岩手県平成 24 年度新しい公共の場づくりのためのモデル事業 アウトドアチャレンジ「岩手しぜんとあそぼキャンプ 2012in テンパーク秋編」 概 要 報 告 1 開催の趣旨 未曾有の大震災に見舞われた東北地方において, 成人以上に心の損傷を受けた子どもたち, 心の復興には長時間の対応が求められる。また,避難所生活や仮住まいの環境では必要以上 の我慢が強いられ「天真爛漫」を本望とする年代において,これほどつらい状況はないと容 易に察することができる。 そこで,岩手県被災地域の青少年が悲しみを乗り越える一助となるように,県内の諸団体 と協働して開催する「野外体験活動」を企画する。 2 事業の目的 東日本大震災被災地域の少年少女に対して,野外 体験活動を提供し,震災を乗り越える一助とする。 3 主催 アウトドアチャレンジ岩手県実行委員会 (構成団体)岩手県キャンプ協会,特定非営利 活動法人岩手県レクリエーション 協会,岩手県ネイチャーゲーム協会, グリーフケア研修 特定非営利活動法人盛岡YMCA, ガールスカウト岩手県連盟,日本ボーイスカウト岩手連盟 4 協力 国立岩手山青少年交流の家,公益財団法人ボーイスカウト日本連盟,ルーテル学院大学, 公益社団法人全国乗馬倶楽部振興協会,乗馬とアニマルセラピーを考える会,馬っこパー ク・いわて,盛岡天文同好会 5 後援 岩手県教育委員会,釜石市教育委員会,大槌町教育委員会 6 会場 国立岩手山青少年交流の家 「テンパーク」 〒020-0173 岩手県岩手郡滝沢村滝沢 字後292 7 日程 平成 24 年 11 月 3 日(土)~4 日(日) 1泊2日 8 参加費 2,000円 9 集散及び移動手段 開会行事での学生リーダーの紹介 釜石市内(11 箇所) ・大槌町内(3箇所) , 計 14 箇所の集散場所から会場まで,貸切バス 2 台にて送迎した。 10 参加者 学 校 名 大槌町立吉里吉里小学校 大槌町立大槌北小学校 大槌町立大槌小学校 釜石市立栗林小学校 釜石市立鵜住居小学校 釜石市立平田小学校 釜石市立釜石小学校 釜石市立双葉小学校 釜石市立小佐野小学校 釜石市立甲子小学校 学年 6年 5年 5年 5年 6年 4年 6年 5年 6年 5年 4年 6年 5年 4年 6年 5年 4年 合 計 学年別 学年 6年 5年 4年 合計 男子 0人 0人 0人 1人 0人 0人 1人 1人 3人 1人 0人 0人 0人 1人 1人 1人 3人 14 人 女子 4人 3人 1人 1人 2人 2人 0人 1人 2人 4人 5人 5人 4人 0人 1人 2人 3人 40 人 学校別計 4人 3人 1人 2人 男子 5人 4人 5人 14 人 女子 14 人 16 人 10 人 40 人 合計 19 人 20 人 15 人 54 人 備 考 4人 1人 2人 15 人 10 人 11 人 女子 1 人欠 54 人 備 考 女子 1 人欠 女子 1 人欠 11 プログラム (1)11 月 3 日(土) ①各自の集合場所に集合 貸し切りバス 2 台に分乗して会場まで移動 バスの中でレクリエーション(歌とゲーム) テーマソング(キャンプだホイ!)の練習 ②開会行事 アイスブレイク(簡単な集団つくりゲーム) 実行委員長の挨拶 国立岩手山青少年交流の家所長挨拶 グループリーダーの紹介と班の発表,仲間作り オリエンテーション,施設の使い方,ルール, マナー等の指導 レストランでの食事 ③グループでの話し合い,自己紹介,役割分担など ④グループごとの昼食(レストラン) ⑤焼き芋つくり サツマイモをぬれた新聞紙に包み, それを更にアルミホイルで包んでたき火に入れる。 一人 1 本。ネイチャーゲームの後,みんなでほおばる。ほくほく美味しく焼きあがった 黄金色のサツマイモ。 「美味しい!」食べながらの会話が一層仲間意識をつくりあげる。 ⑥ネイチャーゲーム カウボーイゲーム(動) :逃げた馬を捕まえに走 る子どもたち。雄大な自然の中を馬役の大学生リ ーダーたちを追いかけ,走り回る。