犯罪の被害・加害防止のための対人関係能力育成プログラム開発

プロジェクト便り
2010.10
●犯罪の被害・加害防止のための対人関係能力育成プログラム開発
子どもたちの心を育む学習プログラムが、
犯罪や事件から子どもたちを守ってくれる
対人関係能力を育むことで、
犯罪の危険から身を守る
都市が発達するに伴い、人間関係が希薄
になったと言われるようになりました。
このような状況の中で、多くの子どもた
ちが人間関係に悩みを抱えています。
ちょっとした感情の歪みをうまくコン
トロールできなかったために起きてし
まう犯罪や事件。それらを防ぐにはどう
すればいいのでしょうか。対人関係能力
写真左から、九州大学大学院教授の箱田裕司さん、福岡教育大学大学院教
授の小泉令三さん、福岡大学講師の大上渉さん
を育むことで、犯罪の被害者や加害者になる危険からの予防を試みるプロジェクトチームのみ
なさんにお話を伺いました。
プロジェクトの概要
犯罪の被害者にも加害者にもならないためには、他
研究期間:平成21年∼平成24年
者の気持ちを理解し、自分の気持ちをコントロール
実施体制:SEL学習プログラム研究グループ
する能力が必要です。プロジェクトチームが手がけ
(プロジェクト代表者 小泉 令三 他)
る「社会性と情動の学習プログラム(Social and Emo-
測定技法研究グループ
tion
(代表者 箱田 裕司 他)
Learning ※以下SEL)」は、対人関係能力と自
尊感情を育むことで子どもたちを守る予防的な教育
非行少年研究グループ
システム。小・中学校などとの連携により開発、実施
(代表者 大上 渉 他)
することで、SELの発展と普及に努めています。
スマートな現代社会のシステムの中、問題に対処できなくなる子どもが増えている
プロジェクト代表者:SEL 学習プログラム研究グループ 小泉 令三 福岡教育大学大学院・教育学研究科 教授
私は長らく福岡教育大学の学部と大学院で生徒指導や教育相談を担当し、"どうすれば子どもは楽しく
学校生活を送れるのか"をテーマに研究をしてきました。研究の中で感じたのは、昔に比べて子どもたち
の様子が変化したことです。小・中学校の先生方に話を聞いても、みな同じように感じているようです。私
の印象では、子どもたちの社会性が低下し、人と関わる力が弱まったように思えました。このことに危機
意識を持ち、犯罪からの子どもの安全という問題に関与することとなりました。
現代社会では人と関わらずに日常生活を送ることが可能です。買い物を例に考えると、買い物カゴに必
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要な商品を入れてレジで会計を済ませ店を出るまで、店員さんとひと言も会話をしなくても問題が起き
ません。私が小さかった頃は、店員さんにきちんと伝えなければほしい品物を買うことができませんでし
た。現代のシステムは確かにスマートです。しかし、人との触れ合いを避けるうちに、子どもたちは人との
関わり方がよくわからなくなってしまったのではないでしょうか。そしていざ問題が立ちはだかったと
きに、うまく対処できなくなっているように思えるのです。また、そうした状況の中、自尊心も失われたよ
うに感じています。
■客観的に自分を見つめる訓練で、自尊心が芽生えてくる
SELは、子どもたちの対人関係能力と自尊感情の育成という問題について私が研究、開発している学習
プログラムの総称です。SELの日本訳は、"社会性と情動の学習"となります。科学的なアプローチで子ども
たちの心に働きかけるこのSELは、すでに海外で研究や様々な学習プログラムの開発が進んでいます。私
たちのプロジェクトが開発を目指すSEL学習プログラムの一つであるSEL-8S(Social and Emotional of
8 abilities at the school)は、犯罪予防や防犯につながる側面を強化して、日本用に改善しようという
ものです。このプロジェクトでは、内容を、SEL学習プログラム研究、測定技法研究、非行少年研究に大別
