2015 年 10 月 増える海外からの観光客を取り込む 「食の景勝地」計画 地域に根ざした食と景観を一体化させ、海外からの観光客に PR する取り組みが「食と農の 景勝地(仮称)」として始まった。主導は、農林水産省だ。海外からの観光客が食に使う金額 は年間で約 6,000 億円。2020 年には 1 兆円にするべく地域の魅力を発信していく。 地域の食文化と、歴史に根ざした風景を結びつけて観光資源化する。食や観光、広報の専 門家で構成された有識者会議が、ブランディングや情報発信を手がけていく。ユネスコ無形 文化遺産に登録された和食の魅力を発信して、海外のリピーターを増やすことが狙いだ。 |過去最高を記録した外国人観光客 2014 年の外国人観光客は 1,300 万人超と過去最多を記録。 15 年はそれを上回る勢いで増えている。旅行消費額 2 兆円 のうち食関連は約 6,000 億円を占める。外国人観光客の日 本食への需要を取り込んで、地域の活性化と農家所得の向 上につなげたい意向だ。 政府は 20 年に外国人観光客を 2,000 万人にする目標を掲げている。食に関する消費も 1 兆円近くに達すると見込まれていて、輸出の増加にもつながる。 |「本場の食」をわかりやすく訴求 農林水産省は、現在バラバラに情報発信されている各地域の資源を、 「食と農の景勝地(仮 称)」計画によって一体的に発信することを狙っている。外国人旅行客にとっては、各地域の 多様な食文化をよりわかりやすく知ることができるようになり、食関連の消費拡大につなが ると見込まれている。 1 「食と農の景勝地(仮称)」検討委員会(第 1 回資料)3P より引用 |フランス「味の景勝地制度」を参考に 9月に検討がはじまったばかりの「食の景勝地」計画は、フランスで 1994 年に創設された 「味の景勝地制度」を参考としている。「味の景勝地制度」は、「地理的表示保護制度」の対 象産品を中心に、その他の地域の特産品やサービスを上手く融合し、産地・地域全体の向上 をしようとする制度。 2013 年時点で「味の景勝地」は 71 箇所あり、その1つがフランスのカマルグ地方だ。こ こでは、地理的表示産品であるカマルグ闘牛品種の牛肉を中心に、牛を飼う草地及び湿地が 形成する景観等が評価され、農家滞在施設・畜産業等のツーリズムが発展しているようだ。 6 月からは国内で「地理的表示保護制度」が実施されており、地域と食のブランドを強化 する動きはこれからますます大きくなっていくだろう。企業が観光と食・農業の連携を後押 しする事例も、これから増えてくるかもしれない。 参考 URL:農村に訪日客呼び込め 「食の景勝地」検討開始 農水省有識者会議-日本農業新聞 【発行元】 株式会社コネクト・アグリフード・ラインズ (メディア事業部AgriFood 編集チーム) 2
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