制作:平成 18 年7月 21 日 K−Net社労士受験ゼミ 労働基準法 1 女性の坑内労働(法 64 条の2) 改正の趣旨 女性の坑内労働について、女性技術者が坑内の管理・監督業務等に従事するこ とができるように、妊産婦が行う坑内業務及び一部の業務(作業員の業務)を除 き、規制緩和を行うものとしたものです。 改正の概要 使用者は、妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申 し出た産後1年を経過しない女性を坑内で行われる業務に就かせてはならない ものとするほか、満 18 歳以上の女性を坑内で行われる業務のうち人力により行 われる掘削の業務その他の女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるもの に就かせてはならないこととしました。 この改正により、労働基準法において「女性」という表題で女性の保護 規定を設けていたものが、「妊産婦等」という表題に変更されています。 -1- 労働基準法 無断複写・複製禁止 改正の詳細 改正前 坑内労働の禁止 使用者は、満 18 才以上の女性を 坑内で労働させてはならない。ただ 改正後 坑内業務の就業制限 使用者は、次の各号に掲げる女性を当該 各号に定める業務に就かせてはならない。 し、臨時の必要のため坑内で行われ ① 妊娠中の女性及び坑内で行われる業務 る業務で厚生労働省令で定めるも に従事しない旨を使用者に申し出た産 のに従事する者(妊産婦で厚生労働 後1年を経過しない女性 省令で定めるものを除く)について ⇒ 坑内で行われるすべての業務 は、この限りでない。 ② ①に掲げる女性以外の満 18 歳以上の 女性 ⇒ 坑内で行われる業務のうち人力によ り行われる掘削の業務その他の女性 に有害な業務として厚生労働省令で 定めるもの 【 改正前 】 「臨時の必要のため坑内で行われる業務で厚生労働省令で定めるもの」におけ る「厚生労働省令で定めるもの」は、 ① 医師の業務、看護師の業務 ② 新聞又は出版の事業における取材の業務 ③ 放送番組の制作のための取材の業務 ④ 高度の科学的な知識を必要とする自然科学に関する研究の業務 とされていたので、これらの業務については、臨時の必要があれば、坑内におい ても業務に従事することができました。 ただし、「妊産婦で厚生労働省令で定めるものを除く」とあり、厚生労働省令 で定めるものとは、具体的には、妊娠中の女性及びその業務に従事しない旨を使 用者に申し出た産後1年を経過しない女性であったことから、これらの女性は、 -2- 制作:平成 18 年7月 21 日 K−Net社労士受験ゼミ 臨時の必要があっても、坑内における業務に就かせることはできませんでした。 【 改正後 】 妊娠中の女性及び坑内で行われる業務に従事しない旨を使用者に申し出た産 後1年を経過しない女性については、従来と同様、坑内で行われるすべての業務に ついて、就かせることができません。 従来は、省令において詳細を規定していたものを、法律に規定するように なったのです。 その他の女性については、従来は、「臨時の必要のため坑内で行われる業務で 厚生労働省令で定めるもの」に限定して坑内労働が認められていたものが、一定 のものを除き、可能となりました。つまり、臨時の必要の有無を問わず、業務に 就くことができるようになったのです。 なお、就労が禁止される業務は「坑内で行われる業務のうち人力により行われ る掘削の業務その他の女性に有害な業務として厚生労働省令で定めるもの」です。 つまり、一般の坑内作業員などの業務などは禁止されるということです。 「厚生労働省令で定めるもの」については、現時点(平成 18 年7月 20 日現在)では明らかにされていません。 A B 人力により行われる掘削の業務その他の女性 B以外の業務 に有害な業務として厚生労働省令で定めるもの 就業可能 就業禁止 ① 原則(②、③以外) ② 妊婦 就業禁止 申出により ③ 産婦 就業禁止 就業禁止 改正法の施行 平成 19 年4月1日から施行されます。 -3-
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