技術資料 ポテンショメータについて 回転系 Green Potについて ■概 要 回転系 回転系 6.中間タップの影響 Green Potも巻線形と同じように中間タップを設ける ことができますが、巻線形のように任意の位置に簡単に 引き出しリードを溶接することはできません。 コンダクティブ・プラスチック素子は、抵抗部、ターミ ナル、タップが一体成形のため中間タップ1個を設ける 場合でも専用の治具と型を用意して全工程を別途に経由 させなければなりません。また、中間タップの引き出し ターミナルは、角度的にある幅を持っていますが、接点 のしゅう動位置をずらしたり、タップの形状を変えるこ とによりこの幅は電気的にほとんどゼロにすることもで きます。この場合には引き出し抵抗が大きくなるという 特性があります。 Aタップ:中間タップの引き出し抵抗が大きい (ただし短絡幅はない) Bタップ:中間タップの引き出し抵抗が小さい (ただし短絡幅が1° ∼5° 位ある) Green Potは、コンダクティブ・プラスチック(導電性樹 脂)抵抗素子を用いた、当社の接触形ポテンショメータを 総称します。 コンダクティブ・プラスチック抵抗素子は、精製された炭 素系充填剤をプラスチック材の表面の厚膜抵抗として圧縮 加熱した一体成形の素子で、しゅう動面は鏡面に近いフラ ット性を有したものと、炭素皮膜を印刷したものがありま す。 このしゅう動トラックに、貴金属合金のマルチ接点をコン タクトさせて精密ポテンショメータとしての性能をもたせ てあります。 これらの製品は本体もしくはラベルを緑色にして、Green Potの識別としています。 ■特 長 回転系 1.一体成形のため機械的に安定 当社のコンダクティブ・プラスチック抵抗素子は、ベー ス材料と抵抗体、引出しターミナルまで一体に成形され ているため、この間の機械的不安定さがなく振動、衝撃 などに対し一段と優れています。 7.高周波特性が優れる 抵抗体が一体に成形されているGreen Potは、巻線形ポ テンショメータに比べてインダクタンスが非常に小さい ため、100kHz以下の周波数では位相角の変化はなく安 定した出力が得られます。 技術資料 2.分解能 巻線形のポテンショメータでは、しゅう動接点に対する 出力電圧の変化は階段上になるのに対し、コンダクティ ブ・プラスチック抵抗素子は、1μm以下のカーボン粒 子が表面上に分散しているため分解能は実用上無限小で す。 8.アウトガスが少ない 宇宙空間のような高真空な状態では、プラスチック等か らガスが発生し他の電子機器に悪影響を与える場合があ ります。当社のコンダクティブ・プラスチック抵抗素子 は、宇宙空間においてもアウトガスの発生が少なく、人 工衛星などにも使用されています。 回転系 3.長寿命 コンダクティブ・プラスチック抵抗素子の表面は、一様 な鏡面に近い平滑面なので、抵抗素子の表面としゅう動 8 接点の摩耗が少なく、使い方によっては10 回転まで耐 えることができます。 9.高速応答性 Green Potは鏡面に近い平滑面とマルチ接点の採用に より、最大で3m/s、連続で1m/sのスピードまで使用 できます。(CPP-45の回転速度に換算すると最大で 2000rpm、連続で600rpmとなります) 回転系 4.接触抵抗が安定 Green Potには、抵抗素子としゅう動接点の間に定量 的な接触抵抗が存在します。このため可変抵抗器として 使う用途には不向きですが、ポテンショメータとしてし ゅう動接点に微小の電流しか流れない場合はまったく問 題ありません。また、しゅう動接点はマルチ接点を使用 し接触の安定性をはかっています。 回転系 5.温度の影響 Green Potの一般特性のうちコンダクティブ・プラス チック素子の抵抗温度特性は、巻線形に比べて大きくな り、±400ppm/Kと±1000ppm/Kの2種類があり ます。したがって可変抵抗器として使用する場合は、こ の影響が直接出ますが、ポテンショメータとして使用す る場合にはほとんど影響はありません。 -94- 技術資料 ポテンショメータについて 回転系 Green Pot ■しゅう動方式 回転系 Green Potのしゅう動方式は、機種によって多少異なり ますが基本的には下記の方式を採用しています。 1・回転形 抵抗部:8∼12本の貴金属合金製マルチ接点を用いた方式 コレクタ部:貴金属合金のスリップリングから、2本の貴 金属合金製双バネで引出す方式。 抵抗 回転系 しゅう動接点 スリップリング ③端子 マルチ接点 ②端子 コンダクティブ プラスチック素子 回転系 双バネ 図-1:回転形の内部構造例(CPP-45) 技術資料 2・直線形 抵抗部:回転形と同じ方式 コレクタ部:抵抗部と平行して一体成形したコレクタ・ト ラックと、抵抗部接点と並設した貴金属合金 のマルチ接点で引出す方式 コレクタ 回転系 リード線 抵抗 しゅう動接点 回転系 マルチ動接点 コンダクティブプラスチック素子 図-2:直線形の内部構造例(LP-Fシリーズ) 回転系 -95-
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