年金運用の新潮流(LDI)1 - 大和ファンド・コンサルティング

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年金運用の新潮流(LDI)1
- ライアビリティー・ドリブン・インベストメント
大和総研アメリカ
鈴木 誠
【要約】
◇ 2000 年以降、米国年金に係わる話題に事欠かない状況が続いている。最近では、PPA
(Pension Protecting Act of 2006、2006 年年金保護法)や FASB による企業会計改革
(phase 1)など、年金の制度や会計に関する変化が見られた。こうした変化に符号するよ
うに、運用機関は新たな投資手法の提供を進めている。それが LDI(ライアビリティー・
ドリブン・インベストメント)と呼ばれる投資手法である。
◇ 欧州を中心とする年金基金によって LDI は採用され始めたが、そのきっかけとして
は、2004 年から国際会計基準(IAS19)、2005 年から英国規準(FRS17)がそれぞれ段
階的に施行されたこと、株式市場の低迷と金利の大幅低下を受けて年金の積み立て状況
が大幅に悪化したことなどが挙げられている。
◇ 米国でも 2000 年以降に生じたいわゆる「パーフェクトストローム(株価の低迷と金利
の低下による影響)」は確定給付型年金の資産運用を根幹から考え直させる契機となっ
た。さらに、PPA による積み立て規則の厳格化、FASB による年金会計の国際基準への
ハーモナイズなどが年金資産運用に直接・間接的な影響を与えるものと見られる。LDI
はこうした諸環境の変化に対応したひとつの解法と位置づけられる。ただし、米国で LDI
が唐突に出現したかというとそうでもなさそうだ。2、3 年ほど前には、あまり取り上げ
られることは無かったが、インデックスとベンチマークの分離、あるいは、テーラーメ
ードのインデックス開発などが一部の運用機関によって進められており、こうした技術
が LDI の一部として開花したと考えられる。LDI の年金基金における関心は高く、年金の
主要情報誌である Pensions & Investments が主催したカンファレンスには多数の関係者
が出席していた。
◇ わが国においても企業会計基準の見直しが進んでいるが、IAS19 に完全に追従すると
いう動きでもなさそうである。一方、株式市場は一進一退で、ゼロ金利政策は解除され
たものの、依然として欧米に比べて著しい低金利の状況は続いている。ただし、多くの
企業年金ではやっと代行返上を終えたこともあり、「台風一過の心持ち」といったところ
が多く、先進的な負債の金利変動リスクについての扱いにはあまり関心はないようだ。
LDI はわが国年金基金にとってもひとつの有力な選択肢となると見られるが、本格的な導
入にはしばらく時間がかかりそうな様子である。
1.旧来型年金マネジメントからLDIへ
LDI(ライアビリティー・ドリブン・インベストメント)という運用手法は未だわが国
に本格的に移入されてはいないようである。本邦における既出のレポートによれば「負債
対応投資」や「債務に基づいた投資」、「負債主導型投資」と邦訳されており未だ統一的
LDI を強いて他社の日本語訳と相違した和訳を与えるならば、「負債管理(型)投資」とでも名づけられる
だろうか。
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当レポートに記載された内容は作成時点のものであり、正確性や完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることがあり
ます。当社の事前の承諾なく複製または転送することを禁じます。
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な呼称がないので、ここでは LDI と表記することとする。
LDI とは ALM(アセット・ライアビリティー・マネジメント)の一種であると考えると
わかりやすい。年金における ALM は 1985 年の FAS87(退職給付会計)の導入により普
及し、わが国でも 1990 年代前半に導入された。ただし、各種の前提に基づき多くのシミュ
レーションを行うことが求められたため、コンピューター技術のダウンサイジングが現在
ほど進んでいない中で、日米ともに年金の分野において本格的に導入されたケースは少な
かったようである。ただし、現在ではコンピューター技術の進化とさらなる制度的な変化
(資産・負債への時価会計の適用やファンディング基準導入など)により、年金 ALM の
