人人材材育育成成 イインンタタビビュューー

インタビュー:人材育成委員会の取組について
特集:
“求められる”人材育成
● 人材育成が
「新型うつ」を防ぐ
● 労働安全衛生マネジメントシステムとリスクアセスメント
● マテリアル・ハンドリング
(MH)
設計者(エンジニア)
として求められる条件とは
● 日本MH協会に期待する教育
● 物流業の企業経営と求められる人財
MHジャーナル
2
6
2号(夏季号)
目次
2010.JUL
巻頭言 「巧妙加工」のすすめ
大阪大学 大学院 工学研究科 機械工学専攻 教授 竹内 芳美 氏 ……2
インタビュー ………………………………………………………………………………………4
人材育成委員会の取組について
日本MH協会 人材育成委員長 松崎 忠(戸田建設!)
特集
“求められる”人材育成 ………………………………………………………1
1
寄稿文
●人材育成が「新型うつ」を防ぐ …………………………………………………12
株式会社 アウトフロント 代表取締役 菊山 博之 氏
●労働安全衛生マネジメントシステムとリスクアセスメント …………………………18
中央労働災害防止協会 技術支援部長 中村 富也 氏
●マテリアル・ハンドリング
(MH)
設計者
(エンジニア) ………………………24
として求められる条件とは
株式会社 ダイフク FA&DA事業部
物流計画部 技監 辻本 方則 氏
●日本MH協会に期待する教育 ………………………………………………………30
日産自動車株式会社 SCM本部
部品物流エンジニアリング部 部長 安藤 康行 氏
●物流業の企業経営と求められる人財 ……………………………………………34
M2ウェーブ代表 三小田 睦 氏
MH基礎講座‐2
●MHとユニット・ロード・システム ………………………………………………38
― いろいろな条件によって選択するMH ―
日本MH協会会長 秋庭 雅夫 氏(東京工業大学名誉教授)
MH基礎講座‐3
●フォークリフト通路幅の設定………………………………………………………40
― 綿密な計算によって決定するMH ―
日本MH協会会長 秋庭 雅夫 氏(東京工業大学名誉教授)
JMHSニュース …………………………………………………………………………………42
奥付 ………………………………………………………………………………………………46
Material Handling Journal No.
262
!
巻 頭 言
「巧妙加工」のすすめ
大阪大学
工学研究科
大学院
機械工学専攻
教授
竹内 芳美
上海万博に見られるような活発化するアジア経済
ところで、様々な工業製品は、その機能を発揮す
と対照的に、我が国の状況は若干上向きの傾向にあ
るように作られている。その機能実現のため、機能
るものの加速感はあまりない。ものづくりの原点で
を司る形状を単純な機能要素形状に分け、それを組
ある工作機械の生産高も、2
7年間続いたトップの座
み合わせて作られる。どの部品同士でも組み合うよ
を中国に取って代わられ、ドイツにも遅れを取り3
うに許容誤差を管理し、互換性を基に製造される。
位に転落した。このような状況は日本企業の業績が
量産品、少量品に係わらず、これが現代の工業製品
悪いというよりも、アジア諸国や新興国の活発化・
の根幹になっている。
活性化が著しいことによると思われる。
!
その一方で、互換性を満たさない製品が多数存在
このような情勢の中で、製造技術、生産システム
する。その中に芸術品、工芸品と呼ばれる手作りの
はどのような変革を遂げる必要があるであろうか。
品々がある。工業製品でも互換性を配慮しないで、
産業革命以降、製造のための機械化とエネルギー供
複雑な形状をそのまま利用して高度な機能を発現さ
給が可能になり、人々の要求を満たすために標準化
せることを考えてもよいと思われる。そのような形
された製品を大量に生産する方式が開発された。半
状の創成には熟練した技能や匠を上手く取り入れる
世紀ほど前のことである。標準化された製品を自動
ことが不可欠になる。これを「巧妙加工(Dexterous
的に量産することを目的とし、効率向上がキーワー
Machining)」と名付けたい。
ドとなった。標準化された製品が行き渡るようにな
巧妙加工を提案する背景には、機能を単純な要素
ると、人々の欲求は他人とは違ったものを求める多
に分解し、それを組み合わせる方式に取って変わ
様化の時代に入った。3
0年前に多品種中少量生産と
り、機能を担うことの多い形状を複雑なまま処理し
いう考えが浸透し、FMSという生産方式が定着し
て価値の高い工芸品のような製品を生み出したいと
た。FMSではラインやセクション単位の部分最適
いうことにある。その製造は手作業ではなく、高度
化で対応してきたが、近年、企業活動全体をコンピ
なNC加工機の使用を前提としているので、熟練者
ュータとデータベース、ネットワークを駆使して統
や経験の深いエキスパートの技能を技術として定着
合化を目指すCIMあるいはIMSの実現が課題となっ
させ、高付加価値製品を創成する仕組みを究めるこ
た。現在でもこの方式の実現が目標とされているも
とが重要である。巧妙加工を取り込んだ製品は、高
のの、人の意識が「物質的な豊かさ」から「精神的
機能で付加価値の高い工芸的なものになろう。低価
な豊かさ」に移りつつある現在、限りなく手作りに
格競争に晒されている昨今の「ものづくり」分野に、
近いがしかし工業製品であり、価値の高いものに関
別の切り口で新しい息吹を吹き込みたいと考えてい
心が向かっているように思われる。
る。
MHジャーナル
平成2
2年7月
日本MH協会では、今秋に開催される「CeMaT ASIA2010」への視察団を派遣することとし、その
参加者を募集しております。
急激な経済成長に伴い、物流の重要度が高まる中国市場。今回はアジア地区をカバーする総合物流
展「CeMaT ASIA2010」の会場視察と、物流現場視察を行う予定です。皆様による積極的なご参加
ならびにご派遣をお待ち申し上げております。
旅 行 期 間:2010年10月24日(日)∼10月28日(木)/5日間
視察費用概算:1名 198,000円
※航空運賃、見学費用、27日昼食を除く全食事代、
ホテル宿泊費(1名1室)、添乗員付
月日
都市
交通機関
羽田空港
1
現地時間
スケジュール
07:30
国際線ターミナルご集合
10月24日
羽田空港発
JL081
09:25
空路、上海へ
(日)
上海空港着
専用車
11:30
着後、専用車にて蘇州へ(所要約3時間)
蘇
州
着後、
ホテルへ
〔蘇州泊/機 ○ ○〕
蘇
2
州
専用車
終
日 終日企業視察
10月25日
①蘇州国際展示場視察等
(月)
②現地物流施設見学
〔蘇州泊/○ ○ 〇〕
3
4
10月26日
蘇
州
上
海
10月27日
午
前
午
後
(木)
会場:上海新国際見本市会場(SNIEC)
ホテルへ
上
海
夕
刻
終
日 自由行動
〔上 海泊/○ ○ 〇〕
*上海万博視察等(希望者)
(水)
10月28日
専用車にて上海へ
『セマット・アジア視察』会期:25日∼28日
(火)
〔上 海泊/○ × ○〕
海
専用車
午
上海空港発
JL082
12:50
空路、帰国の途へ
16:40
着後、解散
上
5
専用車
羽田空港着
前
専用車にて空港へ
〔/○ × 機〕
*標記スケジュールは現在予定のものです。交通機関等の現時事情により変更になる場合があります。
利用予定航空会社:日本航空(JL) ※詳細は事務局までお問い合わせください。
Material Handling Journal No.
262
!
インタビュー
人材育成委員会の取組について
日本MH協会 人材育成委員長 松崎 忠
(戸田建設!)
企業成長の大きな鍵を握っているのが
「人」
です。
「人」
は最大の経営資源です。ロジスティクスにかかわる企業
では、小手先での対応や経験則では難しくなっており、
本格的な知識の習得や専門家の育成が求められていると
感じております。
協会ではそれらの課題に対応すべく、平成1
9年度より
「人材育成員会」を発足させ、中央職業能力開発協会認
定「ロジスティクス管理・オペレーション基礎講座」
、
我
が国唯一の実践型 MH 講座である「ロジスティクス・
松崎委員長
MH 管理士講座」の実施や、会員ニーズにあわせた中短
期セミナーの開催、より実践を意識した MH 物流業界
1.はじめに
今、物流関連業界では原材料調達から製造を経て販売
の人材育成についての調査、研究、企画等を行っていま
す。現在当協会で開催している人材教育プログラム等を
ご紹介いたします。
に至る迄のトータルな物流の統合的管理と全体効率の向
上が求められています。
そして、
サービスレベルの向上、
コスト低減などから、生産・物流拠点の統廃合、配送セ
ンターの大型化、高度情報化への取組みが進んでおりま
す。こうした物流変革期の中、物流業務を外部へアウト
ソーシングする動きも活発化しています。
2.「ロジスティクス管理・オペレーション
基礎講座」
のご案内
中央職業能力開発協会が職業能力評価基準におけるビ
ジネス・パーソンの職務を広く網羅した物流業界唯一の
また、昨今の経済不況も相まって各業界での価格競争
「公的資格試験」
(能力評価試験)である。平成1
9年度に
は激化し、ますます多様化する消費者ニーズや環境問題
リニューアルされ、現在ロジスティクス分野を含む8分
などから、流通構造の変革があり、経済を念頭においた
野について3級∼1級のレベルに体系化され、実施され
循環型社会へと移行し始めています。そのような状況下
ている。段階的かつ計画的な職業能力の習得の目安とな
で IT の高度化など、システムが複雑化していく中、物
り、
これが検定・評価される仕組みとなっている。
また、
流を支える各種マテハン機器への理解と、必要とされる
この試験が企業実務に即した大括りとした区分となるの
システム化を構築できる技術力、ノウハウの蓄積、そし
で、より実践的な職業能力評価に活用されやすいものに
て「人材」の育成が重要になって来ております。
なっている。
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
インタビュー:人材育成委員会の取組について
2
0
0
9年度で3回目を迎えた同講座は、検定試験の合
格支援に止まらず、当協会ならではのカリキュラムや講
師陣により、最先端の情報とノウハウを提供し、物流実
務の応用を重視した内容により、今後のロジスティクス
関係業務を担っていく若い人たちへの支援も行なってお
ります。物流にかかわる業務には幅広い知識が必要であ
り、MH システム機器メーカーや物流事業者の顧客に当
たる荷主事業者もこの公的資格を取得する動きが出て来
ています。いわば販売促進にも役立つ資格として益々重
図表.
1 ビジネス・キャリア検定試験一覧(平成2
1年度)
【共通講座】
(12 H)
要な位置を担うものと考えております。
●国際輸送
●特別講座
・貿易と交流 ・海上輸送 ・航空輸送 ・国際複合輸送
・ロジスティクス・システム概論 ・物流センター見学 ・輸配送拠点見学
●特別講座
・建築の基礎知識
(30 H)
【ロジスティクス・オペレーション基礎講座】
●約款と物流保険の概要・関連法規・関連 JIS
【ロジスティクス管理講座】
(24 H)
・約款と物流保険 ・物流活動にかかわる関連法規の基礎知識
●物流の概念と物流管理
・物流および包装関連 JIS
・物流の基礎 ・物流管理の基礎 ・物流と関連組織のかかわり
●包装
●物流サービスの管理
・包装の定義 ・包装の分類 ・包装の目的
・物流サービスの基本概念 ・物流サービス管理のステップ
・包装貨物の荷扱い指示マーク ・包装材料及び容器の種類と特性
●ユニットロードシステム
・物流における品質管理
・ユニットロードシステムの基礎知識 ・パレット ・コンテナ
●荷役(MH)
・物流システムの基礎知識 ・物流システムの代表例 ・物流データ分析
・物流拠点設定 ・委託先管理 ・物流システムの効率化
●物流システム管理
・荷役
(MH)
の概念 ・荷役
(MH)
の役割 ・荷役
(MH)
の合理化
●在庫管理
●荷役機器及び保管機器
・在庫管理の目的 ・在庫管理手法 ・適正在庫量の決定
・荷役機器 ・保管機器
・在庫分析 ・棚卸
●保管
●物流コスト管理
・保管の概念 ・倉庫の種類 ・機能 ・役割と料金.
・物流コスト管理の基礎知識 ・運賃料金の体系
●物流センターの基礎知識
・物流コストの計算方法
・物流センター業務の概要 ・物流センターのタイプ
●物流情報システムの概念
・物流センター物件の選定ポイント
・物流情報システムの目的と特徴
●輸送
・基幹システムと物流情報システムの関連
・輸送の概念と役割 ・物流環境の変化と輸送
・物流情報システム設計の基本
・輸送技術の発展 ・各種輸送機関と運賃料金
●業務別物流情報システム
●輸配送システム
・受注処理システムの基礎知識 ・発注処理システムの基礎知識
・輸配送システムの基礎知識 ・配車業務と運行管理
・倉庫管理システムの基礎知識 ・輸配送システムの基礎知識
・物流におけるコスト・トレードオフ
図表.
2 第3回ロジスティクス管理・オペレーション基礎講座の構成カリキュラム
3.「ロジスティクス・MH管理士講座」
の
ご案内
顧客に対する交渉力、提案力を高めた提案型営業を実
践するためには、現場を知り機器がどのように使用され
ているのか、全体の流れや仕組みを把握する一方で、顧
客の業種や扱う商品が将来どのように変化し発展してい
くのかを見据えた、新たなマテリアル・ハンドリング
機器・システムの提案が求められています。何より市
場ニーズや顧客ニーズを的確に捉え、将来を創造でき
る提案型の人材が必要となっております。
協会では、SCM・3PL といった戦略的なロジスティ
Material Handling Journal No.
262
!
インタビュー:人材育成委員会の取組について
クス体制作りと共に、自社内に目を向け、最適なロジス
ティクスを構築し、収益向上に貢献できる物流力強化に
対応できる物流リーダーの育成が企業の課題でした。
「ロ
ジスティクス・MH 管理士講座」は、それらの課題に対
応すべく、実際の物流センターに学び、運用・情報シス
テム、ソリューションを考え、物流センターシステムを
構築するために必要なノウハウを習得します。またケー
ススタディを通して、経営トップまたはお客様への企画
書作成やプレゼンといった提案力の習得と同時に、ハー
ド・ソフトの一体となったトータルな提案、顧客の満足
度を高める付加価値ある提案ができる物流リーダーを短
図表.
4「計画設計/基本設計」
能力ユニット一覧
(様式2)
期に養成することを目的とした実践型講座で、毎年秋に
開催しております。
4.「マテリアル・ハンドリング業」の
職業能力評価基準の策定について
協会では、中央職業能力開発協会の要請を受け、平成
20年度に
「
(MH 業)包括的職業能力評価制度整備委員
会」に秋庭会長を座長とし9名の委員を派遣し「マテリ
アル・ハンドリング業」の職業能力評価基準策定を進
め、平成21年7月29日にその活動報告書が中央職業能力
図表.
5「システム計画レベル2」
職業能力評価基準(様式3)
開発協会より発行され、厚生労働省より「マテリアル・
ハンドリング業」の職業能力評価基準が完成したことが
発表されました。
本活動報告書では、「マテリアル・ハンドリング業」
を企業の抱えている製造・出荷・梱包・保管・物流にか
かわる問題を解決し、顧客の要望に沿った最適な機器や
システムを提案・提供する業種として、「営業技術」
「計
画設計・基本設計」
「生産統括」
「実施設計・詳細設計」
「購買・調達」
「生産技術」
「製造」
「工事」
「サービス技術」
「品質管理」
「管理」の1
1の職種に分け詳細な能力評価基
準を策定している。
具体的には、それぞれの職種ごとに職務遂行のための
能力基準をレベル1の技術スタッフからレベル4の技術
マネージャーまでの4段階に設定している。
「マテリアル・ハンドリング業」の職業能力評価基準
図表.
