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安田ミッシェル清美さん

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安田ミッシェル清美
領 域:グラフィックデザイン
留学先:ウィーン美術アカデミー
期 間:2013 年 2 月 22 日~2013 年 7 月 2 日
研究テーマ:芸術表現に見る象徴としての女性像
留学の概要(日程・内容など)
これまで自分の制作活動の中で幾度と取り上げてきた女性の象徴性をより深く掘り下げ、
最終的に卒業制作のための土台とするために、オーストリアに存在する二つの歴史的な女
性像、ウィーン自然史博物館の「ヴィレンドルフのヴィーナス」、またシシィの愛称で今
なおオーストリア中で親しまれている絶世の美女「エリザベート皇后」に関する現地調査・
研究を行いました。
研究成果(作品等)
私は日本での準備の段階で、あらかじめ旧石器時代の「ヴィレンドルフのヴィーナス」、
ハプスブルク家の「ママリア=テレジア皇后」の二人の歴史的な女性像を研究対象として
決めていました。しかし実際にオーストリアに行ってみると、皇后として国民に未だなお
近しく親しまれていたのは世界史ではあまり名前を聞かない「エリザベート皇后」である
ことが分かり、ウィーン中の土産物屋ではモーツァルトと並んで彼女のグッズが売られ、
彼女を題材しにしたミュージカルまで上演されていました。町中でグッズが飾られ、彼女
の姿を見ない日が無いという状況はまさしく私の研究したい女性像・女神像にふさわしい
と考え、ウィーン滞在を始めてからすぐに研究対象を「マリア=テレジア」から「エリザ
ベート」に変更しました。
まず旧石器時代に作られたとされる豊満な肉体を持った古代の石像「ヴィレンドルフの
ヴィーナス」については、実際の石像が所蔵されているウィーン自然史博物館に通って観
察・スケッチ・撮影などを行いながら、このヴィーナス像の発見されたドナウ川沿いのヴ
ァッサウ渓谷を訪ねました。このヴィーナス像に関して分かっている事実は非常に乏しく、
研究も憶測の域を出ないものがほとんどで、そのためかオーストリア内でもあまり知名度
は高くありませんでした。しかしヴィーナス像が出土した村には小規模ながらも記念館や
モニュメントが存在し、現地まで行ってそれらを辿っていくことは非常にインスピレーシ
ョンを受ける貴重な体験でした。
次に、19世紀のオーストリア皇后「エリザベート」についての研究は、丁度ウィーン
のライムント劇場で上上演されていたミュージカル作品『エリザベート』が大きな資源と
なりました。このミュージカルはエリザベートの生涯をミュージカルにした作品で、歴史
的背景を多く含んだシリアスな作品でありながらも、その美しく気高いヒロイン像から非
常に人気が高く、老若男女幅広い観客層が見に来ていました。幸運にもウィーンでは学生
割引や立ち見を利用すると非常に安価で観劇ができたので、何度も劇場に足を運ぶことが
でき、実在の女性が芸術作品の中でどのような女性像として神格化されているかを学ぶこ
とが出来ました。またウィーン市内にある王王宮や美術館だけでも数え切れないほどエリ
ザベートに関わる絵画や彫刻、遺物が残されており、滞在中にウィーン近郊や、ザルツブ
ルク南東のバートイシュルを中心として出来る限りオーストリア国内の彼女に関する場所
を訪れ、作品の鑑賞・調査を行いました。ダイエットとコルセットで細い身体を保ち続け
たエリザベートの現代的な女性像は、まさに古代の豊満な「ヴィレンドルフのヴィーナス」
とは真逆を行くものであり、並行してこの二人を調べていくことができたのは私の研究テ
ーマにとって非常に有意義なことでした。
そしてこれらのオーストリアでの調査・研究・制作活動を中心にスライドを制作し、ウ
ィーン芸術アカデミーの授業内で芸術表現における女性像についてのプレゼンテーション
を行いました。プレゼンテーションでは何時何時間もかけて教授や生徒たちと女性の象徴
性、フェミニズムの問題、作品の歴史的背景や意義について話し合いました。授業時間を
大幅に過ぎてもどんどん作品に対する意見とアドバイスを言ってくれる生徒たちの姿勢は
日本の学生とは大きく違うもので、美大生として大いに学ぶことが出来ました。
留学先での授業や、現地指導教員による指導内容について
ウィーン芸術アカデミーでは「コンセプチュアルアート」の授業を選択し、教授の下、
現代における概念芸術と芸術理論について学びました。授業は週3~4回、現地の学生・
留学生を含めて基本的に全て英語で行われ、毎回英語で書かれた、芸術教育、哲学などと
いった現代アートに関係するテーマの論文をクラスメイトと共に読んだり、あるいはフェ
ミニズム、人種問題、宗教問題などに関する現代アート、もしくはドキュメンタリーの映
像作品の鑑賞をし、その内容について感想を出し合い、議論をするというのが主な内容で
した。また、実際にヨーロッパで活躍しているアーティストや他の授業の生徒や留学生を
授業に呼んでのセミナー、実際に展覧会におもむいてアーティストや学芸員の話を聞きに
行くといった課外授業もたびたび行われ、アーティスト同士の交流や議論が非常に重視さ
れたクラスでした。ちなみに5月にミュージアムクォーター(博物館地区)で行われた課
外授業では、東日本大震災をテーマに活動を行っている日本人アーティストの方のお話を
聞く機会もありました。
また、個人での研究は基本的に授業とは別に進める必要があったので、留学生はそれぞ
れ教授のアポを取り、一ヶ月に1,2度の頻度で個人面談を行うという形式で教授の指導
を受けました。指導としては、自分の研究に関して行っているリサーチや気になる点を相
談し、調べるべき作品やヨーロッパのアーティストを教えてもらいまた制作した作品やス
ライドを見せて、プレゼンテーションに向けてのアドバイスなどをしてもらいました。「コ
ンセプチュアルアート」のクラスの留学生は全員授業内でのプレゼンテーションが義務付
けられていたので、そこでの発表を目標として自分の研究を進めました。
現地での生活全般について(印象に残った点や反省点など)
ウィーンでは美術館に限らず素晴らしい芸術に触れる機会が数多くあり、オペラ座や楽
友教会などでは立ち見券を利用することでわずか3~5ユーロで世界最高のオペラやバレ
エ、オーケストラを観賞することができるため、幾度も利用しました。また5~6月にか
けてのウィーン芸術週間には市庁舎、王宮、教会などで無料のアート・音楽イベントが開
催され、他にも複数の美術館を利用し放題のパスポートや、芸術施設での学生割引なども
充実しているので、芸術を学ぶには素晴らしい環境でした。
スーパーなどのお店が閉まるのが早く、しかも日曜は全ての店が休業といった不便な点
もありましたが、治安や交通の便は非常に良くとても住みやすい町だったと思います。ま
たドイツ語は初級者でしたが、ほとんどの場所で英語も通じるので、生活の上ではほとん
ど困ることはありませんでした。ただし大学の授業では議論やプレゼンを行うためにかな
り高いレベルの英語が要求されたので、若干苦労しました。
反省点としては、下調べが足りなかったため、帰国の飛行機での乗り継ぎにミュンヘン
経由を予定していたのですが、6ヶ月ビザが不要のオーストリアと違いドイツでは3ヶ月
までと期間が短く、帰国予定の7月には入国が出来なかったため、フライトを変更しなけ
ればならなかったことです。入国審査の必要ないEU圏内の国の移動の問題は見落としや
すいですが、ビザに関してはよく調べておいたほうが良いです。
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