金融と財政 イギリスにおける近代的金融の形成 イングランド銀行(BOE

金融と財政
イギリスにおける近代的金融の形成
当時、イギリス政府はフランスと戦争状態にあり、巨額の戦費等が必要であった
その戦費貸付の代償として,金銀がなくても銀行券を発行できる銀行を設立
イングランド銀行(BOE)の設立
その後,イギリスの資本主義の発展
但し、BOEは国が作ったものではなく、自然発生
的に発展した「金匠銀行」という民間の貸金業者
から生まれたものである(詳細は「金融論」にて)
イングランド銀行券は強い「信用力」を持って流通した
銀行券が「金」などに交換されることなく流通。
その他の銀行は「預金通貨」を発行
信用通貨の流通
イングランド銀行
銀行券のやり取り
その他の銀行
預金通貨のやり取り
その他の経済主体(企業や個人)
小切手や手形のやり取り
小切手の流通
1
商品
おカネ
(50)
(100)
銀行
甲さん
銀行
甲さん
おカネ(100)
預金
預金(100)
(100→50)
この場合、「当座預金」
本来は「おカネ」
商品(50)
「おカネ」でも良いが、「預
金」もおカネの一種だか
ら、乙さんは困らない
小切手(50)
預金(50)
乙さん
乙さん
乙さんが小切手
を銀行へ持って
いった場合
小切手(50)
2
ある一定の期日(手形に記
載))まで現金にはならない
手形割引
手形の割引より,
10の利益
手形割引
銀行
銀行
甲さん
手形(100)
預金(90)
手形(100)
おカネ
手形(100)
商品(100)
乙さん
乙さん
預金200保有
手形の期日が
来たため,銀行
が乙さんへ手形
を提示した場合
預金
200→100
3
貨幣市場 : 銀行相互の資金の需要供給の場
中央銀行(イングランド銀行)
買い入れる
手形など
一般に「買いオペレーション(買いオペ)」という
現金
ビル・
ブローカ
A銀行
コール・ローン
コール・マネー
B銀行
コール市場(短期金融市場)
A銀行:資金不足
B銀行:資金余剰
資金不足>資金余剰・・・市場金利↑
資金不足<資金余剰・・・市場金利↓
市場が混乱する
通貨論争とピール条例
市場金利を安定
化させたい
4
ある時、BOEの経営ミスで預金準備としての保有していた金が枯渇するという事態が発生した
通貨論争 : 通貨学派と銀行学派の論争
この事態は、とりあえず、事なきを得たが、非常に重大な
問題であり、国で対応が協議された。
銀行学派
・ 経済が安定している時には,銀行券を「金」に交換しようとはしない。
・ 過剰になった銀行券は預金などにより銀行に戻ってくる。
銀行券の発行はイングランド銀行の自由に任せるべきである。
通貨学派
・ 経済が不安定になっていると,銀行券よりも「金」の方が安心できるの
で,交換が活発に行われるようになる。
・ 過剰に銀行券は発行されると,物価上昇を引き起こし,金が流出する。
銀行券の発行はイングランド銀行の保有する金量によって制限
されるべきである。
ピール条例 : イギリス首相のピールにより制定された条例。
この条例により,イングランド銀行は保証準備の一定額以上は,必ず正
貨準備を必要とされたので,通貨論争は「通貨学派」の勝利で終わった。
また,これによってイングランド銀行は「中央銀行」となり,資本主義的な
金融のしくみが確立した。
①
ドイツの銀行
ドイツ ・・・英国よりも産業革命が遅れた → 資本の蓄積が多くない
重工業化を進めた
交互計算業務
資金不足の場合
設備投資に多額の資金が必要
昔ながらの金貸資本
株式会社を設立
株式引受
市場
資金回収
ドイツの銀行
保有:含み益
自己資本↑
大量の資金を株式で調達できる
But
株式を引受け手がいない
経営権を持つ
(発言力をもつ・役員を派遣する)
大銀行が自らの資金で引受ける
* 貸借記とか相殺を、継続的、帳簿上の操作として一定期間続けることを「交互計算」という。貸借記や相殺は1取引ごとに
行うのに対して、「交互計算」は期間をおいて記帳していくことをいう。
②
ドイツやアメリカの工業力↑
イギリスの産業的な地位↓
国内産業の発展↓
発展途上国
(南米など)
国内の資金余剰
資本市場への進出
マーチャント・バンカーが活躍
M&Aなどの業務を中心に行う銀行マン
対外投資の二つの流れ
③
◎ 英国(フランス)などヨーロッパ列強
国内余剰資金
南北アメリカなど
国内
売買(利殖)目的の証券
産業力↑
* 金利やキャピタルゲイン
世界的な競争力を持つ
国内産業の競争力↓
◎ ドイツ
国内余剰資金
オーストリア
国内
トルコなど
資本として投資
(経営権取得目的)
ドイツの銀行・資本家の利益↑
国内にとっても発展に寄与→さらに拡大
第一次世界大戦へ
ドイツは列強との対立
限界効用理論
産業力↑
④
【注意】プリント内容を修正している。
効用水準
大
同じ1単位の増加において
1単位
*
A>B
A
1単位
B
小
量
少
多