し、3つのグループで進めています。私の担当はSEL学習プログラム研究で、実際の教育現場にSEL学習プ
ログラム(SEL-8S)を実施していただいて、効果の測定を行っています。
私たちの開発するSEL学習プログラム(SEL-8S)がどのような形で教育現場に取り込まれているかと言
いますと、たとえば最近、中学校でワクワクワークなどの職場体験が行われていますが、そのようなとき
に、SEL-8Sの一つである自己紹介の練習を取り入れていただくのです。子どもに限らず、日本人はみんな
自己紹介が上手ではありません。しかし、自己紹介は改めて自分を見つめる機会をつくります。客観的な
視点で自分を見つめて、いいところを探す…。これは、何か機会がないとあまりやらないことです。そして、
子どもたちは自分のよさに気づいていない場合がよくあるのですね。SEL-8Sでは、そういった訓練を繰り
返す中で、自分に気づき、自尊心の芽生えを促すのです。このような自尊心の芽生えが犯罪の加害者にな
ること、そして被害者になることから身を守ってくれるようになるのです。
■落ち着く術を知っていれば、凶行は起こらなかった
また、心の信号機というプログラムもあります。これは、自分の感情をコントロールすることで対人関
係能力を育むプログラムです。たとえば、カッとなって頭に血が上ることって誰にでもありますよね。こ
のときの状況は信号機で言えば赤信号。赤は"止まれ"ですから、いったん冷静になる必要がある段階です。
この考え方を理解させれば、子どもなりに深呼吸をするなど気持ちを落ち着かせることができます。大人
も会議がヒートアップしすぎたら休憩を入れることがあると思います。その後、会議を再開させると思い
の外うまくいくことがありますよね。子どもが起こす事件には、後先を考えていないものが少なくありま
せん。授業中、突然ナイフを振りかざすような子どもが、時間を置いて冷静になると、"大変なことをした"
と事の重大さに気づくことも。つまり、冷静に考えることができれば凶行におよばなかったかもしれない
わけです。
ただ、たとえ怒りの感情であっても、すべて抑え込めばいいというわけでもありません。喜怒哀楽は人
が生きるうえで重要な感情ですからね。要するに、怒りが湧いてきたときにも、自分自身を見極め、感情を
コントロールしたうえで上手に表現することが重要であり、私たちが作成するSEL-8Sは、その見定めがで
きるようになるための学習プログラムなのです。
■目に見えづらい予防効果を、科学的データとして蓄積
プロジェクト代表者として、プロジェクトを進めるなかで感じている課題が二つあります。まず一つ目
は、成果を数値として捉えるのが難しいことです。私たちが取組んでいるSEL-8Sは、取り入れてすぐに効
果がでるものではありません。何度も繰り返すうちに、自尊心が芽生え、対人能力も向上します。また、予
防できたはずの犯罪や事件の数は、そもそも測定が難しいんですね。犯罪や事件の件数が減ったとしても、
SEL-8Sが及ぼす以外の要因も考えられるためです。しかし、SEL-8Sを実践した小・中学校からは、その効果
を実感する声が聞こえてきます。調査した内容を定期的にきちんと測定して、科学的データとして残して
いくことが重要になるでしょうね。また、SEL学習プログラムを受けた子どもは、高校生になっても問題を
起こすことが少ない、という結果が海外で報告されています。日本でもSEL-8Sを学んだ子どもが、その後
どのように成長していくのかは、継続的に観測していく必要があると感じています。
二つ目の課題は導入先の学校を確保することです。SEL-8Sは義務教育の全課程、15歳までをターゲット
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にしているのですが、まだ導入先は少なく、小学校、中学校と連続して実践できるところがほとんどあり
ません。学校の先生方は忙しいので、SEL-8Sを導入していただく時間がないのです。このネットワークづ
くりに関しては、ねばり強く交渉していく必要があります。先生方から理解を得るためにも、科学的デー
タとして効果を蓄積することが重要ですね。