3 職業能力評価基準の全体構成(様式1)
作成の対象範囲として「コンベヤ系」
「倉庫系」
「車輌系」
の3つの領域に分類し、今回の基準作成については、
「コ
ンベヤ系」
「倉庫系」の2つの領域を対象とした内容にな
っている。
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
インタビュー:人材育成委員会の取組について
なお、職業能力評価基準は中央職業能力開発協会のホ
http://www.hyouka.javada.or.jp/search_gyoushu/data/04201/
ームページでご覧いただけます。
5.アンケート調査からの基本情報
人材育成の強化ならびに会員に対し有益な情報提供を
図ることを目的に会員企業を対象に「人材育成に関する
実態調査(アンケート)
」を平成2
0年秋に実施いたしま
した。その一部抜粋をご紹介させていただきます。
調査結果のまとめ
人材育成に関する教育研修プロ グ ラ ム は 会 員 の
46.
4%が実施。その研修を担当する講師陣は「社内ス
タッフ」によるものが52.
9%と過半数を超え、日本
MH 協会等の外部機関が実施するセミナーへの参加率
は約3割を占めており、その内容は新入社員に対する
基礎知識修得から、協力会社社員までも取り込んだ研
修、現場担当者に対する研修まで幅広いプログラムが
展開されている。
一方、人材教育を行う上での課題として「若手社員
が育ちにくい」
「教育したい対象者の時間が避けない」
「中堅社員が力不足」
「人材教育に携わるスタッフの技
量がまちまち」
「人材育成には費用がかかり過ぎる」な
どがあがっている。それに対し、協会の人材育成支援
活動については約6
4%が「非常に期待する」
「期待す
る」としており、専門技術として「マテハン・物流関
連の基礎知識」
「企画・提案能力」
「ロジスティクスエン
ジニアリング」などへの期待が高い。
さらに、日本 MH 協会に要望として支援提供して
ほしい専門知識としては「物流システムとマテハンの
基礎知識」
「物流センター生産性分析の知識」などが多
くあげられ、事業展開への要望としては「最新技術動
向を研究するための見学会やセミナー」や「異業種・
他業種における最新市場動向のフォーラム」などの充
実に期待が寄せられている。
今回のアンケートを分析して、既存の人材育成事業
の見直しを含め、今後の人材育成活動に反映していく
考えです。
1 人材育成実施状況
人材育成の行う上での課題事項
マテハン関連人材育成プログラム実施状況
●実施している=46.
4%
●現在は実施していないが、検討している=
25.
0%
●全く実施したことがない=28.
6%
人材育成で重点をおく職種
●営業=53.
8% ●開発=30.
8%
●設計=46.
2% ●製造=23.
1%
●現場施工=38.
5%
●保守・メンテナンス=15.
4%
●その他=23.
1%
人材育成で重点をおく職能
●管理職=23.
1% ●技術職=53.
8%
●技能職=46.
2%
●その他=30.
8%
若手社員が育ちにくい
6
1.
5%(8件)
教育したい対象者の業務が
多忙で時間が割けない
6
1.
5%(8件)
中堅社員が力不足
2
3.
1%(3件)
組織全体の活力が停滞
2
3.
1%(3件)
人材教育に携わるコーチング
スタッフの技量がまちまち
2
3.
1%(3件)
人材育成後の評価基準
が明確化されていない
2
3.
1%(3件)
外部の教育機関での人材育
成には費用がかかり過ぎる
2
3.
1%(3件)
0
20
40
60
80%
Material Handling Journal No 262
!
インタビュー:人材育成委員会の取組について
2 今後の人材育成への取組み
人材育成を行う必要性
●将来に対する先行投資として絶対に必要=
75.
0%
●事業展開に必要だが絶対というほどではない
=14.
3%
●費用もかかり、効果の評価も測定しにくく現
状は不要=3.
6%
●顧客に対する物流サービスをアップしたい=
4
4.
0%
●社員のモチベーションを改善したい=4
4.
0%
人材育成を行う上で重要視する専門技術育成
プログラム
●物流関連メーカー視点での物流専門技術=
4
4.
0%
●3PL 視点での物流専門技術=36.
0%
●問屋・卸業視点での物流専門技術=1
6.
0%
●運送業視点での物流専門技術=1
6.
0%
●小売業視点での物流専門技術=1
2.
0%
人材育成を行いたい理由
●技術の継承を図りたい=60.
0%
●直面している競合との競争に勝つために必要
=48.
0%
3 日本 MH 協会の人材育成支援活動について
日本MH協会による人材育成への支援活動期待度
未回答
3.
6%(1件)
あまり期待しない
1
0.
7%(3件)
非常に期待する
1
0.
7%(3件)
n=28
(SA)
どちらともいえない
2
1.
4%(6件)
期待する
5
3.
6%(1
5件)
新入社員向け:専門技術
開発・専門職向け:専門技術
7.
8%
% 7
4件)
8
0.
0 (1
%
8
0.
0
%
8
0.
0
6
0.
0
6
0.
0
6
0.
0
4
0.
0
2
7.
8%
(5件)
2
7.
8%
(5件)
2
0.
0
0.
0
!
営業職向け:専門技術
4
4.
4%
(8件)
4
0.
0
3
8.
9%
(7件)
2
7.
8%
2
7.
8%
(5件) (5件)
MHジャーナル
マ
ー
ケ
テ
ィ
ン
グ
知
識
平成2
2年7月
国
内
外
の
市
場
動
向
0.
0
4
0.
0
3
3.
3%
(4件)
3
3.
3%
(4件)
デ
ー
タ
解
析
経
済
性
分
析
0.
0
2
2
0.
0
基マ
礎テ
ハ
知ン
識・
物
流
関
連
の
4
4.
4%
(8件)
企
画
・
提
案
能
力
国
内
外
の
市
場
動
向
マ
ー
ケ
テ
ィ
ン
グ
知
識
法
規
制
0.
0
エロ
ンジ
ジス
ニテ
アィ
リク
ンス
グ
インタビュー:人材育成委員会の取組について
4 日本MH協会活動施策について
(今後の各種施策への参加意向)
MH 技術フォーラム
●積極的に参加したい=7.
1%
●社内事情が許す限り参加したい=21.
4%
●企画・内容によって参加したい=64.
3%
●参加させる予定はない=3.
6%
セミナー・シンポジウム
●社内事情が許す限り参加したい=2
8.
6%
●企画・内容によって参加したい=6
0.
7%
●参加させる予定はない=3.
6%
ロジスティクス・MH 管理士講座
●積極的に参加したい=3.
6%
●社内事情が許す限り参加したい=3
5.
7%
●企画・内容によって参加したい=4
2.
9%
●参加させる予定はない=1
7.
9%
見学会
●積極的に参加したい=10.
7%
●社内事情が許す限り参加したい=28.
6%
●企画・内容によって参加したい=60.
7%
5 ビジネス・キャリア検定について
「ビジネス・キャリア検定」実施認知状況
「ビジネス・キャリア検定」実施の有効度
未回答
7.
1%
(2件)
未回答
3.
6%(1件)
役立たないと
思う
3.
6%
(1件)
知らなかった
3
5.
7%
(1
0件)
n=28
(SA)
知っている
6
0.
7%
(1
7件)
どちらとも
いえない
46.
4%
(1
3件)
n=28
(SA)
役立つ
制度だと思う
42.
9%
(1
2件)
積極的に参加し
たい 0%
まだ
わからない
2
5.
0%
(3件)
「役立つ制度だと思う」
回答者の参加意向
当社の事情が
n=12 許す限り参加
(SA) させたい
参加は検討
課題とする
2
5.
0%
(3件)
5
0.
0%
(6件)
Material Handling Journal No 262
!
インタビュー:人材育成委員会の取組について
6 日本 MH 協会への要望
支援提供して欲しい専門知識
4
6.
4%
(1
3件)
物流システムとマテハンの基礎知識
3
5.
7%
(1
0件)
ロジスティクスの知識
(LE)
物流センター生産性分析の知識
3
5.
7%
(1
0件)
在庫管理の知識
3
5.
7%
(1
0件)
自動認識技術
(RFID)の知識
3
2.
1%
(9件)
ピッキングの知識
3
2.
1%
(9件)
仕分けの知識
3
2.
1%
(9件)
0.
0
1
0.
0
20.
0
3
0.
0
4
0.
0
5
0.
0%
要望する事業活動
最新技術動向を研究するための見学会、
セミナーをもっと積極的に
4
2.
9%
(1
2件)
異業種・他業種における最新市場動向の
把握を目的としたフォーラム
35.
7%
(1
0件)
メーカーとユーザーをリンクさせた
情報交換の場の設定
28.
6%
(8件)
マテハン関連の技術動向調査を
積極的に行い、情報提供要望
28.
6%
(8件)
0.
0
1
0.
0
今後、会員企業に対し人材育成に関するヒアリングや
既存の人材育成事業の見直し、人材育成に関する新しい
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
20.
0
3
0.
0
4
0.
0
5
0.
0%
事業の在り方について引き続き本年度も本委員会を中心
に検討していきます。
特 集
“求められる”人材育成
人材不足を嘆くマネジャーや経営者の声をよく
聞きます。けれども、それは自らの“人材育成力”
の不足を嘆いているようにも聞こえます。
るのではないでしょうか。
本号では、マテハン、物流の現場での、設計、
運用、安全・衛生など多角的な視点から人材育成
企業のみならず、あらゆる組織にとって最も重
がもたらす現場への影響や効果、あるいはそこに
要な資源の一つは“人材”であると言われ続けて
求められる人材を育成していくために必要なスキ
います。
ルや観点、また具体的な仕組みづくりや教育カリ
一方、少子高齢化が進み、また、雇用需給の不
均衡などにより、有効求人倍率の見かけほどに
は、現場の人材は潤沢とは言えないようです。
さらに、物理的な危険や、『うつ病』などの精
神的なリスクといった課題も山積しています。
キュラムなどを特集いたしました。
また、当協会も皆様からのお声に耳を傾け、
「た
めになる」教育・研修カリキュラムをご用意し、
微力ながらお役に立ってまいる所存ですので、是
非各カリキュラムへのご参加をお願いいたします。
さて、こうしてみると、人材が大切であるのは
本号特集並びに、当協会カリキュラムが、「人
判っている。しかし人材への需要は逼迫してい
材が育たない」とお嘆きのマネジャーの皆様のお
る。したがって人材育成が重要であるが、上手く
役に立てれば幸いです。
行っていない、と言うことになるようです。
つまり、
「人材育成」
とはどうすればよいのか、
(記
吉田
千春、勝間田
泰)
また、どうあるべきかということが求められてい
Material Handling Journal No 262
!
特集
●“求められる”
人材育成●
人材育成が「新型うつ」を防ぐ
株式会社 アウトフロント
代表取締役
菊山
博之
若手を中心に新型うつに罹る人が増えています。その
立てていないのではないか、厄介者なのではないかとい
特徴と考えられる原因、そして予防のための重要な点に
う自己効力感の欠如、もうこれ以上この仕事を続けてい
ついてお話しします。
けないという自信喪失などがあるとみられています。
(図
表.
1)
1.増えている新型うつ
うつ病といえば、従来は過重な労働環境
(仕事の集中、
過度な残業、休日出勤)や重責などによって体調がおか
年齢
(従来の)
様々な年代
うつ病
原因
荷重な労働環境
重責
しくなり、この影響で仕事の効率が下がってきたのにも
かかわらず、それを自分の責任としてさらに過重な労働
を行い、その結果、出社できなくなるだけでなく、私生
新型うつ
活も普通に営めない状態になってしまう、というのが典
型でした。
主に2
0代、
3
0代
症状
うつ状態が続き、出
社できないばかりか
私生活も普通に営め
ない
仕事ではうつ状態であ
挫折感、
るが、
それ以外はさほど
自己効力感の欠如、
ではない。
休日に趣味
自信喪失
や旅行などを普通にす
などの様々な理由
ることもある
図表.
1
ところが、最近は20代・3
0代の人達を中心として、従
来のうつ病とは異なるタイプが出現してきて「新型う
つ」と呼ばれています。
特に若い世代に新型うつが増えている背景としては、
成長過程で挫折感を味わうことが少なくなったので挫折
新型うつの特徴は、仕事中だけうつ状態になり、仕事
に対する免疫を持っていない人が多いこと、周囲から褒
以外では色々な活動ができることです。終業時刻になる
められることを当然と捉えがちであるため、自分の行動
と元気になったり、休日には外出して活発に行動してい
に対するフィードバックがないと自己効力感を失いやす
たりします。これを見て周囲の人達は「仮病ではない
いこと、理不尽な体験をすることなく育ったため、自分
か?」などと感じてしまいます。
の経験からは理解できない言動に対する耐性を持たない
しかし、この新型うつにはもう一つの特徴がありま
す。それは自分の気分が落ち込むのを他人の責にしてい
ので自信を喪失しやすいこと、などがあげられていま
す。
ることです。ですから安易に「あなたは本当にうつ病な
の?」などと言ってはなりません。本人は確かにうつ状
態(不眠や様々な身体症状)に悩まされているのですか
2.職場の変化とうつ病の関係
ら、このような発言を聞いて周囲が自分のことを理解し
マネージャーは会社から何を求められているのでしょ
てくれないと思い、そしてさらに周囲の人達を責めてし
うか? その答えは「マネジメントする組織が、会社か
まうことになり、状態を更に悪化させてしまいます。
ら求められている成果を出している状態にすること」で
新型うつになる原因は、取り返しのつかないことをし
す。このためには(図表.
2)にあるように、望ましい状
でかしてしまったという挫折感、自分はこの職場で役に
態へと組織を前進させるためのマネジメントと、そこか
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
人材育成が「新型うつ」を防ぐ
ら後退するのを防ぐマネジメントの両方を行って成果・
業績を出さねばなりません。
3.成長感を持たせるためにすべきこと
ところが15年ほど前から導入された「成果主義による
新型うつを起こす3つの主要な原因を取り除くには、
人事制度」により、成果・業績を出すことが特に重視さ
失敗を挫折だと感じさせないこと、自分はこの職場に必
れてしまいました。すると、成果・業績は両方のマネジ
要だと思わせること、自分は仕事ができるという自信を
メントを行うことによって達成するのが本来であるの
持たせることです。しかし、新入社員は失敗はするし、
に、達成をより重視してマネジメントをないがしろにし
業績が出せないこともあります。そこで重要なのが、成
てしまう傾向が現れ、中には部下を酷使してでも(短期
長感を持たせることです。すなわち「この失敗から・・
的な)成果を出すことを優先するタイプのマネージャー
・ということを学んだ。
「
」少しずつだけれど会社の役に
が現れたりもしました。(正確には成果主義導入前にも
立ててきている。
「
」上手くできない仕事もあるけれど、
成果最優先のマネージャーはいましたが、彼らのほとん
この仕事は自信がある。
」
と思えるようにしてやることで
どはトップダウンのスタイルで両方のマネジメントを行
す。
成長感を持たせる方法のひとつは、仕事での経験から
っていました。
)
学んで成長できるようにしてやることです。その方法に
ついて、神戸大学の松尾睦教授は、長年の調査と研究を
まとめた著書「経験からの学習」でこのようにまとめら
れています。(図表.
