りながら、プレダのセンターやマルキ
ット公園で毎日栄養のある食事の配給をサポートしています。必要なときには治療も受け
ることもできます。雨が降ったときは、彼らは雨を避け食事を取るためにプレダのセンタ
ーに来るようになりました。彼らはここでは遊んだり、教育を受けたりすることができま
す。彼らのほとんどが読み書きをすることができません。彼らには家(安心して住む場所)
が必要です。だから、私たちは近いうちにその場所を提供できるように努力しています。
先進国とは異なり、ここフィリピンには貧しい人、病人、失業者、老人、見捨てられたス
トリートチルドレンに対する無料の社会福祉サービスはありません。フィリピン政府は、
若者や孤児のための社会復帰・リハビリのための施設を、国内でもほんのひとにぎりしか
用意していません。ルソン島の中心部には、人身売買の犠牲になった少女のための施設が
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たった1つあるだけです。施設はいつも混みすぎてい
る上に退屈なので、子どもたちは
しょっちゅう逃げ出します。子どもたちは、自分を売った加害者を告発するための援助を
受けることができないのです。ほとんどの子どもたちは、社会福祉・開発省(政府機関)によ
って故郷に戻されます。セックスツーリストとして海外から訪れるケースで成り立つ観光
産業にとってよくないので、警察や社会福祉省にとって、性産業を捜査して子どもたちを
救うことに興味はありません。そう役人は言います。また、女性や子どもの権利を守る活
動をしている、ジャンビー・マドリーガル上院議員によると、ここ3年間のうちで、人身
売買によって検挙された件数はたったの2~3件しかないということです。
この半年間で、虐待を受けた子どものうち、60 の事件を把
握し、活動を起こしました。その中で、
「アウトリーチプロ
グラム」を通じて支援されている子どもの事例もいくつか
あります。
「アウトリーチプログラム」とは、虐待を受けた
子どもたちが、強く協力的で保護してくれる家族と一緒に
過ごす制度のことです。そして子どもに対して外来患者に
対応するような形式で、セラピー、カウンセリング、そし
て法律にのっとったアドバイスをしています。しかし一方
(写真上)プレダの栄養プログラムのラ
ンチを食べるストリートチルドレン
では、虐待した大人がいまだ捕まらず、子どもを誘拐して
法廷で証言させないように圧力を与え、脅かそうとしている事例も 32 件あります。
警察は、
逮捕令状が出されているにも関わらず、虐待者を逮捕することに対し、ほとんど努力しよ
うとしないのです。そのようにしてひどく精神的ショックを受けた子どもたちは、プレダ
の女子を対象とした子どもの家で保護されます。先週、プレダの 8 人のスタッフに名誉毀
損の令状が出され、保釈金を支払いました。その令状は、5 歳の子どもの私的な手紙を証拠
としてつくられたもので、起訴することはできないのにも関わらず、検察官はその令状を
裁判所に提出したのです!このようにして保護された子どもたち 32 人が新しくプレダの子
どもの家へ迎えられ、全部で 48 人となりました。今までプレダで保護していた 28 人は完
全に回復し、保護してくれる家族に迎え入れられました。プレダでは、ごく最近やってき
た子どもを除いた全ての子どもたちが、毎日学校に通っています。学校に通っていない子
どもは 5 人います。かなりの精神的ショックを受けたため、まだ学校に行くことができま
せん。こうした子どもたちはスタッフや家庭教師の助けを借り、プレダの子どもの家で教
育を受けます。
◆性産業に従事する子どもたちの救出と保護
商業的性的搾取された若い女の子たちを救出する仕事は、昼夜問
わず行われます。プレダの「バー・コンタクト・ワーカー」は、
女性も男性も午前 2 時や 3 時まで働きます。バーやクラブ(風俗店)
に行っては少女たちに出会い、彼女たちを救出します。しかし、
少女たちは買春宿やバーのオーナーの支配下にあり、おそらく借
金をしているため、逃げることができません。そうした少女たち
(写真上)FTCJ の支援によって
購入したプレダのジプニーと子
どもたち
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を助けるのはとても難しいことなのです。バーでは、客や仕事探しをよそおったプレダス
タッフのロバート・ガルシア、ミーナ、ジョンが率いる秘密チームが一番幼く見える少女
に接触します。バーで接触している段階では、少女のための高めのお酒も含め、お酒を買
わなければなりません。少女たちは、明らかに低い年齢であるにもかかわらず、
「市長ある
いは市役所の担当部署から発行された許可証を持っている。」「18 歳以上だからバーで働く
ことができる。」といいます。
◆買春から子どもたちを守る
時にチームのスタッフはバーのオーナーに少し多めの金額を払います。それは、性産業で
働く子どもを調査するためや、子どもをバーの外へ連れて行くためです。スタッフは子ど
もをレストランへ連れて行き、女性のソーシャルワーカーと引き合わせ、それから彼女に
教育、保護、またその他選びうる生活を提案します。プレダは、少女がバーのオーナーか
らお金を借りていることも考え、どんな借金でも支払うことを伝え、そしてようやく少女
は脱出することができます。それから、少女をプレダの家へ連れて行きます。そこでは、
