優 ポップコーンの研究 ~トウモロコシの水蒸気爆発~ 熊本県立熊本西高等学校 化学部 高濵 中村 工藤 竹熊 松川 1 研究の動機 私たちは文化祭や部活動でよくポップコーンをつくります。でも、なぜトウモロコシが爆発して ポップコーンになるのか、知りませんでした。そこで「なぜトウモロコシは爆発するのか?」と疑 問に思い研究を始めました。 2 研究の方法 疑問に思ったことを調べてみよう。 ①トウモロコシの体積は?・・・・水を入れたメスシリンダーに粒を入れて体積を調べる。 ②トウモロコシの水分は?・・・・電子レンジで加熱して爆発前後の重さから水分を調べる。 ③トウモロコシが爆発する温度は?・・・・爆発瞬間の温度を放射温度計を使って調べる。 ④湿らせたトウモロコシは何度で爆発するんだろう?・・・・開封直後。開封して時間がたったもの、 湿らせたもの、この3つの条件で爆発する瞬間の温度を調べる。 ⑤ 12 時間、24 時間水につけたトウモロコシを熱したら爆発するの? ⑥6時間、12 時間日光に当てて乾燥させたトウモロコシを熱したら爆発するの? 3 研究の結果 ①ポップコーン1粒の体積は約 0.135㎖約 15%の水分がある。 ②袋から取り出した直後のトウモロコシは約 200℃で爆発するが、開封して時間がたてば湿気を帯 びて爆発温度が徐々に下がる。 ③水につけたり、乾燥させたりするとトウモロコシはポップコーンにならない。 4 発展 トウモロコシ内が空洞で、すべての水が気体になっていると仮定して、200℃のトウモロコシ内 の圧力を計算してみた。トウモロコシ一粒は 体積 0.135〔mL〕 質量 0.180〔g〕 水分の割合 14.6〔%〕 一粒に含まれる水分 0.180 × 0.146 = 0.0263 ≒ 0.026〔g〕爆発温度 200℃= 473〔K〕 pv n 気体の状態方程式 = RTよりp= 42,005,500=4.2 × 107 Pa 大気圧の約 400 倍となった。 しかし、ポップコーンを作ると爆発前に鍋の蓋に水蒸気がつくので爆発前に水蒸気が漏れている。 そこで、爆発までのポップコーンの重さを量ってみると、爆発までに水蒸気として外に出た量が 2.29g 12.25(%)一粒あたり 0.0229g とわかった。これより 爆発直前にトウモロコシに残っている水分の割合 14.62 - 12.25 = 2.37〔%〕 爆発直前にトウモロコシに残っている水分 0.181 × 0.0237 = 0.004266g ≒ 0.0043〔g〕 気体の状態方程式に当てはめると p= 6,947,038 = 6.9 × 10 6Pa(大気圧の約 70 倍)となった。 5 まとめ トウモロコシにはとても大きな圧力がかかっている。この値はトウモロコシの内部を空洞として 計算したもので、実際にはもっと大きな値となる。また、トウモロコシ内では一部の水だけが水蒸 気になり、その圧力で表皮の一番弱い部分を破裂し、100℃を超えたトウモロコシ内の水が一気に 水蒸気となり爆発が起こっていると考えられる。 参考文献 さ・え・ら書房 「ポップコーンの科学」 - 153 -
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