【問題2】 法人の政治献金の自由について、判例に言及しつつ論ぜよ。 【解答例】 法人に政治献金の自由は認められるであろうか、 ↓前提として そもそも法人に人権は保障されるか、 法人の人権享有主体性が問題となる。 ↓この点 法人も人権を享有できると解する。 ↓なぜなら 現代社会においては、 法人も『社会で重要な活動』を行っており、 社会的実体を有しているからである。 ↓このように 法人も人権を享有できるとしても、 その保障の範囲が問題となる。 ↓この点 『すべての人権が当然に保障される』のではなく、 権利の性質上可能な限り、法人にも人権の保障が及ぶと解する。 ↓では 【政治献金の自由は、権利の性質上、法人に保障されるか。】 ↓思うに 政治献金は『政治的な表現活動』であり、表現の自由の一種といえる。 ↓そして 表現の自由は、法人にも性質上保障されることから、 政治献金の自由も法人に保障されると解する。 ↓しかし 法人による政治献金は、 『法人内部の構成員の思想の自由(19 条)を侵害する危険』があるため、 『構成員の思想への配慮』が必要となる。 ↓但し 法人といっても『様々な種類』があり、 一律に扱うべきではない ↓そこで 以下では、判例で特に問題となった株式会社と税理士会について論述する。 - 17 - (1) まず、株式会社の場合はどうか。 ↓この点 株式会社は任意加入団体であり、 構成員である株主には脱退の自由がある。 ↓とすれば 株式会社では『構成員の思想に対する配慮』はそれ程必要ない。 ↓したがって 株式会社が政治献金を行うことは、 その目的の範囲内の行為であり、許されると解する。 この点、八幡製鉄政治献金事件も同趣旨である。 (2) では次に税理士会の場合はどうか。 ↓この点 税理士会は強制加入団体であり、 構成員には脱退の自由はない。 ↓とすれば 税理士会は『構成員の思想に対する配慮』が強く要請される。 ↓したがって 税理士会が構成員から金銭を徴収し、政治献金を行うことは、 『構成員の思想を侵害する危険』があるため、 税理士会の目的の範囲外の行為である。 ↓よって 政治献金は許されないと解する。 ↓なお 近時の南九州税理士会政治献金事件も同趣旨である。 このように判例は、 同じ法人でも、税理士会と株式会社で異なる判断をしているが、 これは上述のように『法人の性質が異なる』からであり、 かかる結論は妥当であると解する。 以 - 18 - 上
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