「日本食品工学会誌」, Vol. 9, No. 4, pp. 207 - 213, Dec. 2008 ◇◇◇ 解説(2007 年度日本食品工学会研究賞)◇◇◇ 食品製造機器の衛生管理に関する基礎研究 −食品成分と微生物の機器表面への付着挙動− 山 高 明 東京海洋大学 海洋科学部 食品生産科学科 Basic Study for Hygienic Control of Food Processing Equipment -Adhesion Behaviors of Food Proteins and Bacteria to Equipment SurfacesTakaharu SAKIYAMA Department of Food Science and Technology, Tokyo University of Marine Science and Technology, 4-5-7 Konan, Minato-ku, Tokyo 108-8477, Japan During food processing, adhesion of food itself and/or its components inevitably occurs on food contact surfaces of the equipment. Microbes can also adhere to the surface and survive if cleaning and disinfection are insufficient. These fouling deposits on the equipment surfaces make sources of cross- contamination and lower the quality and safety of food to be produced. An effective strategy for suppressing their adhesion is desired for reduction of the cross - contamination risk and for hygienic control of the surfaces. Thus the knowledge of adhesion behaviors and mechanisms of food components and microbes is basically important. Here, research results obtained recently on the adhesion behaviors of food proteins and bacteria to the surfaces of stainless steel and polypropylene are reviewed as the basic knowledge for hygienic control of food contact surfaces. Keywords: food protein, bacteria, adhesion, stainless steel, polypropylene 1.緒 言 食品成分と微生物の双方に注目する必要がある.食品 を製造するたびごとに,食材の一部や食品に由来する 加工・製造される食品の品質と安全性を担保するう 成分が機器表面に汚れとして付着する.食品由来の汚 えで,食品製造に使用される機器および環境の衛生管 れが例えば洗浄不良で機器表面に残存すれば,次に製 理がきわめて重要であることは論を待たない.食の安 造される食品に異物または異成分として混入し得る. 全に対する消費者側の関心が高まる中,食品を製造・ とくに,多品種少量生産の食品製造現場では,このよ 提供する側もこれまで以上に衛生管理に神経を使う必 うな混入の可能性が高い.混入した成分がもしアレル 要がある.しかし,例えば食中毒の事例については, ゲンであれば,ごく微量の混入であっても摂取者に健 厚生労働省の統計資料 [i] によると,急増した平成 10 康危害を与えかねない.また,汚れの残存とともに微 年の年間約 3,000 件を境に近年は減少傾向にあるが,平 生物が付着すると,条件によっては微生物が増殖して 成 19 年に報告のあった件数は約 1,300 件(患者数は約 バイオフィルム形成の契機となり,微生物の食品への 33,500 人)を数え,依然少ないとは言えない件数で推 混入リスクを増大させる.以上のように,機器に付着 移している.とくに,加工食品への依存・食の外注化が 残存した食品成分と微生物は交差汚染によって食品の 進んだ昨今では,小さな事故によって大規模な健康被害 品質と安全性を脅かすことになる.危害のリスクを低 が引き起こされる可能性がますます高くなっている. 減させるためには,食品成分や微生物の機器表面に対 食品製造機器の衛生を考える場合,機器に付着する する付着の挙動ならびに機構を把握し,その知見を基 に適切で効率的な付着量抑制法または洗浄除去法を採 用することが肝要である. (受付 2008 年 11 月 6 日,受理 2008 年 11 月 26 日) 〒 108- 8477 東京都港区港南 4- 5- 7 Fax: 03- 5463- 0699, E- mail: [email protected] 本稿では,このような衛生管理対策を考えるうえで の基礎として,食品成分や微生物の機器素材表面に対 208 山 高 明 する付着挙動について,最近の筆者らの研究結果を中 性アミノ酸残基および塩基性アミノ酸残基の側鎖の解 心に解説する. 