■SEL学習プログラムの普及により、犯罪や事件の件数を減らしたい
今後の展望として、SEL-8Sのノウハウを、広く、正確に伝えるにはどうすればいいかということを考え
ています。多くの学校に導入していただくには、まず、誰が見てもわかりやすいマニュアルにまとめる必
要があるでしょう。書籍にまとめて出版することで普及させることも考えています。また、SEL学習プログ
ラムには、ロールプレイの手法を使った難易度の高い学習方法などもありますので、そこをうまく伝える
難しさも感じています。ロールプレイは、正しく取り組まないと、しっかりとした効果が期待できないん
です。このあたりは、研究と実践を繰り返す中で、糸口を発見したいと思っています。
アメリカの事例では、SEL学習プログラムを活用した取り組みから犯罪や事件の件数が少なくなり、結
果として街の警官の数を減らすことができたという報告もあります。日本でも、SEL学習プログラムを広
く定着させることで、犯罪や事件が減ることを期待しています。
研究のスタートは"人間の頭のよさに対する興味"でした
測定技法研究グループ 箱田 裕司 九州大学大学院・人間環境学研究院 教授
私がこのプロジェクトに関わるようになった原点は、人間の頭のよさに対する興味です。1996年、ダニ
エル・ゴールマンの
『EQ 心の知能指数』
という本が出版されて話題となりました。
頭のよさを示すIQ
(Intelligence Quotient)は遺伝的に大きな影響を受けることが一般に知られていますが、他者や自分の感情
を理解したり、コントロールしたり、自分自身を動機づける能力であるEQ(Emotional Intelligence Quotient)は後天的に発達させることができる能力です。IQを「考える知性」とすると、EQは「感じる知性」と言
えるもので、社会での成功に結び付くのはEQであると、その本には記されています。EQに関してはさまざ
まな議論も行われました。そのような中で、"IQとEQが示す頭のよさとはなんだろう…"、という興味が芽
生えたのです。それから私は、EI(Emotional Intelligence/情動的知能)
の研究をスタートさせることに
なりました。
日本人の文化には、もともと気配りや心配りの精神が存在します。そのため相手の感情や表情に気づく
EIは、諸外国の人々よりも高いのではないかと推察できます。しかし、最近、子どもたちが起こす事件を見
ていると、どうもその文化が崩れてきたように感じられます。人の感情や表情が読めず、自分の感情のコ
ントロールも難しくなり、ついついキレてしまう……。このプロジェクトにおいて私が研究しているEIの
測定テストは、そんな状況に明確な指針を与えたいという想いからはじまっています。
■質問紙を使った多様なテストから情動的知能を測定
EIの測定テストには、まずは従来の研究に従って、質問紙を使用しています。これまで質問紙によるテ
ストはいくつか開発されています。それらの項目を小学生にも理解できるように改め、小学生を対象にし
た予備調査を行い、質問項目を整理。①他者感情の認知・共感性、②自己感情の表現・自己主張性、③自己感
情のコントロールの3側面を測るものを作っています。
次に、もっと客観的に情動的知能を測るテストとして、見る人に感情的な影響が生じるような場面を描
いた絵を制作しました。たとえば、A子ちゃんからB男くんがノートを取り上げようとしているイラストが
あります。A子ちゃんの隣には、友だちのC子ちゃんも描かれています。そして、子どもたちに「C子ちゃんの
いまの気持ちは?」と問いかけます。よくある回答は、
「A子ちゃんがかわいそう」
「B男くんは許せない」と
いったものです。ほかに「B男くんになにも言えない自分が悔しい」といった意見もあります。後者は、一歩
進んだ反応だと思っていいでしょう。このような方法で他者の感情を理解する力を調べています。
また、別のテストでは喜怒哀楽のさまざまな表情の写真を見せて、写真の人物の感情について答えても
らい、できるだけ早く正確にそれを認識する能力を測定します。先行研究では、同じ1人の大人を使った