ニーズが一段と増しており、LDI は年金基金が求められるマネジメントのひとつの手法と
位置づけることができる。
ことに近年、低金利と株式市場の低迷という事態に直面する一方、会計制度や年金制度
の厳格化が図られることで、欧州の年金基金は ALM に基づく運用に進まざるを得なかっ
た。例えば、会計制度の面では英国の FRS17 を挙げることができる。FRS17 では、年金
資産および債務の差異を遅延認識から即時認識に改めた。具体的にいうならば、資産は市
場公正価格で評価し、負債は PBO 基準とされ、現在価値への割引率としては AA 格の債券
利回りが用いられるようになった。この結果、英国の年金基金は常に市場の価格変動リス
クに晒されることとなり、資産サイドでの市場リスクの減少志向、すなわち株式から確定
利付き商品へのシフトが生じた。この結果、運用パフォーマンス以上にファンディング率
極大化へ関心事が移ったといえるだろう。ファンディングを充足させる意味で LDI が脚光
を浴びる結果となったことは、至極当然といえる。
しばしば、英国年金基金において資産運用をドラスティックに変化させた例として取り
上げられるブーツ社の場合のように、74%のエクスポージャーがあった株式投資が 2001
年度からの FRS17 の段階的な導入に合わせるかのように 2000 年に株式比率をゼロまで低
下させたことは極端としても、2002 年以降、英国の年金基金における株式投資比率、特に
英国株比率の趨勢的な低下傾向が見られたことは、年金基金の資産運用が明らかに転機を
迎えたことを示していると考えることができるだろう。
同様の会計制度の変化の波は、欧州大陸にも起きていた。国際会計基準 19 号(IAS19)
の改訂である。改訂 IAS19 は回廊方式による遅延認識に立っていたこれまでの基準に加え
て、数理的な損益差分について資産および負債を即時認識する選択肢を用意した。改訂基
準自体は、選択肢が増えただけのようにも見えるが、その背景について考えると、欧州各
国における年金制度の厳格化の波にシンクロナイズした対応であったといえる。したがっ
て、欧州の年金関係者にとって IAS19 の改訂は、単なる選択肢の増加というよりも、FRS17
と同様に、企業年金会計の時価評価・即時認識を促す効果をもたらしたと受け止められて
当レポートに記載された内容は作成時点のものであり、正確性や完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることがあり
ます。当社の事前の承諾なく複製または転送することを禁じます。
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いるようだ。
会計制度の変更以上に拘束力を持つのが、欧州各国の年金制度である。例えば 2007 年 1
月から導入されるオランダの FTK (Financieel Toetsingskader)では、年金債務が市場時価
で計測され、債務のインデックスの 105%を下回った場合については、1 年以内の改善が求
められる。オランダの年金も他の欧州の年金同様に 2000 年から 2003 年にかけてファンデ
ィング比率が 50%程度まで悪化した経験がある。こうした悪夢を再び生じさせないための
予防措置として新たな制度(FTK)が導入されることとなったのである。また、デンマー
クでは 2002 年の企業年金監督強化法によって、企業年金における投資、最低積み立て基準、
年次報告、会計を含む実施と監督が定められた。
この中でも特筆すべき点はストレステストである「信号システム」である。下図表1の
ように資産、負債のデュレーションが±100bp 変動すると注意信号(黄色)が点灯し、さら
に±70bp の変動で警戒信号(赤色)となる。赤色信号が点灯するとバランスシートの修復
のために強制的な措置(例えば株式を売却して債券を購入することなど)が求められる。
また、資産価額の変動では、株式価値が 30%減価、金利が 1%変化したときにファンディ
ング上の問題が生じた場合には、監視状態を示す黄色信号が点灯する。さらに株価が 12%
以上減価し、金利が 0.7%変化した場合には、より厳しい監督下に置かれ、規制当局により
バランスシートの修復措置が図られることとなる2。
図表1:リスクファクター
資産デュレーション
負債デュレーション
株式 リスク
クレジット&カウンターパーティーリスク
プロパティーリスク
赤信号
黄色信号
±70bp ±100bp
±70bp ±100bp
-12%
-30%