3)
! 人は主に挑戦的な仕事から学ぶ
" 人は、目標達成志向と顧客志向のバランスを
保つとき、経験から多くのことを学習する
図表.
2
# 人が学習目標を持つとき、目標達成志向と顧
客志向が連動する
績さえ上げれば良いのだ、とまでは割り切れないマネー
$ 顧客を重視し、
メンバーが知識や行動を巡って競
争している組織において、目標達成志向と顧客
志向が高まり、
組織内の学習が促進される
ジャーが悩むことになりました。これまでのマネジメン
出所:経験からの学習
この変化が悩める人を増やしました。まず、成果・業
松尾睦著
p.
1
7
8 より抜粋して一部を修正
ト方法では、達成重視のマネージャーに短期的な成果で
かなわないので、マネジメント方法を変える方が良いこ
図表.
3
とは分かっているのですが、個人としてそこまで割り切
って変えられないというジレンマに陥ることになったの
です。
マネージャーは、①部下にチャレンジが伴う目標を与
え、それが達成できるように支援すること、②部下が目
そして、若手の社員です。先に述べたとおり周囲から
標達成と顧客満足のバランスを保った行動をとっている
褒められたいと思っていても、成果・業績を出さないと
かどうかを良く確認して、コーチングすること、③部下
褒めてもらえません。しかし、入社してしばらくは褒め
に自らの強い点と強化すべき点を理解させ、成長のため
られるような成果・業績を出せることはあまりないので
の目標として認識させること、④部下各々が顧客重視を
褒めてもらえず、自己効力感を失う、自信を喪失する、
遵守した上で、顧客や商品についての知識と、目標達成
挫折したと感じてしまうことが多くなったのです。
と顧客満足を両立させるための行動に関して、互いに切
磋琢磨している職場にすること。
Material Handling Journal No.
262
!
人材育成が「新型うつ」を防ぐ
これらができれば、部下全員に成長感を持たせること
ができ、新型うつになる最大の原因を取り除くことがで
きるのです。
【閑話休題】良好なコミュニケーションとは
新型うつとは無縁の職場にするにはコミュニケーショ
ンが重要。これは当たり前ですが、その重要なコミュニ
ケーションのレベルが低いマネージャーをよく見かけま
す。彼らに共通しているのは、自分は周囲の人達とコミ
ュニケーションがとれていると思っているが、周囲はそ
うは思っていない、という点です。
図表.
4−1
良好なコミュニケーションがとれているというのは、
お互いの話の内容と気持ちがやりとりされ、理解されて
育成はかなり見られます。「真剣さが足りない。
「
」お客
いる状態のことです。内容は「どんなことを話したか」
、
様の方を向いて仕事をしなさい。
「
」守りに入っているの
気持ちは「どんな気持ちで話していたか」ということで
ではないか?」などの発言によって部下を指導しようと
すが、ほとんどの場合、どちらか片方のみのやりとりに
することです。ところが、態度は相手の行動を見て感じ
なってしまいます。
るもの、すなわち自分の認知なので、相手の認知と異な
部下が、「難しい交渉の末、当方に有利な条件で契約
ることがあるのです。
できた。
」
という報告をしてきたとき、「難しい交渉が成
例をあげましょう。会議で一度も発言しない(行動)
功して、ほっとしたようだね。お疲れさま。
」
と返すのが
人を見て、真剣さが足りない(態度)と感じたので、そ
良好なコミュニケーションなのです。
の人に対して「もうすこし真剣に取り組んでくれません
ところが、「契約成立だね、わかりました。
」
とだけし
か?」と言った。ところがその人は、話し合いのテーマ
か返さないマネージャーが多いのです。これでは、話の
について真剣に考えていたので発言できなかったので、
内容は理解していますが、部下の気持ちは理解していま
真剣でないと思われて心外だと感じた、というような状
せんので、部下には自分が伝えたいことをマネージャー
況を生んでしまいます。
が全て理解してくれたとは感じられません。これが前述
このように、態度に焦点を当てた育成は的外れにな
したコミュニケーションについての認識違いを生むので
り、相手にいやな思いをさせてしまうことがあるので、
す。
注意しなければなりません。これに比べて、行動に焦点
マネージャーは、部下の「話の内容」と「気持ち」の
両方を聴いて理解することが必要です。
を当てた育成は、目で見た行動について育成するので、
的外れになることはありません。従って、行動に焦点を
当てるのが一つめの原則です。
4.人材育成が予防につながる
適切な方法での人材育成は部下に成長感を持たせるこ
とにつながり、新型うつの予防になります。適切な育成
を行うための原則が二つあります。
一つ目は、相手の行動に焦点を当てて育成することで
二つ目は、育成方法の選択についてです。(図表.
4−
2)のように、トレーニングとコーチングを組み合わせ
て、相手の習熟度に合わせた方法を使うことです。
1∼3の段階にいる部下をトレーニングしないのは放
置ですので論外です。4の段階の知識面は十分だが熟練
度に課題がある部下にはコーチングします。なぜなら熟
練とはその人なりの方法が身につくということだからで
す。
部下の人格や性格に焦点を当てた育成を行うマネージ
す。特に4∼5の段階の部下にマネージャーが自分のや
ャーは、今はもういないと思います。しかし、日本人の
り方を押しつけてしまうと、未熟で経験が浅い部下は、
コミュニケーションの特徴である、態度に焦点を当てた
マネージャーから教わったとおりにできないで失敗して
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
人材育成が「新型うつ」を防ぐ
段階
状態
1 この仕事をしたことがない
育成方法
見かけたら、どういう考えでその行動をしたのかを尋
トレーニング
ね、その見解を肯定してやります。肯定されたことで自
分の見解に自信が持てたならば、その後は、様々な場面
この仕事をしたことはあるが、
全プロセスに渡って
2
うまくできない
トレーニング
(知識面の問題)
3 うまくできないプロセスがある
トレーニング
(熟練度の問題)
4 うまくできないプロセスがある
コーチング
できないときがある
5 うまくできるときと、
コーチング
6 うまくできていたのに、今回はうまくいかなかった
コーチング
7
標準をクリアーした仕事ぶりだが 、さらに上達の
余地がある
コーチング
で見解に沿った行動ができるようになり、指示待ちの状
態から抜け出せるのです。
【仕事がなかなか進まない部下】
頼んだ仕事が完了しない人がいます。仕事のやり方は
分かっているのに仕事が進まず、
その理由を尋ねても
「時
間がなかった」とか「相手が外出中だった」などとしか
答えず、どうやら誤魔化そうとしているようです。
こういった人は、感情面の理由で仕事が進まないこと
図表.
4−2
が多いので、その尻込みしている気持ちを理解してやる
ことが必要です。このケースでは論理的な話をしても解
しまうことが多く、その結果、自信を喪失させたり、挫
折感を味あわせたりしてしまいます。
このレベルの部下には、熟練するための方法を部下に
考えさせ、その方法が上手くいくようにフォローするコ
決には至りません。
「できない理由は何ですか?」よりも「何か尻込みし
ている様子だけれど、どうしたの?」と問いかけると良
いでしょう。
ーチングをおこないます。
自分で考えた方法で仕事をこなせるようになったとき
ほど、成長を実感できることはありません。
「新型うつかな?」と感じたときの対応
自己効力感を持てない、自信を喪失してしまった、挫
折したと感じている、などが新型うつに罹る原因だと言
5.良くあるケースでの育成方法の例
職場でよく起こるケースについて、具体的な育成方法
を考えてみましょう。
いました。これらの気持ちは、人に話すのがためらわれ
る部類の感情ですから、部下から「自信がなくなりまし
た」などと言ってくることはほとんどありません。そこ
で、少し変だなと感じたら、マネージャーから働きかけ
て話を聴こうとすることが必要です。
【指示待ちの部下】
指示すれば良い仕事をしてくれるのに、自分から進ん
では何もしない人がいます。こういった人は自分の見解
に自信がないことが多いのです。
この場合にしてはいけないことが二つあります。もっ
と頑張れと励ますこと、マネージャーが考えた解決方法
を押しつけてしまうこと、です。
すべきことは一つだけです。相手に、あなたが理解し
例えば、同僚がたくさんの仕事をかかえているのを見
ようとしていることを感じてもらうことです。相手の状
たら、当然「何かお手伝いしようかな?」と思います。
況を聴き出せなくてもかまいませんので、相手の話に耳
しかし、その見解に自信がないと「差し出がましいので
を傾け、話の内容を理解し、どんな気持ちでいるのかを
はないか?」とか「その人に失礼かもしれない。
」
などと
感じ取ろうとしてください。気持ちはノンバーバル(表
思ってしまい、
結局、
何もしないですませてしまいます。
情や姿勢、ジェスチャーなど)に現れますので、よく観
こういった人に「手伝ってあげて」などと行動を指示
察してください。
したところで、行動はその場限りで終わるだけで、指示
話し合いは(図表.
5)の手順で進めます。
待ちの姿勢は変わりません。
留意すべき点は、ステップ1では、叱るのではなく、
こういった人への効果的な育成方法は、その見解を肯
話を聴かせてほしいということを伝えること。ステップ
定してやることです。その人が良い行動をしているのを
2では、相手の行動についてのみ話すこと。ステップ3
Material Handling Journal No.
262
!
人材育成が「新型うつ」を防ぐ
6.最後に
6ステップ
1.話し合いの目的を確認する
2.話し合おうとする問題について話す
3.相手の状況や意見を聴く
新型うつに罹る人を少なくするには、職場を若手が成
長感を持てる状態にすることです。これまで述べてきた
ように、このためにマネージャーがやるべきこと、留意
すべきことがたくさんあります。その中には会社の理解
や協力が無ければ実行できないものもかなりあります。
4.相手の状況に適切に対応する
5.問題を解消する方法がないかを探る
新型うつの予防は、マネージャーだけに任せるのではな
く、会社全体でこの問題に取り組んでいけるかどうかに
かかっています。
6.話した内容をまとめ、今後の行動について
確認する
お問合せ先
図表.
5
では状況や意見を全部聴き出そうとするのではなく、相
株式会社アウトフロント
〒1
0
5−0
0
0
4
手に自分が理解しようと思っていることを感じてもらえ
東京都港区新橋1−1
8−2 明宏ビル別館6階
るように意識することです。
代表取締役 菊山 博之
そして、相手の話から、うつ状態(不眠や様々な身体
TEL:0
3−3
5
0
0−5
7
2
7
症状)があると分かったら、協力を申し出てください。
E-mail : info@outfront‐inc.com
自分の考えを押しつけるのではなく、相手が求めること
Twitter @HiroKIKUYAMA
に協力してやるのです。
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
日本MH協会主催
TOKYO PACK2010 協賛
物流合理化・コストダウン・安心、安全・省エネ
[開催概要(案)]
1. 名 称 :「ためになるMH」ソリューション展示ゾーン
2. 会 期 :2010年10月5日(火)∼8日(金) 4日間
3. 会 場 :2010東京国際包装展・特設会場(東京ビッグサイト東ホール)
4. 目 的 :MHを通して「社会」「企業」「個人」に貢献する「ためになるMH」
をテーマに2010東京国際包装展内に日本MH協会会員の特別展示ゾー
ンを設け、MH物流システム機器等をPRし、参加企業の新規ユーザー
獲得に寄与する。
5. 主 催 :日本MH協会
6. 後 援 :(社)日本包装技術協会 7. 協 賛 (財)日本生産性本部、中央職業能力開発協会、東京商工会議所、
(社)日本自動認識システム協会(いずれも申請予定)
[出展要領(案)]
1. 出展ゾーン(予定)
①物流ソリューション展示ゾーン
②流通ソリューション展示ゾーン
③製造ソリューション展示ゾーン
④RFIDソリューソン展示ゾーン
⑤各種ソリューション展示ゾーン
⑥後援・協賛団体PRゾーン
2. 出展料及び小間規格
Jmhs会員及び後援協賛団体会員
1小間:210,000円
上記以外の一般会社(団体)
1小間:231,000円
※出展料に含まれるもの:間口3.0m×高さ2.7m 側壁・後壁の設置(角小間は側壁なし)
受付カウンター、パイプ椅子1脚
※小間位置は抽選ではなく、主催者一任とします。
Material Handling Journal No.
262
!
