光が生み出す多様な風 景 オカムラデザインスペース R 第 13 回企画展 「 雲の椅子の紙の森 」 OKAMURA design space R #13“ Cloudy Paper Chairs Forest ” Designer Sou Fujimoto / Sou Fujimoto Architecture + Hirohito Totsune/ SIRIUS LIGHTING OFFICE 企画/岡村製作所 デザイン/藤本壮介建築設計事務所 藤本壮介 SIRIUS LIGHTING OFFICE 戸恒浩人 会場/オカムラガーデンコートショールーム( 東京・紀尾井町 ) 協力/コイズミ照明 レイオス/ヘルパージャパン 会期/ 2015 年 7 月 14 日∼ 31 日 撮影/高木康広 雲をモチーフとした 20 脚のイスがランダム に展示された会場内は、重ね 切り取り 透 け つながり を軸にしたライティングにより、 緩やかに仕切られた空間性を感じさせる 104 Commercial Space Lighting [ LIGHT INSTALLATION ] 建築と家具の間 形状でありながら、設置する方向や照明の当て 方を変えることで、 まるでそれぞれに表情を持っ 淡を刻々と変化させていく。会場内は、まるで 真っ白な空間に、スチールと厚さ1 ㎜の和紙で ているかのように見える。また、高さ1388 ㎜か 晴れた日の地面に雲の影が移ろうように見える。 制作されたイスが並ぶ。 イスおよびその影は、刻々 ら1944 ㎜の 5 パターンを持つイスの背により、 戸恒さんは、 「光そのものには遠近感が無いので、 と変化する LED のライティングにより、多様 緩やかに仕切られた空間性を感じさせる。 この展示では奥行きを感じさせるための光をど 合う様子や、床に落ちる影の大きさ、形状、濃 な表情を見せる。建築家の藤本壮介さんと照 「家具を主役としながらも、ただ外から眺めた 明デザイナーの戸恒浩人さんによるインスタ り座り心地を感じるだけの展示ではなく、人が 今回の協働について、藤本さんは「一つの形態 レーション「雲の椅子の紙の森」が、 「オカムラ 内部に入ることでインタラクティブな関係を生 で統一感を保ちながら、光を通して多様性のあ ガーデンコートショールーム」で展示された。藤 み出すことのできる建築的な空間構成に導きま る展示となりました。建築と家具の間のような、 本さんは、 「設計活動のテーマとして掲げる 建 した。立ったり座ったりという人の根源的な動 紙だけれども森のような、人工物であるが自然 築と家具 自然と人工 屋外と屋内 といった、 きだけで、イスや影の重なり具合や曲線の連な らしい、きわめて建築的な場をつくることがで うつくるかを意識しました」と話す。 生活環境を取り巻く根源的かつ相反的な事象 りが変わっていきます」 (藤本さん) きたと思います」と言う。また、戸恒さんは「藤 を組み合わせ、連続的に捉えたものをインスタ そして、戸恒さんがプログラミングしたライティ 本さんとのやり取りによって、要所要所で光を レーションという形で表現することを試みました」 ングパターンは、モノトーンの世界にさまざま しっかり当てつつも、ある場面では柔らかい光 と話す。 な印象を演出する。 重ね 切り取り 透け つ もあるという会場に仕上げることができました」 雲をモチーフとしたイスは、座面がすべて同じ ながり を軸にした光の演出は、イスの重なり と振り返る。 〈文/編集部〉 Commercial Space Lighting [ LIGHT INSTALLATION ] 105
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