表情の変化や、さまざまな大人の表情を用いて測定を行っていましたが、子どもたちが日常接する同世代
の子どもたちの表情写真を使ったテストを開発できないか、検討を進めています。
さらに危険認知のテストなども行っています。たとえば、十字路の写真を見せて、
「どんな危険が潜んで
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いると思う?」と質問します。実は十字路のそばには、サングラスとマスクをした怪しい人物が写ってい
ます。怪しげな人物に対して子どもがどのように反応するか見ようというものです。危険が十分に認識で
きるようになれば、その分、事件などの被害に巻き込まれることも少なくなるはずです。実際には、このテ
ストには難しい問題も絡んできます。学校では"積極的に挨拶しよう!"と、挨拶運動なども行われていま
す。知らない人が挨拶をしてきたら、どうすればいいか、判断に迷うところもあるでしょう。
このように対人能力を、主観的、客観的に測定するテストをさまざまな角度から行い、その結果の組み
合わせから、情動的知能のさまざまな側面を測定し、危険認知能力との関連性なども調べています。
■犯罪を未然に防ぐ研究に、これからも力を尽くしていきたい
EIの測定テストは、小泉さんのSEL学習プログラムと組み合わせて実施しています。私が最初に質問紙
で調査を行い、その後、小泉さんのSEL学習プログラムを実施、再び質問紙の調査を行うことでSEL学習プ
ログラムの効果測定を行うのです。この調査によって、SEL学習プログラムが、自分や他者の感情の客観的
理解や、危険認知能力の向上に役立つことが実証されつつあります。
課題は、質問紙で集めたデータの評価方法です
ね。小泉さんの協力があって、子ども約3000人か
らの回答を集めることができたのですが、自由回
答となっている箇所もあり、回答をいかに分類し、
得点化するかは難しいところです。しかし、今回
のプロジェクトを通じて、すでに有益なデータを
集めることができています。それは、子どもたち
の喜怒哀楽の表情を撮影した膨大な写真をデー
タとして蓄積できたこと。これは日本はもとより
海外にも存在しないデータだと思います。これは
かなり貴重なものですね。
このプロジェクトの最終的な目標は、取り組ん
でいる研究の成果が社会で活用・実装されること
定期的にプロジェクト実施者や関係者が集まり、意見の交換な
です。社会実装の形はさまざまあると思うのです
ども行われている
が、私たちのグループの場合ですと、研究や実践
の方法論、研究で使用した表情のデータなどが広く普及し、活用されることでしょうね。このように、子ど
もたちの情動的知能を分析し、犯罪を未然に防ぐための研究に、これからも力を尽くしていきたいと思っ
ています。
この間まで『科捜研の男』でした
非行少年研究グループ 大上 渉 福岡大学・人文学部文化学科 講師
2009年4月から福岡大学の人文学部で心理学の教員をさせていただいています。それまでは警察の科学
捜査研究所(科捜研)に勤務していました。科捜研には10年勤務して、ポリグラフ検査、俗に言うウソ発見
機を使った検査を担当していました。ほかに、筆跡や偽造文書などの文書鑑定なども担当しており、常に
容疑者を疑うような立ち場にいました。
■少年たちはきっと立ち直るという信念を持った取り組み
このプロジェクトでの私の担当は、非行少年の研究です。子どもたちの犯罪被害・加害の防止において、
「一線を越えてしまった子どもたちの情動面や思考面が知りたい」と、箱田さんに声をかけていただき、参
加することになりました。
これまで、ずっと犯罪に関わる仕事をしてきたわけですが、このプロジェクトに参加して、犯罪にもさ
まざまなアプローチがあると、改めて感じました。これまでの容疑者を疑うような立ち場から、視点が教
育へと変化し、犯罪・非行の矯正教育を研究することになったのですからね。実際に、少年鑑別所の方など
にお会いして話をうかがうと、担当者の方はみな、
「少年たちはきっと立ち直ることができる」という信念