特集
●“求められる”
人材育成●
労働安全衛生マネジメントシステムと
リスクアセスメント
中央労働災害防止協会
技術支援部長
中村
富也
1.労働安全衛生マネジメントシステムとは
労働安全衛生マネジメントシステム (以下、単に
「OSHMS」という。OSHMS : Occupational Safety and
Health Management System)は、事業者が労働者の
協力のもと、
事業経営の中に組み入れて、「計画−実施
−評価−改善」という一連の過程(以下「PDCAサイク
ル」という。
)を定め、連続的かつ継続的な安全衛生管
理を自主的に行うものであり、事業場の労働災害の潜在
的危険性を低減するとともに、労働者の健康の増進及び
快適な職場環境の形成の促進を図り、事業場における安
全衛生水準の向上に資することを目的とした新しい安全
衛生管理の仕組みである。
マネジメントシステムとして、既に品質管理や環境管
理の分野でISOにおいて国際規格化されている。これら
の規格は、公正な国際取引を確保し取引の信用を高める
ために、企業経営に一定の条件を課したものである。
労働安全衛生マネジメント
システムの導入
OSHMSは労働災害防止のためのものであり、労使一
体となった取組みが肝要であることから、ISOではなく
ILOのガイドラインとして国際基準が定められている。
我が国では、ILOのガイドラインに準拠して厚生労働
省が「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指
経営との一体化
全 社 的な推 進
体制の整備
本質安全化への取
り組み
危険又は有害性等
の減少
自主的な対応の促進
組織的、継続的かつ
効果的な活動の励行
針」
(平成1
1年労働省告示第5
3号、改正平成1
8年 厚生労
働省第1
1
3号)を公表している。
2.OSHMSの導入の必要性
労働災害のさらなる
減少
(1)数多く存在するハザード
我が国の労働災害による被災者数は、平成2
0年でみ
ると1
2
0
0人を超える尊い命が失われ、労災新規受給
者数は約5
5万人にも上っている。昭和3
0年代、40年代
安全衛生水準の向上
の水準と比較すれば相当の減少が図られたものではあ
るが、必ずしも事業場における安全衛生水準が満足で
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
労働安全衛生マネジメントシステムとリスクアセスメント
きるものになったことを意味するわけではない。厚生
の事項について述べる。
労働省の調査では、災害には至らなかったがヒヤリハ
ットを体験した者は多く、製造業では調査した労働者
ア 安全衛生に関する方針の表明に関すること
安全衛生方針は、事業場トップの安全衛生水準の向上
の実に65%に達している。
現在でも、潜在的な危険有害要因(ハザード)は事
を図るための基本的考え方を示すものである。安全衛生
業場の中に数多く存在しており、何年かに1回の割合
方針は、OSHMSを運用していく最も基本となるもので
で大きな災害、最悪の場合には死亡災害という形で顕
あり、単なるスローガンではなく、事業者の安全衛生に
在化している。
対する基本姿勢や理念とともに重点課題への取り組みが
また、新たな技術や物質の出現により、今までにな
明快に示されていることが必要である。
指針では、安全衛生方針には次の事項を含めるものと
かったハザードが生じてきている。
されている。
① 労働者の協力の下に、安全衛生活動を実施すること
(2)安全衛生ノウハウの継承困難
事業場では、安全衛生パトロール、ヒヤリハット報
OSHMSの構築、
実施・運用は事業者すなわち経営者
告、危険予知活動など、様々な自主的安全衛生活動が
の責任であるが、これを確実なものとするためには、
職場の創意工夫により進められてきている。しかし、
労働者の協力が不可欠である。
このため、
安全衛生方針
従来これらの活動を組織的かつ継続的に改善し維持し
の中にこのことを含めて表明することとされている。
ていくためのシステムが整備されていなかったため、
② 法又はこれに基づく命令、事業場において定めた安
その時その場の対策で終わってしまうことも否めない
全衛生に関する規程等を遵守すること
実態であった。また、現場の管理者が熱心である場合
企業経営において、法又はこれに基づく命令を遵守
は的確な安全衛生対策がなされるが、安全衛生への関
すること、すなわちコンプライアンスが必要であるこ
心がない場合や安全衛生に経験のない管理者が配置さ
とはもちろんのこと、OSHMSを運用するに当たって
れた場合、それまでの安全衛生対策が継続されなくな
は、事業場における安全衛生規程等も守ることが前提
るという面が認められる。
でなければ意味のないものとなることから、安全衛生
特に昭和30年代、40年代の災害が多発していた時代
を経験している安全衛生の管理者等が次々と退職して
方針の中に含めることとされている。
③ OSHMSに従って行う措置を適切に実施すること
いくなかで、これらの者が有している安全衛生に関す
OSHMSを導入するとした場合にこのことは当然で
るノウハウを組織の中に確実に引き継いでいくことが
あるが、事業者が決意を示すとの意義もあり、安全衛
重要となっている。
生方針に含めることとされている。
(3)OSHMSの要点
安全衛生方針は、各級管理者は勿論のこと、労
以下、厚生労働省の指針に示された主要な次の3つ
働者をはじめとして構内の関係請負人など、この
方針に基づく安全衛生管理に協同して取り組むこ
労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針のフローチャート
とが求められる関係者へ周知する必要がある。
事業者による安全衛生方針の表明
PDCAサイクル
基本要素
危険性又は有害性等の調査の実施
実施事項の決定
緊急事態への対応等
体制の整備
P
安全衛生目標の設定
P
安全衛生計画の
P
作成
P
安全衛生計画の実施等
イ リスクアセスメントに関すること
P
行い、その結果に基づき必要な措置を講ずること
労働者の意見
の反映
D
明文化
C
改善
A
システムの見直し
(以下、単に
「リスクアセスメント」
という。
)
は、
平成1
7年の労働安全衛生法の改正により新たに事
業者の努力義務とされた事項であるとともに、
C 、A
日常的な点検、
改善等
労働災害発生原因の調査等
C 、A
システム監査の実施
職場の危険性又は有害性についてリスク評価を
記
録
OSHMSにおける主要な実施事項の一つである。
① リスクアセスメントの基本
労働者の安全と健康を確保するために、単に
Material Handling Journal No.
262
!
労働安全衛生マネジメントシステムとリスクアセスメント
「労働安全衛生法令を遵守すればよい」ということで
リスクアセスメントを実施する上で重要なことは、次
は十分ではないということはもちろん、今日では、事
の優先順位で、リスク低減措置の内容を検討の上、実施
業者は労働者の安全と健康の確保にできる限り努めな
することである。リスク低減措置は、本質的な安全化、
ければならないというのが社会の当然の要請になって
すなわち、設備面での対策を優先して行うものであり、
いる。この要請に応えるためには、事業者は「実行可
マニュアルの整備や教育訓練の徹底、個人用保護具の使
能な限り事業場における安全衛生水準を最大限に高め
用といった人に頼る手法を安易に選択してはならない。
ることができる方法」を組み込んだ安全衛生管理を行
う必要がある。これを実現するための有力な方法の一
つがリスクアセスメントである。
リスクアセスメントは、次のように、リスクの低減
を体系的に進める手法である。
③ リスクアセスメントの意義と効果
リスクアセスメントを導入することにより、次のよ
うな効果が期待できる。
・リスクに対する認識を共有できる
・事業場のあらゆるハザードを洗い出し、特定する
リスクアセスメントは現場の作業者とともに管
・それらのリスクの見積りを行う
理・監督者が進めるので、職場全体で安全衛生の
・優先的に対処しなければならないリスクを明らか
リスクに対する共通の認識を持つことができるよ
にする
うになる。
・リスク低減措置を検討・実施するとともに、残留
・リスク低減措置を講ずべきリスクの合理的な優先
リスクについても必要な措置を検討・実施する。
順位が決定できる
現在、多くの事業場で、職場に存在するハザード
リスクアセスメントではすべてのリスクを許容
を洗い出し、そのリスク評価をして、事前の安全衛
可能なリスク以下にするよう低減措置を講ずる
生対策を立てるために、安全衛生パトロール、安全
が、リスクの評価結果等によりその優先順位を決
衛生診断、KY活動などが一般的に行われている。
定することができる。
リスクアセスメントは、これらの経験的な活動に対
し、体系的、論理的及び計画的に事前の安全衛生対
策を進める点に特徴がある。
② リスクアセスメントの基本的な手順
リスクアセスメントの基本的な手順は下図のとおり
である。
スタート
危険性又は有害性の特定
職場にある機械・設備や環
境などについて危険性又は
有害性を特定する。
危険性又は有害性ごとの
リスクの見積り
特定したすべての危険性又
は有害性についてリスクの
見積りを行う。
リスク低減の優先度の設
定・対策の検討
リスク低減対策の実施
&
MHジャーナル
リスク低減措置を実施する
ための優先順位を決定する
とともに具体的なリスク低
減対策を検討する。
優先度の結果にしたがい、
その除去や低減措置を実施
する。
平成2
2年7月
高
リ
ス
ク
低
減
措
置
の
優
先
順
位
低
%)本質的対策
危険な作業の廃止・変更、より危
険性又は有害性の低い材料への代
替、より安全な製造工程への変更
等、設計や計画の段階から労働者
の就業に係る危険性又は有害性を
除去又は低減する措置
")工学的対策
!)の措置により除去しきれなか
った危険性又は有害性に対する、
ガード、インターロック、安全装
置、局所排気装置の設置等の措置
#)管理的対策
!)及び")の措置により除去し
きれなかった危険性又は有害性に
対する、マニュアルの整備、立入
禁止措置、ばく露管理、警報の運
用、教育訓練、健康管理等の作業
者等を管理することによる対策
$)個人用保護具
の使用
!)
から#)
までの措置により除去しき
れなかった危険性又は有害性に対す
る、
呼吸用保護具や保護衣等の使
用。
なお、
この措置により!)
から#)
までの代替を図ってはならない。
労働安全衛生マネジメントシステムとリスクアセスメント
・本質安全化を主眼とした技術的対策への取り組み
ができる
② 安全衛生計画の実施
安全衛生計画の実施に当たっては、計画が計画どお
リスク低減措置はリスクレベルに対応して、採
り確実に実施されるよう詳細な事項を決定し、事業場
るべき措置の優先順位が定められていることか
及び各部門においてこの実施管理を行うことが必要と
ら、まずは、本質安全化を主眼とした技術的対策
なる。そのため、担当部門、実施時期、実施方法等を
への取組みが検討されることになる。特に、リス
示した具体的な実行計画が定められ、この実行計画に
クレベルの大きい場合は本質安全化に向けた対策
したがって安全衛生計画が推進される。
を取り組むことになる。
・費用対効果の観点から有効な対策が実施できる
リスクレベルに対応して講ずべきリスク低減措
置の検討に際しては、措置ごとに緊急性と人材や
計画に盛り込まれた目標の達成のためには、設備改
善、外部機関による各種機械の検査、健康診断、作業
環境測定の実施等費用の支出を伴うものがあり、これ
らをの予算を確保する必要がある。
資金など、必要な経営資源が具体的に検討され、
また、労働者の協力の下にOSHMSを推進していく
費用対効果の観点から合理的な対策を実施するこ
ためには、安全衛生計画の実施についても、その内容
とができる。
・残留リスクに対して「守るべき決めごと」の理由
が明確になる
を労働者に確実に周知しておくことが必要となる。
③ 安全衛生計画の評価・改善
・日常的な点検・改善
技術的、時間的、経済的にすぐにリスク低減が
安全衛生計画は、事業者の方針を受けて具体的に
できない場合、作業方法・手順の改善、管理監督
定められた目標を計画期間内に確実に達成すること
者や作業者の教育など、残留リスクに対応した管
がその目的である。このため、安全衛生計画の進捗
理的な措置を講じたることが必要となる。この場
状況や安全衛生計画の目標達成状況について、担当
合、リスクアセスメントに作業者が参加している
の部門(ライン)や安全衛生部門(スタッフ)等が
と、なぜ、注意して作業しなければならないかの
日常的に点検・評価を行い、これらの状況について
理由が理解されているので、守るべき決めごとが
問題が認められたときには、改善を行うことが必要
守られるようになる。
である。
また、これらの点検、評価、改善の結果について
ウ 安全衛生計画の作成、実施、評価及び改善に関する
こと
① 安全衛生計画の作成
は、次回の安全衛生計画に反映させることにより、
一層の安全衛生水準の向上が図られる。
・3つのCA
OSHMSでは、安全衛生方針に基づき、事業者が安
PDCAサイクルを適切にまわすために重要なこと
全衛生目標を設定して、それに向かって自主的に努力
は、それぞれの安全衛生活動が、計画や実施要領に
することが必要とされている。その安全衛生目標を達
基づき実施されているか、効果が上がっているか、
成するための具体的な実施事項と、目標達成に向けた
効果が上がっていない場合は必要な修正や改善が行
スケジュール、担当等を定めたものが、安全衛生計画
われているか、というように、CA(評価・改善)
である。安全衛生計画は事業場レベルの年間計画が基
を適切に行うことである。
本であるが、
事業場の規模等を勘案し、
必要に応じて、
このため、OSHMSでは、!)上に述べた日常的
例えば、中長期的な計画、部門や職場の計画などをあ
な点検・改善に加え、")システム監査、#)事業
わせて作成するのが効果的である。
者によるOSHMSの見直しの3つのCAを行うこと
安全衛生計画の内容は、リスクを優先度に従って除
が求められている。これらの3つのCA(次図参照)
去・低減するための実施事項や、安全衛生関係法令、
を、それぞれの階層において適切に実施することが
事業場の安全衛生規程に基づく実施事項を踏まえて決
事業場全体のPDCAサイクルを適切にまわすという
めていくが、実行性を十分考慮し、過去の、例えば前
ことにつながる。
年度の安全衛生目標の達成度合いや安全衛生計画の実
行結果を参考にすることなどができる。
")の「システム監査」は、安全衛生計画の実施
担当部門等の当事者が行う日常的な点検、評価、改
Material Handling Journal No.
262
!
労働安全衛生マネジメントシステムとリスクアセスメント
善とは異なり、
事業場内における他部門に対し公平・
安全衛生方針、OSHMSの中で作成された各手順な
公正を期して第三者の立場で行う評価、
改善である。
どを包括的に評価して、実施するものである。
!)の「事 業 者 に よ るOSHMSの 見 直 し」は、
OSHMSの見直しは、OSHMSの妥当性及び有効性
OSHMS全般について事業者の責任で行うものであ
を確保するものであり、OSHMS全体の方向性にか
り、定期的なシステム監査の結果を踏まえ、事業者
かわる大変重要な評価・改善である。
自らがOSHMSの妥当性と有効性という観点から、
事業場の安全衛生方針の表明
事業場の安全衛生目標の設定
事業場の安全衛生計画の作成
A課 ・ ・ ・ ・ ・ ・ N課
課の安全衛生目標の設定
・・・
課の安全衛生目標の設定
課の安全衛生計画の作成
課の安全衛生計画の作成
課の安全衛生計画の実施・運用
課の安全衛生計画の実施・運用
日常的な点検・改善
ラインによるCA
スタッフによるCA
組織によるCA
事業者によるCA
日常的な点検・改善
日常的な点検・改善
システム監査
システムの見直し
お問合せ先
おわりに、中央労働災害防止協会では、OSHMSやリ
スクアセスメントの普及・定着に少しでも役立つよう、
中央労働災害防止協会 技術支援部
人材養成ための各種研修会、事業場への各種支援サービ
部長 中村 富也
スなどを積極的に進めています。また、OSHMSについ
〒1
0
8−0
0
1
4
ては、ILOのガイドライン及び厚生労働省の指針に沿っ
東京都港区芝5−3
5−1
たJIS方式適格OSHMS認定事業を実施しています。物流
TEL:0
3−3
4
5
2−3
3
9
8
関係についても
(株)
日通総合研究所(代表取締役社長:
FAX:0
3−5
4
4
5−1
7
7
4
大前隆一)とその認定機関として契約し、連携協力して
E‐mail:tomiya‐[email protected]
本格的に事業の推進を図っていくこととしています。
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
連★載
米国マテハン専門誌抄訳
vol.51
(2010.3∼2010.4)
米国の Modern Materials Handling 誌の内容を会員に海外情報として紹介すべく、近着の記事中か
ら選択抄訳と解説を掲載しています。全文記事については、インターネット上でmmh.comをクリック
して原文を読むことができます。
2
0
1
0年3月号
クリーブランド・クリニックの最新鋭DC
2
0
1
0年4月号
グリーンMH
米国トップクラスの同病院での配送センターは、駐
コンベヤからパレットまで、サプライチェン全体に
0
8
車場地下の21,
000m2の区域に、最新鋭のものが20
わたって、環境配慮に焦点をあてたMH機器製作が
年9月から稼働中である。
MH機器産業界の、他社との差別化のターゲットとな
以前は紙の帳票ベースで動いていたものが、今や自
ってきていることがMMHの調査でわかった。
動機器、情報機器を駆使し、同病院で使用する入院患
コンベヤ、仕分、保管分野では、制御システムと連
者用食糧、生活用品、薬品、手術用具など、日々平均
動して、使うときだけ動くような省エネ、稼動時間帯
7
0,
000ユニットをピッキングし、病院への地下トンネ
を分散してピーク電力を抑える方法が検討され、省ス
ルを介してJITに配送している(写真はAGVによりコ
ペースに伴うインフラ電力節約の点でAS/RSが再評
ンテナを積んだ台車を、地下トンネルを走行して搬送
価・アピールされている。
しているもの)
。
その他、自動MH機器分野ではロボット採用による
MH機器には以下のものがある。
インフラ電力節約が評価されるほか、水素燃料、メタ
・AGV80台、自動カート1,
1
00台(全てRFID付き)
ノール燃料などを使用した新しいタイプのバッテリー
・水平回転棚7基(7,
20
0棚)、垂直回転棚、カート
を採用したAGVが開発されており、温室ガス放出の
ンフローラック、パレット棚(850棚)
・AGV自動充電装置、コンベヤ、フォークリフト
・ERP、WMS、バーコード・RFID情報機器
削減効果を狙っている。
パレット、コンテナではリユース、リサイクルの観
点からプラスチック製が再評価され、ある大手ソフト
ドリンク会社によるライフサイクル分析によれば、3
0
∼6
0%、温室ガス排出削減につながると見込まれてい
る。
Material Handling Journal No.