離状態が変化し,荷電状態が変化する.ステンレス鋼 などの金属酸化物表面は,水中では水和によって水酸 2.タンパク質の付着 基に覆われており,バルク水溶液の pH 変化に応じてプ ロトンの授受が起こる.このため,pH によって金属酸 食品加工工程において,タンパク質は主要な汚れ成 化物表面の荷電状態も変化する.両者ともに電荷(ま 分となることが少なくない.また,微量の混入が問題 たは有効電荷)がゼロになる pH(荷電ゼロ点または等 になるアレルゲンのほとんどはタンパク質である.本 電点)が存在し,溶液の pH が各々の等電点よりも高く 節では,タンパク質(とくにアレルゲンとして問題と なると負に,低くなると正に帯電する.タンパク質の なるタンパク質)の固体表面に対する付着挙動につい 固体表面に対する付着量が pH に依存するのは,このよ て概説する. うなタンパク質と固体表面の荷電状態の変化によって 常温においてタンパク質が液相から固体表面に付着 説明される. する場合,その付着量は,Langmuir 型の吸着等温線の なお,常温におけるステンレス鋼表面への付着に関 ように,バルク溶液中のタンパク質濃度に依存し,あ しては,タンパク質分子内の全ての部位が均等に付着 る程度の高濃度になると飽和する場合が多い [1].また, するのではなく,部位の化学的性質に応じてステンレ 実験から得られる飽和付着量はタンパク質分子が単分 ス鋼表面との間の相互作用の程度が異なることが明ら 子層を形成して密に付着した量に近い.例えば,乳ア かになってきた.とくに,酸性条件での付着には,カ レルギーの主要なアレルゲン [2] である乳清タンパク質 ルボキシル基をもつ酸性アミノ酸残基が大きな役割を β- ラクトグロブリン(BLG)を例にとると,飽和付着 果 た し て い る こ と が 明 ら か に な っ て い る. 例 え ば, 2 量は実験的に約 3 mg/m であり,その分子サイズ(直 BLG をトリプシンで部分加水分解して得た複数種のペ 径 3.6 nm)から固体表面で最密な単分子層を形成した プチドのステンレス鋼に対する付着性を比較すると, 場合の付着量を計算すると 2.7 mg/m2 となる.したがっ Fig. 3 に示すペプチド T5 のように酸性アミノ酸残基を て,常温においてタンパク質は単分子層を形成した状 多く含むものほど付着性が高い [4].また,T5 内に存 態で固体表面に付着していると考えられる.ただし, 在する酸性アミノ酸残基を荷電性のないアラニン残基 その付着は可逆ではない場合が少なくない.付着が不 に置換したペプチドを有機合成し、付着実験を行った 可逆なのに濃度依存性を示すのは何故か,という疑問 ところ,ステンレス鋼表面に対する付着性は有意に低 に対する明快な解答は現在のところ得られていない.付 下した [5].同様な結果は,Fig. 4 に示すように,ウシ 着したタンパク質が表面上で次第に構造変化を起こすこ 血清アルブミン(BSA)由来のペプチドでも確認され とがその原因の 1 つではないかと考えられている [1]. ている [6].さらに,このようなステンレス鋼表面と相 高温においてはタンパク質の固体表面に対する付着 互作用の強いペプチド部位がタンパク質分子内におい 量 が 一 般 に 激 増 す る. 例 と し て BLG の 場 合 の 結 果 を Fig. 1 に示す.BLG をはじめとする多くのタンパク質 は,その分子内に,システイン残基に由来するスルフ ヒドリル(SH)基とともに,システイン残基が結合し てできた S- S 結合をもつ.このようなタンパク質が高 温にさらされると,固体表面に既に吸着したタンパク 質分子と溶液中のタンパク質分子との間で SH 基と S - S 結合との交換反応が起こる.その結果,Fig. 2 に示すよ うに固体表面上でタンパク質分子が次々と凝集して多 分子層が形成される.これが常温の場合に比して付着 量が著しく増加する原因である [3].なお,このような SH 基を介した熱凝集反応は加熱されたバルク溶液中で も進行する.予備的に加熱された BLG の高温における ステンレス鋼表面への付着量が未変性の BLG に比べて 明らかに少ない [3] ことから,バルク溶液中での凝集に よってある程度大きくなった分子塊は多層付着しにく いものと考えられる. タンパク質の付着量は,温度だけでなく,pH にも依 存する [4].pH が変化すると,タンパク質分子内の酸 Fig. 1 Temperature dependence of the amount of BLG adhered to stainless steel surface. Two milliliters of 10 mg/ml BLG solution at pH 6.85 were incubated with 2 g of stainless steel particles (0.17 m2/g). 