アプリケーション ストーリー - FLIRmedia.com

アプリケーション ストーリー
フリアーシステムズの赤外線サーモグラフィ
は低コスト簡易住宅の開発に貢献しています
世界最大の鉄鋼メーカーアルセロール・ミッタル(Arcelor Mittal)
は、慈善活動の
一環として、ルーマニア国内の貧困家庭を対象として、同社の鉄鋼を使った簡易住
宅を提供しています。
こうした住宅は簡素であっても、安全かつ良質である必要があ
ります。さらに、寒いルーマニアでも快適に暮らせるよう、高い断熱性が求められま
す。アルセロール・ミッタルのリエージュ研究センターでは、
この住宅の設計にふりあ
の赤外線サーモグラフィを活用しています。
世界では、11億人以上の人が衛生環境
の整わない住宅条件を強いられていま
す。国連人間居住センター(UNCHS)の
推計では、人口増加により年間2100万
戸の新たな住宅が必要です。こうした問
題を解消するため、住宅建築支援に取り
組んでいる組織の一つがハビタット・フォ
ー・ヒューマニティです。アルセロール・ミ
ッタルはハビタット・フォー・ヒューマニテ
ィの活動を支援する一環として、ルーマ
ニアの貧困家庭のために同社製の鉄鋼
を使った簡易住宅を開発しました。
アルセロール・ミッタルは世界最大の鉄
鋼メーカーで、研究開発、先進技術導
入、原材料の事前供給契約の確保、強力
な流通ネットワークなどにより、世界60
ヶ国の自動車、住宅、包装などの鉄鋼市
場で圧倒的な世界シェアを誇っていま
す。
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良い家-Casa Buna
3ヵ月の開発期間を経て、Casa Buna
のモデルハウスが完成しました。Casa
Bunaとはルーマニア語で「よい家」
とい
う意味です。このモデルハウスは、4家
族が住める2階建て住宅で、建築経験の
少ないボランティア作業者でも簡単に
建設でき、20年以上の耐用年数があり
ます。モデルハウスには、ベルギーにあ
るリエージュ研究センターで開発され
た軽量鉄鋼フレーム構造を使った簡易
デザイン、塗装済み鉄鋼屋根材、鉄鋼製
雨水貯留システム、
塗装済みのロールタ
イプのクラッド材が採用されました。
ブカレストのパンテリモンにある同社施
設内に建設されたモデルハウスは、鉄鋼
構造の堅牢性により同価格帯の住宅よ
りも耐用年数が長く、解体も簡単で、解
体後はほぼすべての材料が無期限にリ
サイクル可能な環境に配慮した住宅で
す。耐震性もあり、耐火性は欧州の厳し
アパートの1室には暖房が入っているが、屋根の温
度は低いままである
(温度差13℃)。屋根の頂上部
分は屋根全体と同じ温度になっており、断熱性が
十分であることを示している。
フリアーシステムズの赤外線サーモグラフィを
使ってCasa Bunaのモデルハウスを点検する
Francis Lamberg氏
い耐火性基準に準拠しています。
サーモグラフィ検査
アルセロール・ミッタルでは、
エネルギー
効率を改善することで環境性と経済性
を両立させると同時に、外気温が氷点下
20℃になることもあるルーマニアで家
族が快適に暮らせる家を提供したいと考
えました。そのため、モデルハウスを徹
底的に検査しました。検査を担当したの
はアルセロール・ミッタルのリエージュ研
究センターのサーモグラフィ専門家であ
るFrancis Lamberg氏です。
「リエージ
ュ研究センターではサーモグラフィを建
築物の断熱検査だけでなく、実験室での
せん断試験にも使用しています。」
この熱画像は室内を仕切る壁の支持部がサーマルブリッジになっていることを示している。改良したモデ
ルハウスではこの壁の断熱性が改善されている。
Lamberg氏がCasa Bunaのエネルギー
効率検査に使用した機種はFLIR S65で
す。
「いつも使用していますが、
この機種