262
!
特集
●“求められる”
人材育成●
マテリアル・ハンドリング(MH)設計者
(エンジニア)として求められる条件とは
株式会社 ダイフク
FA&DA事業部 物流計画部 技監
辻本
方則
そこで1
9
8
0年代、全部無人化でなく、人、機械、コ
1.はじめに
ンピュータなどがマテハン現場の主な要素と考え、これ
求められる条件を考える時、一般的に言われている能力
らを協調する方向になった。この頃、バーコード、ネッ
基準と範囲について、一つの考えとして次の考え方がある。
トワーク技術の活用により、デジタルピック、ピッキン
厚生労働省は、MH協会の協力で「マテリアル・ハン
ドリング業」
の職業能力評価基準を2
009年に完成させた。
グカートが開発され進化していった。
1
9
9
0年代、利益重視の経営戦略そしてロジスティッ
「マテリアル・ハンドリング業」の内容を参考文末尾に
クス、SCMの影響で、いかに在庫削減できるかを各社
添付するので参考願いたい。
が工夫してきた。在庫削減が高回転率・高頻度につなが
ここでも述べられているごとく「マテリアル・ハンド
るので、マテハンの高能力化が要求され、高能力自動倉
リング業」は、コンサルから実行、メンテまで幅広い範
庫、高能力仕分機が開発された。在庫が少なくなること
囲を対象としている。そのためにエンジニアも幅広い範
は、設備の故障を未然に防がないと下流に問題を伝播し
囲の人材が必要である。今回は、計画を行うエンジニア
問題をより大きくするため、対応力を付けることが必要
にポイントを置いてまとめる。
になってきた。
まず最初に、時代とともにマテリアル・ハンドリング
2
0
0
0年代、ユビキタスの利用で、自律できるマテハ
の内容が変化したためにポイントと成る技術が変遷した
ンによる柔らかなシステムが望まれる。RFID技術によ
ことを述べる。
り、製品情報はもちろん、位置情報の認識や自動検品、
自律自動倉庫、自律走行台車などが実現しつつある。
2.時代と共に変遷した内容
マテリアル・ハンドリングは、図表.
1のように変遷し
たと著者は考えている。
この様にマテリアル・ハンドリングは発展して当然必
要な技術が変遷し多くの技術を必要とした。1
9
6
0年代
はコンベア中心の技術であり、ハード中心であった。し
1
960年代、大量生産の背景のもと、省人化に対応す
かし1
9
7
0年代自動倉庫が入ってくると単にハード設計
るために、欧米企業との提携でコンベヤなどのマテハン
の技術のみでなく設備のコンピュータ管理が導入されコ
技術を次々と日本に導入した。
ンピュータ技術も必要になってきた。自動倉庫は、初期
1
970年代、コンピュータなどのIT技術を工場、配送
は単に出し入れのみに利用されていた。さらにピッキン
センターに導入し、マテハンはいきなり無人化の方向に
グ、補充などの多くの分野で利用され始め、現状データ
走っていた。当時のコンピュータの能力に限界があり変
を分析して設備が適正かどうかを判断する必要がでてき
更等に時間がかかった。
た。時代変化により在庫を持たない、またキャシュフロ
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
マテリアル・ハンドリング(MH)
設計者
(エンジニア)
として求められる条件とは
図表.
1
ー会計が導入され、少ない在庫での対応が必要となっ
の様な知識、技術が必要かを初級レベルでお教えしてい
た。これにより、対象となる企業の変化を読み、より変
る。その時に「配送センターを計画する時は、土地、建
化率に強いシステムを考える力が必要になってきてい
物、設備等多くの知識が必要」と指導している。その講
る。現在ますます変化が不連続に成ってきているのでこ
座で初めのページに書かれている事を述べると(図表.
2
の力がより一層必要になってきている。この様にハード
参照)
、
やはり配送センターは、土地の上に建っているの
を考え計画する力は、現在でも必要であるが、これに付
で土地の条件、建物の条件、必要トラック バース数、
加してコンピュータシステム技術、対象企業もしくは事
従業員の駐車場数、どの様な設備にすれば効率的か、ど
業所の将来への変化を読む力(ある意味経営コンサル)
の様なピッキングをすれば対応できるか、入荷出荷荷揃
が必要である。当然これらを考え経済的に合理的なシス
の方法、ホストコンピュータとの連動方法、センター作
テムを設計する力が必要となってきた。現在は、設備の
業と運用方法等々多くの検討が必要と指導している。シ
複雑さが増加し、市場、顧客の変化率を読みシステムを
ステムを設計、検討する人は、建築は建築専門の人、コ
設計するマテリアル・ハンドリング・システム・エンジ
ンピュータは情報専門の人任せでなくポイントになる所
ニアが必要になってきたと考える。
は自ら考えチェックする必要がある。全てを任せるので
著者は、海外で自らのことを説明する時にマテリア
なく、本当に専門的力が必要なときはお手伝いを頂く。
ル・ハンドリング・システム・エンジニアと言ってい
る。(日本だけがシステム・エンジニアをコンピュー
タのシステムを作る人のみに使っている)
この様に多くの専門知識が必要になる。これを詳細に
述べられないので項目としてまとめる。これに当たり一
般的な配送センター計画の進め方を(図表.
3)述べる。
3.どの様な事が必要か
(今回は、この内の説明で無いので概要と考えるポイン
トに付き述べる。
)
著者は、ロジスティクス・MH管理士講座(MH協会
が年一回講座を開催)で配送センター計画をする時にど
Material Handling Journal No.
262
!
マテリアル・ハンドリング(MH)
設計者
(エンジニア)
として求められる条件とは
図表.
2
コンセプト
センター
作成
・センタータイプ
・入出荷タイプ
・作業フロー
・タイムスケジュ
ール
・サービスレベル
・定量的内容確認
(全般、作業、
物量、物流費)
システム検討
整理
ニーズ確認
(検討の方向性)
・ニーズ
─物流コスト
─サービスレベル
─略的投資
・センターの役割
・センターを取り
巻く環境
・投資環境確認
システム条件
詳細システム
検討
(情報整理)
・商品特性
・物量関係
・作業関係
・建築関係
・将来予測
・方法論検討
・スペース/配置
設定
・運用システム検
討
・設備検討
・レイアウト検討
・作業タイムスケ
ジュール
・人員計画
・概算費用算出
・レイアウト詳細
図
・機器図面
・運用フロー
・マテハンフロー
チャート
・設備仕様書
・制御仕様書
・情報仕様書
・工程表
・見積
図表.
3
コンセプト作りから始まりシステム検討が概要の計画
であるので、ここを中心に述べる。
事である。
ここで必要なのは、第一は、調べようとする意識であ
コンセプト作りでは、聞き取りと対象市場と顧客の内
る。システムを設計するものは、顧客の周辺情報を調査
容と一般的情報(各社HP、四季報等)をとりまとめる
し、顧客の市場とその会社の方向性を見定めるべきであ
!
MHジャーナル 2
2年7月
マテリアル・ハンドリング(MH)
設計者
(エンジニア)
として求められる条件とは
る。よくある話であるが、「これは営業の話である」と
よっては振動、光等注意点があるものの物性は明確に調
自ら調べない人が居るが顧客のトップと話をする時、必
査する必要がある。ここでどのような固有技術が必要か
ず必要になるのでまとめるべきである。これがシステム
は述べられないが、物性に従って必要技術が出てくる。
屋としての役割であると考えるべきである。
(例えば、薬品なら取り扱う区分、薬品は、温度だけで
その次に、聞き取り技術が重要になる。「顧客は何を
なく薬の種類により別保管など法に関連して決まってい
実現したい」かをトップから現場まで話を聞く必要があ
ることがある等)これらについても自ら調べておき、基
る。多くの意見を聞き、まとめコンセプトを考える技術
礎的なことは顧客と向き合う前に頭の片隅に入れておく
が必要になる。
べきである。
ここで申し上げているのは、特別な技術でないが、こ
すなわちマテリアル・ハンドリングは、物を運ぶ・保
こが全体の方向を作る所である。これは、技術屋から見
管・仕分けることなので、物性について十分理解して検
るとテクニカルと見えないので、最近学校であまり教わ
討する必要があるということである。我々は、データの
ってきていない所であるが、重要な点であると著者は考
みを扱っていないということが重要なポイントである。
えている。漠然とした中から顧客の言っている事を順番
定性、定量調査が完成すると、ここから必要な技術は、
をつけてまとめ、鵜呑みにするのでなく、自らの力でチ
まとめる技術と創造する技術である。例えば、データ分
ェックと方向性を作ることが必要である。
析したデータをまとめ、計画している配送センターの将
今までは定性的な件をまとめ方向性をだす事を述べた
来値を創造して作る等である。ここには、コンセプトの
が、次は定量的に現状をまとめ、予測する必要があるこ
方向性、市場の変化、顧客の変化等を考えてまとめ、創
とについて述べる。現状調査技術としては、顧客のデー
造する力が必要である。
タを分析する力である。データとしては、入庫、出庫、
ここで方向がまとまればいよいよ具体的なテクニカル
在庫を分析することで、現状の数量を確実に押えること
部分が必要になってくる。部分システムを検討する時に
ができる。これを点でなく、日々の動きを年間分析すれ
は、マテリアル・ハンドリング設備の特性を考慮して、
ば季節変動、
週間変動、
月間変動が定量的に分析できる。
それに対応する方法を3案程度考えて比較することが必
在庫は、普通の会社なら月末在庫は確実にデータとして
要である。その為には、比較する技術が重要になって
コンピュータ上にストレージしているので、これを分析
くる。
すれば傾向がでてくる。このことで現状のデータとして
数量のみでなく傾向もとらえることが出来る。
データを数量でチェックしただけでは配送センターの
そしてこれら膨大な時間を使いまとめた結果を、顧客
に受け入れてもらわねばならないので発表する力も重要
になってくる。
一部の数字を捉えたのみになってしまう。初めに述べた
ここまで述べてくるとお判りいただけると思うが、基
ごとく入出荷は、大半がトラックで行われており、これ
礎的テクニカルは非常に重要ではあるが、調査する力、
がどの大きさのトラックで現状何時に出入りしているか
分析する力、比較する力、まとめる力、これらを発表す
を調査する必要がある。これを含んで現場調査をする技
る力、なども非常に重要である。これはあくまでも著者
術がここで必要になってくる。現場調査の中には、現場
の見解であるが、大学、大学院でテクニカルが(重要で
の人員(どこでどの様な方が働いているかを時間帯で調
あるが)中心の教育であり、先に述べた力が少し弱くな
査する必要がある。技術的に言えば作業研究の手法を利
っているように感じている。そこで、良い人材であるが
用するのが一番と考える。
)その他、現状を調査する技
これらの力が少し劣っていると感じたら、本1冊(文庫
術がおおいに必要である。
本程度:内容は問わない)を1週間で1
2
0
0字以内にま
ここで忘れてはいけないのは、我々は物(製品のみな
とめさせ、発表されることをお勧めする。これを数回す
らず、半製品、部品、原料等)のハンドリング、保管を
ることで、内容を読み、重要度を分析し、まとめ、発表
効率よく考えることを目的にしている。それ故、物性の
する力がついてくる。この力を仕事に上手くつなげる様
特徴を確実に捉えておかねばならない。見た目でわかる
に進めていただきたい。
点は、直ぐ理解できるが(例えば冷凍、冷蔵品等)物に
次に各人の力を付ける重要な、研修につき述べる。
Material Handling Journal No.
262
!
マテリアル・ハンドリング(MH)
設計者
(エンジニア)
として求められる条件とは
各コースの習得目標:初級コース基礎技術を習得し、同
4.研修について
じ価値観を形成する。
中級1コース 応用技術を習得し、幅広い
今までに述べたように能力を各人が得る方法として次
知識を身につける。
の3方法がある。
自ら自主的に行う自己啓発、
集合研修、
中級2コース 専 門 / 特 殊 対 応 能 力を習
OJTである。著者が、著名なエンジニア会社、コンピュ
ータ会社を調査したところ体系的な研修制度が作られて
得し、
深く知識を理解する。
いた。これらの会社は、人事制度と研修を組み合わせ非
各社事情が異なるので、どの様な内容で実行するかは
常に上手く運営されている。中心は、集合研修であるが
考慮する必要があるが、人材は一夜にして作れないこと
OJT(入社10年程度は、2から3年で部署の移動を行わ
を考えて各社に適したプログラムを作成し進める必要が
せ多くの経験をさせる)も体系的に進められている。当
ある。人材は、企業の存続・繁栄に非常に重要なので、
然、自己啓発を自ら行わないと集合研修にもついて行け
ぜひトップ自ら考えて実行していただきたいと考える。
ない仕組みを作っている。自己啓発の中には社外研修も
おおいに利用されることが良いと考える。
著者は、3年前に研修制度を作り進めた。その内容に
付いて、多少述べる。
5.最後に
マテリアル・ハンドリング エンジニアとして何が必
目 的:技術的論理や根拠を学習し、基礎力を身につけ
応用に展開できる力を養うことを目的とし、そ
のスキル評価のしくみを確立する。(エンジニ
アリングに対する質の向上)
対象者:業務経験に見合った研修とするため下記のコー
要かについて述べきたが、最後に、育てる側の会社、上
司についてのべる。
人はそれぞれ特性があるので、上記に述べたエンジニ
アリング会社、コンピュータ会社は、入社約1
0年程度で
人の特性を次の2分類としてその次のステップに向かわ
スを設定する。
せている。専門職(ある技術のところが非常に秀でてい
導入コース
新卒・中途入社を対象
る方)システム・エンジニア(全体を見てプロジェクト
初級コース
入社2年(∼26歳)
をまとめるのに秀でた方)どれに進むかは人事、対象者
中級1コース 入社6年(∼3
0歳)
についた上司、本人の意見で決定をしている。やはり短
中級2コース 入社10年(∼34歳)※左記年齢
期間で向き不向きを決定せず進めていただきたい。
はあくまでも目安。
特別講座
それと、上司が組織を運営するとき、そのとき役立つ
特に対象者を限定しない任意参
人材を重宝することが間々あるが、長い目で見ると組織
加講座。社外、部外講師を招き
力を失わせる原因になるので注意が必要である。著者の
講義していただく。
経験では、非常に頭のよい人は数百人に1人はいるが、
修了認定:各コースの修了認定は全講座の単位取得によ
後の方々は会社・上司がきっかけを作ってやれば上昇し
り修了と認定する。
ていく人が大半である。この点を考えていただいて、会
なお特別講座については修了認定を行わな
社・上司は、きっかけ作りのための案件でのOJTを進め
い。
集合研修で全体のレベルアップを進めていただきたい。
単位認定:各講座の単位認定は講座の受講と習得度評価
ただし、個人の力をよりアップさせる為に社外研修等を
における合格判定によって単位取得と認定す
会社・上司から誘導をしていただきたい。これらによ
る。
り、企業が人材で力強くなり繁栄に向かっていただきた
習得度評価:習得した技術は客観的に評価する。
テスト・レポート・発表のいずれかにより
!