食品成分と微生物の表面への付着 Fig. 2 Schematic illustration of protein adhesion to stainless steel surface at high temperatures where protein denaturation occurs. 209 Fig. 4 A d h e s i o n o f a p e p t i d e f r a g m e n t o f B S A a n d i t s synthetic analogues to a stainless steel sur face. Fragment 9, DLGEEHFK, was obtained by the treatment of BSA with lysylendopeptidase. All acidic amino acid residues of fragment 9 were replaced by alanine in analogue 9A (ALGAAHFK), whereas only the N- terminal acidic amino acid residue was replaced by alanine in 9B (ALGEEHFK). ら遊離しないことが示された [6].したがって,タンパ ク質がステンレス鋼表面に付着する際にもペプチド T5 に相当する部位がとくに大きな寄与をしているものと 考えられる.なお,酸性アミノ酸残基を複数含むペプ チドがステンレス鋼表面に付着した際にはカルボキシ ル基が解離した状態にあること [5,7] が示されており, 酸性アミノ酸残基とステンレス表面との間の相互作用 として,少なくとも付着当初は静電的な力の寄与が大 きいものと考えられる. また,タンパク質の付着挙動は共存する成分にも影 響を受ける.例えば,鶏卵のアレルゲンタンパク質 [2] である卵白アルブミンやオボムコイドは,リン酸やク エン酸のような多価陰イオンが共存する場合にはステ ンレス鋼表面に対する付着量は少なく,HEPES やタウ リンのような両性イオンが共存する場合には付着量が 多くなる [8].この現象の解釈については今後詳細な解 析が必要ではあるが,ステンレス鋼表面に対する共存 Fig. 3 Adhesion of BLG peptides to a stainless steel surface. The peptides were obtained by the treatment of BLG with trypsin. 成分自体の吸着によって,静電的な相互作用を通じて タンパク質の付着挙動に影響を及ぼすものと考えられ る.すなわち,共存成分とタンパク質のステンレス鋼 表面への付着は競合的であると考えられ,したがって ても付着に寄与しているのか否かを確認するために, 食品が共存する状況下でのタンパク質の付着挙動を理 ステンレス鋼表面に付着した BLG をリシルエンドペプ 解するためには,タンパク質以外の各種物質の付着挙 チダーゼで処理し,加水分解を受けて遊離するペプチ 動を系統的に把握することも今後の課題として重要で ドを分析した.その結果,Fig. 5 に示すようにペプチド ある. T5 を含む部位のみが検出されず,ステンレス鋼表面か 210 山 高 明 Fig. 5 Peptide fragments detected by reversed-phase HPLC after 24-h treatment with lysyl endopeptidase. The analysis was performed on an ODS column using a linear gradient of acetonitrile concentration from 1% to 40% in 0.012 NHCl. (a) BLG attached to the surface of stainless steel particles was treated with lysyl endopeptidase. (b) and (c) BLG in solution was treated with lysyl endopeptidase for comparison. Fragment 10, including the sequence of T5, was not detected in (a). 3.微生物の付着 の場合には,比較的平坦な区域には単一細胞に近い状 態でバラバラに付着しているものの,研磨に起因する 細菌のステンレス鋼表面に対する付着性については, と思われる深い溝あるいは段差に立体的に細胞集団を 既往の研究報告例は少なくないものの,菌種や条件に 形成して密集付着している状況が明らかになった.E. よって異なる結果が報告されている例もあり,統一的 coli の場合にはこのような段差部分における細胞集団の な解釈が困難な状況にある.前節で述べたタンパク質 形成が明確には観察されなかったことから,菌種によ の付着挙動に関する解析の進展状況と比べても,研究 進度にかなりの遅れを取っているといえる. 