8%(0-100%)
-8%
-12%
出所:ATP
こうした措置がデンマークで導入されて以来、図表2に見られるようにアセットアロケ
ーションが 2002 年以降大きく変化していることが確認できる。2001 年以前は債券への投
資が 50%未満であったのに対して、2002 年以降は 60%以上配分されることとなっている
のである(図表2の折れ線で示された部分以下が債券投資の比率となる)。
“Developments in Pension Fund Risk Management in Selected OECD and Asian Countries,” OECD
資料
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当レポートに記載された内容は作成時点のものであり、正確性や完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることがあり
ます。当社の事前の承諾なく複製または転送することを禁じます。
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図表2:ATP における資産配分の推移
100%
80%
60%
40%
20%
0%
2001
2002
2003
2004
2005
Nominal bonds in DKK
Nominal foreign currencies bonds
Index-linked bonds
Interest-rate hedging instruments
Domestic equities
Foreign equities
Real estate
Unlisted equities
2.LDIとは
冒頭に述べたように LDI は ALM の一種の手法と位置づけられるため、その内容は厳密
には定義されていない。わが国において、これまでの年金マネジメントといえばどちらか
というと資産マネジメントを指す場合が多かった。その理由としては、負債サイドのマネ
ジメントについての必要性が希薄であったことに基づく。これは、年金の負債サイドはア
クチュアリー(年金数理人)が関与し、資産サイドは運用機関が担当するという二元的管
理が主流となっていたことも理由とされる。さらに、わが国の年金債務は固定金利によっ
て将来給付額の現在価値を求めるため、市場金利の変動が計算上負債に影響を与えること
がない3。この結果、ALM において負債の評価はほぼ固定化、つまり所与とされる。その
ため、年金基金のマネジメントの中心が資産運用に傾斜することとなったと考えられる4。
こうした状況において過去に検討された年金 ALM の手法がキャッシュフローマッチン
グやイミュナイゼーション運用などの手法である。前者は確定したキャッシュフローにそ
れぞれ対応するキャッシュフローを生み出す債券運用を行うものであり、後者は負債と資
継続基準の場合。非継続基準においても 30 年国債利回りを基準として割引率を採用するため、基本的に
は、常時、市場金利変動の影響を受けるわけではない。
4 戦後から 1990 年代初頭まで、わが国の場合では年金債務の費用化は比較的遠い将来のことであり、ファ
ンディングの数理差異はやがて資産運用によって穴埋めされるであろうという楽観的な期待が支配してい
たといえるかもしれない。例えるならば、図表3の実線部分のように、年金負債の価値が年々一定比率で
増加する一方、年金資産の価値は急速に増加するパターンがこれに該当する。
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産のデュレーションを一致させることで、金利変動リスクからの免疫化(イミュナイゼー
ション効果)を図るものである。ただし、わが国ではかつて予定利率として 5.5%という定
率が一律に用いられていたこともあり、負債の金利変動リスクという概念が運用に導入さ
れる素地が無かった。したがって、わが国で過去にこの種の手法が検討されたことはあっ
ても、実際に導入されたという例はあまり聞いたことがない。
最近、LDI として運用機関が売り込む戦略は多少の相違があるものの、概ね 2 段構えと
なっている。1 段目が年金負債にマッチングする部分であり、2 段目がアルファプロダクツ
に投資する部分である。1 段目と 2 段目の投資比率は、年金資産と負債の状況が図表3の
一点鎖線部分のようになっているか、点線部分のようになっているかに依存する。しかし
ながら、財政状況によって異なるが、主要な資産運用部分が 1 段目の年金負債とマッチす