存分に体を動 かし,エネルギーを発散させる。くたくたになり ながらも自ら馬役に挑戦する子どもたち。 動物あてゲーム(静) :ヒントをもとに動物の名 前をあてるゲーム。静かにイメージを膨らませ, カウボーイゲーム 動きは少ない が,一生懸命考えている子どもたち。 今までの体験や知識が生かされた。 ⑦グループ活動 昨年度の反省で, 「リーダーと触れ合う時間をもっと作りたい」という意見が多かった ので,導入したプログラム。子どもたちがグループリーダーと一緒に遊ぶ時間となっ た。それぞれのグループで場所を選び,遊びに興じた。 ⑧夕食(レストラン) ⑨星空観察会「夜空に未来を託して!!」 雲の切れ間から,次の星座や星団,惑 星の観察ができた。はくちょう座,こと 座,わし座の夏の大三角,天の川,カシ オペア座,ケフェウス座,木星 等 望遠鏡で観察した二重星や星団は,ど こまでも美しく感動のひとときとなった。 (2)11 月 4 日(日) ①朝のつどい おいしい焼き芋 ②朝食(レストラン) ③馬と遊ぼう 会場を馬っこパークに移し, 大きく 3 つのグループに分かれてローテーションを組み, 乗馬体験,動物とのふれあい,アウトドアチャレンジを実施した。 一人で馬に乗った子どもたち。それぞれ 満足げな表情が何とも言えず,アニマルセラピ ーの効果を感じた。おしゃべりの多い子や落ち 着きにやや欠ける子も一言も発せず,馬との対 話を楽しんでいるようだった。 ④アンケート記入 各種のアンケートに記入。 結果は別紙参照。 ⑤閉会行事 2日間の子どもたちの成長を評価し,次回の 「冬編」への参加を促して閉会とした。 乗馬を楽しむ子ども 12 スタッフ 別紙「運営組織図」参照 13 スタッフ研修 (1)11 月 3 日(土)10:00~10:40 グリーフケア研修:三浦小児科医に より,昨年度実施した「冬編」の 状況を紹介するとともに,スタッ フ及びグループリーダーとしての 心構えや留意事項等について講義 を受けた。 (2)11 月 3 日(土)22:00~23:30 馬っこパークにて スタッフ及びグループリーダー会議:本日の子どもたちやグループリーダー・スタッフの動 きに対して,ルーテル学院大学教授 加藤純 臨床心理士より助言と指導をいただいた。 その後,明日の指導方針を確認し,スタッフ・グループリーダーの動き方についての打ち 合わせを行った。 加藤教授の助言の中に, 「参加者(子どもたち)と学生リーダーの距離感」というお話が あった。それは,近からず・遠からずという適度な距離感でもって接することの大事さと いうことである。べったりと体をよせてくる子やおんぶをせがんでくる子に対しては,テ ーブルを挟んで話すなど,間に何かを入れる工夫をすること,何かの説明などの時には, グループからあまり離れずにそばにいてあげる等の対応をすることなどである。 この助言によって,翌日の学生リーダーの動きはすばらしいものになり,成果をあげる ことができた。 (3)11 月 4 日(日)13:00~14:30 スタッフ及びリーダー反省会:学生リーダーからの感想や意見, 学んだこと等の発表を受け, スタッフの反省及び「冬編」への見通しを話し合った。 引き馬は白いポニー 笑顔の乗馬体験 ポニーとのふれあい⇒ 馬っこパーク阿部さんの話 14 評価・反省 (1)子どもたちの成長と心のケア ①参加児童には,リピーターが 24 人(4割強)もいて,本事 業のよさが証明されているようで嬉しいことである。が,初日 は,全体的に甘えの姿が随所に見られ,おんぶしたがる子ども の多さに昨年度との違いを感じた。また,グループリーダーと のふれあいの時間には,度が過ぎたのか,けが人まで出てしま 交流の家到着 まい,三浦医師の診断・判断のもと,急遽病院へ搬送して診察 をしていただいた。レントゲン検査の結果,右手小指の骨折ということで,家庭への連絡と 事後の処置及び今後の相談という経過をたどり,現在その児童は,釜石で手術をし,回復ま で治療を余儀なくされている。