口腔領域の成長・発育と摂食嚥下機能

平成27年10月10日
平成27年度 第1回小児在宅医療研修会プログラム
口腔領域の成長・発育と摂食嚥下機能
地方独立行政法人神奈川県立病院機構
神奈川県立こども医療センター歯科
佐々木康成
◎
◎
◎
◎
妊娠2ヶ月( 7週) :乳歯のもととなる芽(歯胚)ができ始める
妊娠4ヶ月(15週) :乳歯は石灰化が開始
妊娠6ヶ月(24週) :吸てつの動きが見られる
妊娠8ヶ月(32週) :嚥下との調和の確立
◎ 物噛みや指しゃぶり
口腔・咽頭の成長変化
中咽頭の形態の比較により、成長につれて咽頭が大きくなり、それに
伴って誤嚥のリスクも高くなる。
(弘中祥司 ら:平成20年度厚生労働研究報告書)
誤嚥性肺炎
細菌の繁殖した食さ・歯垢
や唾液が気管に入ること
(誤嚥)が原因で起こる
細菌のコロニー
細菌を含んだ分泌
液を誤嚥する
胃内容物が食道逆流
して誤嚥する
主な死因別にみた死亡率の年次推移
誤嚥性肺炎
. 厚生労働省ホームページ 統計調査結果 報道発表資料
日本人の死亡原因として、「悪性新生物」
「心疾患] に続き、3 位に肺炎となり、
「脳血管疾患」を超えた。
肺炎で死亡される方の7割程度が誤嚥性肺炎によると言われ
ており、年齢別では、70歳以上では70%以上が、90歳以上
では95%近くが誤嚥性肺炎であると言われている
(寺本信嗣 誤嚥性肺炎・オーバービュー 日本胸部臨床
2009 68(9)799)
口腔機能・摂食機能評価
何が出来て、何が出来ないのか?
摂食・嚥下機能発達段階
1.経口摂取準備期
過
程
の
評
価
摂
2.嚥下獲得期
食
・
口
嚥 先 準
腔
下 行 備
期
の 期 期
3.捕食獲得期
過
程 ③体験ポイント 4.押し潰し期
5.すりつぶし期
6.自食準備期
7.手づかみ期
8.食具食べ期
咽
頭
期
食
道
期
摂食機能の発達
発達の特徴
障害された時
経口摂取準備期
哺乳反射、指しゃぶり、
玩具なめ、舌突出、等。
拒食、過敏、接触拒否、誤嚥
原始反射の残存等。
嚥下機能獲得期
下唇の内転、舌尖の固
定、舌の蠕動様運動で
の食塊移送など。
むせ、乳児嚥下、逆嚥下、食
塊形成不全、流涎など。
捕食機能獲得期
顎・口唇の随意的閉鎖、 こぼし(口唇からのもれ)、過
上唇での取り込み(擦り 開口、舌突出,スプーンかみ
取り)など。
など。
押しつぶし機能獲得期
すりつぶし機能獲得期
口角の水平の動き(左
右対称)舌尖の口蓋皺
襞への押し付けなど。
丸のみ(軟性食品)、舌突出、
食塊形成不全(唾液との混和
不全)など。
口角の引き(左右非対
称)、頬と口唇の協調運
動、顎の偏位など。
丸のみ(硬性食品)、口角か
らのもれ、処理時の口唇閉鎖
不全など。
上記の時期は、介助食べが主である。
小児の摂食嚥下リハビリテーション
田角 勝、向井美恵 編著、医歯薬出版
食事のチェックポイント
×
•食環境(姿勢、食具など)
•口腔機能と食形態
•食べ方
(ペース、一口量、介助法)
•摂取量/水分量
②体験
ポイント
④体験
ポイント
?
×
食形態の例 ー食内容ー
軟食
ペースト食
常食
(6段階)
副食
(重心食)
4段階
副食
(軟流動食)
4段階
形状、物性は、
そろえる。
そろえないと
誤嚥の原因に!
捕食機能獲得
○
捕食機能
上唇を使って
食べ物を取り込む
機能障害
唇を使って取り込めない
上唇の働き
摂取量の調整
食物の感知 温度、硬さなど
嚥下機能への関与
①体験ポイント
歯列咬合の成長
1.第一大臼歯萌出期(幼稚園、小学校低学年)
2.前歯交換期(幼稚園、小学校低学年)
3.臼歯交換期(小学校中学年、高学年)
4.永久歯列完成期(中学生、高校生)
口の中の状態の把握が重要
歯列咬合と摂食機能
不正咬合を認めるが、歯や軟組織は健康な状態
(脳性麻痺児)
食物が歯列の上からこぼれて頬側
に落ちてしまっている。
→しっかり咬めていない。
経管栄養中の口腔環境の諸問題と対策
・口呼吸、開口状態、挿管、発熱、薬剤の副作用
・廃用委縮による摂食・嚥下機能の低下
摂食機能療法
・唾液分泌の低下
・自浄作用の低下
機能的口腔ケア
・口臭の発生, 歯石の沈着
・口腔細菌の増加
器質的口腔ケア
誤嚥性肺炎リスクの増大
・管の汚染
・小児のチューブはカフなし
管の衛生管理・吸引
口腔ケア用品例