る部分であることには変わりがない(図表4:LDI の概念図参照)。
図表3:年金資産価値と負債価値の推移
資産価値 負債価値
(満期)
時間
00
資産
負債
(満期)
時間
図表4:LDI の概念図
2段目
1段目
アルファ
部分
負債連動
部分
(スワップ、
債券、
TIPS
など)
年金
債務
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1 段目については上述したように、かつては年限やキャッシュフローに着目して債券の
み利用したポートフォリオが利用されていたが、今や負債のデュレーションやコンベクシ
ティーに合わせた適合性や柔軟性の高いスワップを利用するケースが注目されている5。
2 段目部分は、アルファ投資として 1 段目の投資とは相関関係が低いプロダクツへの投
資が主となる。たとえば、株式、ファンド・オブ・ヘッジファンド、不動産、コモディテ
ィー投資などが相当する。
このような、負債連動部分とアルファ追求部分の分離によるメリットは、1)市場変動
リスクに左右されず、2)年金債務に対する積立が十分確保され、そして3)アルファを
確保することができる、という点にある。この結果、図表5に示されるように年金債務に
対するトラッキングエラーをかなり圧縮することが可能とされる。年金資産という企業に
おける労働債務の運用において、確定給付額を満たす運用を行うことが最低要件と考える
ならば、ファンディング比率を 100%充足する LDI のような運用が合理的と考えられる。
図表5:伝統型ポートフォリオと LDI のリスク/リターンの比較
Return Above Liabilites(%)
2
伝統型
LDI
1.6
30% Swaps
30% Bonds
50% Swaps
1.2
50% Bonds
0.8
70% Swaps
70% Bonds
0.4
0
0
2
4
6
8
10
Portfolio Tracking Error vs Liabilities(%)
出所:State Street Global Advisors, P&I 主催 LDI カンファレンス資料より
伝統的なこれまでの資産運用と LDI との対比をするならば、以下の図表6のようにまと
めることができる。
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ただし、注意しなくてはならない点は、スワップ投資を導入することによりこれまで市場で分散化可能
であったリスクとは異質のリスクが包含されることとなることである。スワップは相対取引が基本とされ
るため、カウンターパーティーリスクのマネジメントが必要となる。投資期間が 1 日から 1 年程度のター
ムであれば、契約が失効する(例えば、カウンターパーティーのデフォルトなど)可能性も見極められる
であろうが、20 年から 50 年先となるとかなり困難であると推定される。
当レポートに記載された内容は作成時点のものであり、正確性や完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることがあり
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図表6:伝統的運用と LDI の違い
伝統的運用
目的
リスク測度
高い長期運用リターン、
全期間において、資産が負債を
上回り、費用対効果において
費用が極小化されること
資産のボラティリティー
無リスクポジション 戦略的資産配分
戦略の決定
CAPMを用いた資産のリターン
最大化、リスク最小化を図る
LDI
負債に依拠した投資を行い、
積立余剰や積立不足を
コントロールする
ファンディング比率のボラティリティ
負債にマッチするだけの資産を
ポートフォリオとして保有すること
以下の方法に従う
a)負債の分析
b)負債に適合するポートフォリオの策定
c)リスクバジェットの決定
d)負債を上回るパフォーマンスが
期待される資産ポートフォリオと
負債をマッチさせる
出所:Pensions & Investments 主催のカンファレンス資料より
まず、運用目的であるが、伝統的運用では一定のリスクの下でのリターン極大化を目標
としていたが、LDI では年金の負債に見合う積立率を確保し、ファンディング比率の振れ
(ボラティリティー)を最小とする。また、運用の目的が異なるので、リスク測度も異な
る結果となる。伝統的資産運用では年金債務の変化を考慮しないため資産のボラティリテ
ィーのみに配慮する(最小化を図る)のに対して、LDI では年金債務の変化に対応した資
