!! フ イ ト

三国中学校生徒指導部だより
平成28年12月14日
フ ア イ ト !!
という本があります。いじめに関わる全ての人に向けて、芸能人や作家など有名人から
君たちへのメッセージです。例えば、
いじめられている君には、
立ち向かわなくてもいい。
いじめている君には、
濁った心を書いてみて。
いじめを見ている君には、
今の自分、カッコいいか。
プロ野球選手
松井秀喜
エッセイスト
小島慶子
「人権とは」 号
「バガボンド」って知っていますか?「スラムダンク」を描いた井上雄彦という漫画
家が、宮本武蔵の青春時代を描いたものですが、わたくしamazonで37巻セットを大人
買いしました。なにしろ武蔵がすごく強いんです。武蔵は人を斬って斬って斬りまくり
ます。誰と戦っても負けない。吉岡道場の70人斬りなんて壮絶です。人を斬ることで
天下無双を極めようとした武蔵。右足のふくらはぎを斬られて、剣の道をあきらめよう
とします。誰よりも強くありたいのに、もう自分からは戦え
ない。
ふらりと寄った貧しい村で、生きることをあきらめている
村人たちに出会います。米を作りたいけど、川が氾濫して田
んぼが作れない。武蔵が必死で水路を作ろうとしますが、伊
織という少年以外は誰も手伝おうとしない 。「そんなことを
しても無駄だよ武蔵 。」村の人はこう言います 。「俺たちも
かつては何度も田んぼを作ろうとした。水田は水が張らず、
植えても育たず、大雨に流されて、あきらめた 。」「あんた
はなぜあきらめない?もうやめてくれ 。」そこで、武蔵では
なく少年伊織が答えます。
「強くなろうとあがく者が一人でもいると、何もしない自分
がみじめだもんな。みんな同じなら見えないのに異質な者が
いると自分のみじめさが浮かび上がってしまう。だから追い
出そうとして、それができないと分かると、あざ笑い下に見
て線引きして隔てる。それでまた自分を見ずにすむ 。」
もしかすると、人間社会にはびこる『いじめ 』『偏見 』『差
別』はこうやって起こっているのかもしれません。本当は弱い自分に向き合いたくない
から、情けない自分を正当化したいから、自分より弱く見える者(実は強い人かもしれ
ません)を下に見る。結局のところ武蔵はあきらめません。そして、武蔵のそんな姿を
見た村人達は必死に田んぼを耕し・・・。
人権週間
12月4日(日)より「第68回人権週間」が始まり、12月10日(土)は世界人
権デーでした。1948年パリで行われた国連総会で採択され、以降全ての国連加盟国
で記念する行事を実施するよう呼びかけています。日本では平成28年度は「みんなで
築こう 人権の世紀 ~考えよう 相手の気持ち 未来へつなげよう 違いを認め合う
心~」をスローガンとして、思いやりの心や、かけがえのない命について考える啓発活
動を行っています。
『いじめ』『虐待』『体罰』『暴言』『差別』は、身体的暴力や言葉の暴力による、
子どもへの人権侵害です。
私たち三国中学校の教職員は、子どもたちの人権が守られ、子どもたちが安心して学
習できる学校づくりを推進します。12月9日、三国中学校の教職員は 、「三国中学校
人権宣言」に署名し、宣誓しました。これまで以上に、心を一つにして、みなさんの人
権を守ることを誓いました。また、『人権相談窓口 』(担当:水野賀寿美先生)を設置
しました。 みなさんが人権に関する悩みがあった時は、自分のことも友だちのことも、
スマイル学級の水野先生に相談するか、三国中学校に電話(82-1177)してください。
さて、人権についてみなさんができることは何なのでしょうか。錦陵図書館に「完全
版 いじめられている君へ いじめている君へ いじめを見ている君へ」朝日新聞社編
舞踊家
田中泯
全ての人が「いじめ」について真剣に考えてみる。考えたことを声に出してみる。声
を誰かに伝えてみる。伝えることで世界は変わる 。『きっと心に届く言葉がある』
リンカンとキング牧師
前回の指導部だよりで、エイブラハム・リンカンについて書きました。その続きをお
話します。錦陵図書館に「リンカーン大統領のせいじつなことば」という絵本がありま
す 。「12人の黒人は、6人ずつ鎖でつながれていた。まるで、はえ縄にかかってつり
上げられた魚のように。子ども時代と友だちを永遠に奪い取られ、父
から、母から、兄弟から、姉妹から、妻からも、子どもからも無理矢
理引き離され、奴隷として死ぬまで働かさせるために 。」そんな黒人
差別をやめさせるべく、多くの白人が反対する中「奴隷解放宣言」を
公布するのです。
わたしに向けられた批判の一つ一つに答えるくらいなら、大
統領なんか辞めて別の商売でもする方がましだ。わたしは、わ
たしの知る最善のやり方でわたしにできる最善のことをする。
そして、それを最後までやり抜くまでだ。
アメリカでは、その他にも差別や偏見に立ち向かった人がいます。黒人のマーティン
・ルーサー・キング牧師は、黒人に限らず、アメリカ中の虐げられた
人々のために行動し、世界中の不正に苦しむ人々のために声を上げた
のです 。「キング牧師の力づよいことば」という本で紹介されている、
I have a dream.
わたしには夢がある。
から始まる彼の演説は、白人と黒人が手を取り合い力を合わせる日が
来ることを願い、その言葉は虐げられた人々の心を希望で満たしまし
た。そして、正義を求めて戦う人々に「こぶしではなく言葉で」戦う
ことを教えてくれたのです。
終わりに
初めに話した「バガボンド 」。貧しい村の長老が衰弱死の寸前で、独りぼっちで自分
の田んぼを守り続けていた秀作さんに言います 。「屍の上に、新しい命が生きられる。
わしはいい、じき死ぬ。誰かにそのおかゆをやってくれ。神様は見てる、人に優しくし
たこと、人を助けたこと・・・おまえの孤独すら 。」
武蔵もこの村で自分を振り返ります 。「いつからかは忘れた。なぜそう思ったかもよ
く覚えていないが、強くならなければいけないと思って生きてきた 。」「強いって何だ。
動き続け変わりながら、揺れない心 。」「何故あきらめないのかと正蔵は言った。言葉
じゃわからん。その心を味わってなければ。土に寝転んだあの時、その心が訪れた 。」
そこからは満天の星空が見えていたのです 。「あきらめん。土と共にいる 。」
どこであれ、それがいつであれ、人はいつか死んでしまう。どれくらいかはわからな
いが 、誰にでも残された時間がある 。残された時間をどうするのかは自由 。人に優しく 、
そして自分らしく生きたいものです。
参考文献:「 バガボンド」井上雄彦36巻