経営管理論4回目 人間関係論 綿引宣道 今日学ぶこと • 公式組織と非公式組織 • 従業員の心理的側面 • 技術組織と人間組織 • 労働の人間疎外と労働の人間化 参考文献 • 企業の人間的側面―統合と自己統制によ る経営 (単行本) • ダグラス・マグレガー (著), 高橋 達男 (著) • 出版社: 産能大学出版部; 新版 新訳版 (1970/08) • ISBN-10: 4382040167 • ISBN-13: 978-4382040168 それまでの研究 • TaylorやFayolの組織理論は、あくまでも公 式的組織の設計のみに興味があった。 • 公式的組織・・・一定の目的を達成するため に、意識的人為的に設計された組織。組織図 で表されるような組織 ・・・目的合理的 ↓ これを元に職務設計 機能人仮説(functional man) 課業に適合した人間を配置し、管理者が命令 すれば組織が有効に稼動する WEでの照明実験 • ウェスタンエレクトリック社 • ホーソン工場における照明実験(1927―32年) • 真空管の組立作業 • 光の照度と作業能率の関係 • 基本的にTaylorの科学的管理法と同じ発想 目的:組立作業現場でどのくらいの明るさが作 業効率を最も上げるか 仮説:「作業環境を上げれば生産性は高まる」 実際は? そもそも真空管って何? • およそ3センチから6セ ンチぐらいの大きさ • 基本的にトランジスタと 同じ機能 • WE社はこれを手作業 で作っていた http://www.yanbaru.ne.jp/~RADIOLA/valbinfo.html 真空管:余談 • 真空管を使ったオーディオ 機器の販売 • マニア向けに高く売れる • アメリカのデッドストックま たは、ロシア、中国で生産 • 安いものは2万から、高い ものは天井知らず http://www.elekit.co.jp/catalog/tubea mp.html 実際は • 結果: 明るさに関係なく作業効率は回 数を重ねるたびに高くなる。 • なぜか? • 第二回実験:Mayo(心理学者)を加える • 同じ目的、仮説を立てて実験を行った が、結果:生産性が上がるばかり 第3回実験:面接調査 1「仕事に精をだしすぎてはいけない。さもなければ、 そいつはがっつきだ」 2「仕事を怠けすぎてはいけない。さもなければさぼ り屋だ。」 3「仲間が迷惑する事を上司にしゃべってはいけない。 さもなければ、そいつは告げ口野郎だ。」 4「あまり他人におせっかいをしてはいけない。つま りたとえ検査工であっても、検査工ぶってはいけな い。」 企業側が意図しない文化を発見 組織は目的合理的に設計しても 官僚制組織には限界がある。 ∵ ① 目的そのもの、前提条件の変化 ② 組織構成員が持つほかの合理性 歴史、価値、感情 余談だが、日本的経営は歴史的合理性の色彩が 強い つまり・・・ 検査 工 B程 工 A程 仲良しA 仲良しB 仲良しC 仲間はずれ ①組織図に表されるような 公式的組織都は別に組織 図にあらわれないような 非公式的組織の存在し ②これが組織の能率に大き く影響を与えている事が 分かった。 • し たがって管理者は、 労働者の感情や意欲に配 慮する必要があり、1個 人の社会的状況や個人の 経歴職場状況などを把握 しなければならない。 ホーソン実験の結論 • 経営組織を技術的組織と人間組織の2つの下 位システムからなる社会システムと考えた。 • ①技術組織:経営目的を技術的に達成するた めの原材料・機械・製品等の物的要素のシス テム • ②人間組織:組織構成員間の諸関係。価値と 心情を持つ個人から構成される、個人間の諸 関係として社会的組織は、公式組織と非公式 的組織に分けられる 非公式的組織の効果 ①各個人を保全する機能を果たす。 「人間性の尊重」「対等な人間関係」「状況の理解」を 管理の問題として扱うようになった。社会的技能 (social skill)を重視。 ②各個人の共通の態度や慣習を発達させる事によって、各 人に対してその行動の自由を制限する。 ③上方へのコミュニケーション(後の経営管理方法への 影響) =指揮・命令だけではなく、現場からの情報収集を重 視 ④従業員の満足(employee satisfaction) ホーソン実験の問題点 1人間関係論が「仕事への動機づけ」を「先天的」なも のと考え、動機づけに対して積極的なモデルを示さな かった。―――動機づけ理論の先鞭 2人間関係論が非公式組織を中心に人間の「社会性」や 労働者の心理学的側面を重視 =「仕事の外に」労働意欲の減退の打開策を求めた =労働者がどのような仕事に従事しているかを問題にし なかった 3 経済的側面の理解を欠いている。 =人的組織の管理方針の欠如「単なるスローガン」 =従業員の満足(employee satisfaction)情に訴えす ぎた 要は・・・ • 人間関係論は、心理学的探求に終わって しまって、管理する(費用対効果)の観点 が抜けてしまった。 • 教育による統制の観点がない 時代背景とその後の影響 時代背景(1927-32) • ロシアの共産化運動とアメリカの労働者の暴 動(メーデー) • 世界的な不景気と失業者の増大 その後の影響 • 労働の人間疎外⇔労働の人間化 (humanization of work)=「労働生活の質 的向上」(quality of working)への影響 • 動機づけ理論 官僚制、科学的管理法に共通するもの • 現場の最適化 – 全体ではない • クローズドシステム – 外部からの影響を受けない グループダイナミクス • K.Lewinが命名 • リーダーシップの行動類型と生産性 • 民主型:連帯感情、仕事への興味、集団作 業への積極性 • 専制型:作業成果は余りあがらず。組織と リーダーへの攻撃的、不満の態度 • 自由放任型:作業成果最低、協調行動な し 問題点 • 実験室実験 – 現実の組織にすぐに応用できるか? • 亡命者であること – 時代背景に注意
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