膵臓がん 胆嚢がん・肝外胆管がん

膵臓がん
胆嚢がん・肝外胆管がん
死亡数・率:(厚生省「人口動態統計1994年)
男性8294人(13.6)
女性6696人(10.6)
増加傾向にある。
リスク因子:
加齢(40歳から増え始め、60歳前後がピーク)。喫
煙。慢性膵炎、糖尿病、硬変もリスク困子であるこ
ともある。伝統的に脂肪を多くとる食文化の国では
罹患率は高い。膵臓がんは白人よりも黒人で多く見
られ、死亡率は黒人女性でわずかに高い。男性の発
生率が高く、女性の約1.3倍。欧米に多く、アジア
に少ない。
注意すべき兆候:
膵臓がんは進行するまで、通常、兆候はない。黄疸、
腹部、背中の痛み(末期)、体重の激減。
発見と診断:
生検
進行中の研究:膵臓がんの早期発見のための超音波
造影(胃の裏にあるので、描出が難しい)およびCT
スキャン、MRIやERCP検査。
現在の治療法:
小さくなく、また膵臓に限定されていない膵臓がん
は治療が難しい。
転移のない膵臓がんの場合は、手術、放射線照射、
および標準的な抗がん剤を用いることができるが、
通常は診断が遅すぎてこれらの方法を採用できない。
膵臓がんの痛みを軽減するためには、放射線療法、
外科的方法による胆管開通、および神経ブロックが
有効である。
進行中の研究:オクトレオタイドは、数人の患者で
膵臓がんを安定化した生物学的製剤。クオリ
ティー・オブ・ライフ(生命・生活の質、QOL)を
改善する可能性のある新しい手術法。放射線照射に
対するがんの感受性を高める薬剤。さまざまな生物
学的療法、および新抗がん剤。
論争点:
多くの患者に対する化学療法の価値には疑問がある
が、注意深く選んだ患者においては、少なくとも1
例ではQOLを顕著に損なうことなく延命できた。
その他:
腫瘍が2cm以下で膵臓頭部(腸と胆管で結びついて
いる膵臓端)に限定されているときは、手術により
5年生存は20%となる。
腫瘍マーカーとしては、CA19.9、SLXがある。
膵臓がん
ステージ
5生率(%)
Ⅰ
Ⅱ
腫瘍径2cm以下
腫瘍径2∼4cmでリンパ節転移あり
28
23
Ⅲ
膵被膜、門脈、動脈、十二指腸への浸潤が
疑われ、リンパ節転移あり
0
Ⅳ
膵被膜、門脈、動脈、十二指腸への浸潤が
0
明らかで、リンパ節転移または遠隔転移あ
り
現在でも早期診断の難しいがんで、進行が早く肝転移が高率のため予後
は不良である.
死亡数、率:(厚生省「人口動態統計1994年)
男性5924人(9.7)
女性7601人(12.0)
リスク因子:
胆のうがんの患者は胆石を合併していることが多い
(約60%)ため、胆石が発がんにかかわっていると
考えられている(ただし、胆石症の患者が胆のうが
んになる確率は5%程度)。胆のうがんは日本では
60歳代に多く、女性の方が多い。
注意すべき兆候:
胆のうがんでは上腹部や右の肋骨の下の鈍痛、黄疸、
右の肋骨の下にしこり。ただし、初期には症状が出
ないことが多い。胆管がんでは、黄疽、便の色が白っ
ぼくなる、尿の色が茶色っぽくなる、かゆみ。
発見と診断:
超音波検査。肝機能を調べる血液検査(血清ビリル
ビンやALPの異常な高値)。CTやMRI(磁気共鳴撮
影法)などの画像診断。腫瘍マーカーのCEAや
CA19.9値の高くなる。
現在の治療法:
手術。胆のうがんも胆管がんも、隣接するほかの臓
器を一緒に切らなければならない場合が多い。病期
が進んでいる場合には、放射線療法や化学療法を併
用するが、手術ができない場合にはこの2つの療法
を単独でするか、組み合わせる。
胆嚢がん
ステージ
5生率(%)
Ⅰ
Ⅱ
がんが胆嚢の漿膜面に出ていない
がんが胆嚢の漿膜面にようやく出ている.
83
49
Ⅲ
がんが胆嚢の漿膜面に明らかに出ている.
リンパ節転移あり. 肝や胆管への直接浸潤
がある
29
Ⅳ
がんが他臓器に浸潤している. リンパ節転
転移あり. 肝や胆管への直接浸潤がある. 肝
や腹膜への転移がある
7
リンパ節転移あり
ステージⅢ∼Ⅳの進行がんで発見される例が80%程度を占めているため予
後不良ながんである.