一般教育科 日本における 現役世代の貧困 の要因 -制度の狭間で貧困化する失業者日本では 90 年代末以降、労働市場の構造変化に伴う社会保障・ 福祉制度の再構築が進まず、制度の狭間で貧困化する失業者・不 安定就労者世帯が増えています。 失業は短期的で自発的である という前提で設計されている雇用保険制度の限界を明らかにするこ とで、生活保護制度も含めた、生活保障を大事にした所得保障制 度の在り方の議論を喚起します。 小澤 裕香 助教 修士(経済学) 90 年代半ば以降、日本の失業者は増えましたが、そのうち雇用保険から所得補填を受けている失業者の割合(雇用保 険基本給付受給率)は年々低下し、2009 年時点で 4 人に 1 人にすぎません。最後のセーフティネットである生活保護制度 でも、保護人員の人口千人当たりの比率(人員保護率)は上昇しているものの、稼働世帯の増大と比例しておらず、雇用 保険制度の「穴」をうめられていません(上記の 2 図参照)。その結果、制度の狭間に陥る形で現役世代の貧困は徐々に 進行しているといえるでしょう(下記の図参照)。 子 ど も が いる現 役世帯とは、 世 帯主が 18 歳以 上 65 歳未満で子 どもがいる世帯 キーワード・専門分野 貧困、社会的排除、最低生活保障、RMI、RSA、ワークフェア、ワーキングプア、生活保護、福祉国家 連絡先 鳥羽商船高等専門学校 一般教育科 (社会) E-mail:[email protected] 小澤裕香
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