妊娠絨毛性腫瘍

妊娠絨毛性腫瘍
※UICC における、妊娠絨毛性腫瘍の所属リンパ節
UICC TNM 分類では N 分類を用いない。
1.UICC(第 6 版)
本分類は絨毛癌(9100/3)、侵入奇胎(9100/1)、胎盤部トロホブラスト腫瘍(9104/1)に適用する。(後の 2 者はがん
登録対象外)胎盤部トロホブラスト腫瘍は別途に報告する。ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)レベルが異常高値を示す
場合には、組織学的確証は必要としない。
T 分類
TX
T0
T1
T2
原発腫瘍の評価が不可能
原発腫瘍を認めない
子宮に限局する腫瘍
他の性器、すなわち膣、卵巣、広間膜、卵管に転移または直接進展する腫瘍
N 分類
妊娠絨毛性疾患では N-所属リンパ節分類は用いない。
M 分類
MX
M0
M1
遠隔転移の評価が不可能
遠隔転移なし
遠隔転移あり
M1a
肺転移
M1b
肺転移があるかないかに関係なく、他の遠隔転移
注:性器(膣、卵巣、広間膜、卵管)への転移は T2 に分類する。直接浸潤、または転移のいずれであっても、すべての
非性器への進展には M 分類を適用する。
予後予測スコア
予後因子
年齢
前回妊娠
無妊娠期間
(月数)
治療前血清
hCG レベル
(IU/ml)
子宮を含む最大
腫瘍の大きさ
転移部位
転移数
0
40 歳未満
胞状奇胎
1
40 歳以上
流産
正期産
<4
4~<7
7~12
12<
<103
103~<104
104~<105
105≦
<3cm
肺
3cm~
<5cm
脾,腎
1~4
既往療法歴
リスク分類
予後予測スコアの合計が 7 以下=低リスク
予後予測スコアの合計が 8 以上=高リスク
2
4
5cm≦
消化管
5~8
単剤
肝,脳
8<
2 種類以上
の薬剤
Stage
T1
T2
M1a
M1b
リスク分類
Stage
不明
Ⅰ
低
ⅠA
高
ⅠB
不明
Ⅱ
低
ⅡA
高
ⅡB
不明
Ⅲ
低
ⅢA
高
ⅢB
不明
Ⅳ
低
ⅣA
高
ⅣB
2.進展度(臨床進行度)
M0
T1
M1a
M1b
限局
遠隔転移
T2
隣接臓器浸潤
3.FIGO 分類
Ⅰ期
子宮に限局する腫瘍
Ⅱ期
他の性器、すなわち膣、卵巣、広間膜、卵管に転移または直接進展する腫瘍
Ⅲ期
肺転移
Ⅳ期
肺転移があるかないかに関係なく、他の遠隔転移
※Ⅰ期からⅣ期までは、予後予測スコアに基づき、A(低リスク)および B(高リスク)に亜分類する。
4.取扱い規約 (絨毛性疾患取扱い規約 1995 年【第 2 版】)
Ⅰ期
子宮に限局するもの。
ⅠA
リスク因子 0
ⅠB
リスク因子 1
ⅠC
リスク因子 2
Ⅱ期
子宮をこえて広がるが性器(付属器,膣,広間膜)に限局するもの。
ⅡA
リスク因子 0
ⅡB
リスク因子 1
ⅡC
リスク因子 2
Ⅲ期
肺に病巣を認めるもの,性器病巣の有無は問わない。
ⅢA
リスク因子 0
ⅢB
リスク因子 1
ⅢC
リスク因子 2
Ⅳ期
肺以外の臓器の転移病巣を認めるもの。
ⅣA
リスク因子 0
ⅣB
リスク因子 1
ⅣC
リスク因子 2
リスク因子とは
1. hCG 値が 100,000mIU/ml 以上。
2. 先行妊娠から 6 ヶ月以上経過していること。
次の事項はよく調べてレポートに記すこと
1. 既往の化学療法。
2. 胎盤付着部は別記する。
3. 組織学的診断は必ずしも要しない。