はエネルギー効率検査にうってつけのツ
ールです。軽量小型で使いやすく、
この
種の検査に必要な熱データを正確に得
ることができます。」
しかし、エネルギー効率の検査にはサー
モグラフィの性能以上に重要な点がある
とLamberg氏は言います。
「適切なトレ
ーニングと優れたソフトウェアが必要で
す。適切なトレーニングを受けていない
と、早合点して誤った結論を出しやすい
のです。さらに、熱データを極めて詳細
な部分まで解析するには、
ソフトウェアも
Casa Bunaは、4家族が住める2階建て住宅で、建
築経験の少ないボランティア作業者でも簡単に建
設できる
この熱画像は、暖房で暖まった部屋と暖房を使っていない部屋の通気口カバーと窓枠からの熱漏れを示
している。
この結果から、部屋とドアの断熱が改善された
非常に重要です。」フリアーシステムズ
は、赤外線トレーニングセンター(ITC)
と
協力し、専門トレーニングを提供してい
ます。ITCのトレーニングはレベル1から
3まであり、ITC認定を獲得すれば、国際
的にプロのサーモグラファーとして認め
られます。Lamberg氏はレベル1のコー
スを修了し、2日間にわたるエネルギー
効率検査の専門トレーニングも受講しま
した。
「ICTで受講したレベル1コースは
実践型で、
このプロジェクトでも非常に
役に立ちました。受講していなければ、
正確で信頼できる熱データを収集でき
ていなかったと思います。」Lamberg氏
は、QuickReport、ResearchIR、BuildIR
の3種類のソフトウェアをデータ解析に
使用しています。
断熱不良
Lamberg氏が収集した熱データから、
モデルハウスに設計上の断熱不良があ
ることが分かりました。Lamberg氏は窓
枠と室内を仕切る壁の断熱性が不十分
だと診断しました。
「検査中にいくつか
のサーマルブリッジが見つかりました。
サーマルブリッジとは構造的に断熱が弱
い箇所です。熱は熱抵抗が低い経路を
通るため、周囲の材料よりも熱伝導性の
高い構造材が通り道となりやすいので
す。
この通り道がサーマルブリッジです。
」幸い、モデルハウスの断熱不良は簡単
に解決できました。
「断熱不良を改善し
た新しいモデルハウスでも、サーモグラ
フィ検査を何度も行いましたが、サーマ
ルブリッジは見つかっていません。」
Lamberg氏はフリアーシステムズのサ
ポート体制を高く評価しています。
「フリ
アーシステムズは、
トレーニングからカメ
ラの性能、
アフターサービスまで一貫体
制で対応してくれます。」Lamberg氏が
使用中のFLIRS65サーモグラフィは現
在も全く問題なく稼働していますが、万
一、不具合が発生した場合や新機種の購
入が必要となった場合でも、Lamberg氏
は躊躇なくフリアーシステムズの製品を
選ぶと断言しています。
赤外線カメラに関する情報は弊社までお気軽
にお問い合わせください。
:
フリアーシステムズジャパン株式会社
〒141-0021
東京都品川区上大崎2-13-17
目黒東急ビル5F
電話 : 03-6721-6648
Fax
: 03-6721-7946
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T820328 _JP
業界最高性能と高画質
赤外線サーモグラフィFLIR S65は、
マ
イクロボロメーター検出素子搭載で、
解像度は320×240ピクセルです。現
在、FLIRシステムズはこの機種の販売を
終了しており、後続機種はFLIRB660で
す。FLIRB660は解像度640×480、熱
感度は30 mK (0.03 °C)未満で、
GPS
機能やボイスコメント録音機能、赤外線
画像フュージョン機能、
ピクチャーインピ
クチャー機能など、現行での最高機能を
備えており、現在流通している製品のな
かでも建築物検査に最適な機種となっ
ています。