産の変化をリスク測度として導入している。さらに、リスクフリー(無リスク)ポジショ
ンの位置づけも変わってくる。前者が戦略的資産配分(基金の親会社の所属する業種や地
域固有のリスク等まで含めて)に基づくのに対して、LDI ではシンプルに年金債務に相当
する資産を満額保有することとなる。
このように、目的や制約条件、リスク測度が異なるため、当然、伝統的運用と LDI の戦
略はかなり異なることとなる。伝統的運用では資産市場を中心として CAPM に基づく均衡
状態を前提とした最適ポートフォリオの選択問題に帰着される。一方、LDI では年金債務
にマッチさせる資産ポートフォリオを策定することが主な戦略となる。
3.米国年金基金の状況
こうした欧州における年金基金の資産運用形態の変化は、会計制度と年金制度の変化(時
価評価と即時認識)とマーケットの要素である金利と株価の軟化が運用資産、年金債務の
両サイドにダブルパンチとなったこと、すなわち「パーフェクトストローム」に見舞われ
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たことがドライビングフォースとされる。
米国ではどうかというと、まだ、LDI の議論は緒についいたばかりといえる。以下の図
表7に示されるように、年金制度としては 2006 年の年金保護法(Pension Protection Act of
2006)により最低積立基準の厳格化が打ち出された。会計面では FASB によりフェーズⅠ
として PBO を注記表示からバランスシート(BS)上に記載する。その後、2008 年に時価
評価の徹底が計画されているが、欧州の動きを見るならばフェーズⅡの導入時点が米国に
おける年金運用に LDI が本格的に普及し始めるタイミングではないかと考えられる。年金
財政の制度による制約が本格化しない以上、大幅なポートフォリオの見直しを行う必要性
が乏しいと見られ、米国における LDI は検討段階であるといえるだろう。
ただし、こうした基金の胸中を察して、LDI を推奨する運用機関は一方で、140/40 や
130/30 といった伝統的資産運用の枠組みでロング・ショートのポジションを持ち、投資機
会の拡大を図る投資手法の導入を勧めており、年金基金も比較的好意的に受け入れている
ようである。
図表7:米国の年金制度と会計制度の変化
2006年年金保護法
(Pension Protection Act of 2006)
・ 積立の厳格化
・ 資産・負債の平滑化期間の変更
・ PBGCプレミアムの値上げ
・ 最大拠出限度額の引き上げ
会計制度改革
・ FASB フェーズⅠ(2006)
PBOによる積立状況を注記からBSに
・ FASB フェーズⅡ(2008)
時価評価の徹底
出所:Vanguard 社、P&I 主催のリスクマネジメント・カンファレンス資料より抜粋
4.わが国への導入の可能性について
では、翻ってわが国における年金基金の LDI 導入はどのように考えられるであろうか。
少なくとも、LDI の方法論は企業年金における運用資産を年金債務の見合いとして位置づ
け、無用なマーケットリスクエクスポージャーを保有しないという点において同意される
点は少なくないと見られる。ただし、LDI が年金運用のひとつの理想形であるというだけ
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では、現実的に年金基金による投資やアセットアロケーションの変更というアクションに
は結びつきにくい。
欧州の例に見られるように、ドライビングフォースとなる年金制度や会計制度改革の後
押しがなくては、わが国でも LDI が普及するには至らないのではないかと考えられる。世
界的に時価会計が普及する中で、わが国独自の会計システムを維持する方向性が打ち出さ
れている一方で、遠くない将来において、世界的な会計制度の収斂に調和せざるを得ない
といった見方も根強く、制度変化をドライビングフォースとする LDI の議論はしばしお預
けというのが現実的なところだろう。
また、わが国企業年金においてやっと代行返上が片付き、「台風一過の心持ち」となっ
ている企業年金も少なくない。現状は、先進的で理想的な運用手法であるというだけで、
負債の変動リスクのマネジメントにまで関心を持つ基金は少ないように見られる。とりあ
えず米国の年金基金による LDI の受け入れ状況を見守るのが得策ではないだろうか。
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