著者らの研究チームは,大腸菌 Escherichia coli と表 皮ブドウ球菌 Staphylococcus epidermidis を対象として 取り上げ,とくに機器表面の粗さの影響に着目してそ のステンレス鋼表面に対する付着性を比較検討した [9,10].細菌の懸濁液にステンレス鋼製のテストピース を一定時間接触させた後に軽く洗って,表面に付着残 存する生菌数を測定すると,両菌種ともに 30 分である 程度の付着菌数が観測されるが,その後徐々に増加し, 2 ∼ 3 時間で一定の付着菌数に達することが示された. 付着強度がある程度高くなるためには,タンパク質の 場合に比べると,やや長い時間が必要であるように思 われる.平均表面粗さ(R a 値)の異なるステンレス鋼 テストピースに対する S. epidermidis の付着挙動を検討 した結果,Fig. 6 に示すように,R a 値にして 1 μm を越 える表面では有意に細菌の付着量が増加することが示 された.これに対して,E. coli の付着量は表面の粗さに はほとんど影響を受けなかった.走査電子顕微鏡によ り細菌の付着した表面を観察した結果,S. epidermidis Fig. 6 Ef fect of sur face roughness on the adhesion of S. epidermidis to stainless steel sur face. After stainless steel coupons of dif ferent sur face roughness were soaked in S. epidermidis suspension for 3 h, cell numbers on the coupons were enumerated. The surface roughness was expressed as an Ra value. Letters a and b in the figure represent statistical significance (p < 0.05). 211 食品成分と微生物の表面への付着 るクラスター化のしやすさが付着量に及ぼす表面粗度 の影響に差異を生じる原因の 1 つである可能性がある. なお,R a 値にして 1 μm を越える比較的粗い表面に付 着した細菌については,両菌種ともに,平滑度の高い 表面に付着した細菌に比べて,洗浄実験において脱離 し 難 い. ま た, 欧 州 の EHEDG(European Hygienic Engineering and Design Group)では,洗浄性の観点 から,食品接触表面の表面粗さとして R a 値 0.8 μm と いう基準を設定している [11].この値については特に 実験的な根拠が付記されている訳ではないが,上記の S. epidermidis 付 着 量 が 増 減 す る R a 値 の 範 囲(0.14– 1.37 μm)内の値であることは誠に興味深い. 芽胞の固体表面への付着についても検討を行った. 枯 草 菌 Bacillus subtilis や 高 温 性 フ ラ ッ ト サ ワ ー 菌 Geobacillus stearothermophilus の 芽 胞 を 滅 菌 水 に 懸 濁 し,ステンレス鋼表面またはポリプロピレン表面と接 触させた状態で乾燥すると,水で洗浄した程度では全 く脱離しない程強固な付着状態になる.その付着の機 構は明らかではないが,水が残存する状況下ではこの ような強固な付着状態には至らないことから,乾燥に よって疎水性相互作用など何らかの接着力の寄与が増 大するものと思われる.また,乾燥によって強固な付 着状態となった芽胞に対してアルカリ洗浄を行った場 合,芽胞が表面上で生残する割合は,同じ濃度のアル カリ液に懸濁した芽胞の生存率に比べて高い傾向を示 した.とくに,ポリプロピレン表面に乾燥付着した芽胞 は,加温してアルカリ洗浄を行っても 4 割程度が生残す ることが明らかとなった.以上の結果,表面での乾燥 Fig. 7 Results of survival experiments for E.coli on polypropylene coupons with culture broth. E.coli cells suspended in LB broth of different initial water contents (1LB, 5LB, and 10LB) were spread on polypropylene coupons and left in a clean bench. (a) Time course of the experiments. (b) Specific death rate as a function of water content of the broth. に伴って付着することにより,脱離が困難になるだけ でなく,アルカリ耐性も高くなることが示された [12]. うに死滅速度定数と食品モデルの水分含量との間に相 4.微生物の生残挙動 関があり,これを考慮することによって生残挙動をあ る程度予測可能であることが示された [13]. 機器表面上に食品と微生物が共存付着した場合,環 境条件によっては微生物が生残する可能性がある.予 5.