いと考える。
最後にマテリアル・ハンドリング エンジニアの資質
習得度合いを評価する。
として重要なのは、何事にも興味を持ち、自ら調査し、
合否判定については70点(100点満点)以
人に指示されなくとも前に進むことができる力のある人
上の得点をもって合格とする。
材が必要と考える。日本の中では、システム屋を育てる
MHジャーナル 2
2年7月
マテリアル・ハンドリング(MH)
設計者
(エンジニア)
として求められる条件とは
大学も非常に少なく、企業も育てるのに苦労しているの
マテリアル・ハンドリング業においては、企業内外の
が現状と考える。読者の方々は、固有テクノロジを持っ
環境条件が多種多様であるために、個々の用途に最適な
た方、とともにシステム屋を育てる為の努力をお願いし
システムを創り出さなければならないことから、実際の
たいと考える。
物流現場に即した、経営トップ又は顧客へのシステム提
著者も微力ながら「ロジスティクス・MH管理士講
案のできる物流リーダーの養成が急務となっています。
座」
(MH協会が年一回講座を開催)などを通じて人材開
また、今後ますます多様化・高度化する消費者ニーズ、
発に努力をするので、よろしくお願いいたします。
商品及び流通経路の多様化、ITによる高度化などを通し
て、よりシステムが複雑化していく中で、各種マテリア
(参考)
ル・ハンドリング機器の理解を深め、幅広いシステム化
日本MH協会では、マテリアル・ハンドリングとは
「あ
を実現できる技術力、ノウハウの構築・人材育成が重要
らゆる場合と時と場所とで、運搬を合理化し、運搬手法
となっており、これらのことを踏まえて、職業能力評価
を活用して、経済性、生産性を向上する」ことであると
基準が策定されました。
定義しています。マテリアル・ハンドリングの導入は、
モノの移動距離の最小化、ボトルネックの改善、破損の
お問合せ先
最小化等をもたらしコスト削減につながります。
マテリアル・ハンドリング業の具体的な業務は、マテ
株式会社 ダイフク
リアル・ハンドリングに活用する機器や情報システムの
FA&DA事業部 物流計画部 技監
構築・コンサルティング、そして計画・設計・設置工
辻本 方則
事・取扱い・保守・メンテナンス等となっています。
営業技術、計画設計/基本設計、生産統括、実施設計/
詳細設計、購買・調達、生産技術、製造、工事、サー
ビス技術、品質管理、管理の11職種について職業能力評
〒1
0
5−0
0
1
4
東京都港区芝2−1
4−5 芝千歳ビル
E-mail : masanori‐[email protected]
URL : http : //www.daifuku.co.jp/
価基準の策定されている。
Material Handling Journal No.
262
!
特集
●“求められる”
人材育成●
日本MH協会に期待する教育
日産自動車株式会社 SCM本部
部品物流エンジニアリング部 部長
安藤
康行
に運ぶ(含む海外の販売店)ことを管理する機能
第1章 背景
●更に2
0
0
6年からは、そこに加えて、
「Design to Logistics」
経済は昨年度後半から若干改善の動きは見られるもの
すなわち、設計・開発の初期段階から如何に効率的に
の、ここに来て原材料・石油のアップやギリシャに見ら
部品・車を運ぶためには、部品の形状・生産場所・組
れるような、カントリーリスクが表面化しており、依然
立方法を物流にあった形で検討するための組織を
として厳しい環境は続いている。
SCM内に物流エンジニアリング部として設立した。
このような中で企業としては生き残りをかけて、今一
●併せてグローバルに対応していくために、各地域軸に
歩の努力を求められているが、ここでは今後この厳しい
もSCMの組織を用意し、事業軸(各地域)と機能軸
難局を乗り越えていくための必要となる人材、及び教育
がMatrixの関係でそれぞれが最適なパフォーマンスを
について触れたいと思う。
発揮できるような組織形態としている。
初めに、本題に入る前に、当社のSCMの組織につい
て簡単に紹介させていただきます。
●日産自動車としてのSCM(Supply Chain Management)
の組織はRenaultとのアライアンスが始まった20
00年
からと比較的に歴史は新しい、それ以前は物流部門と
して、事業形態にあわせた形で各機能がそれぞれベス
トな活動を行っていた。事業としては既にグローバル
な体制を構築していたものの、物流としてはまだ十分
に対応できているとはいえない状況にあった。
●アライアンスを契機として再構築されたSCMの組織
は大きく以下の4つの機能から成り立っている
●上記のような組織の中で、今後の厳しい競争を勝ち抜
1)SCM企画部門(含む物流システムの構築)
いていくための物流の課題は山積しており、更にそれ
2)車両物流部∼完成車を工場から販売店(含む海外
を実行していくための人材の確保は大きなテーマであ
の販売店)にまでタイムリーにコストを安く輸送す
る。そこで次の章からは其々の課題とそれを実現して
る機能
行くために必要な能力・力量を紹介し、併せて、必要
3)部品物流部∼工場で車を生産するための、部品を
効率的に運ぶ(含む海外工場)ことを管理する機能
4)サービス部品部∼補修部品などを販売店に効率的
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
とされる教育について触れていきたい。
日本MH協会に期待する教育
第2章 物流上の課題
製造会社における、物流の課題とは、いつの場合でも
そうであるが、あくまでも二義的なものが多い。
●フレキシブルな生産体制
昨今の経営環境の中では、キャッシュフローは今まで
以上の大きな経営の判断材料なる。
これを物流に当てはめて考えると、よりリードタイム
すなわち、生産し販売していく過程で、その形態が変
を短縮し、また不要な在庫を極小化していくことが重要
わることにより、併せて効率的なネットワークなり、方
なテーマである。そのためには刻一刻と変化する販売状
法・手段が求められるケースである。昨今の状況を見れ
況に即応した生産管理は重要であるが、それを可能にし
ば明らかであるが、各会社とも以下のような対応を求め
ていくためにも、物流技術の果たす役割は大きい。
られていると思われる。
1)安い労働力を求めての海外への生産シフト
2)型や冶具などの設備投資を極力抑えるための(販
売リスクの軽減)一極集中化
3)より、販売の変化に対応したフレキシブルな生産
体制(キャッシュフロー経営)
リードタイムの面では、よりスピーディーに種類の変
動や、
もしくは数量の変動に対応することが必要である。
不要な在庫を減らすためにも、目で見る管理がより効
率的に行われることが肝要である。
●商品の市場への投入時期の早期化
(自動車産業にとっては)如何に素早く新商品を市場
4)新商品の市場への早期投入(開発期間の短縮)
に投入できるかが大きな販売チャンスを逃さないために
5)設備のフル稼働のためのスペース効率の向上
も重要である、特にグローバルでの市場を対象とする場
これらはあくまでも、製造∼販売までの大きな課
合、日本での販売に即応した形で、海外での販売も求め
題であるが、よく見るとかなりの部分はSCMの視
られるし、顧客の期待も
(インターネットなどを通して)
点で捉える必要がある。
必然的に新商品に集中する。
●海外への生産シフト
しかしながら、飛行機で送れる様な、サイズではない
これにより、従来は国内生産、国内調達という地域内
ため、どうしても現地生産との組み合わせで対応するこ
のネットワークで完結していたものが、広く海外への部
とが必要となってくる。そのためには、日本国内と同じ
品輸送、もしくは海外からの部品輸入という次元に進化
ようなスピード感で、海外でも新車を立ち上げていく必
していくことが容易に予想される。
要性がある。このためには日本の技術と同じレベルの技
一概に海外と言っても、安い労働力ということで考え
れば、LCC(Leading Competitive Countryの略で競争力
のある国・地域の意味)になるケースが多く、当然物流
インフラや技術力が十分でない場合が多い。
その場合、どこまで顧客の満足する物流形態を設計で
術者が必要となってくる。
●レイアウト技術
少し、専門的な部分ではあるが、設備固定費以外に大
きなウェイトを占めるのがスペースである。
前述したように、不要な在庫を減らすことにより、効
きるかは大きな課題である。
率的なスペース活用を図るのはもちろんであるが、種類
●一極集中化
や量の変動に対応した、スペースの活用も大きなテーマ
上記に加えて、固定費の軽減のための一極集中は「生
である。この部分に関して言えば、生産性と柔軟性更に
産能力」や「品質リスク」の面からも大きな物流上の課
将来の拡張性などを織り込んだ、レイアウト技術が求め
題を内包している。特に急激な需要の拡大、もしくは減
られるが、むしろこれに対する万能薬はなく、如何に状
少に対して柔軟に対応するためには、物流導線を如何に
況を的確に判断し、決断する意思決定のプロセスが必要
効率的に運用するか、そのためには物流上から見ても
(単
となっている。
なる固定費だけの判断ではなく)適切な部品は何かを選
次章では、上記のような課題に対応していくための人
択する必要があり、そのためにも物流エンジニアリング
材、及びそれに必要な教育に関して思うことを述べて行
的な判断は重要である。
きたいと思います。
Material Handling Journal No.
262
!
日本MH協会に期待する教育
第3章 期待される人材と教育
それらを体系的にまとめ、しかも開発のタイミングを
上手く捉えながら適宜提供する必要がある。
前章でも述べているように、物流技術と言っても、か
ここで必要となるのは、やはり物流の要素を正しく理
なり広範囲にわたる知識や能力が求められているがここ
解し、自社の製品とそれぞれがどのような関連を持って
では、よりテクニカルな側面と総合エンジニアリング的
いるのか、またどう変更することにより、より効率的に
な面をを中心に述べて行きたい。
ものを、運び、保管し、包装できるかを正しく、理解し
SCMの概念は別図のような、開発∼部品生産∼車両
ておく必要がある。また開発のプロセスについても、物
生産∼販売∼顧客までをリーンに結ぶイメージであるそ
が出来上がる過程をしっかり理解し、必要なタイミング
の中で、物流技術を考えてみると、もちろんそれぞれの
に必要な提案を行う必要がる、これは早すぎても、具体
断面で関わりを持っているが、より大きな貢献を求めら
化できないし、遅すぎればその内容を織り込むことがで
れるのは、“ものづくり=MONOZUKURI”と言われ
きない。
る部分である。
●部品を調達する段階で必要となる物流技術
自動車の場合は、完成車を作るまで、すなわち図に示
次に部品が設計され、物として完成していく段階で必
されている部分で言えば、“Upsteram”と呼ばれる範囲
要となることは、より現場に即して、如何に準備をスム
である。
ーズに行えるかを物流の断面からもチェックし、滞りな
●開発段階で必要となる物流技術
く実行する必要がある。
この段階では、従来物流として求められるものは多く
特に自動車部品の場合は、部品メーカーからの調達比
なかったが、昨今のグローバル化の進展は、より距離を
率が原価の7
0%∼7
5%に達しているため、ここを効率
運ぶ、しかも大量に・・・必要が出てきたことにより、
的に行うことが重要である。具体的には部品をどのよう
コストインパクトや在庫インパクトは大きい。
に運ぶか、そのためには荷役に関連して、包装は重要な
そのために早い段階から、物流としての要件を正しく
開発者に伝える必要が出てくる。
要素の一つとなる、ここで如何に運びやすく、品質が維
持できる包装仕様を作れるかが成功のための大きな鍵で
ある。
更に、調達方法も多数回納入(在庫を減らすために、
生産量に対応して小分けして何回も納入すること)にす
るか、トラックの積載率を重視して大量に運び、一次保
管などを活用したラインへの払い出しを行うかなど、更
に最近の傾向としては、生産する車の順番に合わせて、
保管場から払い出すのではなくて、部品メーカーから生
産し、順番に運ぶことが求められている、これらも荷役
そのためには、次期型に如何に現状の不具合を反映さ
せるかというのが大きなKeyとなっている。
物流技術者は常に、現状の不具合を項目別に整理し、
∼輸送∼荷役と包装と如何にマッチさせていくかが重要
なPointであり、そのためには単に単機能として技術を
持っているのではなく、総合的な視点を持った技術員を
開発初期段階で何が対応できるのかをまとめ、タイムリ
育てる必要がある。
ーに情報を提供し、必要に応じて調整する能力を育てる
●工場での生産段階で必要となる物流技術
工場では当然のことながら、生産ラインを如何に効率
必要がある。
項目は物流の5つの要素で基本的には考える、すなわ
ち①輸送②荷役③包装④保管⑤流通加工である。
どのような製品形状にすれば、上記の5要素がよくな
るか?どのような生産分担にすればよいか?
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
的に動かせるか、また止めないか(部品のショーテージ
などによる原因で)が最優先課題となる。
そのためには、部品置き場∼荷役∼搬送∼(生産ライ
ン)∼空搬送∼荷役∼空容器置き場がチェーンとしてシ
日本MH協会に期待する教育
ステマチックに動かせることが重要であり、そのできの
礎的な部分を中心に、レベルアップと同時にモチベー
良し悪しが最終的に生産性につながってくる。
ションアップにつながるような教育
ここで必要なのはどのように製品が作られるか、また
4)包装技術とタイアップしたより専門性の強い教育∼
生産管理はどのように行われているのか、部品の種類と
単に運搬することを教えるだけではなく、効率的に行
製品の関係を正しく理解している・・などが複合的に求
うために、包装をどうすればよいか、もっと遡れば、
められる。更に搬送設備に関する知識は大きなウェイト
製品そのものに対して、どのようなアプローチをして
を占めており、世の中の進歩にどのようについていくか
いくのがよいのかを、もっと体系だてて学習できるよ
が重要である。なぜなら、生産ラインの更新は、製品が
うな教育。
変わることにより都度検討されるが・・搬送設備や荷役
設備、保管設備などは比較的汎用性が高いため、長期に
わたり使うことが求めらている。そのために新しいもの
が開発されたとしても、それを適宜採用していくような
ことはまれであり、最新設備であったものが、いつの間
にか効率性などで対応していくのが難しくなる例が間々
ある。そのために、汎用性は持ちながらも将来の拡張性
も考えた、設備、もしくは方法を考えて実行できるよう
な人材は必要となってきている。
以上述べてきたことは自動車に関連した内容である
が、広く一般にも通ずる部分もあると思われる。その中
で、今後教育として必要となる部分は以下のようなもの
今後益々、グローバル化し、尚且つ変化の激しい各業
が考えられる。
界においては、それに対応できる人材の育成は急務であ
1)総合的な物流に関する知識を持った技術員∼単機能
る、その意味でもMH協会の果たす役割は大きく、今後
ではなく、
総合的な全体の流れを把握し、
それを元に、
の活動に期待する。
其々の機能を有機的に結びつけることにより、より高
お問合せ先
いレベルのソリューションを提供できる人材を育成す
るような教育
2)MH機器に関する知識・並びにそれを実際に活用し
た例を含めた教育∼最新の設備だけではなく、ニーズ
にあわせて、一部の変更/改善などの応用例も含め
た、実務的な経験ができるような教育
3)海外の人材を育てられるような教育∼従来の日本の
やり方を如何に海外に展開していくのか・・そのため
には、国内(日本人)だけではなく、海外の人材(特
日産自動車株式会社 SCM本部
部品物流エンジニアリング部 部長
安藤 康行
〒2
4
3−0
1
9
2
神奈川県厚木市岡津古久5
6
0−2
TEL:0
4
6−2
8
2−8
1
4
5
FAX:0
4
6−2
7
0−1
8
7
8
E‐mail : y‐[email protected]
に東南アジア、中国、インドなど)に対して、より基
Material Handling Journal No.