お見舞い並びに保険の適用について進めているところである。 ②夜のスタッフ及びリーダー会議で,加藤教授より子どもたちへの接し方の指導を受けた。 2 日目は,リーダーの対応もよくなり,また子どもたちも落 ち着いて行動し,乗馬体験を存分に楽しむことができた。そ の他の行動もグループのまとまりがよくなり,すばらしい活 動となった。 ③子どもたちの心に寄り添いながらの指導であったが, 始めは必要以上に密着した感があり,助言によって,適度な グループでの話し合い 距離感をもって指導にあたったことが,子どもたちの心の成 長及び心のケアにつながったものと思われる。最後の別れで, 「冬編」での再会を約束する子どもたちの姿を見て,本当によい 2 日間の事業にすることが できたと実感した。 (2)グループリーダーの気づきと成長 ①大学生のリピーターは 2 人で,他は初体験であった。子どもたちの状況判断と指導の在り 方を加藤教授から教わり,目が開かれたように翌日の指導は的確であった。子どもをよく観 察して気づき,判断し,指導していくというプロセスを学んだ 学生たちであった。反省会の席で,ほとんどの学生が「冬編」 への参加を希望してくれたことは, 学生自身が今回の事業についての価値を見出したからであり, スタッフとしてもうれしいことである。 ②グループリーダーに対する事前研修会を設定できたら,更に ネイチャーゲーム 指導効果を期待できると思われるので検討したい。 (3)運営について ①全体進行については,サブキャンプディレクターに統一して 実施したため,大きな混乱は起きずスムーズに流れた。 ②プログラム編成は,大きな流れとして,時間に余裕を持たせ たプログラムにしたので,ゆとりがありよかった。また各分野 にわたっていて構成上もよかった。 ③各プログラム運営については,各団体のよさを生かすことが できるように,任せるところは任せたのでどのプログラムも団 体の責任の下で運営できてよかった。 馬との心の交流 ④アウトドアチャレンジ実行委員会の在り方については検討を要する。それは,都合つかず に欠席した団体があったからである。冬編の実施にあたっては,ぜひ協力を要請したい。構 成団体がそろい,受け入れ指導してこそ実行委員会と言えるからである。 ⑤予算執行関係は,県の予算措置を得られたものの,実際にはまだ振り込まれておらず,す べて立替払いでの運営となっているため事実上は苦しい。 ⑥貸し切りバスでの送迎と集散地域は,申込者の居住地に近いところで設定している。今後 対象地域を増やしていくとすれば,更に送迎費用が必要になるため,一考を要する。また, 思い切って,他地域(宮古や大船渡等)を検討した際,釜石・大槌地区はどうするかという ことが問題となってくる。それぞれの教育委員会から後援をしていただけるかという点も大 きい。 ⑦今回も国立岩手山青少年交流の家の協力が大きかった。交流の家では,準主催事業のよう に考えて取り組んでくれているのでありがたい。また,ルーテル学院大学の加藤教授には, お忙しいところ快く引き受けていただき,本事業に対応してくださった。心から感謝申し上 げたい。 アーチを作って見送り サブプログラムディレクターからの生活指導 <参考> アウトドアチャレンジ岩手県実行委員会 委員長 澤村 憲照 岩手県キャンプ協会理事長 副委員長 末永 正志 日本ボーイスカウト岩手連盟理事長 事務局長 横澤 繁 NPO法人岩手県レクリエーションョン協会理事長 委 員 濱塚 有志 NPO法人盛岡YMCA総主事 委 員 千葉 伸子 岩手県立陸中海岸青少年の家研修班長 委 員 鈴木 和彦 国立岩手山青少年交流の家企画指導専門職 委 員 田口 康宏 国立岩手山青少年交流の家事業推進係 委 員 沼宮内拓哉 日本ボーイスカウト岩手連盟元事務局長 委 員 中橋 邦 ボーイスカウト日本連盟地域貢献委員会副委員長 委 員 平井ふみ子 ガールスカウト岩手県連盟理事長 委 員 箱﨑 明美 岩手県ネイチャーゲーム協会理事長
© Copyright 2024 Paperzz