結 言 測微生物学的な解析では,一定組成の食品内での微生 物の増殖あるいは不活性化を議論することが多く,乾 食品製造機器表面の洗浄は,日常的に行われてはい 燥という因子が考慮されることはまれである.機器表 るものの,未だ多くの問題を抱えている.充分な洗浄 面が汚れの残存したまま放置された場合には,多かれ を行わなくてはならないが,安全性を重視し過ぎて過 少なかれ付着汚れの乾燥が進行し,共存する微生物は 剰な洗浄条件を採用すれば資源やエネルギーを浪費す その影響を受ける.筆者らは,大腸菌を含む食品モデ ることになる.過剰な量の水が使用されることにもな ルでポリプロピレン表面を汚染し,表面が乾燥する過 り,用水および排水による環境負荷の問題も大きい. 程における大腸菌の生残経過について検討を行った. したがって,最適な洗浄条件の設定が必要であり,そ Luria - Bertani(LB)液体培地をモデルとした場合の結 の合理的な設定を行うための方策を準備する必要があ 果を Fig.7 に示す.初期含水率の差異の影響についても る.その方策の構築に少しでも寄与できることを願っ 検討すべく,通常の LB 液体培地(1LB)のほか,固形 て,基礎的な付着挙動および付着機構の研究をさらに 分濃度を通常の 5 倍(5LB)および 10 倍(10LB)とし 進展させるとともに,未解決の課題にも挑戦し続けて た濃厚液体培地についても検討した.その結果,食品 いきたいと考えている. モデルの初期含水率の大小に関わらず,Fig. 7 に示すよ 212 山 高 明 謝 辞 kyuchaku ni eikyo suru inshi). Abstracts of 8th annual meeting of Japan Society for Food Engineering, 62 本稿は,著者らの研究業績をもとに,タンパク質と (2007). 細菌の食品機器表面への付着挙動に関する知見を解説 [9] M. Or tega, T. Hagiwara, H. Watanabe, T. Sakiyama; したものです.これらの研究は,岡山大学工学部生物 Factors affecting adhesion of Staphylococcus epidermidis 機能工学科において中西一弘先生にその契機を授かり, to stainless steel surface. Japan J. Food Eng., 9, 251- 260 東京海洋大学海洋科学部食品生産科学科に転任後は渡 (2008). 辺尚彦先生の激励を受けて進展してきたものです.ご [10] M. Or tega, T. Sakiyama, T. Hagiwara, H. Watanabe; 指導とご支援をいただいた両先生に対し,厚く御礼申 Removability of microbial cells from stainless steel し上げます.また,本研究の各テーマについて様々な of var ying sur face roughness. Abstracts of 9 th annual 観点から議論を深めていただいた共同研究者の今村維 meeting of Japan Society for Food Engineering, 62 克・岡山大学准教授,萩原知明・東京海洋大学助教, (2008). さらには岡山大学・生物反応機能工学研究室および東京 [11] H. L. M. Lelieveld, M. A. Mostert, G. J. Curiel;“Hygiene 海洋大学・食品プロセス工学研究室において,これら in food processing” , H. L. M. Lelieveld, M. A. Mostert, J. の研究に参加してくれた学生諸君に心より感謝します. Holah, B. White ed., Woodhead Publishing/CRC Press, 2003, pp. 122–166 (2003). 引 用 文 献 [12] Y. Nanasaki, T. Hagiwara, H. Watanabe, T. Sakiyama; Sur vival of spores adhered to equipment surface after [1] K. Nakanishi, T. Sakiyama, K. Imamura; On the cleaning: ef fects of dif ferent sur face materials (Kiki adsorption of proteins on solid surfaces, a common but hyoumen ni fuchaku sita gaho no senjo - go no seizan ver y complicated phenomenon. J. Biosci. Bioeng., 91, tokusei: hyomen sozai- kan no hikaku). Abstracts of 9 th 233–244 (2001). annual meeting of Japan Society for Food Engineering, [2] J. S. Stanley, G. A. Bannon; Biochemistr y of food allergens. Clin. Rev. Allergy Immunol., 17, 279–291 (1999). 