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特集
●“求められる”
人材育成●
物流業の企業経営と求められる人財
M2ウェーブ 代表
三小田
睦
企業経営は“社会貢献”であるという共通の経営理念
1.はじめに
が多くの企業で掲げられている。“物流業は、社会のイ
1
99
1年のバブル崩壊後、この2
0年間、経済のグロー
ンフラを支える『社会貢献業』である”という考え方が
バル化と情報化時代に対応し、経営基盤を強化してきた
社内で共有され、「社会のため」
、
「環境のため」
、
「社員
物流関連企業にとって、ここ2年間は今まで経験がない
のため」という理念が我が国の企業経営を強固に支えて
ような速度と激しさの経営環境の変化に直面している。
きた原点であり、組織の中に浸透し社員の行動規範とな
20
1
0年代の世界は、これまでの時代と比べて、その変
っていることが多い。
化の方向とともにその速度も大きく異なる時代になると
この理念をうまく継承し更なる成長に向かうには、新
しい時代にあった経営方針をどう創造し、社内全体に浸
予想されている。
我が国の物流業は世界に誇れる“ジャスト・イン・タ
イム”の物流サービスと、物流品質への探求心や専門性
に対するこだわりは世界一でしょう。
しかし、現在の厳しい経済環境の中で、更に付加価値
を高め、これからの1
0年を生き抜くには、蓄積してきた
経営資源を活かし、物流サービスの差別化を通じて、付
加価値を創造していく経営が不可欠になっている。
物流業は、従来のバランスシート上に記載されていな
透させ共有できるかであろう。
将来の企業像を描き、新しい経営方針を策定し、明確
な経営目的を設定し、
【経営目標→部門目標→個人目標】
に展開することにより、全員参加型の経営が求められて
いる。
この全員参加の活動が社内活性化につながり、“より
良い明日の成果を信じ”困難を克服して成し遂げようと
する事業推進力となる。
い人材、技術・技能、組織力、顧客とのネットワーク等
の無形の知的資産が、企業競争力の源泉であると言われ
ている。この知的資産をどのように強化し、活用してい
くかがこれからの物流業の課題であるといえる。
3.マネジメントシステムの強化
多様な経営環境の中で今後も継続的な成長をしていく
には、
経営の仕組みの強化が必須となっている。
仕事は、
2.経営方針の確立
複雑な業務プロセスが関連しあいながら相互に補完し、
要求される成果を出すことである。下図のマネジメント
経営は変化対応業といわれるように、激動する経済環
システム体系図に表した【物流サービス実現のプロセ
境の中で、経営トップのリーダーシップ、市場が要求す
ス】を確立し、これを支える経営資源(人・設備・作業
る高度な物流サービス力が求められている。これを実現
管理)を運用し、成果を出していく体系的なマネジメン
するため企業理念、経営方針を明確化し、保有する知的
トが重要になっている。
資産を更に強化して社員の意識改革につなげる必要があ
「透明性な仕組み」
、
「公平な運用」
、
「客観的な評価」
ができるマネジメントシステムを如何に構築していくか
る。
が課題である。
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
物流業の企業経営と求められる人財
図表.
1 マネジメントシステム体系図
(1)仕組みの体系化・文書化
ISO9001マネジメントシステムを導入して顧客満足及
び物流品質向上に繋げている企業が多く見られる。しか
し、ISOを導入したが十分にその効果を発揮できていな
図表.
2 物流サービス実現のMS文書体系
い企業が多いのも確かである。マネジメントシステムを
導入したがうまく運営できない理由は、規格に合わせた
マニュアルを作り、規定・手順書等の無理な文章作りに
終始していることに原因があると思われる。
業務の標準化は、[①体験を経験にすること、②可能
な限り適切な判断・行動ができること、③毎日の安全・
安心な作業になっている]ことにある。この業務内容を
明確にし、基準化・標準化の結果を“文書化する”と考
えることが重要である。
中小物流業は仕組みの明確化が不足しており、多頻度
・高品質・短納期の要求が更に高度化する中で、この要
(2)人材育成・強化
物流業は人が財産で、力量のある人材を如何に育て、
保有しているかが企業の優劣を左右する。従業員が意欲
的に仕事に取り組むためには、従業員のモチベーション
を如何に高めるかが重要である。
*
“もっといい仕事をしたい”
という仕事の動機を持っ
て社員が意欲的に活動しているか。
*自分の所属部署の仕事だけでなく、
“何がベストか”
を考えて仕事に関わっているか。
このためには必要な力量を明確にする必要がある。
求に迅速に対応できるには透明性のある仕組みが必要
力量を強化する手順は、
で、社員の一体感が醸成でき、全員参加の経営につなが
①物流サービス実現プロセスの流れに基づき、各プロ
ると期待できる。
しかし、固有のノウハウは手順書や標準書等の文書で
セスに必要な力量を明確にする。
(必要な力量は企業
の経営内容、
従業員のレベルアップに伴い変化する)
は現せないという意見もある。それも一理であるが、社
②これに基づき個々の従業員の各プロセスにおける力
内基準となる統一した作業手順がないと効率的な作業を
量を評価し、スキルマップを作成し、社内の保有す
行うことは難しい。
る力量レベルを把握し、必要なる力量及び不足して
マネジメントシステム体系図で表したように、仕事は
業務プロセスのつながりであり、「物流サービス実現プ
ロセス」を明確にし、ムリ・ムダ・ムラのない仕事につ
いる力量を明確にする。
③上記の必要な力量を向上させるための教育・訓練計
画を立て実行する。
ながる体系的な仕組みづくりは、個人のノウハウを顕在
④教育・訓練の結果が、物流サービスの品質向上に繋
化し、独自性・優位性を高める運用の強化(後工程はお
がっているかを評価し、更なるレベルアップの教育
客様の思想)につながると期待される。
・訓練を実施する。
期待する力量を明確にした育成計画は、従業員の達成
への要望も強くなり、個人の業務範囲の拡大による生産
Material Handling Journal No.
262
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物流業の企業経営と求められる人財
性の向上につながる。
b.改善目標を決める。(部門→部署→個人)
力量とは【経営目標→部門目標→個人目標】を実現す
る力であり、教育・訓練は時間と費用がかかり、目的が
③P
(計画)
:改善目標及び具体的な実現計画を作成する。
明確でないと効果が薄くなりがちで、体系的な教育・訓
a.改革/改善の実行計画(担当・行動計画・スケ
練システムが必要である。
“自分の仕事に目標をもって、
利益につながる仕事をしている”という意欲を持って活
ジュールなど)を描く。
b.評価方法(達成度、標準化の方法等)を示す。
動している人が企業の“人財”となる。
④Do
(実行)
:迅速に実施する。
4.改善活動による組織の活性化と力量向上
(1)改善活動による組織力強化
企業の付加価値を高めるには、以下の3つに視点で考
えることが重要である。
この活動を日常化し、「現在を否定し、より優れた方
法を探し出し、生産性向上につなげる」ことが強い組織
を造る源である。
経営は、1人当り生産性を上げるための仕事の方法の
①今日の仕事の成果を上げる
改善・改革である。この継続的な改善活動が企業の力に
②潜在的な改善の機会を見つける
なり、改善を遂行できる力量を持つ人材を如何に育成し
③明日のために新しいサービスを開発する
ていくかにかかっている。
この実現のため、改善活動ができる人材の育成が必
須で、改善を日常化することである。
マネジメントとは、仕事の方法(判断と行動)と達成
度を管理し、目標や基準値を達成するために行動し、改
革・改善することといえる。
(2)CAPDoによる改善活動
改善ができる人材の育成には、“事実に基づくアプロ
ーチ”による[C→A→P→Do]による以下のような改
善活動を身につけることである。
①C(チェック):目標や計画の達成状況を評価する。
a.実地調査
5.おわりに
我が国の企業の強さは、従業員が真摯に仕事に取り組
む勤勉さ、現場が変化に対応してルールや手順を柔軟に
変えていく力量を持っていることにある。この優位性を
思いこみでなく事実に基づいた科学的な分析(測
活かし、激動する社会・経済の変化に対応しながら成長
定)により、基準を持って現場の活動を調査し、
していくマネジメント力を強化していくことが求められ
現状のデータや現在の方法から問題点を洗い出
ている。
す。
高度な物流技術・技能及び多様な経験を保有し、グロ
b.原因解析と真の原因の追及
ーバルな視野を持った多くの人材(人財)を輩出し、我
原因の追及は、
【4M : Method
(仕組み・方法)
→
が国の物流企業が2
1世紀のグローバル化の中で世界に貢
Machine
(機 械・設 備)
→Material
(商 品・材 料)
→
献し発展していくことが期待される。
Man(人)
】
の順で行い、顧客クレームや現場の不
具合などが発生した場合、まず仕組みの問題から
原因調査し、人の原因は力量強化として捉える。
お問合せ先
M2ウェーブ 代表 経営・物流コンサルタント
代表 三小田 睦
②A(改善へのアクション):改革/改善案を立てる。
a.改革/改善策は、上記の4Mの原因を除去する
ための処置を決定する。特に、仕組みの強化を最
大の課題として捉える。
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
〒1
0
3
‐
0
0
1
4 東京都中央区日本橋蛎殻町1
‐
3
6
‐
9
‐
1
0
0
3
TEL&FAX:0
3−5
6
4
1−3
6
9
9
中小企業診断士、ISO9
0
0
1主任審査員/ISO1
4
0
01主任
審査員、MH技術管理士
e‐mail: [email protected]
ま め 知 識
(シリーズ!)
文/佐藤
■つぶやきの魅力、
ツイッター。
………………………………………………
…………………………………………………………………
連日のようにインターネットやマスコミで話題になる
「ツイッター」
。有名人や企業のみならず、身近な人が始め
ているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ツイッターとは、「今なにしてる?」につぶやいていく
サービス。ブログのちっちゃい版だと思えばよいでしょ
う。何しろ1度につぶやけるのが1
4
0字以内なので、肩ひ
じ張って書き込むこともなく、主張なども必要ない(何し
ろつぶやきですしね)ので、スタートのハードルも低いの
がうれしいポイントです。
さて、ツイッターでは何ができ、どう楽しめるのでしょ
うか。
まず、ブログのように情報発信ができます。自分の住ん
でいる街の出来事、好きなことやモノ、誰かに知らせたい
ことなどをつぶやくのです。企業の宣伝や広報などに活用
されています。個人レベルなら「情報」を「発信」すると
大げさに考えることもありません。電車の中で思ったこと
をつぶやくだけでもOKなのです。
次に、リアルタイムな情報収集ツールとしてとても便利
です。いろいろな場所にいる人やさまざまな場面に遭遇し
ている人からのつぶやきがリアルタイムで集まります。ニ
ュースはもちろん、外出先で電車の運行状況などの情報も
キャッチできます。
さらにコミュニケーションを楽しむことも可能です。自
分のつぶやきに誰かが返信をしたり誰かの発言につぶやき
を返すほか、何人かで同じ話題でチャットするのも得意。
ツイッターは、パソコンと携帯、どちらからも楽しめま
す。もちろん言ってはいけないことや情報の精度など注意
すべきところもあります。でもこういった知識的な情報を
あれこれ仕入れるよりも、実際にやってみるのが一番か
も。始めてみたいな、と思ったら始めてみましょう。そこ
から本当の楽しさがスタートします。
※参考:Twinavi http : //twinavi.jp/
Twitter社 http : //twitter.com/
ツイッターをはじめよう
http : //www.greenspace.info/twitter/
ツイッター 1
4
0文字が世界を変える/マイコミ
新書(毎日コミュニケーションズ)
誠
■ゼロ系食品、
正しく知って健康に役立てよう。
……………………………………………………
…………………………………………………………………
カロリーゼロ、糖類ゼロ、脂肪ゼロのように、「ゼロ」
を大きくうたう、いわゆる「ゼロ系食品」
。
健康や体型が気
になる人にとってはうれしいことですが、額面どおり「ま
ったくない」と受け止めていいの? と思う方も多いので
はないでしょうか。
ゼロ表示は、健康増進法に基づいて定められた「栄養成
分表示」というルールにのっとり、各メーカーが商品のパ
ッケージなどに表記しているもの。手もとにあるジュース
や食品を見てみてください。ほとんどのパッケージに、原
材料表示と並んで栄養成分表示がされていることでしょ
う。「ゼロ」はインパクトの強さや数字が持つ意味の刷り
込み効果があり、大きくうたわれることが多いのです。
栄養成分表示ができるのは、
熱量
(カロリー)
、
たんぱく質、
脂質、炭水化物、
ナトリウムの5項目と決められています。
このうち炭水化物は、糖質と食物繊維と2項目に分けての
表示も認められています。それぞれの項目でゼロ表示でき
る基準は、食品1
0
0g(飲料は1
0
0ml)あたりの含有量が、
●熱量(カロリー) 5Kcal未満
●たんぱく質 0.
5g未満
●脂質 0.
5g未満
●炭水化物 0.
5未満
●糖質 0.
5g未満
●糖類 0.
5g未満
●ナトリウム 5mg未満
でした。見ておわかりのように、「ゼロ表示イコールまっ
たくない」ではありません。摂取量が極めて少ないので「ゼ
ロ」と表示してもよいでしょうということなのです。
でも、限りなくゼロに近いことは事実。
脂肪やカロリー、
炭水化物など気になるポイント別に上手に活用しましょう。
また、表示はいずれも1
0
0g(ml)あたりの数字なので、
5Kcalの飲料なら5
0
0mlのペットボトル1本飲めば2
5Kcal
になります。食べる量も含めて数字に惑わされることのな
いよう、賢い消費者になりましょうね。
※参考:
株式会社林原商事 http : //www.hayashibarashoji.jp/
東京都福祉保険局 http : //www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/
富士フイルム生活協同組合 http : //www.fujifilm.coop/index.shtml
ヘルシーアイランド http : //www.white-family.or.jp/healthy-island/
佐藤
誠
有限会社 アッ
ト・イーズ 代表
財団法人 生涯学習開発財団 認定プロフェッショナルコーチ
株式会社 コーチ・
トゥエンティワンクラスコーチ
NLPマスタープラクティショナー
日本FP協会認定AFP会員
e-mail : mac-sato@df7.so-net.ne.jp
Material Handling Journal No.
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MH 基礎講座2
MHとユニット・ロード・システム
― いろいろな条件によって選択するMH ―
日本MH協会会長 秋庭 雅夫(東京工業大学名誉教授)
1.資材の洪水とマテリアル・ハンドリング
3.パレッチゼーション
1
96
0年、政府間協定により「運搬管理の研究を命ず」
品物をパレットに載せて、パレットごと搬送・荷役・
の辞令を受けてアメリカに渡った。各地で非常に多くの
保管することにより、中間での品物の積み降ろしの手間
工場・配送センター・港湾設備で研修してきたが、特に
を省く方法をいう。
驚いたのは数多くのスーパーマーケットに資材を供給し
ている集配センターで、スペース、機械設備の規模の大
きと、そこでの活発な動きには驚き入った。
次から次へと大型トラックが来て荷物をどんどん降ろ
していく。それが集配センターの中に吸い込まれてい
き、保管され、取り出され、別の口からどっと方面別・
店別に仕分けされ出て行く。洪水が氾濫したような資材
の流れで、まさにマテリアル・ハンドリングである。
4.セルフローデイング・マシン
人が資材を車両に載せるのではなく、車両自体が資材
を積載し搬送することをセルフローデイングという。
a.リフト・トラック
リフト・トラックは「ハイリフト・トラック」と
「ローリフト・トラック」に分けられる。
このように『移動する、積む、降ろす、納める、貯え
ハイリフト・トラックはマストにより品物を高く
る、仕分ける、積み付ける、包装するなどを通して、一
持ち上げる方式で、図表.
