環境経営グループ 省エネニュース Vol.75(2007.1) ~ ヨーロッパからスキー場が消える!? ~ この冬は暖冬と言われていますが、これは日本だけの話ではないようです。ヨーロッパでも、過去に例の ない暖冬と指摘されており、その影響が顕在化しています。 今回は、ヨーロッパにおける暖冬の影響についてご紹介します。 ■■ ヨーロッパは観測史上、最も暖かい冬? 国連の世界気象機関(WMO)は12月11日、「この冬は、ヨーロッパでは観測史上、有数の暖冬になりそ うだ」と発表しました。現実にアルプスでは、この冬は平年の30%程度しか雪が降っていません。 各国の気象機関の発表によると、スイスでは11月と12月 の気温が平年より10℃も上回り、オーストリアのアルプスで は、過去1300年間で最も気温が高くなったそうです。また、 イングランドでは、1659年の観測開始以降、最も気温の高 い秋となり、この冬の気温も平年を上回ることが予想されて います。 地域によっては早く花を咲かせた果樹もあり、また、農作 物が霜害を受けることが懸念されています。 スイス、アルプスの氷河。永久に残る氷河と言われていましたが、ここ数十年をかけて溶け、山 肌が次第に樹木で覆われ始めています。 ■■ OECDがスキー産業の危機を警告 様々な地域のスキーリゾートが雪不足のために営業開始を遅らせ、スキー大会の開催にも影響を及ぼし ています。OECD(経済協力開発機構)は12月13日、地球温暖化がヨーロッパのアルプス地方のスキー 産業に悪影響を与えるという内容の中間報告を行いました。 報告によると、アルプス周辺の国々(フランス、オーストリア、スイ ス、ドイツ)では、世界の平均の3倍の速さで気温が上昇しており、 主要な観光であるスキー産業に悪影響を与えそうだと指摘していま す。 現在、666箇所の中~大規模のスキー場のうち57箇所のスキー 場では、最低限の雪での営業を余儀なくされており、雪不足が深刻 化しています。更に将来を考えると、営業可能なスキー場の数は、 気温が1℃上昇すると666→500箇所に、2℃上昇すると400箇所 に、4℃上昇すると現在の1/3の200箇所にまで減少すると予測し ています。 多くのスキー場では、人工降雪機を使って雪の減少を補っていま す。しかし、これには多くの水とエネルギーが必要になります。つま り、本来、天の恵みである雪の代わりを得るために、貴重な資源が 消費されることになるのです。
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