63 (2008). [13] T. Sakiyama, Y. Honda, M. Fukuoka, T. Hagiwara, H. [3] H. Itoh, A. Nagata, T. Toyomasu, T. Sakiyama, T. Nagai, T. Watanabe; Sur vival of Escherichia coli on polypropylene Saeki, K. Nakanishi; Adsorption of β- lactoglobulin onto sur faces fouled with organic soil of dif ferent water the surface of stainless steel particles. Biosci. Biotech. contents. Japan J. Food Eng., 7, 249 (2006). Biochem., 59, 1648–1651 (1995). [4] T. Sakiyama, K. Tanino, M. Urakawa, K. Imamura, 引用 URL T. Takahashi, T. Nagai, K. Nakanishi; Adsorption characteristics of tr yptic fragments of bovine β- lactoglobulin at stainless steel sur face. J. Biosci. [i] http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/07hassei/xls/ H19joukyou.xls (Oct. 30, 2008). Bioeng., 88, 536–541 (1999). [5] K. Imamura, Y. Kawasaki, T. Awadzu, T. Sakiyama, K. 要 旨 Nakanishi; Contribution of acidic amino residues to the adsorption of peptides to a stainless steel sur face. J. Colloid Interface Sci., 267, 294–301 (2003). 加工・製造される食品の品質と安全性を担保するう えで,食品製造に使用される機器および環境の衛生管 [6] T. Sakiyama, J. Tomura, K. Imamura, K. Nakanishi; 理がきわめて重要であることは論を待たない.本稿で Adsorption characteristics of bovine ser um albumin は,衛生管理対策を考えるための基礎として,食品タ and its fragments on a stainless steel surface. Colloids ンパク質および細菌の機器素材表面に対する付着挙動, Surfaces B: Biointerfaces, 33, 77–84 (2004). さらには表面上の細菌の生残挙動に関して得られた知 [7] T. Sakiyama, A. Aya, M. Embutsu, K. Imamura, K. 見について解説した.タンパク質のステンレス鋼表面 Nakanishi; Protease susceptibility of β- lactoglobulin に対する付着挙動については以下の知見が得られてい adsorbed on stainless steel sur face as evidence of る.①常温ではタンパク質は単分子層で付着し,高温 contribution of its specific segment to adsorption. J. では表面上での熱凝集反応により多分子層を形成して Biosci. Bioeng., 101, 434–439 (2005). 付着量が増大する.②タンパク質分子内にステンレス [8] H. Sugiyama, T. Sakiyama, T. Hagiwara, H. Watanabe; 鋼表面との相互作用の強い特定の部位が存在し、その Factors affecting the adhesion of proteins to stainless 相互作用には静電的な力の寄与が大きい.③付着量は steel sur face (Sutenresu hyomen eno tanpakusitsu no 共存物質によって大きく変化し得る.細菌の固体表面 食品成分と微生物の表面への付着 213 に対する付着については以下の知見が得られている. る.③芽胞が乾燥付着すると脱離が困難となり,とく ①ステンレス鋼に対しては,付着量が一定値に達する にポリプロピレン表面においてはアルカリ耐性が高く のに 2 ∼ 3 時間程度の時間を要する.②ステンレス鋼 なる. の表面粗さが付着量に及ぼす影響は菌種によって異な
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