2の座乗型、図表.
3の立乗
貫して品物を取り扱う仕事及びその技術』というマテリ
型、図表.
4の牽引型がある。その際に用いるフォー
アル・ハンドリングの説明も納得できた。
クはアタッチメントの一種で、他に図表.
5ロール・
その際、入荷するトラックでは既にユニット・ロード
クランプ、図表.
6のカートン・クランプ、図表.
7の
がパレットに載せられており、フォークリフトでサッと
ドラム・クランプ、図表.
8のラム・トラックなど、
運んでしまう。マテリアル・ハンドリングの原点は、こ
当時既に4
9種類のアタッチメントが製造・販売され
の
「ユニット・ロード・システム、
パレッチゼーション、
ている。また、図表.
9のプラットフォーム・トラッ
セルフローデイング・マシン」にあることを実感した。
ク、図表.
1
0のサイドローデイング・トラックなど
これらをその時に手に入れた“The Handbook of
がある。
POWERED INDUSTRIAL TRUCKS”
(THEINDUS
ローリフト・トラックは床台が少し持ち上がる方
TRIAL TRUCK ASSOCIATION 1
957)より引用・説
式で、図表.
1
1のプラットフォーム・トラック、図
明してみよう。
表.
1
2のパレット・トラックなどがある。
b.ストラッドル・キャリヤ
2.ユニット・ロード・システム
品物を1個1個積んだり降ろしたりする手間を省くた
めに、図表.
1の Pallet Pattern のように、ある数量単位
ストラッドル・キャリヤは図表.
13のように、ユ
ニット・ロードに跨るようにして抱え込む方式である。
これらが条件によって
選択され用いられる。
(ユニット)の荷物(ロード)を一般には定型化して一
括ハンドリングする方式をいう。ゴムや紐などでバンド
掛けをしたり、収縮フィルムの熱収縮力によってユニッ
ト・ロードを一体化して保護をするシュリンク包装の方
法など、荷崩れを防ぐ方法がとられる場合がある。
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
図表.
1 ユニット・ロード
MHとユニット・ロード・システム ― いろいろな条件によって選択するMH ―
図表.
2 座乗型リフト・
トラック
図表.
4 牽引型リフト・トラック
図表.
3 立乗型リフト・
トラック
図表.
5 ロール・クランプ
図表.
6 カートン・クランプ
図表.
7 ドラム・クランプ
図表.
8 ラム・トラック
図表.
9 プラットフォーム・トラック
(ハイリフト・トラック)
図表.
1
0 サイドローデング・
トラック
図表.
11 プラットフォーム・トラック
(ローリフト・トラック)
図表.
1
2 パレット・
トラック
図表.
1
3 ストラッドル・キャリヤ
【参考資料】条件による選択:“眼で見るリフト・
トラックの使い方 1∼23”
生産と運搬
(工業調査会)
1
9
6
1∼1
9
6
4
Material Handling Journal No.
262
!
MH 基礎講座3
フォークリフト通路幅の設定
― 綿密な計算によって決定するMH ―
日本MH協会会長 秋庭 雅夫(東京工業大学名誉教授)
1.広大な敷地の中で綿密な計算
アメリカは広い。訪れた集配センターも広大な敷地の
L=積荷の長さ
W=積荷の幅(W≦2B)
A=R1+D+L+C
中に建っている。いろいろなスペースもこれなら気楽に
とれると思ったくらいである。しかし、センターの MH
担当者は『MH は資材の動きの基盤を決めてしまう。一
度決めると変更は容易でない場合が多い。そこで、どの
ようにすればスペース効率が最も良くなるのか、各種条
件によって綿密な計算を行って決めるように心掛けてい
る』という。
早速一つの例として、資材を積み置きして保管してい
るストックヤードでの通路幅の決め方を現場に行って計
算をしてみせてくれた。
[使用車両]
a.
「座乗型フォークリフト・トラック」
(1輪又は2
輪の後輪操向)を使用しているエアリア
b.
「牽引型フォークリフト・トラック」を使用して
いるエアリア
[扱う資材の幅]
図表.
1 座乗型フォークリフト・トラック:
Narrow Loadsの場合
2.
2 Medium Width Loadsの場合(図表.
2)
a.Narrow Loads:トラックの全幅と同じ程度
b.Medium Width Loads:幅の広い資材
c.Wide Loads:特に幅の広い資材
前回紹介した“The Handbook of POWERTED
INDUSTRIAL TRUCKS”がテキストとして渡された。
2.座乗型フォークリフト・トラック
2.
1 Narrow Loads の場合(図表.
1)
A=直角積付け最小通路幅
B=トラック全幅(Truck Overall Width)の1/2+
内側旋回半径(Inside Turning Radius)
C=個々の用法及び操向輪の横滑りに対する最適の運
転余裕
D=積荷面から駆動軸中心線までの距離
R1=外側旋回半径(低速駆動・空車の場合)
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
図表.
2 座乗型フォークリフト・トラック:
Medium Width Loadsの場合
フォークリフト通路幅の設定 ― 綿密な計算によって決定するMH ―
A=直角積付け最小通路幅
L=積荷の長さ
B=トラック全幅(Truck Overall Width)の1/2+
W=積荷の幅
内側旋回半径(Inside Turning Radius)
C=個々の用法及び操向輪の横滑りに対する最適の運
転余裕
R1=外側旋回半径
(注)正確な計画でではR1は配置によって決めなけ
ればならない。トラック前面が運転に最適の形
D=積荷面から駆動軸中心線までの距離
になっているものは、次の近似式を用いてもよ
R1=外側旋回半径(低速駆動・空車の場合)
い。
R2=旋回中心から積荷の角の軌跡までの距離
!
!
&!
""%$
"#
!!!$
=" #
L=積荷の長さ
W=積荷の幅:2B<W<2(R1−B)
A=R1+R2+C
(注)R2で示されるスイングが点線のような明確な
積付け線を必要としないときは次式を用いる。
A’
=R1+R2+L+C
!
&!
""!"#
!$
R1=!#
R2=旋回中心から積荷の角の軌跡までの距離
!
%!$$
=!& !"#
R3=旋回中心から積荷の角の軌跡までの距離
=!& !"$!
[R1がR2より大きいか等しい場合]
A=R1+C1
B=R3+C2
2.
3 Wide Loads の場合(図表.
2参照)
A=直角積付け最小通路幅
B=トラック全幅(Truck Overall Width)の1/2+
内側旋回半径(Inside Turning Radius)
C=個々の用法及び操向輪の横滑りに対する最適の運
転余裕
D=積荷面から駆動軸中心線までの距離
R1=外側旋回半径(低速駆動・空車の場合)
R2=旋回中心から積荷の角の軌跡までの距離
!
!
&!
""%$
"#
!!!$
=" #
L=積荷の長さ
W=積荷の幅:2B及び2(R1−B)<W
A=W/2+B+R2+C
(注)R2で示されるスイングが点線のような明確な
積付け線を必要としないときは次式を用いる。
A’
=W/2+B+D+L+C
図表.
3 牽引型フォークリフト・トラック:
Narrow Loads の場合
3.牽引型フォークリフト・トラック
3.
1 Narrow Loadsの場合(図表.
3)
A=最小運転通路幅
3.
2 Medium Width Loadsの場合(図表.
3参照)
[R1がR2より小さい場合]
B=積荷入口幅
A=R2+C1
C1,
C2=個々の使用に対する最適の運転余裕
B=R3+C2
D=ホイールベース
E=車体前面のオーバーハング(張出し)
[他にも各種の計算式がある。
]
F=積荷のオーバーハング(張出し)
Material Handling Journal No.
262
!
●JMHS ニュース
第 54 回通常総会
報告
第54回通常総会をさる5月24日(月)、日比谷松本楼
にて、役員・会員過半数の出席をもって開催された。
当日は規約第21条及び第12条により本総会の議長を秋
庭会長に務めていただき、挨拶後、早速議事に入り、
第1号議案
平成21年度事業報告並びに収支決算報
告の件
第2号議案
平成22年度事業計画案審議の件
第3号議案
平成22年度収支予算案審議の件
について審議され、いずれも満場一致で可決された。
写真.
2 !日立物流
辛島氏の特別講演
写真.
1 総会の模様
写真.
3 懇親会の模様
続いて、株式会社日立物流の辛島博之氏をお招き
し、「日立物流の物流戦略とMHシステム業界に期待
すること」をテーマに特別講演会を行い、その後は懇
親会を開催、盛況の内に終了した。
平成22年度活動方針
我が国では、既存の社会や経済に対する概念が覆さ
当会は、こうした状況に鑑み、平成2
1年度に発足し
れるような大きな「変化」
「変革」の早期実現に、国民
た「企画委員会」で協会の存在意義や役割、期待等を
は多くの期待を寄せているが、長引く消費の低迷や雇
様々な視点から整理してきた。その結果、MH に関す
用情勢の深刻化、さらにはグローバル競争の激化等、
る企業・社会・個人の各レベルでの必要な情報を必要
企業のみならず社会全体が先行きへの閉塞感を深めて
なときに提供し、なおかつ各人が抱える「MH に関す
いる。
る」問題解決のための情報を発信し続けることが協会
こうした不透明感の漂う中、MH 業界にとっては企
の現在の役割であるとの結論に達した。そこで『ため
業の社会的責任と MH との関わりの中で、社会ニー
になる MH−MH を通じて「社会」
「企業」
「個人」に貢
ズに対応したより高度な MH の開発や改善に取組ん
献します』をキャッチフレーズに掲げ持続的な活動を
でゆくことが今まで以上に求められている。
行う事とした。
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
●JMHS ニュース
そのキャッチフレーズの実現のために、本年度も
様々な角度から MH 情報を収集し、その情報提供を
3.MH 技術者の育成並びに人材育成
プログラムの推進
通じ、国内外の「マテハン・システム技術」の発展・
普及・啓発を行なう中核団体として、会員の持てる力
を結集し、活動基盤を一層強固なものとしていくこと
とし、本度は以下の諸事項を重点的に推進していく。
(人材育成委員会)
中央職業能力開発協会認定講座「ロジスティクス
管理・オペレーション基礎講座」
の普及拡大をはじめ、
わが国唯一の実践型講座である「ロジスティクス・
MH 管理士講座」の実施、会員ニーズに合せた中短期
1.行政施策支援事業の推進
(省エネ推進委員会)
講座の開催、MH 物流業界の人材育成プログラムに係
る研究・企画などを推進する。
MH 業界として環境負荷低減を推進していくために
は、より省エネ型の MH システムの普及や開発が求
4.関連展示会への参展と展示会企画の検討
められている。本委員会では、それら行政施策に対し
協力・提案をすべく国交省を中心に省エネ機器導入支
援に向けた提案活動を本年度も引き続き推進する。
(企画・広報委員会)
今秋開催される東京パックへの参展企画を中 心
に、MH 物流業界を見据えた展示会のあり方や内外展
示会への協会団体参展の検討など、MH 物流業界にと
2.新設委員会による各種サービスの推進
(企画・広報委員会)
って効率的な展示会企画を推進する。また国際交流委
員会と連携し、海外展示会の情報を収集する。
平成22年度は、企画委員会内に「先端技術委員会」
「ユーザーニーズ研究会」
「賢人委員会」を新設し、
『た
めになる MH』情報を発信する。また、従来から実施
5.海外マーケットの調査、海外関連団体と
の連携強化
(国際交流委員会)
している「見学会」の充実、先進的な物流を展開する
ユーザー事業者との情報交流を目的とした「MH 技術
海外への講師派遣、海外訪日団の受入れや、海外
フォーラム」の開催、機関誌「MH ジャーナル」の編
視察団の派遣等、海外友好団体と交流、提携をはじめ
集や「日本 MH 大賞」
、「夢の MH 大賞」などの顕彰
国際的な MH 物流産業の調査・視察などを企画推進
制度の普及活動など会員ニーズを汲み取った各種の会
する。
員情報サービスをより一層強化する。
Material Handling Journal No.
262
!
●JMHS ニュース
第3回日本MH大賞選考結果について
選考委員長
(日本MH協会
会長
日本 MH 大賞には、MH システム・機器に関するハ
ード部門と、情報システムに関するソフト部門があ
秋庭
雅夫
東京工業大学
名誉教授)
について審査を行い、各部門で優秀賞を選出し、その
中から大賞を更に選定いたします。
り、それぞれが研究開発と改善合理化にわかれます。
さる4月1
3日に開かれました審査委員会で慎重に審
審査委員会では、応募された内容について、経済性・
査を行いました結果、次の2つが受賞と決まりまし
合理性・独創性・安全性・社会的貢献性・将来性など
た。
日本MH大賞:該当なし
日本MH大賞優秀賞:ユーピーアール株式会社
●「冷凍食品の輸送過程における温度推移の見える化」
昨今の食の安心安全への意識の高揚∼品質管理の徹
底が求められ、多くの冷凍食品メーカーが取引先等の
要求に応じ輸送中の温度データを提供しているが温度
データが上記基準温度を上回っているケースもあるの
が現状。そこで、冷凍食品の輸送及びハンドリング時
における製品そのものの温度を遠隔地にいながらリア
ルタイムに計測、最適温度の制御をし、取引先へ提供
できる仕組みを研究開発したもので、コールドチェン
の弱点を解決する実用性と効果が明確で、費用的・環
境的に大きな効果が期待できる点が評価されました。
写真.
1 なんモニ端末
日本MH大賞奨励賞:キャリオ技研株式会社
●「CAV∼なにこれサーチ(3次元CADデータを利用したComputer Aided Visionの開発)
」
従来、検査対象物を概観形状検査する場合、見本と
する画像と比較して検出するため、製品の実物サンプ
ルを作らなければならなかったが、実物サンプルを使
用せずに3次元CADデータを活用した外観形状比較
ができないかと考え検査対象物のデジタル映像データ
と3次元CADデータを外観形状比較できる3次元形
状検査検索システムを研究開発したもの。MHシステ
ムと連動を可能とする将来性・装置の経済性に大きな
効果が期待できる点が評価されました。
写真.
2
!
MHジャーナル
平成2
2年7月
3 次元デジタル検査システム
●JMHS ニュース
第 1 回“見える”
リアルタイムの実測による物流効率化改善セミナー
さる5月15日(土)
、22日(土)の2日間、当会では日
現場運用の問題点を分析改善策を立案し効率化に結び
頃お悩みの各種物流の難問を、より簡易でスピーディ
付ける方法について講義いただいた。2日目のケース
ーな改善手法により、問題を解明し、ハイ精度、ハイ
スタディでは、4つのグループに分かれ、分析・報告
生産性の実現をサポートする第1回“見える”リアル
書提案作業や改善課題提示を行い、報告発表と評価を
タイムの実測による物流効率化改善セミナーを開催し
行った。
た。
講師は家電・食品・アパレル等、一流企業における
数多くの豊富な経験、実績を有する物流システムコン
サルタントの青木好美氏(!オール
代表取締役・当
会理事)。物流における改善推進、物流システム企画、
現場リーダーが見える化の改善手法を身につけ現場力
向上と自己啓発を促すようプログラムされ、時々刻々
と変 化 す る 作 業 環 境 を リ ア ル に 捉 え る RTM(Real
Time Measure:実査法)により真の問題点を発見し、
写真.
1
各グループによる成果発表の模様
物流効率化改善セミナープログラムの紹介
Material Handling Journal No.
262
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