ほかの女の子たちにまじって、全ての問題を分かち合い、カウンセリングやセラピーを受
け、買春や虐待のない、新しい生活を始める準備をします。プレダチームは、少女の出生
証明書と学校用の書類を手に入れるために働きます。さらに、プレダのホットラインは、
バーやクラブでの性的搾取から子どもたちを守るために働いています。私たちは、そのホ
ットラインでジョナリンに関するメッセージを受け取りました。彼女は 15 歳で、母親によ
って次から次へさまざまな風俗店クラブへ売られていました。あるとき 35 歳の男性がセッ
クスのパートナーとして彼女を家に連れて行き、逃げ出さないように脅しつけました。母
親は、この男が支払いを続ける限りこの取引に従っていました。一年後、男が支払いをや
めたため、母親は彼女を連れ出し、オロンガポのセックスバーで彼女を働かせました。こ
こでプレダのスタッフが彼女を見つけたのです。現在は、買春の被害
にあった少女たちのためのホームに参加するよう、彼女を説得してい
ます。
◆若者のための教育援助
今年、奨学金プログラムが拡大されました。賢く熱心な生徒が20人、
高校や大学へ行く予定になっています。プレダ・アクバイ青年部には
活動的なメンバーがいます。彼らは将来、頼もしいソーシャ
ルワーカーやコミュニティーのリーダー、看護師などになる
Fr. Shay Cullen with the CFC
graduates batch 2006
ことでしょう。こうしたことは、素晴らしいアイルランドのサポーターを迎えたおかげで
可能になりました。また、フィリピン系アメリカ人の若者たちも大学に行く予定です。
今年11月に、カレン神父の書いた「フィリピンにおける裁判での闘い…アイルド人宣教
師の35年間」がアイルランドで出版されます。その後、イギリスなどほかの英語圏の国
でも出版されていく予定です。お見逃しなく。
平和と幸福を
シェイ・カレン、プレダスタッフ、子どもたちより
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PIA CORVERA TALK EVENT 2006
■ゲスト・スピーカー紹介-講演者 ピア・コーベラ氏について
1984 年 4 月フィリピン・マニラに生まれる。現在 22 歳。出生直後に両親に置き去りに
され、父方の祖父母の家で育てられた。そのため母親には会ったことはなく、父親とは過
去に2回会ったきりで、両親についての記憶はほとんどない。一緒に住んでいたおばから
は暴力を振るわれるなど虐待を受けていた。貧困と虐待から、次第に路上で生活するよう
になり、5 歳ごろから働くようになった。小学校に入学するも 3 年の途中で中退。知り合い
の女性から紹介された仕事を請けることになったが、女性は売春斡旋業者で、ピアは強制
的に売春(買春)の世界へと引きずり込まれた。その時ピアはまだ 8 歳だった。その後、数々
の外国人男性客を相手に買春被害にあい、12 歳の時にある外国人ペドファイル(子ども性虐
待者)からひどい虐待を受けた。しかし、外国人と少女が一緒にいるところを見た島の住民
が不審に思い、警察に通報し NGO(プレダ基金)の助けで救助された。
プレダ基金で保護され生活するようになり、最初は自分を生きる価値のない人間だと思い、
死にたいと思うほど心に深い傷を負ったが、プレダ基金でのセラピーやリハビリ、ソーシ
ャルワーカーによるケア、同じ体験をしたプレダ基金にいる子どもたちの支えなどで、少
しずつ心を開き、今まで受けた辛い過去を外に吐き出し、徐々に回復していくことができ
た。その後、自身の体験を話し子どもの権利保護を訴えスピーチをするようになった。ま
た、買春や虐待の被害にあわないよう子どもや社会に情報提供をし、人々を喚起している。
ピアは子ども時代を失ったかもしれないが、自分の体験を話し、困難を乗り越えて来たと
いうことが自信や自尊心を取り戻させている。現在、プレダ基金で有給スタッフとして働
き、虐待や被害にあった子どもをサポートしている。
-プレダ基金(PREDA
Foundation)について
PREDA は People Recovery, Empowerment and Development Assistance の略で、日本
語では「人々の回復、エンパワーメント及び発展の支援」という意味を持つ。1974 年に
アイルランド人のシェイ・カレン神父とフィリピン人のヘルモソ夫妻が設立した NGO で、
フィリピンの首都マニラから、バスで約4時間のオロンガポ市に事務所及びシェルター
(保護された子どもたちが生活する寮)を構える。性虐待を受けた子どもの救出、保護、
回復やストリートチルドレンや逮捕された少年の救助と保護活動などを主に行っている。
その他貧困層の自立を目指し職業訓練やフェアトレードの製造、販売を行っている。子ど
も・女性・貧困層の人々が虐待や搾取に苦しむことがない社会を目指して、現在も約50
名のスタッフが活動している。2001 年と 2003 年にはノーベル平和賞にノミネートされ
るなどその活動は国際的に評価を受けている。
PREDA Foundation, Inc.
www.preda.org
住所 Upper Kalaklan, Olongapo City 2200 Philippines Email: [email protected]
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