を持っています。そのような気持ちに、心打たれることもありますね。
私の研究も小泉さんや箱田さんと同じように、研究、開発したプログラムを現場で実践して効果を測る
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ことが目的です。開発を目指すのは、小泉さんが開発したSEL学習プログラムにアレンジを加えたSEL-D学
習プログラムです。SEL-DのDは、Delinquency(非行)の頭文字。つまり、
「非行少年のための再犯防止学習プ
ログラム」という感じでしょうか。現時点では、さまざまな文献を紐解きながら、SEL-D学習プログラムの
完成を目指しているところです。非行少年たちは、一般の子どもたちに比べて、言語を理解したり、操る能
力が脆弱であることが知られています。ですから、単純に小泉さんのSEL学習プログラムを取り入れるの
ではなく、イラストなどの視覚教材や身体を動かしてスキルをみにつけるエクササイズを多用するなど、
彼らにも取り組みやすいプログラムをつくっていく必要を感じています。 実施先として児童自立支援施
設を予定していますが、協力先を探すのもひと苦労ですね。ようやく協力していただける児童自立支援施
設が見つかったので、ますます気を引き締めてかかりたいと思います。
■施設の子どもたちに望まれる学習プログラムに育てたい
従来、非行少年の矯正・教育施設では、主に生活指導や職業訓練などで立ち直らせようとしてきました。
しかし、いざ社会に戻ってみても、仕事先で上司や先輩に叱られたときに感情にのまれて殴ってしまうな
どの問題を起こす子どももいます。SEL-D学習プログラムで目指すような、認知・行動面のみならず、感情
を育んだり、情動をコントロールしたりするといったアプローチは、矯正・教育機関などにはまだ十分に
浸透していないと言えるでしょうね。また、SEL-D学習プログラムもSEL学習プログラムと同じように、実
績の積み上げや科学的な考察を行いたいと思っています。このような科学的な視点は矯正・教育の分野に
おいても、これからますます必要とされているところですので、SEL-D学習プログラムが理解され、導入さ
れていく中で、これまでとは違った貢献をしたいと思っています。
将来的には、まずSEL-D学習プログラムでしっかりとした実績をつくることが目標です。ゆくゆくは更
生を希望する子どもたちが自ら主体的に「SEL-Dをやってみたい」と言ってくれたらうれしいですね。非行
少年の矯正・教育施設とネットワークを作ることは、小泉さんや箱田さんが取り組む小・中学校とのネッ
トワークづくりより、さらにハードルが高いと感じています。しかし、さまざまな施設と情報交換をしな
がら、着実に成果を積み上げていきたいと思います。
PROFILE
小泉 令三
箱田 裕司
Koizumi Reizou
Hakoda Yuji
福井県出身。広島大学大学院教育
学研究科博士課程前期修了。学位
は博士(心理学)。現在は、福岡
教育大学の教授として、教育心理学、
学校心理学、生徒指導などを研究。
日本教育心理学会の理事も務めて
いる。
九州大学大学院文学研究科博士課
程心理学専攻単位取得満期退学。
九州大学で助手、千葉大学で講師、
助教授として活動後、1993年から
九州大学教授へ。専門分野は認知
心理学。日本認知心理学会の理事
長なども務めている。
大上 渉
Oue Wataru
九州大学大学院文学研究科心理学
専攻修士課程修了。1999年4月∼
09年3月は、佐賀県警察本部刑事
部科学捜査研究所研究員として勤務。
2007年9月に、日本心理学会で優
秀論文賞を受賞。現在は、福岡大
学にて教鞭を執る。
取材を終えて
人間関係の悩みは子どもだけのものではない。地域社会における人間関係の希薄さも、むしろ感
じているのは大人のほうかもしれない。子どもたちが犯罪の被害者や加害者にならないために、
私たち大人が手本となって取り組める身近なことがもっとあるような気がした。
文・井上 晶夫
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